JP3305790B2 - 薄膜永久磁石の製造方法 - Google Patents
薄膜永久磁石の製造方法Info
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- B—PERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
- B82—NANOTECHNOLOGY
- B82Y—SPECIFIC USES OR APPLICATIONS OF NANOSTRUCTURES; MEASUREMENT OR ANALYSIS OF NANOSTRUCTURES; MANUFACTURE OR TREATMENT OF NANOSTRUCTURES
- B82Y25/00—Nanomagnetism, e.g. magnetoimpedance, anisotropic magnetoresistance, giant magnetoresistance or tunneling magnetoresistance
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- H—ELECTRICITY
- H01—ELECTRIC ELEMENTS
- H01F—MAGNETS; INDUCTANCES; TRANSFORMERS; SELECTION OF MATERIALS FOR THEIR MAGNETIC PROPERTIES
- H01F1/00—Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties
- H01F1/0036—Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties showing low dimensional magnetism, i.e. spin rearrangements due to a restriction of dimensions, e.g. showing giant magnetoresistivity
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はFe及びPtを主成分と
し、Ti,Nb,V,Ta,Mo,Pd,Auのうち一
種または二種以上の元素を副成分とし、更に不可避の不
純物を含む合金からなる薄膜永久磁石の製造方法に関す
る。
し、Ti,Nb,V,Ta,Mo,Pd,Auのうち一
種または二種以上の元素を副成分とし、更に不可避の不
純物を含む合金からなる薄膜永久磁石の製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】近年永久磁石材料としてFe−Pt系、
NdーFe−B系、Sm−Fe−N系化合物などの優れ
た特性を持つ材料が見出され活発な研究が行われてい
る。一方電子技術の進展に伴い電子機器の小型化薄膜化
が進んでおり、磁性材料の分野に於いても薄膜化による
磁気デバイスの小型化高機能化を目指したマイクロ磁気
デバイスの研究が注目されている。高保磁力を有する硬
磁性薄膜も従来の磁気記録媒体としての応用に留まら
ず、微小な電磁アクチュエータ或いは磁気抵抗ヘッドに
バイアス磁場を加える目的での応用も考えられるように
なっている。しかし従来から多く研究が行われている面
内磁気記録媒体としての応用を意図した硬磁性薄膜は保
磁力が2〜3kOe程度以下であり、バルクの希土類系
永久磁石の特性に匹敵する10kOe以上の高保磁力を示
す薄膜の研究は少ない。最近Nd−Fe−B系永久磁石
材料を薄膜化し10kOe以上の高保磁力を実現している
が、希土類元素を含む材料は酸化し易く特に薄膜の場合
には耐食性の面で問題が残る(第16回日本応用磁気学会
技術講演概要集p.454 (1992))。
NdーFe−B系、Sm−Fe−N系化合物などの優れ
た特性を持つ材料が見出され活発な研究が行われてい
る。一方電子技術の進展に伴い電子機器の小型化薄膜化
が進んでおり、磁性材料の分野に於いても薄膜化による
磁気デバイスの小型化高機能化を目指したマイクロ磁気
デバイスの研究が注目されている。高保磁力を有する硬
磁性薄膜も従来の磁気記録媒体としての応用に留まら
ず、微小な電磁アクチュエータ或いは磁気抵抗ヘッドに
バイアス磁場を加える目的での応用も考えられるように
なっている。しかし従来から多く研究が行われている面
内磁気記録媒体としての応用を意図した硬磁性薄膜は保
磁力が2〜3kOe程度以下であり、バルクの希土類系
永久磁石の特性に匹敵する10kOe以上の高保磁力を示
す薄膜の研究は少ない。最近Nd−Fe−B系永久磁石
材料を薄膜化し10kOe以上の高保磁力を実現している
が、希土類元素を含む材料は酸化し易く特に薄膜の場合
には耐食性の面で問題が残る(第16回日本応用磁気学会
技術講演概要集p.454 (1992))。
【0003】耐食性に優れた永久磁石材料としてPtを
35〜39.5原子%含み残余Fe及び不可避の不純物からな
るFe−Pt系磁石が知られている(特公平3−35801
号)。FePt規則合金は結晶磁気異方性が非常に大き
いが同時に不規則格子変態温度が高いために不規則相を
得ることができないため良好な磁気特性が得られない。
そのためFe−Pt系磁石合金では組成を等価原子比か
らFe過剰側にずらすことにより変態温度を低下させ、
高保磁力を得ている。またこのFe−Pt系磁石はT
i,V,Nb等の添加元素により保磁力、最大エネルギ
ー積等の磁石特性の改善が見られ、同時にその組成範囲
も広がることが知られている(Trans. JIMvol. 26(198
5)362 )。
35〜39.5原子%含み残余Fe及び不可避の不純物からな
るFe−Pt系磁石が知られている(特公平3−35801
号)。FePt規則合金は結晶磁気異方性が非常に大き
いが同時に不規則格子変態温度が高いために不規則相を
得ることができないため良好な磁気特性が得られない。
そのためFe−Pt系磁石合金では組成を等価原子比か
らFe過剰側にずらすことにより変態温度を低下させ、
高保磁力を得ている。またこのFe−Pt系磁石はT
i,V,Nb等の添加元素により保磁力、最大エネルギ
ー積等の磁石特性の改善が見られ、同時にその組成範囲
も広がることが知られている(Trans. JIMvol. 26(198
5)362 )。
【0004】Fe−Pt合金の薄膜化はスパッタ法によ
りなされている(IEEE Ttans. MAG-20(1984)1642)。こ
の方法では室温基板上に薄膜を作製し、成膜後に550 〜
750℃の温度で焼鈍を行うことにより高保磁力が得られ
ることが報告されている。スパッタ法による薄膜の場合
バルクの磁石合金の場合とは異なりどの組成に於いても
不規則相が得られ、その保磁力はバルクの磁石合金より
も遙かに大きくPt50原子%付近で最大10.6kOeの値
が得られる。このようにFe−Pt合金薄膜はバルクの
磁石合金よりも2倍以上の高保磁力が得られ、しかもP
tを含むため耐食性に優れており薄膜永久磁石としては
他の希土類系磁石合金の薄膜よりも優れている。しかし
室温基板上に成膜した後に熱処理を行う方法では製造工
程が複雑化するのと同時に一度大気中にさらされるため
酸化する恐れが生じ好ましくない。
りなされている(IEEE Ttans. MAG-20(1984)1642)。こ
の方法では室温基板上に薄膜を作製し、成膜後に550 〜
750℃の温度で焼鈍を行うことにより高保磁力が得られ
ることが報告されている。スパッタ法による薄膜の場合
バルクの磁石合金の場合とは異なりどの組成に於いても
不規則相が得られ、その保磁力はバルクの磁石合金より
も遙かに大きくPt50原子%付近で最大10.6kOeの値
が得られる。このようにFe−Pt合金薄膜はバルクの
磁石合金よりも2倍以上の高保磁力が得られ、しかもP
tを含むため耐食性に優れており薄膜永久磁石としては
他の希土類系磁石合金の薄膜よりも優れている。しかし
室温基板上に成膜した後に熱処理を行う方法では製造工
程が複雑化するのと同時に一度大気中にさらされるため
酸化する恐れが生じ好ましくない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】そこで本発明はあらか
じめ加熱した基板上にFe−Pt合金薄膜を蒸着するこ
とにより、成膜後熱処理した場合よりも同等以上の磁気
特性が得られることを知見したことによるものである。
この製造方法により最大15kOe以上に達する高保磁力
を有する薄膜永久磁石を成膜後の熱処理なしに得ること
ができる。
じめ加熱した基板上にFe−Pt合金薄膜を蒸着するこ
とにより、成膜後熱処理した場合よりも同等以上の磁気
特性が得られることを知見したことによるものである。
この製造方法により最大15kOe以上に達する高保磁力
を有する薄膜永久磁石を成膜後の熱処理なしに得ること
ができる。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は上述の従来法の
難点を解決するためになされたもので、本発明の特徴と
する所は下記の通りである。 第1発明 主成分としてPtを35〜60原子%含有し、残部がF
e及び不可避の不純物からなる合金の薄膜を300〜8
00℃に加熱した基板上に窒素ガス及び、窒素ガスとA
r,Xe,Krのうち少くとも一種の不活性ガスとの混
合ガス雰囲気中でスパッタリングにより形成することを
特徴とする薄膜永久磁石の製造方法。
難点を解決するためになされたもので、本発明の特徴と
する所は下記の通りである。 第1発明 主成分としてPtを35〜60原子%含有し、残部がF
e及び不可避の不純物からなる合金の薄膜を300〜8
00℃に加熱した基板上に窒素ガス及び、窒素ガスとA
r,Xe,Krのうち少くとも一種の不活性ガスとの混
合ガス雰囲気中でスパッタリングにより形成することを
特徴とする薄膜永久磁石の製造方法。
【0007】第2発明 主成分としてPtを40〜55原子%含有し、残部がF
e及び不可避の不純物からなる合金に副成分としてT
i,Nb,V,Ta,Mo,Pd,Auのうち一種また
は二種以上の元素を0.1〜10原子%を含有する合金
の薄膜を300〜800℃に加熱した基板上に窒素ガス
及び、窒素ガスとAr,Xe,Krのうち少くとも一種
の不活性ガスとの混合ガス雰囲気中でスパッタリングに
より形成することを特徴とする薄膜永久磁石の製造方
法。 第3発明 主成分としてPtを48〜60原子%含有し、残部がF
e及び不可避の不純物からなる合金の薄膜を300〜8
00℃に加熱した基板上に形成することを特徴とする薄
膜永久磁石の製造方法。 第4発明 主成分としてPtを48〜55原子%含有し、残部がF
e及び不可避の不純物からなる合金に副成分としてT
i,Nb,V,Ta,Mo,Pd,Auのうち一種また
は二種以上の元素を0.1〜10原子%を含有する合金
の薄膜を300〜800℃に加熱した基板上に形成する
ことを特徴とする薄膜永久磁石の製造方法。
e及び不可避の不純物からなる合金に副成分としてT
i,Nb,V,Ta,Mo,Pd,Auのうち一種また
は二種以上の元素を0.1〜10原子%を含有する合金
の薄膜を300〜800℃に加熱した基板上に窒素ガス
及び、窒素ガスとAr,Xe,Krのうち少くとも一種
の不活性ガスとの混合ガス雰囲気中でスパッタリングに
より形成することを特徴とする薄膜永久磁石の製造方
法。 第3発明 主成分としてPtを48〜60原子%含有し、残部がF
e及び不可避の不純物からなる合金の薄膜を300〜8
00℃に加熱した基板上に形成することを特徴とする薄
膜永久磁石の製造方法。 第4発明 主成分としてPtを48〜55原子%含有し、残部がF
e及び不可避の不純物からなる合金に副成分としてT
i,Nb,V,Ta,Mo,Pd,Auのうち一種また
は二種以上の元素を0.1〜10原子%を含有する合金
の薄膜を300〜800℃に加熱した基板上に形成する
ことを特徴とする薄膜永久磁石の製造方法。
【0008】
【作用】本発明の薄膜永久磁石の製造方法は35〜60原子
%のPtと残部Fe及び0.5 原子%以下の不可避の不純
物を含むFe−Pt系合金に係るものであり、この合金
薄膜を300 〜800 ℃に加熱した基板上に蒸着することに
より高保磁力の薄膜永久磁石を得ることができる。更に
より大きな保磁力を持つ薄膜永久磁石を得たい場合には
Pt組成が40〜55原子%でありかつ副成分としてTi,
Nb,V,Ta,Mo,Pd,Auのうち一種または二
種以上の元素を0.1 〜10原子%含有し、更に残部がFe
及び0.5 原子%以下の不可避の不純物からなる合金薄膜
を300 〜800 ℃に加熱した基板上に蒸着すればよい。窒
素ガス、或いは窒素とAr,Kr,Xeのうち一種の不
活性ガスとの混合ガス雰囲気中でのスパッタリングによ
っても同等の保磁力を持つ薄膜永久磁石を得ることがで
きるのである。
%のPtと残部Fe及び0.5 原子%以下の不可避の不純
物を含むFe−Pt系合金に係るものであり、この合金
薄膜を300 〜800 ℃に加熱した基板上に蒸着することに
より高保磁力の薄膜永久磁石を得ることができる。更に
より大きな保磁力を持つ薄膜永久磁石を得たい場合には
Pt組成が40〜55原子%でありかつ副成分としてTi,
Nb,V,Ta,Mo,Pd,Auのうち一種または二
種以上の元素を0.1 〜10原子%含有し、更に残部がFe
及び0.5 原子%以下の不可避の不純物からなる合金薄膜
を300 〜800 ℃に加熱した基板上に蒸着すればよい。窒
素ガス、或いは窒素とAr,Kr,Xeのうち一種の不
活性ガスとの混合ガス雰囲気中でのスパッタリングによ
っても同等の保磁力を持つ薄膜永久磁石を得ることがで
きるのである。
【0009】本発明において、薄膜形成は、窒素ガス及
び、窒素ガスとAr,Xe,Krのうち少くとも一種の
不活性ガスとの混合ガス雰囲気中でスパッタリングによ
り行うのがよい。
び、窒素ガスとAr,Xe,Krのうち少くとも一種の
不活性ガスとの混合ガス雰囲気中でスパッタリングによ
り行うのがよい。
【0010】基板は石英又はガラスを使用するものと
し、基板に対向して設けるターゲットは鉄板(Fe)に
白金(Pt)を適当な比率で配分したものを使用する。
し、基板に対向して設けるターゲットは鉄板(Fe)に
白金(Pt)を適当な比率で配分したものを使用する。
【0011】本発明において、薄膜永久磁石の製造条件
の限定理由を述べると次の通りである。先ず、主成分と
してPtを35〜60原子%としたのは、Pt35原子%未満
及び60原子%を越えると、薄膜はできても磁気特性特に
保磁力が悪くなるからである。Mg,Mn,Si,T
i,C,Ca等の不純物は製造過程の精錬材として不可
避的に混入されるものであるが、これが0.5 原子%を越
えて残留すると磁気特性が劣化するので、これら不純物
は0.5 原子%以下が好ましい。
の限定理由を述べると次の通りである。先ず、主成分と
してPtを35〜60原子%としたのは、Pt35原子%未満
及び60原子%を越えると、薄膜はできても磁気特性特に
保磁力が悪くなるからである。Mg,Mn,Si,T
i,C,Ca等の不純物は製造過程の精錬材として不可
避的に混入されるものであるが、これが0.5 原子%を越
えて残留すると磁気特性が劣化するので、これら不純物
は0.5 原子%以下が好ましい。
【0012】また副成分としてTi,Nb,V,Ta,
Mo,Pd,Auの何れか一種または二種以上を0.1 〜
10原子%添加するのは、その添加量が0.1 原子%以下で
は効果がなく、また10原子%を越えると磁気特性が劣化
するので、副成分の添加量を0.1 〜10原子%と限定し
た。
Mo,Pd,Auの何れか一種または二種以上を0.1 〜
10原子%添加するのは、その添加量が0.1 原子%以下で
は効果がなく、また10原子%を越えると磁気特性が劣化
するので、副成分の添加量を0.1 〜10原子%と限定し
た。
【0013】なお、スパッタリングは大気中、又は真空
中では薄膜の生成が極めて困難又はできないので不可で
あり、窒素ガス又は窒素ガスとAr,Xe,Krの少く
とも一種の不活性ガスとの混合ガス雰囲気で行う必要が
あり、これにより不純物のない良質の薄膜が得られるの
である。
中では薄膜の生成が極めて困難又はできないので不可で
あり、窒素ガス又は窒素ガスとAr,Xe,Krの少く
とも一種の不活性ガスとの混合ガス雰囲気で行う必要が
あり、これにより不純物のない良質の薄膜が得られるの
である。
【0014】
実施例1 高周波マグネトロンスパッタ法によりFe−Pt合金薄
膜の成膜を行った。ターゲットとしてはFe上にPtチ
ップを配置した複合ターゲットを用いた。Ptチップの
面積比を変えることによりPt組成を変化させた。最終
到達真空度1.0×10-6Torr以下、成膜中のアルゴン
ガス圧力5mTorr、投入RF電力100 Wの条件下で
スパッタリングを行った。基板としてはガラス及び石英
を用い、基板温度は500 ℃と800 ℃とした。表1にFe
−Pt合金薄膜の保磁力及び残留磁束密度を示す。保磁
力はPt49.6原子%、Fe 50.4 原子%組成の試料No.
3で最大となることが分かる。基板温度500 ℃で10.7k
Oe、800 ℃の場合で15.8kOeの値が得られた。また
残留磁束密度はFe過剰側の組成で大きくなる傾向が見
られ、Pt33.1原子%の試料No. 7の場合に13.5kGの
値が得られた。保磁力が大きい組成範囲は等価原子比組
成のPt過剰側よりもFe過剰側により広がっており、
Fe過剰側の組成の方が残留磁束密度も大きいため良好
な磁石特性を示す。図1に表1の基板温度800 ℃の場合
の試料No. 2,3及び5の減磁曲線を示す。試料No. 3
のPt49.6原子%とNo. 5のPt43.4原子%の場合には
良好な角型性が得られている。図2に表1の試料No. 3
の組成の保磁力の基板温度依存性を示す。基板温度が25
0 ℃から規則相が生成し保磁力が増大し始めることが分
かる。保磁力10kOe以上の薄膜永久磁石を得るには基
板温度500 ℃以上で成膜を行えばよい。
膜の成膜を行った。ターゲットとしてはFe上にPtチ
ップを配置した複合ターゲットを用いた。Ptチップの
面積比を変えることによりPt組成を変化させた。最終
到達真空度1.0×10-6Torr以下、成膜中のアルゴン
ガス圧力5mTorr、投入RF電力100 Wの条件下で
スパッタリングを行った。基板としてはガラス及び石英
を用い、基板温度は500 ℃と800 ℃とした。表1にFe
−Pt合金薄膜の保磁力及び残留磁束密度を示す。保磁
力はPt49.6原子%、Fe 50.4 原子%組成の試料No.
3で最大となることが分かる。基板温度500 ℃で10.7k
Oe、800 ℃の場合で15.8kOeの値が得られた。また
残留磁束密度はFe過剰側の組成で大きくなる傾向が見
られ、Pt33.1原子%の試料No. 7の場合に13.5kGの
値が得られた。保磁力が大きい組成範囲は等価原子比組
成のPt過剰側よりもFe過剰側により広がっており、
Fe過剰側の組成の方が残留磁束密度も大きいため良好
な磁石特性を示す。図1に表1の基板温度800 ℃の場合
の試料No. 2,3及び5の減磁曲線を示す。試料No. 3
のPt49.6原子%とNo. 5のPt43.4原子%の場合には
良好な角型性が得られている。図2に表1の試料No. 3
の組成の保磁力の基板温度依存性を示す。基板温度が25
0 ℃から規則相が生成し保磁力が増大し始めることが分
かる。保磁力10kOe以上の薄膜永久磁石を得るには基
板温度500 ℃以上で成膜を行えばよい。
【0015】
【表1】
【0016】実施例2 窒素とArの混合ガス雰囲気中で高周波マグネトロンス
パッタ法により基板上にFe−Pt合金薄膜の成膜を行
った。窒素とArガスは流量比で1:9に混合し他のス
パッタ条件は実施例1と同じとした。基板には石英を用
い基板温度は600 ℃とした。表2にそれらの保磁力と残
留磁束密度の結果について示す。窒素組成を求めること
が困難なためFeターゲット上に占めるPtチップの面
積比で組成を表した。Arガス雰囲気中でのスパッタリ
ングでは試料No. 8及び9のPtチップ面積比はPtが
ほぼ50〜45原子%の組成に対応する。Arガス雰囲気中
に比べ、窒素との混合ガス雰囲気中の場合には残留磁束
密度が若干小さい傾向が見られるが保磁力は同程度の値
が得られることが分かる。
パッタ法により基板上にFe−Pt合金薄膜の成膜を行
った。窒素とArガスは流量比で1:9に混合し他のス
パッタ条件は実施例1と同じとした。基板には石英を用
い基板温度は600 ℃とした。表2にそれらの保磁力と残
留磁束密度の結果について示す。窒素組成を求めること
が困難なためFeターゲット上に占めるPtチップの面
積比で組成を表した。Arガス雰囲気中でのスパッタリ
ングでは試料No. 8及び9のPtチップ面積比はPtが
ほぼ50〜45原子%の組成に対応する。Arガス雰囲気中
に比べ、窒素との混合ガス雰囲気中の場合には残留磁束
密度が若干小さい傾向が見られるが保磁力は同程度の値
が得られることが分かる。
【0017】
【表2】 実施例3 高周波マグネトロンスパッタ法によりFe−Pt合金薄
膜の成膜を行った。添加元素の効果を見るためにターゲ
ットとしてはFe上にPt及びTi,V,Nb,Au,
Pdチップを配置した複合ターゲットを用いた。基板に
は石英を用い基板温度は500 ℃とした。他のスパッタ条
件は実施例1と同じである。図3にTi,V,Nb,A
u及びPdを1〜10原子%含むFe−Pt合金薄膜の保
磁力のPt組成依存性を示す。Ti,Nb,V添加の場
合は添加元素がない時に比べて保磁力の最大値が増加
し、更に高保磁力を示す組成範囲が拡大しており特性改
善の効果が現れていることが分かる。Au,Pd添加の
場合は添加元素がない場合を越える保磁力は得られない
が10原子%まで添加しても8〜9kOe程度の高保磁力
が得られることが分かる。
膜の成膜を行った。添加元素の効果を見るためにターゲ
ットとしてはFe上にPt及びTi,V,Nb,Au,
Pdチップを配置した複合ターゲットを用いた。基板に
は石英を用い基板温度は500 ℃とした。他のスパッタ条
件は実施例1と同じである。図3にTi,V,Nb,A
u及びPdを1〜10原子%含むFe−Pt合金薄膜の保
磁力のPt組成依存性を示す。Ti,Nb,V添加の場
合は添加元素がない時に比べて保磁力の最大値が増加
し、更に高保磁力を示す組成範囲が拡大しており特性改
善の効果が現れていることが分かる。Au,Pd添加の
場合は添加元素がない場合を越える保磁力は得られない
が10原子%まで添加しても8〜9kOe程度の高保磁力
が得られることが分かる。
【0018】図4(A)は本発明の実施例1〜3で使用
した高周波スパッタ装置の構成を示す説明図である。1
はスパッタ室、2はスパッタガス入口、3はスパッタガ
ス排気口、4は陽極、5は陽極上に取付けた基板、6は
シャッタ、7はターゲット、8は絶縁体、9,10は接地
板、11はマッチング箱、12はマッチング回路、13はRF
電源、C1 はコンデンサ、C2 は可変コンデンサ、Lは
インダクタンス、14はシールドを示す。
した高周波スパッタ装置の構成を示す説明図である。1
はスパッタ室、2はスパッタガス入口、3はスパッタガ
ス排気口、4は陽極、5は陽極上に取付けた基板、6は
シャッタ、7はターゲット、8は絶縁体、9,10は接地
板、11はマッチング箱、12はマッチング回路、13はRF
電源、C1 はコンデンサ、C2 は可変コンデンサ、Lは
インダクタンス、14はシールドを示す。
【0019】図4(B)は本発明で使用した高周波スパ
ッタ装置のターゲット電位のプラズマ電位に対する波形
図である。ターゲット7はスパッタしたい金属であるF
e−Pt合金でできており、これにマイナスのバイアス
電圧の高周波がかかっており、アルゴン(Ar)又は窒
素(N)ガスがスパッタガス入口2よりスパッタ室1に
供給され、これがその排気口3より排気される。マッチ
ング箱11に収納されたマッチング回路12は13.56 MHz
のRF(高周波)電源13に接続され、ターゲット電位は
マッチング回路12に制御され、そのプラズマ電位Vp が
プラスになったとき、シャッタ6を開き、アルゴンある
いは窒素のイオンが衝突したターゲット7の金属原子
(Fe−Pt)がはじき飛ばされて陽極4上に置かれた
基板5上に蒸着し、薄膜が形成されるのである。
ッタ装置のターゲット電位のプラズマ電位に対する波形
図である。ターゲット7はスパッタしたい金属であるF
e−Pt合金でできており、これにマイナスのバイアス
電圧の高周波がかかっており、アルゴン(Ar)又は窒
素(N)ガスがスパッタガス入口2よりスパッタ室1に
供給され、これがその排気口3より排気される。マッチ
ング箱11に収納されたマッチング回路12は13.56 MHz
のRF(高周波)電源13に接続され、ターゲット電位は
マッチング回路12に制御され、そのプラズマ電位Vp が
プラスになったとき、シャッタ6を開き、アルゴンある
いは窒素のイオンが衝突したターゲット7の金属原子
(Fe−Pt)がはじき飛ばされて陽極4上に置かれた
基板5上に蒸着し、薄膜が形成されるのである。
【0020】
【発明の効果】本発明は石英又はガラス等の基板上にF
e−Ptより成るターゲットに対向して設け、300 〜80
0 ℃に基板を加熱しながら窒素又は窒素とアルゴン(A
r)、クリプトン(Kr)、キセノン(Xe)の何れか
より成る不活性ガスとの混合ガス雰囲気中でスパッタリ
ングにより永久磁石合金の薄膜を形成するので、従来の
如く、形成された薄膜に対し熱処理することによる酸化
その他の原因による性能の低下がなく、保磁力を著しく
改善できる工業上大なる効果がある。
e−Ptより成るターゲットに対向して設け、300 〜80
0 ℃に基板を加熱しながら窒素又は窒素とアルゴン(A
r)、クリプトン(Kr)、キセノン(Xe)の何れか
より成る不活性ガスとの混合ガス雰囲気中でスパッタリ
ングにより永久磁石合金の薄膜を形成するので、従来の
如く、形成された薄膜に対し熱処理することによる酸化
その他の原因による性能の低下がなく、保磁力を著しく
改善できる工業上大なる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明合金薄膜の減磁曲線を示す特性図
である。
である。
【図2】図2は本発明合金薄膜の保磁力の基板温度依存
性を示す特性図である。
性を示す特性図である。
【図3】図3(A),(B)は本発明合金薄膜にTi,
V,Nbを1原子%添加した場合、及びAu,Pbを10
原子%添加した場合の保磁力に及ぼす影響を示す特性図
である。
V,Nbを1原子%添加した場合、及びAu,Pbを10
原子%添加した場合の保磁力に及ぼす影響を示す特性図
である。
【図4】図4(A),(B)は本発明に使用した高周波
スパッタ装置の構成を示す説明図及びターゲット電位
と、プラズマ電位との波形図である。
スパッタ装置の構成を示す説明図及びターゲット電位
と、プラズマ電位との波形図である。
1 スパッタ室 2 スパッタガス入口 3 スパッタガス排気口 4 陽極 5 基板 6 シャッタ 7 ターゲット 8 絶縁体 9,10 接地板 11 マッチング箱 12 マッチング回路 13 RF(高周波)電源 14 シールド C1 コンデンサ C2 可変コンデンサ L インダクタンス
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI H01F 7/02 H01F 7/02 E 41/18 41/18 (56)参考文献 特開 平3−179709(JP,A) 特開 昭57−178305(JP,A) 特開 昭63−272007(JP,A) 特開 昭58−130253(JP,A) 特開 平4−219912(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01F 10/00 - 10/32 C22C 5/04,38/00 C22F 1/14
Claims (4)
- 【請求項1】 主成分としてPtを35〜60原子%含
有し、残部がFe及び不可避の不純物からなる合金の薄
膜を300〜800℃に加熱した基板上に窒素ガス及
び、窒素ガスとAr,Xe,Krのうち少くとも一種の
不活性ガスとの混合ガス雰囲気中でスパッタリングによ
り形成することを特徴とする薄膜永久磁石の製造方法。 - 【請求項2】 主成分としてPtを40〜55原子%含
有し、残部がFe及び不可避の不純物からなる合金に副
成分としてTi,Nb,V,Ta,Mo,Pd,Auの
うち一種または二種以上の元素を0.1〜10原子%を
含有する合金の薄膜を300〜800℃に加熱した基板
上に窒素ガス及び、窒素ガスとAr,Xe,Krのうち
少くとも一種の不活性ガスとの混合ガス雰囲気中でスパ
ッタリングにより形成することを特徴とする薄膜永久磁
石の製造方法。 - 【請求項3】 主成分としてPtを48〜60原子%含
有し、残部がFe及び不可避の不純物からなる合金の薄
膜を300〜800℃に加熱した基板上に形成すること
を特徴とする薄膜永久磁石の製造方法。 - 【請求項4】 主成分としてPtを48〜55原子%含
有し、残部がFe及び不可避の不純物からなる合金に副
成分としてTi,Nb,V,Ta,Mo,Pd,Auの
うち一種または二種以上の元素を0.1〜10原子%を
含有する合金の薄膜を300〜800℃に加熱した基板
上に形成することを特徴とする薄膜永久磁石の製造方
法。
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---|---|---|---|
JP01181793A JP3305790B2 (ja) | 1993-01-27 | 1993-01-27 | 薄膜永久磁石の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP01181793A JP3305790B2 (ja) | 1993-01-27 | 1993-01-27 | 薄膜永久磁石の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH06224038A JPH06224038A (ja) | 1994-08-12 |
JP3305790B2 true JP3305790B2 (ja) | 2002-07-24 |
Family
ID=11788351
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP01181793A Expired - Fee Related JP3305790B2 (ja) | 1993-01-27 | 1993-01-27 | 薄膜永久磁石の製造方法 |
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Country | Link |
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JP (1) | JP3305790B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US8158276B2 (en) | 2006-08-31 | 2012-04-17 | Ishifuku Metal Industry Co., Ltd. | FePtP-alloy magnetic thin film |
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JP3981732B2 (ja) * | 2003-03-27 | 2007-09-26 | 独立行政法人物質・材料研究機構 | 垂直磁気異方性を有するFePt磁性薄膜とその製造方法 |
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JP4766188B2 (ja) * | 2005-07-15 | 2011-09-07 | 三菱電機株式会社 | 膜磁石の製造方法 |
-
1993
- 1993-01-27 JP JP01181793A patent/JP3305790B2/ja not_active Expired - Fee Related
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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