本発明の実施の形態について、図1〜図8を参照して説明する。図1は本発明の燃焼装置である給湯装置の全体構成図、図2は図1に示した制御ユニットの制御ブロック図、図3〜図4は制御ユニットによる給湯運転のフローチャート、図5は補正係数を設定するサブルーチンのフローチャート、図6は燃焼ファンの回転数−電流特性を示したグラフ、図7は給気通路及び排気通路の閉塞率とファン電流の関係を示したグラフ、図8は補正係数の変化率の設定を説明したグラフである。
図1を参照して、本発明の燃焼装置である給湯装置Aは、屋外に設置される給湯器本体Kと、台所等に設置され、給湯器本体Kと2線式の通信ケーブルNにより接続されたリモコンLとを備えている。
そして、給湯器本体Kは、熱交水路1、ガスバーナ2を収容した燃焼室3、燃焼用空気を燃焼室3内に導入する燃焼ファン4、及び給湯器本体Kの作動を制御する電子ユニットである制御ユニット5を備えている。
熱交水路1は、給水管11、熱交換器管12、バイパス管13、及び出湯管14により構成されている。給水管11は、上流側が上水道に接続され、下流側が流量調節弁15に接続されている。また、給水管11には、上流側から、水フィルタ兼用水抜栓111、水量センサ112、給水サーミスタ113が配設されている。
熱交換器管12は、上流側が流量調節弁15に接続され、下流側が出湯管14に接続されている。熱交換器121は、熱交換器管12の途中のガスバーナ2の上方の箇所に配設され、内部を流通する水を加熱する。また、熱交換器121の外壁には熱交換器121の異常加熱を検出する過熱センサ122が設けられ、熱交換器121の出口付近に熱交換器121からの出湯温度を検出する熱交サーミスタ123が配設されている。
バイパス管13は、入口側(上流側)が流量調節弁15に接続され、出口側(下流側)が出湯管14に接続されている。出湯管14には、凍結防止ヒータ141、出湯温度を検出する出湯サーミスタ142、過圧安全弁兼水抜栓143、及び給湯栓144が配設されている。
流量調節弁15は、給水管11を流通する水の流量、及び熱交換器管12を流通する水の流量とバイパス管13を流通する水の流量との比率を調節する。給湯栓144は、台所や浴室に配される蛇口から吐出される湯の量を調節する湯栓である。水量センサ112は、給水管11内を流通する水の流量に応じた周波数のパルス信号を出力する羽根車式のセンサである。
ガスバーナ2は、3段階の能力切替えが可能であり、燃焼ファン4により燃焼用空気が供給されると共に、ガス管6により燃料ガスが供給されて強制燃焼する。ガス管6には、元電磁弁61、ガバナ比例電磁弁62、及び能力切替電磁弁63,64が配設されている。さらに、給湯器本体Kには、ガスバーナ2に点火するための点火電極21、点火電極に高電圧を印加するイグナイタ22、ガスバーナ2の燃焼炎を検知するフレームロッド23、過熱防止用の温度ヒューズ24、及び凍結防止ヒータ141を作動させるための低温感知スイッチ25が備えられている。
能力切替電磁弁63,64は、開弁と閉弁の組み合わせ(63,64共に開弁、63のみ開弁、64のみ開弁)により、ガスバーナ2に対する燃料ガスの供給量を3段階に切替える。ガバナ比例電磁弁62は、通電量に比例してその開度が可変し、ガス管6を流通する燃料ガスの流量を連続的に可変する。能力切替電磁弁63,64とガバナ比例電磁弁62との組み合わせにより、ガスバーナ2の燃焼量の変更範囲を広く設定して、より高精度の燃焼制御を行うことが可能となる。
また、燃焼室3は、上部にガスバーナ2の燃焼排ガスを捕集して外部に排出する排気ダクト32を備えており、排気ダクト32には、必要に応じて図示しない延長ダクトが接続される。リモコンLは、出湯温度の設定を行う温度設定スイッチ(図示しない)、給湯運転の実行が可能な運転状態と給湯運転の実行が不能な待機状態との切替えを行う運転スイッチ71、給湯装置Aの作動状態等を表示する表示器72、運転モードであるときに点灯する運転ランプ(図示しない)、ガスバーナ2の燃焼中に点灯する燃焼ランプ(図示しない)等を備えている。
次に、図2を参照して、制御ユニット5は、燃焼ファン4の駆動電流(以下、ファン電流という)を検出するファン電流検出手段51、燃焼ファン4の回転数を検出する回転数検出手段52、燃焼ファン4の回転数が目標回転数と一致するようにファン電流を制御するファン制御手段53、ガスバーナ2の点火前にガスバーナ2の給気通路(燃焼ファン4の給気口から燃焼室3に至る通路)と排気通路(燃焼室3から排気ダクト32の出口に至る通路)の高閉塞(例えば、閉塞率合いが90%以上の閉塞状態)を監視する高閉塞監視手段54、給気通路及び排気通路の閉塞率や給気通路又は排気通路への風の吹き込みに起因して変動する燃焼ファン4の負荷に応じて、目標回転数を補正するための補正係数を算出する補正係数算出手段55(本発明のファン負荷検出手段の機能を含む)、燃焼ファン4の負荷のレベルに応じて燃焼ファン4の目標回転数を補正する回転数補正手段56、設定温度での給湯を行うために必要となるガスバーナ2の燃焼量を算出する熱量算出手段57、及び、電磁弁等の作動を制御するアクチュエータ制御手段58を備えている。
ファン電流検出手段51は、電流センサ41の検出信号に基づいてファン電流を検出する。回転数検出手段52は、燃焼ファン4に設けられた回転数センサ42(ホール素子等)の検出信号に基づいて燃焼ファン4の回転数を検出する。
ファン制御手段53は、ガスバーナ2の点火前に実行されるプリパージ時はプリパージ回転数(2700rpm)で燃焼ファン4を回転させ、点火時は点火回転数(2250rpm)で燃焼ファン4を回転させ、給湯運転中は熱量算出手段57により算出されるガスバーナ2の燃焼量に対応した目標回転数で回転させる。
高閉塞監視手段54は、プリパージ中にファン電流検出手段51により検出されるファン電流が、給気通路又は排気通路の閉塞率90%に相当する閾値以下となったときに、ガスバーナ2の点火を中止する。
補正係数算出手段55は、目標回転数と、給気通路及び排気通路の閉塞が生じておらず(閉塞率0%)、給気通路及び排気通路に突風が吹き込んでいない状態で、燃焼ファン4を目標回転数で回転させたとき(このときの燃焼ファン4の負荷の大きさが本発明の所定レベルに相当する)のファン電流(以下、基準電流という)との相間関係を示すデータを予め記憶している。
ここで、ファン制御手段53により燃焼ファン4の回転数を目標回転数に制御したときのファン電流は、燃焼ファン4の負荷が大きいほど大きくなる。そのため、燃焼ファン4の回転数を目標回転数に制御したときのファン電流の大きさにより、燃焼ファン4の負荷を検出することができる。そこで、補正係数算出手段55は、ファン制御手段53によって燃焼ファン4の回転数を目標回転数に制御したときのファン電流をファン電流検出手段51により検出する。そして、基準電流に対する検出電流の乖離度合(本発明における燃焼ファンの負荷のレベルと所定レベルとの乖離度合に相当する)に応じて、目標回転数を補正するための補正係数Hを算出する。
図6は、燃焼ファン4の回転数とファン電流との関係を示したグラフであり、横軸が回転数Nに設定され、縦軸がファン電流Iに設定されている。図中80は、給気通路及び排気通路の閉塞が生じておらず(閉塞率0%)、給気通路及び排気通路への風の吹き込みもない状態での回転数−ファン電流(基準電流)特性を示す基準値ライン(以下、定常ラインという)である。また、81は燃焼ファン4の負荷が軽減する方向(給気通路又は排気通路の閉塞率が高くなる方向、及び排気通路の出口側である排気ダクト32から吹き込む風が増大する方向)の補正値H=1.0の回転数−ファン電流特性を示す基準値ラインである。
基準値ライン81は、目標回転数の補正を行うか否かを判断するための境界ラインであり、回転数補正手段56は、補正係数Hが1.0以上となったときに、目標回転数の補正を行う。また、82は補正係数H=1.1における回転数−ファン電流特性を示し、給湯能力を制限するか否かを決定するための基準値ラインである。また、83は補正係数H=1.2における回転数−ファン電流特性を示し、給湯運転を停止するか否かを決定するための基準値ラインである。87は補正係数Hを算出するために実験により決定した回転数−ファン電流特性を示す補助値ラインである。
一方、84は燃焼ファン4の負荷が、定常ライン80から増大する方向(給気通路の入口側である燃焼ファン4の給気口から吹き込む風が増大する方向)の補正係数H=1.0の回転数−ファン電流特性を示す基準値ラインである。基準値ライン84は、燃焼ファン4の負荷が増大したときに目標回転数の補正を行うか否かを判断するための境界ラインであり、回転数補正手段56は、補正係数Hが1.0以下となったときに、目標回転数の補正を行う。また、85は補正係数H=0.9における回転数−ファン電流特性を示し、86は補正係数H=0.8における回転数−ファン電流特性を示している。
また、N1はある燃焼量に対応した燃焼ファン4の目標回転数であり、IbはN1に応じた補助値ライン87における電流値、I10はN1に応じた基準値ライン81における電流値、I11は燃焼ファン4の負荷が減少した状態(給気通路又は排気通路の閉塞率が高くなった状態、或いは排気通路の出口側から風が吹き込んでいる状況)で燃焼ファン4の回転数をN1に制御したときのファン電流の検出値、I20はN1に応じた基準値ライン84における電流値、I21は燃焼ファン4の負荷が増大した状態(給気通路の入口側から風が吹き込んでいる状態)で燃焼ファン4の回転数をN1に制御したときのファン電流の検出値である。
また、a1=I10−Ib、b1=I11−Ib、a2=I20−Ib、b2=I21−Ibであり、補正係数算出手段55は、燃焼ファン4の回転数を目標回転数N1に制御したときのファン電流の検出値Isが、I10<Is<I20であるときには目標回転数の補正を行わない。そして、補正係数算出手段55は、Is≦I10(燃焼ファン4の負荷が減少)のときは以下の式(1)により補正係数Hを算出し、I20≦Is(燃焼ファン4の負荷が増大)のときには以下の式(2)により補正係数Hを算出する。
但し、α、β:0<α,β≦1の範囲で設定された定数。
図7は補正係数Hと給気通路及び排気通路の閉塞率との関係を示したグラフであり、横軸が閉塞率に設定され、縦軸が補正係数Hに設定されている。回転数補正手段56は、燃焼ファン4の負荷が減少して、補正係数算出手段55により算出される補正係数Hが1.0以上となったときに、目標回転数に補正係数Hを乗じて目標回転数を補正する。また、補正係数Hが1.1以上1.2未満の場合は、目標回転数を補正すると共に、給湯器本体Aの最大給湯能力を14号〜10号(16号給湯器の場合)に制限し、補正係数Hが1.2以上となる状態が所定時間(例えば90秒)以上継続したときに燃焼運転を中止する。
また、回転数補正手段56は、燃焼ファン4の負荷が増大して、補正係数算出手段55により算出される補正係数が1.0以下となったときに、目標回転数に補正係数Hを乗じて目標回転数を補正する。
また、回転数補正手段56は、図8(a)、図8(b)に示したように、補正係数Hを乗じて目標回転数を補正する際に、補正係数Hを2段階の変化率で変更する。図8(a)は、補正係数Hを1.0から1.2に増加させる例を示しており、縦軸が補正係数Hに設定され、横軸が時間tに設定されている。
図中x1は、第2の変化率である0.2/90秒で補正係数Hを変更する場合を示しており、t11で補正係数Hの変更が開始され、t11から90秒が経過したt13で補正係数Hが1.2に達している。また、図中y1は、第1の変化率である0.2/45秒で補正係数を変更する場合を示しており、t11で補正係数Hの変更が開始され、t11から45秒が経過したt12で補正係数Hが1.2に達している。
また、図8(b)は、補正係数Hを1.0から0.8に減少させる例を示しており、縦軸が補正係数Hに設定され、横軸が時間tに設定されている。図中x2は、第2の変化率である0.2/90秒で補正係数Hを変更する場合を示しており、t21で補正係数Hの変更が開始され、t21から90秒が経過したt23で補正係数Hが0.8に達している。また、図中y2は、第1の変化率である0.2/45秒で補正係数Hを変更する場合を示しており、t21で補正係数Hの変更が開始され、t21から45秒が経過したt22で補正係数Hが0.8に達している。
このように、回転数補正手段56による目標回転数の補正は、第1の変化率と第2の変化率という高/低2段階の変化率を用いて2段階の変化率で行なわれる。そして、これにより、給気通路又は排気通路に強い突風が吹き込んで燃焼用空気の供給量が急激に変化したときは、変化率が高い第1の変化率で補正係数Hを変更して速やかに燃焼用空気の過不足を補正することで、ガスバーナ2の失火を防止している。
一方、給気通路又は排気通路に微弱な風が吹き込んで燃焼用空気の供給量が緩やかに変化したときには、変化率が低い第2の変化率で補正係数Hを変更して緩やかに燃焼用空気の供給量を補正することで、燃焼用空気の供給量の頻繁な変化によりガスバーナ2の燃焼量の変動により、出湯温度のハンチングや燃焼ファン4の騒音が生じることを防止している。
熱量算出手段57は、給水サーミスタ113により検出される給水温度と、水量センサ112により検出される給水量とに基づいて、出湯サーミスタ142により検出される出湯温度が設定温度となる必要燃焼量を算出する。そして、本実施の形態の給湯装置Aは、必要燃焼量に対応した燃焼ファン4の目標回転数を決定し、燃焼ファン4の実際の回転数に応じてガバナ比例電磁弁62の通電量を制御する、いわゆるファン先行型の燃焼制御を行なう。なお、このように、熱量算出手段57が必要燃焼量に応じた燃焼ファン4の目標回転数を決定する機能が、本発明の目標回転数決定手段に相当する。
そのため、アクチュエータ制御手段58は、目標回転数が補正されている場合、回転数検出手段52により検出される回転数を補正係数Hで割ることにより、目標回転数の補正分を相殺する。そして、このようにして補正分を相殺した回転数に応じて、ガバナ比例電磁弁62の通電量を制御する。
次に、制御ユニット5による給湯運転の実行手順について、図3〜図5に示したフローチャートに従って説明する。使用者は、リモコンLの運転スイッチ71を操作して給湯器本体Kを運転状態とし、給湯栓144を開栓して上水道から給水管11への給水を開始させる。
そして、図3のSTEP1で、水量センサ112の検出水量Wが2.7リットル/分以上となったときに、STEP2に進む。STEP2で、制御ユニット5は、フラグFがセット(F=1)されているときはSTEP3に進み、フラグFがリセット(F=0)されているときにはSTEP30に分岐する。
ここで、フラグFは、前回の給湯運転実行時に算出された補正係数Hが1.1未満(閉塞率60%未満に相当する)であったときにリセットされる。また、電源投入後の初回運転時や、前回の給湯運転実行時に算出された補正係数Hが1.1以上(閉塞率60%以上に相当する)であったときにセットされる。電源投入後の初回運転時にフラグFがセットされるのは、未だ給気通路及び排気通路の閉塞状態が検出されていないため、ガスバーナ2の点火に先立って給気通路及び排気通路の閉塞状態を検出することが望ましいためである。
STEP30で、燃焼ファン4の目標回転数が第1所定回転数(プリパージ回転数、2700rpm)に設定され、ファン制御部53により燃焼ファン4の回転数が第1所定回転数となるようにファン電流が制御される。この場合は、前回の給湯運転時の補正係数Hが1.1未満であるので、点火前の閉塞状態の監視処理を省略し、ガスバーナ2の点火処理を行うSTEP6に進む。
一方、フラグFがセット(F=1)されているときは、電源投入直後の初回運転か、或いは、前回の給湯運転時における補正係数Hが1.1以上(閉塞率が60%以上に相当する)であるので、STEP4で燃焼ファン4の目標回転数が第1所定回転数よりも高い第2所定回転数(プリパージ回転数、3000rpm)に設定される。そして、次のSTEP4で、高閉塞監視手段54が給気通路及び排気通路の閉塞状態を検出する。具体的には、点火開始前にファン電流検出51により、0.5秒毎に合計5回検出したファン電流の平均値と、閾値(例えば400mA、閉塞率90%に相当する)とを比較する。
そして、ファン電流の平均値≦閾値の場合(閉塞率90%以上)は、STEP40に進み、高閉塞監視手段54は、燃焼ファン4の作動を停止し、STEP41で表示器にエラー表示(“90”)をして給湯運転を中止する。
また、ファン電流の平均値>閾値の場合(閉塞率90%未満)はSTEP6に進み、制御ユニット5は、イグナイタ22を作動させて点火電極21に火花放電を生じさせた状態で、電磁弁(元電磁弁61、能力切替電磁弁63、64)を開弁し、ガバナ比例電磁弁62を点火開度に作動させてガスバーナ2の点火処理を行う。
続くSTEP7で、制御ユニット5は、フレームロッド23の検出信号によりガスバーナ2の着火の有無を判断し、着火が検知されたときに図4のSTEP8に進んでイグナイタ22の作動を停止する。そして、制御ユニット5は、次のSTEP9で1秒タイマをスタートさせ、STEP10〜STEP17のループにより給湯運転を実行する。
制御ユニット5は、STEP10でガスバーナ2の燃焼量の比例制御を行う。具体的には、先ず、熱量算出手段57により、給水サーミスタ113の検出温度と水量センサ112の検出水量とに基づいて、出湯温度が設定温度となる必要燃焼量を算出する。そして、ファン制御手段53により、該必要燃焼量に応じた目標回転数で燃焼ファン4が作動するように、燃焼ファン4のファン電流が制御される。
また、アクチュエータ制御手段58により、回転数検出手段52により検出される燃焼ファン4の回転数に基づいてガスバーナ2の目標燃焼量が算出される(目標回転数が補正されている場合には、回転数検出手段52による検出回転数を補正係数Hで割った回転数に基づいて、目標燃焼量が算出される)。そして、アクチュエータ制御手段58により、該目標燃焼量が得られるように、能力切替電磁弁63,64の開閉とガバナ比例電磁弁62の開度が制御される。また、必要に応じて、流量調節弁15により、給水管11から熱交換器管121及びバイパス管13への給水流量と、熱交換器管121とバイパス管13の分配比とが調節される。
次のSTEP11、STEP12は回転数補正手段56による処理であり、回転数補正手段56は、必要燃焼量に応じた目標回転数に補正係数H0(次のSTEP12で算出される)を乗じて、目標回転数を補正する。また、STEP12で、回転数補正手段56は、補正係数算出手段55により算出される補正係数H(燃焼ファン4の負荷に応じて変動する)に向かって、燃焼ファン4の目標回転数に乗じる補正係数H0を第1の変化率又は第2の変化率で増減させて設定する「補正係数H0設定」処理を行う。
図5は、「補正係数H0設定」処理のサブルーチンのフローチャートであり、回転数補正手段56は、STEP100でファン電流検出手段51によりファン電流を検出し、メモリ(図示しない)に保持する。そして、続くSTEP101で1秒タイマがタイムアップしていなければ、STEP108に分岐してサブルーチンを終了する。
そのため、STEP101で1秒タイマがタイムアップするまで、STEP100でファン電流の検出とメモリへの保持が繰り返し実行される。そして、STEP101で1秒タイマがタイムアップしたときにSTEP102に進み、回転数補正手段56は、1秒間(本発明の所定時間に相当する)に検出したファン電流の平均値Iaを算出する。
続くSTEP103で、Iaが図6に示した燃焼ファン4の負荷が減少する方向の補正係数H=1.0の基準値ライン81上のI10よりも大きく、燃焼ファン4の負荷が増大する方向の補正係数H=1.0の基準値ライン84上のI20よりも小さいとき(I10<Ia<I20)は、STEP110に分岐する。I10<Ia<I20のときは、定常ライン80に対して燃焼ファン4の負荷変動が小さく、ガスバーナ2の燃焼量に対する影響が小さいため、回転数補正手段56はSTEP110で補正係数H0を1.0(補正なし)に設定する。そして、STEP107に進んで1秒タイマをスタート(再スタート)し、STEP108に進んでサブルーチンを終了する。
また、STEP103でI10<Ia<I20でないときにはSTEP104に進む。STEP104は補正係数算出手段55による処理であり、補正係数算出手段55は、上記式(1)又は式(2)により、補正係数Hを算出する。そして、次のSTEP105で、回転数補正手段56は、前回設定された補正係数H0とSTEP104で算出した補正係数Hとの比(H/H0、本発明の燃焼ファンの負荷の所定時間あたりの変化度合いに相当する)が、0.9よりも小さいか否かを判断する。
そして、H/H0が0.9よりも小さい(H/H0<0.9)であるときはSTEP106に進む。ここで、H/H0<0.9であるときは、給気通路の入口側からの突風の吹き込みにより、燃焼ファン4の負荷が急激に増大したと認識できる。そのため、この場合はSTEP106に進み、回転数補正手段55は、高変化率である第1の変化率(0.0044=2/45秒)で、補正係数H0を減少させる。これにより、給気通路の入口側からの突風の吹き込みにより急激に増加した燃焼用空気の供給量を速やかに減少させて、ガスバーナ2の失火が生じることを防止している。
また、STEP105でH/H0<0.9でなかったときはSTEP120に分岐し、回転数補正手段56は、H/H0が1.0よりも小さいか否かを判断する。ここで、H/H0が1.0よりも小さいとき(0.9≦H/H0<1.0、本発明の所定範囲に相当する)は、給気通路の入口側からの微量な風の吹き込みにより燃焼ファン4の負荷が増大したと認識できる。
そのため、この場合はSTEP121に進み、STEP121で補正係数H0変更の終了条件であるH0−H<0.0022が成立したか否かを判断する。そして、終了条件が成立していなければSTEP160に分岐し、回転数補正手段56は、低変化率である第2の変化率(0.0022=2/90秒)で、補正係数H0を減少させる。これにより、微量な風の吹き込みに対しては、燃焼ファン4の回転数を緩やかに減少させて、頻繁な燃焼ファン4の回転数の変動により、燃焼ファン4の騒音や出湯温度のハンチング(制御応答結果である出湯温度が振動すること)が生じることを防止している。
そして、STEP107に進んで1秒タイマをスタートさせ、STEP108に進んでサブルーチンを終了する。また、STEP121で補正係数H0変更の終了条件が成立したときにも、STEP107に進んで1秒タイマをスタートさせ、STEP108に進んでサブルーチンを終了する。
また、STEP120でH/H0が1.0以上であるときはSTEP130に分岐し、回転数補正手段56は、H/H0が1.1よりも小さいか否かを判断する。ここで、H/H0が1.1以上であるときは、排気通路の出口側からの突風の吹込みにより、燃焼ファン4の負荷が急激に減少したと認識できる。
そのため、この場合はSTEP140に分岐し、回転数補正手段56は、高変化率である第1の変化率(0.0044=2/45秒)で、補正係数H0を増加させる。これにより、排気通路の出口側からの突風の吹き込みにより急激に減少した燃焼用空気の供給量を速やかに増加させて、燃焼用空気の不足によりガスバーナ2の失火が生じることを防止している。
また、STEP130でH/H0が1.1よりも小さいとき(1.0≦H/H0<1.1、本発明の所定範囲に相当する)は、排気通路の出口側からの微量な風の吹き込みにより燃焼ファン4の負荷が減少したと認識できる。そのため、この場合はSTEP131に進み、回転数補正手段56は、STEP131で補正係数H0変更の終了条件であるH−H0<0.0022が成立したか否かを判断する。
そして、終了条件が成立していなければSTEP150に分岐し、回転数補正手段56は、低変化率である第2の変化率(0.0022=2/90秒)で、補正係数H0を増加させる。これにより、微量な風の吹き込みに対しては、燃焼ファン4の目標回転数を緩やかに増加させて、頻繁な燃焼ファン4の回転数の変動により、燃焼ファン4の騒音や出湯温度のハンチングが生じることを防止している。
そして、STEP107に進んで1秒タイマをスタートさせ、STEP108に進んでサブルーチンを終了する。また、STEP131でH−H0<0.0022の終了条件が成立したときにも、STEP107に進んで1秒タイマをスタートさせ、STEP108に進んでサブルーチンを終了する。
また、STEP130で、H/H0が1.1以上(1.1≦H/H0)であるときは、排気通路の出口側からの突風の吹き込みにより、燃焼ファン4の負荷が急激に減少したと認識できる。そのため、この場合はSTEP140に分岐し、回転数補正手段55は、高変化率である第1の変化率(0.044=2/45秒)で、補正係数H0を増加させる。これにより、排気通路の出口側からの突風の吹き込みにより急激に減少した燃焼用空気の供給量を速やかに増加させて、ガスバーナ2の失火が生じることを防止している。そして、STEP107に進んで1秒タイマをスタートさせ、STEP108に進んでサブルーチンを終了する。
次に、図4のSTEP13で、制御ユニット5は、図5のSTEP104で算出された補正係数Hが1.1以上(閉塞率60%以上に相当する)であるか否かを判断する。そして、補正係数Hが1.1未満(閉塞率60%未満に相当する)のときはSTEP50に分岐し、フラグFをリセットしてSTEP17に進む。
一方、STEP13で補正係数Hが1.1以上であるときにはSTEP14に進み、制御ユニット5は、フラグFをセット(F=1)してSTEP15に進む。そして、制御ユニット5は、給気通路及び排気通路の閉塞状態に応じて給湯能力(燃焼能力)を制限する。
例えば、給気通路及び排気通路の閉塞が生じていない定常状態での給湯器本体Kの最大給湯能力が16号である場合は、以下のように給湯器本体Kの能力を制限する。給気通路又は排気通路の閉塞率が60%以上65%未満であるときは、給湯器本体Kの最大給湯能力を14号に制限する。給気通路又は排気通路の閉塞率が65%以上70%未満であるときは、給湯器本体Kの最大給湯能力を12号に制限する。給気通路又は排気通路の閉塞率が70%以上75%未満であるときは、給湯器本体Kの最大給湯能力を11号に制限する。給気通路又は排気通路の閉塞率が75%以上80%未満であるときは、給湯器本体Kの最大給湯能力を10号に制限する。
STEP16で、最大給湯能力が10号未満(補正係数Hが1.2以上、閉塞率80%以上に相当する)でないときは、STEP17に進む。そして、制御ユニット5は、STEP17で水量センサ112に検出水量Wが、2.3リットル/分以下(W≦2.3リットル/分)であるか否かを判断する。
水量センサ112の検出水量Wが2.3リットル/分以上であるときは、給水管11から熱交換器管12及びバイパス管13への給水が継続されているため、STEP17からSTEP10に戻り、制御ユニット5はSTEP10〜STEP16のループを実行して給湯運転を継続する。
一方、水量センサ112の検出水量Wが2.3リットル/分未満であるときには、給水管11から熱交換器管12及びバイパス管13への給水が停止したと判断できる。そのため、STEP18に進み、制御ユニット5は、電磁弁(能力切替電磁弁63,64、元電磁弁61)を閉弁し、ガバナ比例電磁弁62の作動を停止し、燃焼ファン4の作動を停止して、ガスバーナ2の燃焼を停止する。そして、STEP19に進んで待機状態となり、再び給湯栓が開栓されて、図3のSTEP1で、水量センサ112の検出水量Wが2.7リットル/分以上となるのを待つ。
また、STEP16で、給湯器本体Kの最大給湯能力が10号未満に制限されているときはSTEP60に分岐する。そして、最大給湯能力が10号に制限された状態が90秒継続したときはSTEP61に進み、90秒継続せずに最大給湯能力が10号以上に回復したときはSTEP17に分岐する。
STEP61は上述したSTEP18と同様の処理であり、制御ユニット5はかかる処理によりガスバーナ2の燃焼を停止する。そして、STEP62に進み、制御ユニット5は、リモコンLの表示器72にエラー表示(“99”)を行って、給気通路又は排気通路の高閉塞(閉塞率80%以上)により給湯運転を強制終了したことを使用者に報知する。
なお、本実施の形態では、本発明の燃焼装置としてガスバーナを用いた給湯装置を示したが、燃焼ファンにより、バーナが収容された燃焼室に強制的に燃焼用空気を供給する燃焼装置であれば、温風暖房機等の他の種類の燃焼装置に対しても本発明の適用が可能である。
また、本実施の形態において、回転数補正手段56は、第1の変化率及び第2の変化率という高/低2段階の変化率で目標回転数の補正を行ったが、目標回転数を補正する際の変化率を3段階以上に設定してもよい。
また、本実施の形態においては、補正係数算出手段55により補正係数Hを算出し、回転数補正手段56は、燃焼ファン4の目標回転数に該補正係数Hに向かって変化させた補正係数H0を乗じて目標回転数を補正するようにしたが、例えば、燃焼ファン4の負荷のレベルと燃焼ファン4の目標回転数の補正値との相間関係を記憶したデータマップを予め備え、ファン電流から把握される燃焼ファン4の負荷のレベルを該データマップに適用して、直接的に目標回転数の補正値を求めるようにしてもよい。
また、本実施の形態では、補正係数Hが1.0以上のとき(燃焼ファン4の負荷が増加したとき)と、補正係数Hが1.0以下のとき(燃焼ファン4の負荷が減少したとき)とで、補正係数Hの変化率(第1の変化率及び第2の変化率)を同一の値に設定したが、補正係数Hが1.0以上のときの補正係数Hの変化率と補正係数Hが1.0以下のときの補正係数Hの変化率を別の値に設定してもよい。
A…給湯装置、K…給湯器本体、1…熱交水路、2…ガスバーナ、3…燃焼室、4…燃焼ファン、51…ファン電流検出手段、52…回転数検出手段、53…ファン制御手段、55…補正係数算出手段、56…回転数補正手段