JP3309264B2 - 制電塗料とその塗膜を形成した制電フィルム及び制電シート - Google Patents

制電塗料とその塗膜を形成した制電フィルム及び制電シート

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、導電性ポリアニリンの
粉粒を均一に分散させた制電塗料の塗膜を有する制電シ
ートに関する。
【0002】
【従来の技術】表面に制電層を形成した合成樹脂フィル
ムやシートは、帯電防止効果があるため、手術室や無塵
室等の塵埃を嫌う室内の壁装材や床材として利用されて
おり、また、半導体製造工場ではウエハー洗浄工程の搬
送部のカバーや装置の外板等として利用されている。
【0003】かかるフィルムやシートの制電層は、界面
活性剤を含むものと、金属酸化物を含むものと、炭素粉
を含むものと、導電性ポリマーで形成されたものとに大
別することができる。
【0004】しかしながら、界面活性剤を含む制電層
は、界面活性剤がブリードアウトするため帯電防止の持
続性がなく、しかも湿度や温度によって表面抵抗が大幅
に変動するため帯電防止効果が一定しないという欠点が
ある。
【0005】また、金属酸化物を含む制電層は、金属酸
化物が脱落しやすいため、例えばウエハー洗浄工程で使
用すると、脱落した金属酸化物がウエハーに付着し、不
良品の発生率が高くなるといった欠点がある。
【0006】更に、炭素粉を含む制電層は、黒色不透明
であるため透視できないという欠点があり、また、炭素
粉が脱落しやすいので上記の金属酸化物を含む制電層と
同様の欠点もある。
【0007】これに対し、導電性ポリマーで形成された
制電層は、帯電防止効果が一定して持続性があり、異物
脱落の恐れもないため、近年、注目を浴びており、その
代表的なものが導電性ポリアニリンの制電層である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
導電性ポリアニリンは、有機溶剤に不溶で加熱しても溶
融しないポリマーであり、そのままでは汎用樹脂と同様
の方法で成膜することが困難なものであるため、例えば
特開平6−166748号に開示されているように、還
元型ポリアニリンと、両末端に芳香族第2アミンと反応
する官能基を持ったポリウレタン化合物とを反応させる
ことにより、有機溶剤に可溶またはゲル化可能な架橋構
造を有するポリアニリン誘導体として成膜する必要があ
る。そのため、成膜までの工程が複雑になり、コストア
ップを招くという問題があった。
【0009】そこで、本発明者らは導電性ポリアニリン
を塗料化し、塗布するだけで簡単に制電塗膜を形成でき
るようにすることを着想した。けれども、市販の導電性
ポリアニリンの粉粒は、一次粒子が二次凝集して3〜1
00μm程度の大きい粉粒となっており、嵩比重が低
く、吸油量が大きい(ぬれにくい)ため、これを一次粒
子に分離した状態で塗料基剤中に均一に分散させること
が極めて難しく、二次凝集した状態のまま分散させる
と、透明性及び制電性の良好な薄い制電塗膜を形成でき
る塗料が得られないという困難な問題に遭遇した。
【0010】本発明は上記事情に鑑みてなされたもの
で、その目的とするところは、透明性及び制電性の良好
な含ポリアニリン制電塗料の薄い塗膜を形成した制電シ
ートを提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明の制電シートは、熱可塑性樹脂を揮発性溶剤
に溶解した5〜100cpsの粘度を有する樹脂ワニス
中に導電性ポリアニリンの粉粒を上記熱可塑性樹脂10
重量部に対し2〜40重量部の割合で含有させた制電塗
料の塗膜であって導電性ポリアニリンが0.1〜0.2
μm程度の粒径を有する一次粒子に分離した状態で均一
に分散している上記塗膜を熱可塑性樹脂フィルムの片面
に形成した制電フィルムと、熱可塑性樹脂シートとから
なり、制電フィルムが上記塗膜を外側にして熱可塑性樹
脂シートの少なくとも片面に積層一体化されているもの
である。
【0012】
【0013】
【作用】本発明に用いる制電塗料のように、塗料基材と
して熱可塑性樹脂を揮発性溶剤に溶解した5〜100c
psの粘度を有する樹脂ワニスを用いると、導電性ポリ
アニリン粉粒の分散性が良くなるため、適切な分散装置
で高剪断力を加えながら該粉粒を分散させると、該粉粒
が粒径0.1〜0.2μm程度の一次粒子に分離した状
態で樹脂ワニス中に均一に分散する。しかし、樹脂ワニ
スの粘度が100cpsより高い場合は、分散装置内で
所謂「空回り」の状態となり、導電性ポリアニリン粉粒
を実質的に一次粒子に分離した状態で分散させることが
困難になる。また、樹脂ワニスの粘度が5cpsより低
い場合は、得られる制電塗料が極めて低粘度の塗料とな
り、塗布特性が悪くなる。
【0014】本発明の制電塗料は、導電性ポリアニリン
の粉粒を樹脂ワニス中の熱可塑性樹脂10重量部に対し
2〜40重量部の割合で配合し、上記のように実質的に
一次粒子に分離した状態で均一に分散させているため、
塗布後に揮発性溶剤を乾燥除去して塗膜を形成すると、
塗膜内で一次粒子同士が連続的に接触して、表面抵抗率
が105 〜108 Ω/□程度の良好な制電性を発揮す
る。そして、上記の配合割合で導電性ポリアニリンの粉
粒を分散させると、塗膜の透明性が大幅に低下すること
もない。また、一次粒子の粒径は0.1〜0.2μm程
度であるから、該粒径の2〜3倍程度の膜厚を有する極
めて薄い塗膜を形成することもできる。導電性ポリアニ
リンの配合割合が上記の範囲を下回ると、塗膜の透明性
は向上するけれども、表面抵抗率が増大するため、良好
な制電性を有する塗膜の形成が困難となる。逆に、導電
性ポリアニリンの配合割合が上記範囲を上回ると、塗膜
の制電性は良くなるけれども、透明性がかなり低下し、
また、熱可塑性樹脂の不足によって塗膜強度も低下す
る。
【0015】本発明の制電シートは、導電性ポリアニリ
ンが0.1〜0.2μm程度の粒径を有する一次粒子に
分離した状態で均一に分散している上記制電塗料の塗膜
を熱可塑性樹脂フィルムの片面に形成した制電フィルム
を、その塗膜を外側にして熱可塑性樹脂シートの少なく
とも片面に積層一体化したものであるから、製造が容易
である。そして、表面の制電塗料の塗膜が上記のように
105〜10 Ω/□の表面抵抗率を有し、良好な帯
電防止作用を発揮するため、本発明の制電シートは塵埃
等の付着を充分阻止することができる。また、この塗膜
は、導電性ポリアニリンの粉粒とそのバインダーとなる
熱可塑性樹脂との割合が上記の通りであって、導電性ポ
リアニリンの粉粒が熱可塑性樹脂により強個に結合され
ているから、塗膜強度が大きく、導電性ポリアニリンの
粉粒が脱落しにくいものであり、長期間にわたって良好
な帯電防止作用を持続することができる。しかも、この
塗膜は透明性があり、特に、塗膜を5μm以下の厚さに
形成すると、全光線透過率が約60〜80%と良好とな
るため、透明性や透視性が妨げられる心配もない。更
に、この塗膜は導電性ポリアニリン粒子によって緑色に
着色された透明膜であるため、熱線(赤外線)を遮断す
る作用もある。
【0016】
【実施例】以下、図面を参照して本発明の実施例を説明
する。
【0017】図1は本発明の制電フィルムの一実施例を
示す断面図であって、この制電フィルムAは、透明な熱
可塑性樹脂フィルム1の表面に本発明の制電塗料を塗
布、乾燥して塗膜2を形成したものである。この制電塗
料の塗膜2は、熱可塑性樹脂フィルム1の表裏両面に形
成してもよい。
【0018】熱可塑性樹脂フィルム1としては、例えば
ポリ塩化ビニル、ポリメチルメタクリレート、ポリカー
ボネート、ポリエチレンテレフタレート等の透明なフィ
ルムが好適に使用されるが、その他の熱可塑性樹脂の透
明フィルムも勿論使用することができる。フィルムの厚
さは特に制限なく、用途等を考慮して適当な厚さのフィ
ルムを選択すればよい。
【0019】塗膜2の形成に用いる本発明の制電塗料
は、熱可塑性樹脂を揮発性溶剤に溶解した5〜100c
psの粘度を有する樹脂ワニス中に、導電性ポリアニリ
ンの粉粒を上記熱可塑性樹脂10重量部に対し2〜40
重量部の割合で均一に分散させて調製したものである。
【0020】樹脂ワニスの熱可塑性樹脂としては、ポリ
塩化ビニルや、酢酸ビニルの含有率が10重量%以下の
塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂などが好適に使用さ
れるが、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネー
ト、ポリエチレンテレフタレート等の熱可塑性樹脂も勿
論使用することができる。また、樹脂ワニスの揮発性溶
剤としては、例えばシクロヘキサノン、メチルイソブチ
ルケトン等が単独で或は混合して使用されるが、その他
の揮発性溶剤も勿論使用することができる。
【0021】樹脂ワニスは、その粘度が5〜100cp
sとなるように熱可塑性樹脂の配合量を調節して揮発性
溶剤に溶解し調製する必要がある。5〜100cpsの
粘度を有する樹脂ワニスは導電性ポリアニリン粉粒の分
散性が良いため、該粉粒を添加して適切な分散装置で高
剪断力を加えながら撹拌すると、該粉粒が実質的に一次
粒子に分離した状態で樹脂ワニス中に均一に分散させる
ことができるからである。樹脂ワニスの粘度が100c
psより高い場合は、分散装置内で所謂「空回り」の状
態となって導電性ポリアニリン粉粒を実質的に一次粒子
に分離した状態で分散させることが困難になり、また、
樹脂ワニスの粘度が5cpsより低い場合は、得られる
制電塗料が塗布特性の悪い低粘度の塗料となるので、い
ずれの場合も本発明の目的を達成できる制電塗料が得ら
れない。
【0022】導電性ポリアニリンとしては、例えばアラ
イド−シグナル社製の品名Versicon等が好適に使用され
る。このものは、0.1〜0.2μm程度のポリアニリ
ンの一次粒子が二次凝集した3〜100μm程度の粒径
を有する粉粒であり、嵩比重が約0.30と低く、吸油
量がカーボンブラックと同程度に大きいものである。こ
の導電性ポリアニリン粉粒の配合割合は、樹脂ワニス中
の熱可塑性樹脂10重量部に対して2〜40重量部の割
合とする必要がある。この割合で導電性ポリアニリン粉
粒を樹脂ワニス中に均一に分散させて制電塗料を調製す
ると、105〜108 Ω/□程度の表面抵抗率を有する
制電性(帯電防止性)の良好な塗膜を形成することがで
き、塗膜の透明性が大幅に低下することがなく、塗膜の
熱線遮断作用も良好となるからである。導電性ポリアニ
リン粉粒の配合割合が2重量部より少ない場合は、形成
される塗膜の透明性は向上するけれども、表面抵抗率が
増大するため良好な制電性を有する塗膜の形成が困難と
なり、また、導電性ポリアニリン粉粒による緑色の着色
度合が極めて淡くなるため、熱線遮断作用も大幅に低下
する。逆に、導電性ポリアニリン粒子が40重量部より
多い場合は、塗膜の制電性や熱線遮断作用は良くなるけ
れども、透明性がかなり低下し、また、熱可塑性樹脂の
不足によって塗膜強度も低下する。従って、いずれの場
合も本発明の目的を達成できる制電塗料が得られない。
導電性ポリアニリン粒子のより好ましい配合割合は、樹
脂ワニス中の熱可塑性樹脂10重量部に対して5〜20
重量部の範囲である。
【0023】樹脂ワニスに導電性ポリアニリン粉粒を分
散させる装置としては、例えばサンドミル、ボールミ
ル、ホモジナイザー等が使用されるが、いずれの分散装
置を用いる場合も、導電性ポリアニリン粉粒の凝集力よ
り大きい剪断力を加えてよく撹拌し、該粉粒を実質的に
一次粒子に分離した状態で均一に分散させた制電塗料を
得ることが必要である。
【0024】このようにして得られる本発明の制電塗料
は、その粘度が30〜400cps程度であり、良好な
塗布特性を有するものである。なお、分散した一次粒子
の再凝集を抑制するため、場合によっては分散剤を適量
添加するようにしてもよい。分散剤としては、例えばド
デシルベンゼンスルホン酸等が好適に使用される。ま
た、透視性等が要求されない場合は、酸化チタン粉やそ
の他の顔料を混合して不透明な制電塗料としてもよい。
【0025】図1に例示した制電フィルムAの塗膜2
は、以上のような本発明の制電塗料をロールコーターや
ブレードコーター等の塗布装置で熱可塑性樹脂フィルム
1の表面に均一な厚みに塗布し、揮発性溶剤を乾燥除去
して形成したものであって、導電性ポリアニリンの一次
粒子同士が連続的に接触した状態で熱可塑性樹脂にて結
合された構造をしており、表面抵抗率が105 〜108
Ω/□程度の良好な制電性を発揮する。
【0026】塗膜2の好ましい厚さ(乾燥膜厚)は5μ
m以下であり、より好ましい厚さは0.5〜3μmであ
る。このような薄い塗膜2を形成すると、60〜80%
程度の全光線透過率を有する透明性、透視性等の良好な
制電フィルムを得ることができる。塗膜2の厚さが5μ
mより大きくなると、全光線透過率が低下し、透明性等
が悪くなるので好ましくない。この塗膜2は薄くなるほ
ど全光線透過率が向上するけれども、あまり薄く形成す
るとピンホールや亀裂等を生じて制電性や塗膜強度が大
幅に低下する恐れがあり、また、塗膜2の透明な緑色が
極めて淡くなって熱線遮断作用も大幅に低下するので、
上記のように0.5μm以上とすることが望ましい。
【0027】図2は本発明の制電シートの一実施例を示
す断面図であって、この制電シートBは熱可塑性樹脂シ
ート3の片面に前記の制電塗料の塗膜2を形成したもの
である。この塗膜2は、シート3の表裏両面に形成して
もよい。
【0028】熱可塑性樹脂シート3としては、例えばポ
リ塩化ビニル、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボ
ネート、ポリエチレンテレフタレート等の透明なシート
が好適に使用されるが、その他の熱可塑性樹脂の透明シ
ートも勿論使用することができる。シートの厚さは特に
制限なく、用途等を考慮して適当な厚さのシートを選択
すればよい。なお、ここに言う「シート」とは、プレー
トをも包含する広概念の用語である。
【0029】塗膜2の厚さや構成は、前記制電フィルム
の塗膜と同様であるので、説明を省略する。
【0030】このような制電シートBも、表面の制電塗
料の塗膜2によって良好な帯電防止効果と熱線遮断効果
を奏することは言うまでもない。
【0031】図3は本発明のもう一つの制電シートの実
施例を示す断面図であって、この制電シートCは、前述
の制電フィルムAをその塗膜2を外側にして熱可塑性樹
脂シート3の表面に積層一体化したものである。制電フ
ィルムAは、必要に応じて熱可塑性樹脂シート3の表裏
両面に積層一体化してもよい。
【0032】熱可塑性樹脂シート3としては、前述した
シートが好適に使用されるが、制電フィルムAの熱可塑
性樹脂フィルム1と剥離しないように積層一体化できる
透明な熱可塑性樹脂シートであれば全て使用可能であ
る。
【0033】制電フィルムAと熱可塑性樹脂シート3を
積層一体化する手段としては、ホットプレス機や熱圧着
ロール等を用いて制電フィルムAを熱可塑性樹脂シート
3に熱圧着する手段が最も望ましいが、適当な接着剤を
用いて接着してもよい。また場合によっては、塗膜2が
剥離しやすい制電フィルムを塗膜2を内側にして熱可塑
性樹脂シート3に積層一体化してもよい。このようにす
ると、使用時にフィルム1を剥がして塗膜2を露出させ
ることができる。
【0034】上記のような制電シートCも、表面の制電
塗料の塗膜2によって良好な帯電防止効果を奏すること
は言うまでもない。
【0035】次に、本発明の更に具体的な実施例と比較
例を説明する。
【0036】[実施例1]シクロヘキサノンとメチルイ
ソブチルケトンを3:7の重量比で混合した揮発性混合
溶剤に、酢酸ビニルを5重量%含んだ塩化ビニル−酢酸
ビニル共重合樹脂(鐘淵化学工業(株)製の品番M−1
008、平均重合度:800)を溶解し、樹脂濃度が
3.9重量%、粘度が約10cpsの樹脂ワニスを調製
した。
【0037】この樹脂ワニスをサンドミルに移し、導電
性ポリアニリンの粉粒(アライド−シグナル社製の品名
Versicon)を、樹脂ワニス中の樹脂10重量部に対して
20重量部の割合となるように添加しながら、室温で1
0分間撹拌して均一に分散させ、約100cpsの粘度
を有する本発明の制電塗料を得た。
【0038】この制電塗料を厚さ0.25mmのポリ塩
化ビニルフィルムの片面にロールコーターで塗布、乾燥
して、厚さ約1μmの緑色透明な塗膜を形成し、本発明
の制電フィルムを得た。表面抵抗計(三菱油化(株)製
の品名ハイレスタ)を用いてこの制電フィルムの塗膜の
表面抵抗率を測定したところ、107 Ω/□であり、良
好な制電性を有していた。また、光線透過率測定機(ス
ガ試験機(株)製の品名ヘーズコンピューター)を用い
て、この制電フィルムの全光線透過率を測定したとこ
ろ、75%であり、透明性も良好であった。
【0039】更に、この制電フィルムを塗膜を上側にし
て厚さ3mmのポリ塩化ビニルシートに重ね、ホットプ
レス機で温度160℃、圧力16kg/cm2 の条件下
に熱圧着して、本発明の制電シートを得た。この制電シ
ートの全光線透過率を測定したところ、70%という結
果が得られた。
【0040】[実施例2]塩化ビニル−酢酸ビニル共重
合樹脂の配合量を変更した以外は実施例1と同様にし
て、樹脂濃度が10重量%、粘度が約70cpsの樹脂
ワニスを調製した。そして、この樹脂ワニスへの導電性
ポリアニリン粒子の配合割合を樹脂ワニス中の樹脂分1
0重量部に対して5重量部の割合となるように変更した
以外は実施例1と同様にして、約250cpsの粘度を
有する本発明の制電塗料を得た。
【0041】この制電塗料を用いて実施例1と同様にし
て制電フィルムを作製し、その表面抵抗率と全光線透過
率を測定したところ、表面抵抗率は、108 Ω/□、全
光線透過率は70%であり、制電性及び透明性が共に良
好であった。
【0042】更に、この制電フィルムを用いて実施例1
と同様にして制電シートを作製し、その全光線透過率を
測定したところ、65%という結果が得られた。
【0043】[比較例1]塩化ビニル−酢酸ビニル共重
合樹脂の配合量を変更した以外は実施例1と同様にし
て、樹脂濃度が2重量%、粘度が約2cpsの樹脂ワニ
スを調製した。そして、この樹脂ワニスへの導電性ポリ
アニリン粒子の配合割合を樹脂ワニス中の樹脂分10重
量部に対して1重量部の割合となるように変更した以外
は実施例1と同様にして、約5cpsの粘度を有する制
電塗料を得た。
【0044】この制電塗料は塗布特性が悪いため、実施
例1で用いたポリ塩化ビニルフィルムの表面に刷毛塗り
して膜厚が約10μmの塗膜を形成し、制電フィルムを
得た。そして、実施例1と同様に、この制電フィルムの
表面抵抗率と全光線透過率を測定したところ、表面抵抗
率は、1013Ω/□、全光線透過率は80%であり、透
明性は良好であるが制電性に劣るものであった。
【0045】[比較例2]塩化ビニル−酢酸ビニル共重
合樹脂の配合量を変更した以外は実施例1と同様にし
て、樹脂濃度が12重量%、粘度が約150cpsの樹
脂ワニスを調製した。そして、この樹脂ワニスへの導電
性ポリアニリン粒子の配合割合を樹脂ワニス中の樹脂分
10重量部に対して50重量部の割合となるように変更
した以外は実施例1と同様にして、約3000cpsの
粘度を有する制電塗料を得た。
【0046】この制電塗料を比較例1と同様にポリ塩化
ビニルフィルムの表面に刷毛塗りして膜厚が約25μm
の塗膜を形成し、制電フィルムを得た。そして、実施例
1と同様に、この制電フィルムの表面抵抗率と全光線透
過率を測定したところ、表面抵抗率は、102 Ω/□、
全光線透過率は8%であり、制電性は良好であるが透明
性に劣るものであった。また、この制電フィルムの塗膜
は、摩擦すると導電性ポリアニリン粒子の脱落が見られ
た。
【0047】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
に用いる制電塗料は、5〜100cpsの粘度を有する
樹脂ワニスを塗料基材とするため、導電性ポリアニリン
の粒子を実質的に粒径0.1〜0.2μm程度の一次粒
子に分離した状態で樹脂ワニス中に均一に分散させるこ
とができ、しかも、該粒子の配合割合を樹脂ワニスの樹
脂分10重量部に対して2〜40重量部の割合としてい
るので、105〜10Ω/□程度の表面抵抗率を有す
る制電性及び透明性及び熱線遮断性の良好な塗膜を形成
することができる。
【0048】従って、この制電塗料の塗膜を片面に形成
した制電フィルムを該塗膜を外側にして熱可塑性樹脂シ
ートの少なくとも片面に積層一体化した本発明の制電シ
ートは、表面の制電塗料の塗膜により帯電を防止して塵
埃の付着を満足に阻止できるといった効果を奏し、しか
も、透明性や熱線遮断性が良いので透視性や熱線遮断が
要求される種々の用途に好適に使用することができ、ま
た、塗膜強度も大きいので塗膜が破損したり摩擦等によ
って導電性ポリアニリン粒子が脱落する心配も殆どない
といった効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の制電フィルムの実施例を示す断面図で
ある。
【図2】本発明の制電シートの実施例を示す断面図であ
る。
【図3】本発明のもう一つの制電シートの実施例を示す
断面図である。
【符号の説明】
1 熱可塑性樹脂フィルム 2 制電塗料の塗膜 3 熱可塑性樹脂シート A 制電フィルム B,C 制電シート
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 坂井 将人 大阪市中央区安土町2丁目3番13号 タ キロン株式会社内 (56)参考文献 特開 平6−263899(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01B 5/14 C08J 7/04 H01B 1/20 - 1/24 C09D 5/24

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱可塑性樹脂を揮発性溶剤に溶解した5
    〜100cpsの粘度を有する樹脂ワニス中に導電性ポ
    リアニリンの粉粒を上記熱可塑性樹脂10重量部に対し
    2〜40重量部の割合で含有させた制電塗料の塗膜であ
    って導電性ポリアニリンが0.1〜0.2μm程度の粒
    径を有する一次粒子に分離した状態で均一に分散してい
    る上記塗膜を熱可塑性樹脂フィルムの片面に形成した制
    電フィルムと、熱可塑性樹脂シートとからなり、制電フ
    ィルムが上記塗膜を外側にして熱可塑性樹脂シートの少
    なくとも片面に積層一体化されている制電シート。
  2. 【請求項2】 前記塗膜が105〜10 Ω/□の表
    面抵抗率を有する請求項1に記載の制電シート。
JP28144894A 1994-10-19 1994-10-19 制電塗料とその塗膜を形成した制電フィルム及び制電シート Expired - Fee Related JP3309264B2 (ja)

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