JP3297761B2 - オーミック電極および半導体発光素子 - Google Patents

オーミック電極および半導体発光素子

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JP3297761B2 JP2198393A JP2198393A JP3297761B2 JP 3297761 B2 JP3297761 B2 JP 3297761B2 JP 2198393 A JP2198393 A JP 2198393A JP 2198393 A JP2198393 A JP 2198393A JP 3297761 B2 JP3297761 B2 JP 3297761B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、オーミック電極およ
び半導体発光素子に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、半導体に対するオーミック電極
の材料に求められる第1の性能は低い接触抵抗である
が、この接触抵抗の観点で最適な材料が半導体に対する
密着性が悪いものである場合がある。
【0003】例えば、下記の表1は III−V族化合物半
導体であるp型GaAs(キャリア濃度5×1018cm
-3程度)に対するオーミック電極材料の接触抵抗および
密着性を示したものであるが、この表1からわかるよう
に、AuZnは接触抵抗には優れるが密着性はTi(実
際にはTi−Pt−AuやTi−Auなどのように多層
構造で使用されるが、半導体と直接接触するのはTiで
あるので、このように略記されることがある)よりも悪
く、また、Tiは密着性は比較的良好であるが接触抵抗
に関しては最適とは言えない。
【0004】 表1 ────────────────────────────────── 電極材料 アロイ条件 接触抵抗(Ωcm2 ) 密着性 ────────────────────────────────── AuZn 400℃、2分 10-6 やや悪 Ti ノンアロイ 10-4 良 ──────────────────────────────────
【0005】また、下記の表2および表3はそれぞれII
−VI族化合物半導体であるp型ZnSe(キャリア濃度
5×1017cm-3程度)およびp型ZnTe(キャリア
濃度5×1018cm-3程度)に対するオーミック電極材
料の接触抵抗および密着性を示したものである。表2か
らわかるように、p型ZnSeに対するオーミック電極
材料としては、接触抵抗はAuがTiよりも優れている
が、密着性はTiの方がAuよりも良好である。また、
表3からわかるように、p型ZnTeに対するオーミッ
ク電極材料としては、接触抵抗はPtがTiよりも優れ
ているが、密着性はTiの方がPtよりも良好である。
【0006】 表2 ────────────────────────────────── 電極材料 アロイ条件 接触抵抗 密着性 ────────────────────────────────── Au ノンアロイ やや良 悪 Ti ノンアロイ 悪 良 ──────────────────────────────────
【0007】 表3 ────────────────────────────────── 電極材料 アロイ条件 接触抵抗 密着性 ────────────────────────────────── Pt ノンアロイ 良 悪 Ti ノンアロイ 悪 良 ──────────────────────────────────
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上述のように、半導体
に対する接触抵抗に優れたオーミック電極材料は密着性
が悪いという傾向があるが、このようにオーミック電極
材料の密着性が悪いと、このオーミック電極材料の膜を
真空蒸着法などにより形成した後のリフトオフ時やオー
ミック電極形成後のワイヤボンディング時などにこの膜
のはがれが生じ、信頼性上問題となる。このため、接触
抵抗ばかりでなく、密着性の点でも優れたオーミック電
極の実現が望まれていた。
【0009】従って、この発明の目的は、p型化合物半
導体に対する接触抵抗と密着性との両方に優れたオーミ
ック電極およびそのようなオーミック電極を有する半導
体発光素子を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、この発明によるオーミック電極は、それぞれp型化
合物半導体(1)に接触する第1の材料から成る第1の
電極部(2a)と第2の材料から成る第2の電極部(2
b)とを有し、第1の電極部(2a)のp型化合物半導
体(1)に対する接触部はPdから成り、第2の電極部
(2b)のp型化合物半導体(1)に対する接触部はT
iから成ることを特徴とする。
【0011】この発明による半導体発光素子は、それぞ
れp型化合物半導体(1)に接触する第1の材料から成
る第1の電極部(2a)と第2の材料から成る第2の電
極部(2b)とを有し、第1の電極部(2a)のp型化
合物半導体(1)に対する接触部はPdから成り、第2
の電極部(2b)のp型化合物半導体(1)に対する接
触部はTiから成るオーミック電極を有することを特徴
とする。
【0012】この発明において、p型化合物半導体
(1)は、具体的には、p型II−VI族化合物半導体やp
型 III−V族化合物半導体などである。
【0013】
【作用】この発明によれば、第1の電極部(2a)のp
型化合物半導体(1)に対する接触部はp型化合物半導
体(1)に対する接触抵抗が低いPdから成り、第2の
電極部(2b)のp型化合物半導体(1)に対する接触
部はp型化合物半導体(1)に対する密着性が良好なT
iから成ることにより、全体として接触抵抗が低く、し
かも密着性が良好なオーミック電極(2)を実現するこ
とができる。
【0014】なお、半導体に対する「密着性」は、半導
体上に形成されたオーミック電極材料の膜のはがれにく
さに対応するものである。必要な密着性の度合いは使用
するプロセスによって異なりうる。例えば、リフトオフ
法によりオーミック電極を形成する場合には、半導体上
に形成されたオーミック電極材料の膜がリフトオフ時に
はがれてしまわない程度の密着性が必要である。一方、
オーミック電極材料の膜上にワイヤボンディングを行う
場合には、このワイヤボンディング時にオーミック電極
材料の膜がはがれてしまわない程度の密着性が必要であ
る。
【0015】この発明によれば、p型化合物半導体
(1)のうちのオーミック電極(2)の接触抵抗を低く
することが重要な部分に第1の電極部(2a)が接触す
ることにより、良好なオーミック特性を得ることができ
る。
【0016】この発明によれば、オーミック電極材料の
膜のはがれが問題となっているp型II−VI族化合物半導
体またはp型 III−V族化合物半導体に対する好適なオ
ーミック電極(2)を実現することができる。
【0017】
【実施例】以下、この発明の実施例について図面を参照
しながら説明する。なお、実施例の全図において、同一
または対応する部分には同一の符号を付す。
【0018】図1はこの発明の一実施例を示す。
【0019】図1に示すように、この実施例において
は、半導体1上に、それぞれこの半導体1に接触してい
る第1の電極部2aと第2の電極部2bとから成るオー
ミック電極2が形成されている。この場合、第1の電極
部2aのうちの半導体1に接触している部分以外の部分
は第2の電極部2bにまたがっている。ここで、第1の
電極部2aは少なくとも第2の電極部2bよりも半導体
1に対する接触抵抗が低いオーミック電極材料、好適に
は接触抵抗の点で最適なオーミック電極材料により形成
され、第2の電極部2bは少なくとも第1の電極部2a
よりも半導体1に対する密着性が良好なオーミック電極
材料、好適には密着性の点で最適なオーミック電極材料
により形成されている。また、第1の電極部2aが接触
している部分の半導体1はオーミック電極2の接触抵抗
が重要な部分であり、例えば半導体レーザーにおいては
発光部の直上の領域である。
【0020】この実施例において、半導体1に対する接
触抵抗が低い材料から成る第1の電極部2aの幅w
0 (面積)は、オーミック電極2の半導体1に対する密
着性に問題を生じない範囲で可能な限り広く選ぶのが好
ましい。この幅w0 は、例えば内部ストライプ構造の半
導体レーザーにおいては、そのストライプ幅の数倍以上
であれば、実質的に問題を生じない。
【0021】いくつかの種類の半導体1に対して、第1
の電極部2aの材料Aと第2の電極部2bの材料Bとの
組み合わせの具体例を挙げると、以下の通りである。
【0022】 (1)半導体1がp型ZnSeまたはp型ZnTeであ
る場合 A:Au、Pt−Au、Pd−Au、Pd−Pt−Au B:Ti−Pt−Au これらの材料の接触抵抗および密着性を表4にまとめて
示す。
【0023】 表4 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− (*) 電極材料 アロイ条件 接触抵抗(Ωcm2 ) 密着性 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− Ti−Pt−Au ノンアロイ >10-3(悪) 特に良 Au ノンアロイまたは 10-4台(やや良) やや良 200℃、3分 Pt−Au ノンアロイまたは 10-3〜10-4台 悪 200℃、3分 (悪〜やや良) Pd−Au 200℃、3分 10-6台(良) 良 Pd−Pt−Au 200℃、3分 10-6台(良) 良 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− (*)p型ZnTe(アクセプタ濃度3×1019cm-3)のときの値
【0024】 (2)半導体1がp型GaAsまたはp型AlGaAs
である場合 A:AuZn(400℃、2分アロイ) B:Ti−Pt−Au(ノンアロイ)
【0025】次に、この実施例によるオーミック電極2
の形成方法について説明する。
【0026】まず、図2Aに示すように、半導体1上
に、この半導体1に対する第1の電極部2aの接触部に
対応する形状のレジストパターン3をリソグラフィーに
より形成する。
【0027】次に、図2Bに示すように、例えば真空蒸
着法により第2の電極部2b形成用のオーミック電極材
料の膜4を全面に形成する。
【0028】次に、リフトオフ法により、レジストパタ
ーン3をその上に形成された膜4とともに除去する。こ
れによって、図2Cに示すように、半導体1上に直接形
成された膜4のみが残される。
【0029】次に、図2Dに示すように、例えば真空蒸
着法により第1の電極部2a形成用のオーミック電極材
料の膜5を全面に形成する。必要ならば、この後に膜5
および/または膜6のパターニングを行ったり、アロイ
を行ったりする。
【0030】以上により、図1に示すような第1の電極
部2aと第2の電極部2bとから成るオーミック電極2
が形成される。
【0031】以上のように、この実施例によれば、半導
体1に対する接触抵抗が低いオーミック電極材料から成
る第1の電極部2aと半導体1に対する密着性が良好な
オーミック電極材料から成る第2の電極部2bとにより
オーミック電極2が形成されているので、全体として接
触抵抗と密着性との両方に優れたオーミック電極2を得
ることができる。そして、このようなオーミック電極2
を用いた素子においては、接触抵抗が低いことにより優
れた電気的特性(静特性)を得ることができるととも
に、密着性が良好であることにより高い信頼性を得るこ
とができる。
【0032】上述のように接触抵抗と密着性との両方に
優れたこの実施例によるオーミック電極2は、 III−V
族化合物半導体やII−VI族化合物半導体に対するオーミ
ック電極として用いて好適なものである。特に、この実
施例によるオーミック電極2は、青色発光または緑色発
光が可能な半導体レーザーの材料として最近注目されて
いるp型ZnTe、p型ZnSe、さらにはp型ZnM
gSSeのようなp型のII−VI族化合物半導体またはそ
の混晶に対するオーミック電極として用いて好適なもの
である。
【0033】図3はこの発明の他の実施例を示す。
【0034】図3に示すように、この実施例において
は、接触抵抗が低いオーミック電極材料から成る第1の
電極部2aは半導体1のうちの接触抵抗が重要な部分の
上にのみ形成され、この第1の電極部2aを覆うよう
に、半導体1に対する密着性の良好なオーミック電極材
料から成る第2の電極部2bが形成されている。
【0035】以上のように構成されたこの実施例によっ
ても、上述の一実施例と同様に、接触抵抗と密着性との
両方に優れたオーミック電極2を実現することができ
る。
【0036】以上、この発明の実施例につき具体的に説
明したが、この発明は、上述の実施例に限定されるもの
ではなく、この発明の技術的思想に基づく各種の変形が
可能である。
【0037】例えば、上述の一実施例の図1または上述
の他の実施例の図3における第2の電極部2bの半導体
1に対する接触部の接触抵抗を低くすることが重要な場
合には、図1または図3における第2の電極部2bを接
触抵抗が低いオーミック電極材料により形成された第1
の電極部2aとし、図1または図3における第1の電極
部2aを密着性が良好なオーミック電極材料により形成
された第2の電極部2bとすればよい。その一例を図4
に示す。
【0038】また、上述の一実施例において説明したオ
ーミック電極2の形成方法は一例に過ぎず、他の方法に
よりこのオーミック電極2を形成してもよい。
【0039】
【発明の効果】以上述べたように、この発明によれば、
p型化合物半導体に対する接触抵抗と密着性との両方に
優れたオーミック電極を実現することができ、このオー
ミック電極を用いて特性の良好な半導体発光素子を実現
することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施例によるオーミック電極を示
す断面図である。
【図2】この発明の一実施例によるオーミック電極の形
成方法を説明するための断面図である。
【図3】この発明の他の実施例によるオーミック電極を
示す断面図である。
【図4】この発明のさらに他の実施例によるオーミック
電極を示す断面図である。
【符号の説明】
1 半導体 2 オーミック電極 2a 第1の電極部 2b 第2の電極部 3 レジストパターン
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01L 29/43 H01L 33/00 H01S 5/042 610

Claims (11)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 それぞれp型化合物半導体に接触する第
    1の材料から成る第1の電極部と第2の材料から成る第
    2の電極部とを有し、上記第1の電極部の上記p型化合物半導体に対する接触
    部はPdから成り、上記第2の電極部の上記p型化合物
    半導体に対する接触部はTiから成る ことを特徴とする
    オーミック電極。
  2. 【請求項2】 上記第1の材料はPd膜とその上のAu
    膜とを含むことを特徴とする請求項1記載のオーミック
    電極。
  3. 【請求項3】 上記第2の材料はTi膜とその上のAu
    膜とを含むことを特徴とする請求項1記載のオーミック
    電極。
  4. 【請求項4】 上記p型化合物半導体はp型II−VI族化
    合物半導体であることを特徴とする請求項1記載のオー
    ミック電極。
  5. 【請求項5】 上記p型化合物半導体はp型 III−V族
    化合物半導体であることを特徴とする請求項1記載のオ
    ーミック電極。
  6. 【請求項6】 それぞれp型化合物半導体に接触する第
    1の材料から成る第1の電極部と第2の材料から成る第
    2の電極部とを有し、上記第1の電極部の上記p型化合
    物半導体に対する接触部はPdから成り、上記第2の電
    極部の上記p型化合物半導体に対する接触部はTiから
    成るオーミック電極を有することを特徴とする半導体発
    光素子。
  7. 【請求項7】 上記第1の材料はPd膜とその上のAu
    膜とを含むことを特徴とする請求項6記載の半導体発光
    素子。
  8. 【請求項8】 上記第2の材料はTi膜とその上のAu
    膜とを含むことを特徴とする請求項6記載の半導体発光
    素子。
  9. 【請求項9】 上記p型化合物半導体はp型II−VI族化
    合物半導体であることを特徴とする請求項6記載の半導
    体発光素子。
  10. 【請求項10】 上記p型化合物半導体はp型 III−V
    族化合物半導体であることを特徴とする請求項6記載の
    半導体発光素子。
  11. 【請求項11】 上記半導体発光素子は青色発光の半導
    体レーザであることを特徴とする請求項6記載の半導体
    発光素子。
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