JP3308349B2 - 給湯器における水量制御弁の初期流水量補正設定方法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、再出湯時の湯温の安定
化を行う給湯器における水量制御弁の初期流水量補正設
定方法に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】図７には、給湯器の一般的なシステム構
成が示されている。同図において、熱交換器２の入口側
には給水管３が接続されており、この給水管３には給水
温度を検出する入水サーミスタ10と、入水量を検出する
流量センサ９とが設けられている。熱交換器２の出口側
には給湯管４が接続され、この給湯管４の出口側には給
湯栓１が設けられている。さらに、給湯管４には水量制
御弁16と、出湯温度を検出する出湯サーミスタ11とが設
けられている。水量制御弁16は、図７に示す回転型のバ
ルブ方式のものや、図６に示すような上下移動型のシャ
フト方式のものがあるが、何れも弁の開弁量を可変する
ことにより熱交換器２を通る水量を調節するものであ
る。

【０００３】熱交換器２の下方にはバーナ７、バーナ７
の点火を行うイグナイタ電極18、着火を検知するフレー
ムロッド電極19、および給排気を行う燃焼ファン５が配
設されており、バーナ７のガス導入口にはガスノズル６
が対向配置され、このガスノズル６に通じるガス管８に
はガス供給量を開弁量によって制御するガス比例弁13
と、管路の開閉を行うガス電磁弁12とが介設されてい
る。また、燃焼ファン５の近くには外気温を検出する外
気温センサ31が設けられている。

【０００４】この種の給湯器には制御装置14が備えられ
ており、この制御装置14にはリモコン15が接続され、こ
のリモコン15には給湯温度を設定するボタンや設定温度
の表示部が設けられている。制御装置14は給湯器の給湯
動作を制御しており、図５の（ａ），（ｂ）に示すよう
に、給湯栓１が開けられると流量センサ９が入水量を検
出して、その入水量がある一定以上（最低作動流量）に
なったときに流量センサ９からの信号を受けて制御装置
14は燃焼ファン５を回転させる。そして、燃焼ファン５
の回転が所定の回転領域に入ったときにガス比例弁13お
よびガス電磁弁12を開けてバーナ７へガスの供給を行
い、イグナイタ電極18による点火動作を行う。フレーム
ロッド電極19がガスの着火を検知すると、制御装置14は
ＰＩＤ演算等により出湯温度を設定温度にするようフィ
ードバック制御を行い、ガス比例弁13の開弁量を可変
し、さらに、水量制御弁16の開弁量を可変して熱交換器
２から出る湯温の安定化制御を行う。

【０００５】そして、給湯栓１が閉められて流量センサ
９から制御装置14にオフ信号が加えられると、制御装置
14は燃焼加熱を停止して水量制御弁16を全開状態にし、
次の再出湯に備える。

【０００６】しかし、断続的に湯を使用した場合、一旦
給湯栓１を閉めて、次に給湯栓１を開いて再出湯させる
と、図５の（ａ）に示すように、最初は熱交換器２に保
有されている熱量が熱交換器２内に残留している湯に伝
わって湯温が設定温度以上になるという後沸き現象によ
り設定温度より高めの湯が出るが、次に給湯栓１が開け
られてから通常のフィードバック制御が行われるまで時
間を要し、しかも、水量制御弁16が全開状態であるた
め、熱交換器２にはフィードバック制御が行われるまで
の間に多量の冷たい水が入り込むこととなり、この多量
の水を設定温度まで加熱するにはバーナ７の火力が追い
つかず、設定温度よりかなり低いアンダーシュートの湯
が出るという現象が起こる。したがって、再出湯時に
は、最初は設定温度より高めの湯が出て、次にぬるい湯
が出て、次に正常な設定温度の湯が出るという冷水サン
ドイッチ現象が生じ、湯の使用者に不快感を与えるとい
う問題があった。

【０００７】このような問題を解決するために、最近で
は、給湯栓１を閉めたときに水量制御弁16を全開状態に
してから一定量に絞った状態で次の出湯に備えて待機さ
せる方式のものが考えられている。この場合には、再出
湯させると、初めは前記のように設定温度よりやや高め
の湯が出るが、次に熱交換器２には水量制御弁16が絞っ
た状態であるので少量の水が入り込むため、この少量の
水は給湯栓１が開けられてから熱交換器２を出るまでの
間にフィードバック制御により十分に設定温度まで加熱
されることとなる。したがって、再出湯時には前記の冷
水サンドイッチ現象のような湯温の変動がなくなり、湯
の使用者は不快感を感ずることなく、気持ちよく湯の使
用ができる。

【０００８】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、水量制
御弁16を常に一定量だけ絞った状態で再出湯に備えて待
機させると、給水圧が水量制御弁16の開弁量に相応して
いる場合には、前記のように出湯温度は常に設定温度に
近いものとなるが、例えば、給湯器の出荷段階で水量制
御弁16の開弁量を設定すると、給湯器の設置地域によっ
てはその地域の配給水圧と水量制御弁16の開弁量とが相
応しなくなる場合がある。この場合には、再出湯時にか
なり多量の水が流れることがあり、設定温度にするには
火力が追いつかず、やはり、湯温のアンダーシュートが
起こるという問題が生じる。

【０００９】また、出荷段階で出荷先の配給水圧に相応
するよう水量制御弁16の開弁量が設定されていたとして
も、供給水圧が高めに変更された場合等には給水圧が変
化し、この給水圧と水量制御弁16の開弁量とが相応しな
くなり、前記と同様に湯温のアンダーシュートが起こる
ことになる。

【００１０】本発明は上記従来の課題を解決するために
なされたものであり、その目的は、給水圧が変化しても
再出湯時の湯温が変動せず、アンダーシュートを小さく
抑えることのできる給湯器における水量制御弁の初期流
水量補正設定方法を提供することである。

【００１１】

【課題を解決するための手段】本発明は上記目的を達成
するために、次のように構成されている。すなわち、本
発明の給湯器における水量制御弁の初期流水量補正設定
方法は、給湯器の再出湯時における入水量監視時間を予
め設定しておくとともに、再出湯湯温のアンダーシュー
トを抑制する基準水量を前記入水量監視時間に対応する
値で与えておき、給湯器の再出湯時に入水量を検出して
前記入水量監視時間内の入水積算流量を求め、この入水
積算流量が前記基準水量よりも予め与えた許容範囲を越
えて大きくなったときに、入水積算流量が基準水量を越
えた過剰分の水量を補正水量として算出し、給湯燃焼停
止後に、給湯器の入水量を制御する水量制御弁の開弁量
を、今回の初期出湯時開弁量に前記補正水量分だけ開弁
量を絞り補正した状態で待機し、次の再出湯に備えるこ
とを特徴として構成されており、また、給湯燃焼停止後
に、給湯器の前回燃焼量と、給湯燃焼停止時から再出湯
までの待機時間と、外気温との１個以上を含む情報に基
づき基準水量を補正更新し、再出湯時にはこの補正更新
した基準水量を用いて水量制御弁の補正水量を求めるこ
とも本発明の特徴的な構成とされている。

【００１２】

【作用】再出湯時の入水監視時間内の入水積算流量が、
湯温のアンダーシュートを抑制する基準水量に対して許
容範囲を越えて大きくなったとき、この越えた分を補正
水量として算出して給湯燃焼停止後に今回初期出湯時の
水量制御弁の開弁量に、補正水量分だけ開弁量を絞り補
正した状態で、次の再出湯に備えて待機する。次の再出
湯の入水監視時間内における入水積算流量は前回のそれ
よりも補正水量分が減じられて基準水量とされ、出湯温
度はほぼ設定温度となり、アンダーシュートは小さく抑
えられる。

【００１３】

【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。なお、本実施例の説明において、従来例と同一の
名称部分には同一符号を付し、その重複説明は省略す
る。また、本実施例における給湯器システムは図７に示
すものと同様であるが、水量制御弁16は図６に示すよう
なシャフト方式のものを使用している。このシャフト方
式の水量制御弁16は、ギアモータ17、シャフト20、弁2
1、弁口22等を有して構成されており、ギアモータ17の
回転によりシャフト20と弁21とが進退移動し、弁口22の
塞ぎ加減により水量制御弁16の開弁量を調節するもので
ある。つまり、水量制御弁16の開弁量はギアモータ17の
駆動量、すなわち、ギアモータ17の絞り時間に対応して
いる。

【００１４】再出湯時の湯温は、図３の（ａ）に示すよ
うな湯温の立ち上がり特性（給湯器内に入り込んだ水が
ガス燃焼により温度が次第に上昇する現象）を示す曲線
Ｂと、湯温の立ち下がり特性（燃焼停止後に点火が行わ
れず熱交換器２内の保有熱量が通水により放熱して熱交
換器２内の温度が次第に下降する現象）を示す曲線Ａと
を合成した曲線Ｃで表されるが、一般に湯温の立ち上が
り特性は立ち下がり特性よりも時間的な遅れがあるた
め、出湯温度にアンダーシュートが生じることとなる。
本実施例の水量制御弁の初期流水量補正設定方法は、再
出湯時の初期流水量を制御することによって、湯温の立
ち上がり特性が、立ち下がり特性に対して遅れが生じな
いようにして湯温のアンダーシュートを防止しようとす
るものである。すなわち、燃焼停止直前の前回燃焼量や
外気温に依存する立ち下がり特性Ａと、入水量等に依存
する立ち上がり特性Ｂとを、それぞれ前回燃焼量や外気
温や入水量等の各条件を変化させたときに湯温のアンダ
ーシュートを一番小さく抑制するような所定時間内にお
ける入水量の積算量（入水積算流量）を基準水量として
図３の（ｂ）に示すように実験や演算等により求めてお
き、次回の再出湯時の入水積算流量がこの基準水量とな
るように燃焼停止後の水量制御弁１６の開弁量を制御す
るものである。上記において、入水量を積算する期間は
入水量監視時間として給湯栓１が開栓されて流量センサ
９がオンした時点から、入水量が安定に流入するように
なるまでの所要時間を目安として設定されている。

【００１５】図１には、本発明に係る給湯器における水
量制御弁の初期流水量補正設定方法を行う初期流水量制
御部42のブロック構成図が示されている。初期流水量制
御部42は制御装置14内に形成されており、入水積算流量
算出部35と、待機時間計測部33と、基準水量補正設定部
34と、補正水量算出部36と、補正絞り時間設定部37と、
弁駆動部38と、メモリ40と、データ格納部41と、複数の
タイマ39とを有して構成されている。

【００１６】データ格納部41には、各種関係データが記
憶されている。これらの関係データとしては、基準水量
と、ギアモータ17の絞り時間補正量に関するものであ
る。湯温のアンダーシュートを一番小さく抑える入水量
としての基準水量は、燃焼停止直前の給湯器の前回燃焼
量や、再出湯までの待機時間や、外気温等の各条件に依
存するものであり、これらの各条件を変化させたときの
最適な基準水量が実験や演算等によって求められ、グラ
フデータ（図示せず）の形で記憶されている。また、ギ
アモータ17の絞り時間補正量は、補正水量（入水積算流
量と基準水量との差し引き水量）に相当するギアモータ
17の絞り時間であり、補正水量を変化させたときのギア
モータ17の絞り時間補正量が実験や演算等によって求め
られ、グラフデータ（図示せず）の形で記憶されてい
る。

【００１７】さらに、データ格納部41には、次に示すよ
うな他の情報も記憶されている。これらは、水量制御弁
16の全開位置からのギアモータ17の絞り時間の初期値
と、基準水量に対する許容範囲と、入水量監視時間に関
するものである。入水量監視時間は、給湯栓１が開栓さ
れて流量センサ９がオンしてから入水量が安定した量で
流入するようになるまでの所要時間が実験や演算等によ
り求められ、例えば、ｘ秒が記憶されている。また、標
準水圧において、前記入水量監視時間ｘ秒内に流入する
入水積算流量で、湯温のアンダーシュートを抑制するも
のを基準水量の初期値として実験や演算により求めてお
き、例えば、基準水量の初期値として８リットル／min
が設定され、この基準水量の初期値に相当するギアモー
タ17の絞り時間が初期値として、例えば、1.5 秒が実験
や演算等により求められ記憶されている。基準水量に対
する許容範囲としては、例えば、±0.1 リットル／min
が記憶されている。

【００１８】入水積算流量算出部35は、給湯栓１を開栓
して流量センサ９がオンしてから入水量監視時間内に流
入する入水量を入水積算流量として算出するものであ
る。入水積算流量算出部35には加算回路が設けられてお
り、タイマ39で設定される入水量監視時間内における入
水量を流量センサ９からの信号を受けて検出し、この入
水量を積算して、この積算値Ｇを入水積算流量Ｇとして
メモリ40に一旦記憶する。

【００１９】待機時間計測部33は、燃焼停止後、すなわ
ち、給湯栓１が閉められて流量センサ９がオフしたとき
から、給湯栓１が開けられて流量センサ９がオンする再
出湯までの待機時間をタイマ39動作により計測してい
る。この待機時間はメモリ40に一旦記憶される。

【００２０】基準水量補正設定部34は、制御装置14の燃
焼制御部から加えられる前回燃焼量と、待機時間計測部
33で計測された再出湯までの待機時間と、外気温センサ
31で検出された外気温との各条件を基に、データ格納部
41に記憶されている基準水量に関する関係データを利用
して、前記各条件下の基準水量Ｒを読み出し、基準水量
Ｒとして補正設定し、これを補正水量算出部36に加え
る。

【００２１】補正水量算出部36では、基準水量補正設定
部34で設定された基準水量Ｒと、データ格納部41に記憶
されている基準水量に対する許容範囲±0.1 を基に基準
水量範囲Ｒ±0.1 を求め、入水積算流量算出部35で算出
された入水積算流量Ｇが図４の（ｂ）に示すように基準
水量範囲Ｒ±αを外れたとき、同図の（ａ）に示すよう
に湯温のアンダーシュートが生ずるため、これを防止す
るために入水積算流量Ｇと基準水量Ｒとの差としての補
正水量Ｇ−Ｒを求め、これを補正絞り時間設定部37に加
える。

【００２２】補正絞り時間設定部37では、補正水量算出
部36から加えられる補正水量Ｇ−Ｒを基に、データ格納
部41に記憶されているギアモータ17の絞り時間補正量に
関する関係データを用いて補正水量Ｇ−Ｒに相当するギ
アモータ17の絞り時間補正量Δｔを求める。これを今回
の初期出湯時のギアモータ17の絞り時間ｔに増加補正し
た時間ｔ＋Δｔをギアモータ17の絞り時間ｔとして更新
設定し、これをメモリ40に一旦記憶する。

【００２３】メモリ40は、入水積算流量算出部35から加
えられる入水積算流量Ｇと、待機時間計測部33から加え
られる再出湯までの待機時間と、補正絞り時間設定部37
から加えられるギアモータ17の絞り時間ｔと、制御装置
14の燃焼制御部から加えられる前回燃焼量とを、一時記
憶している。

【００２４】弁駆動部38では、給湯栓１を閉じたとき
に、一旦水量制御弁16を全開するようにギアモータ17を
開駆動し、その後、補正絞り時間設定部37で設定したギ
アモータ17の絞り時間ｔだけギアモータ17を水量制御弁
16が閉じる方向に駆動するようタイマ39動作を用いて行
う。

【００２５】次に、本実施例の具体的な動作を図２に示
すフローチャートに基づき説明する。まず、給湯器の電
源をオンすると、ステップ101 でギアモータ17の絞り時
間として1.5 秒が、ギアモータ17の絞り時間補正量とし
て０秒が、それぞれ初期値として設定され、また、基準
水量に対する許容範囲として±0.1 リットル／min が設
定される。次にステップ102 でリモコン15操作により給
湯運転が指令される。ステップ103 で給湯栓１が開けら
れて流量センサ９がオンするか否かを判断しており、否
のときは流量センサ９がオンするまで待機する。

【００２６】流量センサ９がオンすると、ステップ104
で待機時間計測部33で計測される再出湯までの待機時間
の一例として10分以内であるか否かを判断しており、否
の場合、つまり、給湯器の設定後、初めて給湯栓１の開
栓が行われたり、再出湯待機時間が10分以上経過してい
るときは、ステップ105 以降の通常燃焼動作を行い、再
出湯待機時間が10分以内のときは、ステップ114 以降ス
テップ124 までの基準水量の補正動作と、ギアモータ17
の絞り時間の補正動作を行う。

【００２７】ステップ105 と106 では、出湯温度を設定
温度とするよう入水量に応じた通常のフィードバック制
御が行われ、ガス量の制御と燃焼制御が行われる。ステ
ップ107 では、燃焼量の情報が制御装置14の燃焼制御部
からメモリ40に加えられて、逐次前回燃焼量として記憶
更新される。

【００２８】ステップ108 で、給湯栓１が閉められ、流
量センサ９がオフしたか否かを判断し、否であればステ
ップ105 以降の通常燃焼動作を行い、流量センサ９がオ
フするとステップ109 でガスの燃焼を停止し、再出湯待
機時間計測用のタイマ39を動作させ、ステップ110 と11
1 で弁駆動部38において、水量制御弁16が全開状態とな
るまでギアモータ17の開駆動を行う。その後、ステップ
112 と113 でギアモータ17をギアモータ17の絞り時間ｔ
だけ閉駆動を行い、ステップ103 に戻り次の再出湯に備
えて待機する。

【００２９】ステップ104 で、給湯栓１が開けられ再出
湯が行われると、再出湯待機時間計測用のタイマ39はス
トップされ、再出湯待機時間はメモリ40に加えられて記
憶される。再出湯待機時間が10分を越えていれば、前記
のように、ステップ105 以降の通常燃焼動作を行うが、
再出湯待機時間が10分以内であれば、ステップ114 で外
気温センサ31から外気温の情報を得て、さらにステップ
115 でメモリ40に記憶されている前回燃焼量を読み出
し、これら外気温と、前回燃焼量と、前記再出湯待機時
間との各条件に基づき、データ格納部38に格納されてい
る基準水量に関する関係データを用いて各条件下の基準
水量Ｒを読み出して基準水量Ｒを設定する。

【００３０】次に、ステップ116 でガス点着火による燃
焼動作が開始される。ステップ117で入水積算流量算出
部35において、流量センサ９がオンしたときを起点とし
て入水量監視時間計測用のタイマ39を動作開始し、ステ
ップ118 で入水量監視時間計測用のタイマ39が入水量監
視時間をカウントし終わるまでの間、流量センサ９で検
出される入水量を積算し、この積算値を入水積算流量Ｇ
として算出する。

【００３１】ステップ119 では、ステップ117 と118 で
算出した入水積算流量Ｇがステップ115 で設定した基準
水量Ｒに対して許容範囲±0.1 リットル／min を上下に
越えて変動したか否かを判断しており、否のときは、ス
テップ120 以降のギアモータ17の絞り時間の補正を行わ
ず、ステップ105 以降の通常燃焼動作を行う。

【００３２】ステップ119 で入水積算流量Ｇが基準水量
Ｒに対して許容範囲±0.1 を越えて変動したと判断され
ると、ステップ120 で入水積算流量Ｇが基準水量の許容
範囲上限Ｒ＋0.1 リットル／min を越えているか否かを
判断し、否のときは、入水積算流量が基準水量の許容範
囲下限Ｒ−0.1 リットル／min より少なくなっていると
判断する。入水積算流量が基準水量の許容範囲下限より
少ないと判断されると補正水量算出部36において、入水
積算流量Ｇと基準水量Ｒとの差としての補正水量Ｒ−Ｇ
を求め、補正絞り時間設定部37においてデータ格納部41
に記憶されているギアモータ17の絞り時間補正量Δｔに
関する関係データを利用して、補正水量Ｒ−Ｇに対応す
るギアモータ17の絞り時間補正量Δｔを求める。ステッ
プ124 では、今回の初期出湯時のギアモータ17の絞り時
間ｔから絞り時間補正量Δｔを引いた値ｔ−Δｔをギア
モータ17の絞り時間ｔとして更新設定する。このように
すれば、燃焼停止時に、水量制御弁16は前回出湯時の開
弁量から補正水量に相当する分だけ開く方向に制御され
るので、再出湯時の初期流水量は前回初期流水量よりも
補正水量だけ増加して、ほぼ基準水量となり、湯温のオ
ーバーシュートを防ぐことができる。

【００３３】入水積算流量Ｇが基準水量の許容範囲上限
Ｒ＋0.1 リットル／min を越えているときは、ステップ
121 で、ステップ123 と同様に入水積算流量Ｇと基準水
量Ｒとの差としての補正水量Ｇ−Ｒを求め、補正水量Ｇ
−Ｒに対応するギアモータ17の絞り時間補正量Δｔを求
める。ステップ122 では、今回初期出湯時の絞り時間ｔ
に、絞り時間補正量Δｔを加えたものｔ＋Δｔをギアモ
ータ17の絞り時間ｔとして更新設定する。このようにす
れば、燃焼停止時に水量制御弁16は前回出湯時の開弁量
から補正水量に相当する分だけ閉じる方向に制御される
ので、再出湯時の初期水量は前回の初期流水量よりも補
正水量だけ減じられて基準水量となり、湯温のアンダー
シュートを防ぐことができる。

【００３４】ステップ122 あるいは124 で上記のように
ギアモータ17の絞り時間が補正された後、ステップ105
以降の通常燃焼動作を行う。そして、燃焼動作を終了し
た燃焼停止後、水量制御弁16の全開位置からギアモータ
17の絞り時間ｔだけギアモータ17を閉駆動させて次の再
出湯に備えて待機する。

【００３５】本実施例によれば、入水量監視時間内の入
水積算流量が、湯温のアンダーシュートを抑制する基準
水量に対して許容範囲を越えて変動したとき、次の再出
湯時の入水積算流量が基準水量となるよう燃焼停止後の
水量制御弁16の開弁量を制御しているので、再出湯時の
湯温はほぼ設定温度となり、アンダーシュートやオーバ
ーシュートは小さく抑えられる。

【００３６】また、前記基準水量は再出湯時毎に前回燃
焼量や外気温等の使用状況に応じて最適な値に補正更新
されるため、湯温安定化制御の信頼性は高く、かつ、正
確なものとなる。

【００３７】なお、本発明は上記実施例に限定されるこ
とはなく、様々な実施の態様を採り得る。例えば、上記
実施例では、水量制御弁16としてシャフト方式のもので
説明したが、バルブ方式のものを使用してもよい。

【００３８】また、上記実施例では、基準水量補正部34
において基準水量を、前回燃焼量と、外気温と、再出湯
までの待機時間との全情報を基に求めたが、これらの情
報のうち１個以上を含む情報に基づいて求めてもよい。
さらに、これらの情報に加えて燃焼ファン５の回転速度
や給水温度等の情報も考慮すれば、より正確な基準水量
を求めることができ、湯温安定化制御の信頼性も高くな
る。この場合、データ格納部41に燃焼ファン５の回転速
度や給水温度等を変化させたときの基準水量のデータが
記憶されていることは当然である。

【００３９】さらに、上記実施例では、再出湯時毎に基
準水量を補正更新したが、基準水量を固定して与えても
よい。この場合には、再出湯時の湯温安定化制御が本実
施例のものよりも多少信頼性の劣るものとなるが、従来
例よりは湯温安定化制御が改善されたものとなり、ま
た、制御機構が上記実施例のものより簡易構成となるの
で、低コストな給湯器を提供できる。

【００４０】さらに、上記実施例では、水量制御弁16の
開弁量をギアモータ17の絞り時間によって制御したが、
水量制御弁16の弁21の移動量によって制御してもよく、
その他、水量制御弁16の開弁量を制御できるものであれ
ば、いかなる制御方法によって行ってもよい。

【００４１】さらに、上記実施例では、データ格納部41
に記憶される各種関係データをグラフデータの形で与え
たが、表データや演算式の形で与えてもよい。

【００４２】さらに、上記実施例において、ギアモータ
17の絞り時間の初期値として1.5 秒を設定したが、この
値に限定されるものではなく、給湯器の設置場所や、給
湯燃焼能力や、給湯器使用者の使用状況に応じて可変す
るものである。

【００４３】さらに、基準水量Ｒに対する許容範囲±Ａ
として0.1 リットル／min を設定したが、許容範囲は任
意の値でよく、Ａ＝０にして、つまり、基準水量Ｒに対
して±０リットル／min の許容範囲を与えるようにして
もよい。

【００４４】さらに、上記実施例では、水量制御弁16の
全開位置からのギアモータ17の閉駆動時間を制御した
が、水量制御弁16の全閉位置からのギアモータ17の開駆
動時間を制御するようにしてもよく、さらに、水量制御
弁16の全閉位置と全開位置との中間位置や水量制御弁16
の任意位置からのギアモータ17の閉駆動あるいは開駆動
時間を制御するようにしてもよい。

【００４５】

【発明の効果】本発明は、所定の入水量監視時間におけ
る入水積算流量が、基準水量に対して許容範囲を越えて
大きくなったとき、次回の再出湯時には、入水積算流量
が、湯温のアンダーシュートを抑制する基準水量となる
ように水量制御の開弁量を制御するので、給水圧の変動
に拘わらず、出湯温度はほぼ設定温度となり、アンダー
シュートは小さく抑えられる。

【００４６】また、前記基準水量は、再出湯時毎に前回
燃焼量や外気温等の使用状況の情報を基に補正更新され
るため、使用状況に応じた最適な値が設定されることと
なり、湯温安定化制御の信頼性は高く、かつ、正確なも
のとなる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る給湯器における水量制御弁の初期
流水量補正設定方法を行う一実施例のブロック構成図で
ある。

【図２】同実施例の具体的な動作を示すフローチャート
である。

【図３】湯温のアンダーシュートを抑制する基準水量に
ついての説明図である。

【図４】入水積算流量が基準水量より増加したときの再
出湯温度の経時変化を示すグラフである。

【図５】入水量と出湯温度の経時変化を示すグラフであ
る。

【図６】シャフト式の水量制御弁を示す断面図である。

【図７】給湯器のシステムを示す構成図である。

【符号の説明】

16 水量制御弁 Ｇ 入水積算流量 Ｒ 基準水量

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 給湯器の再出湯時における入水量監視時
   間を予め設定しておくとともに、再出湯湯温のアンダー
   シュートを抑制する基準水量を前記入水量監視時間に対
   応する値で与えておき、給湯器の再出湯時に入水量を検
   出して前記入水量監視時間内の入水積算流量を求め、こ
   の入水積算流量が前記基準水量よりも予め与えた許容範
   囲を越えて大きくなったときに、入水積算流量が基準水
   量を越えた過剰分の水量を補正水量として算出し、給湯
   燃焼停止後に、給湯器の入水量を制御する水量制御弁の
   開弁量を、今回の初期出湯時開弁量に前記補正水量分だ
   け開弁量を絞り補正した状態で待機し、次の再出湯に備
   える給湯器における水量制御弁の初期流水量補正設定方
   法。
2. 【請求項２】 給湯燃焼停止後に、給湯器の前回燃焼量
   と、給湯燃焼停止時から再出湯までの待機時間と、外気
   温との１個以上を含む情報に基づき基準水量を補正更新
   し、再出湯時にはこの補正更新した基準水量を用いて水
   量制御弁の補正水量を求める請求項１記載の給湯器にお
   ける水量制御弁の初期流水量補正設定方法。