JP3309817B2 - トルクセンサの製造方法 - Google Patents

トルクセンサの製造方法

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JP3309817B2 JP32292098A JP32292098A JP3309817B2 JP 3309817 B2 JP3309817 B2 JP 3309817B2 JP 32292098 A JP32292098 A JP 32292098A JP 32292098 A JP32292098 A JP 32292098A JP 3309817 B2 JP3309817 B2 JP 3309817B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、トルクセンサの
製造方法に関し、特に、より信頼性の高いトルクセンサ
を製造できるようにしたものである。
【0002】
【従来の技術】この種の従来の技術としては、例えば本
出願人が先に提案した特開平8−240491号公報に
開示されたものがある。かかる公報に開示されたトルク
センサは、同軸に配設された第1及び第2の回転軸をト
ーションバーを介して連結するとともに、導電性で且つ
非磁性の材料からなる円筒部材を、前記第1の回転軸の
外周面を包囲するように、前記第2の回転軸と回転方向
に一体とし、前記第1の回転軸の少なくとも前記円筒部
材に包囲された被包囲部を磁性材料で形成し、前記被包
囲部に軸方向に延びる溝を形成し、前記円筒部材には、
前記第1の回転軸との間の相対回転位置に応じて前記溝
との重なり具合が変化するように窓を形成し、そして、
前記円筒部材の前記窓が形成された部分を包囲するよう
にコイルを配設し、そのコイルのインダクタンスに基づ
いてトルクを検出するようになっており、これにより、
簡易な構造で高精度のトルク検出が行え、しかも装置の
小型化も図られるという効果が得られる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】確かに、上記公報に開
示された従来のトルクセンサであれば、上記のような効
果を奏することができる。ここで、上記公報に開示され
たようなトルクセンサの第1の回転軸、第2の回転軸、
トーションバー及び円筒部材を組み立てる際には、円筒
部材に形成された窓と、第1の回転軸に形成された軸方
向に延びる溝とが、所定の位相関係(トルク零のときの
位相関係)になるように第1及び第2の回転軸の回転方
向の位置関係を調整するようになっている。具体的に
は、例えば、トーションバーの一端部は、第2の回転軸
にスプライン結合し、トーションバーの他端側は、第1
の回転軸内に挿入しただけで自由に回転できる状態にし
ておき、円筒部材の一端部を第2の回転軸に固定し、こ
の状態で、第1の回転軸及び第2の回転軸の相対回転位
置を調整し、円筒部材の窓と軸方向溝とが所定位相関係
になったことが検出されたときに、トーションバーの他
端側を第1の回転軸にピン結合する、というようにして
いた。
【0004】そして、円筒部材の窓と軸方向溝とが所定
位相関係になったことは、製造装置用に設けられた一対
のコイルの出力電圧の差を監視することにより検出する
のである。つまり、トルクセンサに組み込まれる一対の
コイルと同じような位置関係になるように、製造装置用
の一対のコイルの内側に第1の回転軸や第2の回転軸を
配設し、その製造装置用の一対のコイルは、一対の固定
抵抗とともにブリッジ回路を形成するように接続し、そ
れらコイル端の電圧を検出し、二つのコイル端の電圧が
一致したとき(差が零になったとき)に、円筒部材の窓
と軸方向溝との位相関係が、トルク零のときの位相関係
になったと判断し、その状態で、トーションバーの他端
側を、第1の回転軸にピン結合するのである。
【0005】しかしながら、上記のような円筒部材と軸
方向に延びる溝とを利用したトルクセンサの場合、現実
には上記公報の実施例にも記載されるように一対のコイ
ルの出力の差動に基づいてトルクを検出する構成である
ため、それら一対のコイルは厳密に同特性であることが
望ましく、且つ、各コイルが置かれる環境も厳密に同一
であることが望ましいにも関わらず、円筒部材はその一
端部は第2の回転軸に固定され他端部は開口しているか
ら、一方のコイルは円筒部材の第2の回転軸への取付部
位に近く、他方のコイルはその取付部位から遠いし、ま
た、第1の回転軸に形成されている溝はその第1の回転
軸の先端部側には開口しているが逆端部側はそうではな
い。このため、一対のコイルのそれぞれを厳密に同一の
環境に置くということは、寸法等に制約のある製品とし
てのトルクセンサにとっては実際には不可能なことであ
る。
【0006】すると、上述したように、円筒部材と軸方
向に延びる溝との位相関係を検出するときに、製造装置
用として厳密に同特性の一対のコイルを用いてしまう
と、それらコイルの内側に第1の回転軸や第2の回転軸
を配した状態では一対のコイルのインピーダンスに既に
差が生じてしまい、これでは、上記のようにコイル端の
電圧が一致したときにトーションバーの他端側を第1の
回転軸に固定してしまうと、円筒部材の窓と軸方向溝と
の位相関係は本来の中立位置からずれてしまうのであ
る。その結果、第1の回転軸と第2の回転軸との相対回
転を所定角度範囲に規制するためのストッパ構造の中立
位置と、トーションバーに捩れが生じていないとき(ト
ルクが零のとき)のストッパ構造の位置とがずれてしま
うから、それら第1の回転軸及び第2の回転軸の相対回
転可能な角度範囲が、回転方向で異なってしまうし、ま
た、トルクが零のときにおける円筒部材の窓と軸方向溝
との位相関係も本来の中立位置からずれてしまうため、
トルクセンサとしての特性も回転方向で異なってしま
う。
【0007】なお、このような不具合は、上記公報に開
示された形式のトルクセンサだけに限られたものではな
く、第1の回転軸及び第2の回転軸をトーションバーを
介して連結し、それらと同軸に一対のコイルを配設し、
トルクに応じて一対のコイルのインピーダンスを互いに
逆方向に変化させるようになっている形式のトルクセン
サであれば、そのインピーダンスを互いに逆方向に変化
させるための構成に起因して一対のコイルのインピーダ
ンスには差が生じるため、同様に備えている不具合であ
る。
【0008】本発明は、このような従来の技術が有する
未解決の課題に着目してなされたものであって、上記の
ような組立時における本来の中立位置からのずれを小さ
くでき、より信頼性の高いトルクセンサを製造すること
ができる方法を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は、同軸に配設された第1及び第2の回転軸
をトーションバーを介して連結するとともに、前記第1
及び第2の回転軸と同軸に一対のコイルを配設し、前記
第1及び第2の回転軸の相対回転に応じて前記一対のコ
イルのインピーダンスを互いに逆方向に変化させるイン
ピーダンス可変手段を設け、そして、前記一対のコイル
のインピーダンス変化に基づいてトルクを検出するよう
になっているトルクセンサの製造方法であって、前記イ
ンピーダンス可変手段の構成に起因して前記一対のコイ
ルのインピーダンスに表れる偏差の平均値を統計的に予
め求めておき、その偏差の平均値を相殺するようなコイ
ル単体としてのインピーダンス差を有する一対のコイル
を製造装置用として選別し、前記インピーダンス可変手
段の組立を行う際に、前記製造装置用の一対のコイルを
用いて、前記インピーダンス可変手段の中立位置を検出
するようにした。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
に基づいて説明する。図1乃至図6は本発明の一実施の
形態を示す図であって、この実施の形態は、本発明に係
るトルクセンサを、車両の電動パワーステアリング装置
に適用したものであり、図1は操舵系の要部を示す縦断
面図である。
【0011】先ず、構成を説明すると、上側ハウジング
1A及び下側ハウジング1Bからなるハウジング1内に
は、トーションバー4を介して連結された入力軸2及び
出力軸3が、軸受5a,5b及び5cによって回転自在
に支持されている。これら入力軸2,出力軸3及びトー
ションバー4は、同軸に配設されていて、トーションバ
ー4の上端側は入力軸2内に深く入り込んだ位置におい
てその入力軸2にピン結合されて回転方向に一体となっ
ており、また、トーションバー4の下端側は出力軸3に
スプライン結合されて回転方向に一体となっている。入
力軸2及び出力軸3は鉄等の磁性材料から形成されてい
る。
【0012】そして、入力軸2の上端部には、図示しな
い自在継ぎ手やステアリングシャフト等を介してステア
リングホイールが回転方向に一体に取り付けられてお
り、また、出力軸3の下端部にはピニオン軸3aが一体
に形成されていて、ピニオン軸はラック軸6に噛合して
いる。これらピニオン軸3a及びラック軸6は、公知の
ラックアンドピニオン式ステアリング装置を構成するも
のであり、従って、運転者がステアリングホイールを操
舵することにより発生した操舵力は、入力軸2,トーシ
ョンバー4,出力軸3及びラックアンドピニオン式ステ
アリング装置を介して、図示しない転舵輪に伝達され
る。
【0013】さらに、出力軸3には、これと同軸に且つ
一体に回転するウォームホイール7が外嵌し、このウォ
ームホイール7の樹脂製の噛合部7aと、電動モータ8
の出力軸8a外周面に形成されたウォーム8bとが噛み
合っている。従って、電動モータ8の回転力は、その出
力軸8a,ウォーム8b及びウォームホイール7を介し
て出力軸3に伝達されるようになっており、電動モータ
8の回転力及び回転方向を適宜制御することにより、出
力軸3に適切な操舵補助トルクを付与できるようになっ
ている。
【0014】そして、図1並びに入力軸2,出力軸3
(端部のみ)及びトーションバー4を各別に分解した状
態の斜視図である図2に示すように、入力軸2の出力軸
3に近接した部分の外周面には、入力軸2と同軸の大径
部2Aが形成されていて、この大径部2Aの外周面に近
接してこれを包囲するように、肉薄の円筒部材10が配
設されている。
【0015】即ち、円筒部材10は、導電性で且つ非磁
性の材料(例えば、アルミニウム)から形成され、その
下端部が、出力軸3の入力軸2側端部外周面に固定され
ている。具体的には、出力軸3端部の図2とは異なる方
向からの斜視図である図3、出力軸3端部の断面図であ
る図4(a)、及びトーションバー4及び円筒部材10
を固定した状態での断面図である図5に示すように、出
力軸3の入力軸2側端部には、大径部3Aが形成されて
いて、その大径部3Aの外周面には、軸方向に延びる複
数(この例では、4本)の軸方向溝11と、周方向に連
続した周方向溝12とが形成されている。なお、図4
(b)は同(a)のA方向矢視図であり、同(a)は同
(b)のB−B線断面図に相当する。また、図5(a)
は同(b)のC−C線断面図に相当する。
【0016】そして、各軸方向溝11は、互いに周方向
に等間隔(90度)離れて、大径部3Aの両端部間に渡
って形成されており、また、周方向溝12は、円筒部材
10を固定した際にその円筒部材10の端部が位置する
付近に形成されている。一方、円筒部材10の内周面に
は、その下端部から若干張り込んだ位置に、複数(この
例では、4つ)の半球状の突起13が形成されている。
これら突起13の個数及び形成位置は出力軸3の軸方向
溝11に対応していて、従って、突起13は、互いに周
方向に等間隔(90度)離れている。また、突起13の
高さは、軸方向溝11の深さと同程度である。
【0017】そして、円筒部材10を大径部3Aに固定
する際には、その突起13を軸方向溝11に嵌合させる
ことにより、円筒部材10の出力軸3に対する周方向の
位置決めを行い、それから円筒部材10を押し込み、そ
の端部を周方向溝12に近接させ、その状態で円筒部材
10端部を内側にかしめて周方向溝12に食い込ませ
る。つまり、出力軸3に対する円筒部材10の周方向位
置は、軸方向溝11に突起13が嵌合することにより固
定され、出力軸3に対する円筒部材10の軸方向位置
は、その端部が周方向溝12に食い込むことにより固定
されている。
【0018】また、出力軸3の入力軸2側端部には、ト
ーションバー4とのスプライン結合用のスプライン孔3
Bが同軸に形成されるとともに、そのスプライン孔3B
の端面側内周面には、メスストッパ14が形成されてい
る。メスストッパ14は、図4に詳細に図示されるよう
に、内周面が径方向外側に凹んだ四つの凹部14Aを有
する十字形の孔である。
【0019】そして、メスストッパ14に対応して、入
力軸2の端部には、オスストッパ15が形成されてい
る。オスストッパ15は、図2に詳細に図示されるよう
に、外周面が径方向外側に突出した四つの凸部15Aを
有する十字形の軸であって、各凸部15Aの周方向の幅
は、凹部14Aの周方向の幅よりも若干小さくなってい
て、これにより、入力軸2及び出力軸3間の相対回転を
所定角度範囲(±5度程度)に規制するようになってい
る。
【0020】一方、円筒部材10の組立後に大径部2A
を包囲する部分には、突起13から遠い側に、周方向に
等間隔離隔した長方形の複数の窓10aが形成され、突
起13に近い側に、窓10a,…,10aと位相が18
0度ずれるように、周方向に等間隔離隔した長方形の複
数の窓10bが形成されている。
【0021】これに対し、入力軸2の大径部2Aには、
軸方向に延びる複数の溝2aが等間隔に形成されてい
る。但し、溝2aの本数は、窓10a,10bのそれぞ
れの個数と同じである。そして、入力軸2と出力軸3と
の間に相対回転が生じていないとき(操舵トルクが零の
とき)に、各溝2aの幅方向中心と、窓10aの幅方向
中心との位相が90度となるように位置し、各溝2aの
幅方向中心と、窓10bの幅方向中心との位相が逆方向
に90度となるように位置するようになっている。具体
的な組立手順については、後述する。
【0022】図1に戻って、上側ハウジング1Aの内側
には、円筒部材10を包囲するように、同一規格のコイ
ル20A,20Bが巻き付けられたボビンを内周側に支
持する磁性材料からなるヨーク20が固定されている。
但し、コイル20A,20Bは円筒部材10と同軸にな
っていて、一方のコイル20Aは、円筒部材10の窓1
0a,…,10aが形成された部分を包囲し、他方のコ
イル20Bは、円筒部材10の窓10b,…,10bが
形成された部分を包囲している。
【0023】そして、各コイル20A,20Bの端部2
0aは、上側ハウジング1Aに形成されたセンサケース
21内に収容された基板22に接続されていて、基板2
2上には、図示しないモータ制御回路が構成されてい
る。モータ制御回路の具体的な構成は本発明の要旨では
ないため、詳細には説明しないが、例えば上記特開平8
−240491号公報に開示されるように、所定周波数
の交流電流をコイル20A,20Bに供給する発振部
と、コイル20Aの自己誘導起電力を整流及び平滑して
出力する第1整流平滑回路と、コイル20Bの自己誘導
起電力を整流及び平滑して出力する第2整流平滑回路
と、第1,第2整流平滑回路の出力の差を増幅して出力
する差動アンプと、差動アンプの出力から高周波ノイズ
を除去するノイズ除去フィルタと、ノイズ除去フィルタ
の出力に基づいて入力軸2及び円筒部材10の相対回転
変位の方向及び大きさを演算しその結果に例えば所定の
比例定数を乗じて操舵系に発生している操舵トルクを求
めるトルク演算部と、トルク演算部の演算結果に基づい
て操舵トルクを軽減する操舵補助トルクが発生するよう
な駆動電流を電動モータ8に供給するモータ駆動部と、
を備えて構成することができる。
【0024】次に、入力軸2,出力軸3,トーションバ
ー4及び円筒部材10を組み立てる際の具体的な手順に
ついて説明する。即ち、溝2aと窓10a,10bとの
重なり具合が上述のようになるように、入力軸2と円筒
部材10との位相合わせを行うことが必要なのである
が、円筒部材10は出力軸3に固定されるものであり、
入力軸2及び出力軸3はトーションバー4を介して結合
されるものであるため、各部の位相関係を以下のように
決定しておく。
【0025】先ず、操舵トルクが零の際に、入力軸2に
形成されたオスストッパ15と、出力軸3に形成された
メスストッパ14とを中立位置で組み合わされるように
したい。つまり、操舵トルクが零である(トーションバ
ー4が捩じれていない)組立時に、凹部14Aの中央部
に凸部15Aが位置すればよいのであるから、オススト
ッパ15の各凸部15Aの周方向位置を入力軸2の各部
位の位相を考える際の基準とし、メスストッパ14の各
凹部14Aの周方向位置を出力軸3の各部位の位相を考
える際の基準とする。
【0026】そこで、入力軸2に関しては、大径部2A
に形成される溝2a,…,2aの周方向位置を、凸部1
5Aを基準に決定しておく。これに対し、出力軸3に関
しては、大径部3Aの外周面に形成される軸方向溝1
1,…,11の周方向位置を、凹部14Aを基準に決定
する。
【0027】さらに、円筒部材10に関しては、各窓1
0a,…,10a、10b,…,10bの周方向位置
を、突起13を基準に決定しておく。このように各部位
の周方向位置を決定できれば、各溝2a,…,2aと、
各窓10a,…,10a、10b,…,10bとの位相
関係を、所望の関係にすることができる。
【0028】そして、実際に組み立てる際には、製造装
置用の一対のコイルを用意する。かかる製造装置用の一
対のコイルは、基本的には、トルクセンサ内に組み込ま
れるコイル20A、20Bと同一規格でよいのである
が、本実施の形態では、それら製造装置用の一対のコイ
ルの各コイル単体でのインピーダンスに、所定の偏差を
与えている。つまり、所定の偏差になるような一対のコ
イルを、製造装置用として選別することとしている。
【0029】その所定の偏差とは、コイル20A、20
Bのインピーダンスにトルクに応じて互いに逆方向に変
化を与える手段である円筒部材10や軸方向に延びる溝
2a等の構成に起因して、それらコイル20A、20B
のインピーダンスに生じる偏差を丁度相殺できるような
値のことであり、より具体的には、次のような統計的手
法により決定される。
【0030】即ち、入力軸2、出力軸3、トーションバ
ー4及び円筒部材10を実際に組み立てたもの(但し、
入力軸2とトーションバー4とは結合せず、入力軸2及
び出力軸3が自由に相対回転できるようにする)を多数
用意し、その用意された物のそれぞれについて、コイル
10Aと同様に配置となるようにコイルを配設した状態
で、入力軸2と出力軸3とを相対的に回転させながら、
コイルのインピーダンスをLCRメータを用いて測定
し、次いで、同じコイルをコイル10Bと同様の配置と
なるように配設した状態で、同じく入力軸2と出力軸3
とを相対的に回転させながら、コイルのインピーダンス
を測定する。そして、それら二回測定されたインピーダ
ンスの中央値(メスストッパ14及びオスストッパ15
が中立位置関係にあるときの値)の差(中央値偏差)を
求め、その中央値偏差を上記用意されたそれぞれの物に
ついて求められたら、その平均値を求め、その平均値
を、上述した円筒部材10や軸方向に延びる溝2a等の
構成に起因してコイル20A、20Bのインピーダンス
に生じる偏差として認識する。そこで、その偏差を丁度
相殺できるような偏差を有する一対のコイルを、コイル
単体でのインピーダンスが既知である多数のコイルの中
から見つけ出し、その見つけ出された一対のコイルを、
製造装置用の一対のコイルとして用いるのである。
【0031】そして、そのような製造装置用の一対のコ
イルをコイル20A、20Bと同じ位置に配設し、且
つ、その一対のコイルと固定抵抗とでブリッジ回路を形
成しておく。その製造装置用の一対のコイルの内側に、
入力軸2、出力軸3、トーションバー4及び円筒部材1
0を配設する。但し、このときは、円筒部材10は上述
の手順により出力軸3に固定され、トーションバー4の
一端部は出力軸3にスプライン結合されているが、入力
軸2及びトーションバー4他端部間は固定していない状
態である。そして、その状態で、一対のコイル端の電圧
を監視しつつ、入力軸2及び出力軸3を徐々に相対回転
させ、一対のコイル端の電圧が一致する回転方向位置を
探し、それら電圧が一致した位置で、入力軸2及びトー
ションバー4端部をピン結合して両者を一体とし、組立
を完了する。
【0032】このような手順を経て入力軸2、出力軸
3、トーションバー4及び円筒部材10を組み立てれ
ば、円筒部材10や軸方向に延びる溝2a等の構成に起
因してコイル20A、20Bに表れるインピーダンス偏
差を、結果としてキャンセルできる。
【0033】つまり、製造装置用の一対のコイルの両方
が完全に同規格のものであったとしても、入力軸2や出
力軸3の組立の際にそれら一対のコイルに表れるインピ
ーダンスと位相(回転角)との関係は、図6に実線Xと
破線Yとで示すように、円筒部材や軸方向に延びる溝2
の各コイルに対するアンバランスに起因して一方が他方
に比べて振幅方向にずれてしまい(非対称性に起因する
インピーダンス変化特性のズレ)、両コイルのインピー
ダンスが一致する位相が中立位相からずれてしまい(中
立位相のズレ)、結果として、円筒部材10の窓10
a、10bと軸方向に延びる溝2aとの間の位相にずれ
が残ったまま組立が行なわれてしまうのである。
【0034】これに対し、本実施の形態のように、所定
の偏差を与えた一対のコイルを製造装置用として用いる
と、入力軸2や出力軸3の組立の際にそれら一対のコイ
ルに表れるインピーダンスと位相との関係は、例えば図
6に実線Xと実線Zとで示すように振幅方向のずれが打
ち消された、丁度逆位相の関係になり、両方のインピー
ダンスが一致する位相と機械的な中立位相とが一致す
る、つまりメスストッパ14とオスストッパ15とが中
立位置で組み合わされるようになるから、入力軸2及び
出力軸3の相対回転可能な角度範囲が回転方向によって
一致しない可能性及び一致しない場合のその量を低減で
きるし、また、トルクセンサの回転方向による特性差を
より小さくすることができる。よって、それだけ信頼性
の高いトルクセンサを製造することができるのである。
【0035】さらに、上記のような入力軸2や出力軸3
の位相関係を確実に得るためには、各部の加工精度が極
めて重要である。そこで、本実施の形態では、入力軸2
に関しては、溝2aやオスストッパ15を冷間鍛造によ
り入力軸2と一体に形成するとともに、出力軸3に関し
ては、溝11を冷間鍛造により出力軸3と一体に形成す
ることとしている。
【0036】次に、本実施の形態の動作を説明する。
今、操舵系が直進状態にあり、操舵トルクが零であるも
のとすると、入力軸2及び出力軸3間には相対回転は生
じない。従って、入力軸2と円筒部材11との間にも相
対回転は生じない。
【0037】これに対し、ステアリングホイールを操舵
して入力軸2に回転力が生じると、その回転力は、トー
ションバー4を介して出力軸3に伝達される。このと
き、出力軸3には、転舵輪及び路面間の摩擦力やラック
アンドピニオン式ステアリング装置のギアの噛み合い等
の摩擦力に応じた抵抗力が生じるため、入力軸2及び出
力軸3間には、トーションバー4が捩じれることによっ
て出力軸3が遅れる相対回転が発生し、入力軸2及び円
筒部材10間にも相対回転が生じる。そして、その相対
回転の方向及び量は、ステアリングホイールの操舵方向
や発生している操舵トルクに応じて決まってくる。
【0038】入力軸2及び円筒部材10間に相対回転が
生じると、溝2aと、窓10a,…,10a、10b,
…,10bとの重なり具合が当初の状態から変化する
し、窓10a,…,10aと窓10b,…,10bとの
位相関係を上記のように設定しているため、溝2aと窓
10a,…,10aとの重なり具合と、溝2aと窓10
b,…,10bとの重なり具合とは、互いに逆方向に変
化する。
【0039】その結果、入力軸2及び円筒部材10間の
相対回転に応じて、コイル20Aの自己インダクタンス
と、コイル20Bの自己インダクタンスとは、互いに逆
方向に変化するから、コイル20Aのインピーダンス
と、コイル20Bのインピーダンスとは、同じく互いに
逆方向に変化し、それらコイル20A,20Bの自己誘
導起電力も互いに逆方向に変化するようになる。よっ
て、コイル20A,20Bの自己誘導起電力の差を求め
ると、その差は、操舵トルクの方向及び大きさに従って
リニアに変化するようになる。その一方で、温度等によ
る自己インダクタンスの変化は、モータ制御回路内の差
動アンプにおいてキャンセルされる。
【0040】そして、モータ制御回路内のトルク演算部
が、差動アンプの出力に基づいて操舵トルクを求め、モ
ータ駆動部が、その操舵トルクの方向及び大きさに応じ
た駆動電流を電動モータ8に供給する。すると、電動モ
ータには、操舵系に発生している操舵トルクの方向及び
大きさに応じた回転力が発生し、その回転力がウォーム
8b及びウォームホイール7を介して出力軸3に伝達さ
れるから、出力軸3に操舵補助トルクが付与されたこと
になり、操舵トルクが減少し、運転者の負担が軽減され
る。
【0041】さらに、本実施の形態では、出力軸3の端
部に、複数の軸方向溝11と、周方向溝12とを形成
し、軸方向溝11に円筒部材10の突起13を嵌合さ
せ、円筒部材10の端部をかしめて周方向溝12に食い
込ませているため、鉄製の出力軸3とアルミニウム製の
円筒部材10という材料の異なる部材間であっても、熱
膨張係数の違いなどに起因して保持力が低減するような
こともない。このため、円筒部材10の出力軸3に対す
る相対的な周方向位置や軸方向位置が当初の状態からず
れ、それがトルク検出値に含まれてしまう可能性を大幅
に低減できるのである。よって、安全性の点から高い信
頼性が必要な電動式パワーステアリング装置用のトルク
センサとして、極めて好適である。
【0042】また、本実施の形態では、溝2a及びオス
ストッパ15を冷間鍛造により入力軸2と一体に形成す
るとともに、軸方向溝11を冷間鍛造により出力軸3と
一体に形成しているため、組立時の位相合わせが容易で
あり、製造コストの低減に寄与できるという利点もあ
る。
【0043】ここで、本実施の形態では、入力軸2が第
2の回転軸に対応し、出力軸3が第1の回転軸に対応
し、溝2a、円筒部材10、窓10a,10bによって
インピーダンス可変手段が構成される。なお、上記実施
の形態では、本発明に係るトルクセンサを車両用の電動
式パワーステアリング装置に適用した場合について説明
したが、これに限定されるものではなく、他の用途のト
ルクセンサであっても、本発明は当然に適用することが
できる。
【0044】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
インピーダンス可変手段の構成に起因して一対のコイル
のインピーダンスに表れる偏差の平均値を統計的に予め
求めておき、その偏差の平均値を相殺するようなコイル
単体としてのインピーダンス差を有する一対のコイルを
製造装置用として選別し、インピーダンス可変手段の組
立を行う際に、製造装置用の一対のコイルを用いてイン
ピーダンス可変手段の中立位置を検出するようにしたた
め、第1の回転軸及び第2の回転軸の相対回転可能な角
度範囲が回転方向によって一致しない可能性及び一致し
ない場合のその量を低減できるし、また、トルクセンサ
の回転方向による特性差をより小さくすることができ、
それだけ信頼性の高いトルクセンサを製造することがで
きるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態の全体構成を示す縦断面
図である。
【図2】実施の形態の要部を構成する各部材の斜視図で
ある。
【図3】出力軸端部の図2とは異なる方向からの斜視図
である。
【図4】出力軸端部の構成を示す図である。
【図5】トーションバーを組み込んだ状態での出力軸端
部の構成を示す図である。
【図6】製造装置用の一対のコイルのインピーダンスと
位相との関係を示す波形図である。
【符号の説明】
1 ハウジング 2 入力軸(第2の回転軸) 2A 大径部 2a 溝 3 出力軸(第1の回転軸) 4 トーションバー 10 円筒部材 11 縦方向溝 12 周方向溝 13 突起 14 メスストッパ 15 オスストッパ

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 同軸に配設された第1及び第2の回転軸
    をトーションバーを介して連結するとともに、前記第1
    及び第2の回転軸と同軸に一対のコイルを配設し、前記
    第1及び第2の回転軸の相対回転に応じて前記一対のコ
    イルのインピーダンスを互いに逆方向に変化させるイン
    ピーダンス可変手段を設け、そして、前記一対のコイル
    のインピーダンス変化に基づいてトルクを検出するよう
    になっているトルクセンサの製造方法であって、 前記インピーダンス可変手段の構成に起因して前記一対
    のコイルのインピーダンスに表れる偏差の平均値を統計
    的に予め求めておき、その偏差の平均値を相殺するよう
    なコイル単体としてのインピーダンス差を有する一対の
    コイルを製造装置用として選別し、前記インピーダンス
    可変手段の組立を行う際に、前記製造装置用の一対のコ
    イルを用いて、前記インピーダンス可変手段の中立位置
    を検出することを特徴とするトルクセンサの製造方法。
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