JP3309785B2 - 半導体電極およびその製造方法、ならびにそれを用いた光電池 - Google Patents

半導体電極およびその製造方法、ならびにそれを用いた光電池

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    • Y02P70/00Climate change mitigation technologies in the production process for final industrial or consumer products
    • Y02P70/50Manufacturing or production processes characterised by the final manufactured product

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光電池、光導電素
子、表示素子、各種センサー等に用いる半導体電極およ
びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】化石燃料の燃焼による地球温暖化や、人
口の増加に伴うエネルギー需要の増大は、人類の存亡に
関わる大きな課題となっている。太陽光はいうまでもな
く、太古以来現在まで、地球の環境を育み、人類を含む
すべての生物のエネルギー源となってきた。最近、無限
でかつ有害物質を発生しないクリーンなエネルギー源と
して太陽光を利用することが検討されている。なかで
も、光エネルギーを電気エネルギーに変換するいわゆる
太陽電池が有力な技術的手段として注目されている。
【0003】太陽電池用の光起電力材料としては、単結
晶、多結晶、アモルファスのシリコンやCuInSe、
GaAs、CdSなどの化合物半導体が使用されてい
る。これらの無機半導体を用いた太陽電池は10%から
20%と比較的高いエネルギー変換効率を示すため、遠
隔地用の電源や携帯用小型電子機器の補助的な電源とし
て広く用いられている。しかしながら冒頭に述べたよう
な化石燃料の消費を抑えて地球環境の悪化を防止すると
いう目的に照らすと、現時点では無機半導体を用いた太
陽電池は十分な効果を上げているとは言い難い。という
のも、これらの無機半導体を用いた太陽電池は、プラズ
マCVD法や高温結晶成長プロセスにより製造されてお
り、素子の作製に多くのエネルギーを必要とするためで
ある。また、Cd,As,Seなど環境に有害な影響を
及ぼしかねない成分を含んでおり、素子の廃棄による環
境破壊の可能性も懸念される。
【0004】この課題を解決する方法として、光半導体
(光照射によりキャリアが生成される半導体)と電解質
溶液との界面でおきる光電気化学反応を利用した光電気
化学的なエネルギー変換装置が期待されている。藤嶋ら
は水溶液中の酸化チタン電極に光を照射すると、水が分
解され酸素と水素が得られるのと同時に対極である白金
電極と間に光電流が流れることを見出した(A. Fujishi
ma,K.Honda,Nature, 238, 37 (1972) )。
【0005】上記の光電気化学的なエネルギー変換装置
は、太陽エネルギーを電気エネルギーに変換すると同時
に、無尽蔵の天然資源である水を分解してクリーンな燃
料としての利用が期待される水素を発生するものであ
り、注目すべきものである。酸化チタンは光電気化学的
に安定であり、この種の装置に用いられる光半導体電極
材料として優れた面を有しているが、そのバンドギャッ
プは3.0eVと大きいため太陽光とのスペクトルマッ
チングが悪く、効率の高い装置は望めない。
【0006】そこで酸化チタンの表面に有機色素を吸着
させて増感させることが検討されている(H. Tsubomura,
Sol. Energy, 21, 93(1978))。増感に寄与するのは
表面に吸着した色素のみであるため、光の利用効率を高
める目的で光半導体電極として大きな比表面積を有する
酸化チタンを使用することが提案されている(特開平1
−220380号)。さらに、大きな比表面積を有する
金属酸化物薄膜を作製する手段として、金属アルコキシ
ド加水分解コロイド法が提案されている(特開平3−1
14150号)。金属アルコキシドの加水分解コロイド
法は、金属アルコキシドのアルコール溶液に、分散の安
定のために硝酸などの解謬剤の共存下で、過剰量の水を
加えて加熱し金属アルコキシドを加水分解させて、金属
酸化物の微粒子が分散したコロイド溶液を得た後、その
コロイド溶液を適当な支持体上に塗布し、焼結させて金
属酸化物微粒子膜を作製する方法である。この方法によ
り粒径が数10nm程度の酸化チタン超微粒子が堆積し
た膜が得られるが、空隙の大きさは微粒子の大きさより
も小さいため非表面積は大きいものの、膜厚を厚くする
と色素が膜の内部まで浸透しにくく、色素の吸着量がす
ぐ飽和してしまうため、十分な吸着量が得られないとい
う問題があった。
【0007】一方、チタンアルコキシドを原料として、
等モルから2倍モル程度の水を加え加熱し、部分的にチ
タンアルコキシドが加水分解した透明ゾルを作製して、
それにポリエチレングリコールなどを混合して焼成する
ことで、表面に細孔を有する酸化チタン薄膜を形成する
方法が提案されている(特開平8−099041号)。
この方法では、細孔以外の部分は緻密な膜となるため、
色素の吸着量が少ないといった欠点や、一回で塗布でき
る膜厚が0.05μm以下と薄く、色素の十分な吸着量
を確保するためには、数多くの回数の塗布/焼成の繰り
返しが必要であり、製造工程が煩雑化し、製造に時間が
かかる、あるいは製造コストが大きいといった欠点があ
った。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、以上のよう
な事情を鑑みてなされたものであり、その目的は、太陽
光を吸収し、効率よくエネルギーを変換する半導体電極
を提供することにある。また、本発明の目的は、素子化
のための加工性に優れた半導体電極を提供することにあ
る。本発明の他の目的は、エネルギー変換効率の高い光
電池を提供することにある。さらに、本発明の他の目的
は、光電池に使用する半導体電極を簡便、かつ効率よく
製造することができる製造方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、太陽光を
吸収し、効率よくエネルギーを変換する光電池につい
て、鋭意研究を重ねた結果、微細孔の孔径度数分布が複
数のピーク値を有する金属酸化物多孔質体からなる半導
体電極、およびこれを用いた光電池が、上記目的を達し
得ること、さらに、ゲル中で金属酸化物前駆体を反応さ
せて、金属酸化物微粒子を生成させることにより、金属
酸化物多孔質体の構造が容易に制御できることを見出
し、本発明を完成するに至った。即ち本発明は、 () 支持体上に、微細孔の孔径度数分布が複数のピ
ーク値を有する金属酸化物多孔質体が形成され、前記微
細孔の孔径度数分布のピーク値のうち、少なくとも1つ
のピーク値に対応する微細孔がミクロ孔であり、かつ、
少なくとも他の1つのピーク値に対応する微細孔がマク
ロ孔であり、 前記マクロ孔の円相当半径が100Å以上
10,000Å以下の範囲であり、かつ前記ミクロ孔の
円相当半径が10Å以上100Å未満の範囲であること
を特徴とする半導体電極である。
【0010】() 機能性分子が、内部まで浸透した
状態で前記金属酸化物多孔質体に担持されていることを
特徴とする(1)に記載の半導体電極である。 () 前記金属酸化物多孔質体が光応答性を有し、前
記機能性分子が増感色素であることを特徴とする(
に記載の半導体電極である。 () 前記増感色素が可視光増感色素であることを特
徴とする()に記載の半導体電極である。
【0011】() 前記マクロ孔が、前記機能性分子
が前記金属酸化物多孔質体の内部まで十分に浸透し得る
孔径を有することを特徴とする(1)〜(4)のいずれ
かに記載の半導体電極である。
【0012】() 前記金属酸化物多孔質体が、酸化
チタン、酸化亜鉛、酸化タングステン、酸化バナジウ
ム、酸化スズ、酸化銅、チタン酸ストロンチウムからな
る群より選択される少なくとも1種の金属酸化物からな
ることを特徴とする(1)〜(5)のいずれかに記載の
半導体電極である。 () 前記金属酸化物多孔質体が、酸化チタンからな
ることを特徴とする(1)〜(5)のいずれかに記載の
半導体電極である。 ((3)〜(7)のいずれかに記載の半導体電極
であって、光により起電力を発生する装置に用いること
を特徴とする光起電力発生用の半導体電極である。 () ()に記載の半導体電極を備えた光電池であ
る。
【0013】(10(1)〜(8)のいずれかに
載の半導体電極の製造方法であって、金属酸化物前駆体
と、該金属酸化物前駆体と相互作用する化合物と、を溶
媒中で混合してゲルを生成する工程と、該ゲル中の前記
金属酸化物前駆体を加水分解および脱水縮合させて析出
した金属酸化物微粒子と、前記金属酸化物前駆体と相互
作用する化合物と、を含むゾルを生成する工程と、該ゾ
ルを支持体に塗布および焼成する工程と、からなること
を特徴とする半導体電極の製造方法である。
【0014】(11(1)〜(8)のいずれかに
載の半導体電極の製造方法であって、金属酸化物前駆体
と、該金属酸化物前駆体を部分的に加水分解する量の水
と、を混合する工程と、該混合物に、前記金属酸化物前
駆体と相互作用する化合物と、さらに過剰量の水と、を
添加し、混合してゲルを生成する工程と、該ゲル中の前
記金属酸化物前駆体を加水分解および脱水縮合させて析
出した金属酸化物微粒子と、前記金属酸化物前駆体と相
互作用する化合物と、を含むゾルを生成する工程と、該
ゾルを支持体に塗布および焼成する工程と、からなるこ
とを特徴とする半導体電極の製造方法である。
【0015】(12) 前記ゲル中および/または前記
ゾル中において、前記金属酸化物前駆体と相互作用する
化合物と、前記金属酸化物と、の相分離構造が形成され
ることを特徴とする(10)または(11)に記載の半
導体電極の製造方法である。 (13) 前記ゾル中において、前記金属酸化物前駆体
と相互作用する化合物と、前記金属酸化物と、の相分離
構造が形成されることを特徴とする(10)または(1
1)に記載の半導体電極の製造方法である。 (14) 前記金属酸化物前駆体と相互作用する化合物
が、高分子化合物であることを特徴とする(10)〜
(13)のいずれかに記載の半導体電極の製造方法であ
る。
【0016】(15) 前記高分子化合物が、前記金属
酸化物前駆体と相互作用する官能基を有することを特徴
とする(14)に記載の半導体電極の製造方法である。 (16) 前記金属酸化物前駆体と相互作用する官能基
が、カルボキシル基、アミノ基、ヒドロキシル基からな
る群より選ばれる少なくとも1つの基であることを特徴
とする(15)に記載の半導体電極の製造方法である。 (17) 前記高分子化合物が、ポリアクリル酸である
ことを特徴とする(14)〜(16)のいずれかに記載
の半導体電極の製造方法である。 (18) 金属酸化物前駆体が、金属ハロゲン化物、金
属錯化合物、金属アルコキシド、金属カルボン酸塩、金
属キレート化合物からなる群より選ばれる少なくとも1
つの化合物であることを特徴とする(10)〜(17)
のいずれかに記載の半導体電極の製造方法である。 (19) 金属酸化物前駆体が、金属アルコキシドであ
ることを特徴とする(10)〜(18)のいずれかに
載の半導体電極の製造方法である。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。 〔半導体電極の構成〕本発明の半導体電極は、支持体上
に、微細孔の孔径度数分布が複数のピーク値を有する金
属酸化物多孔質体を形成してなることを特徴とする。即
ち、本発明を構成する金属酸化物多孔質体が有する微細
孔について、その孔径度数分布を示すグラフを描いた場
合、そのグラフの曲線が2以上のピーク値を有する。こ
のことは、金属酸化物多孔質体中に、大小にわたり複数
の孔径の微細孔が、主として存在することを意味する。
なお、ここでいう微細孔の孔径とは、金属酸化物多孔質
体の切断面において、孔となっている部分の面積と同一
の面積の円における半径(円相当半径)を指す。
【0018】ピーク値は2以上存在することを要する
が、2つあれば十分である。図1に、ピーク値が2つ存
在する金属酸化物多孔質体における、その微細孔の孔径
度数分布を示す。図1に示すように、本発明を構成する
金属酸化物多孔質体は、孔径が小さいミクロ孔と、それ
に比較して大きな孔径のマクロ孔の2つが存在し、2山
の孔径度数分布を持つ。このように、金属酸化物多孔質
体中にミクロ孔とマクロ孔とが存在することに本発明の
半導体電極の特徴がある。なお、本発明において、各ピ
ーク値に対応する「ミクロ孔」あるいは「マクロ孔」
は、グラフにおける頂点部分(極大値)の孔径のみを指
すものではなく、その肩の部分の範囲の孔径をも含む概
念である。
【0019】本発明を構成する金属酸化物多孔質体が、
ミクロ孔とマクロ孔の両者を併せ持つことによる効果に
ついて、説明する。半導体電極を電気化学装置の電極と
して用いる場合においても、あるいは半導体電極表面へ
の物質の吸着による物性の変化を利用してセンサーに用
いる場合においても、これらの事象は半導体電極の界面
で起きる。目的とする機能を効率よく達成するには、半
導体電極の比表面積を増大させ、界面を大きく採ること
が有効な手段であり、半導体電極に孔径が小さいミクロ
孔を高密度にもたせることで、比表面積を増大させるこ
とができる。しかしながら、半導体電極内部の界面の隅
々まで増感色素等の機能性分子その他の吸着質が浸透し
なければ、いくら比表面積を大きくしても、そのことは
意味をもたない。
【0020】本発明においては、金属酸化物多孔質中の
物質の拡散はマクロ孔が分担し、比表面積の確保はミク
ロ孔が分担することにより、上記問題点を解決してい
る。金属酸化物多孔質体の細孔構造を道路網に例える
と、マクロ孔は幹線道路に、ミクロ孔は住宅地等の路地
に相当し、ある程度離れた地点の輸送量(移動)は幹線
道路に支配され、細かい目的地への到達は路地によるこ
とに対応している。ミクロ孔とマクロ孔とが存在する金
属酸化物多孔質体を半導体電極として用いることによ
り、比表面積の増大と、物質の拡散とを両立させること
が可能になる。
【0021】このような金属酸化物多孔質体からなる半
導体電極を、前述したような増感色素吸着型の光電極に
用いると、膜厚を厚くしたときでも増感色素の吸着量が
すぐには飽和することなく、十分な増感色素が吸着さ
れ、エネルギー変換効率の高い光電池が実現でき、従来
技術の課題を解決することができる。また、このような
金属酸化物多孔質体からなる半導体電極を、前述したよ
うなセンサーの素子として用いると、感知する面積が大
きいため、小型でも感度のよいセンサーを得ることがで
きる。
【0022】微細孔が、ミクロ孔として働くかマクロ孔
として働くかの分かれ目である限界径は、機能性分子そ
の他の吸着質の大きさにも依存するが、概して半径10
0Å程度である。従って、ミクロ孔の半径は10以上1
00Å未満の範囲が、マクロ孔の半径は100以上1
0,000Å以下の範囲が好ましい。ミクロ孔とマクロ
孔の役割分担の観点から考えると、両者の孔径の範囲は
ある程度離れていることが好ましく、また、マクロ孔は
機能性分子その他の吸着質が金属酸化物多孔質体の内部
まで十分に浸透し得る孔径を、ミクロ孔はこれら吸着質
が吸着でき、かつ金属酸化物多孔質体の比表面積を十分
に確保し得る孔径を有することが好ましく、具体的には
ミクロ孔の好ましい半径は10〜100Åであり、マク
ロ孔のさらに好ましい半径は500〜5,000Åであ
る。
【0023】金属酸化物多孔質体の微細孔の孔径度数分
布は、公知の方法により求めることができる。半径1,
000Å以下の微細孔の分布は窒素、クリプトンなどの
吸着等温線より求める気体吸着法が、半径1,000Å
以上の微細孔の分布はポロシメーターを用いる水銀圧入
法により測定することができる。
【0024】図2は、ピーク値が2つ存在する金属酸化
物多孔質体の構造の一例を示す模式拡大図である。図2
において、金属酸化物多孔質体は、金属酸化物微粒子が
複数個凝集した相と、金属酸化物微粒子が無い空隙相
と、に分離した相分離状構造を形成している。金属酸化
物多孔質体の膜として自立すべく、金属酸化物微粒子が
凝集した相は3次元的に連続したネットワーク状の連続
相を呈している。このような構造をとることにより、微
粒子同士の間には孔径の小さな空隙(図2中の部分拡大
図参照)、金属酸化物微粒子凝集相同士の間にはそれよ
りも大きい空隙が生ずる。
【0025】先に述べたように、大きな比表面積を有す
る金属酸化物多孔質体を形成する方法として、金属酸化
物微粒子を堆積する方法は有効であるが、単に金属酸化
物微粒子を堆積しただけでは、生ずる空隙の大きさは微
粒子の径以下となってしまう。このような方法により得
られた金属酸化物多孔質体を、色素増感光電極として利
用する場合、比表面積は大きいものの色素が膜の内部に
まで浸透しにくく、結果的には膜厚が厚くなるに従い、
単位膜厚あたりの色素吸着量は小さくなってしまう。一
方、図2に示すような金属酸化物多孔質体おいては、金
属酸化物微粒子が凝集した相と金属酸化物微粒子が無い
空隙相とに分離した相分離状構造が形成されているた
め、体積の大きな空隙が生じ、色素を膜の奥深くまで浸
透させることができる。
【0026】金属酸化物微粒子の粒径は特に限定される
ものではなく、目的とする素子の要求特性に従い、その
最適値は異なるが、得られる金属酸化物多孔質体の比表
面積を大きくするという観点では、粒径は小さい方が好
ましい。特に色素増感光電極として利用する場合は、粒
径は1,000Å以下が好ましい。金属酸化物多孔質体
の構造を決める粒径以外のパラメーターは、特に制限を
受けないが、相分離構造のトポロジーにおいては、凝集
相が3次元的に連続していることが素子の機械的強度、
電子的な特性の観点から重要である。凝集相と空隙相と
の体積比に関していえば、ある程度の体積比の空隙相が
必要なことは発明の狙いからして当然であるが、必要以
上の空隙相が存在することは単位膜厚当たりの表面積を
下げることになり、発明の効果が相殺されることにな
る。従って、凝集相と空隙相との体積比としては、機能
性分子その他の吸着質の拡散に十分な量以上に空隙が生
じないようにすることが好ましい。
【0027】本発明を構成する金属酸化物多孔質体の構
造としては、前述した微粒子の凝集体からなる構造以外
にも、樹状構造あるいは血管状構造やフラクタル構造を
持つものが挙げられる。即ち、金属酸化物多孔質体にミ
クロ孔とマクロ孔が存在し、前述の如き役割分担が為さ
れるような構造となっていれば問題ない。このような構
造を持つ金属酸化物多孔質体からなる半導体電極を光電
池に使用すると、光の利用効率、ならびに酸化還元反応
効率を高められるため、変換効率に優れた光電池を提供
できる。半導体電極に色素を吸着させたいわゆる色素増
感型の光電池においては、特にその効果が大きい。
【0028】本発明で使用される金属酸化物としては、
特に限定されるものではないが、酸化チタン、酸化亜
鉛、酸化タングステン、酸化バナジウム、酸化スズ、酸
化銅、チタン酸ストロンチウム等が例示できる。光電極
として利用する場合、なかでも光照射時に溶解する等の
問題がない安定な酸化チタン、チタン酸ストロンチウム
等が好ましいものとして挙げられる。
【0029】本発明の半導体電極の支持体としては、I
TOガラス、ネサガラス等の透明導電性ガラスや、鉄お
よびその合金、チタン、ニッケル、銀、銅等の金属等の
板状体、棒状体、球状体等を使用目的に合わせて用いる
ことができる。
【0030】〔半導体電極の製造方法〕金属酸化物多孔質体の微粒子の凝集体からなる構造(図
2)は、特に以下の方法により実現できる。
【0031】図2の構造の金属酸化物多孔質体からなる
半導体電極は、金属酸化物前駆体を含むゲル中で、前記
金属酸化物前駆体を加水分解および脱水縮合させて金属
酸化物微粒子を析出させ、再びこれをゾル化し、該ゾル
を支持体に塗布および焼成することにより製造すること
ができる。拡散が規制されたゲル中で金属酸化物微粒子
の形成反応を進行させるため、粗大粒の形成や粒子の沈
降が起こらず、粒径の小さな超微粒子が均一に分散した
コロイド溶液(ゾル)を得ることができる。
【0032】金属酸化物前駆体を含むゲルを生成する方
法としては、金属酸化物前駆体と相互作用する化合物を
加える方法が一例として挙げられる。金属酸化物前駆体
として金属アルコキシドを例に挙げると、いわゆる一般
にいわれるゾルゲル法では、金属アルコキシド同士が、
加水分解、脱水縮合反応することでゲル化するが、この
場合ゲルは、−M−O−M−構造(Mは金属原子)の化
学的に強固な3次元ネットワークが形成されており、再
びゾル化させることはできず、ゲル化したままでは塗布
等の手段による加工ができない。
【0033】これに対して、金属酸化物前駆体と相互作
用する化合物との反応により、金属酸化物前駆体を含む
ゲルを生成する方法では、その相互作用の性質を利用す
ることで、再びゾル化させ、優れた加工性をもたせるこ
とが可能となる。なお、金属酸化物前駆体を含む液に、
金属酸化物前駆体と相互作用する化合物を添加する前
に、金属酸化物前駆体が十分に加水分解するのには不十
分な量の水を加え、部分的加水分解状態としておくこと
が好ましい。この水量をコントロールすることによっ
て、金属酸化物微粒子の大きさ等を調整することができ
る。
【0034】金属酸化物前駆体と相互作用する化合物
は、該化合物中に、カルボキシル基、アミノ基、ヒドロ
キシル基など金属酸化物前駆体と相互作用する官能基を
少なくとも二つ以上含む化合物であり、低分子化合物で
あっても、高分子化合物であってもよいが、特に高分子
化合物であることが好ましい。また、アミド酸(酸アミ
ド)のように前記官能基を複数種含むものであってもよ
い。金属酸化物前駆体と相互作用する低分子化合物とし
ては、ジカルボン酸、ジアミン、ジオール、ジアミド酸
等が挙げられる。
【0035】金属酸化物前駆体と相互作用する高分子化
合物は、カルボキシル基、アミノ基、ヒドロキシル基、
アミド酸構造等を主鎖、または側鎖に有する高分子化合
物が挙げられる。高分子化合物の主鎖構造としては特に
限定されるものではないが、ポリエチレン系樹脂、ポリ
スチレン系樹脂、ポリアクリレート系樹脂、ポリメタク
リレート系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステ
ル系樹脂、セルロース系樹脂、シリコーン樹脂、ビニル
系重合体、ポリアミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹
脂、ポリウレタン系樹脂、ポリウレア系樹脂等、または
それらの共重合体構造等の任意の構造を有するものが挙
げられる。そして、金属酸化物前駆体と相互作用する高
分子化合物は、上記主鎖構造を有する高分子の側鎖また
は架橋部分に少なくとも二つ以上のカルボキシル基、ア
ミノ基、ヒドロキシル基、アミド酸構造等の金属酸化物
前駆体と相互作用する官能基を有するものの中から選択
される。
【0036】これらの高分子化合物のなかでも、側鎖に
カルボキシル基を有するポリアクリル酸は、金属酸化物
前駆体との相互作用の形態が適当であり、特に好適なも
のである。また、金属酸化物前駆体と相互作用する官能
基を有していない上記と同様の主鎖構造を有する高分子
との共重合体構造を有していてもよい。また、目的に応
じて、上記金属酸化物前駆体と相互作用する官能基を有
する高分子化合物の2種以上の混合系、または金属酸化
物前駆体と相互作用する官能基を有していない上記と同
様の主鎖構造を有する高分子との混合系で使用すること
もできる。
【0037】上記、図2の構造の金属酸化物多孔質体の
製造において使用される金属酸化物前駆体としては、金
属ハロゲン化物、金属錯化合物、金属アルコキシド、金
属カルボン酸塩或いはキレート化合物等の金属化合物を
用いることができる。これら金属酸化物前駆体は、使用
する溶媒に可溶ならば特に限定されるものではないが、
具体例としては、例えば、TiCl4 、ZnCl2 、W
Cl6 、SnCl2 、SrCl6 などの金属ハロゲン化
物、Ti(NO3 4 、Zn(NO3 2 、Sr(NO
3 2 などの硝酸塩、V(CH3 COO)2 、Zn(C
3 COO)2、Sn(CH3 COO)4 などのカルボ
ン酸塩や、一般式M(OR)n で表される金属アルコキ
シド(ここで、Mは金属元素、Rはアルキル基、nはM
で表される金属元素の酸化数を表す。)が挙げられる。
また、一般式M(OR)n で表される金属アルコキシド
としては、例えば、亜鉛ジエトキシド、タングステンヘ
キサエトキシド、バナジルジエトキシド、スズテトライ
ソプロポキシド、ストロンチウムジイソプロポキシドな
どが挙げられる。
【0038】さらに、チタン酸ストロンチウムなどの複
合酸化物の微粒子薄膜を形成するのであれば、その成分
である2種、あるいは多種の金属を同一の分子中に含む
ダブルアルコキシドも使用できる。酸化チタン微粒子薄
膜を形成する場合、チタニウムテトライソプロポキシ
ド、チタニウムテトラノルマルプロポキシド、チタニウ
ムテトラエトキシド、チタニウムテトラノルマルブトキ
シド、チタニウムテトライソブトキシド、チタニウムテ
トラターシャリーブトキシドなどが使用できる。
【0039】上記、図2の構造の金属酸化物多孔質体の
製造において使用される溶媒は、特に限定されるもので
はないが、メタノール、エタノール、イソプロパノー
ル、ブタノールなどのアルコール類が主として用いられ
る。このほかホルムアミド、ジメチルホルムアミド、ジ
オキサン、ベンゼンなど金属アルコキシド等の金属酸化
物前駆体を溶解し、かつそれらと反応しないものであれ
ば問題なく使用することができる。
【0040】以上の半導体電極の製造方法は、特に前述
の図2の構造の金属酸化物多孔質体からなる半導体電極
を得るのに有効な手段であるが、マクロ孔を有しない金
属酸化物微粒子が緻密に堆積した半導体電極を得る場合
においても、簡便であり、高い加工性を与えるという点
において有効である。
【0041】〔半導体電極の製造例〕次に、本発明の半
導体電極の製造手順を具体例により説明する。なお、本
発明は以下の具体例に限定されるものではない。まず、
金属アルコキシドをアルコールなどの有機溶媒に加えて
混合溶液をつくる。次にこの溶液に、金属アルコキシド
を完全に加水分解するには不十分な量の水、および、触
媒として塩酸、硝酸、硫酸、あるいは酢酸等を加える。
このとき、加える水および酸の量は、使用する金属酸化
物前駆体の加水分解のし易さにより異なる。チタニウム
イソプロポキシドを用いて、酸化チタン多孔質膜を形成
する場合、チタニウムイソプロポキシドに対して、水は
好ましくは0.05〜4倍モル程度、より好ましくは
0.1倍モル〜等モル程度であり、酸は好ましくは0.
02〜2倍モル程度、より好ましくは0.05〜0.5
倍モル程度である。
【0042】金属アルコキシド−アルコール−水−酸の
混合溶液を、室温〜150℃、好ましくは室温〜100
℃で撹拌しながら乾燥窒素気流下で還流する。還流温度
および時間も、やはり使用する金属酸化物前駆体の加水
分解のし易さにより異なるが、チタニウムイソプロポキ
シドを用いる場合、80℃で30分〜3時間程度が好ま
しい。
【0043】この還流操作の結果、金属アルコキシドは
加水分解されるが、前述の如く加える水の量がアルコキ
シ基を加水分解するには不十分なため、M(OR)n
OR基の一部が加水分解されるにとどまる部分的加水分
解状態となる。重縮合反応は進行せず、−M−O−M−
のチェーンはできているとしてもオリゴマー状態であ
り、この状態では溶液は無色透明で粘度の上昇もほとん
どない。
【0044】次にこの溶液を室温にまで温度を下げて、
ポリアクリル酸(金属酸化物前駆体と相互作用する化合
物)を加える。ポリアクリル酸は水溶性の高分子化合物
であり、アルコールなどの有機溶媒自体には不溶である
が、アルコール中で金属アルコキシドが部分的に加水分
解された溶液には容易に溶解し均一な溶液を得ることが
できる。これは、ポリアクリル酸のカルボキシル基と金
属アルコキシドとが塩形成反応により結合し、高分子錯
体状の化合物が形成されるためである。
【0045】この混合溶液にさらに過剰量の水を加え
て、室温〜150℃好ましくは室温〜100℃に保持す
ると数分から1時間程度でゲル化し、ポリアクリル酸と
金属アルコキシドとで架橋状の構造となった複合ゲルが
形成される。この複合ゲルを80℃程度の温度で5〜5
0時間保持すると、ゲルは再び溶解し半透明なゾル(溶
液)が得られる。これは金属アルコキシドの加水分解お
よび重縮合が進行するとともに、ポリアクリル酸と金属
アルコキシドの塩構造が分解して金属酸化物とカルボン
酸エステルとに変化するためである。
【0046】このようして得られたゾルを、ディップコ
ーティング法、スピンコーティング法、ワイヤーバーコ
ーティング法、スプレーコーティング法等公知の方法に
よって、適当な支持体に塗布する。さらに、300℃以
上、好ましくは400℃以上の高温に加熱し、焼成する
と金属酸化物微粒子の結晶化と金属酸化物微粒子同士の
焼結が進行すると同時に、ポリアクリル酸からなる高分
子相が熱分解して消失し、支持体上に、金属酸化物微粒
子が相分離状に凝集した薄膜、即ち図2に示すような金
属酸化物多孔質体が形成される。
【0047】この方法では、まず、拡散が規制されたゲ
ル中で金属酸化物微粒子の形成反応が進行するため、粗
大粒の形成や、粒子の沈降による凝集が起こらず粒径の
小さな超微粒子が均一に分散したコロイド溶液(ゾル)
を得ることができる。また、この加水分解/脱水縮合反
応の過程を通して、高分子錯体状の均一相であったもの
が、高分子相と金属酸化物ネットワーク相に分離し、ミ
クロ相分離構造が形成され、支持体へ塗布後の焼結によ
り高分子相が熱分解して消失し、個々の微粒子間に形成
されるミクロ孔と、微粒子凝集相間に形成されるマクロ
孔と、が形成される。このようにして、ミクロ孔とマク
ロ孔とが存在する金属酸化物多孔質体が支持体上に形成
される。
【0048】上記半導体電極の製造方法における金属酸
化物微粒子の大きさ、その凝集構造の周期、および、凝
集相と空隙相の体積比は、金属アルコキシドに対するポ
リアクリル酸の添加量と、金属アルコキシドとポリアク
リル酸を合わせた固形成分の溶液全体に対する割合で制
御できる。即ち、ポリアクリル酸の添加量を増加すると
空隙相の体積比が増し、金属アルコキシドとポリアクリ
ル酸を合わせた固形成分の溶液全体に対する割合を減ら
すと、凝集構造の周期は小さくなり空隙相の密度は増す
が、微粒子そのものの大きさは大きくなる。
【0049】具体的な条件としては、まず、金属アルコ
キシドに対するポリアクリル酸の量は、重量比で好まし
くは0.1〜1.0程度、更に好ましくは0.3〜0.
7程度である。金属アルコキシドに対するポリアクリル
酸の量を下げるとマクロ孔が少ない緻密な金属酸化物多
孔質体を得ることができるが、前記重量比が0.1以下
では−M−O−M−の3次元ネットワークがゲルの生成
工程で成長してしまうため、ゲルは再溶解しにくくな
り、また1.0以上では、比較的大きな空隙が生じ不透
明な膜になる傾向がある。また、固形成分の溶液全体に
対する割合は、0.5wt%〜20wt%、更に好まし
くは1wt%〜10wt%程度がよい。0.5wt%以
下では、ゲルの生成工程でゲル化反応の進行が遅く、流
動性の高いゾル状態で金属酸化物微粒子が形成され、比
較的大きな微粒子が形成される傾向がある。一方、20
wt%以上では、ゲルの生成工程でゾルからゲルへの進
行が速く、均一なゲルが得られにくくなる。
【0050】ポリアクリル酸に代えてポリアミド酸を用
いた場合においても、金属アルコキシドや金属塩化物と
高分子錯体の化合物を形成し複合ゲルが形成される。こ
の場合、複合ゲル中で金属酸化物微粒子を生成せしめた
後、ゲルを無水酢酸/ピリジン混合溶液に浸し、アミド
酸構造をイミド環構造に変化させることにより、再ゾル
化を促進させることができる。
【0051】〔機能性分子〕本発明の半導体電極は、以
上の如く、その表面の金属酸化物多孔質体がミクロ孔と
マクロ孔の両者を併せ持つため、種々の機能性分子を内
部まで有効に浸透させ、かつ担持させることができる。
機能性分子としては、増感色素、各種触媒、各種酵素等
を挙げることができる。
【0052】機能性分子が増感色素であり、かつ、金属
酸化物多孔質体が光応答性である場合には、得られた半
導体電極は、高効率の光起電力発生用の半導体電極(以
下、「光電極」という場合がある)として用いることが
できる。このとき増感色素の中でも特に可視光増感色素
を用いると、得られる光電極は、太陽光を有効に、かつ
効率よく吸収し、高い光起電力を発生するものとなるた
め好ましい。増感色素としては、増感作用をもたらすも
のであれば如何なるものでも使用することができるが、
ローダミンB、ローズベンガル、エオシン、エリスロシ
ン等のキサンテン系色素、キノシアニン、クリプトシア
ニン等のシアニン系色素、フェノサフラニン、チオシ
ン、メチレンブルー等の塩基性染料、クロロフィル、亜
鉛ポルフィリン、マグネシウムポルフィリン等のポルフ
ィリン系化合物、アゾ染料、フタロシアニン化合物、R
uトリスビピリジル等の錯化合物、アントラキノン系色
素、多環キノン系色素等が挙げられる。なお、「金属酸
化物多孔質体が光応答性である」とは、バンドギャップ
以上の光を吸収してキャリアを生成する金属酸化物から
なる多孔質体を指す。
【0053】これら増感色素の金属酸化物多孔質体への
吸着量としては、金属酸化物多孔質体の微細孔の構造お
よび膜厚、増感色素の大きさ、必要とする性能等により
異なるが、本発明の半導体電極における金属酸化物多孔
質体は、従来のものよりも吸着量の飽和点が極めて高
く、得られる光電極の性能を大幅に向上させることがで
きる。
【0054】増感色素を金属酸化物多孔質体へ吸着させ
る方法は、適当な溶媒に増感色素を溶解または分散さ
せ、この溶解または分散液に、金属酸化物多孔質体の形
成された半導体電極を浸漬することにより行うことがで
きる。その他、増感色素を真空中で蒸発させ、気相中で
吸着させる等の方法によっても行うことができる。
【0055】〔光電池の構成〕本発明における光電池
は、前述の半導体電極を光電極として用いるものであ
り、その限りにおいて特に制限はなく、様々な構成のも
のが挙げられる。代表的な例として、半導体電極(光電
極)と対向電極を電解質溶液を介して接続した、いわゆ
る湿式光化学電池(光電気化学的なエネルギー変換装
置)を挙げることができる。その構成を図3に示す。
【0056】対向電極としては、良電体であれば如何な
るものであっても使用することができるが、酸化・還元
反応に対する過電圧の小さい白金、パラジウム、ロジウ
ム、ルテニウム等を好適なものとして挙げることができ
る。電解質溶液の溶媒としては、水、もしくはアセトニ
トリル、ピリジン、ジメチルアセトアミド、プロピレン
カーボネート、エチレンカーボネート等の極性溶媒、あ
るいはその混合物が使用できる。電解質溶液は、少なく
とも可逆的に酸化/還元の状態変化を起こす物質系(還
元系)を含むものである。還元系の例としては、ヨウ化
物イオン/ヨウ素、臭化物イオン/臭素、キノン/ハイ
ドロキノン、鉄(II)イオン/鉄(III)イオン、銅
(I)イオン/銅(II)イオン等を挙げることができ
る。また、電解質溶液の電気伝導度を上げる目的で、電
解質溶液中に支持電解質を加えてもよい。支持電解質と
しては、塩化カルシウム、硫酸ナトリウム、塩化アンモ
ニウム等を挙げることができる。
【0057】
【実施例】以下、本発明を実施例によってさらに具体的
に説明する。実施例1 チタニウムテトライソプロポキシド6.41gをエタノ
ール20mlで希釈し、撹拌しながら比重1.38の硝
酸を0.514g、水を0.2ml加えた。以上の混合
操作は乾燥窒素気流下で行った。この混合液を80℃に
昇温し、乾燥窒素気流下で2時間還流して、無色透明の
ゾル液を得た。このゾル液を室温まで冷却したのち、撹
拌しながらゾル液2gに対して0.1gのポリアクリル
酸を加えたところ、ポリアクリル酸は完全に溶解し無色
透明のゾル液が得られた。
【0058】得られたゾル液にさらに2mlの水を加え
て無色透明で均一なゾル液を得た。このゾル液をガラス
容器に密閉して80℃に昇温した。ゾル液は5分ほどで
ゲル化し、ほぼ透明な均一なゲルが得られる。80℃で
さらに15時間保持するとゲルは再び溶解してやや白っ
ぽい半透明のゾル液Aが得られた。このゾル液Aを用い
てスピンコート法で石英支持体の上に塗布し、450℃
に昇温し20分保持して焼成し、無色透明な膜を得た。
この塗布および焼成の工程を繰り返して、膜厚の異なる
膜を形成した半導体電極を得た。
【0059】得られた半導体電極の膜の結晶構造を、X
線回折により調べた結果、アナターゼ型の酸化チタンが
形成されていることが確認された。膜の微細構造をSE
M観察により調べたところ、相分離状の凝集組織が形成
されていた。微粒子の凝集相の間の空隙は、幅が200
〜500Å、長さは500〜2,000Å程度であっ
た。凝集相のさらに微細な構造をTEM観察により調べ
たところ、この凝集相は直径約100Åの微粒子が凝集
していること、また電子線回折からこの微粒子がアナタ
ーゼ型の酸化チタンであることが確認された。
【0060】得られた半導体電極を、下記構造式(1)
のRu錯体のエタノール溶液(濃度10-3mol/l)
に浸漬し、増感色素の吸着処理を行い、光電極を得た。
図4に、得られた光電極上の膜の膜厚と吸収スペクトル
のピークの吸光度との関係を示す。
【0061】
【化1】
【0062】前述のゾル液Aを用いて、ディップコーテ
ィング法によりアルミシート上に塗布し、50℃に昇温
し20分保持して焼成し、無色透明な膜を得た。この塗
布および焼成の工程を15回繰り返し、膜厚1.95μ
mの膜を得た。このアルミシートを短冊状に切り、定容
法によるガス吸着法(吸着ガスとしてクリプトンを使
用)で、膜の微細孔の孔径度数分布を測定した。その結
果を図5に示す。図5からわかるように、得られた膜
は、半径が50Å以下のミクロ孔と500Å程度のマク
ロ孔との2つの孔径度数分布を持つものであった。
【0063】さらに、前述のゾル液Aを用いてスピンコ
ート法でITO支持体上に塗布し、450℃に昇温し2
0分保持して焼成し、無色透明な薄膜を得た。この塗布
および焼成の工程を繰り返して、膜厚の異なる膜が形成
された半導体電極を得た。得られた半導体電極を、構造
式(1)に示したRu錯体のエタノール溶液(濃度10
-3mol/l)に浸漬し、増感色素の吸着処理を行い、
光電極を得た。
【0064】この光電極と、対向電極として白金の薄層
が設けられたITOガラスとを貼り合わせたのち、一部
の開口部を残して端面をエポキシ接着剤でシールし、両
シートの間に電解液を毛細現象を利用して滲み込ませて
図6に示す構成の光電池を作製した。電解液としては、
エチレンカーボネートとアセトニトリルの混合溶液(体
積比でそれぞれ4:1の割合)10ml中にテトラプロ
ピルアイオダイド1.44gとヨウ素0.076gを溶
解させたものを使用した。光電極に照度500μW/c
2 の単色光(波長530nm)を照射しながら光電極
と対向電極との間に流れる短絡電流(光起電流)を測定
した。図7に膜厚と光起電流の関係を示す。
【0065】比較例1 チタニウムテトライソプロポキシド6.41gをエタノ
ール20mlで希釈し、撹拌しながら比重1.38の硝
酸を0.514g、水を0.2ml加えた。以上の混合
操作は乾燥窒素気流下で行った。この混合液を80℃に
昇温し、乾燥窒素気流下で2時間還流して、無色透明の
ゾル液を得た。このゾル液を室温まで冷却したのち、ゾ
ル液2gに対して2mlの水を加えて無色透明で均一な
ゾル液を得た。このゾル液をガラス容器に密閉して80
℃に昇温した。ゾル液は1時間ほどでゲル化し、やや白
く濁った均一なゲルが得られた。80℃でさらに50時
間保持したがゲルは溶解しなかった。なお、この間、ゲ
ルは徐々に収縮し最終的には体積が初めの1/4程度に
なった。
【0066】比較例2 チタニウムテトライソプロポキシド6.41gをエタノ
ール20mlで希釈し、撹拌しながら比重1.38の硝
酸を0.514g、水を0.2ml加えた。以上の混合
操作は乾燥窒素気流下で行った。この混合液を80℃に
昇温し、乾燥窒素気流下で2時間還流して、無色透明の
ゾル液を得た。このゾル液を用いてスピンコート法でガ
ラス支持体の上に塗布し、450℃に昇温し20分保持
して焼成し、無色透明な膜(膜厚1.50μm)が形成
された半導体電極を得た。
【0067】得られた半導体電極の膜の微細構造をSE
M観察により調べたところ、明瞭な組織は観察できず均
一で緻密な構造であった。さらに微細な構造をTEM観
察により調べたが、やはり明瞭な組織は観察できなかっ
た。得られた半導体電極を、前記構造式(1)のRu錯
体のエタノール溶液(濃度10-3mol/l)に浸漬し
て増感色素の吸着処理を行ったが、増感色素の吸着は、
ほとんど認められなかった。
【0068】比較例3 比重1.38の硝酸を1.544g、水を150mlの
混合溶液に、激しく撹拌しながらチタニウムテトライソ
プロポキシド25gを加えた。以上の混合操作は乾燥窒
素気流下で行った。この混合液を80℃に昇温し、乾燥
窒素気流下で8時間還流して、半透明のゾル液を得た。
該ゾル液にポリエチレングリコールモノオクチルフェニ
ルエーテル2.0gを加えた。このゾル液を用いてスピ
ンコート法でガラス支持体の上に塗布し、450℃に昇
温し20分保持して焼成し、無色透明な膜を得た。この
塗布および焼成の工程を繰り返して、膜厚の異なる膜が
形成された半導体電極を得た。
【0069】得られた半導体電極の膜の微細構造をSE
M観察により調べたところ、明瞭な組織は観察できず均
一で緻密な構造であった。さらに微細な構造をTEM観
察により調べたところ、直径20nmの微粒子から構成
されていることが確認された。得られた半導体電極を、
前記構造式(1)のRu錯体のエタノール溶液(濃度1
-3mol/l)に浸漬し増感色素の吸着処理を行っ
た。図4に膜厚と吸収スペクトルのピークの吸光度との
関係を示した。この図をみると明らかなように、膜厚が
増加するにつれて吸光度は飽和する傾向がみられ、また
その絶対値も実施例1に比べ低く、色素の吸着能の劣る
ものであった。
【0070】多孔質膜の微細孔の孔径度数分布を実施例
1と同様にして測定した。その結果を図5に示す。図5
から明らかなように、実施例1とは異なり径が50Å以
下のミクロ孔しか認められなかった。さらに実施例1と
同様にして光電池を作製し、その光起電流を測定した。
光起電流と膜厚の関係を図7に示す。図7から明らかな
ように、実施例1に比べて光起電流は低く、光電池とし
て劣るものであった。
【0071】実施例2 増感色素の吸着処理を行わなかったことを除いては、実
施例1と同様にして酸化チタン多孔質膜からなる光電極
(膜厚2.50μm)を作製し、実施例1と同様にして
光電池を作製した。酸化チタン多孔質電極に照度300
μW/cm2 の単色光(波長350nm)を照射しなが
ら光電極と対向電極との間に流れる短絡電流(光起電
流)を測定した。その光起電流値は26μAcm2 であ
った。
【0072】比較例4 増感色素の吸着処理を行わなかったことを除いては、比
較例3と同様にして酸化チタン多孔質膜からなる光電極
(膜厚2.34μm)を作製し、実施例1と同様にして
光電池を作製した。酸化チタン多孔質電極に照度300
μW/cm2 の単色光(波長350nm)を照射しなが
ら光電極と対向電極との間に流れる短絡電流(光起電
流)を測定した。その光起電流値は9.8μAcm2
あり、実施例2に比べて光起電流は低く光電池として劣
るものであった。
【0073】実施例3 タングステンヘキサエトキシド11.36gをエタノー
ル20mlで希釈し、撹拌しながら比重1.38の硝酸
を0.514g、水を0.2mlを加えた。以上の混合
操作は乾燥窒素気流下で行った。この混合液を80℃に
昇温し、乾燥窒素気流下で2時間還流して、無色透明の
ゾル液を得た。このゾル液を室温まで冷却したのち、撹
拌しながらゾル液2gに対して0.1gのポリアクリル
酸を加えたところ、ポリアクリル酸は完全に溶解し無色
透明のゾル液が得られた。
【0074】このゾル液にさらに2mlの水を加えて無
色透明で均一なゾル液を得た。このゾル液をガラス容器
に密閉して80℃に昇温した。ゾル液は20分ほどでゲ
ル化し、ほぼ透明な均一なゲルが得られる。80℃でさ
らに20時間保持するとゲルは再び溶解してやや白っぽ
い半透明のゾル液が得られた。このゾル液を用いてスピ
ンコート法でITO支持体の上に塗布し、450℃に昇
温し20分保持して焼成し、無色透明な膜(膜厚1.4
0μm)が形成された半導体電極を得た。
【0075】得られた半導体電極の膜の微細構造を、S
EM観察により調べたところ、相分離状の凝集組織が形
成されていた。凝集相のさらに微細な構造をTEM観察
により調べたところ、この凝集相は直径約150Åの微
粒子が凝集しているこが確認された。また、実施例1と
同様にして、膜の微細孔の孔径度数分布を測定したとこ
ろ、半径が100Å以下のミクロ孔と1,000Å以上
のマクロ孔の存在が確認できた。
【0076】得られた半導体電極を、前記構造式(1)
のRu錯体のエタノール溶液(濃度10-3mol/l)
に浸漬し、増感色素の吸着処理を行った。さらに実施例
1と同様にして光電池を作製した。照度300μW/c
2 の単色光(波長530nm)を照射しながら光電極
と対向電極との間に流れる短絡電流を測定した。その光
起電流値は15.0μAcm2 であった。
【0077】比較例5 タングステンヘキサエトキシド11.36gをエタノー
ル20mlで希釈し、攪拌しながら、比重1.38の硝
酸を1.544g、水0.2mlを加えた。以上の混合
操作は乾燥窒素気流下で行った。この混合液を80℃に
昇温し、乾燥窒素気流下で2時間還流して、無色透明の
ゾル液を得た。このゾル液を用いてスピンコート法でガ
ラス支持体の上に塗布し、450℃に昇温し20分保持
して焼成し、無色透明な膜(膜厚1.70μm)を形成
した半導体電極を得た。
【0078】得られた半導体電極の膜の微細構造をSE
M観察により調べたところ、明瞭な組織は観察できず均
一で緻密な構造であった。さらに微細な構造をTEM観
察により調べたが、やはり明瞭な組織は観察できなかっ
た。得られた半導体電極を、前記構造式(1)のRu錯
体のエタノール溶液(濃度10-3mol/l)に浸漬し
て増感色素の吸着処理を行ったが、増感色素の吸着はほ
とんど認められなかった。
【0079】比較例6 比重1.38の硝酸を1.544g、水を150mlの
混合溶液に、激しく撹拌しながらタングステンヘキサエ
トキシド25gを加えた。以上の混合操作は乾燥窒素気
流下で行った。この混合液を80℃に昇温し、乾燥窒素
気流下で8時間還流して、半透明のゾル液を得た。該ゾ
ル液にポリエチレングリコールモノオクチルフェニルエ
ーテル2.0gを加えた。このゾル液を用いてスピンコ
ート法でガラス支持体の上に塗布し、450℃に昇温し
20分保持して焼成し、無色透明な膜(膜厚1.70μ
m)が形成された半導体電極を得た。
【0080】得られた半導体電極の膜の微細構造をSE
M観察により調べたところ、明瞭な組織は観察できず均
一で緻密な構造であった。さらに微細な構造をTEM観
察により調べたところ、直径20nmの微粒子から構成
されていることが確認された。得られた半導体電極を、
前記構造式(1)のRu錯体のエタノール溶液(濃度1
-3mol/l)に浸漬し増感色素の吸着処理を行っ
た。さらに実施例1と同様にして光電池を作製した。照
度300μW/cm2 の単色光(波長530nm)を照
射しながら光電極と対向電極との間に流れる短絡電流
(光起電流)を測定した。その光起電流値は8.7μA
cm2 であり、実施例3に比べて、光起電流が低く、光
電池として劣るものであった。
【0081】実施例4 (高分子化合物の合成)乾燥窒素気流下にて、ジメチル
アセトアミド200ml中に下記構造式(2)で示され
る2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニ
ル]ヘキサフロロプロパン10.28gを溶解し、完全
に溶解した後、下記構造式(3)で示される4,4′−
(ヘキサフロロイソプロピリデン)無水フタル酸8.8
8gを徐々に加えた。続いて乾燥窒素気流下にて、10
〜15℃に保ちながら1時間ゆっくり攪拌し、さらに2
0〜25℃に保ちながら2時間攪拌を続けて、下記構造
式(4)で示される高分子化合物の溶液を得た。
【0082】
【化2】
【0083】(酸化チタン多孔質体の形成)チタニウム
テトライソプロポキシド6.41gをジメチルアセトア
ミド20mlで希釈し、撹拌しながら比重1.38の硝
酸を0.514g、水を0.2mlを加えた。以上の混
合操作は乾燥窒素気流下で行った。この混合液を80℃
に昇温し、乾燥窒素気流下で2時間還流して、無色透明
のゾル液を得た。このゾル液を室温まで冷却したのち、
ゾル液2gに対して撹拌しながら前記構造式(4)で示
される高分子化合物の溶液ポリアクリル酸2gを加えた
ところ、完全に相溶し無色透明のゾル液が得られた。
【0084】得られたゾル液にさらに2mlの水を加え
て無色透明で均一なゾル液を得た。このゾル液をガラス
容器に密閉して80℃に昇温した。ゾル液は5分ほどで
ゲル化し、ほぼ透明な均一なゲルが得られる。80℃で
さらに15時間保持してやや白っぽい半透明のゲルが得
られた。このゲルを取り出し、無水酢酸/ピリジンの混
合溶液(体積比1/1)5mlに浸し、50℃でさらに
5時間保持したところやや白っぽい半透明のゾル液が得
られた。
【0085】このゾル液を用いてスピンコート法でIT
O支持体の上に塗布し、450℃に昇温し20分保持し
て焼成し、無色透明な膜(膜厚1.50μm)が形成さ
れた半導体電極を得た。得られた半導体電極の膜の結晶
構造を、X線回折により調べた結果、アナターゼ型の酸
化チタンが形成されていることが確認された。膜の微細
構造をSEM観察により調べたところ、相分離状の凝集
組織が形成されていた。微粒子の凝集相の間の空隙は、
幅が200Å〜700Å、長さは500Å〜2,000
Å程度であった。凝集相のさらに微細な構造をTEM観
察により調べたところ、この凝集相は直径約150Åの
微粒子が凝集していること、また電子線回折からこの微
粒子がアナターゼ型の酸化チタンであることが確認され
た。
【0086】得られた半導体電極を、前記構造式(1)
のRu錯体のエタノール溶液(濃度10-3mol/l)
に浸漬し、増感色素の吸着処理を行った。さらに実施例
1と同様にして光電池を作製した。照度300μW/c
2 の単色光(波長530nm)を照射しながら光電極
と対向電極との間に流れる短絡電流(光起電流)を測定
した。その光起電流値は29.2μAcm2 であった。
【0087】以上の実施例1〜4および比較例1〜6で
得られた半導体電極の、膜厚、塗布・焼成回数、ピーク
吸光度、励起光波長および発生した光起電流の各値を、
下記表1にまとめる。
【0088】
【表1】
【0089】
【発明の効果】本発明によれば、太陽光を吸収し、効率
よくエネルギーを変換する半導体電極を得ることがで
き、変換効率の高い光電池を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ピーク値が2つ存在する金属酸化物多孔質体の
微細孔の孔径度数分布を示すグラフである。
【図2】ピーク値が2つ存在する金属酸化物多孔質体の
構造の一例を示す模式拡大図である。
【図3】湿式光化学電池の一例を示す模式側面図であ
る。
【図4】実施例1および比較例3の半導体電極上の膜の
膜厚と吸収スペクトルのピークの吸光度との関係を示す
グラフである。
【図5】実施例1および比較例3の半導体電極上の膜の
微細孔の孔径度数分布を示すグラフである。
【図6】実施例1で作製した光電池の構成を示す模式断
面図である。
【図7】実施例1および比較例3の半導体電極上の膜の
膜厚と光起電流の関係を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 廣瀬 英一 神奈川県南足柄市竹松1600番地 富士ゼ ロックス株式会社内 (56)参考文献 特開 平1−220380(JP,A) 特開 平9−237641(JP,A) 特開 平10−112337(JP,A) 特開 平8−99041(JP,A) 特開 平7−249790(JP,A) 特開 昭63−185448(JP,A) 特開 平5−59562(JP,A) 米国特許5916837(US,A) 米国特許5155086(US,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01M 14/00 H01L 31/04

Claims (19)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持体上に、微細孔の孔径度数分布が複
    数のピーク値を有する金属酸化物多孔質体が形成され、前記微細孔の孔径度数分布のピーク値のうち、少なくと
    も1つのピーク値に対応する微細孔がミクロ孔であり、
    かつ、少なくとも他の1つのピーク値に対応する微細孔
    がマクロ孔であり、 前記マクロ孔の円相当半径が100Å以上10,000
    Å以下の範囲であり、かつ前記ミクロ孔の円相当半径が
    10Å以上100Å未満の範囲であること を特徴とする
    半導体電極。
  2. 【請求項2】 機能性分子が、内部まで浸透した状態で
    前記金属酸化物多孔質体に担持されていることを特徴と
    する請求項に記載の半導体電極。
  3. 【請求項3】 前記金属酸化物多孔質体が光応答性を有
    し、前記機能性分子が増感色素であることを特徴とする
    請求項に記載の半導体電極。
  4. 【請求項4】 前記増感色素が可視光増感色素であるこ
    とを特徴とする請求項に記載の半導体電極。
  5. 【請求項5】 前記マクロ孔が、前記機能性分子が前記
    金属酸化物多孔質体の内部まで十分に浸透し得る孔径を
    有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載
    の半導体電極。
  6. 【請求項6】 前記金属酸化物多孔質体が、酸化チタ
    ン、酸化亜鉛、酸化タングステン、酸化バナジウム、酸
    化スズ、酸化銅、チタン酸ストロンチウムからなる群よ
    り選択される少なくとも1種の金属酸化物からなること
    を特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の半導体電
    極。
  7. 【請求項7】 前記金属酸化物多孔質体が、酸化チタン
    からなることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに
    載の半導体電極。
  8. 【請求項8】 請求項3〜7のいずれかに記載の半導体
    電極であって、光により起電力を発生する装置に用いる
    ことを特徴とする光起電力発生用の半導体電極。
  9. 【請求項9】 請求項に記載の半導体電極を備えた光
    電池。
  10. 【請求項10】 請求項1〜8のいずれかに記載の半導
    体電極の製造方法であって、 金属酸化物前駆体と、該金属酸化物前駆体と相互作用す
    る化合物と、を溶媒中で混合してゲルを生成する工程
    と、 該ゲル中の前記金属酸化物前駆体を加水分解および脱水
    縮合させて析出した金属酸化物微粒子と、前記金属酸化
    物前駆体と相互作用する化合物と、を含むゾルを生成す
    る工程と、 該ゾルを支持体に塗布および焼成する工程と、 からなることを特徴とする半導体電極の製造方法。
  11. 【請求項11】 請求項1〜8のいずれかに記載の半導
    体電極の製造方法であって、 金属酸化物前駆体と、該金属酸化物前駆体を部分的に加
    水分解する量の水と、を混合する工程と、 該混合物に、前記金属酸化物前駆体と相互作用する化合
    物と、さらに過剰量の水と、を添加し、混合してゲルを
    生成する工程と、 該ゲル中の前記金属酸化物前駆体を加水分解および脱水
    縮合させて析出した金属酸化物微粒子と、前記金属酸化
    物前駆体と相互作用する化合物と、を含むゾルを生成す
    る工程と、 該ゾルを支持体に塗布および焼成する工程と、 からなることを特徴とする半導体電極の製造方法。
  12. 【請求項12】 前記ゲル中および/または前記ゾル中
    において、前記金属酸化物前駆体と相互作用する化合物
    と、前記金属酸化物と、の相分離構造が形成されること
    を特徴とする請求項10または11に記載の半導体電極
    の製造方法。
  13. 【請求項13】 前記ゾル中において、前記金属酸化物
    前駆体と相互作用する化合物と、前記金属酸化物と、の
    相分離構造が形成されることを特徴とする請求項10ま
    たは11に記載の半導体電極の製造方法。
  14. 【請求項14】 前記金属酸化物前駆体と相互作用する
    化合物が、高分子化合物であることを特徴とする請求項
    10〜13のいずれかに記載の半導体電極の製造方法。
  15. 【請求項15】 前記高分子化合物が、前記金属酸化物
    前駆体と相互作用する官能基を有することを特徴とする
    請求項14に記載の半導体電極の製造方法。
  16. 【請求項16】 前記金属酸化物前駆体と相互作用する
    官能基が、カルボキシル基、アミノ基、ヒドロキシル基
    からなる群より選ばれる少なくとも1つの基であること
    を特徴とする請求項15に記載の半導体電極の製造方
    法。
  17. 【請求項17】 前記高分子化合物が、ポリアクリル酸
    であることを特徴とする請求項14〜16のいずれかに
    記載の半導体電極の製造方法。
  18. 【請求項18】 金属酸化物前駆体が、金属ハロゲン化
    物、金属錯化合物、金属アルコキシド、金属カルボン酸
    塩、金属キレート化合物からなる群より選ばれる少なく
    とも1つの化合物であることを特徴とする請求項10〜
    17のいずれかに記載の半導体電極の製造方法。
  19. 【請求項19】 金属酸化物前駆体が、金属アルコキシ
    ドであることを特徴とする請求項10〜18のいずれか
    記載の半導体電極の製造方法。
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