JP3307722B2 - ディーゼル内燃機関に用いられる燃料噴射ノズルおよび該燃料噴射ノズルの製造法 - Google Patents

ディーゼル内燃機関に用いられる燃料噴射ノズルおよび該燃料噴射ノズルの製造法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ディーゼル内燃機関に
用いられる燃料噴射ノズルであって、ノズルボディが設
けられていて、該ノズルボディで、移動可能に案内され
た弁ニードルが弁座と協働するようになっており、該弁
座に続いて下流側に、前記ノズルボディを貫通した噴射
孔が設けられている形式のものに関する。
【0002】さらに、本発明はこのような形式の燃料噴
射ノズルを製造する方法に関する。
【0003】
【従来の技術】このような形式の、「孔付きノズル」と
して知られる噴射ノズルでは、燃焼室内に噴射される燃
料噴流が噴射孔によって形成される。この噴射孔は一般
に一様に円筒状に形成されている。噴流を形成するため
には、ラバル(Laval)ノズル(ドイツ連邦共和国
特許出願公開第2557772号明細書)の形式による
噴射孔を構成することも既に公知である。環境保護の目
的で内燃機関のノイズ限界値や排ガス限界値を低減させ
ようとする圧力がますます強まる中で、噴射される燃料
の調製の一層の改善が要求されている。この場合、特に
一層渦流の少ない内燃機関の傾向を考慮して霧化品質
(液滴の大きさ)が特に重要となる。液滴の大きさと、
ノズルの噴射孔の横断面積とは直接に関連しているの
で、噴射量は同じままで、少数の大きな噴射孔から多数
の小さな噴射孔への傾向が強まっている。しかし、極端
に狭い噴射孔の製造は汎用の製造法、たとえば切削穿孔
加工または浸食加工では限界がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、冒頭
で述べた形式の燃料噴射ノズルを改良して、汎用の材料
切削加工法では製造不可能であるような噴射孔の有効横
断面積の減小が可能になるような燃料噴射ノズルを提供
することである。
【0005】さらに本発明の課題は、このような燃料噴
射ノズルを製造する有利な方法を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】この課題を解決するため
に本発明の構成では、噴射孔の出口に近い区分が、全周
にわたって固い被覆体によって狭められており、該被覆
体が出口に向かって厚肉になっていて、流れ方向で減径
した通流部が形成されているようにした。
【0007】さらに上記課題を解決するために本発明の
方法では、前製造された噴射孔を、少なくとも出口の近
くの区分で、固い被覆体の被着によって狭めるようにし
た。
【0008】
【発明の効果】本発明による燃料噴射ノズルは、次のよ
うな利点を持っている。すなわち、噴射孔に設けられた
被覆体によって、汎用の材料切削加工法では製造不可能
であったような噴射孔の有効横断面積の減小および/ま
たは変更が得られる。請求項2〜請求項4に記載の被覆
体の成形は、微細の噴射噴流の鋭い収束に役立つ。噴射
孔の出口端部の範囲における意図的な材料除去に基づ
き、特に噴射孔の出口に流れ通路のノズル状の減径が生
じるようになる。このような狭い、成形された噴射孔に
よって、微細の燃料噴流が形成され、このような燃料噴
流は流れの高い圧力と高い速度とを受けて、極めて微細
な液滴に噴霧される。
【0009】噴射孔に被覆体を被着させるためには、請
求項5〜請求項8に記載の方法が適当である。
【0010】
【実施例】以下に、本発明の実施例を図面につき詳しく
説明する。
【0011】ノズルボディ1は燃焼室側の端部の範囲
に、円錐状の弁座2を有している。この弁座はノズルボ
ディ1に移動可能に案内された、ばね負荷された弁ニー
ドル4の閉鎖円錐体3と協働する。燃料流れ方向で見て
弁座2の下方では、ノズルボディ1の丸頂部5に盲孔6
が設けられており、この盲孔からは、丸頂部5の周壁を
貫通した1つまたは複数の噴射孔10が延びている。噴
射孔10の入口は弁座2の範囲にも位置しており、内燃
機関の燃焼室の構成に応じて、噴射ノズルの長手方向軸
線に対して種々の噴射方向を有する1つまたは複数の噴
射孔が配置されていてよい。
【0012】高い圧力を受けて通流する燃料を微細な噴
流に形成する噴射孔10は、入口11の近くの流入側区
分では円筒体の形状を有しており、出口12の近くの区
分では流れ方向で先細りになる円錐台の形状を有してい
て、出口12では拡がって、製造により生じた環状隆起
部を形成している。この環状隆起部は必要に応じて再び
除去することができる。噴射孔10のこのようにノズル
状の形状は、まずノズルの丸頂部5の壁が材料除去、た
とえば切削加工による穿孔または材料の浸食除去により
貫通させられることによって形成される。この場合、円
筒状の孔が形成される。この孔は、0.2〜0.1mm
の範囲の内径を有している。その後に、孔の出口12に
近い区分において、硬質材料、たとえばクロム、ニッケ
ルまたはこれに類するものから成る被覆体16が孔15
の周壁に被着される。被覆体16は不均一な厚さで被着
されると有利である。これにより、開放横断面は出口1
2に向かって円錐台14の形状で収束して、出口12に
おいてノズルボディ1の丸頂部5の外面から突出した環
状隆起部13によって拡がる。被覆体の最大厚さは、孔
の有効横断面積が約30〜50%だけ減じられるように
設定される。
【0013】前記横断面特性を形成するための有利な方
法は、電気化学的な析出(電気メッキ)による材料被着
である。電気化学的な析出法に関しては、特に水性電解
液からの陽極析出が簡単な手段である。その理由は、本
来の工具を成している電解溶液が直接に噴射孔に導入さ
れて、噴射孔壁に金属イオンが析出し得るからである。
この場合に、特にたとえば絶縁ラッカーを用いて丸頂部
5の外面をカバーすることによって、外側の噴射孔範囲
において電界線の集中が生じるので、このような意図的
な材料被着によって、噴射孔10の出口12に近い区分
で流れ通路のノズル状の減径部が形成される。横断面積
は材料の被着によって30〜50%だけ減じられる。
【0014】この被覆体を被着するためには、別の方法
も使用可能である。PVD法(物理蒸着法)では、物理
的な析出プロセスにおいて、気相から蒸着、スパッタリ
ング、イオンプレーティングまたは前記方法の反応性変
化法によって被覆体が被着され、この場合、0.01〜
0.1mmの層厚さを得ることができる。CVD法(化
学蒸着法)では、材料が蒸気相から熱、プラズマ活性
化、光子活性化またはレーザ誘導により析出される。こ
の場合、0.1mmまでの層厚さが得られる。
【0015】さらに別の有利な方法は、金属塩、還元
剤、錯生成剤ならびに別の化学薬品を含有している電解
質からの自触媒化学還元析出である。さらに、置換反応
や噴霧熱分解や均質沈殿において生じるような化学析出
も使用可能である。この場合に得られる層厚さは0.3
mmまでである。
【0016】さらに、金属溶融体からの析出、特に溶融
浸漬法が挙げられる。この溶融浸漬法では、場合によっ
ては加熱されたノズル丸頂部が、溶融された金属、たと
えば硬質金属ろうに浸漬される。負圧もしくは正圧下
に、溶融体が盲孔に「吸い込まれ」、引き続き再び「吹
き出される」。この方法では、ノズル基体への溶融体の
拡散が行なわれるだけでなく、溶融体も噴射孔壁に析出
し、これによって、冷却後に横断面積減小が得られる。
この方法を数回用いることによって、直径を適宜に減径
させることができる。
【0017】前記方法では、被着された層厚さもしくは
規定のハイドロリック通流量を決定する自由横断面積
が、加工時間の関数もしくは方法使用頻度の関数とな
る。
【0018】被覆体を形成するための硬質物質として
は、クロム、ニッケル、ニッケル−リン、ニッケル−白
金−ホウ素、Al2O3、Cr2O3、TiO2、Cr
3C2、SiO2、AlSi、NiCr、WTi、WC
またはこれに類するものが挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による燃料噴射ノズルの燃焼室側端部の
縦断面図である。
【符号の説明】
1 ノズルボディ、 2 弁座、 3 閉鎖円錐体、
4 弁ニードル、 5丸頂部、 6 盲孔、 10 噴
射孔、 11 入口、 12 出口、 13環状隆起
部、 14 円錐台、 15 孔、 16 被覆体
フロントページの続き (72)発明者 デトレフ ポッツ ドイツ連邦共和国 シュツットガルト− ノルト ヘルトヴェーク 100 (72)発明者 マンフレート レスラー ドイツ連邦共和国 シュツットガルト 60 イン デア アウ 9 (72)発明者 ルーディ オット ドイツ連邦共和国 ザクセンハイム−オ クセンバッハ アム フレッシュレ 5 (56)参考文献 特開 昭62−10468(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F02M 61/18 360 F02M 61/18 330

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ディーゼル内燃機関に用いられる燃料噴
    射ノズルであって、ノズルボディが設けられていて、該
    ノズルボディで、移動可能に案内された弁ニードルが弁
    座と協働するようになっており、該弁座に続いて下流側
    に、前記ノズルボディを貫通した噴射孔が設けられてい
    る形式のものにおいて、噴射孔(10)の出口(12)
    に近い区分が、全周にわたって固い被覆体(16)によ
    って狭められており、該被覆体(16)が出口(12)
    に向かって厚肉になっていて、流れ方向で減径した通流
    部が形成されていることを特徴とする、ディーゼル内燃
    機関に用いられる燃料噴射ノズル。
  2. 【請求項2】 前記被覆体(16)が出口(12)で、ノ
    ズルボディ(1)の外周面に向かって丸く面取りされて
    いる、請求項1記載の燃料噴射ノズル。
  3. 【請求項3】 前記被覆体(16)が、噴射孔(10)
    の出口(12)でノズルボディ(1)の外面から環状隆
    起部(13)として突出している、請求項2記載の燃料
    噴射ノズル。
  4. 【請求項4】 前記被覆体が、クロム、ニッケル、ニッ
    ケル−リン、ニッケル−ホウ素、ニッケル−白金−ホウ
    素、Al2O3、Cr2O3、TiO2、Cr3C2、
    SiO2、AlSi、NiCr、WTi、WCまたはこ
    れに類するもののような硬質物質から成っている、請求
    項1から3までのいずれか1項記載の燃料噴射ノズル。
  5. 【請求項5】 ノズルボディの内部から外方に通じた少
    なくとも1つの噴射孔を、材料除去によって形成して、
    請求項1から4までのいずれか1項記載の燃料噴射ノズ
    ルを製造する方法において、前製造された噴射孔(1
    0)を、少なくとも出口(12)の近くの区分で、固い
    被覆体(16)の被着によって狭めることを特徴とす
    る、燃料噴射ノズルの製造法。
  6. 【請求項6】 前記被覆体を、噴射孔(10)の出口
    (12)の近くの区分で、被覆によって被着させる、請
    求項5記載の方法。
  7. 【請求項7】 出口(12)の近くの区分で、被覆体材
    料を前記出口に向かって増量するように堆積させる、
    求項6記載の方法。
  8. 【請求項8】 前記被覆体(16)を、電気化学的な析
    出、化学的な析出、CVD析出、PVD析出または金属
    性の溶融体からの析出によって形成する、請求項5から
    7までのいずれか1項記載の方法。
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