JP3646299B2 - トルクセンサ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はトルクセンサに関し、例えば電動式パワーステアリング装置において操舵トルクなどを検出できるトルクセンサに関する。
【0002】
【従来の技術】
車両に装備される電動式パワーステアリング装置においては、モータの駆動制御に用いるために操舵トルクを検出すべく、トルクセンサが設けられている。かかるトルクセンサの従来例としては、例えば本出願人が先に提案した特開平8−240491号公報に開示されたものがある。かかる公報に開示されたトルクセンサは、同軸に配設された第1及び第2の回転軸をトーションバーを介して連結するとともに、導電性で且つ非磁性の材料からなる円筒部材を、前記第1の回転軸の外周面を包囲するように、前記第2の回転軸と回転方向に一体とし、前記第1の回転軸の少なくとも前記円筒部材に包囲された被包囲部を磁性材料で形成し、前記被包囲部に軸方向に延びる溝を形成し、前記円筒部材には、前記第1の回転軸との間の相対回転位置に応じて前記溝との重なり具合が変化するように窓を形成し、前記円筒部材の前記窓が形成された部分を包囲するようにコイルを配設し、そのコイルのインダクタンスに基づいてトルクを検出するようになっており、これにより、簡易な構造で高精度のトルク検出が行え、しかも装置の小型化も図られるという効果が得られる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記公報に開示された従来のトルクセンサを、実際に電動式パワーステアリング装置用のトルクセンサに適用しようとした場合、以下のような解決すべき課題があることが判った。
【0004】
即ち、かかる従来のトルクセンサの場合、円筒部材と溝との重なり状態はその円筒部材を包囲するコイルを利用して検出されるようになっているが、車両において、ステアリングシャフトの上端部に、盗難防止用のステアリングロックを構成するカラー部を溶接等により固定すると、そのカラー部が通過できるようにコイル内径を決めなければならない。
【0005】
より具体的には、操舵系の実際の組立時には、ステアリングホイールと例えばラック軸との間に介在する操舵系の中間部分を予め組み立てておき、その中間部分を、ステアリングシャフト上端部を先頭に、ハウジング下方からその内側に差し込み、ステアリングシャフトをハウジングに連結されたコラム内に収容するようにしているが、トルクセンサ用のコイルは、その中間部分を差し込むよりも前にハウジング内に固定しておく必要があるため、コイルの内径は、ステアリングシャフトやその付属物のうち最大外径を有する部位,部材が通過できるように決定する必要がある。
【0006】
ここで、各部材間の隙間を充分に小さくしないとセンサの検出精度を確保できないので、コイルの内径が大きくなったことに応じて、円筒部材の外径や、その円筒部材に包囲された回転軸の溝を形成する部分の外径を大きくする必要が生じる。
【0007】
一方、操舵系を構成する回転軸は冷間鍛造により形成することが多いが、上記のような理由から回転軸の溝を形成する部分の外径を大きくしなければならないとすると、冷間鍛造での加工度が大きくなり、冷間鍛造により回転軸と一体に溝を形成することが困難となる。かかる場合、溝は機械加工により形成しなければならず、冷間鍛造により一体に形成する場合に比べて、コストが嵩んでしまう。
【0008】
このような問題に対し、外周に溝を形成した円筒部材を、前記回転軸に嵌合させることにより、上述した問題を解決することも考えられるが、前記回転軸と前記円筒部材との適切な回転位相を設定することが困難という問題がある。
【0009】
本発明は、このような従来の技術が有する問題に鑑み成されたものであって、組付けが容易で且つ製造コストの低減を図ることができるトルクセンサを提供することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明のトルクセンサは、
同軸に配設され且つトーションバーを介して連結された第1及び第2の回転軸との間で伝達されるトルクを検出するトルクセンサであって、
前記第1の回転軸に嵌合するようになっており、外周に軸線方向に延在する複数の溝を形成した嵌合部材と、
前記第1の回転軸の外周と、前記嵌合部材の内周とに設けられ、前記第1の回転軸と前記嵌合部材とが嵌合する際に、互いに係合し合うことによって回転方向の位置決めを行う係合部と、
前記第2の回転軸に取り付けられ、前記嵌合部材の少なくとも一部分を包囲するように延在する円筒部材と、を有し、
前記溝と前記円筒部材との重なり状態に基づいて、前記第1及び前記第2の回転軸の間で伝達されるトルクを検出するようになっている。
【0011】
【作用】
本発明のトルクセンサによれば、同軸に配設され且つトーションバーを介して連結された第1及び第2の回転軸との間で伝達されるトルクを検出するトルクセンサであって、前記第1の回転軸に嵌合するようになっており、外周に軸線方向に延在する複数の溝を形成した嵌合部材と、前記第1の回転軸の外周と、前記嵌合部材の内周とに設けられ、前記第1の回転軸と前記嵌合部材とが嵌合する際に、互いに係合し合うことによって回転方向の位置決めを行う係合部と、前記第2の回転軸に取り付けられ、前記嵌合部材の少なくとも一部分を包囲するように延在する円筒部材と、を有し、前記溝と前記円筒部材との重なり状態に基づいて、前記第1及び前記第2の回転軸の間で伝達されるトルクを検出するようになっているので、すなわち前記第1の回転軸と前記嵌合部材とを別部材として製造コストの低減を図ると共に、前記係合部を用いて前記第1の回転軸と前記嵌合部材との回転方向の位置決めを行えるので、互いの位相設定が容易である。
【0012】
更に、前記係合部が、前記第1の回転軸の外周に形成された軸線方向に延在する複数の突起と、前記嵌合部材の内周に形成された軸線方向に延在する複数の凹部とからなり、前記突起と前記凹部の数が、前記嵌合部材の外周に形成された溝の数と一致するようになっていれば、前記嵌合部材の製造が容易であり、それにより製造コストの低減を図ることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1乃至4は本発明の一実施の形態を示す図であって、この実施の形態は、本発明に係るトルクセンサを、車両の電動式パワーステアリング装置に適用したものであり、図1は操舵系の要部を示す縦断面図である。図2は、入力軸2(端部のみ),出力軸3及びトーションバー4を各別に分解した状態の斜視図である。図3は、図2の構成をIII-III線で切断して矢印方向に見た図である。図4は、嵌合部材3Aを出力軸3に嵌合させた状態で示す図2と同様な斜視図である。
【0014】
先ず、電動式パワーステアリング装置の構成を説明すると、上側ハウジング1A及び下側ハウジング1Bからなるハウジング1内には、トーションバー4を介して連結された入力軸2及び出力軸3が、軸受5a及び5bによって回転自在に支持されている。これら入力軸2,出力軸3及びトーションバー4は、同軸に配設されていて、トーションバー4の上端側は入力軸2にスプライン結合されて回転方向に一体となっており、また、トーションバー4の下端側は出力軸3内に深く入り込んだ位置においてその出力軸3にピン結合されて回転方向に一体となっている。
【0015】
そして、入力軸2の上端部には、ステアリングシャフト6の下端部が一体的に回転するようにスプライン結合されていて、そのステアリング6の上端部には、図示しないステアリングシャフトが一体的に回転するように取り付けられている。また、出力軸3の下端部には、図示しないラックアンドピニオン式ステアリング装置のピニオン軸が一体的に回転するように結合されている。従って、運転者がステアリングホイールを操舵することにより発生した操舵力は、ステアリングシャフト6,入力軸2,トーションバー4,出力軸3及びラックアンドピニオン式ステアリング装置を介して、図示しない転舵輪に伝達されるようになっている。
【0016】
さらに、出力軸3には、これと同軸に且つ一体的に回転するウォームホイール7が外嵌し、このウォームホイール7の樹脂製の噛合部7aと、電動モータ8の出力軸8a外周面に形成されたウォーム8bとが噛み合っている。従って、電動モータ8の回転力は、その出力軸8a,ウォーム8b及びウォームホイール7を介して出力軸3に伝達されるようになっており、電動モータ8の回転力及び回転方向を適宜制御することにより、出力軸3に適切な操舵補助トルクを付与できるようになっている。
【0017】
また、ステアリングシャフト6は、下端部が上側ハウジング1Aに固定され中途部がブラケット9aを介して車体(図示せず)に固定されたステアリングコラム9内に収容されていて、そのステアリングシャフト6のステアリングコラム9に収容された部分には、車両衝突時のエネルギを吸収するためのエネルギ吸収部6Aが形成されるとともに、盗難防止用のステアリングロックを構成するロックカラー6Bが固定されている。ステアリングロックの具体的な構成は本発明の要旨ではないためここでの詳細な説明は省略するが、例えば、本出願人が先に提案した特開平8−295202号公報に開示された構成が適用可能である。
【0018】
更に、図1並びに図2に示すように、出力軸3の入力軸2に近接した部分の外周面には、出力軸3と同軸に円筒形の嵌合部材3Aが外嵌していて、鉄等の磁性材料から形成されたこの嵌合部材3Aを包囲するように、肉薄の円筒部材10が配設されている。
【0019】
即ち、円筒部材10は、導電性で且つ非磁性の材料(例えば、アルミニウム)から形成され、その上端部が、入力軸2の出力軸3側端部外周面に固定されている。
【0020】
具体的には、入力軸2の出力軸3側端部には、大径部2Aが形成されていて、その大径部2Aの外周面には、軸方向に延びる複数(この例では、4本)の軸方向溝11(図2で裏側に位置する二本の溝は図示せず)と、周方向に連続した周方向溝12とが形成されている。
【0021】
各軸方向溝11は、互いに周方向に等間隔(この例では90度)離れて、大径部2Aの上下端部間にわたって形成されており、また、周方向溝12は、円筒部材10を固定した際にその円筒部材10の上端部が位置する付近に形成されている。
【0022】
一方、円筒部材10の内周面には、その上端部から若干入り込んだ位置に、複数(この例では、4つ)の半球状の突起13が形成されている。これら突起13の個数及び形成位置は、入力軸2の軸方向溝11に対応していて、従って、突起13は、互いに周方向に等間隔(この例では90度)離れている。また、突起13の高さは、軸方向溝11の深さと同程度である。
【0023】
円筒部材10を大径部2Aに固定する際には、その突起13を軸方向溝11に嵌合させることにより、円筒部材10の入力軸2に対する周方向の位置決めを行い、それから円筒部材10を押し込み、その端部を周方向溝12に近接させ、その状態で円筒部材10端部を内側にかしめて周方向溝12に食い込ませる。つまり、入力軸2に対する円筒部材10の周方向位置は、軸方向溝11に突起13が係合することにより固定され、入力軸2に対する円筒部材10の軸方向位置は、その端部が周方向溝12に食い込むことにより固定されている。
【0024】
また、入力軸2の出力軸3側端部には、トーションバー4とのスプライン結合用のスプライン孔2B(図1)が同軸に形成されるとともに、そのスプライン孔2Bの端面側内周面には、図3に示すようにメスストッパ14が形成されている。メスストッパ14は、例えば内周面が径方向外側に凹んだ四つの凹部からなる十字形の孔である。
【0025】
そして、メスストッパ14に対応して、出力軸3の端部には、オスストッパ15が形成されている。オスストッパ15は、例えば外周面が径方向外側に突出した四つの凸部を有する十字形の軸であって、各凸部の周方向の幅は、メスストッパ14の凹部の周方向の幅よりも若干小さくなっていて、これにより、入力軸2及び出力軸3間の相対回転を所定角度範囲(±5度程度)に規制するようになっている。尚、オスストッパ15の軸方向長さは、嵌合部材3Aの全長より長く形成されており、後述するようにして嵌合部材3Aを嵌合させたときに、オスストッパ15の上端が突出し、図3に示すように、かかる突出部がメスストッパ14に内包されることとなる。
【0026】
一方、円筒部材10を組み付けた状態で、嵌合部材3Aを包囲する部分には、突起13に近い側に、周方向に等間隔離隔した長方形の複数の窓10aが形成され、突起13から遠い側に、窓10a,・・・,10aと位相が180度ずれるように、周方向に等間隔離隔した長方形の複数の窓10bが形成されている。
【0027】
これに対し、嵌合部材3Aの外周には、軸方向に延びる複数の溝3aが等間隔に形成されている。但し、溝3aの本数は、窓10a,10bのそれぞれの個数と同じである。一方、嵌合部材3Aの内周には、オスストッパ15に対応して周方向に等間隔に形成された凹部3bが形成されている。オスストッパ15と、凹部3bとで係合部を構成する。
【0028】
すなわち、本実施の形態においては、図4に示すように、嵌合部材3Aをオスストッパ15に係合させることによって、嵌合部材3Aは出力軸3に対して回転方向に位置決めされ、一体的に回転するようになる。
【0029】
ここで、入力軸2と出力軸3との間に相対回転が生じていない状態(操舵トルクが零の状態)では、入力軸2に形成されたメスストッパ14と、出力軸3に形成されたオスストッパ15とが中立位置で組み合わされればよいのであるから、メスストッパ14の各凹部の周方向位置を入力軸2の各部位の位相を考える際の基準とし、オスストッパ14の各凸部の周方向位置を出力軸3の各部位の位相を考える際の基準とする。
【0030】
入力軸2に関しては、大径部2Aの外周面に形成される軸方向溝11,・・・,11の周方向位置と、メスストッパ14の凹部を基準に決定すればよいので、入力軸2の加工時に位置決めすればよい。さらに、円筒部材10に関しては、各窓10a,・・・,10a、10b,・・・,10bの周方向位置を、突起13を基準に決定すればよい。
【0031】
一方、オスストッパ15の突起部に凹部3bを係合させるようにして、嵌合部材3Aを出力軸3に圧入すると、嵌合部材3Aは出力軸3に対して回転方向に位置決めされ、一体的に回転するようになるので、嵌合部材3Aの製造時に、凹部3bと溝3aとの位置関係を適切に決めておけば、位相ズレの問題は生じない。従って、本実施の形態によれば、各部材を組み付けるだけで、入力軸2と出力軸3との間に相対回転が生じていない状態(操舵トルクが零の状態)では、各溝2aの幅方向中心と、窓10aの幅方向中心との位相が90度となるように位置し、各溝2aの幅方向中心と、窓10bの幅方向中心との位相が逆方向に90度となるように位置するようになっている。
【0032】
嵌合部材3Aは、冷間鍛造によって内周の凹部3bと、外周の溝3aとを一体的に形成することができる。
【0033】
図1に戻って、上側ハウジング1Aの内側には、円筒部材10を包囲するように、同一規格のコイル20A,20Bが巻き付けられたボビンを内周側に支持する磁性材料からなるヨーク20が固定されている。但し、コイル20A,20Bは円筒部材10と同軸になっていて、一方のコイル20Aは、円筒部材10の窓10a,・・・,10aが形成された部分を包囲し、他方のコイル20Bは、円筒部材10の窓10b,・・・,10bが形成された部分を包囲している。
【0034】
なお、コイル20A,20Bの内径は、ロックカラー6Bの外径よりも若干大きな寸法とする。これは、上側ハウジング1Aにステアリングコラム9を連結した状態で、その上側ハウジング1Aの下方から、ステアリングシャフト6,入力軸2,トーションバー4,出力軸3及び嵌合部材3Aを一体とした操舵系の中間部分を、ステアリングシャフト6側から挿入する際に、ロックカラー6Bがコイル20A,20Bの内側を通過できるようにするためである。
【0035】
各コイル20A,20Bの端部20aは、上側ハウジング1Aに形成されたセンサケース21内に収容された基板22に接続されていて、基板22上には、図示しないモータ制御回路が構成されている。モータ制御回路の具体的な構成は本発明の要旨ではないため、詳細には説明しないが、例えば上記特開平8−240491号公報に開示されるように、所定周波数の交流電流をコイル20A,20Bに供給する発振部と、コイル20Aの自己誘導起電力を整流及び平滑して出力する第1整流平滑回路と、コイル20Bの自己誘導起電力を整流及び平滑して出力する第2整流平滑回路と、第1,第2整流平滑回路の出力の差を増幅して出力する差動アンプと、差動アンプの出力から高周波ノイズを除去するノイズ除去フィルタと、ノイズ除去フィルタの出力に基づいて入力軸2及び円筒部材10の相対回転変位の方向及び大きさを演算しその結果に例えば所定の比例定数を乗じて操舵系に発生している操舵トルクを求めるトルク演算部と、トルク演算部の演算結果に基づいて操舵トルクを軽減する操舵補助トルクが発生するような駆動電流を電動モータ8に供給するモータ駆動部と、を備えて構成することができる。
【0036】
次に、本実施の形態の動作を説明する。
今、操舵系が直進状態にあり、操舵トルクが零であるものとすると、入力軸2及び出力軸3間には相対回転は生じない。従って、入力軸2と円筒部材11との間にも相対回転は生じない。
【0037】
これに対し、ステアリングホイールを操舵して入力軸2に回転力が生じると、その回転力は、トーションバー4を介して出力軸3に伝達される。このとき、出力軸3には、転舵輪及び路面間の摩擦力やラックアンドピニオン式ステアリング装置のギアの噛み合い等の摩擦力に応じた抵抗力が生じるため、入力軸2及び出力軸3間には、トーションバー4が捩じれることによって出力軸3が遅れる相対回転が発生し、円筒部材10及び出力軸3間にも相対回転が生じる。そして、その相対回転の方向及び量は、ステアリングホイールの操舵方向や発生している操舵トルクに応じて決まってくる。
【0038】
円筒部材10及び入力軸2間に相対回転が生じると、溝3aと、窓10a,・・・,10a、10b,・・・,10bとの重なり具合が当初の状態から変化するし、溝10a,・・・,10aと溝10b,・・・,10bとの位相関係を上記のように設定しているため、溝3aと窓10a,・・・,10aとの重なり具合と、溝3aと窓10b,・・・,10bとの重なり具合とは、互いに逆方向に変化する。
【0039】
その結果、入力軸2及び円筒部材10間の相対回転に応じて、コイル20Aの自己インダクタンスと、コイル20Bの自己インダクタンスとは、互いに逆方向に変化するから、それらコイル20A,20Bの自己誘導起電力も互いに逆方向に変化するようになる。よって、コイル20A,20Bの自己誘導起電力の差を求めると、その差は、操舵トルクの方向及び大きさに従ってリニアに変化するようになる。その一方で、温度等による自己インダクタンスの変化は、モータ制御回路内の差動アンプにおいてキャンセルされる。
【0040】
更に、モータ制御回路内のトルク演算部が、差動アンプの出力に基づいて操舵トルクを求め、モータ駆動部が、その操舵トルクの方向及び大きさに応じた駆動電流を電動モータ8に供給する。すると、電動モータには、操舵系に発生している操舵トルクの方向及び大きさに応じた回転力が発生し、その回転力がウォーム8b及びウォームホイール7を介して出力軸3に伝達されるから、出力軸3に操舵補助トルクが付与されたことになり、操舵トルクが減少し、運転者の負担が軽減される。
【0041】
本実施の形態では、出力軸3の端部に、複数の軸方向溝11と、周方向溝12とを形成し、軸方向溝11に円筒部材10の突起13を嵌合させ、円筒部材10の端部をかしめて周方向溝12に食い込ませているため、鉄製の出力軸3とアルミニウム製の円筒部材10という材料の異なる部材間であっても、熱膨張係数の違いなどに起因して保持力が低減するようなこともない。このため、円筒部材10の出力軸3に対する相対的な周方向位置や軸方向位置が当初の状態からずれ、それがトルク検出値に含まれてしまう可能性を大幅に低減できるのである。よって、安全性の点から高い信頼性が必要な電動式パワーステアリング装置用のトルクセンサとして、極めて好適である。
【0042】
さらに、本実施の形態では、冷間鍛造により外周に一体的に溝3a,・・・,3aを形成し、内周に一体的に凹部3bを形成した嵌合部材3Aを、出力軸3の端部のオスストッパ15に嵌合させるようにしているため、ロックカラー6Bの外径に合わせてコイル20A,20Bの内径を大きくしても、高い寸法精度が求められる溝3aを、特に間題なく冷間鍛造により形成することができ、位相調整の煩雑さを回避しつつも、同様の精度を機械加工により達成する場合に比べて、製造コストを低減できるという利点がある。加えて、出力軸3と嵌合部材3Aとは、密接的に係合し合うオスストッパ15と凹部3bとで回転方向に位置決めされるので、位置調整が不要となって製造時の手間が省かれる。
【0043】
尚、出力軸3と嵌合部材3Aとを一体で形成しようとすると、センサとしての強磁性と耐食性と、操舵軸の強度とを満足させるため、高価なマルテンサイト系ステンレス鋼を用い、熱処理を行って形成する必要があったが、本実施の形態によれば、出力軸3は、操舵軸の強度のみを満足すれば足りるため、安価な構造用鋼を用い、熱処理することなく冷間鍛造による加工硬化によって強度を確保できるので、製造コストをより低減できる。又、嵌合部材3Aは、強度を必要としないため、磁気特性の良好な材料を用いて形成でき、検出感度の向上を図ることができる。
【0044】
ここで、本実施の形態では、入力軸2が第2の回転軸に対応し、出力軸3が第1の回転軸に対応する。なお、上記実施の形態では、本発明に係るトルクセンサを車両用の電動式パワーステアリング装置に適用した場合について説明したが、これに限定されるものではなく、他の用途のトルクセンサであっても、本発明は当然に適用することができる。
【0045】
また、上記実施の形態では、嵌合部材3Aを冷間鍛造により形成することとしているが、これに限定されるものではなく、嵌合部材3Aは、例えば焼結により形成してもよい。
【0046】
図5、6は、本発明の第2の実施の形態を示す図であり、図5(a)は、嵌合部材103Aと出力軸103との組み付け前の状態を示す斜視図であり、図5(b)は、嵌合部材103Aと出力軸103との組み付け後の状態を示す斜視図であり、図6は、オスストッパ115とメスストッパ114との係合状態を示す図3と同様な断面図である。
【0047】
第2の実施の形態が、上述した実施の形態と異なるのは、オスストッパ115と凹部103bの形状である。すなわち、上述した実施の形態では、オスストッパは十字状であったが、本実施の形態においては、オスストッパ115は、周方向に等間隔に離隔した8個の突起部から形成されている。これに対応して、嵌合部材103Aの凹部103bも、オスストッパ115に合わせて周方向に等間隔に離隔して8個形成されている。
【0048】
本実施の形態においては、位相調整の煩雑さを回避しつつも、同様の精度を機械加工により達成する場合に比べて、製造コストを低減できるという利点がある他、メスストッパ114に当接するオスストッパ115の突起部を、図1乃至4の実施の形態に比して2倍に増やしているため、当接面積を小さくしても同様な強度が得られることとなる。従って、その分だけオスストッパ115の突出量を小さくできるため、出力軸3を冷間鍛造する場合における断面減少率が小さくなって、加工が容易となり、冷間鍛造ダイの寿命を延長することができるため、製造コストの低減に寄与する。
【0049】
更に、嵌合部材103Aにおいては、外周の溝103aが8個であることから、内周の凹部103bと外周の溝103aとを交互にずらすことによって、全周にわたって略等しい肉厚の部材とすることができ、偏肉がないことから成形が容易となり、場合によっては、嵌合部材103Aを例えば円管を成形することによって安価に形成できる。又、内周の凹部10bと外周の溝103aとの位相精度も向上するという利点もある。
【0050】
図7,8は、本発明の第3の実施の形態を示す図であり、図7(a)は、嵌合部材203Aと出力軸203との組み付け前の状態を示す斜視図であり、図7(b)は、嵌合部材203Aと出力軸203との組み付け後の状態を示す斜視図であり、図8は、オスストッパ215とメスストッパ214との係合状態を示す図3と同様な断面図である。
【0051】
第3の実施の形態が、第2の実施の形態と異なるのは、オスストッパ215の突起の数を16個とし、また嵌合部材103Aの外周の溝203aの数も16個とした点である。
【0052】
本実施の形態においては、上述した実施の形態の利点に加えて、メスストッパ214に当接するオスストッパ215の突起部の数を更に増やしているため、ストッパ当接時の強度を高く確保でき、またセンサの検出感度も増大させることができる。
【0053】
以上、実施の形態を参照して本願発明を詳細に説明してきたが、本願発明は上記実施の形態に限定して解釈されるべきでなく、その趣旨を損ねない範囲で適宜変更、改良可能であることはもちろんである。たとえば、嵌合部材の内側に突起を設けるとともに、出力軸の外周に溝を設け、両者を係合させることによって、嵌合部材と出力軸の回転方向の位置決めを行うこともできる。
【0054】
【発明の効果】
本発明のトルクセンサによれば、同軸に配設され且つトーションバーを介して連結された第1及び第2の回転軸との間で伝達されるトルクを検出するトルクセンサであって、前記第1の回転軸に嵌合するようになっており、外周に軸線方向に延在する複数の溝を形成した嵌合部材と、前記第1の回転軸の外周と、前記嵌合部材の内周とに設けられ、前記第1の回転軸と前記嵌合部材とが嵌合する際に、互いに係合し合うことによって回転方向の位置決めを行う係合部と、前記第2の回転軸に取り付けられ、前記嵌合部材の少なくとも一部分を包囲するように延在する円筒部材と、を有し、前記溝と前記円筒部材との重なり状態に基づいて、前記第1及び前記第2の回転軸の間で伝達されるトルクを検出するようになっているので、すなわち前記第1の回転軸と前記嵌合部材とを別部材として製造コストの低減を図ると共に、前記係合部を用いて前記第1の回転軸と前記嵌合部材との回転方向の位置決めを行えるので、互いの位相設定が容易である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態にかかる操舵系の要部を示す縦断面図である。
【図2】入力軸2(端部のみ),出力軸3及びトーションバー4を各別に分解した状態の斜視図である。
【図3】図2の構成をIII-III線で切断して矢印方向に見た図である。
【図4】嵌合部材3Aを出力軸3に嵌合させた状態で示す図2と同様な斜視図である。
【図5】第2の実施の形態を示す図であり、図5(a)は、嵌合部材103Aと出力軸103との組み付け前の状態を示す斜視図であり、図5(b)は、嵌合部材103Aと出力軸103との組み付け後の状態を示す斜視図である。
【図6】オスストッパ115とメスストッパ114との係合状態を示す図3と同様な断面図である。
【図7】第3の実施の形態を示す図であり、図7(a)は、嵌合部材203Aと出力軸203との組み付け前の状態を示す斜視図であり、図7(b)は、嵌合部材203Aと出力軸203との組み付け後の状態を示す斜視図である。
【図8】オスストッパ215とメスストッパ214との係合状態を示す図3と同様な断面図である。
【符号の説明】
1 ハウジング
2 入力軸(第1の回転軸)
2A 大径部
3 出力軸(第2の回転軸)
3A、103A,203A 嵌合部材
3a、103a、203a 溝
3b、103b、203b 凹部
4 トーションバー
10 円筒部材
14,114,214 メスストッパ
15,115,215 オスストッパ

Claims (2)

  1. 同軸に配設され且つトーションバーを介して連結された第1及び第2の回転軸との間で伝達されるトルクを検出するトルクセンサであって、前記第1の回転軸に嵌合するようになっており、外周に軸線方向に延在する複数の溝を形成した嵌合部材と、
    前記第1の回転軸の外周と、前記嵌合部材の内周とに設けられ、前記第1の回転軸と前記嵌合部材とが嵌合する際に、互いに係合し合うことによって回転方向の位置決めを行う係合部と、
    前記第2の回転軸に取り付けられ、前記嵌合部材の少なくとも一部分を包囲するように延在する円筒部材と、を有し、
    前記溝と前記円筒部材との重なり状態に基づいて、前記第1及び前記第2の回転軸の間で伝達されるトルクを検出するようになっているトルクセンサ。
  2. 前記係合部は、前記第1の回転軸の外周に形成された軸線方向に延在する複数の突起と、前記嵌合部材の内周に形成された軸線方向に延在する複数の凹部とからなり、前記突起と前記凹部の数は、前記嵌合部材の外周に形成された溝の数と一致する請求項1に記載のトルクセンサ。
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