JP3294281B2 - 割り出し可能なインサートルータ - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 この発明はルータ、より詳細には、実際において高い
金属除去能力の高速エンドミルであるルータに関し、ア
ルミニウム合金の板やスラブからフライス加工によっ
て、航空機部品の一体的な骨格フレームを製造するのに
使用される。

発明の背景 この過酷な施設において、生産設備がその限界まで稼
働させられ、20000r.p.m.で回転する50.8ミリメートル
のルータは、スピンドルから得られる最大パワーを引き
出すような送り量まで駆動され、いくつかの例において
は100HPが可能な工作機械スピンドルを使用した場合、
毎分10.16メートルの送り量まで駆動される。

高い金属除去量および遭遇する大きな遠心力は、この
ような高速フライス加工の最も過酷な局面を工具自体に
形成せず、このような工具が可能でなければならない傾
斜付けによるワークへのプランジ切り込みにおいて、む
しろ発生する。すなわち、この工具は、穿設によってワ
ークにあらかじめ貫入することなく、その表面の軸方向
貫入によってワークに切り込み可能でなければならな
い。これは、回転工具を軸方向および横方向の両方に、
同時か、あるいは反復ステップである相互の何れかで送
ることにより達成され、反復ステップは、径方向両側、
すなわち外方および内方で各切刃インサートの切削能力
を必要する手順である。

このインサートの径方向内側を向く切刃を用いる後者
の切削動作は、放射状部品が外側を向くインサートに切
削反力を結果として招き、外側を向く切刃からオフセッ
トしている内側を向く反作用部品の助けなく、遠心力に
対して付加的に作用し、外側を向く切刃は内側を向く切
刃の切削中に半周期の間、使用されないでいる。

傾斜送りが強引である場合、インサート保持具に対す
るさらなる負荷は、高速時に工具ボディからインサート
の分離の危険性を実質的に増大する。

この問題が従来技術で認識されているという点で、一
体的に交互に係合可能な突起および凹部をそれぞれ持っ
たインサートおよび工具ボディのインサートポケットを
形成することにより、一例において、ポケットの取り付
け面にフライス加工されたカープ（kerf）に受け入れら
れるインサートのキール（keel）状突起を形成すること
により、この問題が対処されている。しかしながら、こ
のような方法は、製造時に調整することが困難であり、
その材料が耐えるのに最適ではない挙動でインサートの
硬質金属の突起に応力を負荷する。

従って、この発明の目的は、単純で容易に製造され、
高速で酷使に耐えるルータに対するインサートの取り付
け金具の相互係合補強を提供することであり、それらが
遭遇する高い遠心力のみならず、ワークへの傾斜切り込
みから結果として生ずるインサート保持具への付加的な
力にも耐えることを可能とする。

発明の簡単な説明 本発明によるルータにおいて、板状のインサートは、
当該インサートの２つの貫通孔の皿穴面に係合する２つ
の皿頭保持具により、その個々のポケットに固定され、
インサートの裏側または取り付け面は、２つの保持穴の
間に配置された盲穴の形状に凹んでいる。ルータボディ
のインサートポケットの取り付け面からの係合突起は、
隙間を介して凹部にそれ自身が取り付けられ、インサー
ト保持具が与えられた負荷の下で曲げられた場合、凹部
の壁に係止するようになっており、その十分な撓みに対
してのみ保持具を補強するのに役立ち、インサートの正
確な取り付けを干渉せず、インサートはその保持具によ
って正しい場所に固定される。

図面の説明 本発明の好ましい実施例が添付図面に例示されてお
り、この添付図面の 図１は、本発明のルータの正面図であり、 図２は、その底面図であり 図３は、一部破断側面図であって本発明の重要な特徴
を示し、 図４は、本発明の割り出し可能な切刃インサートの４
つの正射投影図のシリーズであって、図４（ａ）はすく
い面を示し、図４（ｂ）は側面図を示し、図４（ｃ）は
取り付け面を示し、図４（ｄ）はこのインサートの端面
図を示し、 図５は、本発明のルータに関するワークの断面図であ
って、回転工具のいわゆる傾斜切り込みによってワーク
にフライス加工される凹部から撤退後の破断正面を示し
ている。

好ましい実施例の詳細な説明 好ましい形態における本発明のルータ10が図1,図２お
よび図３に完全に示されている。

このルータは、２つの一体的に連結された実質的に円
柱状の部分、すなわち駆動シャンク12と、カッタヘッド
14とを具えている。駆動シャンクは、図示しないいわゆ
るHSK適合連結具による把持係合のために形成され、自
動工具交換装置により把持され、次いで主軸頭のスピン
ドルへ配置されるように設計されている。

前記適合連結具にこれを取り付けるため、シャンク12
には、一体のカッタヘッド14との連結箇所でアンダーカ
ット16が旋削されており、このシャンクは正確な円柱状
に研削可能となっている。同様に、カッタヘッドのフェ
ーシングショルダ18は、平滑に研削されて工具の軸線20
に対して正確に直角であり、これらの面は、上述した適
合連結具に対する工具の位置決め面であって、これを介
して20000r.p.m.を使用する工具を動的にバランスさせ
る必要のある高速機器に対する工具の位置決め面であ
る。

例示した工具径において、カッタヘッド14は、シャン
ク12よりも直径がわずかに大きい。その自由端におい
て、その角度は丸くなっており、円錐台の形状の軸方向
凹部22は端面に旋削されており、ワークに対し、図１さ
らに図５に示した角度αでのルータの傾斜切り込みのた
めの逃げをもたらす。正反対にある同一のチップ刃溝24
は、カッタヘッドにフライス加工され、平坦面26が与え
られて２つの切刃インサート28を望ましいすくい角βに
配置し、これら切刃インサートは、それぞれチップ刃溝
の平坦面26にフライス加工されたポケット30に収容され
る。切削液は、主軸頭のスピンドルから流体導管として
役立つ軸穴31を介してルータ10の切削領域に送給され
る。

焼結硬質金属（WC）の切刃インサート28は、図４グル
ープの四面図に示されており、図４（ａ）はインサート
のすくい面32を構成する大きな面を示しており、ほぼ矩
形図面の細長い平板の形状を採用している。２つの正反
対の角部は、径方向内側に面して直線で斜めの切刃34を
もたらし、カッタヘッド14に取り付けられた場合、この
インサートの両端を逆に回転することによって、切削位
置に順番に割り出されるようになっている。残りの正反
対の角部36は、図４（ａ）の下端に示されているよう
に、表示されるような丸みが付けられるか、四角に残す
か、あるいは表示されるものよりも大きいまたは小さい
半径で丸みを付けることができ、これは仕事の要求に依
存する。

何れの場合においても、インサート28は、その割り出
し位置の両方において、上述した内側に面する切刃34
と、端部方向または底部の切刃38と、側面切刃40とを最
小限もたらし、後の２つは、盲穴またはポケットのフィ
レットフライス加工のために選択される切刃インサート
の丸みが付くか、円形の切刃36によって結ばれている。

このインサートの切刃面は、すくい面の切刃からより
小さいけれども類似の反対の大きな面41まで傾斜してお
り、この大きな面は当該インサートの取り付け面であ
る。このインサートの傾斜切刃面は、工具の軸方向およ
び半径方向の送りのために切刃の後方に逃げを与え、内
側に面する傾斜切刃34の後方の傾斜切刃面に逃げ角は、
他の切刃の後方のそれらよりも小さく、これが上端の非
切削位置（図１参照）にある場合、遠心力によってイン
サートポケットの上端からのずれに対してその抵抗を増
大している。

このインサート28には、２つの貫通孔42が当該インサ
ートの長手方向軸線上に形成されており、これらはイン
サートの両端から等間隔にあり、すくい面32から皿穴に
して一対の皿頭の保持用ねじ43を受容する。これら２つ
の保持用ねじ孔42の間のインサートのほぼ長手方向軸線
上には、盲穴の形状の凹部44が取り付け面41に形成さ
れ、カッタヘッドのインサートポケット30の対応する取
り付け面48から突出するピン46を受容する。

カッタヘッド14ならびに特に図１および図３に戻り、
インサートポケット30は、チップ刃溝24の平坦面26にフ
ライス加工されており、使用していない側面切刃40よび
使用していない傾斜切刃34の切刃面または逃げ面に適合
するようになっている。図１に最も良く示されているよ
うに、このインサートの使用していない端部または上端
は、ポケットの対応する端面の間に楔のように合致し、
このポケットはインサートの側面および傾斜逃げ面と係
合し、後者の逃げ面は、ポケットの壁の半島状の延在部
50によって、径方向外側への移動が抑制されている。

保持用ねじ43は、ポケットの取り付け面48に対してほ
ぼまたは大体直角なねじ孔52に受容される。すなわち、
保持用ねじは、参照することによってこの明細書に組み
入れられるErkfritzの米国特許3,662,444の「ベントね
じ」の原理を使用している。ねじ孔の軸線は、ポケット
の端面と係合してインサートを側方に強力に押し付ける
方向にほぼ２゜傾けられており、インサートの複数の切
刃を正確に位置決めする。ねじの皿頭部は、インサート
の穴の皿穴面に係合するので、ねじの軸部は、ポケット
の位置決め壁に対してインサートの側方への押圧を保持
するように曲がり、同時にその取り付け面48上に堅固に
インサートを固定する。このインサートの貫通孔42は、
ねじの曲げに対応すべく故意に大きく形成されており、
関連するすべての部品は、それらの弾性限界内でねじの
曲げ応力を維持するように特定の寸法に合わせて作られ
ている。

カッタヘッドの自由端からより遠くにあるねじの場
合、側方押圧の方向は、図１中の矢印によって示される
ように、斜め内側で上向きであり、ポケットの上端にお
いて対向する切刃位置決め面の間に、より確実にインサ
ートを押し込むようになっている。また、これよりも下
側にあるねじの側方押圧は、矢印によって示されている
ように、径方向内側に向けられている。

カッタヘッドの２つのねじ穴52の間には、ピン46、好
ましくはロールピンを圧入で受容する穴54がポケットの
取り付け面48に対して直角に穿設されて仕上げられてい
る。このピン46は、穴54のポケット端部から打ち込まれ
て突出可能にされ、インサートの取り付け面の凹部44に
それ自身を取り付けるようになっており、全体で0.254
ミリメートルを越えない横方向の隙間を有することが好
ましく、記載したようなインサートの正確な取り付けに
干渉しないようになっている。しかしながら、保持用ね
じが、特に下側のねじが遠心力の下で、また、図５に模
式的に例示されたワークへの傾斜切り込み中に内側に面
する傾斜切刃34に対する遠心力と、さらなる径方向外側
の切削反力との下で、さらに曲げられた場合、ピン46
は、インサートを正しい場所に固定するように保持用ね
じを補強する。

最大有効傾斜角が図１および図５の角度αにより例示
されている。これは、このカッタの反対側のインサート
の直線で内側に面する切刃34のそれぞれ下端部と上端部
との間の線による端部方向の切刃38の切削面とのなす角
度である。内側に面する切刃の全深さを切削するように
企図された割合で軸方向内側への送りを行う。幾分小さ
めな角度の傾斜付けは、ワークへのカッタヘッドの自由
端が食い付くのを抜け目なく回避するけれども、生産フ
ライス加工は、最大能力で切削工具を使用する傾向があ
る。

螺旋補間によるワークへの傾斜切り込みは、図５によ
って例示された技術である。すなわち、工具の回転軸線
は、螺旋経路の角度とピッチとを決定する一定の軸線送
りで円形経路の数値制御により動かされ、この軸線送り
は最大傾斜角よりも多少小さく描かれている。あるい
は、カッタをプランジカットで軸方向に送り量を増大さ
せながら進め、そして同じ結果を達成するように横方向
に送ることができる。何れのモードの切り込みにおいて
も、内側に面する切刃によって加えられる切削力に対す
る反力は、遠心力に対して付加的であり、傾斜付け中で
の高速かつ切削負荷において、インサートポケットにイ
ンサートを固定している保持用ねじを補強することが大
変望まれている。

この目的のため、相互突出ピン46および切刃インサー
トの取り付け面の嵌合凹部44が本発明によってもたらさ
れている。

本発明は、２つの正反対のチップ刃溝とインサート取
り付け部とを有するルータに対してこれを適用して例示
しているけれども、周囲に等間隔に配置したり、工具の
動的バランスに対して他の適当な寸法を取った任意の数
のインサートのルータを同じように適用できることが理
解されよう。

さらに、上記Erkfritzの特許の形式で用いたそのポケ
ット内にインサートを固定するための皿ねじは、その単
純さにより好ましいけれども、他の皿頭の保持具が知ら
れており、そのポケットにインサートを固定する通常の
力と同じように向けられる力を横方向にもたらすことが
可能である。

圧入ロールピンは、インサート保持具を補強するため
にインサートポケットの取り付け面から突出する現状の
ような好ましい形状であるけれども、頭部を持ったね
じ，止めねじおよびダウエルピンの如き他の金具がそれ
らの代わりとして合理的に提案することができる。同様
に、インサートの裏側の凹部44は丸穴として示されてい
るけれども、凹部の他の形状が、インサートの両方の割
り出し位置における作業状態の下で、取り付け面からの
突起により完全な係合のための径方向に対向する壁をこ
れが提供するならば、機能的に同等である。焼き付きか
ら少なくとも歪みを受けて応力集中が相対的にない凹部
の形状が好ましい。

新規で特許可能であると思われる本発明の特徴は、以
下の請求の範囲で明らかにされる。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平１−281810（ＪＰ，Ａ) 特開 昭55−157418（ＪＰ，Ａ) 特開 平７−164213（ＪＰ，Ａ) 実開 平１−79510（ＪＰ，Ｕ) (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) B23C 5/22,5/10 B23B 27/16

Claims (3)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】スラブ原料のワークから一体骨格構造体を
   製造するためのアルミニウム合金に対する高速フライ加
   工用ルータであって、 ほぼ円柱状の回転可能なカッタヘッドを具え、このカッ
   タヘッドは、その自由端の中央の円錐状の凹部と、当該
   カッタヘッドの周囲に等間隔に配列する複数のチップ溝
   とを有し、これらチップ溝のそれぞれは、該カッタヘッ
   ドの切削方向に面する平坦面を有し、交換可能であって
   両端を逆にして割り出し可能な板状の硬質金属切刃イン
   サートが取り付けられるポケットがフライス加工により
   設けられており、 前記カッタヘッドの軸方向に延在する前記インサート
   は、対向するすくい面と取り付け面とを有し、前記すく
   い面は、対向する端部切刃の一方にそれぞれ合体する細
   長い側面切刃を有し、端部切刃は前記カッタヘッドのほ
   ぼ径方向に延在して切削のために供される前記インサー
   トの端部の径方向外側部分を占め、 切削のために与えられる前記インサートのそれぞれ端部
   の残りの部分は、その関連する端部切刃から前記凹部の
   断面にほぼ一致して前記カッタヘッドの回転軸線に向
   け、斜め後方に傾斜して径方向内側に面する切刃をもた
   らし、 逃げ面として、前記切刃から後方に傾斜する前記インサ
   ートの端面を具え、 前記インサートの前記与えられた端部と反対側の端部
   は、その取り付け面から立ち上がるその対応したポケッ
   トの対応する壁によって、前記隣接する斜めの切刃面の
   逃げ面と、与えられた側面切刃と反対の端面切刃とに沿
   って延在し、前記対応する壁の間の楔として前記インサ
   ートの使用していない端部を受容し、 前記インサートは、長手方向に一定の隙間を保つ２つの
   穴を有し、これら穴は前記側面切刃の間の中間にあり、
   前記インサートの両端から当距離に一定の隙間を保ち、
   そのすくい面と取り付け面との間で前記インサートを貫
   通して延在し、後者から皿穴があけられ、 前記穴に配置されてそのポケット内に前記インサートを
   それぞれ固定する一対の皿頭留め具を具え、これら一対
   の皿頭留め具は、わずかに傾けられる小ねじであり、前
   記インサートの前記貫通孔の皿頭面と係合して曲げら
   れ、前記カッタヘッドの自由端からより離れている当該
   小ねじは、前記カッタヘッドの軸線に向けて内側および
   上側に傾けられ、残りの小ねじは径方向内側に傾けら
   れ、 前記インサートはまた、前記２つの貫通孔の間のその取
   り付け面に凹部を有し前記ポケットの前記取り付け面か
   ら突出する突起と両方の割り出し位置で確実に係合状態
   にあり、 前記インサートが前記留め具によって前記ポケットに固
   定された場合、前記突起は前記凹部内で僅かに横の隙間
   を有し、 前記隙間は、前記インサートに対して径方向外側に働く
   力の下で前記留め具の曲がりにより、前記突起が前記凹
   部の前記壁に係止状態となるように選択され、これによ
   りそのポケット内で前記インサートを保持している前記
   留め具を補強するルータ。
2. 【請求項２】前記インサートの前記取り付け面の前記凹
   部は盲丸穴であって、前記ポケットの前記取り付け面か
   らの前記係合突起がロールピンである請求項１に記載の
   ルータ。
3. 【請求項３】前記相互嵌合ピンは前記盲穴に対して0.25
   4ミリメートルの最大直径隙間を有する請求項２に記載
   のルータ。