JP3320347B2 - 回折屈折型撮影光学系 - Google Patents

回折屈折型撮影光学系

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JP3320347B2
JP3320347B2 JP28791097A JP28791097A JP3320347B2 JP 3320347 B2 JP3320347 B2 JP 3320347B2 JP 28791097 A JP28791097 A JP 28791097A JP 28791097 A JP28791097 A JP 28791097A JP 3320347 B2 JP3320347 B2 JP 3320347B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、銀塩写真カメラ、
ビデオカメラ、電子スチルカメラ等に好適な撮影レンズ
として用い、更に詳しくは屈折光学系と回折光学系を組
み合わせて結像性能を良好に補正した大口径比の回折屈
折型撮影光学系に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般的に、望遠レンズでは焦点距離が延
びるに従って、軸上色収差及び倍率色収差が悪化する傾
向にある。これらの色収差を補正するために、蛍石等の
異常部分分散を持った低分散正レンズと高分散負レンズ
を組み合わせて、色消しを行った種々の望遠レンズが知
られている。
【0003】しかしながら、蛍石等の異常部分分散ガラ
スは色収差の補正に関して効果がある反面で非常に高価
であるという欠点があり、比重も異常部分分散を有さな
い他の低分散ガラスよりも比較的大きく、レンズ系全体
が重くなるという欠点もある。例えば、蛍石は比重3.
18、FKO1は比重3.63あり、これらに対し異常
部分分散性の小さいFK5は比重2.46、BK7は比
重2.52である。
【0004】そして、異常部分分散ガラスは表面が比較
的傷が付き易く、また大口径レンズでは急激な温度変化
に対して割れ易いものもあり、色収差の補正の効果を高
めるために、近軸軸上光線と瞳近軸光線の通過する光軸
からの高さが高い最も物体側に配置されたレンズ(正レ
ンズ)に用いられた場合に、傷や割れを防ぐための一般
的に平行平板状のガラスを用いた保護ガラスの分だけ、
更に重畳とコストが上昇するという欠点もある。
【0005】異常部分分散を持たないガラスを用いたま
まで、望遠レンズの色収差の補正を行ったものに特開平
6−324262号公報が知られている。この公報で
は、少なくとも1枚の正の屈折力を持った回折型光学素
子と、少なくとも1枚の正の屈折力を持つ屈折型光学素
子と、少なくとも1枚の負の屈折力を持つ屈折型光学素
子とより構成されたFナンバF2.8程度、色収差が比
較的良好に補正された望遠レンズが開示されている。
【0006】しかしながらこの公報では、軸上近軸光線
と瞳近軸光線が光学系に入射する入射高(光軸からの高
さ)が、共に比較的大きい光学系の物体側近傍に回折素
子を配置しており、軸上色収差と倍率色収差の補正に有
利である反面で、特に大口径の超望遠レンズに適用した
場合に素子の径が大きくなり、製造することが困難か或
いは製造コストが非常に高くなる等の問題がある。
【0007】例えば、比較的量産性に優れた回折格子の
成形方法に、ガラスを高温で融解しながら金型等でプレ
ス成形を行う方法、或いはガラス基板等の表面に紫外線
硬化性のプラスチック樹脂等を型でプレス成形し、紫外
線を照射して硬化させる方法、或いはプラスチック樹脂
そのものを型で成形する方法等があるが、何れの場合に
も素子の径が大きくなってくると、型の転写性、離型性
等が悪化し、所望の性能である十分な回折効率等が得ら
れなくなってくる等の欠点がある。
【0008】また、ガラスを直接切削して回折格子を成
形する方法、或いはSiO2 等の平面基板をウエットエ
ッチング又はドライエッチングにより階段状の回折格子
を成形する方法もあるが、量産性が悪く製造コストが高
くなる等の欠点がある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、前記
従来例の欠点を解消し、大口径でありながら、色収差を
始めとする諸収差が良好に補正され、しかも安価で軽量
な回折屈折型撮影光学系を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
の本発明に係る回折屈折型撮影光学系は、少なくとも1
枚の正レンズと少なくとも1枚の負レンズを含み最も物
体側に配置した正屈折力の第1レンズ群と、該第1レン
ズ群よりも像面側に配置し正屈折力を有する少なくとも
第1回折面と、該第1回折面よりも像面側に配置し負の
屈折力を有する少なくとも第2回折面とを有し、前記回
折面はそれぞれ光軸に対して回転対称形状の回折格子か
ら成り、前記第1回折面及び第2回折面を下記の条件式
を満足するように配置したことを特徴とする。 |hB/hA|<1 |HA/HB|<1 −1<HB/H1<0 ただし、hA:第1回折面へ入射する近軸軸上光線の高
さ hB:第2回折面へ入射する近軸軸上光線の高さ HA:第1回折面へ入射する瞳近軸光線の高さ HB:第2回折面へ入射する瞳近軸光線の高さ H1:前記第1レンズ群の最も物体側のレンズ面へ入射
する瞳近軸光線の高さ
【0011】
【発明の実施の形態】本発明を図示の実施例に基づいて
詳細に説明する。図1〜図7は具体的な実施例1〜7の
レンズ断面図である。物体側から、少なくとも1枚の正
レンズと少なくとも1枚の負レンズを含み最も物体側に
配置した正屈折力の第1レンズ群L1と、少なくとも1
枚の正レンズと、少なくとも1枚の負レンズを含む負屈
折力を有する第2レンズ群L2、第2レンズ群L2より
も像面側に配置し正屈折力を有する第1回折面Aを備え
た少なくとも1つの平板状の光学部材L3、第1回折面
Aよりも像面側に配置し負の屈折力を有する第2回折面
Bを備えた少なくとも1つの平板状の光学部材L4、フ
ィルタ等の光学部材L5が配置されている。そして、第
1、第2回折面A、Bはそれぞれ後述するように光軸に
対して回転対称形状の回折格子から成っている。
【0012】図8及び図9は本発明の前提となる作用を
説明するための近軸配置概略図である。図8は解説面が
1面のみの場合で、図9は回折面が2面の場合をそれぞ
れ示している。Mは望遠レンズを構成する屈折光学系部
分であり、ここでは問題を簡単に扱うために薄肉単レン
ズとして考える。また、Aは第1回折面、Bは第2回折
面であり、Pは近軸軸上光線、Qは瞳近軸光線を表して
いる。なお、近軸軸上光線は物体近軸光線、瞳近軸光線
は近軸主光線と呼ばれることもある。
【0013】先ず、回折面が1面のみの場合を考え、屈
折光学系部分Mと第1回折面Aについて、軸上色の収差
係数L及び倍率色の各収差係数Tの式を立てると、 L=hM 2φM /νM +hA 2φA /νA …(1) T=hMM φM /νM +hAA φA /νA …(2) となる。ただし、
【0014】φM :望遠レンズを構成する屈折光学系部
分の屈折力 φA :第1回折面Aの設計次数回折光の屈折力 νM :望遠レンズを構成する屈折光学系部分の(薄肉単
レンズの)アッべ数 νA :第1回折面Aの換算アッべ数(−3.45相当) hM :望遠レンズを構成する屈折光学系部分へ入射する
近軸軸上光線の高さ hA :第1回折面Aへ入射する近軸軸上光線の高さ HM :望遠レンズを構成する屈折光学系部分へ入射する
瞳近軸光線の高さ HA :第1回折面Aへ入射する瞳近軸光線の高さ である。
【0015】式(1) で、第1項の屈折光学系部分の軸上
色の収差係数は、φM >0,νM >0から、hM 2φM
νM >0となる。
【0016】従って、全系の軸上色の収差係数を小さく
するためには、式(1) の第2項の第1回折面Aの軸上色
の収差係数が負の値でなければならない。即ち、hA 2φ
A /νA <0となることが必要である。なお、νA <0
であるので、第1回折面Aの屈折力はφA >0である。
【0017】このとき、式(2) における第2項の第1回
折面Aの倍率色の収差係数は、hA>0,HA >0,νA
<0から、hAA φA /νA <0となる。
【0018】また、式(2) で第1項の屈折光学系部分の
倍率色の収差係数も、hM >0,HM <0,φM >0,
νM >0から、hMM φM /νM <0となり、屈折光
学系部分の倍率色の収差係数を第1回折面Aの倍率色の
収差係数で相殺して、全系の倍率色の収差係数を小さく
することはできない。
【0019】結局、素子の径を比較的小さくすることが
可能な光学系の後方に回折素子を配置する場合には、回
折面が1面のみでは全系の軸上色と倍率色の収差係数を
同時に小さくすることはできない。
【0020】次に、回折面が2面の場合を考えると、同
様に屈折光学系部分Mと第1回折面A及び第2回折面B
について、軸上色の収差係数L及び倍率色の各収差係数
Tの式を立てると、 L=hM 2φM /νM +hA 2φA /νA +hB 2φB /νB …(3) T=hMM φM /νM +hAA φA /νA +hBB φB /νB …(4) となる。ただし、
【0021】φB :第2回折面Bの設計次数回折光の屈
折力 νB :第2回折面Bの換算アッベ数(−3.45相当) hB :第2回折面Bへ入射する近軸軸上光線の高さ HB :第2回折面Bへ入射する瞳近軸光線の高さであ
る。
【0022】先ず、式(4) の第2項の高さHA に着目す
ると、HA が比較的小さくなる位置に図9に示すように
第1回折面Aを配置すれば、第2項の影響は殆どないも
のと見做せる。このとき第3項において、高さhB があ
まり小さ過ぎずに高さHB が比較的大きくなる位置に第
2回折面Bの屈折力をφB <0として配置すれば、第2
回折面Bで屈折光学系部分の倍率色の収差係数(負の
値)をほぼ相殺することができる。
【0023】次に式(4) において、図9からも分かるよ
うに、hA >hB からhA 2≫hB 2となり、第3項の第2
回折面Bの影響つまり全系の軸上色の収差係数を増加す
る方向は比較的少ないと見做せる。このとき、第2項に
おいて第1回折面Aの屈折力にφA >0を与えれば、第
1回折面Aで屈折光学系部分の軸上色の収差係数(正の
値)をほぼ相殺することができる。
【0024】実際は、屈折光学系部分は複数のレンズ面
(i=1、…、n面)で構成されているので、式(3) 及
び式(4) の第1項目はそれぞれ各面毎の収差係数の和と
なるが、屈折光学系部分が全体として本質的に正の屈折
力を有していることから、式(3) 及び式(4) の第1項目
の値の符号は、多くの場合に単レンズモデルのときの符
号と同一である。
【0025】即ち、屈折光学系部分は多くの場合に、式
(6) 、式(7) のような符号の関係が成り立つ。
【0026】
【式1】
【0027】これらの符号の関係は、特に、異常部分分
散ガラス等を使用せず、かつ簡易なレンズ構成とするほ
ど成り立つ。
【0028】従って、素子の径を比較的小さくすること
が可能な光学系の後方に回折素子を配置する場合には、
正屈折力と負屈折力の2つの回折面があれば、それらを
適切な位置に配置することにより、全系の軸上色と倍率
色の収差係数を同時に小さくすることができ、望ましく
は下記の条件式を満足するように配置することがよい。 |hB /hA |<l …(8) |HA /HB |<1 …(9) −1<HB /H1 <0 …(10)
【0029】ここで、H1 は屈折光学系部分の主レンズ
部である少なくとも1枚の正レンズと少なくとも1枚の
負レンズを含み、最も物体側に配置された正屈折力の第
1レンズ群L1の最も物体側のレンズ面に入射する瞳近
軸光線の高さであり、前述の単レンズモデルでの高さh
M にほぼ相当する。
【0030】条件式(8) は軸上色の収差係数を小さく抑
えるためのものであり、上限値を超えると第2回折面B
での作用が強まり、軸上色収差が悪化する。また、第1
回折面Aの屈折力を強めなければならず、その結果とし
て回折格子のピッチが細かくなり、製造し難くなるので
好ましくない。
【0031】条件式(9) 及び(10)は倍率の色収差係数を
小さく抑えるためのものであり、条件式(9) の上限値を
超えると第1回折面Aでの作用が強まり、倍率色収差が
悪化する。また、第2回折面Bの屈折力を強めなければ
ならず、その結果として回折格子のピッチが細かくなり
製造し難くなる。そして、条件式(10)の上限値を超える
と、第2回折面Bでの倍率色の補正効果が弱まり、補正
不足となるので良くない。また、条件式(10)の下限を超
えると、第2回折面Bでの補正効果が強まり、補正過剰
となるので好ましくない。
【0032】更に望ましくは、条件式(8) 、(9) 、(10)
の数値範囲を次のようにすることが好適である。 |hB /hA |<0.95 …(8') |HA /HB |<0.95 …(9') −0.95<hB /h1 <−0.01 …(10')
【0033】前述の色収差係数による色消しの議論は、
2波長についての色消しの議論であり、必ずしも全可視
域ので色消しされているとは限らない。以下に、可視域
全体で良好に色収差が補正されるために必要となる構成
について述べる。
【0034】先ず、屈折光学系部分の軸上色収差を異常
部分分散ガラス等を用いずに、屈折光学系部分単独で補
正しようとした場合に、スペクトル曲線は通常では図1
0のような下に凸の曲がりを持ち、設計波長と他の1波
長の2波長で色消しされた所謂アクロマート型のスペク
トル曲線となる。
【0035】次に、回折面で与えることのできるスペク
トル曲線について考えると、回折面の位相形状ψは、次
のような多項式で与えることができる。 ψ(h,m)={2π/(mλ0)}(C12 +C24 +C36 +…)…(11)
【0036】ここで、h:光軸に対して垂直方向の高さ m:回折光の回折次数 λ0 :設計波長 Ci:位相係数(i=1,2,3,…) である。
【0037】このとき、任意の波長λ、任意の回折次数
mに対する回折面の屈折力φは、位相係数C1を用いて次
のように表すことができる。 φ(λ、m)=−2C1mλ/λ0 …(12)
【0038】この式(12)において、回折次数mを例えば
1とし、位相係数を負の値に選べば回折面の屈折力を正
とすることができる。このとき、式(12)から明らかなよ
うに、λ>λ0 の波長域においては、波長が長くなるほ
ど波長の変化に対して直線的に正の屈折力が強まり、逆
にλ<λ0 の波長域においては、波長が短くなるほど波
長の変化に対して直線的に正の屈折力が弱まることにな
る。
【0039】つまり、回折面よりも物体側へ配置された
屈折光学系部分が軸上色収差に関して無収差であれば、
設計波長λ0 の結像位置を光学系全体の結像位置とする
と、設計波長λ0 よりも長波長側の近軸光線は、光学系
全体の結像位置よりも手前に結像し、設計波長λ0 より
も短波長側の近軸光線は、光学系全体の結像位置よりも
後側に結像し、しかも波長の変化に対して直線的に結像
位置が図11に示すようにずれてゆくことになる。
【0040】従って、屈折光学系部分の残存色収差を回
折面で相殺し、可視域全域で色消しをするためには、回
折面単体では上に凸の曲がりを持った補正を与えること
はできないので、結局のところ屈折光学系部分で回折面
の直線的な補正に合わせ、それとは逆の傾きを持った直
線的な軸上色収差を予め発生させておく必要がある。
【0041】そのためには、屈折光学系部分を最も物体
側に正屈折力の第1レンズを配置し、第1レンズ群L1
を少なくとも1枚の正レンズと、少なくとも1枚の負レ
ンズを含むように構成とすることが必要で、このように
構成することにより、屈折光学系部分のスペクトル曲線
を設計波長を中心に、設計波長よりも短波長側をより補
正不足とし、設計波長よりも長波長側をより補正過剰と
しながら、スペクトル曲線の極点の位置をより短波長側
へ移動させることができる。
【0042】その結果、屈折光学系部分のスペクトル曲
線は図12に示すような可視域全域でほぼ直線的な形状
となり、それにあわせて回折面の屈折力を設定すれば、
可視域全域での色消しが達成される。
【0043】可視域全域で倍率色収差も含め、更に良好
に色消しするためには、次の条件式を満足することが望
ましい。 0.05<φA /φ<2 …(13) −2<φB /φ<−0.05 …(14)
【0044】条件式(13)の上限値を超えて第1回折面A
の屈折力が強くなると、第1回折面Aの軸上スペクトル
直線の傾きの絶対値が大きくなり、それに合わせて屈折
系部分のスペクトル曲線も直線形状を維持しながら大き
く傾けなければならず、球面収差、色の球面収差を始め
諸収差が悪化し、先の式(11)の高次の位相項に対応する
回折面の非球面効果では補正しきれない。また、条件式
(13)の下限値を超えて第1回折面Aの屈折力が弱くなる
と、第1回折面Aの軸上スペクトル直線の傾きの絶対値
が小さくなり、屈折系部分のスペクトル曲線を直線形状
を維持しながら傾きを小さくすることができず、設計波
長よりも短波長側で下に凸の大きな曲がりが生じ、第1
回折面Aで軸上色収差が相殺できなくなるので好ましく
ない。
【0045】そして、条件式(14)は条件式(13)を満足し
た上で、倍率色収差を更に良好にするためのものであ
り、条件式(14)の上限値を超えても、下限値を超えても
倍率色収差が悪化するので、条件式(14)を満足すること
が望ましい。
【0046】更に望ましくは、条件式(13)、(14)の数値
範囲を次のようにすることが好ましい。 0.1<φA /φ<1 …(13') −1<φB /φ<−0.1 …(14')
【0047】また、第1レンズ群L1は次の条件式を満
足することも望ましい。 5<νP −νN <75 …(15)
【0048】ただし、νP :第1レンズ群L1中の正レ
ンズのアッべ数の平均値 νN :第1レンズ群L1中の負レンズのアッべ数の平均
【0049】条件式(15)は屈折光学系部分の色収差以外
の諸収差を良好に保ちながら、特に軸上色収差のスペク
トル曲線に適切な傾きを与え、曲がりを少なくしてほぼ
直線形状を維持するのに有効であり、条件式(15)の上限
値を超えて正レンズと負レンズのアッべ数の平均値の差
が大きくなると、設計波長よりも短波長側の曲がりが増
え、回折面で色収差を補正しきれなくなってくる。逆
に、条件式(15)の下限値を超えて正レンズと負レンズの
アッべ数の平均値の差が小さくなると、スペクトル曲線
の直線性は向上するものの、屈折光学系部分を構成する
各レンズのレンズ面の屈折力分担が崩れ、色収差以外の
諸収差をバランス良く補正できなくなるので良くない。
【0050】更に望ましくは、条件式(15)の数値範囲を
次のようにすることが良い。 15<νP −νN <45 …(15')
【0051】これにより、色収差を始め諸収差を、更に
良好にすることができる。なお、各実施例の回折面の位
相形状ψは次式によって表される。 ψ(h,m)={2π/(mλ0)}(C12 +C24 +C36 +…)…(23)
【0052】ここで、h:光軸に対して垂直方向の高さ m:回折光の回折次数 λ0 :設計波長 Ci:位相係数(i=1,2,3…)である。
【0053】各実施例において、回折光の回折次数mは
1であり、設計波長λ0 はd線の波長(587.56n
m)である。
【0054】また、各実施例においてフォーカシング
は、第1レンズ群L1と第2回折面Bとの間に負屈折力
の第2レンズ群L2を設け、第2レンズ群L2を光軸方
向へ移動することをによって行っている。第2レンズ群
L2は少なくとも1枚の正レンズと、少なくとも1枚の
負レンズを含むように構成することがよく、このような
構成とすることにより、フォーカシングによる色収差の
変動を小さく抑えることができる。特に、倍率色収差の
変動を抑えるには、第2回折面Bよりも物体側に第2レ
ンズ群L2を配置して、第2回折面Bへ光線が入射する
以前で倍率色収差の変動成分を補正しておくことがよ
い。
【0055】なお、実施例では1面の正屈折力の回折面
と、1面の負屈折力の回折面の合計2面であるが、更に
回折面を追加してもよく、これにより更に良好な光学性
能が得られる。また、各回折面は平行平板ガラスをベー
スとして片面に施しているが、球面レンズ或いは非球面
レンズをベースとしてもよく、両面に施してもよい。更
に、接合レンズの接合面に施してもよく、ベースの材質
は光を透過するものであれば、特にガラスでなくてもよ
い。また、第1回折面Aと第2回折面Bの間及び第2回
折面Bの像面側に収差補正のための補正レンズがあって
もよい。
【0056】次に、本発明の数値実施例を示す。ただ
し、各実施例において、ri は物体側から数えて第i番
目の面の曲率半径、di は物体側から数えて第i番目の
基準状態の軸上面間隔を示し、ni 、νi は物体側から
教えて第i番目のレンズのd線に対する屈折率、アッベ
数を示している。なお、fは焦点距離、FNoはFナン
バ、2ωは画角である 。
【0057】 数値実施例1 f =292.50 fno=1:2.91 2ω=8.46° r1 = 159.121 d1 =13.50 n1 =1.51633 ν1 =64.2 r2 = -705.064 d2 = 0.15 r3 = 123.991 d3 =11.00 n2 =1.51633 ν2 =64.2 r4 = 554.293 d4 = 8.20 r5 =-2342.290 d5 = 5.00 n3 =1.67270 ν3 =32.1 r6 = 176.196 d6 =22.09 r7 = 66.589 d7 =11.00 n4 =1.48749 ν4 =70.2 r8 = 127.559 d8 = 8.32 r9 = 58.679 d9 = 5.70 n5 =1.65446 ν5 =33.6 r10= 42.847 d10=可変 r11= 226.342 d11= 7.00 n6 =1.84666 ν6 =23.8 r12= -121.673 d12= 3.00 n7 =1.85026 ν7 =32.3 r13= 88.134 d13=可変 r14= -523.886 d14= 2.50 n8 =1.60342 ν8 =38.0 r15= 128.755 d15= 5.50 n9 =1.88300 ν9 =40.8 r16= -392.575 d16= 4.00 *r17= 0.000 d17= 2.00 n10=1.45867 ν10=67.9 r18= 0.000 d18= 1.00 r19= 0.000(絞り) d19=29.16 *r20= 0.000 d20= 2.00 n11=1.45867 ν11=67.9 r21= 0.000 d21= 8.00 r22= 0.000 d20= 2.00 n12=1.51633 ν12=64.2 r23= 0.000 位相係数 17面 C1=-4.19370・10-4 C2=-1.32540・10-8 C3=-4.81550・10-11 C4= 2.11060・10-14 20面 C1= 5.04550・10-4 C2= 4.34730・10-8 C3= 4.41550・10-11 C4=-3.83140・10-14 可変間隔 ∞ 3m d10 14.47 36.82 d13 31.00 8.65
【0058】 数値実施例2 f =292.50 fno=1:2.91 2ω=8.46° r1 = 161.178 d1 =13.50 n1 =1.50378 ν1 =66.8 r2 = -605.902 d2 = 0.15 r3 = 124.253 d3 =11.00 n2 =1.48749 ν2 =70.2 r4 = 626.963 d4 = 7.78 r5 =-1452.331 d5 = 5.00 n3 =1.64831 ν3 =33.8 r6 = 182.850 d6 =22.29 r7 = 65.858 d7 =11.00 n4 =1.48749 ν4 =70.2 r8 = 124.251 d8 = 9.43 r9 = 58.061 d9 = 5.70 n5 =1.63980 ν5 =34.5 r10= 42.330 d10=可変 r11= 219.103 d11= 7.00 n6 =1.84666 ν6 =23.8 r12= -122.454 d12= 3.00 n7 =1.85026 ν7 =32.3 r13= 87.573 d13=可変 r14= -608.393 d14= 2.50 n8 =1.61293 ν8 =37.0 r15= 123.345 d15= 5.50 n9 =1.88300 ν9 =40.8 r16= -434.291 d16= 4.00 *r17= 0.000 d17= 2.00 n10=1.51633 ν10=64.2 r18= 0.000 d18= 1.00 r19= 0.000(絞り) d19=26.76 *r20= 0.000 d20= 2.00 n11=1.51633 ν11=64.2 r21= 0.000 d21= 8.00 r22= 0.000 d22= 2.00 n12=1.51633 ν12=64.2 r23= 0.000 位相係数 17面 C1=-4.28740・10-4 C2=-1.74370・10-8 C3=-5.25780・10-11 C4= 2.49770・10-14 20面 C1= 5.08070・10-4 C2= 4.77400・10-8 C3= 4.98940・10-11 C4=-5.07930・10-14 可変間隔 ∞ 3m d10 14.52 37.23 d13 30.06 7.35
【0059】 数値実施例3 f =292.50 fno=1:2.91 2ω=8.46° r1 = 119.301 d1 =17.50 n1 =1.51633 ν1 =64.2 r2 = -749.188 d2 = 6.50 r3 = 100.105 d3 =17.50 n2 =1.51633 ν2 =64.2 r4 = -800.725 d4 = 1.83 r5 = -511.463 d5 = 5.00 n3 =1.85026 ν3 =32.3 r6 = 233.093 d6 =19.32 r7 = 53.139 d7 = 5.00 n4 =1.75550 ν4 =25.1 r8 = 45.149 d8 =可変 r9 = -250.152 d9 = 6.20 n5 =1.84666 ν5 =23.8 r10= -81.048 d10= 3.20 n6 =1.64450 ν6 =40.8 r11= 85.355 d11=可変 r12= 253.089 d12= 2.50 n7 =1.74950 ν7 =35.3 r13= 95.351 d13= 6.00 n8 =1.80300 ν8 =46.7 r14= -441.117 d14= 3.00 r15= 0.000(絞り) d15= 5.00 *r16= 0.000 d16= 2.00 n9 =1.45867 ν9 =67.9 r17= 0.000 d17=14.55 r18= 0.000 d18= 2.00 n10=1.51633 ν10=64.2 r19= 0.000 d19=14.55 *r20= 0.000 d20= 2.00 n11=1.45867 ν11=67.9 r21= 0.000 位相係数 16面 C1=-5.18200・10-4 C2=-1.78310・10-8 C3=-3.44570・10-11 C4= 3.12690・10-14 20面 C1= 6.69110・10-4 C2= 4.09040・10-8 C3= 7.42020・10-11 C4=-7.60310・10-14 可変間隔 ∞ 3m d8 23.76 39.95 d11 39.31 23.12
【0060】 数値実施例4 f =292.50 fno=1:2.91 2ω=8.46° r1 = 117.352 d1 =15.30 n1 =1.51821 ν1 =65.0 r2 = -797.987 d2 =11.94 r3 = 96.159 d3 =13.30 n2 =1.49782 ν2 =66.8 r4 =-1142.879 d4 = 1.98 r5 = -577.645 d5 = 5.00 n3 =1.85026 ν3 =32.3 r6 = 229.602 d6 =19.82 r7 = 52.997 d7 = 5.00 n4 =1.72825 ν4 =28.5 r8 = 44.870 d8 =可変 r9 = -260.789 d9 = 5.70 n5 =1.84666 ν5 =23.8 r10= -82.869 d10= 3.20 n6 =1.64450 ν6 =40.8 r11= 84.483 d11=可変 r12= 273.186 d12= 2.50 n7 =1.72047 ν7 =34.7 r13= 92.471 d13= 6.00 n8 =1.80300 ν8 =46.7 r14= -438.423 d14= 3.00 r15= 0.000(絞り) d15= 5.00 *r16= 0.000 d16= 2.00 n9 =1.51633 ν9 =64.2 r17= 0.000 d17=14.18 r18= 0.000 d18= 2.00 n10=1.51633 ν10=64.2 r19= 0.000 d19=14.18 *r20= 0.000 d20= 2.00 n11=1.51633 ν11=64.2 r21= 0.000 位相係数 16面 C1=-5.32830・10-4 C2=-1.68720・10-8 C3=-3.23100・10-11 C4= 2.29270・10-14 20面 C1= 6.94590・10-4 C2= 4.14320・10-8 C3= 6.80920・10-11 C4=-6.65540・10-14 可変間隔 ∞ 3m d8 23.75 39.93 d11 40.10 23.92
【0061】 数値実施例5 f =390.00 fno=1:2.91 2ω=6.35° r1 = 160.714 d1 =24.11 n1 =1.50378 ν1 =66.8 r2 = -550.049 d2 = 6.33 r3 = 144.933 d3 =18.19 n2 =1.50378 ν2 =66.8 r4 = 986.476 d4 = 5.33 r5 = -735.669 d5 = 7.00 n3 =1.80440 ν3 =39.6 r6 = 204.691 d6 =44.02 r7 = 72.198 d7 =16.00 n4 =1.50378 ν4 =66.8 r8 = 167.885 d8 = 0.23 r9 = 67.571 d9 = 6.50 n5 =1.67270 ν5 =32.1 r10= 47.593 d10=可変 r11= 210.803 d11= 7.50 n6 =1.84666 ν6 =23.8 r12= -233.908 d12= 3.50 n7 =1.85026 ν7 =32.3 r13= 96.102 d13=可変 r14= -891.803 d14= 3.00 n8 =1.75550 ν8 =25.1 r15= 546.978 d15= 6.00 n9 =1.84666 ν9 =23.9 r16= -387.306 d16= 5.00 *r17= 0.000 d17= 2.00 n10=1.51633 ν10=64.2 r18= 0.000 d18= 9.92 r19= 0.000(絞り) d19=33.47 *r20= 0.000 d20= 2.00 n11=1.51633 ν11=64.2 r21= 0.000 d21= 8.00 r22= 0.000 d22= 2.00 n12=1.51633 ν12=64.2 r23= 0.000 位相係数 17面 C1=-3.89430・10-4 C2=-6.70000・10-10 C3=-2.29200・10-11 C4= 1.49080・10-14 20面 C1= 5.17670・10-4 C2= 1.18720・10-8 C3= 3.55700・10-11 C4=-6.62930・10-14 可変間隔 ∞ 4m d10 18.42 45.34 d13 37.15 10.23
【0062】 数値実施例6 f =585.00 fno=1:4.12 2ω=4.24° r1 = 190.407 d1 = 24.00 n1 =1.51633 ν1 =64.2 r2 = -516.933 d2 = 3.28 r3 = 233.393 d3 = 14.00 n2 =1.51633 ν2 =64.2 r4 = 1871.499 d4 = 9.17 r5 = -556.137 d5 = 7.00 n3 =1.80440 ν3 =39.6 r6 = 268.750 d6 =139.04 r7 = 92.373 d7 = 11.00 n4 =1.51633 ν4 =64.2 r8 = 272.360 d8 = 0.74 r9 = 69.257 d9 = 5.00 n5 =1.63636 ν5 =35.4 r10= 56.305 d10=可変 r11= 210.582 d11= 7.00 n6 =1.84666 ν6 =23.8 r12= -190.113 d12= 2.80 n7 =1.85026 ν7 =32.3 r13= 101.491 d13=可変 *r14= 0.000 d14= 2.00 n8 =1.45867 ν8 =67.9 r15= 0.000 d15= 17.00 r16= 0.000(絞り) d16= 36.07 *r17= 0.000 d17= 2.00 n9 =1.45867 ν9 =67.9 r18= 0.000 d18= 8.00 r19= 0.000(絞り) d19= 2.00 n10=1.51633 ν10=64.2 r20= 0.000 位相係数 14面 C1=-3.18970・10-4 C2=-8.23150・10-9 C3=-1.81890・10-11 C4= 1.01680・10-14 17面 C1= 4.05420・10-4 C2= 1.12510・10-8 C3= 5.64840・10-11 C4=-8.53850・10-14 可変間隔 ∞ 6m d10 34.91 61.30 d13 31.99 5.60
【0063】 数値実施例7 f =585.00 fno=1:4.12 2ω=4.24° r1 = 192.658 d1 = 24.00 n1 =1.50378 ν1 =66.8 r2 = -464.463 d2 = 1.82 r3 = 237.912 d3 = 14.00 n2 =1.49782 ν2 =66.8 r4 = 3621.821 d4 = 8.78 r5 = -506.414 d5 = 7.00 n3 =1.79952 ν3 =42.2 r6 = 282.840 d6 =144.06 r7 = 87.192 d7 = 11.00 n4 =1.50378 ν4 =66.8 r8 = 266.479 d8 = 0.15 r9 = 70.645 d9 = 5.00 n5 =1.61293 ν5 =37.0 r10= 55.675 d10=可変 r11= 214.492 d11= 7.00 n6 =1.84666 ν6 =23.8 r12= -182.787 d12= 2.80 n7 =1.85026 ν7 =32.3 r13= 101.326 d13=可変 *r14= 0.000 d14= 2.00 n8 =1.51633 ν8 =64.2 r15= 0.000 d15= 8.32 r16= 0.000(絞り) d16= 25.72 *r17= 0.000 d17= 2.00 n9 =1.51633 ν9 =64.2 r18= 0.000 d18= 8.00 r19= 0.000(絞り) d19= 2.00 n10=1.51633 ν10=64.2 r20= 0.000 位相係数 14面 C1=-4.83710・10-4 C2=-1.82800・10-8 C3=-3.15590・10-11 C4= 2.32430・10-14 17面 C1= 5.80640・10-4 C2= 2.52960・10-8 C3= 8.61880・10-11 C4=-1.28480・10-13 可変間隔 ∞ 6m d10 40.34 67.30 d13 33.04 6.08
【0064】次の表1は実施例1〜7の条件式の数値で
ある。
【0065】
【表1】
【0066】図13〜図26は実施例1〜7の縦収差図
を示す。なお、S、Cは正弦状態、dはd線、gはg
線、cはc線、FはF線、ΔMはd線に対するメリディ
オナル像面、ΔSはd線に対するサジカル像面、ΔMg
はg線に対するメリディオナル像面、ΔSgはg線に対
するサジタル像面である。
【0067】図27は実際の回折光学素子の形状の断面
図を示し、基材1の表面に紫外線硬化樹脂を塗布し、こ
の樹脂部2に波長530nmで1次回折効率が100%
となるような格子厚dの格子3を成形している。図28
はこの回折光学素子の1次回折効率の波長依存性を示
し、設計次数での回折効率は最適化した波長530nm
から離れるに従って低下し、一方で設計次数近傍の次数
0次、2次回折光が増大している。この設計次数以外の
回折光の増加はフレアとなり、光学系の解像度の低下に
つながる。
【0068】図29は図27の格子形状を前述の数値実
施例1を作成した場合の場合の望遠端の軸上における空
間周波数に対するMTF(Modulation Transfer Functi
on)特性を示しており、低周波数領域のMTFが所望の
値より低下していることが分かる。
【0069】更に、回折効率を改善するためには、次に
説明するような積層構造の回折光学素子にすることが好
ましい。そこで、図30に示すような積層型の回折格子
を実施例における回折光学素子の格子形状とすることが
考えられる。基材1上に紫外線硬化樹脂(Nd=1.4
99、νd=54)から成る第1の回折格子4が構成さ
れ、その上に別の紫外線硬化樹脂(nd=1.598、
νd=28)から成る第2の回折格子5が形成されてい
る。
【0070】この材質の組み合わせでは、第1の回折格
子4の格子厚dlはdl=13.8μm、第2の回折格
子5の格子厚d2はd2=10.5μmとしている。図
31はこの構成の回折光学素子の1次回折効率の波長依
存性を示し、このように積層構造の回折格子にすること
により、設計次数の回折効率は使用波長全域で95%以
上の高い回折劾率が得られる。
【0071】図32はこの場合の空間周波数に対するM
TF特性を示し、積層構造の回折格子を用いることで、
低周波のMTFは改善され、所望のMTF特性が得られ
ている。このように、実施例の回折光学素子として積層
構造の回折格子を用いることで、光学性能は更に改善さ
れる。
【0072】なお、前述の回折光学素子として、材質を
紫外線硬化樹脂に限定するものでなく、他のプラスチッ
ク材なども使用できるし、基材によっては第1の回折格
子4を直接基材に形成してもよい。また、各格子の厚み
が必ずしも異なる必要はなく、材料の組み合わせによっ
ては図33に示すように2つの格子厚を等しくできる。
この場合に、回折光学素子の表面に格子形状が形成され
ないので、防塵性に優れ、回折光学素子の組み立て作業
性が向上し、より安価な光学系が得られる。
【0073】
【発明の効果】以上説明したように本発明に係る回折屈
折型撮影光学系によれば、異常部分分散ガラス等を用い
ない大口径望遠レンズでありながら、色収差を始めとす
る諸収差が良好に補正され、しかも安価で軽量となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1のレンズ断面図である。
【図2】実施例2のレンズ断面図である。
【図3】実施例3のレンズ断面図である。
【図4】実施例4のレンズ断面図である。
【図5】実施例5のレンズ断面図である。
【図6】実施例6のレンズ断面図である。
【図7】実施例7のレンズ断面図である。
【図8】1面の回折面を有する近軸配置の概略図であ
る。
【図9】2面の回折面を有する近軸配置の概略図であ
る。
【図10】色収差補正の説明図である。
【図11】色収差補正の説明図である。
【図12】色収差補正の説明図である。
【図13】実施例1の無限遠合焦状態の縦収差図であ
る。
【図14】実施例1の近距離合焦状態の縦収差図であ
る。
【図15】実施例2の無限遠合焦状態の縦収差図であ
る。
【図16】実施例2の近距離合焦状態の縦収差図であ
る。
【図17】実施例3の無限遠合焦状態の縦断面図であ
る。
【図18】実施例3の近距離合焦状態の縦収差図であ
る。
【図19】実施例4の無限遠合焦状態の縦断面図であ
る。
【図20】実施例4の近距離合焦状態の縦収差図であ
る。
【図21】実施例5の無限遠合焦状態の縦断面図であ
る。
【図22】実施例5の近距離合焦状態の縦収差図であ
る。
【図23】実施例6の無限遠合焦状態の縦断面図であ
る。
【図24】実施例6の近距離合焦状態の縦収差図であ
る。
【図25】実施例7の無限遠合焦状態の縦断面図であ
る。
【図26】実施例7の近距離合焦状態の縦収差図であ
る。
【図27】回折光学素子の断面図である。
【図28】1次回折効率波長特性のグラフ図である。
【図29】MTF特性のグラフ図である。
【図30】多層構造の回折光学素子の断面図である。
【図31】1次回折効率波長特性多層構造のグラフ図で
ある。
【図32】MTF特性のグラフ図である。
【図33】他の多層構造の回折光学素子の断面図であ
る。
【符号の説明】
L1 第1レンズ群 L2 第2レンズ群 L3、L4、L5 光学部材 A、B 回折面 1 基材 2 樹脂部 3 格子 4 回折格子

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも1枚の正レンズと少なくとも
    1枚の負レンズを含み最も物体側に配置した正屈折力の
    第1レンズ群と、該第1レンズ群よりも像面側に配置し
    正屈折力を有する少なくとも第1回折面と、該第1回折
    面よりも像面側に配置し負の屈折力を有する少なくとも
    第2回折面とを有し、前記回折面はそれぞれ光軸に対し
    て回転対称形状の回折格子から成り、前記第1回折面及
    び第2回折面を下記の条件式を満足するように配置した
    ことを特徴とする回折屈折型撮影光学系。 |h B /h A |<1 |H A /H B |<1 −1<H B /H 1 <0 ただし、h A :第1回折面へ入射する近軸軸上光線の高
    B :第2回折面へ入射する近軸軸上光線の高さ A :第1回折面へ入射する瞳近軸光線の高さ B :第2回折面へ入射する瞳近軸光線の高さ 1 :前記第1レンズ群の最も物体側のレンズ面へ入射
    する瞳近軸光線の高さ
  2. 【請求項2】 前記回折面は下記の条件式を満足する請
    求項に記載の回折屈折型撮影光学系。 0.05<φA/φ<2 −2<φ/φ<−0.05 ただし、φ :全系の合成屈折力 φA:第1回折面の1次回折光の屈折力(φA>0) φB:第2回折面の1次回折光の屈折力(φB<0)
  3. 【請求項3】 下記の条件式を満足する請求項1又は2
    に記載の回折屈折型撮影光学系。 5<νP−νN<75 ただし、νP:第1レンズ群中の正レンズのアッべ数の
    平均値 νN:第1レンズ群中の負レンズのアッべ数の平均値
  4. 【請求項4】 前記第1レンズ群と前記第2回折面との
    間に、少なくとも1枚の正レンズと、少なくとも1枚の
    負レンズを含む負屈折力の第2レンズ群を配置し、フォ
    ーカシングに際し前記第2レンズ群を光軸方向へ移動す
    るようにした請求項1〜の何れか1つの請求項に記載
    の回折屈折型撮影光学系。
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