JP3305509B2 - 半導体発光素子およびその作製方法 - Google Patents

半導体発光素子およびその作製方法

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JP3305509B2 JP20321994A JP20321994A JP3305509B2 JP 3305509 B2 JP3305509 B2 JP 3305509B2 JP 20321994 A JP20321994 A JP 20321994A JP 20321994 A JP20321994 A JP 20321994A JP 3305509 B2 JP3305509 B2 JP 3305509B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は画像や文字の表示、光通
信等に用いられる半導体発光素子に関する。
【0002】
【従来の技術】半導体発光素子は、電力を光に変換する
効率が高く、消費電力が少なく、また入力信号に対する
応答性が高い等の多くの利点を持つているため、画像や
文字の表示、光通信等に幅広く利用されている。可視光
を出力する半導体発光素子は、パイロットランプ用の豆
電球と置き換わるばかりでなく、電光表示板や車の補助
ストップランプ等にも用いられている。AlGaAsを利
用した赤色発光素子、GaPを利用した緑黄色発光素子
は古くから実用化されている。また、近年になってGa
Nを利用した青色発光素子も良品質のものが報告されて
いる(S.Nakamura:Conference digest of 7th I
nternational Conference on Metalorganic Vapor
Phase Epitaxy,Yokohama 1994,A9-1)。こ
の青色発光素子の実用化により、光の3原色すべてを半
導体発光素子により作り出すことができ、半導体発光素
子を用いた表示の多色化が原理的には可能となった。赤
・緑・青の3原色から白色光を初めとするさまざまな色
を作るためには、近接した位置でそれぞれの原色を発光
させなくてはならない。従来技術で実用化されている発
光素子を用いて白色光を得るためには、素子のサイズの
制約から一つの画素が大きくなり、小型の表示画面を作
製することが難しい。現在の半導体成長技術では、青色
発光素子に用いられている窒化物系の半導体は、結晶成
長温度が1000℃程度と極めて高い。そのため、他の
色の発光素子構造と一緒に作製しようとすると、上記の
温度では他の色の発光素子構造は破壊されてしまうとい
う問題があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上述したごとく従来技
術においては、赤・緑・青の3原色から白色光を初めと
するさまざまな色を作るためには、近接した位置でそれ
ぞれの原色を発光させるようにしなくてはならないの
で、素子のサイズの制約から一つの画素が大きくなり、
小型の表示画面を作製することは困難であるという問題
があった。
【0004】本発明の目的は、上記従来技術における問
題点を解消し、同一の基板上に複数の色を発光し得る素
子構造を作製することができ、発光素子のサイズの制約
をなくし、単一の素子構造で多色化が可能な半導体発光
素子およびその製造方法を提供することにある。具体的
には、緑・青で発光する窒化物半導体よりなる構造を、
ヒ素あるいはリンを含む素子構造の上に直接成長するこ
とが可能な半導体発光素子構造を提案する。また、本発
明の半導体発光素子の作製方法は、ヒ素またはリンを含
む半導体からなる発光する素子構造を破壊することな
く、窒化物による緑色・青色発光する素子構造を成長さ
せ、多色で発光する半導体発光素子を作製する方法を提
供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者は、複数の色を
近接して発光させるために、同一基板上に異なる発光波
長をもつ素子構造を作製することを知見した。すなわ
ち、窒化物からなる緑色・青色で発光する半導体の結晶
成長温度を、ヒ素またはリンを含む半導体からなる素子
構造を破壊しない温度にまで下げる手法を見出し、青色
で発光する素子構造と他の色で発光する素子構造とを同
一基板上に作製して多色で発光する半導体発光素子構造
とするものである。本発明の目的を達成するために、本
発明は特許請求の範囲に記載されているような構成とす
るものである。すなわち、請求項1に記載のように、赤
色および青色の発光を独立に制御して発光することがで
きる半導体発光素子において、GaAs基板上にAlG
aAs層およびGaAs層で構成される赤色発光素子の
最上層となるn−GaAs保護層の上に、n−GaNバ
ッファ層を最下層とするGaN層およびAlGaN層で
構成される青色発光素子が直接結晶成長させて積み重な
った構造を有する半導体発光素子とするものである。ま
た、請求項2に記載のように、黄色または緑色もしくは
青色の発光を独立に制御して発光することができる半導
体発光素子において、GaP基板上にGaAsP層およ
びGaP層で構成される黄色または緑色の発光素子の最
上層となるn−GaP保護層の上に、n−GaNバッフ
ァ層を最下層とするGaN層およびAlGaN層で構成
される青色発光素子が直接結晶成長させて積み重なった
構造を有する半導体発光素子とするものである。また、
請求項3に記載のように、赤色および緑色の発光を独立
に制御して発光することができる半導体発光素子におい
て、GaAs基板上にAlGaAs層およびGaAs層
で構成される赤色発光素子の最上層となるn−GaAs
保護層の上に、n−GaNバッファ層を最下層とするI
nGaN層およびGaN層で構成される緑色発光素子が
直接結晶成長させて積み重なった構造を有する半導体発
光素子とするものである。また、請求項4に記載のよう
に、赤色、青色、および緑色の発光を独立に制御して発
光することができる半導体発光素子において、GaAs
基板上にAlGaAs層およびGaAs層で構成される
赤色発光素子の最上層となるn−GaAs保護層の上
、n−GaNバッファ層を最下層とするGaN層およ
びAlGaN層で構成される青色発光素子、およびn−
GaNバッファ層を最下層とするInGaN層およびG
aN層で構成される緑色発光素子の各々が直接結晶成長
させて積み重なった構造を有する半導体発光素子とする
ものである。また、請求項5に記載のように、請求項1
ないし請求項4のいずれか1項に記載の半導体発光素子
の作製方法であって、有機金属気相成長法により、Ga
AsもしくはGaP基板上に窒素を含む半導体からなる
発光素子を形成する方法において、窒素もしくはアンモ
ニアを原料として高周波プラズマにより活性窒素を発生
させる工程と、上記GaAsもしくはGaP基板の温度
を500℃〜700℃に調整し、有機金属ガスと上記活
性窒素とを反応させて、上記GaAsもしくはGaP基
板上に窒素を含む半導体からなる積層構造を作製する工
程とを、含む半導体発光素子の作製方法とするものであ
る。
【0006】
【作用】半導体発光素子の発光する素子構造は、基板上
に薄膜結晶を成長することにより作製されている。緑色
・青色で発光するバンドギャップの大きな半導体を赤色
で発光する素子構造の上に作製した場合、バンドギャッ
プの大きな半導体は波長の長い赤色光を吸収しないた
め、赤色光は減衰することなく表面から取り出すことが
できる。しかし従来の結晶成長技術において、青色で発
光する窒化物系の半導体は結晶成長温度が1000℃程
度と極めて高い。この温度では、赤色で発光するAlGa
As/GaAs系半導体は表面からヒ素が蒸発したり、素
子構造の界面やドーピングした不純物の分布が熱拡散に
よって変化したりする等のダメージが顕著になり、発光
素子構造は破壊されてしまう。緑色発光素子の材料であ
るGaP系半導体や、赤外で発光し光通信素子に用いら
れているInGaAsP/InP系の半導体も同様に高温に
は耐えられないという欠点がある。窒化物半導体の成長
に高い温度を必要とする理由には、窒素原料の分解温度
が高いこと、III族元素と窒素原子の結合力が強いため
低温では表面での原子の移動距離が短いこと、等が挙げ
られる。本発明の半導体発光素子は、請求項1、請求項
2、請求項3または請求項4に記載のように、V族元素
としてヒ素とリンを単独もしくは同時に含むIII-V族化
合物半導体からなる素子構造の上に、V族元素として窒
素を含む半導体からなる素子構造を直接成長した構造の
半導体発光素子とするものであり、このような発光素子
構造とすることにより、青・緑を含む複数の色で発光す
る素子構造を同一基板上に作製することができ、多色で
発光する小型の表示画面等を実現することが可能とな
る。また、請求項に記載のように、V族元素としてヒ
素とリンを単独もしくは同時に含むIII-V族化合物半導
体からなる素子構造の上に、V族元素として窒素を含む
半導体からなる素子構造を直接成長させて半導体発光素
子を作製する方法において、上記窒素を含む半導体から
なる素子構造を作製する過程で、プラズマにより生成し
た活性窒素原子を窒素原料として用いるものである。こ
のように、窒化物の原料としてプラズマ分解により生成
した活性窒素原子を用いると、活性窒素原子は、反応性
が高いため低温でも結晶成長が可能となり、また活性原
子は大きな運動エネルギーを持っているため、結晶成長
の表面での原子の移動を促進し、結晶成長中の表面を平
坦にすると共に、結晶中の欠陥も低減する。活性原子の
使用により、窒化物系の半導体の成長温度を500〜7
00℃程度にまで低くすることができる。この温度は、
AlGaAs系の半導体の結晶成長温度と同程度であり、
本発明の半導体発光素子構造であるAlGaAs系半導体
の赤色発光構造を破壊することなく、その上に窒化物半
導体の青色発光構造を直接成長することが可能となり、
青・緑を含む複数の色で発光する素子構造を同一基板上
に作製することができる。
【0007】
【実施例】以下に本発明の実施例を挙げ、図面を用いて
さらに詳細に説明する。 〈実施例1〉図4は、本発明の半導体発光素子構造を作
製する結晶成長装置の構成の一例を示す模式図である。
結晶成長装置は、ガス混合・供給部38、活性原子供給
部41、結晶成長部45、真空排気部49、排ガス処理
部50よりなる。ガス混合・供給部38では、原料ガス
流量調整器等集合ボックス39により、各種の原料ガス
の流量の制御を行い、所定量の原料ガスを活性原子供給
部41および反応容器46へと供給する。活性原子供給
部41では、石英管44中にプラズマを閉じ込め、プラ
ズマ領域で生成する活性原子は、ガス流により同伴され
て反応容器46へ供給される。高周波発振器42から供
給される高周波は導波路43を通り、電磁場調整器によ
り、プラズマ領域における高周波の吸収が最大となるよ
う調整される。結晶成長部45では、反応容器46内で
半導体基板47を所定温度に保ち、供給される原料ガス
および活性原子から基板上に半導体結晶薄膜が成長す
る。真空排気部49は、真空ポンプと遮断バルブからな
り、反応容器46内の圧力を一定に保つ。排ガス処理部
50では、反応容器46およびガス混合・供給部38よ
り発生する有毒なガスを無毒化した後に放出する。上記
の結晶成長装置を用いて、III族金属を含む有機金属ガ
ス、アルシン等のV族水素化物、ドーピングガスを使用
してAlGaAs系の半導体を成長させ、その上に直接、
窒化物系の半導体を成長させた。そして、活性窒素原子
を窒化物半導体の結晶成長に用いることに本発明の特徴
がある。以下に示す実施例では、窒素ガスまたはアンモ
ニアガスを窒素原料ガスとして用い、活性原子供給装部
41へ導入することにより活性窒素原子を生成させた。
活性窒素原子の供給開始前に、不活性ガス(アルゴン)
のプラズマを点火しておき、そのプラズマ領域に窒素原
料を供給することにより、活性窒素原子の供給を開始し
た。この活性原子の供給方法による活性窒素原子の供給
の開始・停止の精度は、秒単位以上にまで向上されてい
る〔M.Sato:1994 International Conference
on Solid State Devices and Materials,Yokoha
ma,1994 S-I-1-(3)〕。この活性窒素原子供
給法により、AlGaAs系半導体の成長後に窒化物半導
体の成長を開始する際の、活性窒素原子の供給開始操作
に伴う成長の中断を最小限にとどめることができ、界面
への不純物の蓄積を抑制することができる。反応容器4
6内の圧力などの条件を変化させずに、活性窒素原子の
供給を開始できるため、反応容器46内のガスの置換お
よび半導体表面の状態等、結晶成長の初期条件を、再現
性よく制御することができる構造になっている。
【0008】〈実施例2〉図4に示す結晶成長装置を用
い、AlGaAs系赤色発光構造の上に、GaN系青色発光
構造を作製した。III族原料としてトリエチルアルミニ
ウムおよびトリエチルガリウム、V族原料としてアルシ
ンおよび窒素ガス、キャリアガスとして水素ガスを用い
た。基板としてp型GaAs基板を用い、基板の温度は5
00℃から700℃、反応容器46内の圧力は50Pa
(1Paは約1/100000気圧)で結晶の成長を行
った。作製した素子構造を、図2に示す。図2におい
て、p−GaAs半導体基板26、p−AlGaAs閉
じ込め層(Al=0.5)27、p−AlGaAs活性
層(Al=0.3)28、n−AlGaAs閉じ込め層
(Al=0.5)29、n−GaAs保護層30は、代
表的なAlGaAs系の赤色発光素子構造であり、n−G
aNバッファ層31、n−AlGaN閉じ込め層(Al
=0.2)32、p−GaN活性層33、p−AlGa
N閉じ込め層(Al=0.2)34は、代表的なGaN
系の青色発光素子構造である。従来の赤色発光素子にお
いて、n−GaAs保護層30は、酸化され易いAlGa
Asを保護するために成長させるが、本発明の発光素子
構造においては、酸化に対する保護の他に、GaN系半
導体成長プロセスの間に、p−AlGaAs閉じ込め層
(Al=0.5)27、p− AlGaAs活性層(A
l=0.3)28、n−AlGaAs閉じ込め層(Al
=0.5)29の赤色発光に直接関与する層からヒ素が
抜けていくのを防ぐ役割も合わせ持っている。n−Ga
As保護層30の層を成長した後に、III族原料および
V族原料(アルシン)の供給を停止し、反応容器46内
を置換した後に、まず活性窒素原子の供給を開始して、
n−GaAs層30の最表面を窒化し、初期条件を整え
る。その後に、III族原料の供給を開始して、n−Ga
Nバッファ層31を成長する。結晶成長終了後、基板表
面にレジストを塗布し、リソグラフィにより所定の領域
のみレジストを残したパターンを形成する。これをドラ
イエッチングし、部分的にn−GaAs保護層30を露出
させた後に、電極36を形成する。レジストを塗布する
前の図2に示す26から34までの半導体層からなる構
造のフォトルミネッセンススペクトルを図3に示す。フ
ォトルミネッセンスとはバンドギャップよりも高いエネ
ルギーをもつ光を半導体に照射し、光のエネルギーによ
り生成する電子と正孔が再結合する際に出す光のスペク
トルである。測定は室温で行い、励起光として波長32
5nmのHe−Cdレーザを用いた。
【0009】図3から明らかなように、図2に示す構造
の発光素子は、690nm付近の赤色と470nm付近の
青色の二つの発光ピークを持っている。690nmの発
光はp−AlGaAs活性層(Al=0.3)28から
のもので、470nmの発光はp−GaN活性層33か
らのものである。n−GaNバッファ層31、 n−A
lGaN閉じ込め層(Al=0.2)32、p−GaN
活性層33、p−AlGaN閉じ込め層(Al=0.
2)34に示される窒化物の層は、690nmの赤色光
に対しては透明であるため、p−AlGaAs活性層(A
l=0.3)28からの発光は、上記31から34に示
される窒化物の層を通過しても減衰しない。次に、電極
35、36、37を取り付け、電極間に電圧を加えるこ
とにより本素子構造は発光する。p−AlGaAs活性
層(Al=0.3)28およびp−GaN活性層33の
活性層は、これらの層よりもバンドギャップが広い閉じ
込め層に挾まれている。そのため、電子と正孔のペアは
活性層に閉じ込められるため高い発光効率が得られる。
電極36を共通のマイナス極とし、電極35および37
にプラスの電圧を加える。電極35に電圧を加えた時に
は690nmの赤色発光が、電極37に電圧を加えた時
には470nmの青色発光が得られた。図2に示したよ
うなAlGaAs系の発光素子構造の上に、窒化物半導体
の素子構造を作製することにより、赤・青の2色で発光
する素子構造を実現することができた。
【0010】〈実施例3〉図2と同様な素子構造を、G
aP系半導体構造と窒化物半導体構造とで作製した。本
実施例では、図2に示されるp−GaAs半導体基板2
6の代わりに、GaP基板を、p−AlGaAs閉じ込
め層(Al=0.5)27の代わりに、p-GaPを、p
−AlGaAs活性層(Al=0.3)28の代わり
に、p-GaAsP(As=0.1)活性層を、n−AlG
aAs閉じ込め層(Al=0.5)29およびn−Ga
As保護層30の代わりに、n-GaP層を用いた。そし
て、n-GaP上に成長するn−GaNバッファ層31か
らp−AlGaN閉じ込め層(Al=0.2)34まで
の層は、図2と全く同様の半導体層とし、リンの原料と
してはフォスフィンを用いた。GaAsPはGaPよりバ
ンドギャップが狭いため、電子と正孔が閉じ込められて
発光する。電極35と電極36の間に電圧をかけると、
580nmを中心とするわずかに緑を帯びた黄色で発光
した。電極36と電極37との間に電圧をかけた場合に
は、実施例2と同様に470nmの青色発光が得られ
た。As量の少ないGaAsPは、間接遷移型半導体であ
るため580nmの発光強度は実施例2より落ちる結果
となった。また、p−AlGaAs活性層(Al=0.
3)28を、窒素ドープのGaP層とすることにより、
565nmを中心とする緑色の発光が得られた。わずか
に添加された窒素は、GaP層中でアイソエレクトロニ
ックトラップとして働き、電子を引き付けるために、間
接遷移型の半導体からの発光効率を向上させる効果を持
つ。しかし、GaAsPを活性層として用いた場合と比較
すると、バンドギャップの差による電子と正孔の閉じ込
めがないため発光素子構造全体としての発光効率は低
い。このように、GaP系の素子構造の上に、窒化物半
導体の素子構造を作製することにより、黄色あるいは緑
色と青色の2色で発光する素子を実現することができ
た。
【0011】〈実施例4〉実施例3で緑色発光のために
用いたGaP系の半導体は間接遷移型であり、発光効率
が低い。また、発光波長は565nmとわずかに黄色み
を帯びた緑色である。光の3原色を実現するために、活
性層にInGaNを用いて純緑色を実現した。作製した発
光素子構造は、図2において、p−GaN活性層33
を、p-InGaN(In=0.25)活性層とし、p−Al
GaN閉じ込め層(Al=0.2)34を、p-GaN閉
じ込め層とした。InGaNは、GaNよりバンドギャッ
プが狭い直接遷移型の半導体であり、発光効率はGaP
を用いたものより高くなる。
【0012】電極35と電極36との間に電圧をかける
と、実施例2と同様、690nmの赤色発光が得られ
た。電極36と電極37との間に電圧をかけると540
nmの純粋な緑色の発光が得られた。図2の発光素子構
造において、窒化物半導体構造の活性層に、InGaNを
用いることにより、純粋な緑色と赤色で発光する素子が
実現することができた。
【0013】〈実施例5〉実施例2および実施例4で示
したように、窒化物系半導体構造を用いることにより、
光の3原色で発光する素子構造を同一基板上に作製する
ことができた。これらの素子構造を集積することによ
り、一つの素子構造で総ての色を発色することができる
半導体発光素子を作製した。従来の半導体発光素子を用
いて、光3原色を同時に発光することができる構造を図
5に示す。この構造は、従来技術で作製できる赤・緑・
青の半導体発光素子を、同一のパッケージに収納したも
のである。接地用リード8を共通のマイナス極とし、赤
色発光用リード5、緑色発光用リード6、青色発光用リ
ード7のリード線にプラスの電圧をかけることにより、
赤色発光素子2、緑色発光素子3、青色発光素子4の発
光素子が、それぞれ赤・緑・青に発光する。リード線に
かける電圧を変化させて発光強度を変化させるか、ま
た、パルス状に電圧をかけて素子の点滅間隔を変化させ
ることにより、各色の強度比を変化させ、色を変えるこ
とができる。各色の発光素子は、上面から見ておおむね
0.3mm角程度の大きさを持つため、近い距離から見
た場合には、それぞれの色が分離して見える。また多数
の発光素子を同一パッケージに収納するのは困難であ
る。本発明の半導体発光素子構造においては、図5に示
した従来の発光素子の集合体と同じ機能をもつ発光素子
を単一の基板上に作製することができ、その素子構造を
図1に示す。その作製方法を以下に示す。半絶縁性Ga
As半導体基板9上に、p−GaAsバッファ層10、
p−AlGaAs閉じ込め層(Al=0.5)11、p
−AlGaAs活性層(Al=0.3)12、n−Al
GaAs閉じ込め層(Al=0.5)13、n−GaA
s保護層14を有するAlGaAs系半導体構造を作製す
る。n−GaAs保護層14の最表面を、活性窒素原子
により窒化した後に、Ga原料と活性窒素原子を同時に
供給して、n−GaNバッファ層15、n−AlGaN
閉じ込め層(Al=0.2)16、p−GaN活性層1
7、p−AlGaN閉じ込め層(Al=0.2)18か
らなる窒化物半導体構造を作製する。次に、反応容器か
らいったん取り出して、レジスト塗布、パターン形成、
エッチングの行程により、部分的にn-GaAs保護層1
4を露出させる。そして、n−GaNバッファ・閉じ込
め層19、p−InGaN活性層(In=0.25)2
0、p−GaN閉じ込め層21の層を成長させる部分以
外に、窒化物の成長を妨げるマスクを設ける。このマス
ク付けが終了した構造を、再び反応容器に入れ、 n-
GaAs保護層14のマスクから露出している部分を活性
窒素原子で窒化した後に、上記の19、20、21の層
を成長させ素子構造を作製する。この二度目の成長が終
了したものを反応容器から取り出し、マスクを除去す
る。電極23を付けるために、部分的にp−AlGaA
s閉じ込め層(Al=0.5)11ないしn−GaAs
保護層14の層をエッチングし、また、素子間を分離す
るために電極 23のスペースを残して、p−GaAs
バッファ層10の層もエッチングする。次に、接地電極
22、赤色発光用電極23、緑色発光用電極24および
青色発光用電極25を作製する。以上の行程により、図
1に示す構造の半導体発光素子を作製することができ
る。接地電極22をマイナス側の接地極とし、赤色発光
用電極23、緑色発光用電極24、青色発光用電極25
に電圧をかけると、p−AlGaAs活性層(Al=
0.3)12、p−InGaN活性層(In=0.2
5)20、p−GaN活性層17が、それぞれ赤・緑・
青に発光する。本発明の半導体発光素子構造を作製する
に当り、パターンの形成・エッチング・マスク付け・電
極の形成に、LSI等の製造に用いられている微細構造
の加工技術を用いることにより、30ミクロン(0.0
3mm)角程度の小さな領域に、図1に示す構造すべて
を作製することが可能である。発光する領域間の距離
は、人間の目の分解能力よりも十分に小さいために、発
光領域の色が分離して見えることは避けられる。また、
図1に示す構造は、同一の半導体基板上に、同時に数多
くの素子構造を作製することができるため、多数の発光
素子構造を同一のパッケージに収納することが容易とな
る。この場合には、色を変化させる手法として、各原色
の発光点滅間隔の制御だけではなく、発光している素子
構造の数を変化させることも有効である。これにより、
きめ細かい色の制御が可能となる。AlGaAs系半導体
構造の上に、窒化物系半導体構造を作製する技術とあわ
せて、微細加工技術を用いることにより、光の3原色す
べてで発光する素子構造を作製することができ、単一の
半導体発光素子で、すべての色を作ることを実現した。
【0014】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明の半
導体発光素子は、プラズマにより生成した活性窒素原子
を用いることにより、窒化物半導体の結晶成長温度を著
しく低くすることができるので、これによりヒ素もしく
はリンを含む他の半導体の素子構造を破壊することな
く、その上に窒化物半導体を成長させることができ、青
・緑を含む複数の色で発光する素子構造を同一基板上に
形成でき、小型で高機能の多色で発光する半導体発光素
子を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例5で例示した同一半導体基板上
から光3原色を発することのできる半導体発光素子の断
面構造の一例を示す模式図。
【図2】本発明の実施例2で例示した赤色および青色で
発光する半導体発光素子の断面構造の一例を示す模式
図。
【図3】図2で示した構造の半導体発光素子のフォトル
ミネッセンススペクトルを示す図。
【図4】本発明の実施例において用いた半導体発光素子
を作製する結晶成長装置の構成を示す模式図。
【図5】従来の同一パッケージから光3原色を発するこ
とのできる素子集合体の構成を示す模式図。
【符号の説明】
1…樹脂レンズ 2…赤色発光素子 3…緑色発光素子 4…青色発光素子 5…赤色発光用リード 6…緑色発光用リード 7…青色発光用リード 8…接地用リード 9…半絶縁性GaAs半導体基板 10…p−GaAsバッファ層 11…p−AlGaAs閉じ込め層(Al=0.5) 12…p−AlGaAs活性層(Al=0.3) 13…n−AlGaAs閉じ込め層(Al=0.5) 14…n−GaAs保護層 15…n−GaNバッファ層 16…n−AlGaN閉じ込め層(Al=0.2) 17…p−GaN活性層 18…p−AlGaN閉じ込め層(Al=0.2) 19…n−GaNバッファ・閉じ込め層 20…p−InGaN活性層(In=0.25) 21…p−GaN閉じ込め層 22…接地電極 23…赤色発光用電極 24…緑色発光用電極 25…青色発光用電極 26…p−GaAs半導体基板 27…p−AlGaAs閉じ込め層(Al=0.5) 28…p−AlGaAs活性層(Al=0.3) 29…n−AlGaAs閉じ込め層(Al=0.5) 30…n−GaAs保護層 31…n−GaNバッファ層 32…n−AlGaN閉じ込め層(Al=0.2) 33…p−GaN活性層 34…p−AlGaN閉じ込め層(Al=0.2) 35、36、37…電極 38…ガス混合・供給部 39…原料ガス流量調整器等集合ボックス 40…ガス配管 41…活性原子供給部 42…高周波発振器 43…導波路 44…石英管 45…結晶成長部 46…反応容器 47…半導体基板 48…ヒータ 49…真空排気部 50…排ガス処理部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01L 33/00 H01S 5/50 H01L 21/205 JICSTファイル(JOIS)

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】赤色および青色の発光を独立に制御して発
    光することができる半導体発光素子において、GaAs
    基板上にAlGaAs層およびGaAs層で構成される
    赤色発光素子の最上層となるn−GaAs保護層の上
    に、n−GaNバッファ層を最下層とするGaN層およ
    びAlGaN層で構成される青色発光素子が直接結晶成
    長させて積み重なった構造を有することを特徴とする半
    導体発光素子。
  2. 【請求項2】黄色または緑色もしくは青色の発光を独立
    に制御して発光することができる半導体発光素子におい
    て、GaP基板上にGaAsP層およびGaP層で構成
    される黄色または緑色の発光素子の最上層となるn−G
    aP保護層の上に、n−GaNバッファ層を最下層とす
    るGaN層およびAlGaN層で構成される青色発光素
    子が直接結晶成長させて積み重なった構造を有すること
    を特徴とする半導体発光素子。
  3. 【請求項3】赤色および緑色の発光を独立に制御して発
    光することができる半導体発光素子において、GaAs
    基板上にAlGaAs層およびGaAs層で構成される
    赤色発光素子の最上層となるn−GaAs保護層の上
    に、n−GaNバッファ層を最下層とするInGaN層
    およびGaN層で構成される緑色発光素子が直接結晶成
    長させて積み重なった構造を有することを特徴とする半
    導体発光素子。
  4. 【請求項4】赤色、青色、および緑色の発光を独立に制
    御して発光することができる半導体発光素子において、
    GaAs基板上にAlGaAs層およびGaAs層で構
    成される赤色発光素子の最上層となるn−GaAs保護
    層の上に、n−GaNバッファ層を最下層とするGaN
    層およびAlGaN層で構成される青色発光素子、およ
    びn−GaNバッファ層を最下層とするInGaN層お
    よびGaN層で構成される緑色発光素子の各々が直接
    晶成長させて積み重なった構造を有することを特徴とす
    る半導体発光素子。
  5. 【請求項5】請求項1ないし請求項4のいずれか1項に
    記載の半導体発光素子の作製方法であって、有機金属気
    相成長法により、GaAsもしくはGaP基板上に窒素
    を含む半導体からなる発光素子を形成する方法におい
    て、 窒素もしくはアンモニアを原料として高周波プラズマに
    より活性窒素を発生させる工程と、 上記GaAsもしくはGaP基板の温度を500℃〜7
    00℃に調整し、有機金属ガスと上記活性窒素とを反応
    させて、上記GaAsもしくはGaP基板上に窒素を含
    む半導体からなる積層構造を作製する工程とを、含むこ
    とを特徴とする半導体発光素子の作製方法。
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