JP3306968B2 - インバータ制御によるホイスト - Google Patents

インバータ制御によるホイスト

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はインバータ制御によるホ
イストに関する。
【0002】
【従来の技術】ホイストの巻上げ、巻下げおよび横行用
のモータは、一般に堅固で故障の少ない誘導電動機が使
用されている。近年、周波数を自由に可変できるインバ
ータが普及し、ホイストのモータの速度制御にも使用さ
れるに至っている。図3はかかるインバータ制御による
従来のホイストの概略の結線図を示す。
【0003】図3において10はホイストの巻上、巻下
用モータ(以下、単にモータと略称する。)、11はイ
ンバータで、三相交流電源Eの電力を直流に変換する順
変換部COと、この順変換部COの直流出力を交流に交
換する逆変換部IVと、該逆変換部IVのベースを制御
して出力電圧、周波数を制御するベースドライブ回路お
よび操作用押釦スイッチ12の操作によりモータ10を
巻上げと巻下げ等のシーケンス制御を行う制御回路CS
から構成されている。操作用押釦スイッチ12は、巻上
用および巻下用の釦スイッチ12Uおよび12Dを有
し、またこれら釦スイッチ12Uおよび12Dには、夫
々高速巻上および高速巻下スイッチUH,DHと、低速
上および低速下スイッチUR,DRを有する。なお、操
作用押釦スイッチ12には上記以外に左右横行操作用等
の押釦スイッチが設けられているが省略した。13は電
磁開閉器で、巻上用接点13Uと巻下用接点13Dから
成り、インバータ11とモータ10間に設けられ、これ
ら各接点13U,13Dは、操作用押釦スイッチ12の
巻上用および巻下用釦スイッチ12Uおよび12Dを押
したとき閉成され、モータ10の回転方向を切換える。
なおこの電磁開閉器13は、インバータ11の制御によ
り、出力電圧の相順を変えるようにした場合は必要とし
ない。14はブレーキ操作回路で、三相交流電源Eから
2相を取り出し、ブレーキ接点CU,CDを介してダイ
オードD1,D2で半波整流し、電磁ブレーキMBのブレ
ーキ引外しコイルに接続されている。この接点CU,C
Dは電磁開閉器13と連動して開閉され、巻上用又は巻
下用接点13U又は13Dが閉成したとき閉じてブレー
キを開放する。インバータ制御によるホイストにおいて
は、巻上用モータの速度を任意に制御(切換)できるの
で、起動時又は重荷時には低速で、また軽負荷又は無負
荷時には高速(定格速度又はそれ以上の速度)で運転で
きるので、安全性および荷物の移動作の能率化が図れ
る。その操作は、操作用押釦スイッチ12の低速巻上、
巻下スイッチUR,DRおよび高速巻上、巻下スイッチ
UH,DHを押すことによって行われる。
【0004】低速巻上(巻下)スイッチを押すことによ
り、インバータ11の出力周波数を例えば6HZ(定格
周波数の1/10)になるように設定して、このスイッ
チによる低速度指令でモータ10を低速運転し、高速巻
上(巻下)スイッチを押すことにより、例えば60HZ
になるように設定してこの高速巻上スイッチによる高速
度指令でモータ10を高速駆動してホイストの巻きドラ
ムを介して高速巻上(巻下)が行われる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ホイストの運転に際し
ては、吊り荷の着床近くで、押釦スイッチを瞬間的なオ
ン、オフ(インチング)を繰返して吊り荷を衝激なく着
床することが行われる。また、巻上げ、巻下し時のプラ
ッキングも頻繁に行われる。この場合、インバータ制御
によるホイスト(以下、インバータホイストと略称)に
あっては、押釦スイッチをオフしてもインバータの出力
はすぐに零とならない。即ち、図4に示すように押釦ス
イッチをオフして所定時間t1(約0.5sec)経過
後にインバータの出力は零になる。従って、この時間t
1を経過しないΔtの時刻に押釦スイッチを押してオン
信号を与えると、インバータは再び起動するが、このと
き出力電流が急速に増加してホイストの巻上速度が急に
加速し、危険な状態となったり、また、最悪の場合、吊
り荷を巻上げるワイヤーロープが切断し吊り荷が落下す
るという危険性がある。また、インバータを構成する半
導体素子を破壊し、運転不能となる等の問題がある。
【0006】そこで、インバータホイストにおいては、
電気回路で、瞬時インチングやプラッキング動作ができ
ないように押釦スイッチを押しても、ある時間(t1
経過した後でないと巻上げ、巻下げができないように遅
延回路を設けて、図4に示すように押釦スイッチを押し
てもt1′経過後にインバータがスタートするようにし
ている。
【0007】しかし、通常の電気ホイストは、インバー
タホイストと異なり、押釦スイッチを押すとすぐに巻上
げ、巻下げができるので、この通常のホイストの運転に
なれた作業者がインバータホイストを運転すると違和感
を感じる。特に、一つの工場の生産ラインにすでに通常
の電気ホイストが設置されており、同ラインにインバー
タホイストを増設したような場合は、ホイストの操作者
は、特定の作業者が指定されていることもあって、両ホ
イストを同じ作業者が操作することになり、インチング
を行う場合などには操作の感覚が異なるため、操作しに
くい等の問題がある。以上の点に鑑み、本発明は、押釦
スイッチを押した後の時間的遅れを無くし、通常の電気
ホイストと同じ感覚で操作できるインバータホイストの
提供を目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明において前記の課
題を解決するための手段は、ホイストの巻上、巻下用モ
ータをインバータの出力側に接続し、操作用押釦スイッ
チの操作により巻上げ、巻下げの切換えおよびモータの
速度制御を行うようにしたホイストにおいて、前記操作
用押釦スイッチの巻上用および巻下用の釦スイッチを夫
々低速度用と高速度用の接点で構成し、各高速度指令信
号はこの高速度用の接点を閉じたとき出力し、低速度指
令信号は低速度用の接点を閉じたとき出力し、この接点
開いたとき中止して中止後所定時間内は低速度用の接
点を閉じても信号を出力しないようするとともに、また
巻上側の指令信号にあっては巻下側の指令信号、巻下
側の指令信号にあっては巻上側の指令信号中止して所
定時間内では信号を出力しないようにして従来の電気ホ
イストと同じ感覚で操作できるようにしたことを特徴と
する。
【0009】
【作用】本発明は上記のように構成しているので、巻上
用(巻下用)の低速度用の接点を閉じると低速巻上(巻
下)信号回路から低速度指令信号が出され、低速巻上げ
(巻下げ)運転が行われ、接点を開くと運転が止まる。
再び巻上用(巻下用)の低速度用の接点を閉じたとき、
接点を開いてから所定の設定時間が経過していないとき
は低速度指令信号は出力しない。従ってインバータは起
動しないので、インバータに過電流が流れて急激な巻上
げ(巻下げ)を行うことがない。
【0010】また、プラキングの場合は、低速巻上側に
あっては低速巻下側の、低速巻下側にあっては低速巻上
側の時限復帰のb接点が復帰しない限り巻上げ(巻下
げ)用の低速度指令信号を出さないので、この時限を吊
り荷が停止する時間に設定すれば、吊り荷が完全に停止
してから巻上げ、巻下げが行われる。
【0011】
【実施例】以下、本発明を図に示す一実施例に基づいて
説明する。図1は本発明の一実施例の動作を説明するた
めの結線図で、図3における制御回路CSと操作用押釦
スイッチ部分のみを示し、その他の機能は図3とほぼ同
じであるので省略した。
【0012】図1において、1はインバータの制御回路
で図3のCSに相当する。2は操作用押釦スイッチ部
で、巻上用釦スイッチ2∪と巻下用釦スイッチ2Dとを
有し、これら各釦スイッチ2∪および2Dは夫々2段ア
クションの押釦スイッチから成り、常時は開放してい
て、1段目のアクションで低速度用の接点21を閉じ、
2段目のアクションで高速度用の接点22を閉じて高速
度指令信号Uh,Dhを出力する。23,24はインタ
ロック用接点で例えば巻上用釦スイッチ2∪を押したと
き、接点24を開き、巻下用釦スイッチ2D側の回路を
開路する。
【0013】また、制御回路1内のインバータ駆動回路
は、巻上用および巻下用釦スイッチ2∪および2Dの1
段目のアクションで低速度用の接点21が閉じたとき、
インバータ1の出力周波数が例えば6HZ(定格周波数
の1/10)になるように設定し、モータ10を定格速
度の1/10の低速運転をするようになし、また、2段
目のアクションで高速度用の接点22を閉じたとき、低
速度より高い例えば定格出力周波数を60HZにしてモ
ータを定格速度で運転するように設定する。3は低速巻
上信号回路、4は低速巻下信号回路で、それぞれ巻上用
および巻下用ボダンスイッチ2∪および2Dの低速用の
接点21の閉開によって操作される。操作用押釦スイッ
チ部2の巻上げおよび巻下げ用の釦スイッチ2∪および
2Dの低速用の接点21にはそれぞれリレーR1および
2が接続され、このリレーR1およびR2のa接点(常
開接点)R1aおよびR2aにより、低速巻上信号回路3
および低速巻下信号回路4は制御電源に接続され又切り
離される。低速巻上信号回路3は第1のタイマT1,第
2のタイマT3およびリレーR3を有し、タイマT1は時
限復帰のb接点(常閉接点)T1bと時限復帰のa接点
11,T12を有する。そして、このタイマT1はリ
レーR1のa接点R1a、自己のb接点T1bおよび低速
巻下信号回路4の第2のタイマT4の時限復帰のb接点
4bを介して制御電源に接続されている。リレーR3
自己保持用のリレーでa接点R3aを有し、該a接点R3
aは前記のb接点T1bと並列に設けられ、このb接点
1bが開いたときにリレーR1のa接点R1aが開放す
るまで自己保持する。第1のタイマT1の時限復帰のa
接点T11およびT12は夫々リレーR1のa接点R1
および第1のタイマT1のb接点T1b、これと並列のa
接点R3aを介して制御電源に接続され、b接点T11
の閉成によりインバータに低速巻上げの低速指令信号U
rを出力し、b接点T12は第2のタイマT3を付勢し
て動作させる。このタイマT3は時限復帰用のb接点T3
bを有し、動作したとき低速巻下信号回路4の第1のタ
イマT2の回路を開く。
【0014】低速巻下信号回路4も低速巻上信号回路3
と同じく第1のタイマT2を有し、このタイマT2は時限
復帰のb接点T2bおよびa接点T21,T22を有
し、また、自己保持用のリレーR4および時限復帰のb
接点T4bを有する第2のタイマT4を有し、このタイマ
4のb接点T4bが低速巻上信号回路3の第1のタイマ
1の回路に挿入した点、低速巻上信号回路3と相違す
る。
【0015】なお、リレーR1およびR2に接続されてい
るb接点R2bおよびR1bは夫々リレーR2およびR1
b接点で、互いのインタロックをとる接点である。
【0016】次に動作を説明する。インバータホイスト
によって吊り荷の巻上を行う場合は、操作用押釦スイッ
チ部2の巻上用釦スイッチ2∪を押す。この2∪が押さ
れ低速度用の接点21が閉じると、リレーR1が付勢さ
れて動作し、そのa接点R1aが閉成される。このa接
点R1aが閉成されると、この時点では第1のタイマT1
および低速巻下信号回路4の第2のタイマT4は不動作
の状態であるから、そのb接点T1bおよびT4bを介し
て第1のタイマT1およびリレーR3が同時に動作し、タ
イマT1のb接点T1bを開きa接点T11,T12を閉
じる。a接点T11の閉成によって低速度指令信号∪r
がインバータの制御回路1に出力され、インバータホイ
ストは低速で巻上げを行う。このとき第1のタイマT1
のb接点T1bが開いてもリレーR3のa接点R3aが閉
じるため、タイマT1は動作を継続する。また、第2の
タイマT3の動作によりそのb接点T3bを開き、低速巻
下信号回路4の第1のタイマT2の動作を阻止する。低
速巻上運転中、更に巻上用釦スイッチ2∪を押して高速
度用の接点22を閉じると高速度指令信号∪hが出され
高速巻上げが行われる。
【0017】巻上用釦スイッチ2∪の押すのを止める
と、接点22,21が開き、リレーR 1が復帰し、その
a接点R1aが開かれるため、リレーR3、第1のタイマ
1および第2のタイマT3もすべて復帰する。しかし、
タイマT1のb接点T1bは時限復帰であるため、すぐに
は復帰せず、所定の時間後に復帰して閉成する。従っ
て、この所定の時間を図2に示すように、インバータの
出力が完全に停止する時間t2に設定すれば、t2経過前
のx時点で再び巻上用釦スイッチ2∪を押して接点21
を閉じても第1のタイマT1は付勢されないから低速度
指令信号∪rが出力しないので、所定時間内でのインチ
ング操作は受付けない。
【0018】また、第2のタイマT3の時限復帰用のb
接点T3bの復帰時限を、リレーR1のa接点が開路した
時点から、ブレーキが掛かり、吊り荷が完全に停止する
までの時間に設定すれば、巻上げから巻下げに切換える
プラキング操作は、ホイストにブレーキがかかり、吊り
荷が停止するまでは、巻下用の接点21を閉じても受付
けず、巻下げに切替わることはない。以上は吊り荷を巻
上げる場合について説明したが、巻下げる場合は巻下用
釦スイッチ2Dを操作し、低速巻下信号回路4を操作さ
せるが、その動作は、上述の巻上げの場合と同じである
ので、説明を省略する。
【0019】なお、上記の実施例では操作用押釦スイッ
チは2段アクションの押釦スイッチを使用した場合につ
いて説明したが、夫々別個の押釦スイッチでよい。
【0020】
【発明の効果】本発明は以上のように、操作用押釦スイ
ッチ部の巻上げ又は巻下げ用の押釦スイッチを押すと時
間遅れなく巻上げ、又は巻下げが行われ、また、インチ
ング操作を行っても所定時間(例えば0.5秒)以下で
あれば動作せず、またプラキング操作も必ずブレーキが
掛かり吊り荷を保持した状態でないと運転が不能となる
ので、安全であり、作業者も従来のようにインチング時
間を気にして操作する必要はなくなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の要部結線図
【図2】本発明の動作説明図
【図3】従来例のインバータホイストの構成図
【図4】従来例の動作説明図
【符号の説明】
1…制御回路 2…押釦スイッチ部 3…低速巻上信号回路 4…低速巻下信号回路 2∪…巻上用の釦スイッチ 2D…巻下用の釦スイッチ 21…低速度用の接点 22…高速度用の接点 R1〜R4…リレー T1〜T4…タイマ

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ホイストの巻上、巻下用モータをインバ
    ータの出力側に接続し、操作用押釦スイッチの操作によ
    り巻上げ、巻下げの切換えおよびモータの速度制御を行
    うようにしたホイストにおいて、 前記操作用押釦スイッチの巻上用および巻下用の釦スイ
    ッチを夫々低速度用と高速度用の接点で構成し、各高速
    度指令信号はこの高速度用の接点を閉じたとき出力し、
    低速度指令信号は低速度用の接点を閉じたとき出力し、
    この接点を開いたとき中止して、中止後所定時間内は低
    速度用の接点を閉じても信号を出力しないようにしたこ
    とを特徴とするインバータ制御によるホイスト。
  2. 【請求項2】 ホイストの巻上、巻下用モータをインバ
    ータの出力側に接続し、操作用押釦スイッチの操作によ
    り巻上げ、巻下げの切換えおよびモータの速度制御を行
    うようにしたホイストにおいて、 前記操作用押釦スイッチの巻上用および巻下用の釦スイ
    ッチを夫々低速度用と高速度用の接点で構成し、各高速
    度指令信号はこの高速度用の接点を閉じたとき出力し、
    低速度指令信号は低速度用の接点を閉じたとき出力し、
    この接点を開いたとき中止し、巻上側の指令信号にあっ
    ては巻下側の指令信号、巻下側の指令信号にあっては
    巻上側の指令信号中止して所定時間内では信号を出力
    しないようにしたことを特徴とするインバータ制御によ
    るホイスト。
  3. 【請求項3】 ホイストの巻上、巻下用モータをインバ
    ータの出力側に接続し、操作用押釦スイッチの操作によ
    り巻上げ、巻下げの切換えおよびモータの速度制御を行
    うようにしたホイストにおいて、 前記操作用押釦スイッチの巻上用および巻下用の釦スイ
    ッチを低速度用と高速度用の接点で構成して高速度用の
    接点は高速指令信号を出力するようにした押釦スイッチ
    部と、前記巻上用釦スイッチの低速度用の接点の操作に
    より低速指令信号を出す低速巻上信号回路と、前記巻下
    用釦スイッチの低速度用の接点の操作により低速指令信
    号を出す低速巻下信号回路とを備え、 前記低速巻上、巻下の各信号回路は、夫々低速度用の接
    点を閉じたとき動作する第1のタイマと、この第1のタ
    イマの動作より動作する第2のタイマを設け、夫々の第
    1のタイマおよび第2のタイマはタイマの動作時に接点
    を開いて所定時間後復帰する時限復帰のb接点を有し、
    低速巻上および巻下信号回路の第1のタイマは、夫々押
    釦スイッチ部の低速用の接点を閉じたとき、自己のb接
    点および低速巻上信号回路にあっては低速巻下信号回路
    の第2のタイマのb接点、低速巻下信号回路にあっては
    低速巻上信号回路の第のタイマの接点の閉成を条件
    に動作するようにしたことを特徴とするインバータ制御
    によるホイスト。
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