JP3308981B2 - 末端修飾ポリオレフィン - Google Patents

末端修飾ポリオレフィン

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JP3308981B2
JP3308981B2 JP2950192A JP2950192A JP3308981B2 JP 3308981 B2 JP3308981 B2 JP 3308981B2 JP 2950192 A JP2950192 A JP 2950192A JP 2950192 A JP2950192 A JP 2950192A JP 3308981 B2 JP3308981 B2 JP 3308981B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、末端修飾ポリオレフィ
ン及びその製造方法に関し、更に詳しくは、ポリマー末
端が(メタ)アクリル酸誘導体ユニットで修飾された末
端修飾ポリオレフィン及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来のチーグラー・ナッタ型触媒による
プロピレン等のα−オレフィンの重合では、連鎖移動反
応や停止反応が起きるので、得られるポリマーの末端の
みを、置換基等で修飾するのは困難である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、ポリプロピ
レン又はエチレン−プロピレンランダム共重合体の末端
のみが、メタクリル酸(アクリル酸)誘導体ユニットで
修飾され、かつ単分散に近い末端修飾ポリオレフィン
びその製造方法を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、鋭意研究
を行った結果、連鎖移動反応や停止反応を伴わない特定
の重合触媒を用いて得られるリビングポリプロピレン又
はエチレン−プロピレンランダム共重合体にメタクリル
酸(アクリル酸)誘導体を反応させることにより、本発
明の目的が達成し得ることを見出して本発明を完成し
た。
【0005】発明の要旨 すなわち、本発明の第1の発明によれば、ポリプロピレ
ン又はエチレン−プロピレンランダム共重合体の末端
、付加反応により下記一般式IIで表される置換基で
修飾されてなる、数平均分子量が500〜500,00
0の末端修飾ポリオレフィン 一般式II
【化4】 [但し、Rは水素原子、又はメチル基、ZはC2m
・OSiR、C2m・OSi(R
)OSiR又はC2m・OH、R
〜R、R〜R及びR〜Rは同一か異なる炭
素数1〜8個のアルキル基若しくはアリール基、mは1
〜6の整数、nは0.1〜50の数を示す。]が提供さ
れるまた、本発明の第2の発明によれば、第1の発明
において、次の一般式III
【化5】 [式中、R 〜R 11 は水素原子又は炭素数1〜8個の
炭化水素基を示す。但し、R 〜R 11 の少なくとも一
つは水素原子である必要があるが、R 〜R 11 の全部
が水素原子であってはならない。]で表されるバナジウ
ム化合物と有機アルミニウム化合物とからなる触媒の存
在下、プロピレンを重合して得られるリビングポリプロ
ピレン又はエチレンとプロピレンをランダム共重合して
得られるリ ビングエチレン−プロピレンランダム共重合
体を、 次の一般式IV
【化6】 (式中、R及びZは前記と同義である。但し、ZがCm
m・OHの場合を除く。)で表されるメタクリル酸
(アクリル酸)誘導体と反応させ、又はこの反応で得ら
れた反応生成物にプロトン供与体を反応させることを特
徴とする末端修飾ポリオレフィンの製造方法が提供され
【0006】本発明の末端修飾ポリオレフィンは通常末
端が下記一般式IIで表される組成物の形で得られる。 一般式II
【化3】 〔但し、RとZは前記と同じ意義を有し、nは0.1〜
50の数を表わす〕
【0007】本発明の末端修飾ポリオレフィンは、下記
一般式III 、 一般式III
【化4】 〔R9 〜R11は水素原子又は炭素数1〜8個の炭化水素
基を示す。但し、R9 〜R11の少なくとも一つは水素原
子である必要があるが、R9 〜R11の全部が水素原子で
あってはならない。〕で表されるバナジウム化合物と有
機アルミニウム化合物とからなる触媒の存在下、プロピ
レンを重合して得られるリビングポリプロピレン又はエ
チレンとプロピレンとをランダム共重合して得られるリ
ビングエチレン−プロピレンランダム共重合体を、 (1)前記一般式でZがCm 2m・OH以外の場合 一般式IV
【化5】 〔R及びZは前記と同意義。但し、ZがCm 2m・OH
の場合を除く。〕で表わされるメタクリル酸(アクリル
酸)誘導体と反応させる、 (2)前記一般式でZがCm 2m・OHの場合 上記(1)で得られる反応生成物にプロトン供与体を反
応させる、ことによりそれぞれ製造することができる。
【0008】触媒 (イ)バナジウム化合物 本発明で用いられるバナジウム化合物は、一般式II
I、
【化6】 〔但し、R〜R11は前記と同意義。〕で表わされ
る。上記式に含まれる具体例を以下に説明する。 ・R10が水素原子であり、RとR11が炭化水素基
である場合。 R/R11:CH/CH、CH/C、C
/C、CH/C、C/C
、C/C、CH/CCH
CH/CCH、C/C
CH、C/CCH. ・R10が炭化水素基であり、R、R11のいずれか
が水素原子で他が炭化水素基である場合。 R10/R又はR11:CH/CH、C
CH、CH/C、C/C
/CH 、CH/C、C/C
、C/C、C/C、C
CH/CH、CH/CCH、C
CH/CCH、CCH/C
、C/CCH、CCH/C
、C/CCH. ・R10が水素原子であり、R、R11のいずれかが
水素原子で他が炭化水素基である場合。 R又はR11:CH、C、C、C
CH 等が挙げられ、これらの内でも特に下記の化合物が望ま
しい。
【化7】
【化8】
【化9】
【0009】(ロ)有機アルミニウム化合物 有機アルミニウム化合物としては、一般式Rn AlX
3-n (但し、Rはアルキル基又はアリール基、Xはハロ
ゲン原子又は水素原子を示し、nは1≦n<3の範囲の
任意の数である。)で示されるものであり、例えばジア
ルキルアルミニウムモノハライド、モノアルキルアルミ
ニウムジハライド、アルキルアルミニウムセスキハライ
ドなどの炭素数1ないし18個、好ましくは炭素数2な
いし6個のアルキルアルミニウム化合物又はその混合物
もしくは錯化合物が特に好ましい。具体的には、ジメチ
ルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムクロリ
ド、ジエチルアルミニウムブロミド、ジエチルアルミニ
ウムアイオダイド、ジイソブチルアルミニウムクロリド
などのジアルキルアルミニウムモノハライド、メチルア
ルミニウムジクロリド、エチルアルミニウムジクロリ
ド、メチルアルミニウムジブロミド、エチルアルミニウ
ムジブロミド、エチルアルミニウムジアイオダイド、イ
ソブチルアルミニウムジクロリドなどのモノアルキルア
ルミニウムジハライド、エチルアルミニウムセスキクロ
リドなどのアルキルアルミニウムセスキハライド等が挙
げられる。
【0010】バナジウム化合物と有機アルミニウム化合
物の使用割合は、バナジウム化合物1モル当り、有機ア
ルミニウム化合物1〜1,000モルである。
【0011】プロピレンのリビング重合 プロピレンのリビング重合は、プロピレンの単独重合以
外に、プロピレンに少量のエチレン又は1−ブテン、1
−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン等のα−オレフ
ィンを共存させて重合することも可能である。
【0012】重合反応は、重合反応に対して不活性で、
かつ重合時に液状である溶媒中で行うのが望ましく、該
溶媒としては、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサ
ン、ヘプタン等の飽和脂肪族炭化水素、シクロプロパ
ン、シクロヘキサン等の飽和脂環式炭化水素、ベンゼ
ン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素等が挙げら
れる。
【0013】プロピレンの重合時の重合触媒の使用量
は、プロピレン又はプロピレンと少量のコモノマー1モ
ル当り、バナジウム化合物が1×10-4〜0.1モル、
望ましくは5×10-4〜5×10-2モル、有機アルミニ
ウム化合物が1×10-4〜0.5モル、望ましくは1×
10-3〜0.1モルである。なお、バナジウム化合物1
モル当り、有機アルミニウム化合物は、望ましくは4〜
100モル用いられる。
【0014】リビング重合は、通常−100℃〜+10
0℃で0.5〜50時間行われる。得られるリビングポ
リプロピレンの分子量及び収量は、反応温度及び反応時
間を変えることにより調節できる。重合温度を低温、特
に−30℃以下にすることにより、単分散に近い分子量
分布を持つポリマーとすることができる。−50℃以下
では、Mw(重量平均分子量)/Mn(数平均分子量)
が1.05〜1.40のリビング重合体とすることがで
きる。
【0015】重合反応時に、反応促進剤を用いることが
できる。反応促進剤としては、アニソール、水、酸素、
アルコール(メタノール、エタノール、イソプロパノー
ル等)、エステル(安息香酸エチル、酢酸エチル等)が
挙げられる。促進剤の使用量は、バナジウム化合物1モ
ル当り、通常0.1〜2モルである。上記の方法によ
り、約500〜約500,000の数平均分子量を持
ち、単分散に近いリビングポリプロピレンを製造するこ
とができる。
【0016】エチレン−プロピレンのリビングランダム
共重合 重合反応は、重合反応に対して不活性で、かつ重合時に
液状である溶媒中で行うのが望ましく、該溶媒として
は、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン
等の飽和脂肪族炭化水素、シクロプロパン、シクロヘキ
サン等の飽和脂環式炭化水素、ベンゼン、トルエン、キ
シレン等の芳香族炭化水素等が挙げられる。エチレンお
よびプロピレンと重合触媒との接触方法は、任意に選択
できるが、望ましくは、エチレンとプロピレンの溶媒溶
液に、有機アルミニウム化合物の溶液及びバナジウム化
合物の溶液を順次加えて接触させる方法、或いは有機ア
ルミニウム化合物及びバナジウム化合物を加えた溶媒溶
液にエチレンとプロピレンを加えて接触させる方法であ
る。
【0017】重合触媒の使用量は、エチレンとプロピレ
ン1モル当り、バナジウム化合物が1×10-4〜0.1
モル、望ましくは5×10-4〜5×10-2モル、有機ア
ルミニウム化合物が1×10-4〜0.5モル、望ましく
は1×10-3〜0.1モルである。尚、バナジウム化合
物1モル当り、有機アルミニウム化合物は、望ましくは
4〜100モル用いられる。得られるリビング共重合体
の分子量及び収量は、反応温度及び反応時間を変えるこ
とにより調整できる。本発明は、重合温度を低温、特に
−30℃以下にすることにより、単分散に近い分子量分
布を持つポリマーとすることができ、−50℃以下で
は、Mw(重量平均分子量)/Mn(数平均分子量)が
1.05〜1.40のリビングエチレン−プロピレンラ
ンダム共重合体が得られる。
【0018】重合反応時に、反応促進剤を用いることが
できる。反応促進剤としては、アニソール、水、酸素、
アルコール(メタノール、エタノール、イソプロパノー
ル)、エステル(安息香酸エチル、酢酸エチル等)等が
挙げられる。促進剤の使用量は、バナジウム化合物当
り、通常0.1〜2モルである。リビング共重合体中の
エチレンとプロピレンの割合は、通常エチレンが90モ
ル%までである。これは、リビング重合時のエチレンと
プロピレンの使用割合を変えることにより調節できる
が、エチレンの使用割合を多くすると、該共重合体の分
子量が広くなり望ましくない。エチレン含有量が高く、
分子量分布が狭い、すなわち単分散に近いリビング共重
合体を製造する場合は、エチレンとプロピレンをリビン
グ共重合する前に、重合系に微量のプロピレンを供給
し、0.1〜1時間保持することにより、リビング共重
合体の分子量分布が狭いままで、共重合体中に多量のエ
チレンを導入することができる。上記のようにして、約
500〜500,000の数平均分子量(プロピレン換
算、以下同じ)を持ち、単分散に近いリビングエチレン
−プロピレンランダム共重合体を製造することができ
る。
【0019】メタクリル酸(アクリル酸)誘導体との反応 リビングポリプロピレン又はエチレン−プロピレンラン
ダム共重合体と反応させるメタクリル酸(アクリル酸)
誘導体(以下、化合物Iという。)は一般式IV
【化10】 で表される。式において、Rは水素原子若しくはメチル
基、ZはC2m・OSiR若しくはC
2m・OSi(R)OSiR、m
は1〜6の整数を示し、R〜R、R〜R及びR
〜Rは同一か異なる炭素数1〜8個のアルキル基若
しくはフェニル、トルイル、キシリル等のアリール基を
示す。これらの中でも、特にメチル、エチル、(n、i
−)プロピル、(n、i、s、t−)ブチル基等の炭素
数1〜4個のアルキル基が望ましい。又R〜R、R
とR及びR〜Rがそれぞれ独立して同一の基の
場合が望ましい。なお、・OSiR、・OS
i(R)OSiR及び・OHの・はC
2mのアルキレン基中の任意の炭素原子に結合する
ことを意味する。
【0020】リビングポリプロピレン又はエチレン−プ
ロピレンランダム共重合体と化合物Iとの反応は、リビ
ングポリプロピレン又はエチレン−プロピレンランダム
共重合体が存在する反応系に、化合物Iを供給して反応
させる方法が望ましい。反応は−100℃〜+150℃
の温度で5分間〜50時間行われる。反応温度を高くす
るか、反応時間を長くすることにより、化合物Iユニッ
トによるポリオレフィン末端の修飾率を増大することが
できる。化合物Iは、リビングポリオレフィン1モルに
対して、1〜1,000モル用いられる。かくすること
により、前記置換基の一般式のZがCm 2m・OSiR
1 2 3 及びCm 2m・OSi(R4 5 )OSiR
6 7 8 の場合の本発明の末端修飾ポリオレフィンが
得られる。
【0021】又、上記で得られた末端修飾ポリオレフィ
ンにプロトン供与体を反応させることにより、前記Zが
m 2m・OHである本発明の末端修飾ポリオレフィン
を製造することができる。プロトン供与体としては、メ
タノール、エタノール、フェノール等のアルコール類、
塩酸、硫酸等の鉱酸が挙げられる。アルコール類と鉱酸
は同時に用いてもよい。プロトン供与体は通常大過剰に
用いられる。プロトン供与体との接触は、通常−100
℃〜+100℃で1分間〜10時間行われる。
【0022】上記のようにして得られた本発明のポリオ
レフィンは、約500〜約500,000の数平均分子
量(Mn)を、又前記のリビングポリプロピレン又はエ
チレン−プロピレンランダム共重合体そのものを踏襲し
た非常に狭い分子量分布(Mw/Mn=1.05〜1.
40)をそれぞれ持ち、かつその末端が0.1〜50
個、望ましくは0.2〜20個の前記化合物Iユニット
で修飾されている。又、本発明の末端修飾ポリオレフィ
ンは、シンジオタクチックダイアッド分率が0.6以上
であることが一つの特徴である。
【0023】
【実施例】以下、本発明を実施例により説明する。な
お、重合体のキャラクタリゼーションは下記の方法で行
った。 ・分子量及び分子量分布 Waters社製GPC(ゲルパーミエーションクロマ
トグラフィー)モデル150を用いた。溶媒:o−ジク
ロルベンゼン、測定温度:135℃、溶媒流速:1.0
ml/分。カラムは東ソー社製GMH6HT(商品名)
を使用した。測定に当り、東ソー社製の単分散ポリスチ
レン標準試料を用い、ポリスチレンの検量線を求め、こ
れよりユニバーサル法によってポリプロピレンの検量線
を作成した。 ・重合体の構造決定 ( 1H−NMRスペクトル):日本電子社製GSX−4
00(商品名)、フーリエ変換型NMRスペクトロメー
ターを用い、400MHz、30℃、パルス間隔15秒
の条件で測定した。試料は、重クロロホルムに溶解して
調製した。(13C−NMRスペクトル):PFTパルス
フーリエ変換装置付きVarian社製XL−200型
(商品名)を用い、50MHz、120℃、パルス幅
8.2μs π/3、パルス間隔4秒、積算回数5,0
00の条件で測定した。試料はトリクロルベンゼンとベ
ンゼン(2:1)の混合溶媒に溶解して調整した。(赤
外吸収スペクトル):重合体をKBr板上にキャストと
し、日本分光工業社製モデルIR−810(商品名)赤
外分光光度計を用いて測定した。
【0024】実施例1 プロピレンのリビング重合 窒素ガスで十分置換した300mlのフラスコに、n−
ヘプタン100mlを入れ−60℃に冷却した。同温度
でプロピレン200ミリモルを加え、n−ヘプタンに溶
解した。次いで、15ミリモルのAl(C2 5 2
l n−ヘプタン溶液及び1.5ミリモルのV(2−メ
チル−1,3−ブタンジオナト)3 トルエン溶液を加
え、攪拌と共に重合を開始した。プロピレンの重合を−
60℃で1時間行った。
【0025】トリメチルシロキシエチルメタクリレートとの反応 上記の反応系に、−60℃でトリメチルシロキシエチル
メタクリレート(HEMA−Si)を100ミリモル添
加し、系内の温度を1時間掛けて25℃に上昇した後、
同温度でHEMA−Siの付加反応を行った。5時間
後、500mlのエタノール中に反応溶液を入れ、ポリ
マーを析出させた。得られたポリマーを500mlのメ
タノールで5回洗浄し、更に室温で乾燥して、0.86
gの重合体を得た。得られた重合体のGPC流出曲線
は、単峰性であった。この重合体のMnは、2.7×1
であり、Mw/Mnは1.15と単分散に近い値で
あった。この重合体をIR分析した所、1740cm
−1にカルボニルの吸収に基づくピークが認められた。
又、3450cm−1付近にブロードなヒドロキシル基
の吸収に基づくピークが認められたが、トリメチルシリ
ル基の吸収は認められなかった。更に、H−NMR分
析の結果、ポリプロピレンに起因するピーク(δ=0.
7〜1.7ppm)以外に、下記の化学シフト値からな
るピークが観測された。又、トリメチルシリル基のメチ
ルのプロトンは見られなかった。
【化11】 ポリプロピレン部のプロトンシグナル(δ=0.7〜
1.7ppm)と上記置換基のプロトンシグナル(c)
の面積比から、ポリプロピレン鎖の末端に、1個の上記
置換ユニットが結合していることが確認された。
【0026】上記の結果から、リビングポリプロピレン
とHEMA−Siとの反応で、エタノールと接触させる
前に得られた反応生成物は、ポリプロピレン鎖の末端
に、1個の下記の置換ユニットが結合したポリマーであ
ると推定される。
【化12】 得られたポリプロピレンのシンジオタクチックダイアッ
ド分率を測定するために、別に、上記と同一の操作でプ
ロピレンのリビング重合を行った後、反応液を−78℃
に冷却した500mlのエタノール−塩酸溶液中に速や
く入れて重合を停止させ、分離したポリマーを500m
lのエタノールで5回洗浄し、室温で乾燥してポリプロ
ピレンを得た。次に、得られたポリプロピレンを13C−
NMR分析した。スペクトルのメチル炭素の多重線強度
比から算出したポリプロピレンの立体規則性を下記に示
す。 トリアッド留分 ダイアッド分率a) 〔rr〕 〔rm〕 〔mm〕 〔r〕 0.627 0.317 0.056 0.786 a) トリアッド留分から計算
【0027】実施例2,3 プロピレンの重合条件及びHEMA−Siの反応条件を
表1に示す通りにした以外は、実施例1と同様にして末
端修飾ポリプロピレンを得た。その結果を表1に示し
た。
【0028】実施例4 窒素ガスで十分置換した1.5リットルのオートクレー
ブに、n−ヘプタン400mlを入れ、−60℃に冷却
した。同温度でプロピレン200gを加え、n−ヘプタ
ン中に液化溶解せしめた。次いで、50ミリモルのAl
(C2 5 2 Clのn−ヘプタン溶液及び0.6ミリ
モルのV(2−メチル−1,3−ブタンジオナト)3
ルエン溶液を加え、攪拌と共にプロピレンの重合を開始
し、15時間継続した。次いで、同温度でHEMA−S
i500ミリモルを添加し、HEMA−Siとの反応を
−60℃で10時間行った。以下、実施例1と同様に処
理し、表1に示す性状の末端修飾ポリプロピレンを得
た。
【0029】実施例5 窒素ガスで十分置換した300mlのフラスコに、n−
ヘプタン100mlを入れ、−78℃に冷却した。同温
度でプロピレン200ミリモルを加え、n−ヘプタン中
に液化溶解せしめた。次いで、15ミリモルのAl(C
2 5 2 Cln−ヘプタン溶液及び1.5ミリモルの
V(アセチルアセトナト)3 トルエン溶液を加え、攪拌
と共に重合を開始した。プロピレンの重合を−78℃に
て3時間行った。次いで、反応条件を表1に示す通りに
した以外は、実施例1と同様にしてHEMA−Siとの
反応を行い、表1に示す性状の末端修飾ポリプロピレン
を得た。
【0030】実施例6 実施例1において、HEMA−Siの代りに、2−トリ
メチルシロキシプロピルメタクリレート(HPMA−S
i)を用い、かつ反応条件を表1に示す通りにした以外
は、実施例1と同様にして重合体を得た。この重合体の
IR分析を行った所、1740cm-1にカルボニルの吸
収に基づくピークが認められた。又、3450cm-1
近に、ブロードなヒドロキシル基の吸収に基づくピーク
が認められたが、トリメチルシリル基の吸収に基づくピ
ークは認められなかった。更に、 1H−NMR分析の結
果、得られた重合体は、ポリプロピレンの末端に、下記
置換基ユニットが1個結合していることが確認された。
【化13】
【0031】上記の結果からリビングポリプロピレンと
HPMA−Siとの反応でエタノールと接触させる前に
得られた反応生成物は、ポリプロピレン鎖の末端に、1
個の下記の置換ユニットが結合した重合体であると推定
される。
【化14】
【表1】
【0032】実施例7 リビングエチレン−プロピレンランダム共重合体の合成 窒素ガスで十分置換した500mlのオートクレーブに
n−ヘプタン250mlを入れ、−60℃に冷却した
後、同温度で15ミリモルのAl(C2 5 2 Clの
n−ヘプタン溶液および1.5ミリモルのV(2−メチ
ル−1,3−ブタンジオナト)3 トルエン溶液を加え
た。次いで、系内を700mmHgまで減圧した後、エ
チレンとプロピレンの混合ガス(40/60モル比)を
連続的に供給し、エチレン−プロピレンの共重合を−6
0℃にて1時間行い、リビングエチレン−プロピレンラ
ンダム共重合体(以下、エチレン−プロピレンランダム
共重合体をEPRという。)を合成した。一方、エチレ
ン−プロピレン共重合体部の分子量、分子量分布および
プロピレン含有量を測定するために、上記と同一の方法
でエチレンとプロピレンの共重合を行い、1.83gの
EPRを得た。得られた共重合体のMnは6.8×10
3 、Mw/Mnは、1.21であった。さらに、この共
重合体の13C−NMR測定を行い、二級炭素に帰属する
ピーク(S)と三級炭素に帰属するピーク(T)の面積
から次式に基づいて、プロピレンの含有量を計算した。
その結果、共重合体中のプロピレン含有量は、52.7
モル%であった。 プロピレン含有量(モル%)={T/ 1/2(S+T)}
×100 なお、この共重合体を差動走査熱量計(DSC)により
熱分析した結果、プロピレン単独重合体に起因するガラ
ス転移温度(約−10℃)は観測されなかった。
【0033】トリメチルシロキシエチルメタクリレート
との反応 上記の反応系に、同温度でトリメチルシロキシエチルメ
タクリレート(HEMA−Si)250ミリモルを添加
し、系内の温度を1時間かけて0℃に上昇させた後、同
温度で攪拌してHEMA−Siとの反応を行った。5時
間後、500mlのメタノール中に反応溶液を入れ、ポ
リマーを析出させた。得られたポリマーを500mlの
メタノールで5回洗浄した後、室温で減圧乾燥して1.
85gの重合体を得た。得られた重合体のGPC流出曲
線は、単峰性であった。この重合体のMnは、6.8×
103 であり、Mw/Mnは1.22と単分散に近い値
であった。この重合体のIR分析を行ったところ、17
40cm-1にカルボニルの伸縮振動に基づく吸収が観測
された。また3450cm-1付近にブロードなヒドロキ
シル基の吸収が認められたが、トリメチルシリル基の吸
収は認められなかった。さらに、 1H−NMR分析の結
果、EPR部のプロトンに起因するピーク(δ=0.7
〜1.7ppm)以外に、下記の化学シフト値からなる
ピークが観測された。また、トリメチルシリル基のメチ
ルプロトンに帰属されるピークは見られなかった。
【化15】 EPR部分のプロトンシグナル(δ=0.7〜1.7p
pm)と上記シグナル(c)の面積比、EPRのプロピ
レン含有量および分子量から、得られた重合体は、下記
のように、EPRの末端に2個の上記置換基ユニットが
導入されたものであることが判明した。上記の結果か
ら、リビングEPRとHEMA−Siとの反応で、メタ
ノールとの接触させる前に得られた反応生成物は、EP
R鎖の末端に、2個の下記の置換ユニットが結合したポ
リマーであると推定される。
【化16】
【0034】実施例8 エチレン−プロピレンの共重合条件およびHEMA−S
iの反応条件を表2に示す通りにした以外は、実施例7
と同様にして末端修飾EPRを得た。なおこれとは別
に、上記と同一の方法でエチレンとプロピレンの共重合
を行い、3.72gのEPRを得た。この共重合体のM
nは13.0×103 、Mw/Mnは、1.21、プロ
ピレン含有量は56.2モル%であった。
【0035】実施例9 窒素ガスで十分置換した1.5リットルのオートクレー
ブに、n−ヘプタン800mlを入れ、−60℃に冷却
した後、同温度でプロピレン1.5gを加え、n−ヘプ
タン中に液化溶解せしめた。次いで、40ミリモルのA
l(C2 5 2 Clのn−ヘプタン溶液及び0.8ミ
リモルのV(2−メチル−1,3−ブタンジオナト)3
トルエン溶液を加え、−60℃にて10分間攪拌した。
次いで、系内を680mmHgまで減圧した後、エチレ
ンとプロピレンの混合ガス(50/50モル比)を連続
的に供給し、エチレン−プロピレンの共重合を−60℃
にて10時間行い、リビングEPRを合成した。次い
で、同温度でHEMA−Si500ミリモルを添加した
後、反応系の温度を1時間かけて−40℃に上昇させ、
HEMA−Siとの反応を15時間行った。以下、実施
例7と同様に処理し、表2に示す性状の末端修飾EPR
を得た。一方、上記と同一の方法でエチレンとプロピレ
ンの共重合を行い、23.9gのEPRを得た。この共
重合体のMnは101.4×103 、Mw/Mnは、
1.26、プロピレン含有量は48.6モル%であっ
た。
【0036】実施例10 窒素ガスで十分置換した500mlのオートクレーブに
トルエン250mlを入れ、−78℃に冷却した後、同
温度で15ミリモルのAl(C2 5 2 Clのn−ヘ
プタン溶液および1.5ミリモルのV(アセチルアセト
ナト)3 トルエン溶液を加えた。次いで、系内を700
mmHgまで減圧した後、エチレンとプロピレンの混合
ガス(40/60モル比)を連続的に供給し、エチレン
−プロピレンの共重合を−78℃にて3時間行い、リビ
ングEPRを合成した。次いで、同温度でHEMA−S
i250ミリモルを添加した後、反応系の温度を1時間
かけて−20℃に上昇させ、HEMA−Siとの反応を
1時間行った。以下、実施例7と同様に処理し、表2に
示す性状の末端修飾EPRを得た。一方、上記と同一の
方法でエチレンとプロピレンの共重合を行い、1.54
gのEPRを得た。この共重合体のMnは8.7×10
3 、Mw/Mnは、1.26、プロピレン含有量は3
7.6モル%であった。
【0037】実施例11 実施例7において、HEMA−Siの代わりに、2−ト
リメチルシロキシプロピルメタクリレート(HPMA−
Si)を用い、かつ反応条件を表2に示すとおりにした
以外は、実施例7と同様にして重合体を得た。この重合
体のIR分析行ったところ、1740cm-1にカルボニ
ルの伸縮振動に基づく吸収が認められた。また、345
0cm-1付近にブロードなヒドロキシル基の吸収が認め
られたが、トリメチルシリル基の吸収は認められなかっ
た。さらに、 1H−NMR分析の結果、得られた重合体
は、ポリプロピレンの末端に、下記置換ユニットが1個
結合していることが確認された。
【化17】 上記の結果から、リビングEPRとHPMA−Siとの
反応でメタノールと接触させる前に得られた反応生成物
は、EPR鎖の末端に、1個の下記ユニットが結合した
重合体であると推定される。
【化18】
【0038】
【表2】
【0039】
【発明の効果】本発明の重合体は、異種ポリマーの相溶
化剤、ポリマーに染色性や接着性を付与するポリマー改
質剤、潤滑油等の粘度指数向上剤等に使用することがで
きる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 植木 聰 埼玉県入間郡大井町西鶴ケ岡一丁目3番 1号 東燃株式会社 総合研究所内 (56)参考文献 特開 平4−185608(JP,A) 特開 平4−178407(JP,A) 特開 平4−45105(JP,A) 特開 昭63−113003(JP,A) 特開 昭63−113002(JP,A) 特開 昭63−113001(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08F 8/00 - 8/50

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリプロピレン又はエチレン−プロピレ
    ンランダム共重合体の末端が、付加反応により下記一
    般式IIで表される置換基で修飾されてなる、数平均分
    子量が500〜500,000の末端修飾ポリオレフィ
    ン。一般式II 【化1】 [但し、Rは水素原子、又はメチル基、ZはC2m
    ・OSiR、C2m・OSi(R
    )OSiR又はC2m・OH、R
    〜R、R〜R及びR〜Rは同一か異なる炭
    素数1〜8個のアルキル基若しくはアリール基、mは1
    〜6の整数、nは0.1〜50の数を示す。]
  2. 【請求項2】 次の一般式III 【化2】 [式中、R 〜R 11 は水素原子又は炭素数1〜8個の
    炭化水素基を示す。但し、R 〜R 11 の少なくとも一
    つは水素原子である必要があるが、R 〜R 11 の全部
    が水素原子であってはならない。]で表されるバナジウ
    ム化合物と有機アルミニウム化合物とからなる触媒の存
    在下、プロピレンを重合して得られるリビングポリプロ
    ピレン又はエチレンとプロピレンをランダム共重合して
    得られるリビングエチレン−プロピレンランダム共重合
    体を、 次の一般式IV 【化3】 (式中、R及びZは前記と同義である。但し、ZがCm
    m・OHの場合を除く。)で表されるメタクリル酸
    (アクリル酸)誘導体と反応させ、又はこの反応で得ら
    れた反応生成物にプロトン供与体を反応させることを特
    徴とする請求項1に記載の末端修飾ポリオレフィンの製
    造方法。
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