JP3317939B2 - ノック式筆記具 - Google Patents

ノック式筆記具

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卓 岩原
徳男 守山
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、両端開口の軸筒内
に、少なくとも1つの筆記体を弾性体により常に後方へ
付勢した状態で配設し、押圧体を弾性体の付勢力に抗し
て押圧することによって、少なくとも1つの筆記体を先
端開口より突出する構造のノック式筆記具に関する。
【0002】
【従来技術】従来より、ボールペンレフィールやシャー
プペンシル体等の筆記体を弾性体により常に後方へ付勢
した状態で配設し、押圧体を弾性体の付勢力に抗して押
圧することによって、内部に配設された筆記体先端を突
出させる構造のノック式筆記具は良く知られている。
【0003】また、押圧体側面に設けた凸部が軸筒側面
に設けた摺動孔に軸方向に移動自在に収容され、押圧体
を押圧した際には凸部が摺動孔の前方へ移動して筆記体
を突出させ、突出したところで押圧力を弱めることによ
って押圧体に連動したノック機構が作動し、凸部が摺動
孔の中間部で停止すると共に筆記体先端の突出を維持す
る。また、再度押圧体を押圧することによりノック機構
が解除され、筆記体先端の没入と共に凸部が摺動孔の後
端部に当接し押圧体の後退を規制する構造としている。
【0004】また、凸部を摺動孔に収容するために、軸
筒には後端開口から摺動孔に連通した凸部の幅より狭い
幅の案内溝を軸方向に穿設し、押圧体を軸筒内に組み込
む際には、凸部が案内溝の側面を広げるようにして通過
し、凸部が摺動孔へ収容された際には案内溝の幅が戻る
ような構造としている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来の凸部の
後端部や摺動孔の後端部は軸方向に直交した単なる平面
で形成されており、長期間の使用に際し、互いの当接が
繰り返されることによって案内溝の摺動孔近傍が開いて
きてしまい、やがて、凸部が案内溝から抜け出し押圧体
が軸筒から脱落してしまう問題があった。
【0006】また、押圧体が強い付勢力によって後方に
付勢される場合や、凸部が比較的長い摺動孔をストロー
クする場合等は、凸部が摺動孔の後端部に当接する衝撃
が大きくなり前記問題点が特に深刻となっていた。
【0007】本発明の目的は、上述した従来例の問題点
に鑑み、長期間の使用によって押圧体の凸部が摺動孔の
後端部に繰り返し当接しても、また、凸部が摺動孔の後
端部に当接する衝撃が大きくても、押圧体が軸筒から脱
落することのないノック式筆記具を提供する点にある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、両端開口の軸
筒内に、少なくとも1つの筆記体を弾性体により常に後
方へ付勢した状態で配設し、押圧体を弾性体の付勢力に
抗して押圧することによって、少なくとも1つの筆記体
が先端開口より突出し、押圧体側面に設けた凸部が軸筒
側面に設けた摺動孔に軸方向に移動自在に収容する構造
のノック式筆記具において、軸筒に後端開口から摺動孔
に連通し凸部の幅より狭い幅の案内溝を軸方向に穿設
し、凸部の後端部を摺動孔の後端部に当接することによ
り、案内溝の摺動孔近傍の幅が狭まる構造としたノック
式筆記具とする。
【0009】また、前記摺動孔の後端部が両側部に向か
って後方に傾斜する傾斜面で形成し、前記凸部の後端部
が前記傾斜面に対向した傾斜面とした構造とする。
【0010】また、前記摺動孔の後端部が前記軸筒の軸
心面へ向かって前方へ傾斜するテーパー面を形成し、前
記凸部の後端部が前記テーパー面に対向したテーパー面
を形成した構造とする。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実
施の形態を説明する。説明に際しては、図面の左側を先
端とし右側を後端とした。尚、実施の形態の具体例とし
ては、ノック式のボールペンを基にした。また、実施の
形態中、同じ部材、同じ部品については同じ番号を付し
てある。
【0012】図1は、本発明第1の実施の形態を示すノ
ック式ボールペンの模式図である。図1において、ノッ
ク式ボールペン1は、両端開口の軸筒2の内部に弾性体
3によって常に後方へ付勢されたレフィール4を摺動可
能に配設しており、レフィール4の後方には押圧体5を
連結して一体とし、押圧体5を押圧することによって、
レフィール4の先端に連結された先端チップ6が先端開
口7より突出するようにした。尚、本実施の形態の具体
例として弾性体3にはコイルスプリングを使用した。
【0013】また、押圧体5の側面前方には凸部8を形
成し、凸部8を軸筒2の側面に穿設した摺動孔9に軸方
向に移動自在に収容した。
【0014】図2は、同実施の形態の先端チップ突出状
態の要部平面図を示す。図2において軸筒2の側面に
は、凸部8を摺動孔9に収容するために、後端開口10
から摺動孔9に連通した凸部8の幅より狭い幅の案内溝
11を軸方向に穿設し、また、摺動孔9の後端部12は
両側部13に向かって後方へ傾斜する傾斜面14を形成
し、凸部8の後端部15にも前記傾斜面14に対向した
傾斜面16を形成した。また、本実施の形態では凸部8
を組み込み易くするために、案内溝11の後方に凸部8
の幅と同じ幅で穿設したガイド溝17を形成してある。
【0015】尚、凸部8は摺動孔9の中間部に停止した
状態となっているが、これは、軸筒2の内部に配設され
たノック機構(図示せず)が押圧体5の押圧によって作
動して係合し、先端チップ6が先端開口7より突出を維
持した状態でもある。
【0016】図3は、図2の状態の押圧体を押圧してノ
ック機構の係合を解除し、先端チップを没入させた時の
要部平面図を示す。図3において、凸部8の後端部15
が摺動孔9の後端部12に当接することによって後退が
規制されると共に、押圧体5が弾性体(図示せず)の付
勢力によって後退し、凸部8の傾斜面16が摺動孔9の
傾斜面14を矢印Aの方向に挟持することによって、案
内溝11の摺動孔近傍18の幅を狭めている。
【0017】第1の実施の形態のノック式筆記具にてノ
ック操作を繰り返し行ったところ、凸部8の後端部15
が摺動孔9の後端部12に当接するたびに、傾斜面16
が傾斜面14を介して摺動孔近傍18を狭めており、凸
部8が案内溝11から抜け出し押圧体5が軸筒2から脱
落してしまうことがなかった。また、互いの当接が斜面
同士であるために、当接による衝撃が軽減され繰り返し
の当接によっても、形状が変形することがないという予
期せぬ効果を得ることが出来た。
【0018】次に、弾性体3の弾性力を強めに設定した
ところ、凸部8が摺動孔9に当接する衝撃が強まると共
に矢印Aの方向への挟持力も強まり、摺動孔近傍18が
開いてしまうことがなく前記同様の効果を得ることが出
来た。次に、摺動孔9を軸方向に長くし凸部8のストロ
ークを延ばして衝撃を強めてみたが、同様の効果を得る
ことが出来た。
【0019】図4は、第2の実施の形態を示す要部平面
図である。図4において、凸部8の後端部15は傾斜面
を形成する代わりに両端に突片19を形成し、摺動孔9
の傾斜面14に当接するようにしたものである。その他
は、本発明第1の実施の形態と同様にして、ボールペン
1とした。
【0020】図5は、第3の実施の形態を示す要部平面
図である。図5において、摺動孔9の後端部12は傾斜
面を形成する代わりに案内溝11側に突片20を形成
し、凸部8の傾斜面16に当接するようにしたものであ
る。その他は、本発明第1の実施の形態と同様にして、
ボールペン1とした。
【0021】第2および第3実施の形態のボールペン1
にてノック操作を繰り返し行ったところ、前述同様の効
果を得ることが出来た。
【0022】図6は、第4の実施の形態を示す要部平面
図である。図7は、図6のB−B断面図を示す。図6、
図7において、摺動孔9の後端部15が軸筒2の軸心面
へ向かって前方へ傾斜するテーパー面21を形成し、凸
部8の後端部15がテーパー面21に対向したテーパー
面22を形成してある。その他は、本発明第1の実施の
形態と同様にして、ボールペン1とした。
【0023】第4の実施の形態によれば、当接時にテー
パー面22が常にテーパー面21の上へせり上がってテ
ーパー面21を軸心方向に押し下げることにより、案内
溝11の摺動孔近傍18の幅を狭め、摺動孔近傍18が
外方に捲れあがることもなく凸部8が案内溝11の下面
より抜け出てしまうことがなくなる。
【0024】尚、本発明の実施の形態の具体例としてノ
ック式ボールペンにて説明を行ってきたが、本発明はボ
ールペンに限定されることなく、軸筒内部のシャープペ
ンシル体を突出させたり、また、シャープペンシル体内
部の芯を繰り出す構造にも用いることが出来る。
【0025】
【発明の効果】以上の通り、本発明によるノック式筆記
具は、長期間の使用によって押圧体の凸部が摺動孔の後
端部に繰り返し当接しても、また、凸部が摺動孔の後端
部に当接する衝撃が大きくても、押圧体が軸筒から脱落
することがなく、凸部が摺動孔の後端部に当接する衝撃
が大きくても互いの形状が変形することがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態のノック式ボールペンの
模式図を示す。
【図2】 同実施の形態の先端チップ突出状態の要部平
面図を示す。
【図3】 先端チップを没入させた時の要部平面図を示
す。
【図4】 第2の実施の形態の要部平面を示す。
【図5】 第3の実施の形態の要部平面図を示す。
【図6】 第4の実施の形態の要部平面図を示す。
【図7】 図6のB−B断面図を示す。
【符号の説明】
1 ボールペン 2 軸筒 3 弾性体 4 レフィール 5 押圧体 6 先端チップ 7 先端開口 8 凸部 9 摺動孔 10 後端開口 11 案内溝 12 後端部 13 両側部 14 傾斜面 15 後端部 16 傾斜面 17 ガイド溝 18 摺動孔近傍 19 凸片 20 凸片

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】両端開口の軸筒内に、少なくとも1つの筆
    記体を弾性体により常に後方へ付勢した状態で配設し、
    押圧体を弾性体の付勢力に抗して押圧することによっ
    て、少なくとも1つの筆記体が先端開口より突出し、押
    圧体側面に設けた凸部が軸筒側面に設けた摺動孔に軸方
    向に移動自在に収容する構造のノック式筆記具におい
    て、軸筒に後端開口から摺動孔に連通し凸部の幅より狭
    い幅の案内溝を軸方向に穿設し、凸部の後端部を摺動孔
    の後端部に当接することにより、案内溝の摺動孔近傍の
    幅が狭まる構造としたことを特徴とするノック式筆記
    具。
  2. 【請求項2】前記摺動孔の後端部が両側部に向かって後
    方に傾斜する傾斜面で形成し、前記凸部の後端部が前記
    傾斜面に対向した傾斜面としたことを特徴とする請求項
    1に記載の筆記具。
  3. 【請求項3】前記摺動孔の後端部が前記軸筒の軸心面へ
    向かって前方へ傾斜するテーパー面を形成し、前記凸部
    の後端部が前記テーパー面に対向したテーパー面を形成
    したことを特徴とする請求項1または2に記載の筆記
    具。
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