JP3315272B2 - 繰返し印字可能な熱転写記録媒体 - Google Patents

繰返し印字可能な熱転写記録媒体

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JP3315272B2
JP3315272B2 JP25820294A JP25820294A JP3315272B2 JP 3315272 B2 JP3315272 B2 JP 3315272B2 JP 25820294 A JP25820294 A JP 25820294A JP 25820294 A JP25820294 A JP 25820294A JP 3315272 B2 JP3315272 B2 JP 3315272B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は繰返し印字可能な熱転写
記録媒体に関し、さらに詳しくは熱溶融性インク層の表
面近傍に多孔質膜を有する繰返し印字可能な熱転写記録
媒体に関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】熱転
写プリンターで熱転写印字する際に用いる熱転写記録媒
体には同一箇所を繰返し使用して印字できるものがあ
る。
【0003】このような繰返し印字型熱転写記録媒体と
しては、基材上に接着層を介してまたは直接に熱溶融
性インク層を設け、印字毎にインク層をその厚さ方向に
少しずつ転写させるタイプのもの、基材上に熱溶融性
インクを含浸させた多孔質層を設け、印字毎にインクを
少しずつ滲み出させるようにしたタイプのもの、基材
上に設けた熱溶融性インク層の表面近傍に多孔質膜を設
け、印字毎に該多孔質膜を通してインクを少しずつ滲み
出させるようにしたタイプのもの、などが知られてい
る。
【0004】しかしのタイプのものは、印字毎のイン
ク転写量が一定しない、のタイプのものは繰返し印字
に伴ないインクの滲出が困難になり、印字濃度が低下す
るなどの問題があった。またのタイプのものでは、イ
ンクの転写量が多孔質膜の孔径、孔密度、熱溶融性イン
クの溶融粘度などに大きく影響をうけ、品質の安定した
ものがえられないなどの問題があった。
【0005】本発明は、前記従来技術に鑑みて、繰返し
印字において、印字濃度の低下が少なくなく、所定濃度
以上の高画質の印字を多数回うることのできる熱転写記
録媒体を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、基材の片面
に、接着層を介して熱溶融性インク層を有し、該熱溶融
性インク層の表面近傍に多孔質膜を有する熱転写記録媒
体であって、該熱溶融性インク層がビヒクルと着色剤と
からなり、該ビヒクルが融点が50℃以上かつASTM
D−1321記載の針入度測定方法により、25℃の
条件下にて測定される針入度が50以上であり、溶融粘
度が200cps/140℃以下の外観がグリース状で
あるポリエチレンワックスからなり、熱溶融性インク層
中の該ポリエチレンワックスの含有率が5〜50重量%
の範囲内にある繰返し印字可能な熱転写記録媒体に関す
る。
【0007】さらに、本発明は、前ポリエチレンワッ
クスの融点mp(℃)と軟化開始温度A(℃)の関係
が、下記の式(I):
【0008】
【数2】
【0009】で表わされることを特徴とする繰返し印字
可能な熱転写記録媒体に関する。
【0010】なお、本発明において、針入度はAST
M、D−1321記載の針入度測定方法により、25℃
の条件下にて測定されるものである。
【0011】また、本発明において、融点mp(℃)は
昇温速度10℃/分で測定したDSC曲線の吸熱ピーク
の頂点の温度をいう。また、軟化開始温度A(℃)は前
記融点測定と同じDSC曲線から求められるものであ
り、前記ビヒクルのDSC曲線を図3に示されるものと
すると、吸熱ピーク10の高温側のベースライン11を
低温側に延長した直線12と吸熱ピーク10の低温側の
曲線との交点Aの温度をいう。
【0012】
【作用および実施例】発明によれば、多孔質膜を熱溶
融性インク層の表面近傍に設けることによって、印字毎
に該多孔質膜を通してインクを少しずつ滲み出させるよ
うにし、熱溶融性インク層中のビヒクルが融点が50℃
以上かつ針入度が50以上であり、溶融粘度が200c
ps/140℃以下の外観がグリース状であるポリエチ
レンワックスからなり、熱溶融性インク層中に該ポリエ
チレンワックスを5〜50重量%の範囲内で含有させる
ことにより、繰返し印字において、印字濃度の低下が少
なく、所定濃度以上の高画質の印字を多数回うることが
でき、またラフ紙への転写性がよく、ボイドの少ない印
像を与える熱転写記録媒体を提供することができる。
【0013】また、発明において、多孔質膜の孔の平
均径r(cm)を1.0×10-5〜1.0×10-3の範
囲内、前記多孔質膜の表面部分の単位面積当りの孔密度
ρ(個/cm2)を1.2×106〜1.0×109の範
囲内とすることにより、さらに繰返し印字において、印
字濃度の低下が少なく、所定濃度以上の高画質の印字を
多数回うることができ、またラフ紙への転写性がよく、
ボイドの少ない印像を与える熱転写記録媒体を提供する
ことができる。
【0014】さらに、発明において、融点mp(℃)
と軟化開始温度A(℃)の関係が、下記の式(I):
【0015】
【数3】
【0016】で表わすことができるポリエチレンワック
スを用いることによって、さらに印字濃度の低下が少な
くなり、所定濃度以上の高画質の印字を多数回うること
のできる熱転写記録媒体を提供することができる。
【0017】本発明の熱転写記録媒体を図面に基づいて
説明する。
【0018】図1は本発明の熱転写記録媒体の一実施例
を示す概略部分断面図である。
【0019】図1において、1は基材であり、基材1上
に接着層2、熱溶融性インク層3が形成され、該熱溶融
性インク層3の表面近傍に多孔質膜4が存在している。
多孔質膜4の孔5には該熱溶融性インク層3のインクが
充填されている。
【0020】本発明においては、従来の繰返し印字可能
な熱転写記録媒体と異なり、前記特定の融点、針入度
よび溶融粘度、さらに好ましくは前記特定の軟化開始温
を有するポリエチレンワックスの所望の量を含有する
熱溶融性インク層を設け、該熱溶融性インク層の表面近
傍に前記特定の孔径、孔密度の多孔質膜を設けることに
より、所定濃度以上の高画質の印字を多数回うることの
できる熱転写記録媒体を提供することができる。
【0021】さらに、本発明の熱転写記録媒体において
はインク層表面の多孔質膜の存在のため、および前記
リエチレンワックスの所望の量を含有する熱溶融性イン
ク層の熱溶融特性のために、熱転写記録媒体をロール状
に巻回した状態で保存するばあいに、ブロッキングが生
じず、また熱転写時にリボンカセットの摺動部材に粘着
したり、受像体の擦り汚れが生じない。
【0022】本発明の前記構成の熱転写記録媒体はつぎ
の方法により好適に製造できる。
【0023】まず、図2に示されるごとく、基材1上に
接着層2および熱溶融性インク層3を設け、該熱溶融性
インク層3上に多孔質膜4を形成して中間製品をうる。
ついでこの中間製品を熱溶融性インク層3の軟化温度以
上に加熱して多孔質膜4を熱溶融性インク層3の表面部
に沈み込ませ、多孔質膜4の孔5に熱溶融性インクを充
填せしめて、図1に示される構成の熱転写記録媒体をう
る。
【0024】前記基材としては、ポリエチレンテレフタ
レートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、
ポリアリレートフィルムなどのポリエステルフィルム、
ポリカーボネートフィルム、ポリアミドフィルム、アラ
ミドフィルム、その他この種のインクリボンの基材用フ
ィルムとして一般に使用されている各種のプラスチック
フィルムが使用できる。またコンデンサーペーパーのよ
うな高密度の薄い紙を使用してもよい。基材の厚さは熱
伝導を良好にする点から1〜10μm程度、なかんづく
2〜7μm程度が好ましい。
【0025】基材として前記プラスチックフィルムを使
用するばあい、その背面(サーマルヘッドに摺接する側
の面)にシリコーン樹脂、フッ素樹脂、ニトロセルロー
ス樹脂、あるいはこれらによって変性された、たとえば
シリコーン変性ウレタン樹脂、シリコーン変性アクリル
樹脂など各種の耐熱性樹脂、あるいはこれら耐熱性樹脂
に滑剤を混合したものなどからなる、従来から知られて
いるスティック防止層を設けてもよい。
【0026】前記接着層は、樹脂を主体とするものであ
り、樹脂としてはポリウレタン樹脂、エチレン−酢酸ビ
ニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、エチ
レン−アクリレート共重合体、ポリアミド樹脂、ポリエ
チレン、ポリエステル樹脂、石油樹脂などの1種または
2種以上があげられる。必要によりワックスを少量配合
してもよい。さらにカーボンブラックなどの粒子を配合
して接着層の表面に凹凸を設け、熱溶融性インク層との
接着性を高めるようにしてもよい。
【0027】前記接着層は前記成分を有機溶剤に溶解、
分散した塗工液を基材上に塗布、乾燥することによって
形成できる。接着層の塗布量(乾燥後塗布量、以下同
様)は0.3〜1.5g/m2程度が適当である。
【0028】本発明に用いられる熱溶融性インク中のワ
ックスは融点が50℃以上、好ましくは60〜90℃の
範囲内にあり、ASTM D−1321記載の針入度測
定方法により、25℃の条件下にて測定される針入度が
50以上、好ましくは70〜100の範囲内にあり、溶
融粘度が200cps/140℃以下の外観がグリース
状であるポリエチレンワックスであり、好ましくは融点
mp(℃)と軟化開始温度A(℃)の関係が、下記の式
(I):
【0029】
【数4】
【0030】で表わすことができるものである。融点が
前記範囲より低いと、熱転写記録媒体の保存温度が高い
ばあい、該熱転写記録媒体のブロッキングが生じる。ま
た、針入度が前記範囲より低いと、ラフ紙に転写したば
あいに印像にボイドが生じたり、転写性がわるくなる。
軟化開始温度が前記式(I)を満たさないばあい、高
度の印像を繰返し印字することが可能な熱転写記録媒体
をうることができない傾向にある。
【0031】また前記特定の条件を満すポリエチレン
ックスの熱溶融性インク層中の含有量は5〜50重量%
が好ましい。含有量が前記範囲より少ないと繰返し印字
性が劣り、転写感度もわるくなり、ボイドも多くなる。
含有量が前記範囲より多いと繰返し印字性が劣り、ブロ
ッキングが生じる。
【0032】溶融粘度が40cps/140℃のポリエ
チレンワックスを一例としてあげ、そのDSC曲線を図
4に示した。前記DSC曲線から、前記溶融粘度が40
cps/140℃のポリエチレンワックスはかなり低い
温度から溶融を開始することが判り、また該ポリエチレ
ンワックスの融点mpは、88.7℃であり、軟化開始
温度Aは0℃であることが判る。また、ここで一例とし
てあげたポリエチレンワックスの針入度は90である。
【0033】前記ビヒクルに使用できる前記ポリエチレ
ワックス以外の成分としては、前記以外のワックスお
よび熱可塑性樹脂(エラストマーを含む)があげられ
る。
【0034】前記以外のワックスとしては、たとえば木
ロウ、蜜ロウ、カルナバワックス、キャンデリラワック
ス、モンタンワックス、セレシンワックスなどの天然ワ
ックス;パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワ
ックスなどの石油系ワックス;酸化ワックス、エステル
ワックス、ポリエチレンワックス、フィッシャートロプ
シュワックス、α−オレフィン−無水マレイン酸共重合
ワックスなどの合成ワックス;ミリスチン酸、パルミチ
ン酸、ステアリン酸、ベヘン酸などの高級脂肪酸;ステ
アリルアルコール、ドコサノールなどの高級脂肪族アル
コール;高級脂肪酸モノグリセリド、ショ糖の脂肪酸エ
ステル、ソルビタンの脂肪酸エステルなどのエステル
類;ステアリン酸アミド、オレイルアミドなどのアミド
類およびビスアミド類などの1種または2種以上あげら
れる。
【0035】前記熱可塑性樹脂(エラストマーを含む)
としては、たとえば石油系樹脂、フェノール系樹脂、ア
クリル系樹脂、スチレン系樹脂、スチレン−アクリル系
共重合体樹脂、ロジン系樹脂、ピネン系樹脂、クマロン
−インデン系樹脂などの粘着付与剤樹脂、エチレン−酢
酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重
合体などのオレフィン系共重合樹脂、ポリアミド系樹
脂、ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリウレタ
ン系樹脂、アクリル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、セルロ
ース系樹脂、ビニルアルコール系樹脂、スチレン系樹
脂、酢酸ビニル系樹脂や、天然ゴム、スチレン−ブタジ
エンゴム、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、ポリイ
ソブチレン、ポリブテンなどのその他の熱可塑性樹脂の
1種または2種以上があげられる。
【0036】本発明においては、前記ビヒクル材料を適
宜混合して、インク層の融点と軟化開始温度との差を3
0℃以上、なかんづく40℃以上とするのが好ましい。
【0037】前記着色剤としては、従来からこの種の熱
溶融性インクの着色剤として使用されているものがいず
れも使用でき、カーボンブラックをはじめとして無機、
有機の各種顔料や染料などが適宜使用される。
【0038】熱溶融性インク層における前記各成分の好
ましい配合割合を下記に示す。
【0039】 成分 重量部 ポリエチレンワックス (前記特定(mp、A、針入度が特定)のもの) 5〜50 ワックス(前記特定以外のもの) 15〜40 粘着付与剤樹脂 0〜20 (好ましくは5〜20) その他の熱可塑性樹脂 0〜40 着色剤 5〜40 熱溶融性インク層の塗布量は4.0g/m2〜8.0g
/m2の範囲、なかんづく5.0〜7.0g/m2の範囲
が好ましい。熱溶融性インクの塗布量が前記範囲未満で
は繰返し印字性が劣り、一方前記範囲より多いと転写感
度がわるくなる。
【0040】熱溶融性インク層は、前記材料からなるイ
ンクをホットメルトコーティング法あるいは溶剤コーテ
ィング法など適宜の塗布法で塗布し、乾燥することによ
り形成できる。
【0041】本発明に用いられる熱溶融性インク層中に
は、前記特定(mp、A、針入度が特定)のワックスを
5〜50重量%の範囲内で含有するために、該熱溶融性
インクの軟化開始温度も融点に比べて低い温度であり、
多数回の印字を行うことが可能となり、また多数回印字
しても転写性がわるくなりにくく、ラフ紙への転写性も
よい。
【0042】本発明に用いられる多孔質膜は、その表面
部分の孔の平均径r(cm)が1.0×10-5〜1.0
×10-3の範囲内、その表面部分の孔密度ρ(個/cm
2)が1.2×106〜1.0×109の範囲内であるこ
とが好ましい。孔の平均径が前記範囲より小さいと熱溶
融性インクが孔より滲出しにくくなるために、繰り返し
印字において濃度の低下が生じる傾向があり、前記範囲
より大きいと1度に滲出す熱溶融性インクの量が所望の
量より多くなるために多数回の印字を行うことができな
くなる傾向がある。また、孔の密度が前記範囲より小さ
いと、孔の平均径が前記範囲の下限値に近いばあいに熱
溶融性インクが孔より滲出しにくくなる傾向があり、孔
の密度が前記範囲より大きいと、孔の平均径が前記範囲
の上限値に近いばあいに1度に滲出する熱溶融性インク
の量が所望の量より多くなるために多数回の印字を行う
ことができなくなる傾向がある。
【0043】前記多孔質膜はつぎの方法で形成するのが
好ましい。すなわち、前記熱溶融性インク層上に、セル
ロースアセテート、セルロースアセテートプロピオネー
ト、セルロースアセテートブチレート、エチルセルロー
ス、ニトロセルロースおよびエチルヒドロキシエチルセ
ルロースよりなる群から選ばれる少なくとも1種の樹脂
を必須成分とするw/o型エマルジョンを塗布、乾燥し
て多孔質膜を形成する。このように多孔質膜を前記特定
のセルロース系樹脂のw/o型エマルジョンから形成す
ることにより、多孔質膜の孔径および孔密度を設計値ど
おりに制御することができる。
【0044】前記多孔質膜の形成方法について詳細に説
明すると、多孔質膜の形成に使用するw/o型エマルジ
ョンの樹脂成分として、セルロースアセテート、セルロ
ースアセテートプロピオネート、セルロースアセテート
ブチレート、エチルセルロース、ニトロセルロースおよ
びエチルヒドロキシエチルセルロースの1種または2種
以上を使用する。
【0045】このような特定の樹脂を使用することによ
って、該樹脂を溶解させた油相と水相の比率、乳化剤の
種類など乳化条件を適正に選択すれば、所定の粒径の水
相を有する安定したw/o型エマルジョンがえられ、こ
れを熱溶融性インク層上に塗布、乾燥することによっ
て、ほぼ設計どおりの孔径、孔密度を有する多孔質膜が
形成できる。
【0046】前記w/o型エマルジョンは以下のように
して製造する。
【0047】前記特定の樹脂を水と不混和性または難混
和性の有機溶剤に溶解させる。有機溶剤に対する樹脂の
使用量は、樹脂の種類によっても異なるが、w/o型エ
マルジョンを製造する上で適正な溶液粘度をえる観点か
ら、有機溶剤100部(重量部、以下同様)に対して、
樹脂3〜10部の割合が好ましい。樹脂の使用量がこの
範囲より少ないと、安定したエマルジョンがえられない
傾向があり、一方多いとえられたエマルジョンの粘度が
高くなり、塗工適性が低下する。樹脂の溶解速度を大き
くするために、、撹拌機による撹拌下および/または加
熱下に溶解させてもよい。多孔質膜をうるためには有機
溶剤が水より早く揮散する必要があり、この点から沸点
が90℃以下の有機溶剤が好ましい。有機溶剤としては
メチルエチルケトン(沸点79.6℃)がとくに好まし
い。
【0048】水に乳化剤を溶解する。乳化剤は水100
部に対して1〜5部の範囲で使用するのが好ましい。乳
化剤の量がこの範囲を外れると、エマルジョンの安定性
がわるくなり、エマルジョンの破壊が生じる傾向にあ
る。乳化剤の溶解速度を大きくするため、撹拌機による
撹拌下および/または加熱下に溶解させてもよい。乳化
剤はw/o型乳化剤から適宜選択され、たとえばポリグ
リセリン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪
酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン
アルキルエーテルなどが使用できる。
【0049】前記乳化剤を溶解した水溶液と樹脂溶液を
混合し、撹拌機で撹拌して乳化を行なう。水溶液と樹脂
溶液の混合比は1:9〜4:6(重量比)の範囲が好ま
しく、このように水溶液の割合を少なくする。撹拌を続
けると、樹脂溶液の中に水の小さな粒子が生じ、乳濁し
てくる。かくして安定なw/o型エマルジョンがえられ
る。エマルジョン中の水粒子の平均粒径は、多孔質膜の
平均孔径をどの程度に設定するかによって異なるが、
0.1〜15μmの範囲とするのが好ましい。
【0050】前記w/o型エマルジョンを熱溶融性イン
ク層上に適宜の塗布機で塗布し、乾燥する。乾燥は熱風
ドライヤーなどで40〜70℃で行なえばよく、容易に
乾燥する。乾燥後は加熱下にエージングする必要はな
い。かくして多孔質膜がえられる。多孔質膜の塗布量
(乾燥後塗布量、以下同様)は0.1〜1.5g/m2
の範囲が好ましい。塗布量が0.1g/m2より少ない
と、熱溶融性インクの転写量の制御が困難となり、また
転写時に多孔質膜が破壊される惧れがある。一方1.5
g/m2より多いと、熱溶融性インクの滲み出しが困難
となり、画像濃度が低下する傾向にある。
【0051】ついで前記多孔質膜を熱溶融性インク層の
表層部に沈み込ませ、多孔質膜の孔中に熱溶融性インク
を充填する。それによって所定濃度の印字がえられるよ
うになる。この沈み込みは、熱溶融性インクの軟化温度
以上でかつ多孔質膜を構成する樹脂の軟化温度より低い
温度で加熱処理することによって行なうことができる。
この加熱処理の温度は通常60〜90℃の範囲から選択
される。加熱手段としてはホットロールなどが使用でき
る。かくして目的とする熱転写記録媒体がえられる。
【0052】前記の方法にしたがって、前記のように適
正な材料と材料の配合比および適正な製造条件でえられ
たw/o型エマルジョンは、その中の水の粒子の粒径お
よび密度がほぼ設計どおりの粒子径および密度となり、
かつ保存しても安定である。そしてこの水の粒子は、w
/o型エマルジョンを塗布、乾燥する際に多孔質膜の孔
部分を形成するものであり、w/o型エマルジョン中に
所定の粒径の水粒子が所定密度で存在するため、所定の
孔径および孔密度の多孔質膜がえられる。
【0053】つぎに実施例および比較例をあげて本発明
を説明する。
【0054】実施例1〜3および比較例1〜4 [接着層の形成] 下記処方のうち樹脂成分を溶剤中に均一に溶解させ、こ
れにカーボンブラックおよび分散剤を加え、均一に分散
させて接着層用塗工液を調製した。
【0055】 成 分 重量部 ポリウレタン樹脂 73 顔料分散剤 2 カーボンブラック 25 メチルエチルケトン 100 片面に塗布量0.2g/m2のシリコーン樹脂系ステイ
ック防止層を設けた厚さ4.5μmのポリエチレンテレ
フタレートフィルムの他面に前記接着層用塗工液を塗布
し、乾燥させ塗布量0.5g/m2の接着層を形成し
た。
【0056】[熱溶融性インク層の形成] 表1に示される処方の混合物を加熱した3本ロールで充
分に混練して熱溶融性インクを調製し、これを前記接着
層上にホットメルトコータで塗布して、熱溶融性インク
層を形成した。
【0057】熱溶融性インクの融点および溶融開始温度
は、セイコー電子(株)製の示差走査熱量計、SSC/
5200でえられたDSC曲線から求めた。また溶融粘
度は(株)レオロジー製のソリキッドメーター、MR−
300で測定した。結果を表1に示す。
【0058】[多孔質膜の形成] 下記処方の樹脂を溶剤に加え、50℃に加熱し、デイス
パーで撹拌して溶解させて、樹脂溶液を調製した。この
樹脂溶液中に下記処方の乳化剤水溶液を加え、前記デイ
スパーで1時間撹拌してw/o型エマルジョンを調製し
た。
【0059】 成 分 重量部 (樹脂溶液) セルロースアセテートプロピオネート 1.0 エチルセルロース 4.0 メチルエチルケトン 70.0 (乳化剤水溶液) ポリエチレングリコール脂肪酸エステル 1.0 水 24.0 前記w/o型エマルジョンを前記熱溶融性インク層上に
塗布し、45℃で乾燥させて、塗布量0.3g/m2
多孔質膜を形成した。
【0060】えられた多孔質膜の表面部分を走査型電子
顕微鏡(日本電子(株)製JSM/T−20)を用い、
倍率2000倍で観察して平均孔径を求め、倍率500
倍で観察して孔密度を求めた。実施例1〜3および比較
例1〜4について同じ結果(下記)であった。
【0061】 平均孔径(cm) 2.5×10-4 孔密度(個/cm2) 3.0×107 前記多孔質膜を有する積層物を80℃に加熱されたホッ
トロール上を基材側がホットロールと接するように通し
た。加熱後の積層物表面を前記走査型電子顕微鏡で観察
したところ、表面には多孔質膜は認められず、熱溶融性
インク層の表面近傍に沈み込んでいることがわかった。
【0062】[繰返し印字評価試験] 前記でえられた各熱転写記録媒体をラインプリンタ(東
京電気(株)製B−30)に装着し、該熱転写記録媒体
の同じ位置を下記印字条件下で4回印字し、各回の印字
の印字濃度をマクベス社製反射濃度計(RD−914)
で測定し、この値を基にして、下記の評価基準により繰
返し印字性の総合評価をした。結果を表1に示す。
【0063】 (印字条件) サーマルヘッド:ラインヘッドタイプ ヘッド圧 :1000g/インチ 印字エネルギー:16.8mJ/mm2 印字速度 :4インチ/秒 受像紙 :バーコードラベル紙(ベック平滑度4
50秒) 繰返し印字性の総合評価は下記の式で表わされる印字濃
度の減衰率(%)で評価した。
【0064】
【数5】
【0065】(評価基準) 5:減衰率が20%未満である。 4:減衰率が20%以上、40%未満である。 3:減衰率が40%以上、60%未満である。 2:減衰率が60%以上、80%未満である。 1:減衰率が80%以上である。
【0066】なお、評価基準5および4が実用域内であ
る。
【0067】[印字感度評価試験] 繰返し印字評価試験で用いたものと同じ各熱転写記録媒
体をバーコードプリンタ(東京電気(株)製B−30)
を用いて、前記印字条件で印字し、えられた1ドット市
松模様印字を目視にて観察し、下記の基準で評価をし
た。結果を表1に示す。
【0068】(評価基準) 5:1ドットが充分に印字できている。 4:僅かに欠けている箇所がある。 3:欠けている箇所が多い。 2:1ドットが確認できるが、欠けている箇所が非常に
多い。 1:1ドットが確認できない。
【0069】なお、評価基準5および4が実用域内であ
る。
【0070】[印字品質(ボイド)評価試験] 前記繰返し印字評価試験でえた1回目の印字を目視にて
観察し、下記の基準で評価をした。結果を表1に示す。
【0071】(評価基準) 5:ボイドがほとんどない。 4:僅かにボイドがある。 3:ボイドが多い。 2:ボイドが非常に多い。 1:ボイドが著しく多い。
【0072】なお、評価基準5および4が実用域内であ
る。
【0073】
【表1】
【0074】[耐ブロックキング性評価試験] 各熱転写記録媒体を、幅18mmのリボンにスリット
し、これをパンケーキ状に巻回してロール状にしたもの
を、温度50℃、湿度85%RHの条件下で96時間保
存したのち、つぎのようにして耐ブロッキング性を評価
した。
【0075】保存後のロール状リボンの一端を持ちロー
ルを自重落下させ、ロールが床に着いた後に、リボンの
一端を引張ってリボンをほどき、リボン全長がほどける
か否かを評価した。その結果、比較例3のみが、途中で
止まってすべてはほどけなかった。
【0076】
【発明の効果】発明によれば、多孔質膜を熱溶融性イ
ンク層の表面近傍に設けることによって、印字毎に該多
孔質膜を通してインクを少しずつ滲み出させるように
し、熱溶融性インク層中のビヒクルが融点が50℃以上
かつ針入度が50以上であり、溶融粘度が200cps
/140℃以下の外観がグリース状であるポリエチレン
ワックスからなり、熱溶融性インク層中に該ポリエチレ
ワックスを5〜50重量%の範囲内で含有させること
により、繰返し印字において、印字濃度の低下が少な
く、所定濃度以上の高画質の印字を多数回うることがで
き、またラフ紙への転写性がよく、ボイドの少ない印像
を与える熱転写記録媒体を提供することができる。
【0077】さらに、発明において、融点mp(℃)
と軟化開始温度A(℃)の関係が、下記の式(I):
【0078】
【数6】
【0079】で表わすことができるポリエチレンワック
スを用いることによって、さらに印字濃度の低下が少な
くなり、所定濃度以上の高画質の印字を多数回うること
のできる熱転写記録媒体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の熱転写記録媒体の一実施例を示す概略
断面図である。
【図2】本発明の熱転写記録媒体の中間製品を示す概略
断面図である。
【図3】熱溶融性インクのDSC曲線を示すグラフであ
る。
【図4】本発明に使用するワックスの1例(溶融粘度が
40cps/140℃のポリエチレンワックス)のDS
C曲線を示すグラフである。
【符号の説明】
1 基材 2 接着層 3 熱溶融性インク層 4 多孔質膜 5 孔
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 篠原 智裕 大阪府大阪市西淀川区御幣島5丁目4番 14号 フジコピアン株式会社 技術セン ター内 (56)参考文献 特開 平4−179582(JP,A) 特開 平3−16789(JP,A) 特開 平6−143845(JP,A) 特開 平2−127083(JP,A) 特開 平4−16389(JP,A) 特開 平5−246156(JP,A) 特開 平7−314907(JP,A) 特開 昭62−51488(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B41M 5/38 - 5/40

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基材の片面に、接着層を介して熱溶融性
    インク層を有し、該熱溶融性インク層の表面近傍に多孔
    質膜を有する熱転写記録媒体であって、該熱溶融性イン
    ク層がビヒクルと着色剤とからなり、該ビヒクルが融点
    が50℃以上かつASTM D−1321記載の針入度
    測定方法により、25℃の条件下にて測定される針入度
    が50以上であり、溶融粘度が200cps/140℃
    以下の外観がグリース状であるポリエチレンワックスか
    らなり、熱溶融性インク層中の該ポリエチレンワックス
    の含有率が5〜50重量%の範囲内にあることを特徴と
    する繰返し印字可能な熱転写記録媒体。
  2. 【請求項2】 前記ポリエチレンワックスの融点mp
    (℃)と軟化開始温度A(℃)の関係が、下記の式
    (I): 【数1】 で表わされることを特徴とする請求項1記載の繰返し印
    字可能な熱転写記録媒体。
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