JP3318145B2 - 透明導電性フィルム - Google Patents

透明導電性フィルム

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JP3318145B2
JP3318145B2 JP00494695A JP494695A JP3318145B2 JP 3318145 B2 JP3318145 B2 JP 3318145B2 JP 00494695 A JP00494695 A JP 00494695A JP 494695 A JP494695 A JP 494695A JP 3318145 B2 JP3318145 B2 JP 3318145B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は透明導電性フィルムに関
し、より詳しくはタッチパネル電極に好適に使用できる
耐ペン摺動性に優れた透明導電性フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】透明導電性フィルムは従来、液晶ディス
プレイ、エレクトロルミネッセンスディスプレイ、エレ
クトロクロミックディスプレイなどの表示素子の電極、
太陽電池などの光電変換素子の窓電極、電磁波シールド
の電磁波遮蔽膜、あるいは透明タッチパネルなどの入力
装置の電極として利用されている。
【0003】従来公知の透明導電層としては金、銀、白
金、パラジウムなどの貴金属薄膜と、酸化インジウム、
酸化スズ、酸化亜鉛などの酸化物半導体薄膜とが知られ
ている。前者の貴金属薄膜は抵抗値の低いものは容易に
得られるが透明性に劣る。後者の酸化物半導体薄膜は抵
抗値は貴金属薄膜に若干劣るが、透明性に優れているた
め広く利用されている。その中でも酸化スズを含有した
酸化インジウム薄膜は低抵抗で透明性に優れているため
広く利用されている。スズをドープした酸化インジウム
薄膜の抵抗率は通常5×10-5〜1×10-3Ω・cm程
度、透過率は一般に80〜90%である。
【0004】タッチパネルなどの入力装置に透明導電性
フィルムを利用する場合は、タッチパネルの構造により
要求される特性は異なるが、アナログ型といわれる方式
では消費電力の点から、シート抵抗が200〜1000
Ω/□程度のものが好んで用いられ、さらに、位置検出
精度の点からシート抵抗の均一性が望まれている。ま
た、透明タッチパネルは液晶ディスプレイなどの表示装
置に重ねて利用されるため透明性が要求され、また機械
的強度、環境耐久性をも兼ね備えていることが望まれ
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、透明導
電性フィルムをアナログ型タッチパネルに使用した場
合、スペーサを介して対向させたガラス基板上の透明導
電膜と、フィルム上の透明導電膜をペンで強く接触さ
せ、スイッチングするため、この時生じる摩擦摩耗で特
にフィルム上の透明導電層が劣化し、その電気抵抗が上
昇し、タッチパネルが正常に動作しなくなる問題があっ
た。実用的耐摩耗試験においては、透明導電層を形成し
たガラス上にスペーサーを配し、透明導電層が相対する
ように透明導電性フィルムを配し、該フィルムの透明導
電層が形成されていない側から、ポリアセタール製のペ
ンに、200gの荷重を印加し、直線的に動かす。20
万回数(10万往復)ペンを動かした後、フィルムの上
に形成された透明導電透層の表面抵抗の直線性を、ペン
を動かした直線方向と垂直になるように測定する。この
時の表面抵抗の直線からのずれが好ましくは±1.5%
(3%)以下であることが求められている。しかしなが
ら、従来の透明高分子フィルムの一方の主面に透明導電
層を成膜した構成の透明導電性フィルムでは、上記した
耐摩耗試験における表面電気抵抗の直線からのずれが2
0%以上となってしまっていた。本発明は、上記従来の
事情に鑑み、耐ペン摺動性に優れた透明導電性フィルム
を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の問
題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、透明高分子
フィルム/適度の弾性率を有する透明樹脂/透明高分子
フィルム/透明無機薄膜層/透明導電層の構成を採用す
ることにより、耐ペン摺動性に優れた透明導電性フィル
ムを得ることができることを見いだし、本発明に至っ
た。
【0007】すなわち、本発明は、少なくとも、透明高
分子フィルム(A)と、適度の弾性率を有する透明樹脂
層(B)と、透明高分子フィルム(C)と、透明無機薄
膜層(D)と、透明導電層(E)とが、ABCDEとい
う構成を備えてなる透明導電性フィルムであり、また
は、透明樹脂層(B)のヤング率が40乃至600kg
/cm2 である透明導電性フィルムであり、または、透
明無機薄膜層(D)が、珪素酸化物である透明導電性フ
ィルムであり、または、透明導電層(E)が、酸化イン
ジウムを主体とする酸化物である透明導電性フィルムで
ある。
【0008】以下本発明において透明というのは、それ
ぞれの層の実用厚さにおいて、光透過率が、75%以上
であり、より好ましくは80%以上であり、さらに、よ
り好ましくは85%以上であることである。光の波長範
囲は、400〜700nmにわたって上記の透過率を持
つことが好ましいが、550nmの波長の光に対する透
過率で考えても良い。
【0009】まず添付図面について説明するに、〔図
1〕は本発明の透明導電性フィルムの断面図の一例であ
り、〔図2〕は、試験方法の断面図を示す図であり、
〔図3〕は透明導電性フィルムの摺動位置と直線性を測
定する位置を示す図である。ここで、10は透明高分子
フィルム(A)、20は透明樹脂層(B)、30は透明
高分子フィルム(C)、40は透明無機薄膜層(D)、
50は透明導電層(E)、70は本発明になる透明導電
性フィルム、80は透明導電層を有するガラス基板、9
0はペン、100はスペーサー、200はペン摺動試験
でペンを動かす位置、300はペン摺動試験後、面内抵
抗を測定する位置をそれぞれ示す。
【0010】本発明において使用する透明高分子フィル
ム(A)としては、透明性を有するプラスチックフィル
ムが使用でき、具体的にはポリエチレンテレフタレート
フィルム、ポリエーテルサルフォンフィルム、ポリエー
テルエーテルケトンフィルム、ポリカーボネートフィル
ム、ポリプロピレンフィルム、ポリイミドフィルムなど
が挙げられる。これらのフィルムの厚さは通常20〜1
50μmのものが用いられる。フィルムの厚さがあまり
薄いと、基材としての機械的強度に不足し、またあまり
厚すぎると可撓性が不足するため、該透明導電性フィル
ムを使用してタッチパネルを構成した場合、スイッチン
グに大きな荷重が必要となるため好ましくない。上記透
明高分子フィルムのなかでもポリエチレンテレフタレー
トフィルムは透明性及び加工性に優れているため、より
好適に利用できる。また、ポリエーテルサルフォンフィ
ルムは耐熱性に優れているため、透明導電性フィルム作
製後に熱処理を必要とする場合、また該透明導電性フィ
ルムを使用してタッチパネル組み立てる際に加熱処理を
必要とする場合に、より好適に利用できる。また、高分
子フィルム(A)の透明樹脂に面しない主面上に、ハー
ドコート、帯電防止コート、紡汚コート、ノングレアー
処理、反射防止処理等を施すのは当業者の設計条件の範
囲内である。
【0011】本発明において使用する透明高分子フィル
ム(C)は、基本的に下記適度な弾性率を有する透明樹
脂層(B)を、上記した透明高分子フィルム(A)との
間に狭持するためのものであって、透明性を有すること
等は、高分子フィルム(A)と同様であるが、該狭持す
るために必要充分な厚みを持つことが好ましい。すなわ
ちその厚さは、10〜50μmが好ましく、より好まし
くは、12〜25μmである。あまり薄い場合は狭持す
るための基材として機械的な強度が不足し、一方あまり
厚すぎる場合は、充分なペン摺動特性を奏することがで
きない。
【0012】適度な弾性率を有する透明樹脂層(B)に
は、ヤング率が、40乃至600kg/cm2 のものが
好ましく用いられ、さらに好ましくは、90乃至400
kg/cm2 のものが用いられる。ヤング率があまり小
なると、該透明樹脂層自身が柔軟すぎ、ペン摺動試験時
に損傷を受けて、結果として、透明導電層を保護するこ
とができない。また、ヤング率があまり大であると、樹
脂が硬すぎ、ペン摺動により発生する応力を緩和するこ
となく透明導電層に伝えるため、透明導電層を保護する
ことができない。
【0013】かかる透明樹脂としては、エチレン−酢酸
ビニル共重合体(EVA)やシリコーン樹脂、ポリウレ
タン樹脂、弗素樹脂、アクリル樹脂等が好ましく用いら
れ、特に耐熱性の観点からはシリコーン樹脂が好まし
く、また、例えば、三井・デュポンケミカル(株)のエ
バフレックスP−2807は、ヤング率が90kg/c
2 であり、本用途に好ましく用いられる。
【0014】透明樹脂層(B)の厚さは、ペン摺動特性
から、10〜100μmが好ましく、さらにより好まし
くは、20〜80μm、さらにさらにより好ましくは3
0〜70μmである。厚さがあまり薄いと、ペン摺動特
性を得ることができず、また、あまり厚すぎると透明導
電性フィルム全体が厚くなり好ましくない。
【0015】透明高分子フィルム(A)と(C)は、透
明樹脂(B)を介して貼り合わせることができる。例え
ば、(C)にエチレン−酢酸ビニル共重合体を用いてい
るときには、140℃程度の温度で熱ラミネーションを
実施し、A/B/Cのラミネートを形成することができ
る。貼り合わせるにあたっては、透明高分子フィルム
(C)にすでに、透明無機薄膜層(D)と透明等電層
(E)の、一方もしくは両方が形成されていても、形成
されていなくても良い。
【0016】貼り合わせる方法は、一般的に、熱ラミネ
ーションが用いられるが、3層の樹脂層、(A)、
(B)、(C)を接着剤で貼りあわせることも勿論可能
である。この場合、接着層を含めると実質的には、A/
接着層/B/接着層/Cという構成になることは容易に
理解されよう。接着層としては、エポキシ系、シリコン
系、アクリル系、ポリエステル系等の公知の接着剤を使
用することができ、接着層の厚みは、0.5〜30μ
m、より好ましくは、1〜20μm、さらにより好まし
くは、3〜10μmである。
【0017】なお、透明高分子フィルム(C)には、そ
の表面に予めスパッタリング処理、コロナ処理、火炎処
理、紫外線照射、電子線照射などのエッチング処理や、
ウレタン系の樹脂を塗る処理を施してこの上に形成され
る透明無機薄膜層と上記基体に対する密着性を向上させ
る処理を施してもよい。また、透明無機薄膜層を成膜す
る前に、必要に応じて溶剤洗浄や超音波洗浄などの防塵
処理を施してもよいのである。
【0018】透明無機薄膜層(D)としては、珪素酸化
物、チタン酸化物、アルミ酸化物等を用いることができ
るが、透明性と容易に形成できると言う点から、珪素酸
化物が好ましく用いられる。
【0019】透明無機薄膜層の製造方法としては、ゾル
ゲル法や酸化物の前駆体溶液を塗布加熱する湿式の方法
や、真空蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタリ
ング法、プラズマ化学気相蒸着法等、真空を用いる乾式
の方法が用いられる。
【0020】より具体的に示せば、高分子フィルム基材
に積層する珪素酸化物層は、ポリシラザンよう溶解した
溶液を塗布した基材を、大気中もしくは、酸化雰囲気中
で加熱処理することにより得ることもできる。本発明で
いうところのポリシラザンとは、(SiHa b )
n (a=1乃至3、b=0乃至1)の構造をもつ、ペル
ヒドロポリシラザンであり、主鎖の(−Si−N−)に
側鎖として水素のみが結合している。該ポリシラザン
は、ベンゼン、トルエン、キシレン、エーテル、TH
F、塩化メチレン、四塩化炭素等の溶媒に20重量%以
上溶解することができるので、これら溶媒にポリシラザ
ンを溶解した後に基材に塗布し、加熱することにより珪
素酸化物を得ることができる。この際、一般的には、無
機物の珪素酸化物を得るのに450℃以上の温度が必要
であるが、アミンや遷移金属等の触媒を添加することに
よりより低温で無機の珪素酸化物に極めて近い材料を得
ることできる。また、ポリシラザンの分子量(Mn)は
500から3000の範囲で使用することができるが、
塗布用には分子量が600〜900のものが好ましく用
いられる。
【0021】珪素酸化物薄膜の他の製造方法としては、
プラズマ化学気相蒸着法により、少なくとも有機珪素化
合物と酸素ガスを用いる方法が好ましく用いられる。し
かして、具体的に使用される有機珪素化合物としては、
アセトキシトリメチルシラン、アリルオキシトリメチル
シラン、アリルトリメチルシラン、ビストリメチルシリ
ルアジペート、ブトキシトリメチルシラン、ブチルトリ
メトキシシラン、シクロヘキシルオキシトリメチルシラ
ン、デカメチルシクロペンタシロキサン、デカメチルテ
トラシロキサン、ジアセトキシジメチルシラン、ジアセ
トキシメチルビニルシラン、ジエトキシジメチルシラ
ン、ジエトキシジフェニルシラン、ジエトキシ−3−グ
リシドキシプロピルメチルシラン、ジエトキシメチルオ
クタデシルシラン、ジエトキシメチルシラン、ジエトキ
シメチルフェニルシラン、ジエトキシメチルビニルシラ
ン、ジメトキシジメチルシラン、ジメトキシジフェニル
シラン、ジメトキシメチルフェニルシラン、ジメチルエ
トキシフェニルシラン、ジメチルエトキシシラン、ジメ
チルイソペンチルオキシビニルシラン、1,3−ジメチ
ル−1,1,3,3−テトラフェニルジシロキサン、ジ
フェニルエトキシメチルシラン、ジフェニルシラネジオ
ール、1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチ
ルジシラキサン、2−(3,4−エポキシシクロフェニ
ルエチル)トリメトキシシラン、エトキシジメチルビニ
ルシラン、エトキシトリメチルシラン、エチルトリアセ
トキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリ
メトキシシラン、エチルトリメチルシラン、3−グリシ
ドキシプロピルトリメトキシシラン、1,1,1,3,
5,5,5−ヘプタメチルトリシロキサン、ヘキサメチ
ルシクロトリシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、
ヘキシルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピル
トリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリ
メトキシシラン、メトキシトリメチルシラン、メチルト
リアセトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチ
ルトリメトキシシラン、メチルイソプロペノキシシラ
ン、メチルプロポキシシラン、オクタデシルトリエトキ
シエトキシシラン、オクタメチルシクロテトラシロキサ
ン、1,1,1,3,5,7,7,7−オクタメチルテ
トラシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、オクチ
ルトリエトキシシラン、1,3,5,7,9−ペンタメ
チルシクロペンタシロキサン、ペンタメチルジシロキサ
ン、1,1,3,5,5−ペンタフェニル−1,3,5
−トリメチルトリシロキサン、フェニルトリエトキシシ
ラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリメチ
ルシラン、プロポキシトリメチルシラン、プロピルトリ
エトキシシラン、テトラアセトキシシラン、テトラブト
キシシラン、テトラテエトキシシラン、テトライソプラ
ポキシシラン、テトラメトキシシラン、1,3,5,7
−テトラメトキシシクロテトラシロキサン、1,1,
3,3−テトラメチルジロキサン、テトラメチルシラ
ン、1,3,3,5−テトラメチルー1,1,5,5−
テトラフェニルトリシロキサン、1,3,5,7−テト
ラメチル−1,3,5,7−テトラビニルシクロテトラ
シロキサン、テトラプロポキシシラン、トリアセトキシ
ビニルシラン、トリエトキシビニルシラン、トリエチル
シラン、トリヘキシルシラン、トリメトキシシラン、ト
リメトキシビニルシラン、トリメチルシラノール、1,
3,5−トリメチル−1,3,5−トリビニルシクロト
リシロキサン、トリメチルビニルシラン、トリフェニル
シラノール、トリス(2−メトキシエトキシ)ビニルシ
ラン等を用いることができるが、これらに限定されるも
のではなく、アミノシラン、シラザン等も用いられる。
【0022】これら有機化合物の上記を反応容器に導入
するには、ヘリウムやアルゴン等の希ガスをキャリヤー
ガスとして用いることができる。また、有機珪素化合物
を加熱し蒸気圧を上げて、有機珪素ガスを直接導入する
こともできる。また、酸素ガスの代わりに、酸化作用が
あるガス、例えば、オゾン、水蒸気、笑気ガス等も使用
し得る。導入する有機珪素ガスと酸素ガスの流量の比
は、有機珪素化合物の種類にもよるが、酸素ガス/有機
珪素ガス=0.2〜1.2の流量比の範囲が好ましい。
ヘリウム等の希ガスをキャリヤーガスとして用いるとき
には、ヘリウム中の有機ガスの流量と酸素ガスの流量の
範囲が上記0.2〜1.2の範囲が好ましい。反応中の
圧力はプラズマ放電が起こる範囲であればよく、通常の
平行平板型高周波プラズマ装置で成膜を行う場合には、
0.05〜2.5Torrが好ましく、より好ましく
は、0.1〜1.5Torrである。圧力が低すぎると
プラズマ放電の維持が困難になり、圧力が高すぎると膜
の密着性が低下する傾向にある。しかしながら、より低
圧で放電させることが可能な電子サイクロトロン共鳴放
電やヘリコン波放電、マグネトロン放電を用いる場合に
おいては圧力範囲は上記の範囲に限定されるものではな
い。流量の計測と制御は、マスフローコントローラー、
浮き子式フローメター、バブルメーター等を使用するこ
とができる。圧力の測定には、ピラニ真空計、隔膜真空
計、スピニングローター真空計、熱伝導真空計、電離真
空計等が使用し得るが、隔膜真空計が好ましく用いられ
る。また、スパッタリング法により珪素層や珪素窒化物
層をあらかじめ形成しておき、これら層を、酸素プラズ
マやオゾンにより酸化することによっても、珪素の酸化
物を得ることができる。
【0023】なお、本発明でいうところの珪素酸化物と
は、酸素と珪素の原子比、すなわち、O/Siが、1.
6〜2.1の範囲にあるものであって、必ずしも化学量
論的な化合物である必要はなく、また、作製法に由来す
る、水素、窒素、炭素等が数〜数10原子%が含まれて
も良いことは当業者が理解するところであろう。
【0024】透明導電層(E)の成膜方法としては真空
蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法と
いった従来公知の物理的気相成長法のいずれも採用でき
る。スパッタリング法においては、ターゲットに酸化ス
ズを2〜50重量%含有した酸化インジウムを、スパッ
タガスにアルゴン等の不活性ガスを用いた直流(DC)
あるいは高周波(RF)マグネトロンスパッタ法が利用
できる。また、透明導電層の透明性および導電性を高く
するためにスパッタガス中に0.1〜20%の酸素ガス
を混合しても良い。また、ターゲットにスズ・インジウ
ム(スズ混合比:2〜50重量%)合金を、スパッタガ
スにアルゴン等の不活性ガスを、反応性ガスに酸素ガス
を用いた直流あるいは高周波反応性スパッタリング法も
好適に利用できる。この方法では透明導電層の透過率お
よび導電性が、反応性ガスである酸素ガスの分圧に非常
に敏感に影響するので、その制御を厳密に行う必要があ
る。上記したスパッタリング法はいずれも、透明性及び
導電性に優れた透明導電層が容易に得られるため、好適
に利用できる。
【0025】透明導電層の厚さは、タッチパネルに好適
に利用するためは、20〜100nm、より好ましくは
25〜50nmのものが好適に利用でき、かくして、表
面電気抵抗を200〜1000Ω/□にするように限定
される。表面電気抵抗が200Ω/□より小さくなって
しまい、該透明導電性フィルムを使用してタッチパネル
を構成した場合、消費電力が大きくなってしまうため好
ましくないが、これは必ずしも本発明における限定条件
ではないことを明記しておく。上記の方法により得られ
た透明導電性フィルムを、耐環境性を向上させるため
に、熱処理(アニーリング)を施してもよい。熱処理温
度は通常、100〜200℃程度である。
【0026】上記の方法により形成した無機薄膜層およ
び透明導電層の原子組成は、オージェ電子分光法(AE
S)、誘導結合プラズマ法(ICP)、ラザフォード後
方散乱法(RBS)等により測定できる。なお、薄膜層
の膜厚の測定には、触針粗さ計、繰り返し反射干渉計、
マイクロバランス、水晶振動子法等があるが、水晶振動
子法では成膜中に膜厚測定が可能なので、所望の膜厚を
得るのに適している。また、前もって成膜の条件を定め
ておき、試験基材上に成膜を行い、成膜時間と膜厚との
関係を調べた上で成膜時間により膜厚を制御する方法も
ある。例えば、M(秒)間成膜した時の薄膜の膜厚を触
針粗さ計で測定したところD(nm)であったとすると
d(nm)の膜厚を得るには、次式〔数1〕により、成
膜時間T(秒)を決定する。すなわち、
【0027】
【数1】T=d×(M/D) (秒) 例えば、スパッタ法において、チタンを1000秒間成
膜したところ、100nmのチタン膜を得たとすると、
同一の成膜条件で1nmのチタン膜を得るには、10秒
間成膜すれば良いことになる。水晶振動子法で膜厚を決
めるときには、膜厚がD(nm)の膜を製作した時の水
晶振動子の周波数の減少がF(Hz)であったとする
と、d(nm)成膜するには、次の式により求められた
周波数f(Hz)が減少した時をもって次式〔数2〕に
より膜厚を決定する。すなわち、
【0028】
【数2】f=d×(F/D) なお、ここで、Dの決定は、触針粗さ計や繰り返し反射
干渉計等を用いればよい。本発明ではかくのごとき方法
により膜厚を決定しており、本発明で言うところの薄膜
層が、常識的な連続膜もしくは連続層の状態になってい
る必要はなく、例えば、島状の構造を有していてもよい
ことは当業者の理解しているところでもあり、また、成
書においても指摘されているとおりである(例えば、
「薄膜の基本技術」金原粲著、東京大学出版、頁89か
ら94)。
【0029】
【実施例】つぎに、本発明を実施例により具体的に説明
する。 (実施例1)ポリエチレンテレフタレート(PET)フ
ィルム(厚さ25μm)の一方の面に、テトラメチルシ
ロキサンと酸素とを用いたプラズマ化学気相蒸着法によ
り、珪素酸化物を層を150nm厚に形成した。上記珪
素酸化物層の上にスズ・インジウム(重量比5:95)
合金ターゲットを、スパッタリングガスにアルゴンガ
ス、反応性ガスに酸素ガス(流量比、アルゴン:酸素=
10:6)を用いて、3mTorrの雰囲気の下で、D
Cマグネトロン反応性スパッタリング法により厚さ40
nmの透明導電層を形成し、珪素酸化物層と透明導電層
を形成したフィルムを得た。上記フィルムの透明導電層
を形成していない面と、厚さ75μmのPETフィルム
の1主面とを、厚さ70μmのエチレン−酢酸ビニル共
重合体(酢酸ビニル25重量%、ヤング率120kg/
cm2 )フィルムを透明樹脂層として間に介さしめて、
100℃で熱ラミネーションを行うことにより透明導電
性フィルムを得た。
【0030】(実施例2)実施例1と、エチレン−酢酸
ビニル共重合体フィルムを酢酸ビニルが14重量%のも
の(ヤング率250kg/cm2 )のものにし、高分子
フィルム(A)として100μmのPETフィルムを使
用した以外は、同一の手順で透明導電性フィルムを得
た。
【0031】(実施例3)実施例1と、エチレン−酢酸
ビニル共重合体フィルムを酢酸ビニルが5重量%のもの
(ヤング率500kg/cm2 )にした以外は同一の手
順で透明導電性フィルムを得た。
【0032】(実施例4)実施例1と、エチレン−酢酸
ビニル共重合体フィルムを酢酸ビニルが40重量%のも
の(ヤング率50kg/cm2 )にした以外は同一の手
順で透明導電性フィルムを得た。
【0033】(実施例5)実施例1と、200nm厚の
珪素酸化物層をポリシラザンにアミン系の触媒を添加し
て150℃で4時間熱処理することにより得たこと以外
は同様の手順で透明導電性フィルムを得た。
【0034】(実施例6)実施例1と、エチレン−酢酸
ビニル共重合体の代わりに厚さ50μmのシリコーンゴ
ム層(室温硬化型:ヤング率100kg/cm2 )を形
成した以外は同一の手順で透明導電性フィルムを得た。
【0035】(比較例1)厚さ180μmのPETフィ
ルムの1つの主面に、実施例1と同様の手順で、珪素酸
化物層と透明導電層を形成し、透明導電性フィルムを得
た。
【0036】(比較例2)透明樹脂層を、ヤング率が3
0kg/cm2 のエチレン−酢酸ビニル共重合体(酢酸
ビニル60重量%)の層で形成した以外は、実施例1と
同様の手順で透明導電性フィルムを得た。
【0037】(比較例3)透明樹脂を、ヤング率が70
0kg/cm2 のエチレンを用いた以外は、実施例1と
同様の手順で透明導電性フィルムを得た。 <ペン摺動試験>ペン摺動試験の断面図の概略を〔図
2〕に示す。透明導電層を設けたガラス基板上に、高さ
50μmのアクリレート系樹脂からなるスペーサーをい
れ、透明導電層が相対するように、透明導電性フィルム
をガラス基板上に設置する。該透明導電性フィルムの透
明導電層が形成されていない面から、先端の曲率が0.
8mmSRのポリアセタール樹脂のペンに荷重250g
を印加し、3cmの直線摺動を、10万往復行う。ペン
摺動後、フィルムの透明導電層の面抵抗の直線性を、摺
動方向と垂直に測定し、直線からのずれを百分率で評価
する。摺動方向と面抵抗の直線性の測定方向を〔図3〕
に示す。実施例および比較例において、作製した透明導
電性フィルムを、上記のペン摺動試験により評価した。
その結果を〔表1〕に示す。
【0038】
【表1】
【0039】
【発明の効果】〔表1〕から明らかなごとく、本発明の
実施例は、いずれも摺動試験後の面内の抵抗の直線性が
非常に優れているのに対して、比較例の場合は、きわめ
て劣る直線性しか与えない。
【0040】すなわち、本発明の透明導電性フィルム
は、ペン摺動特性が非常に優れたものであり、タッチパ
ネル電極等に好適に使用できるものであることが判る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の透明導電性フィルムの断面図の一例
【図2】試験方法の断面図を示す図
【図3】透明導電性フィルムの摺動位置と直線性を測定
する位置を示す図
【符号の説明】
10 透明高分子フィルム(A) 20 透明樹脂層(B) 30 透明高分子フィルム(C) 40 透明無機薄膜層(D) 50 透明導電層(E) 70 本発明になる透明導電性フィルム 80 透明導電層を有するガラス基板 90 ペン 100 スペーサー 200 ペン摺動試験でペンを動かす位置 300 ペン摺動試験後、面内抵抗を測定する位置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 菊地 一明 愛知県名古屋市南区丹後通2丁目1番地 三井東圧化学株式会社内 (72)発明者 水野 光彦 神奈川県横浜市栄区笠間町1190番地 三 井東圧化学株式会社内 審査官 中田 とし子 (56)参考文献 特開 昭61−79645(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B32B 1/00 - 35/00

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも、厚さが20〜150μmの透明高
    分子フィルム(A)と、ヤング率が40乃至600kg/c
    2であり、厚さが10〜100μmの透明樹脂層(B)と、
    厚さが10〜50μmの透明高分子フィルム(C)と、透明
    無機薄膜層(D)と、透明導電層(E)とが、ABCD
    Eという構成を備えてなるタッチパネル用透明導電性フ
    ィルム。
  2. 【請求項2】 透明無機薄膜層(D)が、珪素酸化物で
    ある請求項1に記載のタッチパネル用透明導電性フィル
    ム。
  3. 【請求項3】 透明導電層(E)が、酸化インジウムを
    主体とする酸化物である請求項1に記載のタッチパネル
    用透明導電性フィルム。
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