JP3311172B2 - 反射体 - Google Patents

反射体

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JP3311172B2
JP3311172B2 JP26950794A JP26950794A JP3311172B2 JP 3311172 B2 JP3311172 B2 JP 3311172B2 JP 26950794 A JP26950794 A JP 26950794A JP 26950794 A JP26950794 A JP 26950794A JP 3311172 B2 JP3311172 B2 JP 3311172B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、反射率の高い銀の反射
体に関し、さらに詳しくは、耐候性の優れた反射体に関
する。
【0002】
【従来の技術】従来、蛍光灯や白熱灯用の反射体として
は、しばしば鏡面研磨したアルミニウム板が用いられて
いる。しかしながら、アルミニウムでは反射率が十分で
ないという問題があったため、アルミニウムに代えて銀
を透明高分子フィルム上に薄膜層として形成せしめた反
射フィルムが提案されている。該反射フィルムを、例え
ばアルミニウム板に対して、銀面に接着剤を塗布しラミ
ネートした反射板は、反射率が90%以上でしかも優れ
た曲げ加工性や打ち抜き加工性を有する(特開平1−2
99029、特開平5ー162227)。しかしなが
ら、反射体の用途には、屋外等過酷な環境条件で使用し
なければならないものもあり、極めて厳しい湿熱試験に
耐えることが要求される。具体的に例示すると、80
℃、相対湿度90%、1000時間の環境においても、
銀薄膜の反射率の低下や、銀薄膜に点状の白点の発生等
の劣化が起きてはならないことが要請されるのである。
さらに、反射率は94%以上であることが好ましい。し
かしながら、従来の銀を用いた反射板に対して上記条件
で耐湿熱試験を行ったところ、点状の白点が多数発生
し、また、反射率も94%以下になってしまい、実用上
耐えるものではなくなってしまうことを本発明者らは見
いだした。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、かかる
問題を解決するために、鋭意研究を重ねた結果、銀薄膜
の劣化は、透明高分子フィルムを透過する水蒸気にある
ことを見いだし、さらに研究を重ねた結果、透明高分子
フィルムと銀薄膜層の間に適当なガス遮断性を有する透
明無機薄膜層を設けるより、銀を用いた反射体の耐候性
を改善できることを見いだし、本発明に到達した。
【0004】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、上
記の問題を解決するためになされたものであって、透明
高分子フィルム(A)、透明無機薄膜層(B)、銀薄膜
層(C)、接着層(D)、板状成形体(E)の少なくと
もAとBとCとDとEとが、ABCDEの構成で形成さ
れた反射体にして、該透明高分子フィルム(A)の側を
反射面とする反射体を要旨とするものであり、さらに
は、透明無機薄膜層(B)が、珪素酸化物である反射体
であり、また、珪素酸化物が、ポリシラザンを加熱処理
することにより得られたものである反射体であり、ま
た、珪素酸化物が、少なくとも有機珪素化合物と酸素と
を原材料とするプラズマ化学気相蒸着法により得られた
ものである反射体であり、また、透明高分子フィルム
(A)と透明無機薄膜層(B)からなるABの構成部分
における積層体の、38℃相対湿度90%における水蒸
気透過率が、0.5g/m 2 /day以下である反射体
である。
【0005】以下、本発明について詳細に説明する。ま
ず、添付図面について説明するに、図1は本発明にかか
る反射体の層構成の1例を示す図であり、10は透明高
分子フィルム、20は透明無機薄膜層、30は銀薄膜
層、40は接着層、50は板状成形体である。
【0006】本発明における透明高分子フィルム(A)
の材料は、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステ
ル、ポリアミド、ポリエーテルスルフォン、ポリカーボ
ネート、弗素系フィルムが等が使用できるが、必ずしも
これらの種類に限定されるわけではなく、また適当な耐
熱性があるものであることが好ましい。すなわち、透明
高分子フィルム用に少なくとも2層の薄膜を形成する際
に、かなりの熱負荷がかかる。そのため、高分子フィル
ムの耐熱性の指標である、ガラス転移温度で例示する
と、好ましくはガラス転移温度が65℃以上、より好ま
しくは85℃以上である。
【0007】フィルムの厚みについては臨界的な限定は
ないが、25〜150μmが好ましく用いられる。使用
する高分子フィルムの光学特性は、波長550nmの光
の線透過率が85%以上であり、かつ、曇価が7%以下
であることが好ましい。より好ましくは、波長500〜
700nmの範囲の光に対して、光線透過率が85%以
上であり、曇価が7%以下である。光線透過率がこれよ
りも低いと、反射フィルムとした時の全反射率が所望の
値に達しなくなる。また、適当な拡散反射率を有する反
射板を得るためには、上記透明高分子フィルムの曇価を
調整すれば良いのである。
【0008】なお、銀の耐光性を向上させるために高分
子フィルムが紫外線を吸収する特性を有することが好ま
しいことは、当業者が理解するところである。透明無機
薄膜層(B)としては、アルミニウム酸化物、チタン酸
化物、珪素酸化物等が好ましい。本発明において、透明
とは、実質的に100nmの膜厚における上記化合物の
吸収が3%以下であることをいう。これら酸化物の中で
も、成膜しやすいという観点から、珪素酸化物が好まし
く用いられる。
【0009】これら透明無機薄膜層の膜厚は、透明にし
てかつ気体遮断性が充分な範囲で決められる。より具体
的には、通常10nm以上300nm以下の範囲が好ま
しい。また、水蒸気透過率でいえば、透明高分子フィル
ム(A)と透明無機薄膜層(B)からなる構成部分にお
ける積層体ABの、38℃相対湿度90%における水蒸
気透過率が、0.5g/m2 /day以下であることが
好ましい。膜厚が10nmよりもあまり薄くなると、充
分な気体遮断性の効果を奏することができない。すなわ
ち、水蒸気透過率が、0.5g/m2 /dayをあまり
越えると、反射面に白点が発生しやすくなることを我々
は見いだした。なお、気体遮断性に関しては、膜厚を3
00nmを越えるように厚くしても、それ以上効果を高
めることがないので、資源の有効利用と言う観点からも
好ましくなく、また、薄膜の性質上剥離しやすくなると
いう欠点もある。
【0010】透明無機薄膜層の製造方法としては、ゾル
ゲル法や酸化物の前駆体溶液を塗布加熱する湿式の方法
や、真空蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタリ
ング法、プラズマ化学気相蒸着法等、真空を用いる乾式
の方法が用いられる。なお、珪素酸化物薄膜の製造法と
しては、例えばポリシラザンをキシレン溶媒に溶解した
ものを高分子フィルムに塗布し、低温で酸化させるため
の触媒、例えば、アミンを添加し、155℃で4時間加
熱することにより作製できる。この際、膜厚は固形分と
溶媒分の比から計算することができる。
【0011】珪素酸化物薄膜の他の製造方法としては、
プラズマ化学気相蒸着法により、少なくとも有機珪素化
合物と酸素ガスを用いる方法が好ましく用いられる。し
かして、具体的に使用される有機珪素化合物としては、
アセトキシトリメチルシラン、アリルオキシトリメチル
シラン、アリルトリメチルシラン、ビストリメチルシリ
ルアジペート、ブトキシトリメチルシラン、ブチルトリ
メトキシシラン、シクロヘキシルオキシトリメチルシラ
ン、デカメチルシクロペンタシロキサン、デカメチルテ
トラシロキサン、ジアセトキシジメチルシラン、ジアセ
トキシメチルビニルシラン、ジエトキシジメチルシラ
ン、ジエトキシジフェニルシラン、ジエトキシ−3−グ
リシドキシプロピルメチルシラン、ジエトキシメチルオ
クタデシルシラン、ジエトキシメチルシラン、ジエトキ
シメチルフェニルシラン、ジエトキシメチルビニルシラ
ン、ジメトキシジメチルシラン、ジメトキシジフェニル
シラン、ジメトキシメチルフェニルシラン、ジメチルエ
トキシフェニルシラン、ジメチルエトキシシラン、ジメ
チルイソペンチルオキシビニルシラン、1,3−ジメチ
ル−1,1,3,3−テトラフェニルジシロキサン、ジ
フェニルエトキシメチルシラン、ジフェニルシラネジオ
ール、1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチ
ルジシラキサン、2−(3,4−エポキシシクロフェニ
ルエチル)トリメトキシシラン、エトキシジメチルビニ
ルシラン、エトキシトリメチルシラン、エチルトリアセ
トキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリ
メトキシシラン、エチルトリメチルシラン、3−グリシ
ドキシプロピルトリメトキシシラン、1,1,1,3,
5,5,5−ヘプタメチルトリシロキサン、ヘキサメチ
ルシクロトリシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、
ヘキシルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピル
トリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリ
メトキシシラン、メトキシトリメチルシラン、メチルト
リアセトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチ
ルトリメトキシシラン、メチルイソプロペノキシシラ
ン、メチルプロポキシシラン、オクタデシルトリエトキ
シエトキシシラン、オクタメチルシクロテトラシロキサ
ン、1,1,1,3,5,7,7,7−オクタメチルテ
トラシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、オクチ
ルトリエトキシシラン、1,3,5,7,9−ペンタメ
チルシクロペンタシロキサン、ペンタメチルジシロキサ
ン、1,1,3,5,5−ペンタフェニル−1,3,5
−トリメチルトリシロキサン、フェニルトリエトキシシ
ラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリメチ
ルシラン、プロポキシトリメチルシラン、プロピルトリ
エトキシシラン、テトラアセトキシシラン、テトラブト
キシシラン、テトラテエトキシシラン、テトライソプラ
ポキシシラン、テトラメトキシシラン、1,3,5,7
−テトラメトキシシクロテトラシロキサン、1,1,
3,3−テトラメチルジロキサン、テトラメチルシラ
ン、1,3,3,5−テトラメチルー1,1,5,5−
テトラフェニルトリシロキサン、1,3,5,7−テト
ラメチル−1,3,5,7−テトラビニルシクロテトラ
シロキサン、テトラプロポキシシラン、トリアセトキシ
ビニルシラン、トリエトキシビニルシラン、トリエチル
シラン、トリヘキシルシラン、トリメトキシシラン、ト
リメトキシビニルシラン、トリメチルシラノール、1,
3,5−トリメチル−1,3,5−トリビニルシクロト
リシロキサン、トリメチルビニルシラン、トリフェニル
シラノール、トリス(2−メトキシエトキシ)ビニルシ
ラン等を用いることができるが、これらに限定されるも
のではなく、アミノシラン、シラザン等も用いられる。
【0012】これら有機化合物の上記を反応容器に導入
するには、ヘリウムやアルゴン等の希ガスをキャリヤー
ガスとして用いることができる。また、有機珪素化合物
を加熱し蒸気圧を上げて、有機珪素ガスを直接導入する
こともできる。また、酸素ガスの代わりに、酸化作用が
あるガス、例えば、オゾン、水蒸気、笑気ガス等も使用
し得る。以下、これらも酸素ガスとして扱う。導入する
有機珪素ガスと酸素ガスの流量の比は、有機珪素化合物
の種類にもよるが、酸素ガス/有機珪素ガス=0.2〜
1.2の流量比の範囲が好ましい。ヘリウム等の希ガス
をキャリヤーガスとして用いるときには、ヘリウム中の
有機ガスの流量と酸素ガスの流量の範囲が上記0.2〜
1.2の範囲が好ましい。酸素流量が少なすぎると、生
成される膜の光線透過率ならびにガスバリヤー性が低下
し、酸素流量が多すぎるときには膜の密着性ならびにガ
スバリヤー性が低下する。また、反応中の圧力はプラズ
マ放電が起こる範囲であればよく、通常の平行平板型高
周波プラズマ装置で成膜を行う場合には、0.05〜
2.5Torrが好ましく、より好ましくは、0.1〜
1.5Torrである。圧力が低すぎるとプラズマ放電
の維持が困難になり、圧力が高すぎると膜の密着性が低
下する傾向にある。しかしながら、より低圧で放電させ
ることが可能な電子サイクロトロン共鳴放電やヘリコン
波放電、マグネトロン放電を用いる場合においては圧力
範囲は上記の範囲に限定されるものではない。流量の計
測と制御は、マスフローコントローラー、浮き子式フロ
ーメター、バブルメーター等を使用することができる。
圧力の測定には、ピラニ真空計、隔膜真空計、スピニン
グローター真空計、熱伝導真空計、電離真空計等が使用
し得るが、隔膜真空計が好ましく用いられる。
【0013】なお、本発明でいうところの珪素酸化物と
は、酸素と珪素の原子比、すなわち、O/Siが、1.
6〜2.1の範囲にあるものであって、必ずしも化学量
論的な化合物である必要はなく、また、作製法に由来す
る、水素、窒素、炭素等が数〜数10原子%が含まれて
も良いことは当業者が理解するところであろう。
【0014】本発明において、銀薄膜層(C)の形成法
としては、湿式法および乾式法がある。湿式法とはメッ
キ法の総称であり、溶液から銀を析出さて膜を形成する
方法である。具体例を挙げるとすれば、銀鏡反応等があ
る。一方、乾式法とは、真空成膜法の総称であり、具体
的に例示するとすれば、抵抗加熱式真空蒸着法、電子ビ
ーム加熱式真空蒸着法、イオンプレーティング法、イン
ビームアシスト真空蒸着法、スパッタ法等がある。とり
わけ、本発明には連続的に成膜するロールツロール方式
が可能な真空成膜法が好ましく用いられる。
【0015】真空蒸着法では銀の原材料を電子ビーム、
抵抗加熱、誘導加熱等で溶融させ、蒸気圧を上昇させ、
好ましくは0.1mTorr(約0.01Pa)以下で
基材表面に蒸着させる。この際に、アルゴン等のガスを
0.1mTorr(約0.01Pa)以上導入させ、高
周波もしくは直流のグロー放電を起こしてもよい。スパ
ッタ法では、DCマグネトロンスパッタ法、rfマグネ
トロンスパッタ法、イオンビームスパッタ法、ECRス
パッタ法、コンベンショナルrfスパッタ法、コンベン
ショナルDCスパッタ法等を使用し得る。スパッタ法に
おいては、原材料は銀の板状のターゲットを用いればよ
く、スパッタガスには、ヘリウム、ネオン、アルゴン、
クリプトン、キセノン等を使用し得るが、好ましくはア
ルゴンが用いられる。ガスの純度は、99%以上が好ま
しいが、より好ましくは99.5%以上である。
【0016】銀薄膜層の厚さは、60nm〜350nm
が好ましく、より好ましくは100nm〜200nmで
ある。通常は60nm以上であれば銀の膜厚が十分であ
り、透過する光はほとんど存在せず、充分な反射率が得
られる。これより薄くなると、透過光が存在するように
なるので、銀の薄膜は60nm以上であることが好まし
い。一方、膜厚をこれより厚くしても、更なる反射率の
上昇は望めず、飽和傾向を示す上に、銀層の高分子フィ
ルムに対する密着性が低下するので好ましくない。ま
た、資源の有効な利用という観点からもこれより厚い膜
厚にすることは単に無駄であり好ましくない。
【0017】膜厚の測定は、触針粗さ計、繰り返し反射
干渉計、マイクロバランス、水晶振動子法等があるが、
水晶振動子法では成膜中に膜厚が測定可能なので所望の
膜厚を得るのに適している。また、前もって成膜の条件
を定めておき、試料基材上に成膜を行い、成膜時間と膜
厚の関係を調べた上で、成膜時間により膜を制御する方
法もある。
【0018】銀薄膜層には、性能に害を及ぼさない程度
の、金、銅、ニッケル、鉄、、コバルト、タングステ
ン、モリブデン、タンタル、クロム、インジュウム、マ
ンガン、チタン等の金属不純物が含まれてもよい。
【0019】銀層を形成した後、銀層の保護やフィルム
の滑り性の向上の目的のため、インコネル、クロム、ニ
ッケル、チタン、アルミニウム、モリブデン、タングス
テン等の単金属もしくは合金を10nm〜30nm程度
積層することが有効であることは、当業者が理解してい
るところである。また、銀層の耐候性を向上させる目的
で、金、白金、パラジウムを数〜数10原子%添加する
ことは当業者の設計の範囲であろう。
【0020】銀薄膜層を透明高分子フィルム上に設ける
際に、高分子フィルム表面に、コロナ放電処理、グロー
放電処理、表面化学処理、粗面化処理等を行うことが銀
薄膜層と高分子フィルムの密着性を向上させる上で効果
があることは当業者が理解しているところである。
【0021】本発明で用いられる接着剤は、熱または触
媒の助けにより接着される接着剤であり具体的には、シ
リコン系接着剤、ポリエステル系接着剤、エポキシ系接
着剤、シアノアクリレート系接着剤、アクリル系接着剤
など一般的な接着剤を用いることができる。シリコン系
接着剤、及びポリエステル系接着剤は耐熱性、電気特性
に優れているためトリガを印加するストロボ用反射体用
に好適に利用できる。エポキシ系接着剤は強度、耐熱性
に優れているため、これもまた好適に利用できる。
【0022】シアノアクリレート系接着剤は、速攻性と
強度に優れているため、効率的な反射体作製に利用でき
る。これらの接着剤は、接着方法によって熱硬化型、ホ
ットメルト型、二液混合型に大別されるが、好ましくは
連続生産が可能な熱硬化型あるいはホットメルト型が使
用される。熱接着剤の厚みには、特に限定はないが、通
常0.5μm〜50μm、好ましくは1μm〜20μm
程度である。
【0023】本発明において、透明無機薄膜層および銀
薄膜層を形成した高分子フィルム(A)と板状成形体
(E)との接着は、銀薄膜層への接着剤のコーティン
グ、乾燥、ローラーによる板状成形体とのラミネート、
の手順により行われる。接着剤のコーティング方法は、
基材や接着剤の種類によって多くの方法があるが、広く
使用されているのはグラビアコーター方式及びリバース
コーター方式である。グラビアコーター方式では、接着
剤に一部分が浸されているグラビアロールを回転させ、
バックアップロールによって送られるフィルムを接着剤
の付着したグラビアロールに接触させることでコーティ
ングする。コーティング量はロールの回転数、接着剤の
粘度を制御することで調整できる。リバースコーター方
式も、グラビアロール方式に類似した方法だが、コーテ
ィングロールに付着する接着剤の量を、それに接して設
置されているメタリングロールによって調整する。コー
ティングされた接着剤の乾燥温度、及びラミネート温度
は接着剤の種類によってまちまちであるが、上記に掲げ
た一般的な接着剤を用いる場合は、通常100℃前後で
ある。
【0024】この接着剤による銀薄膜層(C)を形成し
た透明高分子フィルム(A)と板状成形体(E)との密
着強度は、180度ピール強度で測定して100g/c
m以上であることが望ましい。この密着強度に達しない
場合には、反射板として実用形状に板金加工した際、銀
薄膜層を形成した透明高分子フィルムの板状成形体から
の剥がれ等が生じやすくなる。
【0025】本発明において、板状成形体には、アルミ
ニウム、アルミ合金、ステンレス鋼、鋼亜鉛合金等が使
用されるが、これらの金属にはそれぞれ長所があり、次
のように使い分けることができるとは当業者の設計条件
の範囲である。アルミニウムは軽量かつ加工性に優れ、
また、熱伝導率が高くそれにかかる熱を効果的に大気中
に逃がすことができるため、ランプ発光によって反射体
が加熱される場合に好適に利用できる。アルミ合金は軽
量かつ機械的強度が強いため、強度が要求される反射体
に好適に利用できる。ステンレス鋼は機械的強度が適度
にあり、また耐蝕性にすぐれているため、耐触性が要求
される反射体に好適に利用できる。鋼亜鉛合金すなわち
黄銅またはしんちゅうは、機械的強度の強いことに加
え、はんだづけが容易なため電気的な端子をとる必要が
ある反射体に好適に利用できる。なお、プラスチックの
板を用いることができるのは勿論のことである。かくし
て、作製された反射板の反射率は典型的には550nm
の波長の光に対して93%以上であり、より詳しくは5
00nm〜750nmの範囲で93%以上である。以
下、実施例により本発明の実施の態様の一例を説明す
る。
【0026】
【実施例】以下の実施例および比較例において、反射率
は、波長550nmにおける反射率を分光光度計(日立
U−3400)を用いて測定した。水蒸気透過率は、A
STM E−96に基づき、38℃、90%RHの条件
で測定した。
【0027】〔実施例1〕厚さ25μmのポリエチレン
テレフタレート(PET)フィルム(帝人(株)テトロ
ンフィルムS)の一主面に、テトラメチルジシロキサン
と酸素を原料としたプラズマ化学気相蒸着法で、100
nm厚の酸化珪素薄膜層を形成した。その酸化珪素薄膜
層の上に、真空蒸着法で銀薄膜を120nm形成した。
銀を形成した面に、ポリエステル系のホットメルト接着
剤(綜研化学SKダイン5273)を5μm厚に塗布し
た。次に、このフィルムを厚さ0.3mmの黄銅板(J
IS2種)に熱ラミネーションにより接着し、A4板大
の反射体を得た。
【0028】なお、酸化珪素層を形成したPETフィル
ムの水蒸気透過率を測定したところ、0.12g/da
y/m2 であった。
【0029】〔実施例2〕実施例1と同様のPETフィ
ルムの一主面に、ポリシラザンを塗布し加熱することに
より珪素酸化物層を、200nm厚に形成した。このフ
ィルムを用いて実施例1と同様の手順でA4板大の反射
板を得た。
【0030】なお、酸化珪素層を形成したPETフィル
ムの水蒸気透過率を測定したところ、0.2g/day
/m2 であった。
【0031】〔実施例3〕実施例1と、形成する銀の薄
膜が70nmであること以外は同じ手順で反射体を作製
した。
【0032】〔実施例4〕実施例1と、形成する銀の膜
厚が300nmであること以外は同じ手順で反射体を得
た。
【0033】〔実施例5〕実施例1と、形成する珪素酸
化物層の膜厚が20nmであること以外は同じ手順で反
射体を作製した。酸化珪素層を形成したPETフィルム
の水蒸気透過率を測定したところ、0.5g/day/
2 であった。
【0034】〔実施例6〕実施例1と、形成する珪素酸
化物層の膜厚が300nmであること以外は同じ手順で
反射体を作製した。酸化珪素層を形成したPETフィル
ムの水蒸気透過率を測定したところ、0.2g/day
/m2 であった。
【0035】〔実施例7〕実施例1と、膜厚100nm
の珪素酸化物層をPETフィルムの両面に形成したこと
以外は同じ手順で反射体を作製した。酸化珪素層を形成
したPETフィルムの水蒸気透過率を測定したところ、
0.15g/day/m2 であった。
【0036】〔比較例1〕実施例1と、形成する酸化珪
素層の膜厚が5nmであること以外は同じ手順で反射体
を作製した。酸化珪素層を形成したPETフィルムの水
蒸気透過率を測定したところ、1.0g/day/m2
であった。
【0037】〔比較例2〕実施例1と、酸化珪素層を形
成しないこと以外は同じ手順で反射体を作製した。使用
したPETフィルムの水蒸気透過率を測定したところ、
3.4g/day/m2 であった。上記、実施例ならび
に比較例で作製した試料を、80℃相対湿度90%の恒
温恒湿容器の中に設置し、1000時間後に反射面の白
点の発生状態の目視検査を実行し、また、反射率を測定
した。その結果を〔表1〕に示す。
【0038】
【表1】 *A4板大の試料に発生したφ1mm以上の白点の数
【0039】
【発明の効果】上記実施例および比較例から明らかなご
とく、本発明によると湿熱環境においても反射面に白点
が発生しにくく、反射率の低下が少ない、銀を用いた反
射率の高い反射体を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる反射体の層構成の1例を示す図
【符号の説明】
10 透明高分子フィルム 20 透明無機薄膜層 30 銀薄膜層 40 接着層 50 板状成形体
フロントページの続き (72)発明者 福田 信弘 神奈川県横浜市栄区笠間町1190番地 三 井東圧化学株式会社内 (56)参考文献 特開 昭58−31744(JP,A) 特開 平1−279201(JP,A) 特開 平2−109399(JP,A) 特開 平4−45921(JP,A) 特開 平1−168443(JP,A) 特表 平6−508698(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B32B 1/00 - 35/00 G02B 5/08 - 5/10

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 銀薄膜を利用する反射体であって、 透明高分子フィルム(A)、透明無機薄膜層(B)、銀
    薄膜層(C)、接着層(D)、板状成形体(E)の少な
    くともAとBとCとDとEとが、ABCDEの構成で形
    成された反射体であり、 該透明高分子フィルム(A)の側を反射面とし、 前記透明無機薄膜層(B)として、 ポリシラザンを加熱処理することにより得られる珪素酸
    化物層、あるいは、少なくとも有機珪素化合物と酸素と
    を原材料とするプラズマ化学気相蒸着法により得られる
    珪素酸化物層のいずれかを含んでなり、 酸素と珪素の原子比O/Siが、1.6〜2.1の範囲
    にあり、かつ膜厚が10nm以上、300nm以下の範
    囲である珪素酸化物層を用いてなることを特徴とする反
    射体。
  2. 【請求項2】 前記透明高分子フィルム(A)と透明無
    機薄膜層(B)とからなるABの構成部分における積層
    体は、38℃相対湿度90%における水蒸気透過率が、
    0.5g/m2 /day以下であることを特徴とする請
    求項1に記載の反射体。
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