JP3299319B2 - 自動車用ドア及び自動車用ドアの製造方法 - Google Patents

自動車用ドア及び自動車用ドアの製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は,ウインドガラス用のサ
ッシュを持たないサッシュレス構造の自動車用ドアと,
その製造方法とに関する。
【0002】
【従来の技術】従来,モジュール生産に対応できる自動
車用ドアとして,特開平1−278837号公報に記載
されたものが知られている。
【0003】上記自動車用ドアは,アウタパネル及びイ
ンナパネルよりなるドアパネルサブアッシィに,ウイン
ドガラスを含むガラス昇降機能部品を組み付けたトリム
ボード装着する際に,トリムボード側に設けたウインド
ガラスをインナパネルの部品組み付け用の開口部から挿
入してトリムボードをドアパネルサブアッシィに結合す
るようになっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら,上記従
来の自動車用ドアは,ドアパネルサブアッシィにトリム
ボードを組み付ける際に,ウインドガラスをインナパネ
ルの開口部に挿入する必要があるために作業性が悪いだ
けでなく,インナパネルの開口部との干渉を避けるため
にウインドガラスの寸法が制限される問題があった。
【0005】本発明は前述の事情に鑑みてなされたもの
で,モジュール生産に対応可能であって,且つ組付作業
性に優れるとともにウインドガラスの寸法を大きくとる
ことが可能な自動車用ドア及びその製造方法を提供する
ことを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に,本発明の第1の特徴によれば,中央に開口部を有す
るインナパネルと,このインナパネルに結合されたアウ
タパネルとを有するサッシュレス構造のドア本体と;下
端に被結合部材を有して前記ドア本体の上縁に形成され
たスリットに挿入可能なウインドガラスと;前記ドア本
体のインナパネルに装着可能なトリムパネルと,このト
リムパネルに設けられたウインドガラス昇降用レギュレ
ータと,このウインドガラス昇降用レギュレータの昇降
部材に設けられて前記ウインドガラスの被結合部材との
圧接により該被結合部材に結合可能な結合部材とを有す
るトリムアセンブリと;を備え,前記トリムパネルは,
前記ウインドガラス昇降用レギュレータを支持する鋼板
製のトリムパネル本体と,このトリムパネル本体の車体
内側に装着される合成樹脂製のライニングとを備え,前
記トリムパネル本体はその側縁及び下縁において前記ド
ア本体のインナパネルに結合される
【0007】また本発明の第2の特徴によれば,前述の
第1の特徴に加えて,記トリムパネル本体から前記ラ
イニングが取り外し可能であ
【0008】また本発明の第3の特徴によれば,自動車
用ドアの製造方法は,中央に開口部を有するインナパネ
ルと,このインナパネルに結合されたアウタパネルとを
有するサッシュレス構造のドア本体を小組みする工程
と;前記ドア本体のインナパネルに装着可能なトリムパ
ネルと,このトリムパネルに設けられたウインドガラス
昇降用レギュレータと,このウインドガラス昇降用レギ
ュレータの昇降部材に設けられた結合部材とを有するト
リムアセンブリを小組みする工程と;前記ドア本体に前
記トリムアセンブリを組み付ける工程と;下端に前記ウ
インドガラス昇降用レギュレータの結合部材との圧接に
より該結合部材に結合可能な被結合部材を有するウイン
ドガラスを前記ドア本体の上縁に形成されたスリットに
挿入する工程と;前記ウインドガラスの被結合部材を前
記ウインドガラス昇降用レギュレータの結合部材に圧接
させて結合する工程と;を備え
【0009】
【実施例】以下,図面に基づいて本発明の一実施例を詳
述する。
【0010】図1及び図2は,モジュール化されたドア
本体Dと,モジュール化されたトリムアセンブリTと,
ウインドガラスGとから構成される自動車の後部右ドア
を示すもので,図1はドア本体D及びウインドガラスG
の分解斜視図,図2はトリムアセンブリTの分解斜視図
である。
【0011】図1に示すように,ドア本体Dはプレス成
形した鋼板よりなるアウタパネル1とインナパネル2と
を備え,両パネル1,2の上縁にウインドガラスGが挿
入可能なスリット3が形成される。ドア本体Dの外側面
にはアウタモール6及びアウタドアハンドル8が装着さ
れ,またインナパネル2の中央部に形成された開口部2
1 の内側には,ドアロックアセンブリ10及びドアチェ
ッカー11が装着される。更にドア本体Dの外周部に
は,車室内への水の浸入を阻止するゴム製のウエザース
トリップ15が装着される。
【0012】図2に示すように,トリムアセンブリTは
プレス成形した鋼板製のトリムパネル本体21と,この
トリムパネル本体21の車体内側に接合される合成樹脂
製のライニング22とよりなるトリムパネル23を備え
る。トリムパネル本体21には,ウインドガラスGを昇
降させるウインドガラス昇降用レギュレータ24,ドア
ロックアセンブリ26及びインナドアハンドル27が装
着され,またライニング22にはプルポケット28が装
着される。
【0013】図3〜図5を併せて参照すると明らかなよ
うに,トリムパネル23のトリムパネル本体21とライ
ニング22との結合は,トリムパネル本体21に形成し
た複数のクリップ孔211 …にライニング22の内面に
突設した支柱221 …の先端に設けたクリップ222
を嵌合させることにより行われる。前記クリップ222
…はクリップ孔211 …に対して着脱自在であり,ドア
本体DとトリムアセンブリTとを組み立てた状態でライ
ニング22だけを取り外すことができる。
【0014】トリムパネル23のトリムパネル本体21
の前後の側縁及び下縁には,ライニング22と干渉しな
い位置に複数のボルト挿通孔212 …が形成されてお
り,このボルト挿通孔212 …に挿通したボルト31…
をインナパネル2に溶着したナット32…に螺入するこ
とにより,ドア本体DとトリムアセンブリTとが一体に
結合される。
【0015】ウインドガラス昇降用レギュレータ24は
板状の昇降部材33を案内する2本のガイド部材34,
34を備えており,このガイド部材34,34はトリム
パネル本体21に溶着したナット35…に螺合するボル
ト36…によって固定される。前記昇降部材33はモー
タ37の駆動力によってガイド部材34,34に沿って
昇降駆動される。而して,ウインドガラスGは前記昇降
部材33に支持されて図3に実線で示す上昇位置と,そ
の下方に鎖線で示す下降位置との間を昇降可能である。
ウインドガラスGの下縁には3個の合成樹脂製の被結合
部材39…が接着により固定されるとともに,前記ウイ
ンドガラス昇降用レギュレータ24の昇降部材33に
は,前記被結合部材39…に結合可能な3個の合成樹脂
製の結合部材40…が設けられる。
【0016】図6に示すように,下側の2個の被結合部
材39,39は,取付溝391 を介してウインドガラス
Gの下縁に接着され,上側の1個の被結合部材39はそ
の側面においてウインドガラスGに接着される。各被結
合部材39…には,下向きに延びる矢尻状の一対の係止
突起392 ,392 が形成される。一方,各結合部材4
0は,その上縁に上向きに拡開するガイド溝401 と,
このガイド溝401 の下部に連設されて前記係止突起3
2 ,392 を受容する係止溝402 とを備える。被結
合部材39と結合部材40とが相互に接近すると,被結
合部材39の矢尻状の係止突起392 ,392 が結合部
材40のガイド溝401 を押し開きながら係止溝402
に係合し,この状態で係止突起392 の段部393 …が
係止溝402 の段部403 ,403 に係合することによ
り,被結合部材39と結合部材40との分離が規制され
る。
【0017】各結合部材40の一側面には,ボルト41
が螺入可能なネジ孔404 が形成される。そして,各結
合部材40に前記ボルト41を螺入するための3個のメ
ンテナンス用開口213 …及び2個のメンテナンス用開
口331 ,331 が,それぞれトリムパネル本体21及
び昇降部材33に形成される。
【0018】次に,前述の構成を備えた本発明の実施例
の作用について説明する。
【0019】先ず,図1に示すドア本体D及び図2に示
すトリムアセンブリTが,それぞれモジュールとして小
組みされる。このとき,後からウインドガラスGが装着
できるように,ドア本体Dのアウタモール6はウインド
ガラスGの装着後に取り付けられる。続いて,小組みさ
れたドア本体Dに小組みされたトリムアセンブリTが複
数本のボルト31…によって結合される。これにより,
トリムアセンブリTのトリムパネル23に設けたウイン
ドガラス昇降用レギュレータ24が,ドア本体Dのイン
ナパネル2に形成した開口部21 内に挿入される。
【0020】上述のようにしてドア本体Dにトリムアセ
ンブリTが組み付けられた後,予め被結合部材39…を
接着されたウインドガラスGがドア本体Dのスリット3
に上側から挿入される。ウインドガラスGをスリット3
内に押し下げると,ウインドガラスGの被結合部材39
…がウインドガラス昇降用レギュレータ34の結合部材
40…に上方から圧接する。その結果,図7に示すよう
に,各被結合部材39の係止突起392 ,392 が対応
する結合部材40のガイド溝401 を押し開いて係止溝
402 に係合し,被結合部材39の段部393 …が結合
部材40の段部403 ,403 に当接することにより,
被結合部材39と結合部材40とが一体に結合される。
而して,ウインドガラス昇降用レギュレータ24の昇降
部材33を作動させることにより,ウインドガラスGが
ドア本体Dから上方に突出する上昇位置とドア本体Dの
内部に収納される下降位置との間を昇降駆動される。
【0021】メンテナンスのためにドア本体Dからトリ
ムアセンブリTを分離するには,先ずクリップ222
をクリップ孔211 …から引き抜くことによりライニン
グ22をトリムパネル本体21から分離する。トリムパ
ネル本体21が露出すると,図8に示すように,トリム
パネル本体21の3個のメンテナンス用開口213 …と
昇降部材33の2個のメンテナンス用開口331 ,33
1 とを通してウインドガラス昇降用レギュレータ24の
結合部材40,40が目視可能となるため,各メンテナ
ンス用開口213 …;331 ,331 からボルト41を
結合部材40のネジ孔404 に螺入する。
【0022】前記ボルト41を更に螺入すると,結合部
材40のガイド溝401 が強制的に押し開かれるため,
この状態からウインドガラスGを固定してウインドガラ
ス昇降用レギュレータ24の昇降部材33を下降させる
か,或いはウインドガラスGを上方に引き上げることに
より,被結合部材39と結合部材40とが分離される。
上述のようにしてトリムアセンブリTとウインドガラス
Gとの結合が解除されると,ボルト31…を外すことに
より,トリムアセンブリTをドア本体Dから分離するこ
とができる。尚,被結合部材39と結合部材40とを分
離させるボルト41は,工場におけるドアの組立段階で
予め結合部材40に螺入しておくことも可能である。
【0023】而して,ドアの組立時にウインドガラスG
をインナパネル2の開口部21 を通過させる必要がない
ため,作業性が大幅に向上するだけでなく,前記開口部
1の大きさに制約を受けることなくウインドガラスG
を大型化することができる。しかも,ウインドガラスG
とウインドガラス昇降用レギュレータ34との結合にネ
ジ部材の締付作業を必要としないため,作業時間を短縮
することができる。
【0024】以上,本発明の実施例を詳述したが,本発
明は前記実施例に限定されるものでなく,種々の設計変
更を行うことが可能である。
【0025】例えば,実施例では被結合部材39と結合
部材40との分離をライニング22を取り外した状態で
行っているが,ライニング22にトリムパネル本体21
のメンテナンス用開口213 に対向する開口を形成して
カバーで蓋をしておき,必要時に前記カバーを外して被
結合部材39と結合部材40とを分離するようにしても
良い。
【0026】
【発明の効果】以上のように,本発明の第1又は第
特徴によれば,予めモジュール化されたドア本体及びト
リムアセンブリを一体に組み合わせた後,ドア本体のス
リットからウインドガラスを挿入して押し下げることに
より,そのウインドガラスの被結合部材とウインドガラ
ス昇降用レギュレータの結合部材とを圧接させて結合す
ることができる。これにより,自動車用ドアのモジュー
ル生産が可能になるだけでなく,組立時にウインドガラ
スをドア本体のインナパネルの形成した開口部に挿入す
る必要が無くなるため,作業性の向上とウインドガラス
の大型化とが同時に達成される。
【0027】また特に第1の特徴によれば,ウインドガ
ラス昇降用レギュレータを支持する鋼板製のトリムパネ
ル本体と,その内側に装着される合成樹脂製のライニン
グとからトリムパネルを構成し,前記トリムパネル本体
をその側縁及び下縁においてドア本体のインナパネルに
結合しているので,強度の大きいトリムパネル本体にウ
インドガラス昇降用レギュレータとライニングとを支持
した状態で一括してドア本体に取り付けることができ,
これによりドア本体に対するトリムパネルの取り付けを
容易且つ体裁良く行うことができる。
【0028】また特に第2の特徴によれば,トリムパネ
ル本体からライニングを取外して被結合部材,結合部材
及びウインドガラス昇降用レギュレータのメンテナンス
を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ドア本体の分解斜視図
【図2】トリムアセンブリの分解斜視図
【図3】組立完了したドアの一部破断内面図
【図4】図3の4−4線断面図
【図5】結合前のドア本体とトリムアセンブリとを示す
斜視図
【図6】ウインドガラスとレギュレータとの結合部の拡
大斜視図
【図7】作用の説明図
【図8】作用の説明図
【符号の説明】
1 アウタパネル 2 インナパネル 21 開口部 3 スリット 21 トリムパネル本体 22 ライニング 23 トリムパネル 24 ウインドガラス昇降用レギュレータ 33 昇降部材 39 被結合部材 40 結合部材 D ドア本体 G ウインドガラス T トリムアセンブリ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 町田 晃 埼玉県和光市中央1丁目4番1号 株式 会社本田技術研究所内 (72)発明者 山田 滋 埼玉県和光市中央1丁目4番1号 株式 会社本田技術研究所内 (56)参考文献 特開 平2−186089(JP,A) 実開 昭59−147873(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B60J 1/00 B60J 5/00 B60R 13/00 B62D 65/00

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 中央に開口部(21 )を有するインナパ
    ネル(2)と,このインナパネル(2)に結合されたア
    ウタパネル(1)とを有するサッシュレス構造のドア本
    体(D)と; 下端に被結合部材(39)を有して前記ドア本体(D)
    の上縁に形成されたスリット(3)に挿入可能なウイン
    ドガラス(G)と; 前記ドア本体(D)のインナパネル(2)に装着可能な
    トリムパネル(23)と,このトリムパネル(23)に
    設けられたウインドガラス昇降用レギュレータ(24)
    と,このウインドガラス昇降用レギュレータ(24)の
    昇降部材(33)に設けられて前記ウインドガラス
    (G)の被結合部材(39)との圧接により該被結合部
    材(39)に結合可能な結合部材(40)とを有するト
    リムアセンブリ(T)と;を備え 前記トリムパネル(23)は,前記ウインドガラス昇降
    用レギュレータ(24)を支持する鋼板製のトリムパネ
    ル本体(21)と,このトリムパネル本体(21)の車
    体内側に装着される合成樹脂製のライニング(22)と
    を備え, 前記トリムパネル本体(21)はその側縁及び下縁にお
    いて前記ドア本体(D)のインナパネル(2)に結合さ
    れる ことを特徴とする,自動車用ドア。
  2. 【請求項2】 記トリムパネル本体(21)から前記
    ライニング(22)が取り外し可能であることを特徴と
    する,請求項記載の自動車用ドア。
  3. 【請求項3】 中央に開口部(21 )を有するインナパ
    ネル(2)と,このインナパネル(2)に結合されたア
    ウタパネル(1)とを有するサッシュレス構造のドア本
    体(D)を小組みする工程と; 前記ドア本体(D)のインナパネル(2)に装着可能な
    トリムパネル(23)と,このトリムパネル(23)に
    設けられたウインドガラス昇降用レギュレータ(24)
    と,このウインドガラス昇降用レギュレータ(24)の
    昇降部材(33)に設けられた結合部材(40)とを有
    するトリムアセンブリ(T)を小組みする工程と; 前記ドア本体(D)に前記トリムアセンブリ(T)を組
    み付ける工程と; 下端に前記ウインドガラス昇降用レギュレータ(24)
    の結合部材(40)との圧接により該結合部材(40)
    に結合可能な被結合部材(39)を有するウインドガラ
    ス(G)を前記ドア本体(D)の上縁に形成されたスリ
    ット(3)に挿入する工程と; 前記ウインドガラス(G)の被結合部材(39)を前記
    ウインドガラス昇降用レギュレータ(24)の結合部材
    (40)に圧接させて結合する工程と; を備えたことを特徴とする,自動車用ドアの製造方法。
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