JP2003211575A - 積層体及び透明導電性ガスバリアフィルム及び透明導電性ガスバリアフィルムの製造方法 - Google Patents
積層体及び透明導電性ガスバリアフィルム及び透明導電性ガスバリアフィルムの製造方法Info
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Abstract
たものであり、本発明の目的とするところは、耐アルカ
リ性、高密着性を有する積層体の提供であり、また特に
高いガスバリア性と耐アルカリ性、高密着性を有する透
明導電ガスバリアフィルムを提供することを目的とす
る。。 【解決手段】 プラスチック基材上に、少なくとも2層
以上の金属化合物を積層してなる積層体であって、前記
金属化合物層のうち少なくとも一の表面及び/又は界面
が、イオン照射処理されていることを特徴とする積層体
を提供するものである。
Description
数層含む積層体に関する。特にフラットパネルディスプ
レイ等に用いられる、高いガスバリア性と高光線透過
性、優れた耐アルカリ性及びガスバリア層と透明導電性
薄膜との密着に優れた、透明導電ガスバリアフィルムに
関する。
に液晶ディスプレイ用(以下LCDという)の基材はガ
ラス基板を使用していた。しかし、近年のノートパソコ
ンや電子手帳、携帯電話の普及によりさらなる軽量化、
薄型化が求められている。これらを達成するための一つ
の手段として、基材をプラスチックに変更することが考
えられる。実際、プラスチック基材を用いた白黒STN
タイプのLCDは実用化されている。基本的な、ディス
プレイ用プラスチック基材の構成は、プラスチック基材
/ガスバリア層/透明電極層というものである。ガスバ
リア層は構造内への空気や水蒸気などの侵入による表示
欠陥や構造の破損を防止するために施される。その他の
要求性能としては、液晶等の実装工程における各薬品へ
の高い耐性、各層間における高い密着性、高透明性等が
挙げられる。
酸素に対して優れたバリア性を持ち、かつ高い透明性を
有する、酸化珪素や酸化アルミニウムなどの薄膜を、蒸
着法やスパッタリング法等で成膜したものが用いられて
きた、しかしこれらは、エッチング液であるアルカリ溶
液によりガスバリア性が劣化し、またその上に設ける透
明導電性薄膜との密着もあまり良くない。アルカリ溶液
によるガスバリア性の劣化を防ぐために、アクリレート
等の有機膜等をガスバリア層の上に塗布する方法が用い
られている。しかし、工程が増えることもありコスト的
に望ましい方法ではない。また、ガスバリア層と透明電
極の密着を上げるためには、窒化珪素等の無機密着層を
ガスバリア層の上に成膜する方法がある。しかしなが
ら、十分な耐アルカリ性と、密着性を兼ね備えるために
は、窒化珪素を厚く成膜する必要があり、それによる透
明性の損失を考慮するとこれも望ましい方法ではない。
事情に基づいてなされたものであり、本発明の目的とす
るところは、耐アルカリ性、高密着性を有する積層体の
提供であり、また特に高いガスバリア性と耐アルカリ
性、高密着性を有する透明導電ガスバリアフィルムを提
供することにある。
成するためのものであって、請求項1に記載の発明はプ
ラスチック基材上に、少なくとも2層以上の金属化合物
を積層してなる積層体であって、前記金属化合物層のう
ち少なくとも一の表面及び/又は界面が、イオン照射処
理されていることを特徴とする積層体である。
材上に、少なくとも金属化合物薄膜層と透明導電薄膜層
が積層されている透明導電性ガスバリアフィルムであっ
て、該金属化合物薄膜層の表面及び/又は界面が、イオ
ン照射処理されていることを特徴とする透明導電性ガス
バリアフィルムである。
薄膜層が、酸化珪素、酸化アルミニウム、インジウムと
セリウムの混合酸化物、の群から選ばれる1種類または
2種類以上からなることを特徴とする、請求項2記載の
透明導電性ガスバリアフィルムである。
処理に用いるイオン種が、窒素及び/又は硫黄であるこ
とを特徴とする請求項2または3に記載の透明導電性ガ
スバリアフィルムである。
上に、金属化合物薄膜層を積層し、該金属化合物薄膜層
表面にイオン照射処理を施した後、透明導電薄膜層を積
層することを特徴とする透明導電性ガスバリアフィルム
の製造方法である。
の表面を改質することにより、密着性や耐アルカリ性な
どの物性を向上させることに特徴がある。以下、金属化
合物層として、ガスバリア性の金属化合物薄膜層、透明
導電層を用いた透明導電性ガスバリアフィルムを例に説
明する。
は特に限定するものではないが、可撓性のあるものが好
ましい。例えば、プラスチック基材とは、ポリオレフィ
ン(ポリエチレン、ポリプロピレンなど)、ポリエステ
ル(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフ
タレート、ポリエチレンナフタレートなど)、ポリアリ
レート、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリエ
ーテルスルフォンなどやこれらの共重合体の無延伸ある
いは延伸フィルムであり、用途に応じて適宜選択され
る。特にLCD用としては、透明性やガスバリア性に加
えて、透明電極膜や配向膜の成膜工程に対する耐熱性が
良いことや、偏向膜内に置かれて使用されるために光学
的異方性(リタデーション)が小さいこと、などが必要
とされることからポリアリレートやポリカーボネート、
ポリエーテルスルフォン、非晶質ポリオレフィンなどが
好ましく用いられるものである。これらプラスティック
基材の表面は、コロナ処理、プラズマ処理などの前処理
が施されていても良い。
ィルムの少なくとも片面上に、金属化合物薄膜層を形成
する。この層に必要とされる特性としては酸素や水蒸気
などに対する高いガスバリア性と高い光線透過性であ
る。これらの特性を満たすものであればどんな材料でも
使用してもかまわないが、特にアルミニウム、珪素、チ
タンの酸化物、窒化物又は酸窒化物、インジウムとセリ
ウムの混合酸化物、酸窒化物などの群から選ばれる1種
類もしくは2種類以上を積層したものが望ましい。
子をイオン化し加速器を用いて適度に加速させ、目的物
質に照射することにより、目的物質の表面を改質させる
処理のことである。イオンの照射処理において、イオン
種及びイオン加速エネルギーは、金属化合物膜薄膜の種
類によって適当なものを選択する。イオン照射処理に用
いられるイオンは、比較的安価で、また安全にイオンを
引き出せるという理由から、N2+及びS4+などの陽イオ
ンを用いるのが望ましい。
より、金属化合物薄膜層と透明導電層の密着性等の物性
を向上させるものである。理由は定かではないが、以下
の二つの理由が考えられる。一つ目は、金属化合物膜薄
膜表面層に元素を非平衡的に導入することによる、その
元素を含む新しい組織を作ることであり、二つ目は、照
射されたイオンが持つ運動エネルギーを表面層へ導入す
ることによって構造の変化を喚起させるということであ
る。すなわちイオンを照射することにより、表面にその
イオンを含む膜ができ(N 2+を用いれば窒化膜)表面に
新しくできた膜の物性を与えることができると思われ
る。また、イオンを照射することにより、金属化合物膜
薄膜表面層を改質させ、密着性を向上させることができ
ると思われる。
用いて行うことができる。また、イオンの加速電圧は通
常0.1kv〜1MV程度であることが望ましい。加速
電圧を小さくすれば表面付近のみが処理され、大きくす
れば深さ方向まで浸透して処理される。目的、用いる金
属化合物薄膜の種類や膜厚などにより、所望の加速電圧
で処理をすることができる。また膜の損傷などを考慮す
ると加速電圧は1〜300kv程度であることが望まし
い。また、イオン照射処理を行った後に熱処理を行って
も良い。
膜を用いれば良いが、生産性や抵抗値、透明性等を考慮
すると、インジウムと錫の混合酸化物(ITO)を用い
るのが望ましい。また、金属酸化物系の透明導電膜を用
いることにより、さらに金属化合物薄膜層との間の密着
性に優れるため好ましい。
薄膜の成膜方法は、目的の薄膜を形成できる方法であれ
ばいかなる方法でも良いが、スパッタリング法、真空蒸
着法、イオンプレーティング法、プラズマCVD法など
が適している。ここで言う薄膜とは膜厚が1μm以下の
膜のことを言う。また、前記金属化合物薄膜層の膜厚
は、5〜40nmの範囲内であることが好ましい。これ
以下であると十分なバリア性が保てず、これ以上である
と可視光域の透過度が低下、クラック発生の原因となっ
てしまう。また、前記透明導電性薄膜の膜厚は、20〜
150nmの範囲内であることが好ましい。これ以下で
あると十分な導電性が保てず、これ以上であると可視光
域の透過度が低下してしまう。
リア性金属化合物薄膜層、透明導電層を用いたが、これ
に限るものではなく、例えば、ガスバリア性金属化合物
薄膜層を複数層積層する場合などにも適用できる。
して説明する。図1に、本発明の積層体(透明導電性ガ
スバリアフィルム)の実施例を示す。
て厚さ100μmのPETフィルム、ガスバリア性の金
属化合物薄膜層にプラズマCVD法で酸化珪素を40n
mの膜厚で成膜した。その後。イオン照射処理を行っ
た。照射イオンにN2+を用い、加速電圧は1kvで行っ
た。形成した透明導電性ガスバリアフィルムの水蒸気透
過速度は、0.3g/m2/dayであり酸素透過速度
は0.5cc/m2/dayであった。酸素バリア性
は、25℃−70%RH雰囲気下で、酸素透過度測定装
置(モダンコントロール社製 MOCON OXTRA
N 10/50A)を用いて測定し、水蒸気バリア性
は、40℃−90%RH雰囲気下で水蒸気透過度測定装
置(モダンコントロール社製 PERMATRAN W
6)を用いて測定した。これを、3.5重量%苛性ソー
ダに10分浸漬した後、同様にガスバリア性を測定した
ところ、水蒸気透過速度及び酸素透過速度ともに劣化は
なく、また外観においても、白濁等は観察されなかっ
た。
て、インジウムと錫の合金酸化物(以下ITOとする)
をDCマグネトロンスパッタリング法で積層し、透明導
電性ガスバリアフィルムを得た。得られた透明導電性ガ
スバリアフィルムを、JIS規格(JIS−K5400
−1990に準拠)の碁盤目試験に従って。ITO膜上
から、カッターにより1mm間隔で縦横各11本の切れ
目を入れて1mm四方の碁盤の目を100個作り、セロ
ハンテープ(ニチバン製)を貼り、粘着テープを45度
方向に剥がして、剥離しなかった目の数を数えた。その
結果、100個/100個であった。また、光線透過率
を分光計(日立U−4000)を用いて測定したとこ
ろ、波長550nmにおいて、85.0%であった。
膜層をDCマグネトロンスパッタ法で成膜した酸化アル
ミニウムにした以外は、実施例1と同様に透明導電性ガ
スバリアフィルムを作成し、測定を行った。酸素透過速
度1.5cc/m2/day、また水蒸気透過速度1.
0g/m2/day、アルカリ処理後、変化無し。IT
O成膜後の碁盤の目試験100個/100個であった。
光線透過率は84.0%であった。
わりに、窒化珪素をDCマグネトロンスパッタ法を用い
てガスバリア性の金属化合物薄膜層上に成膜したこと以
外は実施例1と同様の方法で透明導電性ガスバリアフィ
ルムを得た。その際、窒化珪素の膜厚を1nm(比較例
1)、10nm(比較例2)、50nm(比較例3)の
ように変化させ、透明導電性ガスバリアフィルムを得
た。これらを、上記実施例と同様の評価を行った。表1
にこれらの結果をまとめる。
膜層にイオン照射処理をしないで、ガスバリア層の直上
にITOを成膜したこと以外は実施例1と同様の方法で
透明導電性ガスバリアフィルムを得た。同様に評価し
た。表1にこれらの結果をまとめる。
膜層にイオン照射処理をしないで、ガスバリア層の直上
にITOを成膜したこと以外は実施例2と同様の方法で
透明導電性ガスバリアフィルムを得た。同様に評価し
た。表1にこれらの結果をまとめる。
た実施例1、2の透明導電性ガスバリア性フィルムはア
ルカリ処理前後での酸素、水蒸気透過度、密着性、光線
透過率ともに良好なものが得られた。それに対し、照射
イオン処理を施さず、代わりに窒化珪素膜の成膜処理を
行った比較例1〜3は、該窒化珪素膜の膜厚により、ア
ルカリ処理後の酸素、水蒸気透過度、密着性が不十分で
あったり、光線透過率が低いものであった。また、何も
処理を施さなかった比較例5,6はアルカリ処理後の酸
素、水蒸気透過度、光線透過率ともに不十分であった。
リ溶剤処理の影響の少ない積層体が得られる。また、本
発明によれば、金属化合物薄膜層の表面がイオン照射処
理されていることにより、金属化合物薄膜層と透明電極
との間の密着に優れ、高ガスバリア性と高透明性を兼ね
備えている透明導電性ガスバリア性フィルムが得られ
る。また、LCD等の電極エッチング工程を必要とする
ものに応用すれば、アルカリ溶液によるガスバリア性の
劣化がほとんどなく、また、各工程において透明電極の
剥がれが発生せず、フラットパネルディスプレイとして
用いた時、優れた性能を発揮する。
合物薄膜層 4 透明導電膜層
Claims (5)
- 【請求項1】プラスチック基材上に、少なくとも2層以
上の金属化合物を積層してなる積層体であって、前記金
属化合物層のうち少なくとも一の表面及び/又は界面
が、イオン照射処理されていることを特徴とする積層
体。 - 【請求項2】プラスチック基材上に、少なくとも金属化
合物薄膜層と透明導電薄膜層が積層されている透明導電
性ガスバリアフィルムであって、該金属化合物薄膜層の
表面及び/又は界面が、イオン照射処理されていること
を特徴とする透明導電性ガスバリアフィルム。 - 【請求項3】前記金属化合物薄膜層が、酸化珪素、酸化
アルミニウム、インジウムとセリウムの混合酸化物、の
群から選ばれる1種類または2種類以上からなることを
特徴とする、請求項2記載の透明導電性ガスバリアフィ
ルム。 - 【請求項4】前記イオン照射処理に用いるイオン種が、
窒素及び/又は硫黄であることを特徴とする請求項2ま
たは3に記載の透明導電性ガスバリアフィルム。 - 【請求項5】少なくとも基材上に、金属化合物薄膜層を
積層し、該金属化合物薄膜層表面にイオン照射処理を施
した後、透明導電薄膜層を積層することを特徴とする透
明導電性ガスバリアフィルムの製造方法。
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