JPH1058585A - 積層体 - Google Patents

積層体

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JPH1058585A
JPH1058585A JP8215726A JP21572696A JPH1058585A JP H1058585 A JPH1058585 A JP H1058585A JP 8215726 A JP8215726 A JP 8215726A JP 21572696 A JP21572696 A JP 21572696A JP H1058585 A JPH1058585 A JP H1058585A
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JP
Japan
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layer
gas barrier
carbide
thin film
silicon
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Application number
JP8215726A
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English (en)
Inventor
Fumiharu Yamazaki
文晴 山▲崎▼
Masami Gotou
優実 後藤
Shin Fukuda
福田  伸
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Mitsui Petrochemical Industries Ltd
Original Assignee
Mitsui Petrochemical Industries Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】 少なくとも、高分子成形体(A)10、
酸化珪素、または窒化珪素、または酸化珪素と窒化珪素
との混合物からなるガスバリヤ層(B)20、炭化物ま
たは遷移金属窒化物からなる薄膜層(C)30をABC
なる順序で形成した積層体。 【効果】 ガス遮断性に優れ、LCDの液晶を封止する
ためのシール剤との密着性にも優れた積層体が得られ、
LCDの透明電極用基体として好適に使用できる積層体
を提供できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は積層体に関し、より
詳しくは、酸素ガスや水蒸気ガスを遮断する機能を有す
るものであり、さらに液晶のシール剤との間に強い密着
力が得られる、液晶ディスプレイの基材として好適に利
用できる積層体に関する。
【0002】
【従来の技術】液晶ディスプレイ(LCD:Liqui
d Crystal Display)は平面型の表示
デバイスとして広く利用されている。平面型の形状は、
代表的な表示体であるブラウン管では実現できない形状
であり、特に省スペースが要求される用途、例えばラッ
プトップ型パソコン、時計、自動車表示機器、カーナビ
ゲーション、壁掛けテレビ等の表示体として利用されて
いる。
【0003】LCDは基本的には、二枚の透明電極間
に、配向処理を施した液晶を注入しシール剤で四方を封
止した構造をとっており、透明電極間に印加する電界に
よって液晶の配向を変化させ、偏光板や偏光フィルムに
よって偏光された光の透過を制御する表示体である。
【0004】LCDの基本構造の中に用いられている透
明電極の材料としては、透明度と導電率が高く、パター
ンニング配線が酸によるエッチングで簡単に行えること
から、インジウムとスズとの酸化物(ITO:Indi
um Tin Oxide)が用いられている。このI
TO膜を形成するための基材としてはガラス板を用いる
のが一般的であり、一部高分子成形体も使用されてい
る。基材として高分子成形体を使用することはガラス板
を使用するのに比べて、軽い、薄い、割れない、屈曲可
能といった特長を備えており、携帯用情報機器(PD
A)の表示体として用いる場合に適している。LCDの
基本構造を[図1]に掲げた。図中の01は基材、02
は透明電極、03は液晶、04はシール剤、05は配向
膜、06は偏光板を表す。
【0005】LCDは前述したように二枚の透明電極間
に液晶を注入して封止しているが、透明電極を形成する
基材を通して空気中の酸素ガスや水蒸気ガスが液晶中に
侵入しないようにしなければならない。気体が液晶中に
侵入すると、それが気泡となって表示体の品質を落とす
ことになる。基材にガラス板を用いる場合には、ガラス
板自体にガスを遮断する性質があるため、ガスの侵入に
よる液晶中での気泡の発生は起こらなかった。
【0006】一方、高分子成形体を基材として使用する
場合には、ガラス板のようなガス遮断性を有していない
ために、何らかのガスバリヤ性を付与する処理が必要で
ある。その中には、高分子成形体の表面に薄いガラス質
(酸化珪素)の層を形成したり、ガス遮断性を有する有
機物を塗布するといった方法が知られている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】高分子成形体をLCD
の透明電極の基材として用いるために、高分子成形体の
表面上に酸化珪素層や窒化珪素層を形成すればガス遮断
性が得られ、しかも有機物をガスバリヤ層として使用す
るよりも加湿条件下でガス遮断性能を維持するためLC
Dの透明電極用基材として利用できるが、以下に掲げる
ような問題点があることを本発明者らは見いだした。 (1)シール剤との密着性が悪い。 (2)ITO膜をエッチングする際のアルカリ処理にお
いてガスバリヤ層にひび割れがや剥離が生じ、ガス遮断
性能が著しく悪くなる。
【0008】本発明は上記事情を鑑み、高分子成形体を
基材とし、酸化珪素、または窒化珪素、またはそれらの
混合物をガスバリヤ層としたLCDの透明電極用基材に
おいて、基材とシール剤との密着性を改善することを目
的としている。さらにはアルカリ処理においてガス遮断
性能の悪化を生じない透明電極用基材をも得ることを目
的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の問
題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、酸化珪素、
または窒化珪素、またはそれらの混合物からなるガスバ
リヤ層の、シール剤と接することになる表面に炭化物、
または遷移金属窒化物からなる薄膜層を形成させること
で、シール剤との密着性を強くできることを見いだし本
発明に到達した。
【0010】すなわち本発明は、(1)少なくとも、高
分子成形体(A)、酸化珪素、または窒化珪素、または
酸化珪素と窒化珪素との混合物からなるガスバリヤ層
(B)、炭化物または遷移金属窒化物からなる薄膜層
(C)をABCなる順序で形成した積層体、(2)炭化
物が炭化珪素、または炭化チタンを主成分とするもので
あることを特徴とする(1)記載の積層体、(3)遷移
金属窒化物が窒化チタンを主成分とするものであること
を特徴とする(1)記載の積層体、(4)薄膜層(C)
の上に、更に透明導電層(D)を積層してなる(1)及
至(3)のいずれかに記載の積層体、(5)透明導電層
(D)が、インジウムとスズとの酸化物からなることを
特徴とする(4)記載の積層体、(6)高分子成形体
(A)とガスバリヤ層(B)との間に、少なくともニッ
ケルを含む酸化物を中間層として形成することを特徴と
する(1)及至(5)のいずれかに記載の積層体、
(7)少なくともニッケルを含む酸化物層が、少なくと
もニッケルを含む金属層を形成した後、酸素雰囲気下で
酸化物に転化せしめた層であることを特徴とする(6)
記載の積層体、(8)高分子成形体(A)が透明なポリ
カーボネートフィルム、ポリエーテルスルホンフィルム
およびポリアリレートフィルムから選択された一種であ
ることを特徴とする(1)及至(7)のいずれかに記載
の積層体、(9)高分子成形体(A)が、有機ガスバリ
ヤ層がコーティングされたコーティング加工フィルムで
あることを特徴とする(1)及至(8)のいずれかに記
載の積層体、である。
【0011】
【発明の実施の形態】以下に、本発明を詳細に説明す
る。まず本発明を添付図面でもって説明する。[図2]
は本発明の積層体の一例の断面構造を示す図である。図
中の、10は高分子成形体(A)、20はガスバリヤ層
(B)、30は炭化物または遷移金属窒化物からなる薄
膜層(C)である。炭化物または遷移金属窒化物からな
る薄膜層は、LCDを製造した時に、シール剤との密着
力を強くするために設ける層であるので、該層は少なく
ともシール剤と接する部分に形成されていればよく、必
ずしも全面に形成する必要はない。[図2]には全面に
薄膜層を形成した場合を掲げた。
【0012】本発明では薄膜層の上にさらに透明導電層
が形成されていてもよく、該層が形成されることで透明
導電性を有する積層体ができる。[図3]はその一例を
示す断面図である。図中の10は高分子成形体、20は
ガスバリヤ層、30は炭化物または遷移金属窒化物から
なる薄膜層、40は透明導電層である。[図3]ではシ
ール剤との密着力向上のための薄膜層が形成された上に
透明導電層を形成しているが、該薄膜層は少なくとも、
シール剤との接触部分に施されていればよいものである
ので、透明導電層は該薄膜層が形成されていない部分に
形成しても何等問題はない。
【0013】なお、本発明においては、アルカリ処理に
おけるガスバリヤ層のひび割れや剥離を防止するため
に、高分子成形体とガスバリヤ層との間にニッケルを含
む酸化物層を挿入してもよく、その一例を示す断面図を
[図4]に示す。[図4]において、10は高分子成形
体、15はニッケル酸化物層、20はガスバリヤ層、3
0は炭化物または遷移金属窒化物からなる薄膜層であ
る。
【0014】本発明を実施するにあたってはまず基材と
なる高分子成形体を準備する。本発明で使用できる高分
子成形体の材料を例示すれば、ポリカーボネート(P
C)、ポリアリレート(PAR)、ポリエーテルスルホ
ン(PES)、ノロボルネン系樹脂成形体(商標名:A
RTON)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、
ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリプロピ
レン(PP)、ポリイミドなどが挙げられる。これら高
分子成形体はガスバリヤ層を形成する面がある程度平滑
で、可視光に対する透明性を有していればよいが、LC
Dの透明電極として使用するので、偏光板を通して偏光
された光の偏光を維持するために複屈折率は小さいこと
が望まれ、その点を考慮に入れれば、ポリカーボネー
ト、ポリアリレート、ポリエーテルスルホン、ARTO
Nが好適に使用できる。
【0015】高分子成形体の厚さは特に限定されず、可
とう性を有するフィルム状であっても、板状にカットさ
れたシートでもよい。フィルムを使用すれば可とう性を
有するため、屈曲可能なLCDが得られるのと、ロール
・ツ・ロールでの加工が可能となる。また板状のシート
を用いた場合には形状を保持しうるためこれも好ましく
使用できる。高分子成形体の厚さを具体的に挙げれば、
10〜3000μm程度である。材料によって異なる
が、通常250μmより薄い場合に可とう性を有するフ
ィルム、厚い場合に形状を保持するシートと分類される
が、もちろんこの境界は厳密なものではない。フィルム
状の高分子成形体を用いる場合、その厚さは通常10〜
250μmのものがより好ましく用いられる。フィルム
の厚さが10μm未満では、基材としての機械的強度に
不足し、250μmを超えると可撓性が不足するためフ
ィルムをロール状に巻きとることが困難になる。一方、
シート状の成形体を使用した場合には、厚さが3000
μmを超えると、高分子成形体をLCDの透明電極用基
材に使用することの利点である薄型化の効果が損なわれ
る。
【0016】本発明に使用する高分子成形体には、ガス
遮断性能をより高めるために有機ガスバリヤ層がコーテ
ィングされていてもよい。ここでいうガスとは主に大気
中に存在する、酸素、窒素、水蒸気を指すが、コーティ
ングする有機ガスバリヤ層の材料は、これらすべてを遮
断するものであっても、いずれか一種類のガスを遮断す
るものであってもよい。ここで用いることのできる有機
ガスバリヤ層の材料としては、透明で高分子成形体との
密着力が得られるものであればよく、具体的にはエバー
ルやポバールが挙げられる。該層の厚さに特に制限はな
いが、2μm〜40μm程度が好ましい。薄すぎるとピ
ンホール等ができやすくガス遮断性能が得られない。逆
に厚すぎると剥離が生じやすくなる。
【0017】本発明では高分子成形体の少なくとも一方
の面上に酸化珪素、または窒化珪素、またはそれらの混
合物からなるガスバリヤ層を形成する。その形成方法と
しては物理蒸着法、湿式法、化学気相成長法等の従来公
知の手法を採用することができる。
【0018】物理蒸着法を具体的に挙げれば、抵抗加熱
蒸着法、電子ビーム蒸着法、イオンプレーティング法、
スパッタリング法等がある。抵抗加熱蒸着法、電子ビー
ム蒸着法では、酸化珪素、または窒化珪素、またはそれ
らの混合物をそれぞれ抵抗加熱、電子ビーム加熱の手法
で蒸発させ、対向して配置させた高分子成形体の表面上
に析出させる手法である。また、珪素を酸化性ガス、あ
るいは窒化性ガスの雰囲気下で加熱蒸発させる反応性蒸
着法や、酸化性ガスや窒化性ガスのプラズマ中で蒸着す
るイオンプレーティング法も使用できる。また、スパッ
タリング法においては、ターゲットに酸化珪素を用い、
スパッタリングガスにアルゴン、ネオン等の不活性ガス
を用いた高周波スパッタリング法が利用できる。あるい
はターゲットに珪素を用い、スパッタガスに不活性ガス
と酸化性ガスあるいは窒化性ガスを混合したガスを使用
した直流スパッタリング法、又は高周波スパッタリング
法も使用することができる。何れの方法によってもガス
遮断性能に優れたガスバリヤ層を得ることができる。こ
こで使用する酸化性ガスを具体的に挙げれば、酸素(O
2 )、オゾン(O3 )、水蒸気(H2 O)が、窒化性ガ
スを具体的に挙げれば、窒素(N2 )、アンモニア(N
3 )等がある。
【0019】湿式法は、例えばゾル−ゲル法が挙げられ
る。また、湿式法では、ポリシラザンを溶融した溶液を
塗布し、それを大気中で又は水蒸気雰囲気中で加熱して
酸化珪素を形成する方法も挙げられる。ここでいうポリ
シラザンとは、(SiNa b n (a=1〜3、b=
0〜1)の構造をもつ、ペルヒドロポリシラザンであ
り、主鎖の(−Si−N−)に側鎖として水素のみが結
合している。該ポリシラザンは、ベンゼン、トルエン、
キシレン、エーテル、THF、塩化メチレン、四塩化炭
素等の溶媒に20重量%以上溶解することができるの
で、これら溶媒にポリシラザンを溶解した後に高分子成
形体に塗布し、加熱処理を施すことにより酸化珪素を得
ることができる。一般に、無機物の酸化珪素を得るには
450℃以上の加熱処理が必要なのであるが、アミンや
遷移金属の触媒を用いることにより低温で、例えば、8
0℃〜150℃の加熱処理によって無機物の酸化珪素が
得られる。この際の加熱処理時間は、概ね1〜3時間程
度である。また、塗布に用いるポリシラザンの分子量は
600〜900のものが好ましく用いられる。
【0020】化学気相成長法は、原料に有機珪素化合物
を用い、それにエネルギーを投入することによって分解
し、無機物である酸化珪素を析出させる手法である。エ
ネルギーを投入する手法は、熱、光、高周波プラズマ等
があり適宜選択すればよい。化学気相成長法では、有機
珪素化合物の蒸気を原料としているため、高分子成形体
の表面の凹凸に関係なく酸化珪素が形成されるため、フ
ィルム成形体の表面平滑性があまり高くない場合におい
ても表面被覆性が高く、ガスバリヤ層の成膜手法として
は好適に利用できる。なかでも減圧プラズマ化学気相成
長法は、高分子成形体にダメージを与えることなくガス
バリヤ性に優れた酸化珪素を成形することができる。
【0021】減圧プラズマ化学気相蒸着法により酸化珪
素、または窒化珪素を形成する場合には、少なくとも有
機珪素化合物と酸化性ガスあるいは窒化性ガスを用いて
作成されることが好ましい。具体的に使用される有機珪
素化合物としては、アセトキシトリメチルシラン、アリ
ルオキシトリメチルシラン、アリルトリメチルシラン、
ビストリメチルシリルアジペート、ブトキシトリメチル
シラン、ブチルトリメトキシシラン、シクロヘキシルオ
キシトリメチルシラン、デカメチルシクロペンタシロキ
サン、デカメチルテトラシロキサン、ジアセトキシジメ
チルシラン、ジアセトキシメチルビニルシラン、ジエト
キシジメチルシラン、ジエトキシジフェニルシラン、ジ
エトキシ−3−グリシドキシプロピルメチルシラン、ジ
エトキシメチルオクタデシルシラン、ジエトキシメチル
シラン、ジエトキシメチルフェニルシラン、ジエトキシ
メチルビニルシラン、ジメトキシジメチルシラン、ジメ
トキシジフェニルシラン、ジメトキシメチルフェニルシ
ラン、ジメチルエトキシフェニルシラン、ジメチルエト
キシシラン、ジメチルイソペンチルオキシビニルシラ
ン、1,3−ジメチル−1,1,3,3−テトラフェニ
ルジシロキサン、ジフェニルエトキシメチルシラン、ジ
フェニルシラネジオール、1,3−ジビニル−1,1,
3,3−テトラメチルジシラキサン、2−(3,4−エ
ポキシシクロフェニルエチル)トリメトキシシラン、エ
トキシジメチルビニルシラン、エトキシトリメチルシラ
ン、エチルトリアセトキシシラン、エチルトリエトキシ
シラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリメチル
シラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラ
ン、1,1,1,3,5,5,5−ヘプタメチルトリシ
ロキサン、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、ヘキサ
メチルジシロキサン、ヘキシルトリメトキシシラン、3
−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メタク
リロキシプロピルトリメトキシシラン、メトキシトリメ
チルシラン、メチルトリアセトキシシラン、メチルトリ
エトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルイ
ソプロペノキシシラン、メチルプロポキシシラン、オク
タデシルトリエトキシエトキシシラン、オクタメチルシ
クロテトラシロキサン、1,1,1,3,5,7,7,
7−オクタメチルテトラシロキサン、オクタメチルトリ
シロキサン、オクチルトリエトキシシラン、1,3,
5,7,9−ペンタメチルシクロペンタシロキサン、ペ
ンタメチルジシロキサン、1,1,3,5,5−ペンタ
フェニル−1,3,5−トリメチルトリシロキサン、フ
ェニルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラ
ン、フェニルトリメチルシラン、プロポキシトリメチル
シラン、プロピルトリエトキシシラン、テトラアセトキ
シシラン、テトラブトキシシラン、テトラテエトキシシ
ラン、テトライソプラポキシシラン、テトラメトキシシ
ラン、1,3,5,7−テトラメトキシシクロテトラシ
ロキサン、1,1,3,3−テトラメチルジロキサン、
テトラメチルシラン、1,3,3,5−テトラメチルー
1,1,5,5−テトラフェニルトリシロキサン、1,
3,5,7−テトラメチル−1,3,5,7−テトラビ
ニルシクロテトラシロキサン、テトラプロポキシシラ
ン、トリアセトキシビニルシラン、トリエトキシビニル
シラン、トリエチルシラン、トリヘキシルシラン、トリ
メトキシシラン、トリメトキシビニルシラン、トリメチ
ルシラノール、1,3,5−トリメチル−1,3,5−
トリビニルシクロトリシロキサン、トリメチルビニルシ
ラン、トリフェニルシラノール、トリス(2−メトキシ
エトキシ)ビニルシラン等を用いることができるが、こ
れらに限定されるものではなく、アミノシラン、シラザ
ン等も用いられる。
【0022】これら有機化合物の上記を反応容器に導入
するには、ヘリウムやアルゴン等の希ガスをキャリヤー
ガスとして用いることができる。また、有機珪素化合物
を加熱し蒸気圧を上げて、有機珪素ガスを直接導入する
こともできる。例えば、ガスバリヤ層として酸化珪素を
採用し、導入する酸化性ガスに酸素を用いる場合におい
ては、有機珪素ガスと酸素ガスの流量の比は有機珪素化
合物の種類にもよるが、酸素ガス/有機珪素ガス=0.
2〜1.2の流量比の範囲が好ましい。ヘリウム等の希
ガスをキャリヤーガスとして用いるときには、ヘリウム
中の有機ガスの流量と酸素ガスの流量の範囲が上記0.
2〜1.2の範囲が好ましい。酸素流量が少なすぎる
と、生成される膜の光線透過率ならびにガスバリヤ性が
低下し、酸素流量が多すぎると膜の密着性ならびにガス
バリヤー性が低下する。また、反応中の圧力はプラズマ
放電が起こる範囲であればよく、通常の平行平板型高周
波プラズマ装置で成膜を行う場合には、0.05〜2.
5Torrが好ましく、より好ましくは、0.1〜1.
5Torrである。圧力が低すぎるとプラズマ放電の維
持が困難になり、圧力が高すぎると膜の密着性が低下す
る傾向にある。しかしながら、より低圧で放電させるこ
とが可能な電子サイクロトロン共鳴放電やヘリコン波放
電、マグネトロン放電を用いる場合においては圧力範囲
は上記の範囲に限定されるものではない。流量の計測と
制御は、マスフローコントローラー、浮き子式フローメ
ター、バブルメーター等を使用することができる。圧力
の測定には、ピラニ真空計、隔膜真空計、スピニングロ
ーター真空計、熱伝導真空計、電離真空計等が使用し得
るが、隔膜真空計が好ましく用いられる。
【0023】本発明におけるガスバリヤ層の厚みについ
ては特に限定するものではないが、透明性を損ねない範
囲で、かつガスバリヤー性を保ち、高分子成形体との密
着性を確保できる厚さであれば良い。具体的には、5n
m〜500nmがよく、さらには5nm〜100nmが
より好ましい。酸化珪素薄膜の厚さが薄すぎると均一で
連続した膜を形成することができないため十分なガスバ
リヤ性能が得られず、逆に厚すぎると高分子成形体との
密着力が低下したり、ガスバリヤ層にひび割れが生じ易
くなる。
【0024】膜厚の測定には、触針粗さ計、繰り返し反
射干渉計、マイクロバランス、水晶振動子法等がある
が、水晶振動子法では成膜中の膜厚測定が可能なので、
膜厚をリアルタイムでモニターしながら、所望の膜厚を
得るのに適している。また、前もって成膜の条件を定め
ておき、試験基材上に成膜を行い、成膜時間と膜厚の関
係を調べた上で、成膜時間により膜厚を制御する方法も
採用できる。
【0025】また、上記ガスバリヤ層には、鉄、ニッケ
ル、クロム、チタン、マグネシウム、アルミニウム、イ
ンジュウム、亜鉛、錫、アンチモン、タングステン、モ
リブデン、銅等が微量含まれても良い。また、膜の可撓
性を改善する目的で、炭素や弗素を適宜含有させても良
い。
【0026】酸化珪素、または酸化珪素、またはそれら
の混合物からなるガスバリヤ層の組成は、ガス遮断性能
が得られ、透明性が保たれる範囲内であれば特に制限さ
れない。酸化珪素は一般的にSiOxと記述できるが、
xの範囲は通常1.0〜2.5程度である。また窒化珪
素は一般的にSiNxと記述できるが、xの範囲は通常
0.8〜2.0程度である。またこれらの混合物でもよ
く、この場合はSiOxNyと記述される。xの範囲は
通常0.1〜2.5程度、yの範囲は通常0.1〜2.
0程度である。
【0027】本発明では、ガスバリヤ層の上に更に炭化
物または遷移金属窒化物からなる薄膜層を形成する。該
薄膜層を形成することによって、ガスバリヤ層の表面に
直接シール剤を形成するよりも密着力を強くすることが
できる。従ってこの薄膜層は、シール剤との密着力向上
のための薄膜層であるので、少なくともシール剤と接触
することになる部分にさえ形成されていればよい。もち
ろん、表示部分の透過率が著しく低下しない範囲内であ
れば、全面に薄膜層を形成しても構わない。薄膜層を形
成させる部分をシール剤が接触する部分に限るのであれ
ば、その箇所のみが開口しているマスクを装着させて、
薄膜層を形成させればよい。
【0028】マスクを装着させるためには、そのための
マスクを製造ないし用意しなければならないことと、ガ
スバリヤ層を形成した後に該マスクを装着する工程が加
わることになる。そのため、表示体となる部分の透明性
がプラズマ処理によって損なわれなければ、全面にわた
って形成させる方が好ましい。
【0029】炭化物の具体的な材料としては、ガスバリ
ヤ層との密着性に優れ、さらに好ましくは透明性にも優
れたものであることが望ましく、例えば炭化珪素や炭化
チタンが好適に使用できる。
【0030】遷移金属窒化物の具体的な材料としては、
ガスバリヤ層との密着性に優れ、さらに好ましくは透過
性にも優れたものであることが望ましく、例えば窒化チ
タンが好適に使用できる。
【0031】該層の厚さは1nm〜30nm程度が好ま
しい。薄すぎると該層が均一な連続膜とならず、局部的
に付着するのみのものとなってしまい、逆に厚すぎる
と、透明性が損なわれたり屈曲させたときにひび割れが
生じ、剥離する可能性が高くなる。
【0032】炭化物または遷移金属窒化物からなる薄膜
層の形成方法としては物理蒸着法、湿式法、化学気相成
長法等の従来公知の手法を採用することができるが、中
でも物理蒸着法はガスバリヤ層に変質をきたす恐れが少
ないので好適に用いられる。
【0033】物理蒸着法を具体的に挙げれば、抵抗加熱
蒸着法、電子ビーム蒸着法、イオンプレーティング法、
スパッタリング法等がある。抵抗加熱蒸着法、電子ビー
ム蒸着法では、所望の材料を抵抗加熱、電子ビーム加熱
の手法で蒸発させ、対向して配置させた基体の表面上に
析出させる手法である。また、スパッタリング法におい
ては、ターゲットに所望の材料を用い、スパッタリング
ガスにアルゴン、ネオン等の不活性ガスを用いた直流、
あるいは高周波スパッタリング法が利用できる。一般的
に炭化物は導電性を有するので、炭化物自体を放電の電
極として利用する直流スパッタリング法においても容易
に薄膜層を形成することが可能である。
【0034】一方、遷移金属窒化物は一般的に絶縁物で
あるためスパッタリング法で遷移金属窒化物薄膜を形成
するには、高周波スパッタリング法を用いるか、純金属
をターゲットにした窒化ガス中における反応性直流スパ
ッタリング法を利用しなければならない。反応性直流ス
パッタリング法を利用しても金属は完全には窒化され
ず、透明な遷移金属窒化物薄膜が形成し難いため、スパ
ッタリング条件を厳密に制御することが好ましい。
【0035】ガスバリヤ層、炭化物薄膜層、あるいは遷
移金属窒化物薄膜層の組成は、X線光電子分光法やX線
マイクロ分析法、オージェ電子分光法、ラザフォード後
方散乱法等を用いて分析することができる。例えば、ラ
ザフォード後方散乱法を用いる場合には、供試体フィル
ムを真空容器内に設置、供試体表面から、1〜4MeV
に加速したα粒子を照射し、後方散乱されてくるイオン
のエネルギーを分析することにより膜の深さ方向の組成
やその組成の均一性を調査することができる。表面層の
帯電を防ぐために適宜表面に金等を蒸着しても良い。ま
た、オージェ電子分光法で分析を行う場合には超高真空
の容器の中に供試体を設置し、供試体表面に1〜10k
eVに加速した電子線を照射し、その時に放出されるオ
ージェ電子を検出することにより組成を調べることがで
きる。この場合、供試体の電気抵抗が高い場合があるの
で帯電の影響が出ないように、1次電子線の電流を10
pA以下に抑え更にエネルギーも2keV以下にするこ
とが好ましい。電子線の代わりにX線を用いた光電子分
光法は、オージェ電子分光よりも帯電の影響が出にくい
点が有利である。
【0036】LCDの透明電極とするためには以上のご
とくして得られた積層体の薄膜層の上にさらに透明導電
層を形成する。該透明導電層は、LCDの表示部分に必
要な層(透明電極を形成する層)なので該層が形成され
るのは、金属を含むプラズマ処理を施された表面上、ま
たは、なされていない表面上、いずれでもかまわない。
ただし、ガスバリヤ層の形成、プラズマ処理、透明導電
膜の形成まで一貫して行えば、効率的に積層体が得られ
るため、プラズマ処理がなされた表面上に形成するのが
好ましい。透明導電膜は酸によって溶解するので、湿式
エッチング法によって所望の配線パターンに加工するこ
とは容易に実施できる。
【0037】透明導電層の材料としては、インジウムと
スズとの酸化物が、透明性及び導電性が高いこと、湿式
エッチングが容易であることから好ましい。インジウム
とスズとの酸化物の組成は、一般的インジウムに対する
スズの組成が3重量%〜20重量%程度のものが導電性
が高くなるため好ましく使用できる。該層の厚さは所望
される抵抗値により異なるが、15nm〜400nm程
度が好ましい。薄すぎると所望される抵抗値が得られ
ず、厚すぎると透明性が損なわれる。
【0038】透明導電層の形成方法としては物理蒸着
法、湿式法、化学気相成長法等の従来公知の手法を採用
することができるが、中でも物理蒸着法は導電性の高い
透明導電層が得られるため好適に用いられる。
【0039】物理蒸着法を具体的に挙げれば、抵抗加熱
蒸着法、電子ビーム蒸着法、イオンプレーティング法、
スパッタリング法等がある。抵抗加熱蒸着法、電子ビー
ム蒸着法では、所望の酸化物を抵抗加熱、電子ビーム加
熱の手法で蒸発させ、対向して配置させた基体の表面上
に析出させる手法である。また、導電性及び可視光透過
性向上させるために、酸素プラズマ中で蒸着を行うイオ
ンプレーティング法も好適に使用できる。スパッタリン
グ法においては、ターゲットに所望の酸化物を用い、ス
パッタリングガスにアルゴン、ネオン等の不活性ガスを
用いた直流、あるいは高周波スパッタリング法が利用で
きる。導電性及び透明性を向上させる目的でスパッタリ
ングガス中に酸素、水蒸気等の酸化性ガスを導入しても
よい。また、ターゲットにインジウム・スズ合金を使用
し、スパッタリングガスにアルゴン、ネオン等の不活性
ガスと、酸素、水蒸気等の酸化性ガスを混合したガスを
用いた、反応性スパッタリング法も好適に利用できる。
【0040】LCDの場合、透明導電層は所望の画像パ
ターンに適合するようにエッチングしてパターンを形成
する。その加工工程は、(1)レジスト塗布、(2)レ
ジストの乾燥、(3)露光、(4)、透明導電層のエッ
チング、(5)洗浄、(6)レジスト除去、(7)洗
浄、である。しかして、(4)の透明導電層のエッチン
グには塩酸等の酸溶液が、また(6)のレジスト除去に
は水酸化カリウム等のアルカリ溶液が用いられる場合が
多い。高分子成形体に酸化珪素、または窒化珪素からな
るガスバリヤ層を形成した積層体をアルカリ溶液に浸漬
すると、このガスバリヤ層が剥離したり、ひび割れが生
じたりすることが多いこと我々は見いだした。かかるガ
スバリヤ層の変質は、ガス遮断性能の低下につながりL
CDの地名的な欠陥である気泡が液晶中に発生してしま
うことを見いだした。
【0041】アルカリ浸漬によるガスバリヤ層の剥離や
ひび割れを防止する目的で、高分子成形体とガスバリヤ
層との間に、少なくともニッケルを含む酸化物を中間層
として設けることができる。アルカリ浸漬工程がない場
合には、該中間層は特に必要ない。ニッケルを含む酸化
物層は、ニッケルを主体とする合金をスパッタ法等真空
成膜法を用いて成膜したものであることが好ましい。ニ
ッケルを主体とする合金とは、ニッケル含有量が構成元
素中最も多い合金を意味する。ターゲットに用いる材料
としては、純ニッケルの他に、Nickel200、N
ickel201、Nickel210、Durani
ckel301(”Z”Nickel合金)、モネル・
メタル、Monel1400(モネル)、Rモネル、K
モネル(Monel K−500)、Monel41
1、Hモネル、Sモネル(Monel505)、ニッケ
ル系合金であるニクロムV(クロメルA)、ニクロム
(クロメルC)、クロメルP、アルメル、ニッケル−ク
ロム−鉄合金であるインコネル、Inconel61
0、625、705、等が挙げられる。
【0042】形成したニッケルを主体とする合金層は、
酸素雰囲気下で主としてニッケルの酸化物からなる層に
転化されるが、転化の方法としては、酸素プラズマ処理
が有効である。すなわち、真空容器内に酸素ガスを導入
し、高周波電極から高周波電力を導入することで生成し
たプラズマに曝すことにより合金層を酸化物からなる層
に転化させ、透明性を向上させることができる。その他
の転化方法を例示するならば、オゾン処理、イオンビー
ム処理、熱酸化処理等が適用できる。
【0043】ニッケルを主体とする合金層は、主として
ニッケルの酸化物からなる層に転化することで可視光に
対する透明性が向上するが、形成した中間層があまり厚
いと透明性が低下する。このような光学的判断の他に、
酸化物層に転化したことは、X線光電子スペクトロメト
リー(XPS)、オージェ電子分光法(AES)等の分
析手段で確かめられる。また、薄いと、透明性は十分で
はあるが耐アルカリ性向上の効果が得られなくなる。こ
のため、形成する中間層の厚さは0.2〜3nmが好ま
しく、より好ましくは1.0〜2.5nmである。この
ように、中間層は薄膜であるため、バルクの金属と同じ
性質をもつと考えることはできない。さらに、大気中で
は完全な金属状態ではなく酸化状態である部分も存在す
る。また、合金ターゲットを使用した場合には、一般的
にできた薄膜の組成は異なったものになっている。
【0044】本発明において酸素プラズマ処理によって
中間層を酸化物に転化せしめるためには、中間層の適当
な選択と厚さ、材料にもよるが、基材がプラズマや熱で
変質しない程度の高周波電力を導入することが必要であ
る。通常、電力は20〜400W、処理時間は10〜1
200秒程度が適している。より簡便な酸化方法は、単
に大気中に放置することであり、時間は20〜80時間
程度要するが特別な処理装置が必要とされないため好適
に使用できる処理方法である。
【0045】
【実施例】つぎに、本発明を実施例により具体的に説明
する。 [実施例1]ポリカーボネートフィルム(厚さ・100
μm)の一方の面に、二酸化珪素(化学式:SiO2
を原料とした電子ビーム加熱による真空蒸着法により、
厚さ15nmの酸化珪素薄膜を形成した。引き続きその
上に、炭化珪素(化学式:SiC)をターゲットとし、
放電ガスとして純度99.9%のアルゴンを使用し、圧
力2mTorrのもとで、直流スパッタリング法によ
り、厚さ10nmの炭化珪素薄膜を形成し、積層体を得
た。
【0046】[実施例2]〜[実施例3] 酸化珪素薄膜の上に形成する薄膜層を、炭化チタン(実
施例2)、窒化チタン(実施例3)とした以外は実施例
1と同じ手法により積層体を得た。
【0047】[実施例4]酸化珪素薄膜の代わりに、シ
リコンをターゲットに、アルゴンをスパッタリングガス
に、反応性ガスに窒素(導入量比、Ar:N2 =1:
1)用い、圧力2mTorrのもとで、直流スパッタリ
ング法により、厚さ15nmの窒化珪素薄膜を形成した
以外は、実施例1と同じ手法で積層体を得た。
【0048】[実施例5]ポリカーボネートフィルム
(厚さ・100μm)の両方の面にエバールを厚さ10
μmコーティングしたものを基材として使用した以外
は、実施例1と同じ手法により積層体を得た。
【0049】[実施例6]〜[実施例10] 酸化珪素薄膜を形成する前に、ニッケル・クロム合金を
ターゲットに、アルゴンをスパッタリングガスに用い、
圧力2mTorrのもとでDCスパッタリング法により
厚さ1nmのニッケルを含む中間層を形成した以外は実
施例1〜実施例5と同じ手法により積層体を得た。
【0050】実施例1〜実施例10により得た積層体の
上に、ターゲットに酸化インジウム・酸化スズ(組成比
(重量比)、In2 3 :SnO2 =95:5)を、ス
パッタリングガスにアルゴン・酸素(流量比、Ar:O
2 =50:1)を用い、圧力2mTorrのもとでのD
Cスパッタリング法により厚さ100nmの透明導電層
を形成したところ、シート抵抗が60Ω/□、可視光透
過率は75%以上の積層体が得られた。
【0051】[比較例1]ポリカーボネートフィルム
(厚さ・100μm)の一方の面に、二酸化珪素(化学
式:SiO2 )を原料とした電子ビーム加熱による真空
蒸着法により、厚さ15nmの酸化珪素薄膜を形成し
た。
【0052】[比較例2]比較としてポリカボネートフ
ィルム(厚さ:100μm)を、ガスバリヤ層を形成す
ることなく評価した。
【0053】上記の如く作製した積層体の波長550n
mにおける可視光の透過率を日立製作所(株)製分光光
度計U−3400により測定した。また、ガス透過率の
測定は、酸素と水蒸気に対して23℃の温度でASTM
1434−75に準拠して行った。
【0054】シール剤との密着力を評価するために、得
られた積層体の上に一液性特殊変性熱効果型エポキシ樹
脂シール剤(三井東圧化学株式会社製、商品名:ストラ
クトボンド、型番:XN−21−S)を厚さ10μm塗
布し、100℃で90分の熱処理で硬化させた。さらに
シール剤塗布層に1mm間隔の碁盤目を入れ、それをテ
ープで引き剥すテープ剥離試験により密着力を評価し
た。
【0055】また積層体のアルカリ溶剤に対する耐久性
を評価するために、水酸化カリウム(5重量%)水溶液
に30分間、及び60分間浸漬しガスバリヤ層の剥離、
変質の有無を光学顕微鏡により観察した。[表1]〜
[表4]にその測定結果を示す。
【0056】
【表1】
【0057】
【表2】
【0058】
【表3】
【0059】
【表4】
【0060】以上の結果から本発明品は、高いガス遮断
性能を有し、さらにシール剤との密着性にも優れたもの
であることが分かる。また、アルカリに対する耐久性を
得る必要のある場合には、中間層を挿入することで極め
てアルカリに強い積層体が得られることが分かる。
【0061】
【発明の効果】本発明においては、高分子成形体にガス
バリヤ層を形成し、さらに炭化物または遷移金属窒化物
からなる薄膜層を形成することにより、シール剤との密
着力を向上した、LCDの基体として好適に使用できる
積層体が得られる。またさらに、高分子成形体とガスバ
リヤ層との間に中間層を設けることで耐アルカリ性をも
向上させることができ、透明導電層をパターニングする
のにも適している。
【図面の簡単な説明】
【図1】LCDの基本構造の断面図
【図2】本発明の積層体の一例を示す断面図
【図3】本発明の積層体の一例を示す断面図
【図4】本発明の積層体の一例を示す断面図
【符号の説明】
01 基材 02 透明電極 03 液晶 04 シール剤 05 配向膜 06 偏光板 10 高分子成形体 15 中間層(ニッケルを含む酸化物層) 20 ガスバリヤ層 21 炭化物または遷移金属窒化物からなる薄膜層 30 炭化物または遷移金属窒化物からなる薄膜層 40 透明導電層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B32B 27/36 B32B 27/36 102 102 C08J 7/04 CEZ C08J 7/04 CEZP G02F 1/1335 G02F 1/1335 500 500 1/1343 1/1343

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも、高分子成形体(A)、酸化
    珪素、または窒化珪素、または酸化珪素と窒化珪素との
    混合物からなるガスバリヤ層(B)、炭化物または遷移
    金属窒化物からなる薄膜層(C)をABCなる順序で形
    成した積層体。
  2. 【請求項2】 炭化物が炭化珪素、または炭化チタンを
    主成分とするものであることを特徴とする請求項1記載
    の積層体。
  3. 【請求項3】 遷移金属窒化物が窒化チタンを主成分と
    するものであることを特徴とする請求項1記載の積層
    体。
  4. 【請求項4】 薄膜層(C)の上に、更に透明導電層
    (D)を積層してなる請求項1及至3のいずれかに記載
    の積層体。
  5. 【請求項5】 透明導電層(D)が、インジウムとスズ
    との酸化物からなることを特徴とする請求項4記載の積
    層体。
  6. 【請求項6】 高分子成形体(A)とガスバリヤ層
    (B)との間に、少なくともニッケルを含む酸化物を中
    間層として形成することを特徴とする請求項1及至5の
    いずれかに記載の積層体。
  7. 【請求項7】 少なくともニッケルを含む酸化物層が、
    少なくともニッケルを含む金属層を形成した後、酸素雰
    囲気下で酸化物に転化せしめた層であることを特徴とす
    る請求項6記載の積層体。
  8. 【請求項8】 高分子成形体(A)が透明なポリカーボ
    ネートフィルム、ポリエーテルスルホンフィルムおよび
    ポリアリレートフィルムから選択された一種であること
    を特徴とする請求項1及至7のいずれかに記載の積層
    体。
  9. 【請求項9】 高分子成形体(A)が、有機ガスバリヤ
    層がコーティングされたコーティング加工フィルムであ
    ることを特徴とする請求項1及至8のいずれかに記載の
    積層体。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2004007191A1 (ja) * 2002-07-12 2004-01-22 Kureha Chemical Industry Company, Limited バリア性透明積層フィルムおよびその製造方法
JP2006088422A (ja) * 2004-09-22 2006-04-06 Toppan Printing Co Ltd 透明ガスバリア積層体
JP2011240538A (ja) * 2010-05-17 2011-12-01 Dainippon Printing Co Ltd ガスバリア性シート及びその製造方法
JP2021047428A (ja) * 2014-02-18 2021-03-25 日東電工株式会社 積層体および画像表示装置

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