JP3296145B2 - 高張力鋼の製造方法 - Google Patents
高張力鋼の製造方法Info
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- JP3296145B2 JP3296145B2 JP16208695A JP16208695A JP3296145B2 JP 3296145 B2 JP3296145 B2 JP 3296145B2 JP 16208695 A JP16208695 A JP 16208695A JP 16208695 A JP16208695 A JP 16208695A JP 3296145 B2 JP3296145 B2 JP 3296145B2
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Description
構造物に用いられ、溶接性、音響異方性、入熱量が5k
J/mmを越える大入熱サブマージアーク溶接(SAW)
における溶接継手特性および耐SRわれ特性に優れた厚
物780N/mm2 級高張力鋼の製造方法に関する。
T780と称す)はこれまでに種々の鋼種が提案されて
いるが、そのほとんどが焼入性向上のためにBを添加し
て、焼入れ焼戻し処理を行うことにより製造されてい
る。これらの鋼は優れた母材強度および靭性を有する
が、Bを含有するので溶接部の硬化性が高い(溶接低温
われ感受性が高い)ので、溶接施工時において溶接われ
防止対策を行なう必要がある。一般に、溶接われ防止対
策としては被溶接物を100℃以上に予熱することが行
なわれているが、高温に加熱された作業環境は安全衛生
上の観点から好ましくなく、またかかる環境下では施工
能率が著しく低下する。
解決するために、特開平4−333516号公報によれ
ばBを含有しないB無添加高張力鋼が実用化されてい
る。これには、C:0.043〜0.078%、Si:
0.08〜0.31%、Mn:0.82〜1.46%、
Cu:1.02〜1.76%、Ni:0.68〜1.7
0%、Mo:0.32〜0.66%、V:0.023〜
0.078%、Nb:0.008〜0.026%、T
i:0.010〜0.016%、Al:0.002〜
0.033%、N:0.0017〜0.0048%(い
ずれも重量%)を含有し、実質的にBを含有しない鋼を
1000〜1250℃の温度域に加熱して1050℃以
下の累積圧下量が20%以上になるように圧延を行な
い、次いで室温まで空冷、もしくは800℃以上の温度
から室温まで焼入れした鋼板を850〜950℃に再加
熱し、析出強化を活用するため550℃〜600℃にて
焼戻し処理を行なう溶接性に優れたHT780の製造方
法を開示している。
安全性確保の観点から溶接欠陥の検出を斜角による超音
波探傷によって厳密に行う必要がある。超音波探傷検査
においては鋼板の最終圧延方向(L方向)と最終圧延方
向に直交する方向(C方向)における音速に差がある
と、欠陥の正確な検出が困難となる。この場合にL方向
の検査とC方向の検査とを区別して評価判定することは
技術的に限界があるため、欠陥エコーであると疑わしい
ものが発見された溶接箇所はすべて補修しなければなら
ず、必要以上の欠陥補修を余儀なくされ、施工費が莫大
なものになる。
決するために、例えば特開昭63−235431号公報
には音響異方性の小さい鋼板の製造方法が開示されてい
る。これには(C+Mn/6)値が0.36%以下で、
かつ炭素等量値Ceq={C+Mn/6+(Cr+Mo+
V)/5+(Ni+Cu)/15)}が0.40%以下
の組成を有する鋼を1000℃以上1200℃以下に加
熱し、オーステナイトの再結晶域で全圧下率を50%以
上、圧延仕上温度を850℃以上とし、Ar3変態点を
50℃下回る温度域から毎秒5℃以上15℃未満の冷却
速度で400℃以上680℃以下の温度域まで冷却して
音響異方性の小さい鋼板を得る製造方法が記載されてい
る。
音響異方性の小さい鋼板は、炭素等量値Ceqが0.40
%以下であるため母材強度が不十分であり、仮に母材強
度を満足できたとしても母材靭性、大入熱継手強度およ
び溶接熱影響部(HAZ)靭性が不足する。
の施工において入熱量が5kJ/mmを越えるような大入
熱サブマージアーク溶接(SAW)法を採用すると仮定
すると生産性が著しく向上し、コストを大幅に低減する
ことができる。しかしながら、大入熱SAWによれば溶
接時の入熱量が極めて大きくなるため、溶接継手強度が
大幅に低下したり、HAZ靭性が大幅に劣化するなど種
々の問題点がある。このため、従来のHT780の溶接
施工においてはSAWの入熱量を5kJ/mm以下に制限
せざるを得ないのが現状である。
解決するために、例えば特開昭61−044161号公
報に強度デベルが80kg/mm2 以上の高張力鋼板の製
造方法が提案されている。これにはC:0.07〜0.
12%、Si:0.25%以下、Mn:0.98〜1.
24%、P:0.002%以下、Ni:0.40〜2.
03%、Cr:0.55〜0.80%、Mo:0.30
〜0.35%、V:0.025〜0.053%、固溶ア
ルミニウム(sol.Al):0.0041〜0.055%
(いずれも重量%)を含有するものであって、Ceq=C
+Mn/6+Si/24+Ni/40+Cr/5+Mo
/4+V/14(重量%)で定義される炭素等量値Ceq
が0.48以上であり、Bを含有しない大入熱用の高張
力鋼板の製造方法が記載されている。
は、厚鋼板の溶接継手において性能向上や溶接残留応力
の軽減を図るために応力除去焼きなまし(以下、SRと
いう)処理が行なわれている。しかしながら、SR処理
は一般に焼戻し温度域より少し低い温度域で行なわれる
ため、母材及び溶接部を脆化させ、また、いわゆるSR
割れを生じることがある。SR割れの発生を防止するた
め、通常は母材及び溶接部止端部をグラインダー研削
し、応力集中を生じない滑らかな形状に仕上げている。
に、特開昭51−17112号公報、特開昭62−19
2564号公報、特開昭62−37342号公報および
特開平5−51696号公報には、SRわれ感受性を高
めるS量を低減した耐SRわれ特性に優れた鋼が記載さ
れている。
開昭57−92125号公報、特開平3−150335
号公報および特開平5−1351号公報には、CaやT
i等の硫化物形成元素の添加によって固溶S量を抑制
し、SRわれ特性に優れた鋼および製造方法が記載され
ている。
4−333516号公報に記載のB無添加高張力鋼は、
溶接性に優れるものの、析出強化を活用して母材強度を
確保するため、Cuを1.02〜1.76%添加してい
る。このため大入熱溶接時に溶接金属中へ多量のCuが
希釈し、これに起因して溶接金属の高温割れが発生しや
すくなるという問題があり、大入熱溶接継手特性に優れ
ているとはいえない。さらに析出強化を活用するため5
50〜600℃にて焼戻し処理を行なうので継手強度の
不足が懸念される。仮に600℃以上といった高温焼戻
しを行なうと、析出強化による強度上昇が小さくなるの
で、母材強度が不足する。
音響異方性の小さい鋼板は、炭素等量値Ceqが0.40
%以下であるため母材強度が不十分であり、仮に母材強
度を満足できたとしても母材靭性、大入熱溶接継手強度
および溶接継手靭性が不足する。
大入熱溶接用高張力鋼板は、入熱量9kJ/mmのエレク
トロガス溶接法を用いて溶接されることを前提としてい
る。しかし、橋梁などの溶接構造物の施工に用いられる
SAWの場合は、エレクトロガス溶接法に比べて同一入
熱量では冷却速度が遅くなる。例えば板厚32mmを溶接
する場合は、入熱量10kJ/mmのエレクトロガス溶接
では毎秒3.5℃の冷却速度が得られるのに対して、S
AWでは毎秒1.9℃の冷却速度しか得られない。この
ため溶接継手強度およびHAZの靭性ともに大幅に劣化
する。この対策として炭素等量値をさらに高めることも
考えられるが、極端な炭素等量の増大化は溶接性の劣化
を招き、またコスト上昇となるなどの問題点がある。ま
た、同公報の実施例に記載の板厚は40mmであり、板厚
60mm以上の場合に母材強度および母材靭性の不足が懸
念され、合金成分および圧延仕上温度の最適化が必要と
される。
報、特開昭55−24966号公報、特開昭57−92
125号公報、特開昭62−192564号公報、特開
昭62−37342号公報、特開平3−150335号
公報、特開平5−1351号公報、特開平5−5169
6号公報に記載の鋼は耐SR割れ特性に優れるものの、
いずれもB含有鋼であるため溶接性に劣る。
溶接継手特性および耐SRわれ特性のそれぞれに単独で
は優れた鋼は存在するが、これらの特性をすべて満足す
る厚物780N/mm2 級高張力鋼は需要家の要望が高
いにもかかわらず未だ実現されていない。
を解決するものであり、溶接性、音響異方性、入熱量が
5kJ/mmを越える大入熱サブマージアーク溶接(大入
熱SAW)における溶接継手特性および耐SR割れ特性
に優れた厚物780N/mm2 級高張力鋼の製造方法を
提供することを目的とする。
%でC0.055〜0.084%、Si0.01〜0.
3%、Mn0.8〜1.5%、P0.01%以下、S
0.005%以下、Ni0.5〜2.5%、Cr0.2
〜1.0%、Mo0.1〜0.8%、Nb0.005〜
0.03%、Al0.01〜0.08%、N0.001
〜0.006%を含み、Ceq=C+Mn/6+Si/2
4+Ni/40+Cr/5+Mo/4+V/14(重量
%)で定義される炭素等量値Ceqが0.48以上であ
り、残部が鉄および不可避的不純物からなる実質的にB
を含有しない鋼を、1000〜1200℃の温度範囲に
加熱し、板厚t(mm)につき温度パラメータTをT=2
0Mn+10Ni+15Cr+100Mo+1500N
b+15Cu+150V+500(Ti−3.42N)
−8(t)0.5 +830と定義したときにT〜1050
℃の範囲の温度域で熱間圧延を終了させ、Ar3 変態点
以上から直接焼入し、600℃以上Ac1 変態点以下の
温度域に焼戻し処理し、溶接性、音響異方性、大入熱継
手特性および耐SRわれ特性に優れたものとすることを
特徴とする。
以上のものをいう。また、「実質的にBを含有しない」
とは、B含有量が0.00002%以下を意味する。さ
らに、Cu0.001〜0.5%、V0.02〜0.1
%、Ti0.005〜0.02%のうち少なくとも1種
を含有することが望ましい。さらに、Ca0.0005
〜0.01%、REM0.0005〜0.01%のうち
少なくとも1種を含有することが望ましい。
る。 1)C:0.055〜0.084% Cは母材強度および溶接継手強度をともに向上させるた
めに添加する。0.055%未満では強度不足となり、
0.084%を越えると溶接性および大入熱溶接継手靭
性が著しく劣化する。 2)Si:0.01〜0.3% Siは母材強度および溶接継手強度をともに向上させる
ために添加する。0.01%未満では強度不足となり、
0.3%を越えると溶接性および大入熱溶接継手靭性が
著しく劣化する。 3)Mn:0.8〜1.5% Mnは母材強度および溶接継手強度をともに向上させる
ために添加する。0.8%未満では強度不足となり、
1.5%を越えると溶接性が劣化する。 4)P:0.01%以下 不純物元素であるPは0.01%を越えると大入熱溶接
継手靭性が劣化する。 5)S:0.005%以下 不純物元素であるSは0.005%を越えるとSR割れ
感受性を高めるので、耐SR割れ特性が著しく劣化す
る。 6)Ni:0.5〜2.5% Niは母材強度、靭性および大入熱溶接継手強度を向上
させるために添加する。0.5%未満では靭性が不足
し、2.5%を越えると経済性が損なわれる。 7)Cr:0.2〜1.0% Crは母材強度および大入熱溶接継手強度をともに向上
させるために添加する。しかし、0.2%未満では強度
が不足し、1.0%を越えると溶接性および耐SR割れ
特性が損なわれる。 8)Mo:0.1〜0.8% Moは母材強度および大入熱溶接継手強度をともに向上
させるために添加する。0.1%未満では強度が不足
し、0.8%を越えると溶接性および耐SR割れ特性が
損なわれる。 9)Nb:0.005〜0.03% Nbは母材強度および大入熱溶接継手強度をともに向上
させ、さらに大入熱溶接時のHAZにおいて粗大炭化物
の生成を抑制してHAZ靭性を向上させるために添加す
る。0.005%未満では大入熱溶接継手強度およびH
AZ靭性が不足し、0.03%を越えると大入熱溶接金
属の靭性および耐SR割れ特性が損なわれる。 10)Al:0.010〜0.080% Alは脱酸およびミクロ組織の微細化による母材靭性を
向上させるために添加する。0.010%未満ではその
効果が不十分であり、0.080%を越える添加はかえ
って母材靭性を劣化させる。なおここで、Al含有量に
は酸可溶アルミニウム(sol.Al)が対応する。 11)N:0.001〜0.006% NはAlと結合して(炭)窒化物を析出形成し、オース
テナイト粒の粗大化を抑制して母材靭性を向上させるた
めに添加する。0.001%未満では析出物の量が不足
し、0.006%を越える添加はかえって母材靭性およ
び大入熱溶接継手靭性が劣化する。 12)不純物元素であるB:0.0002%以下 不純物元素であるBは微量であっても溶接性および大入
熱溶接継手靭性を著しく劣化させるため、本発明におい
てはその含有量を0.0002%以下に抑えることが望
ましい。
下記Cu,V,Tiの群から選択された1種以上の元素
を含ませるようにしても好ましい結果が得られる。 13)Cu:0.01〜0.5% Cuは母材強度および溶接継手強度をともに向上させる
ために添加する。0.01%未満では強度不足となり、
0.5%を越える添加は大入熱溶接時の溶接金属高温割
れが発生しやすくなる。 14)V:0.02〜0.10% Vは母材強度および大入熱溶接継手強度をともに向上さ
せるために添加する。0.02%未満では強度不足とな
り、0.10%を越える添加は母材靭性、溶接性および
耐SR割れ特性が損なわれる。 15)Ti:0.005〜0.02% Tiはミクロ組織の微細化を通じて母材靭性および溶接
継手靭性をともに向上させるために添加する。0.00
5%未満ではその効果は不十分であり、0.02%を越
える添加はかえって母材靭性および大入熱溶接継手靭性
を劣化させる。
下記のCa、REMのうちから選択された1種以上の元
素を含有させるようにしても好ましい結果が得られる。 16)Ca:0.0005〜0.01% Caは結晶粒を微細化するとともに、硫化物を生成し
て、結晶粒界における固溶S量を低減させるため、耐S
Rわれ特性を一層高める。この効果を有効に得るために
は、0.0005%以上の量を添加する必要があるが、
0.0100%以上の添加は非金属介在物の量が増加し
て延性を低下させてしまうので好ましくない。 17)REM:0.0005〜0.01% REMは鋼中でREM(O,S)として硫化物を生成す
ることによって結晶粒界の固溶S量を低減して耐SRわ
れ特性を改善する。0.0005%以上の量を添加する
必要があるが、0.0100%以上の添加は鋼の清浄度
が低下し、靭性を劣化させてしまうので好ましくない。 18)Ceq(炭素当量値):0.48以上 焼入れ性の指標であるCeqは、母材強度および靭性、大
入熱溶接継手強度および靭性をともに確保するために
0.48%以上とする。
+Ni/40+Cr/5+Mo/4+V/14(重量
%)と定義する。 19)スラブ加熱温度:1000〜1200℃ 合金元素の固溶をはかり十分な焼入れ性を確保するとと
もに、所定の圧延仕上温度を達成するため、加熱温度は
1000℃以上とする必要がある。しかし1200℃を
越える加熱温度はミクロ組織の粗大化によって母材靭性
を損なうので上限を1200℃とする。 20)直接焼入れ時の圧延仕上温度:T〜1050℃ ただし、板厚t(mm)の場合に、T=20Mn+10N
i+15Cr+100Mo+1500Nb+15Cu+
150V+500(Ti−3.42N)−8(t)0.5
+830と定義する。
母材靭性、音響異方性に大きな影響を及ぼす要素であ
り、添加元素の量に応じて厳密に限定する必要がある。
圧延仕上温度がT℃より低くなると、母材靭性は低下
し、音響異方性は増大する。したがって下限温度をT℃
と限定する。一方、圧延仕上温度が1050℃を越える
とミクロ組織が粗大化し母材靭性の劣化が著しくなる。
したがって上限温度を1050℃と限定する。直接焼入
れ温度をAr3 変態点以上とした理由は、母材強度およ
び母材靭性を確保するためである。 21)焼戻し温度:600℃以上Ac1 変態点以下(6
00〜700℃) 焼戻し温度は溶接継手強度の確保のために600℃以上
にする必要がある。しかし、焼戻しをAc1 変態点を越
える温度にて実施すると、過度の強度低下を引き起こ
す。
実施例について説明する。表1に実施例の鋼種1〜29
と比較例の鋼種30〜41とにつき組成、板厚、炭素等
量値Ceq、温度パラメータTをそれぞれ示す。炭素等量
値Ceqは、Ceq=C+Mn/6+Si/24+Ni/4
0+Cr/5+Mo/4+V/14(重量%)で表わさ
れる式を用いて求めた値を示している。温度パラメータ
Tは、T=20Mn+10Ni+15Cr+100Mo
+1500Nb+15Cu+150V+500(Ti−
3.42N)−8(t)0.5 +830で表わされる式を
用いて求めた値を示している。
26〜29はCu含有鋼であり、鋼種3,4,7〜1
5,19〜21,23〜25,27,28はV含有鋼で
あり、鋼種11,12,16,19,23はTi含有鋼
であり、鋼種2,4,9,10,12,15,18,2
1,24,25,28はCa含有鋼であり、鋼種4,
6,10,12,13,18,21,25,28はRE
M含有鋼である。これらの鋼種の添加成分は、それぞれ
Cu0.01〜0.5%、V0.02〜0.1%、Ti
0.005〜0.02%、Ca0.0005〜0.01
%、REM0.0005〜0.01%の範囲に入ってい
る。
が0.49〜0.69の範囲にあり、温度パラメータT
が865〜923の範囲にあり、板厚tが50〜100
mmの範囲にある。
がそれぞれ0.087%,0.095%と高すぎ、鋼種
30はC含有量が0.054%と低すぎる。比較例のう
ち鋼種33は、Ni含有量が0.45%と低すぎる。
1.08%と高すぎる。比較例のうち鋼種35は、Mo
含有量が0.87%と高すぎる。比較例のうち鋼種36
は、Nb含有量が0.041%と高すぎ、鋼種37はN
b含有量が0.003%と低すぎる。
0012%,0.0008%とそれぞれ有意(0.00
02%を上回る)に含むB含有鋼である。比較例のうち
鋼種38は、炭素等量値Ceqが0.47と規定値0.4
8を下回っている。
007%と高すぎる。次に、表2を参照しながら実施例
の効果について説明する。表2は、表1に示した組成の
各鋼種の諸性質について調べた結果をまとめたものであ
る。具体的には板厚、スラブ加熱温度、圧延仕上温度、
焼戻し温度などの諸条件を変えて製造したときに、各鋼
種の機械的強度特性(降伏強さ、引張強さ)、靭性(破
面遷移温度vTs)、音響異方性、溶接性(最高硬
さ)、大入熱溶接性(大入熱HAZvTs)、およびS
R割れ特性(SR断面割れ率)などの諸特性がどのよう
な影響を受けるかにつきそれぞれ調べた。以下、諸特性
につき順に説明する。 1)機械的強度特性 各鋼種の降伏強さ及び引張強さはJIS4号試験片を用
いて測定した。降伏強さが685N/mm2 以上、引張
強度が780N/mm2 以上となるものを合格と判定し
た。実施例の鋼種1.1 及び2〜29はすべて降伏強さ及
び引張強さの要求を満たす結果が得られた。これに対し
て比較例の鋼種1.2 では圧延仕上温度がT℃より低いた
め、また鋼種30ではC含有量が0.054%と低すぎ
るため、それぞれ強度が不足している。 2)破面遷移温度 破面遷移温度vTsは、JIS4号試験片(JISZ22
02)を用いて2mmVノッチシャルピー衝撃試験(荷重9
8N)で測定した。母材の破面遷移温度vTsがマイナ
ス40℃以下となるものを合格と判定した。比較例の鋼
種1.2 は圧延仕上温度がT℃より低いため、また鋼種3
0ではC含有量が0.054%と低すぎるため、それぞ
れ靭性不良が認められた。
9はすべて所定の合格レベルを上回る結果が得られた。 3)音響異方性 音響異方性はJISZ3060に規定された超音波試験に準
拠して評価し、音速比が1.02以下となるものを合格
と判定した。比較例の鋼種1.2 は圧延仕上温度がT℃よ
り低いため、音響異方性の不良が認められた。
9はすべて所定の合格レベルを上回る結果が得られた。 4)溶接性 溶接性は溶接部の最高硬さによって評価した。下記条件
にて各鋼種のJIS1号試験片(JIS Z3101)を採
取し、各鋼種を下記条件で溶接して、ビッカース硬度計
により溶接部の最高硬さHv(98N)を求めた。最高
硬さHv値が350以下となるものを合格と判定した。
7%、0.095%と高いため、鋼種34はCr含有量
が1.08%と高いため、鋼種35はMo含有量が0.
87%と高いため、鋼種39,40はBがそれぞれ0.
0012%、0.0008%と有意に添加されているた
め、それぞれ溶接性の不良が認められた。 5)大入熱溶接継手特性 大入熱溶接継手特性は、大入熱SAWボンド部及び溶接
金属部のシャルピー衝撃試験によって評価した。SAW
の入熱量は12kJ/mm、開先はX開先とした。シャル
ピー衝撃試験は溶接の終端側から板厚tの4分の1のと
ころから採取し、ノッチ位置をHAZ中央、ボンドおよ
び一部溶接金属中央に形成したJIS4号試験片(JI
S Z2202)を用いて実施し、破面遷移温度vTsが0
℃以下となるものを合格とした。比較例の鋼種31,3
2はC含有量がそれぞれ0.087%、0.095%と
高いため、鋼種37はNb含有量が0.003%と低い
ため、鋼種38は炭素等量値Ceqが0.47と低いた
め、鋼種39,40はBがそれぞれ0.0012%、
0.0008%と有意に添加されているため、それぞれ
大入熱溶接金属部の靭性不良が認められた。 6)SRわれ特性 SRわれ特性はJISZ3158に準拠した斜めy形SR割
れ試験によって評価した。SR断面割れ率が75%以下
となるものを合格と判定した。なお、SR保持温度を約
595℃とし、SR保持時間を4.5〜7.4時間とし
た。比較例の鋼種31,32はC含有量がそれぞれ0.
087%、0.095%と高いため、鋼種34はCr含
有量が1.08%と高いため、鋼種35はMo含有量が
0.87%と高いため、鋼種41はS含有量が0.00
7%と高いため、SRわれ特性の不良が認められた。
入熱量5kJ/mm以上の大入熱継手特性および耐SRわ
れ特性に優れた厚物780N/mm2 級高張力鋼の製造
方法を提供することができる。
Claims (4)
- 【請求項1】 重量%でC0.055〜0.084%、
Si0.01〜0.3%、Mn0.8〜1.5%、P
0.01%以下、S0.005%以下、Ni0.5〜
2.5%、Cr0.2〜1.0%、Mo0.1〜0.8
%、Nb0.005〜0.03%、Al0.01〜0.
08%、N0.001〜0.006%を含み、Ceq=C
+Mn/6+Si/24+Ni/40+Cr/5+Mo
/4+V/14(重量%)で定義される炭素等量値Ceq
が0.48以上であり、残部が鉄および不可避的不純物
からなる実質的にBを含有しない鋼を、 1000〜1200℃の温度範囲に加熱し、板厚t(m
m)につき温度パラメータTをT=20Mn+10Ni
+15Cr+100Mo+1500Nb+15Cu+1
50V+500(Ti−3.42N)−8(t)0.5 +
830と定義したときにT〜1050℃の範囲の温度域
で熱間圧延を終了させ、Ar3 変態点以上から直接焼入
し、600℃以上Ac1 変態点以下の温度域に焼戻し処
理し、溶接性、音響異方性、大入熱継手特性および耐S
Rわれ特性に優れたものとすることを特徴とする高張力
鋼の製造方法。 - 【請求項2】 重量%でC0.055〜0.084%、
Si0.01〜0.3%、Mn0.8〜1.5%、P
0.01%以下、S0.005%以下、Ni0.5〜
2.5%、Cr0.2〜1.0%、Mo0.1〜0.8
%、Nb0.005〜0.03%、Al0.01〜0.
08%、N0.001〜0.006%を含有し、さらに
Ca0.0005〜0.01%、REM0.0005〜
0.01%のうち少なくとも1種を含み、Ceq=C+M
n/6+Si/24+Ni/40+Cr/5+Mo/4
+V/14(重量%)で定義される炭素等量値Ceqが
0.48以上であり、残部が鉄および不可避的不純物か
らなる実質的にBを含有しない鋼を、 1000〜1200℃の温度範囲に加熱し、板厚t(m
m)につき温度パラメータTをT=20Mn+10Ni
+15Cr+100Mo+1500Nb+15Cu+1
50V+500(Ti−3.42N)−8(t)0.5 +
830と定義したときにT〜1050℃の範囲の温度域
で熱間圧延を終了させ、Ar3 変態点以上から直接焼入
し、600℃以上Ac1 変態点以下の温度域に焼戻し処
理し、溶接性、音響異方性、大入熱継手特性および耐S
Rわれ特性に優れたものとすることを特徴とする高張力
鋼の製造方法。 - 【請求項3】 重量%でC0.055〜0.084%、
Si0.01〜0.3%、Mn0.8〜1.5%、P
0.01%以下、S0.005%以下、Ni0.5〜
2.5%、Cr0.2〜1.0%、Mo0.1〜0.8
%、Nb0.005〜0.03%、Al0.01〜0.
08%、N0.001〜0.006%を含有し、さらに
Cu0.01〜0.5%、V0.02〜0.1%、Ti
0.005〜0.02%のうち少なくとも1種を含み、
Ceq=C+Mn/6+Si/24+Ni/40+Cr/
5+Mo/4+V/14(重量%)で定義される炭素等
量値Ceqが0.48以上であり、残部が鉄および不可避
的不純物からなる実質的にBを含有しない鋼を、 1000〜1200℃の温度範囲に加熱し、板厚t(m
m)につき温度パラメータTをT=20Mn+10Ni
+15Cr+100Mo+1500Nb+15Cu+1
50V+500(Ti−3.42N)−8(t)0.5 +
830と定義したときにT〜1050℃の範囲の温度域
で熱間圧延を終了させ、Ar3 変態点以上から直接焼入
し、600℃以上Ac1 変態点以下の温度域に焼戻し処
理し、溶接性、音響異方性、大入熱継手特性および耐S
Rわれ特性に優れたものとすることを特徴とする高張力
鋼の製造方法。 - 【請求項4】 重量%でC0.055〜0.084%、
Si0.01〜0.3%、Mn0.8〜1.5%、P
0.01%以下、S0.005%以下、Ni0.5〜
2.5%、Cr0.2〜1.0%、Mo0.1〜0.8
%、Nb0.005〜0.03%、Al0.01〜0.
08%、N0.001〜0.006%を含有し、さらに
Ca0.0005〜0.01%、REM0.0005〜
0.01%のうち少なくとも1種を含み、さらにCu
0.01〜0.5%、V0.02〜0.1%、Ti0.
005〜0.02%のうち少なくとも1種を含み、Ceq
=C+Mn/6+Si/24+Ni/40+Cr/5+
Mo/4+V/14(重量%)で定義される炭素等量値
Ceqが0.48以上であり、残部が鉄および不可避的不
純物からなる実質的にBを含有しない鋼を、 1000〜1200℃の温度範囲に加熱し、板厚t(m
m)につき温度パラメータTをT=20Mn+10Ni
+15Cr+100Mo+1500Nb+15Cu+1
50V+500(Ti−3.42N)−8(t)0.5 +
830と定義したときにT〜1050℃の範囲の温度域
で熱間圧延を終了させ、Ar3 変態点以上から直接焼入
し、600℃以上Ac1 変態点以下の温度域に焼戻し処
理し、溶接性、音響異方性、大入熱継手特性および耐S
Rわれ特性に優れたものとすることを特徴とする高張力
鋼の製造方法。
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JP16208695A JP3296145B2 (ja) | 1995-06-28 | 1995-06-28 | 高張力鋼の製造方法 |
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JPH0913122A JPH0913122A (ja) | 1997-01-14 |
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JP6020017B2 (ja) * | 2011-12-14 | 2016-11-02 | Jfeスチール株式会社 | 耐再熱割れ性と強度、靭性に優れたCr−Mo鋼板およびその製造方法 |
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- 1995-06-28 JP JP16208695A patent/JP3296145B2/ja not_active Expired - Fee Related
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