JP4388768B2 - 帯電防止成型体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、帯電防止性能に優れた成型体に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、半導体製造を中心とする電気電子産業や食品産業、医薬産業等においては、僅かな塵や埃等の異物混入等が品質管理上の問題となるため、工程によっては塵や埃の極めて少ないクリーン環境の中で行われるが、このようなクリーン環境の維持には、塵や埃を吸着する静電気の発生が支障となるため、クリーン環境内で使用する物品には帯電防止性能が要求される。また、電機部品等では静電気による機能破壊等が起こりやすいという問題があるため、同様に帯電防止性能が要求される。
【0003】
物品、特に合成樹脂成型品に帯電防止性能を付与する方法としては、物品を構成する素材にカーボンブラック、金属粉末、導電性金属酸化物等の導電性フィラー、界面活性剤等を添加する方法や、物品表面に導電性フィラーを含有する帯電防止層や界面活性剤からなる帯電防止層を設ける方法等が挙げられる。しかしながら、上記の各方法にはそれぞれ問題があった。即ち、物品を構成する素材に導電性フィラーを添加する方法では、良好な帯電防止性能を得るためには多量の導電性フィラーを添加しなければならず、結果として、物品の成型性が低下したり、物品が不透明になったり、物品に自由に着色できない等の問題があった。また、物品を構成する素材に界面活性剤を添加する方法では、導電性が低く充分な帯電防止性能が得られない上に、帯電防止性能が雰囲気の湿度の影響を受けやすいという欠点があった。
【0004】
また、物品表面に界面活性剤からなる帯電防止層を設ける方法では、帯電防止性能が不充分であるうえに、水やアルコールによる洗浄で界面活性剤からなる帯電防止層が消失したり、摩擦等により取れ易く耐久性に欠ける等の問題があった。
【0005】
一方、物品の表面に導電性フィラーを含有する帯電防止層を設ける方法としては、例えば、導電性金属酸化物系微粒子を含有する帯電防止塗料を物品の表面に塗布する方法が挙げられる。しかし、微小な粒子を多量に含有する塗料はチキソトロピックな性状を示すため、平滑な塗膜の形成を阻害し、透明性が必要な物品への適用には制約があった。即ち、表面平滑性と透明性とを向上させるためには、ロールコーター等を用いて強いせん断力を与えながら塗布する必要があるため、塗布方法が制限されたり、塗布後にバフ研磨(特許文献1参照)や鏡面ホットプレス(特許文献2参照)等の別途の後工程を設けることが必要であった。
【0006】
また、このような方法は板状やフィルム状の平坦な物品には有効であるが、凹凸があったり、曲面を有していたり、容器状である等の複雑な3次元形状の成型体等においては、ロールコーター等によるせん断を与えながらの塗布やバフ研磨等の後処理が困難で、透明性、表面平滑性、耐久性に優れた帯電防止性成型体は得られていなかった。
【0007】
一方、上記の様な複雑な形状の帯電防止成型体を製造する方法としては、予め表面に帯電防止層を設けた板を、プレス成型したり、真空成型する等の方法が一般的であるが、表面に帯電防止層を設けた板を成型する際には、変形を受ける部位の帯電防止層が変形に追随できず、帯電防止性能が低下してしまうという問題があった。
【0008】
【特許文献1】
特公昭63−33778号公報
【特許文献2】
特公平6−15071号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記現状に鑑み、帯電防止塗料を基材に塗布するのみで得られ、表面が平滑で基材の透明性や発色を損なうことなく、帯電防止性に優れた帯電防止成型体を提供することを目的とし、特に凹凸を有する三次元形状のような複雑な形状の基材に帯電防止層が形成された帯電防止成型体を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、導電性金属酸化物として酸化錫を含有する帯電防止塗料からなる帯電防止層を凹凸を有する三次元形状体である基材の表面上に有し、表面抵抗値が1×104〜1×109 Ω/□であり、表面粗さ(Ra)が5〜50nmであり、ヘイズ値が10%以下であり、且つ、全光線透過率が84%以上である帯電防止成型体である。
以下に本発明を詳述する。
【0011】
本発明の帯電防止成型体は、導電性金属酸化物として酸化錫を含有する帯電防止塗料かなる帯電防止層を基材の表面上に有するものである。
上記帯電防止塗料としては特に限定されないが、例えば、導電性酸化錫微粒子、バインダー樹脂、及び、有機溶剤を含有する塗料が好適に用いられる。
【0012】
上記導電性酸化錫微粒子としては、例えば、アンチモンを含有する導電性酸化錫、インジウム錫酸化物等の酸化錫が挙げられるが、なかでも、アンチモンを含有する導電性酸化錫が好ましい。また、上記導電性酸化錫微粒子としては、透明微粒子の表面に導電性金属酸化物層が形成された複合微粒子を用いることもできる。このような複合微粒子としては、例えば、硫酸バリウムの微粒子表面にアンチモンを含有する導電性酸化錫からなる層が形成された導電性微粒子が市販されている。
【0013】
上記帯電防止塗料に添加する導電性酸化錫微粒子としては、塗料中で微分散させる必要があるため、塗料に添加する前の平均粒子径が100nm以下であり、好ましくは50nm以下のものが好適に用いられる。上記帯電防止塗料中における導電性酸化錫微粒子は、平均粒子径が100nm以下であり、且つ、粒子径が200nm以上のものの含有量が導電性酸化錫微粒子の総量に対して10重量%以下となるように分散されている。導電性酸化錫微粒子の平均粒子径が100nmを超える場合や、粒子径が200nm以上のものの含有量が10重量%を超える場合には、塗膜の表面が荒れて、均一な厚みを有し表面が平滑な帯電防止層が得られにくい。特に、基材が着色されていたり、透明であったりする場合には、得られた帯電防止層が不透明であると、得られた帯電防止成型体の色は不鮮明になったり、不透明となる。なお、上記帯電防止塗料中における導電性酸化錫微粒子の平均粒子径は、帯電防止塗料を溶剤で希釈し光散乱法により求められた値であり、1次粒子と凝集体との両方を含む平均粒子径である。
また、粒子径が200nm以上である導電性酸化錫微粒子には、1次粒子が複数個凝集した凝集体も含まれる。より好ましい平均粒子径は50nm以下であり、粒子径が200nm以上のもののより好ましい含有量は5重量%以下である。
【0014】
上記帯電防止塗料の導電性酸化錫微粒子含有量は、塗料の固形分中の50〜80重量%であることが好ましい。50重量%未満であると、帯電防止性能が不足することがあり、80重量%を超えて配合しても、配合量に見合った帯電防止性能は得られず、また、平均粒子径を100nm以下となるように分散させるのが困難になる。
【0015】
上記バインダー樹脂としては特に限定されず、例えば、塩化ビニル系樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂等のラッカータイプの塗料バインダーとして一般的に使われている樹脂や、紫外線硬化樹脂、熱硬化樹脂等の反応性樹脂が挙げられる。
【0016】
上記有機溶剤としては、上記バインダー樹脂を溶解する溶剤であり、且つ、上記導電性金属酸化物微粒子の分散性を阻害しない溶剤であれば特に限定されず、例えば、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル等の酢酸エステル類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素化合物等が挙げられる。これらの溶剤は、バインダー樹脂の種類や塗装性等の要求に応じて適宜選択されれば良く、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0017】
上記帯電防止塗料の固形分濃度は、1〜20重量%であることが好ましい。1重量%未満であると、塗料の付着量を多くする必要があり、塗料が流動し過ぎてタレ等の不具合を生じる。一方、20重量%を超えると、チキソトロピックな性状が強く現れ、塗膜表面が荒れ、均一な厚みを有し表面が平滑な帯電防止層が得られず、特にスプレー方式で塗装する場合、飛沫痕により塗膜表面に凹凸等が生じ、帯電防止層の透明性が損なわれる。固形分濃度を1〜20重量%にすることにより、バフ仕上げ等の後処理をしなくとも、透明で表面の平滑な帯電防止層が得られる。より好ましい下限は5重量%であり、より好ましい上限は10重量%である。なお、上記固形分とは、主に上記バインダー樹脂と上記導電性金属酸化物微粒子とを意味する。
【0018】
上記帯電防止塗料は、粘度が5〜30cpsであることが好ましい。5〜30cpsであると、スプレー方式により塗布しやすい。なお、上記粘度は、20℃において、ローターNo.2、回転数50rpmの条件でB型粘度計により測定される値である。
【0019】
本発明の帯電防止成型体の帯電防止層は、例えば、上記帯電防止塗料を基材表面に塗布することにより形成される。
上記帯電防止塗料を基材表面に塗布する方法としては特に限定されず、例えば、刷毛を用いる方法、スプレー法、ディッピング法、ロールコート法、バーコード法、ドクターブレード法等が挙げられる。基材が、板状、シート状、フィルム状等の比較的単純な形状を有する場合は、上記のいずれの塗工方法によっても良好な帯電防止層が得られるが、基材が、表面に凹凸があったり、曲面を有していたり、容器状である等の複雑な凹凸を有する三次元形状体である場合には、スプレー法によることが好ましい。スプレー法は基材が複雑な形状であっても、比較的容易に塗膜の厚みを均一にすることができる。このため、スプレー法によれば、均一な厚さの塗膜を得ることができるので、バフ仕上げ等の後処理をしなくとも、帯電防止塗料をスプレー塗布することのみにより、透明で表面が平滑な帯電防止層を形成することができる。
【0020】
上記帯電防止層の厚みとしては特に限定されないが、塗膜乾燥後の厚みが0.2〜10μmであることが好ましい。0.2μm未満であると、帯電防止層の表面が基材の表面状態に影響されて平滑性に劣るものとなり、帯電防止性能が不充分となる。一方、10μmを超えると、帯電防止層の透明性が低下する。
【0021】
本発明の帯電防止成型体の基材としては特に限定されず、例えば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等のポリオレフィン系樹脂;塩化ビニル系樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂等の熱可塑性樹脂や、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂を含む合成樹脂類や、ガラス等の無機物類等からなる成型体が挙げられ、用途に応じて適宜選択されれば良いが、軽量であること、成型性等の点から、合成樹脂類からなる成型体が好ましい。
【0022】
上記基材は、板状やフィルム状であってもよいが、上記基材が曲面や折れ曲がった部位等の凹凸を有する三次元形状体である場合に、特に本発明が好適に用いられる。
上記基材の成型法としては特に限定されず、例えば、射出成型、真空成型、押出成型、プレス成型等が挙げられる。
【0023】
本発明の帯電防止成型体は、表面抵抗値が1×104〜1×109 Ω/□である。1×104Ω/□未満であると、帯電防止性能には問題がないが、用途によっては導電性が高すぎて、例えば、半導体デバイスの容器の場合、放電現象が起こってデバイスを破壊する等の不都合があり、一方、1×109Ω/□を超えると、帯電防止性能が不充分となる。なお、上記表面抵抗値は、JIS K 6911に基づいて求められる値であるが、本発明の帯電防止成型体の形状が複雑な場合は、高抵抗計を用いて電極間の抵抗を測定し、表面抵抗値に換算することにより求められる。
【0024】
本発明の帯電防止成型体は、表面粗さ(Ra)が5〜50nmである。5nm未満であると、表面仕上げ等の後工程が必要となり、50nmを超えると、帯電防止成型体の透明性が低下したり、平滑な表面が得られない等の問題が生じる。なお、上記表面粗さ(Ra)は、JIS B 0601に基づいて求められる算術平均粗さである。
【0025】
本発明の帯電防止成型体は、透明性が求められる場合には、ヘイズ値が10%以下であることが好ましい。10%を超えると、帯電防止成型体の透明性が低下する。より好ましい上限は5%である。本発明の帯電防止成型体のヘイズ値は基材自体のヘイズ値の影響を受けるが、本発明の典型的な実施態様においては、本発明の帯電防止成型体のヘイズ値は基材のヘイズ値に対して3%以内の上昇に抑えられる。なお、上記ヘイズ値は、JIS K 7105に基づいて求められる値である。
【0026】
本発明の帯電防止成型体は、全光線透過率が84%以上であることが好ましい。84%未満であると、用途によっては、帯電防止成型体の透明性が充分でないことがある。全光線透過率を84%以上とするためには、上記基材として、PMMA等のアクリル系樹脂や、PC等のポリカーボネート系樹脂等の透明樹脂からなる成型体を用いることが好ましい。帯電防止成型体の全光線透過率もヘイズ値と同様に、基材の全光線透過率の影響を受けるが、本発明の典型的な実施態様においては基材の全光線透過率に対して10%以内の低下に抑えることができる。なお、上記全光線透過率は、上記ヘイズ値と同様に、JIS K 7105に基づいて求められる値である。
【0027】
本発明の帯電防止成型体の用途としては特に限定されないが、例えば、ウェハー容器、フォトマスク容器、半導体等の精密製造装置の扉やカバー、照明カバー等が好適に挙げられる。
【0028】
従来は、導電性金属酸化物微粒子を分散させた塗料を塗布する場合、特にスプレー方式による場合に、透明で、表面が平滑な塗膜が得られにくいのが一般的である。この理由としては、例えば、次のような事柄が考えられる。
【0029】
第一の理由は、導電性金属酸化物微粒子の凝集体粒子径が大きいことである。透明な帯電防止塗料には1次粒子の平均粒子径が数十nm程度の導電性金属酸化物微粒子が用いられるが、上記導電性金属酸化物微粒子を1次粒子にまで分散させるのは非常に困難であり、通常は、多数の1次粒子が凝集した凝集体として存在する。上記凝集体の粒子径が大きいと光の散乱が増加したり塗膜表面に凹凸が生じたりして、透明で平滑な塗膜が得られない。更に、スプレー塗装の場合、飛沫が空中を飛ぶ際に空気と激しく接触し、気化潜熱を奪われたり吸湿したりすることに起因して、導電性金属酸化物微粒子は更に大きな凝集体を生成し、塗膜の透明性や平滑性を損ねてしまう傾向がある。
【0030】
第二の理由は、スプレー飛沫が基材表面に付着した後、充分に平滑化されずに乾燥固化してしまうために、塗膜表面に凹凸の飛沫痕が残ってしまうためである。塗膜表面に飛沫痕が残りやすいことはスプレー塗装一般に当てはまることであるが、導電性金属酸化物微粒子を多量に含有する帯電防止塗料においてはその傾向が著しい。その理由としては、塗料がチキソトロピック性を有するためと考えられる。
【0031】
これに対して、本発明においては、帯電防止塗料の固形分濃度を低くし、且つ、帯電防止塗料中の導電性酸化錫微粒子として、平均粒子径が100nm以下で、且つ、粒子径が200nm以上のものの含有量が10重量%以下であるものを使用することにより上記の問題が解消でき、スプレー塗装のみにより、後処理をしなくとも、透明性、表面平滑性に優れた帯電防止層を基材表面上に形成することができる。
【0032】
【実施例】
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
【0033】
<実施例1>
〔基材の作製〕
厚さ2mmの透明アクリル板を真空成型法により曲率半径10cmのお椀形に成型した。成型後の透明アクリル樹脂からなる基材自体のヘイズ値は3%であり、全光線透過率は91%であった。
【0034】
〔帯電防止塗料の作製〕
直径0.3mmのジルコニア製ビーズを充填したビーズミルに、シクロヘキサノン63重量部、塩化ビニル系共重合体(日本ゼオン社製、商品名「MR−110」)14重量部を入れ、回転数100rpmで10分間運転し、塩化ビニル系共重合体を溶剤中に溶解した。その後、アンチモンドープ酸化錫粉末(三菱マテリアル社製、商品名「T−1」;1次粒子径20nm)23重量部を、少量づつ添加した。添加後、回転数を2300rpmに上げ、4時間攪拌して帯電防止塗料原液を得た。得られた塗料原液をシクロヘキサノンで希釈し、固形分濃度が10重量%の帯電防止塗料を得た。
【0035】
〔基材への塗布〕
上記基材に、希釈した塗料をスプレー方式により塗布量が平均40g/m2となるように塗布し、60℃で20分間温風乾燥して帯電防止成型体を得た。
【0036】
<実施例2>
塗料の固形分濃度を3重量%とし、塗布量を100g/m2としたこと以外は実施例1と同様にして帯電防止成型体を得た。
【0037】
<実施例3>
塩化ビニル系共重合体の配合量を12重量部とし、アンチモンドープ酸化錫粉末の配合量を25重量部とし、塗料の固形分濃度を5重量%とし、塗料の塗布量を80g/m2としたこと以外は実施例1と同様にして帯電防止成型体を得た。
【0038】
<実施例4>
回転数2300rpmでの攪拌時間を7時間としたこと以外は実施例1と同様にして帯電防止成型体を得た。
【0039】
<比較例1>
〔帯電防止塗料の作製〕
回転数2300rpmでの攪拌時間を30分間としたこと以外は実施例1と同様にして帯電防止塗料を作製した。
【0040】
〔基材への塗布〕
実施例1と同様にして帯電防止成型体を作製した後に、後処理としてバフ仕上げを行った。
【0041】
<比較例2>
塗料の固形分濃度を30重量%としたこと以外は実施例1と同様にして帯電防止成型体を得た。
【0042】
<比較例3>
バフ仕上げを行わなかったこと以外は比較例1と同様にして帯電防止成型体を得た。
【0043】
〔評価〕
各実施例及び比較例で得られた帯電防止塗料及び帯電防止成型体について下記の評価を行った。結果を表1に示した。
【0044】
(酸化錫微粒子の粒子径)
帯電防止塗料をメチルエチルケトンにて希釈し、レーザー散乱法による粒度分布計(HORIBA LA−910、堀場製作所社製)にて測定した。
【0045】
(表面抵抗値)
高抵抗計(TR−3、東京エレクトロニック社製)を用いて、帯電防止成型体表面の5カ所の抵抗を測定し、表面抵抗値を求め、その範囲を表1に示した。
【0046】
(表面粗さ(Ra))
表面形状測定器(サーフコム480、東京精密社製)を用いて、帯電防止成型体の表面粗さ(Ra)を求めた。
【0047】
(ヘイズ値、全光線透過率)
帯電防止成型体から5cm×10cm角の試験片をカットし、ヘイズメーター(ND−1001DP、日本電色工業社製)を用いて、帯電防止成型体のヘイズ値及び全光線透過率を測定した。
【0048】
(塗料の粘度)
20℃において、ローターNo.2、回転数50rpmの条件で、B型粘度計(B8H、東京計器社製)を用いて測定した。
【0049】
【表1】
【0050】
【発明の効果】
本発明は、上述の構成よりなるので、帯電防止塗料を基材に塗布するのみで得られ、バフ仕上げ等の後処理を別途要することなく、基材が凹凸を有する複雑な三次元形状を有している場合であっても、帯電防止性、透明性、表面平滑性に優れる帯電防止成型体を提供することができ、得られた帯電防止成型体は、クリーンルーム内等において使用される設備や部品等に好適に使用される。
Claims (3)
- 導電性金属酸化物として酸化錫を含有する帯電防止塗料からなる帯電防止層を凹凸を有する三次元形状体である基材の表面上に有し、
表面抵抗値が1×104〜1×109 Ω/□であり、表面粗さ(Ra)が5〜50nmであり、ヘイズ値が10%以下であり、且つ、全光線透過率が84%以上であることを特徴とする帯電防止成型体。 - 前記帯電防止層は、帯電防止塗料をスプレー塗布することのみにより形成されるものであることを特徴とする請求項1記載の帯電防止成型体。
- 前記帯電防止塗料は、導電性酸化錫微粒子、バインダー樹脂、及び、有機溶剤を含有し、固形分濃度が1〜20重量%で、前記固形分の導電性酸化錫微粒子含有量が50〜80重量%である塗料であり、
導電性酸化錫微粒子は、平均粒子径が100nm以下で、
且つ、粒子径が200nm以上のものの含有量が10重量%以下であることを特徴とする請求項1又は2記載の帯電防止成型体。
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