JP3654012B2 - トルクセンサ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、回転軸に発生するトルクを検出するトルクセンサに関し、特に、軸方向長さの短縮化を図ったものである。
【0002】
【従来の技術】
この種の従来の技術としては、例えば本出願人が先に提案した特開平8−240491号公報に開示されたものがある。かかる公報に開示されたトルクセンサは、同軸に配設された第1及び第2の回転軸をトーションバーを介して連結するとともに、導電性で且つ非磁性の材料からなる円筒部材を、前記第1の回転軸の外周面を包囲するように、前記第2の回転軸と回転方向に一体とし、前記第1の回転軸の少なくとも前記円筒部材に包囲された被包囲部を磁性材料で形成し、前記被包囲部に軸方向に延びる溝を形成し、前記円筒部材には、前記第1の回転軸との間の相対回転位置に応じて前記溝との重なり具合が変化するように窓を形成し、そして、前記円筒部材の前記窓が形成された部分を包囲するようにコイルを配設し、そのコイルのインダクタンスに基づいてトルクを検出するようになっており、これにより、簡易な構造で高精度のトルク検出が行え、しかも装置の小型化も図られるという効果が得られる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
確かに、上記公報に開示された従来のトルクセンサであれば、上記のような効果を奏することができる。
しかし、トルクセンサの小型化という要求は尽きることがなく、特に車両のパワーステアリング装置等のように配設スペース上の制約が大きいものにトルクセンサを適用する場合、装置の小型化は極めて重要である。
【0004】
本発明は、このような技術的課題に着目してなされたものであって、さらなる小型化が図られるトルクセンサを提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、同軸に配設され且つトーションバーを介して連結された第1及び第2の回転軸を有し、前記第1の回転軸の端部に、前記第2の回転軸の少なくとも一部分を包囲するように円筒部材を固定し、その円筒部材と、前記第2の回転軸との重なり状態に基づいてトルクを検出するようになっているトルクセンサにおいて、前記第1の回転軸の前記第2の回転軸側の端面に凹部を形成し、その凹部の内側に前記円筒部材の端部を固定することにより、それら第1の回転軸及び円筒部材を、回転方向及び軸方向に一体とした。
【0006】
円筒部材は、第1の回転軸の端面の凹部内周面に固定することができる。その場合、例えば、凹部内周面に、軸方向に延びる複数の軸方向溝と、周方向に連続した周方向溝とを形成し、円筒部材の端部外周面には、前記複数の軸方向溝のそれぞれに嵌合する複数の突起を形成し、そして、前記軸方向溝に前記突起を嵌合することにより、第1の回転軸及び円筒部材を回転方向に一体とし、前記円筒部材の前記周方向溝の内側に位置する部分を外側にかしめることにより、第1の回転軸及び円筒部材を軸方向に一体とすることができる。
【0007】
本発明の構成であれば、円筒部材の端部が第1の回転軸の凹部内に入り込んでいるため、その第1の回転軸の外周面を有効に活用することができる。例えば、本発明に係るトルクセンサを車両の電動パワーステアリング装置に適用した場合であって、第1の回転軸及び第2の回転軸を操舵系の一部に組み入れ、第2の回転軸をトルクセンサの入力軸側(ステアリングホイール側)に、第1の回転軸をトルクセンサの出力軸側(車輪側)に配設した場合には、その第1の回転軸の凹部形成部分の外周面に、電動モータで発生した操舵補助トルクを伝達する歯車を外嵌させることにより、円筒部材の取付部分の軸方向位置と、歯車の軸方向位置とをオーバーラップさせることができる。また、例えば、第1の回転軸をハウジングに対して回転自在に支持するための軸受を、その第1の回転軸の凹部形成部分の外周面に配設することにより、円筒部材の取付部分の軸方向位置と、軸受の軸方向位置とをオーバーラップさせることができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1乃至図3は本発明の第1の実施の形態を示す図であって、この実施の形態は、本発明に係るトルクセンサを、車両の電動パワーステアリング装置に適用したものであり、図1は操舵系の要部を示す縦断面図である。
【0009】
先ず、構成を説明すると、上側ハウジング1A及び下側ハウジング1Bからなるハウジング1内には、トーションバー4を介して連結された入力軸2及び出力軸3が、軸受5a,5b及び5cによって回転自在に支持されている。これら入力軸2,出力軸3及びトーションバー4は、同軸に配設されていて、トーションバー4の上端側は入力軸2内に深く入り込んだ位置においてその入力軸2にピン結合されて回転方向に一体となっており、また、トーションバー4の下端側は出力軸3にスプライン結合されて回転方向に一体となっている。入力軸2は鉄等の磁性材料から形成されている。
【0010】
そして、入力軸2の上端部には、図示しない自在継ぎ手やステアリングシャフト等を介してステアリングホイールが回転方向に一体に取り付けられており、また、出力軸3の下端部にはピニオン軸3aが一体に形成されていて、ピニオン軸はラック軸6に噛合している。これらピニオン軸3a及びラック軸6は、公知のラックアンドピニオン式ステアリング装置を構成するものであり、従って、運転者がステアリングホイールを操舵することにより発生した操舵力は、入力軸2,トーションバー4,出力軸3及びラックアンドピニオン式ステアリング装置を介して、図示しない転舵輪に伝達される。
【0011】
さらに、出力軸3には、これと同軸に且つ一体に回転するウォームホイール7が外嵌し、このウォームホイール7の樹脂製の噛合部7aと、電動モータ8の出力軸8a外周面に形成されたウォーム8bとが噛み合っている。従って、電動モータ8の回転力は、その出力軸8a,ウォーム8b及びウォームホイール7を介して出力軸3に伝達されるようになっており、電動モータ8の回転力及び回転方向を適宜制御することにより、出力軸3に適切な操舵補助トルクを付与できるようになっている。
【0012】
そして、図1並びに入力軸2,出力軸3(端部のみ)及びトーションバー4を各別に分解した状態の斜視図である図2に示すように、入力軸2の出力軸3に近接した部分の外周面には、入力軸2と同軸の大径部2Aが形成されていて、この大径部2Aの外周面に近接してこれを包囲するように、肉薄の円筒部材10が配設されている。
【0013】
即ち、円筒部材10は、導電性で且つ非磁性の材料(例えば、アルミニウム)から形成され、その下端部が、出力軸3の入力軸2側端部に固定されている。
具体的には、出力軸3の入力軸2側端部は、大径部3Aとなっていて、その大径部3Aの外周面に上述のウォームホイール7が外嵌するとともに、その大径部3Aの内側には、三段の孔11が形成されている。即ち、図1の要部拡大図である図3に詳細に示すように、出力軸3の入力軸2側の端面3Bに形成された孔11は、端面3B側から、円筒部材10固定用の上段孔11Aと、後述のストッパ形成用の中段孔11Bと、トーションバー4結合用の下段孔11Cと、から構成されている。
【0014】
上段孔11Aは、円筒部材10の外径寸法よりも若干大きな内径寸法を有していて、底の部分(中段孔11Bとの境目)には、周方向に連続した円周溝11aが形成されている。そして、円筒部材10の端部を上段孔11A内に挿入した後に、その円筒部材10の挿入した側の先端を拡径方向にかしめて円周溝11aに食い込ませることにより、円筒部材10を上段孔11A内に固定し、円筒部材10と出力軸3とを回転方向及び軸方向に一体とするようになっている。
【0015】
中段孔11Bは、入力軸2と出力軸3との相対回転を所定角度範囲(例えば、±5度程度)に規制するためのストッパ構造のメスストッパを構成する孔であって、上段孔11Aよりも小径で、内周面が径方向外側に凹んだ四つの凹部を有する十字形の孔である。
【0016】
下段孔11Cは、トーションバー4の下端部を結合するためのスプライン孔であって、中段孔11Bよりも小径である。
そして、メスストッパを構成する中段孔11Bに対応して、入力軸2の端部には、オスストッパ15が形成されている。オスストッパ15は、図2に詳細に図示されるように、外周面が径方向外側に突出した四つの凸部15Aを有する十字形の軸であって、各凸部15Aの周方向の幅は、中段孔11Bに形成された凹部の周方向の幅よりも若干小さくなっていて、これにより、入力軸2及び出力軸3間の相対回転を所定角度範囲に規制するようになっている。
【0017】
一方、円筒部材10の組立後に大径部2Aを包囲する部分には、端面3Bから遠い側に、周方向に等間隔離隔した長方形の複数の窓10aが形成され、端面3Bに近い側に、窓10a,…,10aと位相が180度ずれるように、周方向に等間隔離隔した長方形の複数の窓10bが形成されている。
【0018】
これに対し、入力軸2の大径部2Aには、軸方向に延びる複数の溝2aが等間隔に形成されている。但し、溝2aの本数は、窓10a,10bのそれぞれの個数と同じである。
そして、入力軸2と出力軸3との間に相対回転が生じていないとき(操舵トルクが零のとき)に、各溝2aの幅方向中心と、窓10aの幅方向中心との位相が90度となるように位置し、各溝2aの幅方向中心と、窓10bの幅方向中心との位相が逆方向に90度となるように位置するようになっている。
【0019】
つまり、入力軸2,出力軸3,トーションバー4及び円筒部材10を組み立てる際に、溝2aと窓10a,10bとの重なり具合が上述のようになるように、入力軸2と円筒部材10との位相合わせを行いつつ、円筒部材10を出力軸3に固定するようになっている。
【0020】
図1に戻って、上側ハウジング1Aの内側には、円筒部材10を包囲するように、同一規格のコイル20A,20Bが巻き付けられたボビンを内周側に支持する磁性材料からなるヨーク20が固定されている。但し、コイル20A,20Bは円筒部材10と同軸になっていて、一方のコイル20Aは、円筒部材10の窓10a,…,10aが形成された部分を包囲し、他方のコイル20Bは、円筒部材10の窓10b,…,10bが形成された部分を包囲している。
【0021】
そして、各コイル20A,20Bの端部20aは、上側ハウジング1Aに形成されたセンサケース21内に収容された基板22に接続されていて、基板22上には、図示しないモータ制御回路が構成されている。モータ制御回路の具体的な構成は本発明の要旨ではないため、詳細には説明しないが、例えば上記特開平8−240491号公報に開示されるように、所定周波数の交流電流をコイル20A,20Bに供給する発振部と、コイル20Aの自己誘導起電力を整流及び平滑して出力する第1整流平滑回路と、コイル20Bの自己誘導起電力を整流及び平滑して出力する第2整流平滑回路と、第1,第2整流平滑回路の出力の差を増幅して出力する差動アンプと、差動アンプの出力から高周波ノイズを除去するノイズ除去フィルタと、ノイズ除去フィルタの出力に基づいて入力軸2及び円筒部材10の相対回転変位の方向及び大きさを演算しその結果に例えば所定の比例定数を乗じて操舵系に発生している操舵トルクを求めるトルク演算部と、トルク演算部の演算結果に基づいて操舵トルクを軽減する操舵補助トルクが発生するような駆動電流を電動モータ8に供給するモータ駆動部と、を備えて構成することができる。
【0022】
次に、本実施の形態の動作を説明する。
今、操舵系が直進状態にあり、操舵トルクが零であるものとすると、入力軸2及び出力軸3間には相対回転は生じない。従って、入力軸2と円筒部材10との間にも相対回転は生じない。
【0023】
これに対し、ステアリングホイールを操舵して入力軸2に回転力が生じると、その回転力は、トーションバー4を介して出力軸3に伝達される。このとき、出力軸3には、転舵輪及び路面間の摩擦力やラックアンドピニオン式ステアリング装置のギアの噛み合い等の摩擦力に応じた抵抗力が生じるため、入力軸2及び出力軸3間には、トーションバー4が捩じれることによって出力軸3が遅れる相対回転が発生し、入力軸2及び円筒部材10間にも相対回転が生じる。そして、その相対回転の方向及び量は、ステアリングホイールの操舵方向や発生している操舵トルクに応じて決まってくる。
【0024】
入力軸2及び円筒部材10間に相対回転が生じると、溝2aと、窓10a,…,10a、10b,…,10bとの重なり具合が当初の状態から変化するし、窓10a,…,10aと窓10b,…,10bとの位相関係を上記のように設定しているため、溝2aと窓10a,…,10aとの重なり具合と、溝2aと窓10b,…,10bとの重なり具合とは、互いに逆方向に変化する。
【0025】
その結果、入力軸2及び円筒部材10間の相対回転に応じて、コイル20Aの自己インダクタンスと、コイル20Bの自己インダクタンスとは、互いに逆方向に変化するから、コイル20Aのインピーダンスと、コイル20Bのインピーダンスとは、同じく互いに逆方向に変化し、それらコイル20A,20Bの自己誘導起電力も互いに逆方向に変化するようになる。よって、コイル20A,20Bの自己誘導起電力の差を求めると、その差は、操舵トルクの方向及び大きさに従ってリニアに変化するようになる。その一方で、温度等による自己インダクタンスの変化は、モータ制御回路内の差動アンプにおいてキャンセルされる。
【0026】
そして、モータ制御回路内のトルク演算部が、差動アンプの出力に基づいて操舵トルクを求め、モータ駆動部が、その操舵トルクの方向及び大きさに応じた駆動電流を電動モータ8に供給する。すると、電動モータには、操舵系に発生している操舵トルクの方向及び大きさに応じた回転力が発生し、その回転力がウォーム8b及びウォームホイール7を介して出力軸3に伝達されるから、出力軸3に操舵補助トルクが付与されたことになり、操舵トルクが減少し、運転者の負担が軽減される。
【0027】
さらに、本実施の形態では、出力軸3の端面3Bに孔11を形成し、その孔11の端面3B側の上段孔11A内に円筒部材10を固定する一方、孔11が形成された大径部3Aの外周面にウォームホイール7を外嵌しているため、その円筒部材10の出力軸3に対する固定部位と、ウォームホイール7の出力軸3に対する固定部位とが、軸方向でオーバーラップしている。このため、この電動パワーステアリング装置の入力軸2及び出力軸3を含む部分の軸方向寸法を、円筒部材10を出力軸3の外周面に固定する場合に比べて、短縮できる。よって、本実施の形態の構成は、配設スペース上の制約が大きい車両の電動パワーステアリング装置として極めて好適である。
【0028】
ここで、本実施の形態では、入力軸2が第2の回転軸に対応し、出力軸3が第1の回転軸に対応し、上段孔11Aが凹部に対応する。
図4は本発明の第2の実施の形態を示す図であって、この実施の形態も、上記第1の実施の形態と同様に、本発明に係るトルクセンサを、車両の電動パワーステアリング装置に適用したものである。なお、上記第1の実施の形態と同様の構成には、同じ符号を付し、その重複する説明は省略する。
【0029】
即ち、本実施の形態の電動パワーステアリング装置は、直動するラック軸6に対して例えば直動モータ(図示せず)によって操舵補助トルクを付与するタイプであって、従って、上記第1の実施の形態のようなウォームホイール7や電動モータ8は有していない。
【0030】
そこで、本実施の形態では、出力軸3の大径部3Aの外周面と、下側ハウジング1Bの内周面との間に軸受5bを配設することにより、その軸受5の配設位置と、円筒部材10の出力軸3に対する固定部位とが、軸方向でオーバーラップするようにしている。このため、本実施の形態の構成であっても、電動パワーステアリング装置の入力軸2及び出力軸3を含む部分の軸方向寸法を、円筒部材10を出力軸3の外周面に固定する場合に比べて、短縮でき、上記第1の実施の形態と同様の効果が得られる。
【0031】
なお、軸受5bは、大径部3Aに外嵌することになるため、ハウジング1Bの外径寸法をできるだけ小さくするためには、玉軸受よりもころ軸受を採用することが望ましい。
図5乃至図8は本発明の第3の実施の形態を示す図であって、この実施の形態も、上記第1の実施の形態と同様に、本発明に係るトルクセンサを、車両の電動パワーステアリング装置に適用したものである。なお、電動パワーステアリング装置としての全体構成は上記第1の実施の形態又は第2の実施の形態と同様であるため、その図示及び説明は省略するとともに、上記第1及び第2の実施の形態と同様の構成には、同じ符号を付し、その重複する説明は省略する。
【0032】
即ち、本実施の形態では、円筒部材10の出力軸3への固定構造が、上記第1及び第2の実施の形態とは異なっている。具体的には、図2と同様の斜視図である図5と、出力軸3の大径部3A側端部並びに円筒部材10の断面図である図6とに示すように、孔11の上段孔11A内周面には、中段孔11Bとの境目よりも若干端面3A側に寄った位置に、周方向に連続した断面半円形の周方向溝12aが形成されるとともに、端面3B側の開口部から周方向溝12aに至る軸方向に連続した複数の軸方向溝12bが形成されている。各軸方向溝12bは、互いに周方向に等間隔(90度)離れて、計4本形成されている。
【0033】
一方、円筒部材10の上段孔11Aに差し込まれる側の端部外周面には、複数(この例では、4つ)の半球状の突起13が形成されている。これら突起13の個数及び周方向形成位置は、軸方向溝12bに対応していて、従って、突起13は、互いに周方向に等間隔(90度)離れている。また、円筒部材10の上段孔11Aに差し込まれる側の端部から突起13までの軸方向距離は、上段孔11A及び中段孔11Bの境目から周方向溝12aまでの軸方向距離よりも長くなっている(前者は、後者の二倍程度)。また、突起13の高さは、軸方向溝12bの深さと同程度である。
【0034】
そして、円筒部材10を出力軸3に固定する際には、その端部を上段孔11Aに挿入させつつ、その回転方向位置を調整し、各突起13を各軸方向溝12bに合わせて円筒部材10の出力軸3に対する周方向の位置決めを行い、各軸方向溝12bに各突起13を沿わせながら円筒部材10の端部を上段孔11Aにさらに押し込み、図7に示すように、円筒部材10の端部を上段孔11Aの底に押し当てる。その状態で、図8に示すように、円筒部材10の周方向溝11aの内側にある部分を拡径方向にかしめ、円筒部材10の外周面に、周方向溝11aに嵌合する周方向に連続した凸部を形成する。つまり、出力軸3に対する円筒部材10の周方向位置は、軸方向溝12bに突起13が嵌合することにより固定され、出力軸3に対する円筒部材10の軸方向位置は、その外周面が周方向溝11aに食い込むことにより固定されている。
【0035】
よって、本実施の形態であっても、上記第1、第2の実施の形態と同様の効果が得られる。
さらに、本実施の形態では、周方向溝12a、軸方向溝12b及び突起13を利用して出力軸3に対する円筒部材10の位置決めを行えるため、下記のように各部の位置関係を決めることにより、組立時の各構成部材同士の位置決めが容易に且つ高精度に行えるという利点もある。
【0036】
先ず、操舵トルクが零の際には、入力軸2に形成されたオスストッパ15と、出力軸3の中段孔11Bに形成されたメスストッパとが中立位置で組み合わされる、つまりメスストッパの凹部の中央部に凸部15Aが位置すればよいのであるから、オスストッパ15の各凸部15Aの周方向位置を入力軸2の各部位の位相を考える際の基準とし、メスストッパの各凹部の周方向位置を出力軸3の各部位の位相を考える際の基準とする。
【0037】
そこで、入力軸2に関しては、大径部2Aに形成される溝2a,…,2aの周方向位置を、凸部15Aを基準に決定する。
これに対し、出力軸3に関しては、上段孔11A内の各軸方向溝12bの周方向位置を、中段孔11B内のメスストッパの凹部を基準に決定する。
【0038】
さらに、円筒部材10に関しては、各窓10a,…,10a、10b,…,10bの周方向位置を、突起13を基準に決定する。
このように各部位の周方向位置を決定すれば、組み立てる際には特に円筒部材の位相合わせをしなくても、各溝2a,…,2aと、各窓10a,…,10a、10b,…,10bとの位相関係は、ストッパの中立合わせを行うことで上記のようになる。
【0039】
そして、そのような位相関係を確実に得るためには、各部の加工精度が極めて重要である。そこで、さらに望ましくは、入力軸2に関しては、溝2aやオスストッパ15を冷間鍛造により入力軸2と一体に形成するとともに、出力軸3に関しては、軸方向溝12bを冷間鍛造により出力軸3と一体に形成する。
【0040】
さらに、本実施の形態では、上段孔11A内に、周方向溝12aと複数の軸方向溝12bとを形成し、軸方向溝12bに円筒部材10の突起13を嵌合させ、円筒部材10の端部をかしめて周方向溝12aに食い込ませているため、鉄製の出力軸3とアルミニウム製の円筒部材10という材料の異なる部材間であっても、熱膨張係数の違いなどに起因して保持力が低減するようなこともない。このため、円筒部材10の出力軸3に対する相対的な周方向位置や軸方向位置が当初の状態からずれ、それがトルク検出値に含まれてしまう可能性を大幅に低減できるという利点もある。よって、安全性の点から高い信頼性が必要な電動式パワーステアリング装置用のトルクセンサとして、極めて好適である。
【0041】
なお、上記各実施の形態では、本発明に係るトルクセンサを車両用の電動式パワーステアリング装置に適用した場合について説明したが、これに限定されるものではなく、他の用途のトルクセンサであっても、本発明は当然に適用することができる。
【0042】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、第1の回転軸の第2の回転軸側の端面に凹部を形成し、その凹部の内側に円筒部材の端部を固定することにより、それら第1の回転軸及び円筒部材を回転方向及び軸方向に一体としたため、トルクセンサを適用した装置の軸方向寸法を短くでき、配設スペース上の制約が大きい適用対象に好適に用いることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態の全体構成を示す断面図である。
【図2】構成の一部を分解した各部材の斜視図である。
【図3】図1の部分拡大図である。
【図4】第2の実施の形態の全体構成を示す断面図である。
【図5】第3の実施の形態における構成の一部を分解した各部材の斜視図である。
【図6】第3の実施の形態の要部の断面図である。
【図7】組立手順の途中状態を説明する断面図である。
【図8】組立手順の完了状態を説明する断面図である。
【符号の説明】
1 ハウジング
2 入力軸(第2の回転軸)
3 出力軸(第1の回転軸)
4 トーションバー
10 円筒部材
11A 上段孔(凹部)
12a 周方向溝
12b 軸方向溝
13 突起
Claims (1)
- 同軸に配設され且つトーションバーを介して連結された第1及び第2の回転軸を有し、前記第1の回転軸の端部に、前記第2の回転軸の少なくとも一部分を包囲するように円筒部材を固定し、その円筒部材と、前記第2の回転軸との重なり状態に基づいてトルクを検出するようになっているトルクセンサにおいて、
前記第1の回転軸の前記第2の回転軸側の端面に凹部を形成し、その凹部の内側に前記円筒部材の端部を固定することにより、それら第1の回転軸及び円筒部材を、回転方向及び軸方向に一体としたことを特徴とするトルクセンサ。
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