JP3299121B2 - 水性ビニル重合体分散液 - Google Patents

水性ビニル重合体分散液

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の分野】本発明はビニル重合体の水性分散液に関
する。更に詳しくは、本発明はハロゲン化ビニル、ビニ
ルエステル及びポリ(アルキレングリコール)をベース
とするマクロモノマー(macromonomer)の
共重合体の水性分散液、並びに該水性分散液を製造する
方法に関する。
【0002】
【発明の背景】揮発性有機化合物(VOC:Volat
ile Organic Compound)の使用に
係る環境問題は、種々の目的に対し、例えば金属製飲料
用コンテナー及び木製家具における保護用塗料として、
及び紙及び他の物質における印刷用インキとして基体に
塗料組成物を施す手段として水保持性(water−b
orne)重合体の使用における関心を促進した。水保
持性重合体は乳化重合により分散液の形態でしばしば製
造される。しかしながら、乳化重合技術は、得られる重
合体の性質例えばインヘレント粘度(固有粘度)を制御
するために添加剤例えば連鎖移動剤の使用がしばしば要
求される。これらの添加剤は制御が意図される重合体の
特定の性質を制御するのに代表的に効果的であるので、
そのような重合体を含有する水性分散液から得られる塗
料又は施されたフィルムに好ましくない作用例えば、で
こぼこ又はしみだらけの表面、貧弱な色彩又はいやなに
おいを与えることになる。もし例えば、連鎖移動剤のよ
うな添加剤を乳化重合に使用しない場合には、得られる
重合体は望ましくない特性例えば多くの塗料用途に所望
されるよりも高いインヘレント粘度を有することにな
る。
【0003】したがって、重合法において望ましくない
添加剤を使用する必要なしに、所望の特性例えば比較的
低いインヘレント粘度を有する、水性媒体から派生する
新規な重合体組成物が望まれるわけである。
【0004】発明の概要本発明により水性媒体から派生
することができ、かつ例えば所望の諸性質を有する塗料
を提供するのに充分低いインヘレント粘度のような望ま
しい特徴を有する重合体組成物を提供することが、今や
可能となった。本発明によれば、ハロゲン化ビニル、ビ
ニルエステル、並びにポリ(アルキレングリコール)と
カルボン酸又はその無水物例えばマレイン酸又はマレイ
ン酸無水物との反応生成物より成るマクロモノマーの共
重合体を含有する水性重合体分散液が提供される。
【0005】本発明はまた、該共重合体を溶媒中で溶液
重合に付し、その反応生成物混合物に水を加えて共重合
体の分散液を創成し、溶媒を除去して共重合体より成る
水性分散液を生成することより成る重合体分散液を製造
する方法を提供するにある。
【0006】発明の詳述 本発明により使用するのに好適なハロゲン化ビニル単量
体は、塩化ビニル、臭化ビニル及びフッ化ビニルを包含
するが、塩化ビニルが好ましい。このようなハロゲン化
ビニル単量体は市場で入手することができる。本発明の
共重合体において使用するハロゲン化ビニル単量体の量
は、共重合体中の単量体の全重量を基準にして代表的に
は約50〜90重量%、好ましくは約55〜80重量
%、そして一層好ましくは約60〜75重量%である。
本明細書で使用する「共重合体」なる字句は、2種又は
それ以上の単量体から製造した重合体を意味する。
【0007】本発明に従って使用するのに好適なビニル
エステル単量体は、エステル基中に2ないし約16個の
炭素原子を有するものを包含する。好適なビニルエステ
ル単量体は例えば、酢酸ビニル、ビニルプロピオネー
ト、ビニルブチレート、ビニルペンタノエート、ビニル
ネオペンタノエート、ビニルヘキサノエート、ビニルオ
クタノエート、ビニル2−ヘチルヘキサノエート、ビニ
ルノナノエート、ビニルデカノエート、ビニルネオアノ
エート、ビニルネオドデカノエートなど包含する。好ま
しいビニルエステルは酢酸ビニル及びビニルプロピネー
トであり、そして最も好ましいビニルエステルは酢酸ビ
ニルである。本発明に従って使用するのに好適なビニル
エステルは市場で入手可能である。本発明の共重合体に
おけるビニルエステル単量体の量は、共重合体における
単量体の全重量を基準にして代表的には約2〜25重量
%、好ましくは約3〜15重量%、そして一層好ましく
は約5〜12重量%である。
【0008】本発明に従って使用するのに好適なマクロ
モノマーは、ポリ(アルキレングリコール)と、不飽和
カルボン酸又はその無水物との反応生成物より成る。好
ましくは、該酸はマレイン酸、フマル酸、イタコン酸、
又はそれらの無水物又は半エステルより成る群から選択
する。
【0009】ポリ(アルキレングリコール)は、約60
モル%ないし100モル%のエチレンオキシド単位と、
1個又はそれ以上の水酸基とを有するものが好ましい。
残余の零(ゼロ)〜40モル重量%のアルキレンオキシ
ド単位は好ましくはプロピオンオキシド単位である。ポ
リ(アルキレングリコール)はエチレンオキシドのホモ
ポリマー、又はエチレンオキシドと他のアルキレンオキ
シド、好ましくはプロピレンオキシドとのランダム、ブ
ロック又は他の共重合体であり得る。代表的には、本発
明のマクロモノマーの製造に使用するのに好適なポリ
(アルキレングリコール)は、約2000〜30000
g/gモル、好ましくは約2000〜10000g/g
モル、そして一層好ましくは約3000〜8000g/
gモルの数平均分子量を有する。ポリ(アルキレングリ
コール)の数平均分子量を測定するための技術は、当業
者に公知である。そのような技術の一つは、水酸基を測
定することによって、例えば、Union Carbi
de Publication CARBOWAX(登
録商標)「ポリエチレングリコール」第42頁の「Te
st Methods for Specificat
ions」(1986)に記載されているように、該水
酸基から数平均分子量を計算することによって行う。こ
のような技術に関する更なる詳細は当業者に公知であ
る。
【0010】本発明に従って使用するのに好適なポリ
(アルキレングリコール)は市場で入手可能である。こ
のようなポリ(アルキレングリコール)を例示すると、
アメリカ合衆国、コネチカット州、ダンバリーのユニオ
ン、カーバイド社(UnionCarbide Cor
poration)から入手し得るCARBOWAX
(登録商標)ポリ(エチレングリコール)及びメトキシ
ポリ(エチレングリコール)、ペンダント(ぶら下が
り:pendant)水酸基と末端水酸基との双方を有
するポリ(エチレングリコール)、アメリカ合衆国、ニ
ュー・ジャージー州、パーシパニーのBASF Cor
porationから入手し得るPLURONIC(登
録商標)エチレンオキシド/プロピレンオキシド/エチ
レンオキシドABAブロック共重合体、プロピレンオキ
シド/エチレンオキシドAB又は(AB)ブロック共
重合体、モノヒドロキシ−官能性エチレンオキシド/プ
ロピレンオキシドAB及びABAブロック共重合体、エ
チレンオキシドとプロピレンオキシドとのランダム共重
合体、2より大きいヒドロキシル官能価を有するエチレ
ンオキシドとプロピレンオキシドとのブロック共重合体
及びランダム共重合体などがある。ポリ(エチレングリ
コール)及びメトキシポリ(エチレングリコール)は、
本発明に従って使用するのに好ましい。
【0011】マクロモノマーは、不飽和カルボン酸、又
はその無水物又は半エステルを、ポリ(アルキレングリ
コール)と、約60℃ないし約200℃、好ましくは約
90℃〜150℃の温度において、約1時間ないし約2
4時間好ましくは1〜10時間、ほぼ外囲圧力条件にお
いて反応させることによって製造するのが好ましい。カ
ルボン酸含有化合物から上記化合物を製造するのにエス
テル化を採用する場合、より高い温度をしばしば使用す
ること、及び無水物から上記化合物を製造するのに、よ
り低い温度をしばしば使用することは、当業者によって
理解されるところである。
【0012】好ましくは、マクロモノマーは、ポリ(ア
ルキレングリコール)に比較して過剰量の酸、又はその
無水物、又はその半エステルを使用することによって製
造される。好ましくは、酸また無水物対ポリ(アルキレ
ングリコール)のモル比は、モル当り、1より大対約
3、一層好ましくは約1.2対2.7、そして最も好ま
しくは約1.25対2.5モルである。本発明に従って
使用するのに好適なマクロモノマーの製造に関する更な
る詳細は当業者に公知である。
【0013】本発明の共重合体に使用するマクロモノマ
ーの量は、共重合体における単量体の全重量を基準にし
て代表的には約5〜30重量%、好ましくは約8〜25
重量%、そして最も好ましくは約10〜20重量%であ
る。
【0014】本発明の共重合体は、上述した単量体以外
に他の単量体であり得る。このような追加単量体として
は、例えば1分子当り2〜10個の炭素原子を有する他
のビニル単量体、1分子当り3〜20個の炭素原子を有
するアクリレート又はメタクリレート、アクリロニトリ
ル、メタクリロニトリルなどを包含する。
【0015】他のビニル単量体を例示すると、例えば無
水マレイン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸及び
無水イタコン酸並びにマレエート、フマレート及びイタ
コネートジエステル及び半エステル、メチルビニルエー
テル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル
のようなビニルエーテル、ビニルアセテートのようなビ
ニルエステルの加水分解によって生成するビニルアルコ
ールなどを包含する。好ましい随意のビニル単量体はマ
レイン酸及び無水マレイン酸である。
【0016】アクリレート及びメタクリレートを例示す
ると、アクリル酸、メタクリル酸、例えば、メチル、エ
チル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチ
ル、デシル、ドデシルなどのようなアクリル酸及びメタ
クリルのエステル類例えば、ボルニル、イソボルニル及
びイソノルボルニルのアクリレート、3−ヒドロキシ−
1−イソプロピル−2,2−ジメチルプロピル−(メ
タ)アクリレート、3−ヒドロキシ−2,2,4−トリ
メチルペンチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテ
ニルアクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒ
ドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルア
クリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ヒド
ロキヘキシルアクリレート、ヒドロキシデシルアクリレ
ート、カプロラクトンアクリレート、シクロヘキシルア
クリレート、2−フェノキシエチルアクリレート、グリ
シジルアクリレート、グリシジルメタクリレートなどが
ある。好ましくはアクリレートはヒドロキシプロピルア
クリレート及びグリシジルメタクリレートである。
【0017】特に好ましい追加モノマーは、ヒドロキシ
エチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレー
ト、グリシジルメタクリレート及びメタクリル酸より成
る群から選択する1種又はそれ以上を包含する。
【0018】本発明に従って使用するのに好適な特に好
ましい共重合体は、塩化ビニル、酢酸ビニル、ヒドロキ
シプロピルアクリレート、及びポリ(エチレングリコー
ル)と無水マレイン酸との反応生成物より成るマクロモ
ノマーの共重合体である。その他の特に好ましい共重合
体は、塩化ビニル、酢酸ビニル、グリシジルメタクリレ
ート、マレイン酸、及びポリ(エチレングリコール)と
無水マレイン酸との反応生成物より成るマクロモノマー
の共重合体である。更にその他の特に好ましい共重合体
は、塩化ビニル、酢酸ビニル、マレイン酸、及びポリ
(エチレングリコール)と無水マレイン酸との反応生成
物より成るマクロモノマーの共重合体である。猶更に特
に好ましい共重合体は、塩化ビニル、酢酸ビニル、及び
ポリ(エチレングリコール)と無水マレイン酸との反応
生成物より成るマクロモノマーの共重合体である。
【0019】本発明の共重合体に使用する場合の追加単
量体の量は、単量体と共重合体との全重量を基準にして
代表的には約0.5〜30重量%、そして好ましくは約
1〜20重量%である。追加単量体の選択、製造、入手
可能性及び量に関する更なる詳細は、当業者に公知であ
る。
【0020】本発明の水性分散液は、溶液重合、随意的
希釈、次いで水の添加による分散液の生成及びストリッ
ピング(stripping)操作より成る方法によっ
て製造するのが好ましい。
【0021】共重合体の重合は、例えばバッチ式溶液重
合によって、又は連続式溶液重合によって行うことがで
きる。それぞれの方法において、溶液相において重合を
行うために溶媒を使用する。好ましくは、溶媒は単量体
及び共重合体生成物に対して溶解力を有する、すなわち
溶解することが出来るものである。好ましくは、水混和
性である。溶液重合に対する溶媒はまた好ましくは除去
の間に生成物の熱分解を最小にする低沸点を有するもの
であり、かつ連鎖移動剤として作用する。例示的な溶媒
は、ケトン、炭化水素、エステルなどである。好ましい
溶媒はアセトン、メチルエチルケトン、ケトン類と低級
アルコール類の混合物などである。アセトンは本発明に
従って使用するのに特に好ましい溶媒である。代表的に
は、重合に使用す溶媒の量は溶媒と単量体との全重量を
基準にして20〜80重量%であり、好ましくは約3〜
70重量%である。
【0022】溶液重合を行うのに好適な開始剤は、単量
体中で遊離ラジカルを発生することができる任意の開始
剤である。このような開始剤を例示すると、イソプロピ
ルパーオキシジカーボネート、及びその他のパーオキシ
カーボネート、アセチルパーオキサイド、及び他のジア
シルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシアセテート
及び他のパーエステル、ジクミルパーオキサイド及び他
のジアルキルパーオキサイド、アゾビスイソブチロニト
リル及び他のジアゾ化合物などがある。
【0023】上述した開始剤以外に、溶液重合の当業者
に公知の他の成分を添加することができる。しかしなが
ら、好ましくは、重合は、本発明の共重合体から製造し
た塗料に有害な効果を与えることがあり得る添加剤の実
質的不在、すなわち好ましくは5重量%以下、そして一
層好ましくは1重量%以下にて実施する。そのような有
害な成分は、例えば連鎖移動剤及び表面活性剤を包含す
る。
【0024】代表的には、バッチ式溶液重合は、入口及
び出口ポート(ports)、加熱及び冷却用の装置及
びこのような共重合の当業者に公知の連結器具を有する
撹拌付きタンク型の反応器中にて行う。
【0025】好ましいセミ−バッチ(semi−bat
ch)式重合方法は次のとおりである。すなわち、単量
体の一部と溶媒とを含有する初期反応仕込物を調整し、
反応器に加える。次に反応器を所望の反応温度、好まし
くは50〜70℃に加熱する。次に、マクロモノマーを
包含する残余単量体と開始剤とを反応器に、連続的に、
或いは少しづつ、好ましくは少なくとも8回で、時間を
かけて、好ましくは約1〜8時間に亘って供給する。単
量体と開始剤との総てを供給した時に、この混合物を反
応を完結させる反応温度で、例えば4時間まで保持す
る。反応が完結した時に、反応器を清浄して残留未反応
単量体を除去する。所望により、追加溶媒を添加して、
重合体溶液を希釈する。
【0026】代表的には、連続式溶液重合は、ジャケッ
ト付きの連続式撹拌タンク反応器、密閉式ループ(lo
op)反応器、又は入口及び出口ポート、加熱及び冷却
用の装置、供給タンク及びこのような重合の当業者に公
知の連結器具を有する管状反応器中で行う。
【0027】連続式撹拌タンク反応器を使用する好まし
い連続式溶液重合方法は次のとおりである。すなわち単
量体、溶媒及び開始剤を、セミ−バッチ式重合における
ように反応器に最初供給し、温度を所望の反応温度、代
表的には40〜80℃、好ましくは50〜70℃に上昇
させる。次に単量体、溶媒及び開始剤を連続的に、別々
に或いは一緒に混合して供給し、そして生成物を反応器
中で一定の水準に保つように均等な速度で連続的に取り
出す。開始剤の供給速度は、所望の生産速度で共重合体
を保つために調整する。次に生成物の流れを蒸留装置に
通過させ、そこで過剰の未反応単量体を頭頂蒸留する。
【0028】本発明の共重合体を製造するのに好適な溶
液重合法に関する更に詳細は、当業者に公知である。
【0029】単量体をバッチ式(回分式)方法又は連続
方法によって重合を完成させて本発明の共重合体を生成
させ、未反応単量体を除去して、溶媒中に溶解した共重
合体を次に有効量の水と接触させて共重合体の分散液よ
り成る水性有機液体媒体を生成させる。この技術は、適
時、「レットダウン」(letdown)として参照さ
れる。
【0030】共重合体溶液は、例えば、バッチ式方法又
は連続的方法によってレットダウンして水性共重合体分
散液を製造することができる。
【0031】好ましいバッチ式のレットダウン方法にお
いては、好ましい外囲条件、しかし代表的には50℃よ
りも高くない共重合体溶液を、高い剪断混合能を有する
調節板付きの円筒式ガラスまたはステンレス鋼の容器よ
り成ることを好ましとする装置に仕込む。高い剪断混合
条件は共重合体の分散液を生成するのに重要である。混
合機は、イン・タンク(in−tank)型混合機又は
イン・ライン(in−line)型混合機であることが
できる。使用することができる混合機を例示すると、ワ
ーイング・ブレンダー(Waring Blender
s)と、プレミアー・ミキサー(Premier mi
xers)とがある。混合機を開始させ、所望の高剪断
速度に設定する。水、好ましくは脱イオン水を、混合共
重合体溶液中に速やかに引き込ませるように添加する。
分散液を創成するために添加する水の有効量は、共重合
体溶液の容積の約0.2ないし約1倍を好ましとし、一
層好ましくは約0.3ないし約0.6倍である。水の添
加速度は、使用する全量を、約30秒ないし約10分
間、好ましくは約1分〜約3分間に亘って添加するよう
な速度である。水の添加後、剪断混合は好ましくは短時
間、例えば約30秒ないし約5分間、好ましくは約1分
〜約3分間継続する。かくして、レットダウン生成物
が、共重合体分散液を含有する水性有機液体媒体として
得られる。
【0032】好ましい連続式レットダウン方法において
は、高剪断混合頭部、2個の入口管(各管は混合頭部の
近くの容器内側で終わっている)、出口ポート、及び生
成物の連続取出用連結管又はパイプ、供給タンク並びに
当業者の公知の計測装備を有する容器を使用する。調節
板を使用することもできる。この系を操作するため、1
つの供給用タンクを重合体溶液で満たし、そして他方の
供給用タンクを水、好ましくは脱イオン水で満たす。こ
の場合、それぞれ好ましくは外囲温度で、そして、代表
的には、50℃以下の温度で行う。連続的操作は、共重
合体溶液と水とを所望の割合で同時にポンプ輸送するこ
とによって開始する。水及び重合体溶液が容器の底部に
入り、混合頭部域で衝突し合うので、共重合体分散液を
含有する水性有機液体媒体を容器から同時に取り出す。
レットダウン容器に供給された水対共重合体溶液の比
は、溶液中の共重合体に応じて変わるけれども、バルク
(bulk)方法に関して記載した範囲内である。
【0033】好ましくは、レットダウン方法は、水混和
性の塩基の実質的な不在において行う。本発明の目的の
ために、「水混和性塩基」なる字句は、共重合体の酸性
官能価を中和する任意のプロトン受容体を含むという広
い意義において使用するものとする。例示的な塩基は、
有機系及び無機系の両方であり得べく、アルカリ金属水
酸化物又はアルカリ土類の水酸化物例えば、水酸化ナト
リウム、水酸化カリウムなど、水酸化アンモニウム、モ
ノアルキルアミン、アルカノールアミン、芳香族アミ
ン、環式アミン、アルキルアリールアミンなどを包含す
る有機アミン類を含む。代表的には、下記するように、
溶媒除去後における本発明の水性分散液中の水混和性塩
基の量は、水性分散液の全重量を基準にして、約5重量
%以下、好ましくは約2重量%以下、一層好ましくは約
0.5重量%以下である。
【0034】レットダウン方法が完結したらば、溶媒の
少なくとも一部分を水性有機液体媒体から除去して、共
重合体の分散液より成る水性媒体を生成させる。溶媒の
除去は当業者に公知の任意の方法、好ましくは蒸留によ
って行うことができる。代表的な蒸留条件はアセトンが
溶媒である場合、約40〜65℃の温度及び水銀柱約
0.1〜29インチの圧力である。ストリッピングの
後、水性分散体を好ましくは濾過して、残渣(残骸)を
除去する。分離工程から回収した溶媒は、溶液重合反応
器に再循環することが好ましい。水性有機液体媒体から
の溶媒の除去に関する更に詳細は、当業者に公知であ
る。
【0035】溶媒の除去後に水性媒体中に残留する溶媒
の量は、水性媒体の全重量を基準にして、代表的には、
約1重量%以下、好ましくは約0.5重量%以下、そし
て一層好ましくは約0.3重量%以下である。水性媒体
中の共重合体の量は、水性媒体の全重量を基準にして代
表的には約20〜60重量%、好ましくは約30〜50
重量%、そして一層好ましくは約38〜50重量%であ
る。水の量は、水性媒体の全重量を基準として代表的に
は約40〜80重量%、好ましくは約50〜70重量
%、そして一層好ましくは約50〜62重量%である。
好ましくは、本発明の共重合体及びこのような共重合体
を含有する水性分散液は非イオン性である。
【0036】本発明の共重合体の粒子の大きさは、代表
的には約0.03〜1.0ミクロン(μ)、好ましくは
約0.05〜0.5μ、そして一層好ましくは約0.0
8〜0.4μである。
【0037】全く驚くべきことに、本発明によれば、共
重合体は約0.6以下、好ましくは約0.2〜0.5、
そして一層好ましくは約0.22〜0.4のインヘレン
ト粘度(固有粘度)を有することである。ここに使用す
る「インヘレント粘度」なる字句は、ASTM D12
34手順によるユーベロード(Ubbelohde)粘
度計を使用して測定したインヘレント粘度を意味する。
インヘレント粘度の測定に関する更に詳細は、当業者に
公知である。
【0038】インヘレント粘度は分子量に直接関連する
ものであるから、本発明の共重合体はまた低分子量を有
するものである。好ましくは、共重合体は、乳化重合に
よって製造した類似の重合体の分子量よりも有意に低い
分子量を有するものである。その結果として、本発明の
共重合体は、光沢及び付着の領域において特に品質の劣
る諸性質を有する塗料を屡々与える高分子量の乳化重合
体に比較して基体上で優れた塗料を提供することが出来
る。かくて、本発明の水性分散液は、そのような溶液で
重合した系におけるVOCの存在において起こる好まし
くない環境効果なしに、有機溶液で重合した系において
代表的に見出される低分子量の重合体の利点を提供する
ことができる。
【0039】本発明の水分散性共重合体より成る組成物
は、一般的に、塗料組成物及び接着剤として種々の最終
用途を有する。これらは、例えば種々の方法で塗料(剛
性及び可撓性の両方)、インキ、シーラント及び接着剤
のような生成物に処方することができる。例えば、処方
方法は、分散液から直接フィルムを生成させるか、或い
は凝集溶媒の添加による方法を包含するが、これに限定
されない。最終用途に関する更なる詳細は、塗料処方物
又は付着処方物中に代表的に含有される例えば、表面活
性剤、顔料、着色剤、架橋剤例えばフェノール樹脂(フ
ェノーリックス:phenolics)などのような他
の成分が当業者に公知である。
【0040】塗料及び接着剤を施すことができる基体に
は、例えば木材、金属、ガラス、セラミックス、プラス
チックス及び紙が包含されるが、これらに限定されな
い。全く驚くべきことに、本発明の共重合体から製造し
たフィルムは、それらの低インヘレント粘度の見地から
顕著な機械的諸性質を有することが可能なことである。
【0041】次に実施例を掲げて本発明を具体的に説明
する。ただし、本発明はこれによって特許請求の範囲の
限定を意図するものではない。
【0042】例 次に示す成分を実施例において使用した。
【0043】例1 次に、PEGMER AないしGの製造について記載す
る。ここに、字句「PEGMER」と称するのは、ポリ
(エチレングリコール)マレエート又はメトキシポリ
(エチレングリコール)マレエートの短縮語である。表
1に示したポリ(エチレングリコール)(PEG)又は
メトキシポリ(エチレングリコール)(MPEG)及び
無水マレイン酸のそれぞれの量を、攪拌機、温度感応装
置、入口ポート/出口ポート(ports)及び窒素清
浄器を具備した1リットル(ただし、PEGMER G
の場合は2リットル)容のガラス製反応器に仕込み、所
定の温度に加熱し、そして所定の時間、これらの温度に
保持した。
【0044】
【表1】
【0045】これらの混合物を、表示の反応時間に亘っ
て撹拌した。2種類の温度と時間とが示されている場合
においては、反応塊を先ず120℃に加熱し、そこで2
時間保持し、次いで温度を100℃に低下させ、この温
度で5時間保持した。表1に与えられた反応時間の終わ
りに、冷却を開始し、ポリ(エチレングリコール)の最
初の重量の10%に当量の水を、該反応塊に添加した。
次いで、これらの組成物を65℃以下に冷却し、充分な
量のアセトンを添加してPEGMERの33.3%溶液
となした。これらの冷却溶液を、爾後の使用のために室
温にて貯蔵した。
【0046】PEGMER Gの場合には、8時間の反
応温度の後、反応塊を水の添加に先立って80℃に冷却
した。次に温度を65℃に低めて、アセトン782.6
5gを撹拌しながら添加した。この混合物を更に冷却し
ながら5分間に撹拌し、1ガロン容のガラス製の容器中
に注いだ。追加の782.65gのアセトンを使用して
反応器をリンス(すすぎ洗い)し、すすいだアセトンを
該ガラス容器に添加した。表1に記載したPEGMER
の組成物を必要に応じて繰り返して、下記の実施例にお
いて必要とする生成物の量を得た。
【0047】比較例 A この例は、例えばEP565825−A1公開公報の実
施例1において、記載されているような水性エマルショ
ン(乳濁液)手段は、本発明の好ましい共重合体を製造
するために使用した場合の許容し得る水保持性塗料(被
覆剤)を製造しないことを説明するためのものである。
塩化ビニルは、上記引用公開公報において使用したビニ
ル単量体又はアクリレート単量体の大部分のものよりも
著しく一層疏水性であり、従って、水中で容易に重合し
たミセルを生成しない。更に、塩化ビニルをベースとし
て重合体は本来一層稠密であるので、大抵のアクリレー
トをベースとした重合体よりも分散液中で安定化させる
ことが一層困難である。
【0048】水80部、t−ブチル・ハイドロパーオキ
サイド0.8g及び上記実施例1に記載したようなマク
ロモノマー5部を、実施例2において後述するように重
合反応器に仕込み、この混合物を70℃に加熱した。こ
の反応器に、塩化ビニル74部、酢酸ビニル10部及び
ヒドロキシプロピルアクリレート16部の混合物を3時
間に亘って添加した。更に、水30部中、ナトリウム・
ホルムアルデヒドスルホキシレート0.6部の混合物を
4時間に亘って添加した。この反応混合物を70℃で更
に2時間保持し、その後で反応器を室温に冷却し、未反
応の塩化ビニルを反応器から清浄した。こうして得られ
た混合物は固体を18重量%含有しており、非常に不安
定な分散液であって、その系を乳化状態に保持するのに
撹拌を必要とした。撹拌を停止した時に、容器の底部
に、数分間のうちに粒子が沈積した。この混合物はガラ
スの基体表面に展伸した時に連続的なフィルムを形成せ
ず、該表面に粘着性がなかった。
【0049】例2 この例は、セミ・バッチ反応における共重合体の製造に
ついて述べるものである。「供給仕込み1」は、塩化ビ
ニル97.5g、酢酸ビニル13.5g及びヒドロキシ
プロピル・アクリレート21gを混合することによって
製造した。「供給仕込み2」はPEGMER Aのアセ
トン溶液50gと、アセトン中イソプロピルパーオキシ
・ジカーボネートの10重量%溶液14gとを混合する
ことによって製造した。
【0050】加熱及び冷却手段並びに種々の入口ポート
及び出口ポートを具備した1リットル容のステンレス鋼
のオートクレーブを排気し、アセトン300g、塩化ビ
ニル95g、酢酸ビニル28g、ヒドロキシプロピルア
クリレート2g及びPEGMER Aのアセトン溶液4
gを含有する初期仕込混合物を、室温で仕込んだ。次
に、温度を58℃に上昇させた。温度が到達した時に、
「供給仕込み1」の1/10(10分の1)と、「供給
仕込み2」の1/10を反応器に添加した。15分間後
に、「供給仕込み1」と「供給仕込み2」との第2回目
の1/10宛をそれぞれ反応器に添加した。この供給手
順は、15分間毎に継続し、以って、「供給仕込み1」
と「供給仕込み2」のそれぞれの全部が、全体で2.5
時間に亘って添加した。この時間の終わりに、反応混合
物を58℃で40分間保持し、次いで室温に冷却した。
次に、過剰の塩化ビニルを反応器から取り出し、反応塊
のアセトン溶液を回収し、水保持性分散液に変換するの
に先立って貯蔵した。生成した共重合体の合計全量は約
150gであった。
【0051】反応塊のアセトン溶液の一部分を、次のよ
うにして水保持性分散液に変換した。すなわち、共重合
体44gを含有するアセトン溶液の量を混合器に仕込
み、水83gを15〜60秒間に亘って激しく撹拌しな
がら添加した。次に、更に60秒間撹拌を継続した。次
に、この混合物を回転式蒸発器に仕込み、アセトンを6
0℃よりも低い温度で真空の下でストリップした。こう
して得られた安定なミルク状の水保持性ビニル分散液は
35%と45%との間の固体であり、約400nmより
も低い平均粒子サイズを有し、この共重合体は0.25
〜0.33のインヘレント粘度を有した。
【0052】例3〜7 使用した成分及び量は表2に示した事項以外は、例2に
述べたのと同様にして、下記成分から水保持性ビニル共
重合体を製造した。
【0053】
【表2】
【0054】例8及び9 これらの例は、本発明の水保持性ビニル重合体のパイロ
ットプラント製造について述べるものである。重合反応
は、3リットル容のジャケット付きの液体をみたす連続
的ループ状のステンレス鋼製の反応器中にて行った。2
種の別々の流れを反応器に供給した。第1番目の流れで
ある「モノマー供給体」は、塩化ビニル、酢酸ビニル、
ポリ(エチレングリコール)マレエート、アセトン及び
任意随意反応体を含有した。第2番目の流れである「触
媒供給体」は、アセトン中に溶解したフリー・ラジカル
発生開始剤を含有した。反応体の量及び反応条件を表3
に示す。反応器を連続的な供給条件の下で稼働し、以っ
て固体に対する濃度計及びスポット・サンプリング/分
析によって測定することによって所望の重合体固体が達
成されるに至らしめた。次に、ステンレス鋼製のタンク
中に集めた生成物の溶液(ワニス)と共に、連続的重合
反応を行って固体を一定に保持した。生成物のタンクを
ワニスの採取の間真空に保って未反応の単量体の除去を
開始させ、このワニスを約20〜25℃に冷却した。こ
のワニスを、25〜30℃で4時間に亘って更に真空ス
トリップするに先立って外囲温度において一夜保持し
た。最終ワニスは、1〜5%の酢酸ビニル、0.1%よ
りも低い塩化ビニル、共重合体及びアセトン(その百分
率は最終ワニス固体分に応じて変わる)を含有した。こ
の重合体溶液を、水保持性重合体組成物に更に変換させ
るために貯蔵した。
【0055】
【表3】
【0056】表3中の*の説明すると、開始剤供給速度
は分析によって測定した場合に、所定の価において重合
体固形分を保持するように調整した。使用した開始剤の
全合計量は表に示したとおりである。
【0057】例10 この例は、例8からの重合体溶液にの希釈について述べ
るものである。下記例11に述べるように撹拌容器に、
例8の重合体溶液644gを仕込み、そしてアセトン2
92gを外囲条件の下で添加した。こうして得られた溶
液は共重合体20重量%とアセトン80重量%とを含有
した。
【0058】例11 この例は、例10からの希釈重合体溶液を、連続的なレ
ットダウン(letdown)方法によって水性重合体
分散液に変換する方法について述べるものである。供給
原料の導入用の入口ポートと、生成物取出用の出口ポー
トとから1200°離れて位置した3個の1/2インチ
静止型縦じゃま板を具備した4.75インチ直径の1.
375リットル容のステンレス鋼の円筒式撹拌容器、ミ
キサー1(Mixer 1)〔このものの混合頭部は容
器の底部から1.75インチそして供給用管入口の上方
5/8インチのとこに配置している〕、供給用タンク及
び管路を連続レットダウン用に使用した。入口管路は、
混合容器に入る供給流れが、混合器の頭部の底部に向け
て上方向けに配備されるように調整されている。水性重
合体分散液を連続的に取り出す出口ポートは、容器底部
の上方6インチのところの容器の側面に取り付けたオー
バー・フロウ・ノズルであった。
【0059】1方の供給用タンクに、例10に述べた希
釈重合体溶液3524gを仕込み、そして他方のタンク
に脱イオン水を仕込んだ。例10に述べた希釈重合体溶
液の1070mlを混合容器に仕込むことによって操作
を始めた。次に、混合器を、毎分6000±100回転
(rpm)の速度で開始して操作した。この時点で、脱
イオン水306mlを、毎分28.6mlの速度で混合
器に供給した。この添加により、混合容器は満たされ
た。この充満用の操作の間に温度を26〜29℃であっ
た。例10で述べた希釈重合体溶液を、この充満された
容器に毎分100mlの速度で、そして脱イオン水を毎
分28.6mlの速度で供給することによって連続的操
作を開始した。これらの供給物が混合容器に入るにつれ
て、温度を29〜30℃に調整した水性重合体の分散液
を貯蔵用の容器中に連続的に取り出した。25分間の連
続的操作の後、供給を終了させた。供給終了後、混合を
2分間継続した。混合容器を排水処理し、水性重合体分
散液を貯蔵用の容器に添加した。水性重合体分散液の全
合計量4056gを回収した。
【0060】例12 この例は、水性重合体分散液からアセトンをパイロット
・プラントでバッチ式ストリッピング(除去)すること
について述べるものである。すなわち、攪拌機、仕込物
質及び除去物質用のポートを具備した15ガロンのジャ
ケット付きステンレス鋼製のタンクに、水25重量%、
アセトン60重量%及び前記諸実施例において使用した
のと同様な方法で製造した共重合体溶液15重量%を含
有する混合物17563gを仕込んだ。「コロイド77
0」6gを消泡剤として分散液に添加した。ジャケット
の温度を60℃にセットした。この混合物を、馬蹄形撹
拌機によって、毎分30〜40回転にて撹拌し、水銀柱
19.5インチの真空の下で1.5時間ストリッピング
し、この時間中に亘って分散液の温度を34〜40℃に
上昇させた。これに引続いて水銀柱11〜15インチで
行う第2回目の撹拌操作を4.5時間続け、この間分散
液を介して緩慢な窒素の清浄を保持した。ストリップし
た分散液を25ミクロンのカートリッジ式濾過器を介し
て取り出して、ダービス(derbis)を除去し、水
保持性ビニル重合体分散液5845gを回収した。この
分散液は全固形分38%を含有した。
【0061】例13〜15 塩化ビニル/酢酸ビニル/グリシジルメタクリレート/
マレイン酸/PEGMERを含有する本発明の水保持性
共重合体生成物を、前記諸実施例に述べた手段に従って
製造して、表4に示した理論的組成物を含有させた。
【0062】
【表4】
【0063】例16〜19及び比較例B、C及びD これらの例は、金属保護用の塗料(被覆剤)の製造につ
いて述べるものである。これらの塗料を、かぶり等級
(Blush Rating)、湿潤付着性(Wet
Adhesion)及び耐衝撃性について試験した。こ
れらの試験に合格した塗料は、飲料缶の最終(仕上げ)
塗料、一般的な金属用の塗料などに好適である。表5に
示した成分をガラス製の容器に仕込み、よく混合し、次
いで1平方インチ当り6〜8mgの塗料重量の9ミルの
厚さのクロム処理したアルミニウムのパネルに、No.
6のワイヤーを巻いた棒で、引落し技術(draw−d
owntechnique)を適用した。被覆処理した
(塗布した)パネルを204℃にセットした強制通風炉
中で3分間硬化した。こうして硬化した塗料を室温に冷
却して試験した。
【0064】
【表5】
【0065】表5において、☆印は、これらの塗料は暗
褐色の着色であった。そしてこれらは美術的見地から受
けられ得ないものであった。
【0066】比較例Bは、本来高品質と認められる慣用
の商業上の溶媒をベースとするビニル系を使用して得ら
れた処方及び結果の例に関するものである。比較におい
て、例16及び17からの水保持性塗料はかぶり等級に
おいて不十分であったが、例16は優れた耐衝撃性と湿
潤付着性とを有し、多くの金属用塗料の最終用途に有用
である。例17の塗料は衝撃に弱いけれども、優れた湿
潤付着性を有し、種々の金属用塗料の最終用途にもまた
良好である。例18からの水保持性塗料は、比較例Bの
溶媒保持性塗料に対する代替物として受容し得る調和の
とれた諸性質を有する。少量のフェノール性樹脂(水保
持性ビニル重合体を基準にして2重量%)を含有する例
19からの水保持性塗料は、比較例Bの塗料に等しい諸
性質を有する。比較例C及びDは、水保持性ビニル重合
体を基準にしてフェノール性樹脂「なし」(比較例C)
と「2%含有」(比較例D)との商業用の水保持性ビニ
ル処方物であって、例18及び19の塗料の予期せざる
結果を明示するために提供するものである。例18と1
9との塗料は、比較例C及びDの塗料に優る驚くべき程
の改良された諸性質を有する。
【0067】例20 比較例E及びF これらの例は、本発明の共重合体からの水保持性インキ
の製造と、水保持性インキの製造用の高品質の生成物と
して最近認められている商業用の水保持性生成物からの
水保持性インキとの製造とについて述べる。表6に記載
した下記成分を示された順序でガラス製の容器に仕込
み、機械的撹拌によって充分混合してインキを生成させ
た。これらのインクをレネタ(Leneta)紙カード
ストック、又はNo.6のワイヤ(電線)を巻いた棒を
使用する可撓性のビニル基体に施した。紙基体上で、イ
ンキは外囲条件下で24時間の風乾により硬化した。ビ
ニル基体上での試験は、外囲条件の下で2日間風乾の後
に行った。例20のインキ及び比較例Eは、本質的にゼ
ロVOCインキとして処方したが、比較例Fのインキは
ゼロVOCインキとして処方することができなかった。
【0068】
【表6】
【0069】例20のインキは、比較例の商業用生成物
に等しい耐薬品性並びに改良された光沢、耐摩耗性及び
表面特性を有する。
【0070】例21及び例22 比較例G及びH この例は、木材に対する塗料としての本発明の共重合体
の用途について述べるものである。2種の水性の水保持
性共重合体分散液を、前記諸例に述べた方法に従って下
記の表7に示した成分から製造し、2種の商業上の水保
持性生成物と比較した。比較例Gは「ビニル5」重合体
をベースとしたものであり、また比較例Hは「ラテック
ス1」重合体をベースとしたものである。総ての塗料
は、凝集助剤として重合体固体を基準にしてエチレング
リコール・モノブチルエーテル40重量%を含有した。
水性ラッカーから製造した熱可塑性塗料は透明な塗料或
いは、所望により、顔料入りの塗料として、また木製キ
ャビネット、建具、家具、及び類似の最終用途に使用す
るのに好適である。水スポット試験及び「ベル」付着性
試験のために、水性分散液の3種の4ミル湿潤フィルム
をオーク材の単板上で型取りした。次の被覆を行うのに
先立って、各湿潤フィルムを60℃で20分間焼付した
(全焼付け時間は60分間であった)。最後の焼付け工
程の後で、被覆塗布した基体を試験に先立ち40℃で5
日間状態処理に付した。スプレー・クリーナー・スポッ
ト試験及び靴墨試験に対して、ラネタ紙に単一の4ミル
湿潤フィルムを型取りした。塗料の諸性質を表7に示
す。
【0071】
【表7】
【0072】これらの結果は、本発明の共重合体が商業
上の生成物のものよりも優れた諸性質を有することを示
す。
【0073】例23 この例は、アミノプラスト(Aminoplast)を
用いて酸接触架橋によって製造した外囲硬化熱可塑性塗
料で得られた結果について述べるものである。水性の水
保持性共重合体分散液は、前記諸例に述べた方法に従っ
て、塩化ビニル、酢酸ビニル、ヒドロキシプロピルアク
リレート及びPEGMER Gに類似のPEGMER
(重量比:69/5/14/12)から製造した。こう
して得られた安定な水分散液は、不揮発分41重量%を
含有し、101センチポアズ(cP)の粘度を有した。
この共重合体はインヘレント粘度0.27を有した。
【0074】コウレス型(Cowles−type)混
合頭部を具備した混合機に、上記水保持性ビニル共重合
体分散液182.9gを仕込んだ。上記成分の予形成混
合物を下記共重合体分散液中に、ゆっくり撹拌した。
【0075】 ユレア・レジン1 25.5g イソプロパノール 19.8g エチレングリコールモノブチルエーテル 18.8g 塗料をオーク材の基体に施す直前に、「触媒1」7.5
gを添加した。このように処方した粘度85センチポア
ズ及び不揮発分40重量%を有する架橋可能な塗料を、
空気噴霧化スプレーガンの使用により、オーク材基体に
噴霧した。塗料は乾燥したら、優れた付着性と擦傷抵抗
性を有する透明な硬くて丈夫なフィルムとなった。フィ
ルムの塗り厚と有効寿命は優れており、そしてこの塗料
は、フォーム及びバブルが実質的になかった。室温にお
ける外囲状態処理の後で、この塗料は、水及び家庭用薬
品に対して良好な抵抗性がよくなった。所望により、硬
化速度は加熱により促進させることができた。
【0076】本発明を特定の様相に関して述べたけれど
も、当業者は他の様相も特許請求の範囲に包含意図され
ることを理解するであろう。例えば、ここに特記した以
外のポリ(アルキレングリコール)及び酸類は、本発明
のマクロモノマーを製造するのに使用することができ
る。また、ここに特記した以外の追加の単量体も本発明
の共重合体を製造するのに使用することができる。更
に、当業者は所望により本発明の共重合体を水に分散さ
せる代わりに、乾燥固体、粉末、或いは塗料業界におい
て普通使用される溶媒例えばメチルエチルケトン、メチ
ルアミルケトン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラ
ンなどに交換した溶媒として回収することができる。
【0077】以下に、本願発明の要点を総括して示す。要点1 (1)(a)ハロゲン化ビニル (b)エステル基中に2〜16個の炭素原子を有するビ
ニルエステル、及び (c)(i)1グラムモル当り約2000〜30000
gの数平均分子量を有するポリ(アルキレングリコー
ル)と、 (ii)マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、トリメリ
ット酸またはその無水物またはその半エステルより成る
群より選択されるカルボン酸との反応生成物より成るマ
クロモノマーからの、0.6よりも少ないインヘレント
粘度を有する共重合体と、 (2)水 とより成る水性重合体分散液。要点2 ハロゲン化ビニルを、塩化ビニル、臭化ビニ
ル、フッ化ビニル又はそれらの混合物より成る群から選
択する要点1記載の分散液。要点3 ビニルエステルを、酢酸ビニル、プロピオン酸
ビニル又はそれらの混合物から選択する要点1の分散
液。要点4 共重合体が0.2〜0.5のインヘレント粘度
を有するものである要点1の分散液。要点5 ポリ(アルキレングリコール)を、ポリ(エチ
レングリコール)及びメトキシポリ(エチレングリコー
ル)、又はそれらの混合物より成る群から選択する要点
1の分散液。要点6 共重合体が、更に、1分子当り2ないし10個
の炭素原子を有するビニル単量体、1分子当り3ないし
20個の炭素原子を有するアクリレート、又はそれらの
混合物より成る群から選択する少なくとも1種の追加単
量体より成る要点1の分散液。要点7 追加単量体が、ヒドロキシエチルアクリレー
ト、ヒドロキシプロピルアクリレート、グリシジルメタ
クリレート、マレイン酸、又はそれらの混合物より成る
群から選択する要点6の分散液。要点8 共重合体が、0.05〜0.5μの平均粒子の
大きさを有するものである要点1の分散液。要点9 (1)(a)塩化ビニル50〜90重量%、 (b)酢酸ビニル2〜30重量%、及び (c)(i)1グラムモル当り2000〜30000g
の分子量を有するポリ(エチレングリコール)又はメト
キシポリ(エチレングリコール)と、 (ii)マレイン酸または無水マレイン酸との反応生成
物より成るマクロモノマー5〜30重量%からの共重合
体の10〜70重量%と、 (2)水の30〜90重量% とより成る水性重合体分散液。要点10 共重合体が、ヒドロキシエチルアクリレー
ト、ヒドロキシプロピルアクリレート、グルシジルメタ
クリレート、マレイン酸又はそれらの混合物より成る群
から選択した少なくとも1種の追加単量体の約0.5〜
20重量%よりなるものである要点9の分散液。要点11 追加単量体がマレイン酸である要点10の分
散液。要点12 追加単量体がグリシジルメタクリレート及び
マレイン酸である要点10の分散液。要点13 追加単量体がヒドロキシプロピルアクリレー
トである要点10の分散液。要点14 (1)(a)ハロゲン化ビニル50〜90重
量%、 (b)エステル基中に2〜16個の炭素原子を有するビ
ニルエステル、及び (c)(i)1グラムモル当り2000〜30000g
の数平均分子量を有するポリ(アルキレングリコール)
と (ii)マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、トリメリ
ット酸またはそれらの無水物、又はそれらの半エステル
より成る群から選択したカルボン酸との反応生成物より
成るマクロモノマーより成る単量体を、該単量体用の溶
媒の存在において重合させて該溶媒に溶解した単量体の
共重合体を生成させ、 (2)溶媒に溶解した共重合体を、剪断条件下で有効量
の水と接触させて、共重合体の分散液より成る水性−有
機液体媒体を形成させ、そして (3)該水性−有機液体媒体から溶媒の少なくとも一部
分を除去して共重合体の分散液より成る水性媒体を形成
させることより成る、水性重合体分散液を製造する方
法。要点15 溶媒が水混和性である要点14の方法。要点16 溶媒を、アセトン、メチルエチルケトン、ア
ルコール又はそれらの混合物より成る群から選択する要
点15の方法。要点17 水の有効量が、溶媒の容量の0.25〜1倍
である要点14の方法。要点18 水性媒体が、溶媒の1重量%よりも少量より
成る要点14の方法。要点19 共重合体が0.6よりも少ないインヘレント
粘度を有するものである要点14の方法。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI (C08F 290/06 (C08F 290/06 214:00 214:00 218:04) 218:04) (72)発明者 エリック、ジェイ、ネジェル アメリカ合衆国、ニュージャージー州、 08876、サマービル、カントリー・スク ゥエアー・ウェイ 38番 (72)発明者 リチャード、ジュード、バーンズ アメリカ合衆国、ペンシルバニア州、 18040、イーストン、デ・マリナ・ドラ イブ 319番 (72)発明者 ウォルター、ポール、メイヤー アメリカ合衆国、ニュージャージー州、 08833、レバノン、スクールハウス・レ ーン 6番 (72)発明者 スティーブン、ニコラス、セメラク アメリカ合衆国、ニュージャージー州、 08902、ニュー・ブランズゥイック、ジ ョージ・ストリート 1050番エイピィテ ィ・8エイ (56)参考文献 特開 平7−292006(JP,A) 特開 平2−49012(JP,A) 特開 平8−151536(JP,A) 特開 平2−269707(JP,A) 特公 昭46−14906(JP,B1) 米国特許3017396(US,A) 米国特許3260705(US,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08F 290/00 - 290/14 C08F 299/00 - 299/08 C09D 11/10 C09D 155/00 C08F 2/06 C08F 6/06

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (1)(a)ハロゲン化ビニル50〜9
    0重量%、 (b)エステル基中に2〜16個の炭素原子を有するビ
    ニルエステル2〜30重量%、及び (c)(i)1グラムモル当り2000〜30000g
    の数平均分子量を有するポリ(アルキレングリコール)
    と、 (ii)マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、トリメリ
    ット酸もしくはそれらの無水物または半エステルより成
    る群から選択されるカルボン酸との反応生成物より成る
    マクロモノマー5〜3 0重量%からの、0.6よりも少
    ないインヘレント粘度を有する共重合体10〜70重量
    と、 (2)水30〜90重量%とより成る水性重合体分散
    液。
  2. 【請求項2】 (1)(a)塩化ビニル50〜90重量
    %、 (b)酢酸ビニル2〜30重量%、及び (c)(i)1グラムモル当り2000〜30000g
    の分子量を有するポリ(エチレングリコール)又はメト
    キシポリ(エチレングリコール)と、 (ii)マレイン酸または無水マレイン酸との反応生成
    物より成るマクロモノマー5〜30重量%からの共重合
    体の10〜70重量%と、 (2) 水30〜90重量%とより成る水性重合体分散
    液。
  3. 【請求項3】 (1)(a)ハロゲン化ビニル50〜9
    0重量%、 (b)エステル基中に2〜16個の炭素原子を有するビ
    ニルエステル2〜30重量%、及び (c)(i)1グラムモル当り2000〜30000g
    の数平均分子量を有するポリ(アルキレングリコール)
    と、 (ii)マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、トリメリ
    ット酸もしくはそれらの無水物 たは半エステルより成
    る群から選択したカルボン酸との反応生成物より成るマ
    クロモノマー5〜3 0重量%より成る単量体を、該単量
    体用の溶媒の存在において重合させて該溶媒に溶解した
    前記単量体の共重合体を生成させ、 (2)溶媒に溶解した前記共重合体を、剪断条件下で有
    効量の水と接触させて、前記共重合体の分散液より成る
    水性−有機液体媒体を形成させ、そして (3)該水性−有機液体媒体から溶媒の少なくとも一部
    分を除去して前記共重合体の分散液より成る水性媒体を
    形成させることより成る、水性重合体分散液を製造する
    方法。
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