JP3503035B2 - 制電シート並びにその製造方法 - Google Patents

制電シート並びにその製造方法

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JP3503035B2 JP33481494A JP33481494A JP3503035B2 JP 3503035 B2 JP3503035 B2 JP 3503035B2 JP 33481494 A JP33481494 A JP 33481494A JP 33481494 A JP33481494 A JP 33481494A JP 3503035 B2 JP3503035 B2 JP 3503035B2
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  • Coating Of Shaped Articles Made Of Macromolecular Substances (AREA)
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、耐擦傷性に優れた制電
層を有する制電シートと、その製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】表面に制電層を有する合成樹脂フィルム
やシートは帯電防止効果があるため、手術室や無塵室等
の塵埃を嫌う室内の壁装材や床材として利用されてお
り、また半導体製造工場ではウエハー洗浄工程の搬送部
のカバーや装置の外板等として利用されている。
【0003】かかるフィルムやシートの制電層は、界面
活性剤を含むものと、金属酸化物を含むものと、炭素粉
を含むものと、導電性ポリマーで形成されたものとに大
別することができる。
【0004】しかしながら、界面活性剤を含む制電層
は、界面活性剤がブリードアウトするため帯電防止の持
続性がなく、しかも湿度や温度によって表面抵抗が大幅
に変動するため帯電防止効果が一定しないという欠点が
ある。
【0005】また、金属酸化物を含む制電層は、金属酸
化物が脱落しやすいため、例えばウエハー洗浄工程で使
用すると、脱落した金属酸化物がウエハーに付着し、不
良品の発生率が高くなるといった欠点がある。
【0006】更に、炭素粉を含む制電層は、黒色不透明
であるため透視できないという欠点があり、また、炭素
粉が脱落しやすいので上記の金属酸化物を含む制電層と
同様の欠点もある。
【0007】これに対し、導電性ポリマーで形成された
制電層は、帯電防止効果が一定して持続性があり、異物
脱落の恐れもないため、近年、注目を浴びており、その
代表的なものが導電性ポリアニリンの制電層である。し
かしながら、この導電性ポリアニリンは、有機溶剤に不
溶で加熱しても溶融しないポリマーであり、そのままで
は汎用樹脂と同様の方法で成膜することが困難なもので
あるため、例えば特開平6−166748号に開示され
ているように、還元型ポリアニリンと、両末端に芳香族
第2アミンと反応する官能基を持ったポリウレタン化合
物とを反応させることにより、有機溶剤に可溶またはゲ
ル化可能な架橋構造を有するポリアニリン誘導体として
成膜する必要がある。そのため、成膜までの工程が複雑
になり、コストアップを招くという問題がある。
【0008】そこで、本発明者らは、ポリ塩化ビニル等
の樹脂を揮発性溶剤に溶解した樹脂ワニス中に導電性ポ
リアニリンの粉粒を分散させた制電塗料を調製し、この
制電塗料を樹脂フィルムやシートの表面に塗布、乾燥し
て制電層(塗膜)を形成した制電フィルムやシートを既
に提案した。この制電フィルムやシートは、制電塗料を
塗布するだけで極く簡単に製造することができ、透視性
が良い上に、制電塗膜中の導電性ポリアニリンによって
良好な帯電防止効果と熱線遮断効果が奏されるものであ
ったが、まだ、次のような解決すべき問題が残されてい
た。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】即ち、上記の制電塗料
の塗膜を表面に形成した制電フィルムやシートは、塗膜
の耐擦傷性があまり良くないため擦傷が付きやすく、擦
傷によってヘーズ(曇り度)が上がり、透視性が低下す
るという問題があった。
【0010】このような問題は、上記の制電塗膜を形成
した制電フィルムやシートに限って生ずるものではな
く、酸化錫等の金属酸化物を樹脂に分散させた制電層を
表面に形成した従来の透明な制電フィルム等でも同様に
生じる問題であり、むしろ、従来の制電フィルム等の方
が透視性の低下が大きいものであった。
【0011】本発明は上記事情に鑑みてなされたもの
で、その目的とするところは、制電層の耐擦傷性が極め
て良く、擦傷による透視性の低下が少ない制電シート
と、その製造方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明の制電シートは、合成樹脂シートの少なくと
も片面に合成樹脂フィルムと制電層を積層一体化した制
電シートであって、上記制電層が多官能アクリレートモ
ノマーを電子線照射により反応、硬化させたアクリル樹
脂中に導電性ポリアニリンを分散させた層であることを
特徴としている。
【0013】そして、本発明のもう一つの制電シート
は、合成樹脂フィルムの片面に制電層を有する制電フィ
ルムを、制電層を外側にして合成樹脂シートの少なくと
も片面に積層一体化した制電シートであって、上記制電
層は多官能アクリレートモノマーを電子線照射により反
応、硬化させたアクリル樹脂中に導電性ポリアニリンを
分散させた層であることを特徴とするものである。
【0014】一方、本発明の制電シートの製造方法は、
多官能アクリレートモノマーの液中に導電性ポリアニリ
ンを混合、分散させた制電層形成用の混合物を、合成樹
脂フィルムの片面に塗布し、この塗布層に電子線を照射
して、多官能アクリレートモノマーを反応、硬化させる
ことにより、片面に制電層を有する制電フィルムを作製
し、この制電フィルムを制電層を外側にして合成樹脂シ
ートの少なくとも片面に熱圧着することを特徴とするも
のである。
【0015】
【作用】本発明の制電シートはいずれも、制電層のアク
リル樹脂に分散した導電性ポリアニリンの粒子同士が連
続的に接触して、適度な制電作用(帯電防止作用)を発
揮すると共に、該導電性ポリアニリン粒子が熱線を遮断
する作用も発揮する。しかも、この制電層のアクリル樹
脂は、多官能アクリレートモノマーを電子線照射により
反応、硬化させたものであるから、架橋網目構造をして
おり、このような架橋網目構造のアクリル樹脂は表面の
摩擦抵抗が小さい上に、架橋密度が大きくなるほど硬度
が高くなって擦傷を生じ難くなるため、制電層の耐擦傷
性が大幅に向上する。また、上記のように多官能アクリ
レートモノマーを電子線硬化させると、光重合開始剤等
の添加剤が不要なため、添加剤が不純物として脱落する
ことがなく、添加剤の分解による耐久性の低下や劣化も
生じない。
【0016】これらの制電シートは、本発明の製造方法
によって簡単且つ効率良く製造することができ、特に、
片面に制電層を形成した制電フィルムをその制電層を外
側にして合成樹脂シートの少なくとも片面に熱圧着する
ので、熱圧着時に制電層の表面が平滑化されて耐擦傷性
がより一層向上する。
【0017】
【実施例】以下、図面を参照して本発明の実施例を説明
する。
【0018】図1は本発明の制電シートの製造に用いる
制電フィルムを示す断面図であって、この制電フィルム
Aは、透明な合成樹脂フィルム1の表面に制電層2を形
成したものである。
【0019】合成樹脂フィルム1としては、電子線照射
時に劣化しにくい熱可塑性樹脂フィルムが適しており、
例えばポリメチルメタクリレートやポリエチレンテレフ
タレート等の透明なフィルムが好ましく使用されるが、
その他の熱可塑性樹脂の透明フィルムも使用される。合
成樹脂フィルム1の厚さは特に制限がなく、用途等を考
慮して適当な厚さのフィルムを選択すればよい。
【0020】このフィルム1表面の制電層2は、アクリ
ル樹脂に導電性ポリアニリンを均一に分散させた薄い層
であり、導電性ポリアニリンの粒子同士が連続的に接触
して良好な制電性(帯電防止性)を発揮するものであ
る。また、この制電層2は透明であるが、導電性ポリア
ニリン粒子によって緑色に淡く着色されているため、熱
線を遮断することもできる。
【0021】上記の制電層2は、アクリル樹脂に大きな
特徴がある。即ち、このアクリル樹脂は、電子線硬化型
の多官能アクリレートモノマーを電子線照射により反
応、硬化させたもので、架橋網目構造をしている。この
ような架橋網目構造のアクリル樹脂は表面の摩擦抵抗が
小さく、しかも架橋密度が大きいものほど硬度が高くな
って擦傷を生じ難くなるため、多官能アクリレートモノ
マーを選択して架橋密度を調整することにより、制電層
2の耐擦傷性を大幅に向上させることができる。また、
多官能アクリレートモノマーを電子線硬化させると、光
重合開始剤等の添加剤が不要なため、添加剤が不純物と
して脱落することがなく、添加剤の分解による耐久性の
低下や劣化も生じない。
【0022】上記のような架橋網目構造とするために
は、2官能以上のアクリレートモノマーを使用する必要
があるが、4官能以上のものを使用すると架橋密度が大
きくなりすぎるので、2官能もしくは3官能のアクリレ
ートモノマーを使用することが望ましい。但し、架橋密
度を調整するためには、単官能のアクリレートモノマー
を併用することが望ましい。
【0023】2官能のアクリレートモノマーとしては、
例えば、下記の[化1]の構造式で示されるポリプロピ
レングリコールジアクリレート等が使用されるが、その
中でも2≦n≦5のものが好適であり、特に、n=3の
トリプロピレングリコールジアクリレートは好ましく使
用される。
【化1】
【0024】また、3官能のアクリレートモノマーとし
ては、例えば下記の[化2]の構造式で示されるトリメ
チロールプロパントリアクリレートや、下記の[化3]
の一般式で示されるトリメチロールプロパンアルキレン
オキサイド変性トリアクリレート等が使用される。後者
のトリメチロールプロパンアルキレンオキサイド変性ト
リアクリレートの好ましい具体例としては、アルキレン
オキサイド(A)がエチレンオキサイド(−OC
)でn=1又はn=2であるもの、或は、アルキ
レンオキサイド(A)がプロピレンオキサイド(−OC
)でn=1であるもの等を挙げることができる。
【化2】
【化3】
【0025】尚、上記以外の種々の多官能アクリレート
モノマーも使用可能であるが、多官能アクリレートモノ
マーを選択する場合には、硬化物(アクリル樹脂)のガ
ラス転移点が常温より遥かに高くなるように選択する必
要があることは言うまでもない。また、場合によって
は、粘度調節のために、少し高分子量化した多官能アク
リレートオリゴマーや単官能アクリレートモノマーを上
記の多官能アクリレートモノマーに混合して使用しても
よい。
【0026】一方、制電層2のアクリル樹脂に分散させ
る導電性ポリアニリンとしては、例えばアライド−シグ
ナル社製の品名「Versicon」等が好適に使用される。こ
のものは、0.1〜0.2μm程度のポリアニリンの一
次粒子が二次凝集した3〜100μm程度の粒径を有す
る粉粒である。
【0027】この導電性ポリアニリン粉粒の配合割合
は、アクリル樹脂100重量部に対して5〜40重量部
の割合とすることが望ましい。この割合で導電性ポリア
ニリン粉粒を均一に分散させると、10〜10Ω/
□程度の表面抵抗率を有する制電性(帯電防止性)の良
好な制電層2を形成することができ、制電層2の透視性
が大幅に低下することがなく、ポリアニリン粉粒による
熱線遮断作用も良好となるからである。導電性ポリアニ
リン粉粒の配合割合が5重量部より少ない場合は、制電
層2の透視性は向上するけれども、表面抵抗率が増大す
るため帯電防止効果が不十分となり、また、ポリアニリ
ン粉粒による緑色の着色度合が極めて淡くなるため、熱
線遮断作用も大幅に低下する。一方、導電性ポリアニリ
ン粒子が40重量部より多い場合は、制電層2の制電性
や熱線遮断作用は良くなるけれども透視性がかなり低下
し、また、アクリル樹脂が相対的に不足することになる
ので制電層2の耐擦傷性や強度が低下する。従って、い
ずれの場合も満足な制電フィルムが得難くなる。導電性
ポリアニリン粒子のより好ましい配合割合は、制電層2
のアクリル樹脂100重量部に対して8〜15重量部の
範囲である。
【0028】制電層2の厚みは20μm以下であること
が望ましく、より好ましい厚さは0.4〜10μmであ
る。このような薄い制電層2を形成すると、50〜90
%程度の全光線透過率を有する透視性等の良好な制電フ
ィルムを得ることができる。制電層2の厚さが20μm
より大きくなると全光線透過率が低下し、ヘーズが高く
なって透視性等が悪くなるので好ましくない。この制電
層2は薄くなるほど全光線透過率が向上するけれども、
あまり薄く形成するとピンホールや亀裂等を生じて制電
性や耐擦傷性、強度等が大幅に低下する恐れがあり、ま
た制電層2の透明な緑色が極めて淡くなって熱線遮断作
用も大幅に低下するので、上記のように0.4μm以上
とすることが望ましい。
【0029】以上のような構成の制電フィルムAは、制
電層2のアクリル樹脂が、多官能アクリレートモノマー
を電子線照射により反応、硬化させた架橋網目構造を有
するものであるから、表面の摩擦抵抗が小さく耐擦傷性
が良好であり、擦傷によって透明性が大幅に低下するの
を充分防止することができる。そして、このアクリル樹
脂に分散された導電性ポリアニリンによって良好な制電
性が付与されるため、塵埃の付着を満足に防止すること
ができ、また、該ポリアニリンによって熱線を遮断する
こともできる。
【0030】図2は本発明の制電シートの実施例を示す
断面図であって、この制電シートCは、前述の制電フィ
ルムAをその制電層2を外側にして合成樹脂シート3の
表面に積層一体化したものである。制電フィルムAは、
必要に応じて合成樹脂シート3の表裏両面に積層一体化
してもよい。
【0031】合成樹脂シート3としては、例えばポリ塩
化ビニル、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネー
ト、ポリエチレンテレフタレート等の透明な熱可塑性樹
脂シートが好適に使用されるが、制電フィルムAの合成
樹脂フィルム1と剥離しないように積層一体化できる他
の熱可塑性樹脂の透明シートも勿論使用することができ
る。シートの厚さは特に制限なく、用途等を考慮して適
当な厚さのシートを選択すればよい。なお、ここに言う
「シート」とは、プレートをも包含する広概念の用語で
ある。
【0032】制電フィルムAと合成樹脂シート3を積層
一体化する手段としては、ホットプレス機や熱圧着ロー
ル等を用いて熱圧着する手段が望ましいが、適当な接着
剤を用いて接着してもよい。特に、前者の熱圧着の手段
を採用する場合は、制電フィルムAの制電層2の表面が
ホットプレス機や熱圧着ロールに押圧されて平滑化され
るため、耐擦傷性が一層向上するという利点がある。
【0033】このような制電シートCは、表面の制電層
2が耐擦傷性に優れるため、擦傷による透明性の大幅な
低下を防止することができ、且つ、この制電層2によっ
て良好な帯電防止効果と熱線遮断効果を奏する。
【0034】次に、図3を参照して前記制電シートCの
製造方法の一実施例を説明する。
【0035】まず、繰出ロール4から合成樹脂フィルム
1を繰出してロールコーターへ連続供給し、合成樹脂フ
ィルム1がロールコーターの塗布ロール5と支持ロール
6の間を通過するときに、塗布ロール5によって制電層
形成用の混合物7を合成樹脂フィルム1の片面に塗布す
る。混合物7の塗布量は、塗布層7aの厚さが20μm
以下、好ましくは0.4〜10μmの厚さとなるように
調整する。塗布手段はロールコーターに限定されるもの
ではなく、例えばブレードコーターその他の種々の手段
を採用することができる。
【0036】この混合物7は、前述した多官能アクリレ
ートモノマーの液100重量部に対し、導電性ポリアニ
リンの粉粒を5〜40重量部、好ましくは8〜15重量
部の割合で混合して均一に分散させたものである。この
混合物7の調製は、例えばサンドミル、ボールミル、ホ
モジナイザー等を用いて、ポリアニリン粉粒の凝集力よ
り大きい剪断力を加えてよく攪拌し、該粉粒を実質的に
一次粒子に分離させた状態で多官能アクリレートモノマ
ーの液中に均一に分散させるように調製することが望ま
しい。また、この混合物7には、該粉粒の再凝集を抑制
する目的で分散剤(例えばドデシルベンゼンスルホン酸
ナトリウム等)を配合したり、他の添加剤を配合しても
よい。
【0037】混合物7を塗布した合成樹脂フィルム1
は、引続いて電子線照射装置8へ移動し、電子線が混合
物の塗布層7aに均一に照射される。このように電子線
が照射されると、塗布層7aの多官能アクリレートモノ
マーが反応、硬化して架橋網目構造のアクリル樹脂とな
り、このアクリル樹脂中に導電性ポリアニリンが分散し
た制電層2が形成される。照射線量は、多官能アクリレ
ートモノマーの反応を完結できる最低照射線量以上であ
ればよいが、速やかに反応させるためには、少なくとも
0.5Mrad以上、好ましくは2〜20Mradに設
定するのが良い。
【0038】電子線照射によって制電層2が形成された
制電フィルムAは、巻取ロール9に巻取られる。そし
て、この制電フィルムAを制電層2を外側にして合成樹
脂シート3の少なくとも片面に重ねて、ホットプレス機
や熱圧着ロール等の手段で熱圧着することにより、前記
の制電シートCが製造される。その場合、熱圧着の温度
は、制電フィルムAの合成樹脂フィルム1又は合成樹脂
シート3の軟化溶融温度以上とする必要があり、また、
圧力は5〜50kg/cm程度に設定することが望ま
しい。
【0039】特に、ホットプレス機で制電フィルムAと
合成樹脂シート3を熱圧着する場合は、極めて平滑な表
面を有する艶板を制電フィルムAの上に重ねることが望
ましく、このような艶板を重ねて熱圧着すると、制電フ
ィルムAの制電層2の表面が平滑化されるため、制電層
2の耐擦傷性がより一層向上した制電シートCを得るこ
とができる。
【0040】次に、本発明の更に具体的な実施例と参考
例と比較例を説明する。
【0041】[参考例](制電フィルムの作製) 100重量部のトリメチロールプロパンエチレンオキサ
イド変性(n=1)トリアクリレート(東亜合成化学
(株)製のアロニックスM−350)をサンドミルに入
れ、このモノマー液に10重量部の導電性ポリアニリン
(アライド−シグナル社製の品名Versicon)を添加し
て、室温で10分間攪拌しながら均一に分散させ、制電
層形成用の混合物を得た。
【0042】ロールコーターを用いて、この混合物をポ
リメチルメタクリレートフィルム(厚さ50μm)の片
面に均一に塗布した後、電子線照射装置(日新ハイボル
テージ(株)製)を用いて2Mradの電子線を塗布層
に照射し、塗布層を硬化させて、片面に厚さ6μmの制
電層を備えた制電フィルムを作製した。
【0043】この制電フィルムの制電層の表面抵抗率
を、表面抵抗計(三菱油化(株)製の品名ハイレスタ)
を用いて測定したところ、下記の表1に示すように3.
9×10Ω/□であり、良好な制電性を有していた。
また、光線透過率測定機(スガ試験機(株)製の品名ヘ
ーズコンピューター)を用いて、この制電フィルムの全
光線透過率とヘーズを測定したところ、下記の表1に示
すように全光線透過率は58.1%、ヘーズは13.2
%であり、淡緑色を呈し透視性が良好であった。
【0044】[実施例1] 100重量部のトリメチロールプロパンエチレンオキサ
イド変性(n=1)トリアクリレート(東亜合成化学
(株)製のアロニックスM−350)をサンドミルに入
れ、このモノマー液に10重量部の導電性ポリアニリン
の粉粒(アライド−シグナル社製の品名Versicon)を添
加して、室温で10分間攪拌しながら均一に分散させ、
制電層形成用の混合物を得た。
【0045】ロールコーターを用いて、この混合物をポ
リメチルメタクリレートフィルム(厚さ50μm)の片
面に均一に塗布した後、参考例と同様に2Mradの電
子線を塗布層に照射して、片面に厚さ6μmの制電層を
備えた制電フィルムを作製した。
【0046】この制電フィルムを2枚使用し、塩化ビニ
ル樹脂シート(厚さ3mm)の両面に該フィルムを制電
層を外側にしてそれぞれ重ね合わせ、更に艶板を重ね
て、ホットプレス機により温度160℃、圧力16kg
/cmの条件下に熱圧着して制電シートを製造した。
【0047】そして、この制電シートの表面抵抗率、全
光線透過率、ヘーズを参考例と同様に測定したところ、
下記の表1に示すように表面抵抗率は2.4×10Ω
/□、全光線透過率は37.4%、ヘーズは20.5%
であり、淡緑色を呈し透視性が良好であった。
【0048】次に、この制電シートの片面の制電層につ
いて耐磨耗性試験を行った。即ち、テーバー磨耗試験機
(東洋精機(株)製)を使用し、回転する制電シート
(回転数100)の片面の制電層に磨耗輪を規定荷重
(250g)で圧接して、片面の制電層を磨耗させた。
そして、磨耗後の制電シートの表面抵抗率、全光線透過
率、ヘーズを測定し、ASTM−D1044−90に準
じて磨耗前と磨耗後のヘーズの変化量を求めて耐磨耗性
を調べた。その結果、下記の表1に示すように、磨耗後
の制電シートの表面抵抗率は3.7×10Ω/□、全
光線透過率は37.4%、ヘーズは28.3%であり、
磨耗前と磨耗後のヘーズ変化量は7.8と少なく、優れ
た耐磨耗性(耐擦傷性)を有することが判った。
【0049】[実施例2] 参考例及び実施例1で用いたトリメチロールプロパンエ
チレンオキサイド変性(n=1)トリアクリレートに代
えて、トリプロピレングリコールジアクリレートを使用
した以外は、実施例1と同様にして制電シートを製造し
た。
【0050】この制電シートについて、実施例1と同様
に耐磨耗性試験を行う前、及び行った後の表面抵抗率、
全光線透過率、ヘーズを測定し、ヘーズ変化量を求め
た。その結果を下記の表1に示す。
【0051】[実施例3] 参考例及び実施例1で用いたトリメチロールプロパンエ
チレンオキサイド変性(n=1)トリアクリレートと、
実施例2で用いたトリプロピレングリコールジアクリレ
ートを1:1の重量比で混合した混合モノマーの液に、
10重量部の導電性ポリアニリンの粉粒(アライド−シ
グナル社製の品名Versicon)を添加、攪拌して制電層形
成用の混合物を得た。そして、この混合物を用いて実施
例1と同様にして制電シートを製造した。
【0052】この制電シートについて、実施例1と同様
に耐磨耗性試験を行う前、及び行った後の表面抵抗率、
全光線透過率、ヘーズを測定し、ヘーズ変化量を求め
た。その結果を下記の表1に示す。
【0053】[比較例1] シクロヘキサノンとメチルイソブチルケトンを3:7の
重量比で混合した揮発性混合溶剤に、塩化ビニル−酢酸
ビニル共重合樹脂(鐘淵化学工業(株)製の品番M−1
008、平均重合度:800)を溶解して樹脂ワニスを
調製した。そして、この樹脂ワニスをサンドミルに移
し、導電性ポリアニリンの粉粒(アライド−シグナル社
製の品名Versicon)を、樹脂ワニス中の樹脂100重量
部に対して100重量部の割合となるように添加しなが
ら10分間攪拌して均一に分散させ、制電塗料を調製し
た。
【0054】この制電塗料を厚さ250μmのポリ塩化
ビニルフィルムの片面にロールコーターで塗布、乾燥し
て、厚さ約1μmの制電層を形成し、制電フィルムを作
製した。そして、実施例1と同様に、この制電フィルム
2枚を塩化ビニル樹脂シート(厚さ3mm)の両面に重
ねて熱圧着し、制電シートを製造した。
【0055】得られた制電シートについて、実施例1と
同様に耐磨耗性試験を行う前、及び行った後の表面抵抗
率、全光線透過率、ヘーズを測定し、ヘーズ変化量を求
めた。その結果を下記の表1に示す。
【0056】[比較例2] 塩化ビニル樹脂8重量部を揮発溶剤77重量部に溶解し
た樹脂ワニス中に、導電性金属酸化物としてSnO
(触媒化成(株)製)を15重量部添加混練し、制電
塗料を調製した。この制電塗料を用いて、比較例1と同
様にして制電シートを製造し、耐磨耗性試験を行う前、
及び行った後の制電シートの表面抵抗率、全光線透過
率、ヘーズを測定し、ヘーズ変化量を求めた。その結果
を下記の表1に示す。
【0057】
【表1】
【0058】この表1を見ると、参考例の制電フィルム
は、磨耗前の表面抵抗率が3.9×10Ω/□で良好
な制電性を有し、また、全光線透過率が58.1%、ヘ
ーズが13.2%で、透視性も良いことが分かる。そし
て、実施例1〜3の制電シートは、磨耗試験前の表面抵
抗率が2.4×10〜3.9×10Ω/□で良好な
制電性を有し、磨耗試験後の表面抵抗率が2.4×10
〜3.9×10Ω/□で磨耗による表面抵抗率の増
加が少ないこと、及び、磨耗試験前と磨耗試験後のヘー
ズ変化量が7.8〜30.5と少ないことから、制電層
の耐擦傷性(耐磨耗性)が良好で、擦傷により制電性及
び透視性があまり低下しないことが分かる。
【0059】これに対し、制電塗料を塗布、乾燥して制
電層を形成した比較例1の制電シートや、金属酸化物を
含む制電層を形成した比較例2の制電シートは、磨耗試
験後の表面抵抗率の増加が大きく、且つ、ヘーズ変化量
が40以上で本発明のものより遥かに大きいことから、
制電層の耐擦傷性が悪く、擦傷により制電性及び透視性
が大幅に低下することが分かる。
【0060】
【発明の効果】以上の説明及び実験データから明らかな
ように、本発明の制電シートはいずれも、制電層の耐擦
傷性が良好で、擦傷により制電性や透視性が大幅に低下
するのを充分防止することができ、制電層によって塵埃
の付着を阻止すると共に、熱線を遮断することもできる
といった顕著な効果を奏する。
【0061】そして、本発明の製造方法は、特別な装置
を用いないで簡単且つ効率良く本発明の制電シートを量
産することができ、特に、片面に制電層を形成した制電
フィルムを合成樹脂シートに熱圧着して制電シートを製
造するため、制電層の表面が平滑で耐擦傷性が一層向上
した制電シートを製造できるといった顕著な効果を奏す
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の制電シートの製造に用いる制電フィル
ムを示す断面図である。
【図2】本発明の制電シートの一実施例を示す断面図で
ある。
【図3】本発明の制電フィルムの製造方法における制電
フィルム作製工程を示す説明図である。
【符号の説明】
1 合成樹脂フィルム 2 制電層 3 合成樹脂シート 7 制電層形成用の混合物 7a 塗布層 8 電子線照射装置 A 制電フィルム C 制電シート
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平7−281420(JP,A) 特開 平6−263899(JP,A) 特開 平3−152174(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B32B 1/00 - 35/00 C08J 7/04 C08J 7/18

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】合成樹脂シートの少なくとも片面に合成樹
    脂フィルムと制電層を積層一体化した制電シートであっ
    て、上記制電層は多官能アクリレートモノマーを電子線
    照射により反応、硬化させたアクリル樹脂中に導電性ポ
    リアニリンを分散させた層であることを特徴とする制電
    シート。
  2. 【請求項2】合成樹脂フィルムの片面に制電層を有する
    制電フィルムを、制電層を外側にして合成樹脂シートの
    少なくとも片面に積層一体化した制電シートであって、
    上記制電層は多官能アクリレートモノマーを電子線照射
    により反応、硬化させたアクリル樹脂中に導電性ポリア
    ニリンを分散させた層であることを特徴とする制電シー
    ト。
  3. 【請求項3】多官能アクリレートモノマーの液中に導電
    性ポリアニリンを混合、分散させた制電層形成用の混合
    物を、合成樹脂フィルムの片面に塗布し、この塗布層に
    電子線を照射して、多官能アクリレートモノマーを反
    応、硬化させることにより、片面に制電層を有する制電
    フィルムを作製し、この制電フィルムを制電層を外側に
    して合成樹脂シートの少なくとも片面に熱圧着すること
    を特徴とする制電シートの製造方法。
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