JP3293129B2 - 半硬質磁性材料の製造方法および半硬質磁性材料ならびにそれを用いてなる磁気マーカ - Google Patents

半硬質磁性材料の製造方法および半硬質磁性材料ならびにそれを用いてなる磁気マーカ

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、リレーや磁気マー
カ用バイアス材に用いられる半硬質磁性材料の製造方法
および半硬質磁性材料ならびにそれを用いてなる磁気マ
ーカに関するものである。
【0002】
【従来の技術】磁化状態を保持でき、消磁も可能な半硬
質磁性材料は、古くはリレー用の材料として使用されて
きた。代表的な半硬質磁性材料として、特公昭51−1
8884号に記載されるような、Fe−Cr−Co系合
金等が知られている。このような半硬質磁性材料として
は、その保磁力、飽和磁束密度などの様々な磁気特性の
要求から、上述したFe−Cr−Co系合金に限らず、
様々な合金が提案されている。また、半硬質磁性材料の
用途として、特開平8−83385号に記載されるよう
な物品の監視などに用いられる磁気マーカー用のバイア
ス素子としても利用可能である。このバイアス素子は、
アモルファス磁性材料等からなる磁歪素子と組み合わせ
て使用され、磁歪振動を調整するために用いられるもの
である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】リレーや磁気マーカ用
バイアス材に用いられる半硬質磁性材料としては、保磁
力の調整が容易であるとともに飽和磁束密度が高く、か
つ磁化状態と消磁状態のオン・オフが明確であることが
求められる。磁化状態と消磁状態のオン・オフが明確で
あるということは、磁気特性を表わすB−H曲線におい
ては、角形性が高く、さらには、B−H曲線の各象限の
肩部が角張っており、矩形に近い形状を示すということ
で視覚的に捕らえることができる。肩部が角張っている
ことは、すなわち、磁性材料において、磁壁の異動や磁
区の回転が、ある強さの印加磁場で一斉に起こることを
示している。
【0004】本発明者は、このような半硬質磁性材料と
して、互いに固溶度が低いため2相に分離するFe−C
u系合金に着目した。Fe−Cu系合金は、磁性を有す
るFeを主体とするマトリックスに分散させる非磁性の
Cu相の量によって保磁力を調整することが容易である
半硬質磁性材料として知られている。しかし、実際にF
e−Cu系の半硬質磁性材料を溶製法で製造しようとす
ると、FeとCuの凝固点に大きな差があることから、
造塊時に合金インゴットの中心部にCuが凝集する問題
や、Cu相の分離により特に熱間における加工性が極め
て悪く割れが生じる問題等のため、合金インゴットを塑
性加工する方法ではとても量産化できるものではなかっ
た。
【0005】ところで、異種金属の複合体を製造する方
法として、熱処理38巻2号平成10年4月発行P75
〜79に記載されるように異種金属を積層し、多段の圧
延を繰り返すことによって、金属多層体を製造する方法
が知られている。この方法をFe−Cu系合金に適用す
ると、FeとCuの板を積層するため、インゴットを塑
性加工する場合のような造塊性、加工性が悪いという問
題は解消される。そして、この金属多層体ではFeとC
uが極めて狭い間隔で積層した組織状態となり、保磁力
がやや向上する。しかし、Cuは実質的に箔の状態で存
在しているため、半硬質磁性材料としては十分でない。
もちろんCuの存在比を高くすれば、保磁力は大きくな
るが、飽和磁束密度が低下してしまうという問題があ
る。本発明の目的は、上述した問題点に鑑み、新規な半
硬質磁性材料の製造方法と、それによって得られる優れ
た磁気特性を有する半硬質磁性材料、及び該半硬質磁性
材料を用いてなる磁気マーカを提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者は、先ずFeと
Cuを多層化した材料を半硬質磁性材料として適用すべ
く金属組織の改良を鋭意検討した結果、驚くべきことに
FeとCuを多層化した金属体を加熱していくと、Cu
層が凝集、球状化することにより、Cu層が分断して細
分化することを知見した。そして、この分断した組織を
さらに冷間で塑性加工することで、組織に異方性を付与
することができ、Cuが完全な層状に存在している場合
に比べて、著しく保磁力を高めることができることを見
いだし、本発明に到達した。
【0007】すなわち、本発明は、磁性を有するFeを
主体とするA層と、Cu族非磁性金属を主体とするB層
が積層された多層体を得た後、該多層体を加熱し、前記
B層を分断化処理した後、冷間での塑性加工を施す半硬
質磁性材料の製造方法である。分断化処理は、保持温度
685〜1085℃、保持時間10〜180分で行うの
が好ましい。本発明においては、さらに冷間での塑性加
工後に、加熱して角形性や磁化急峻性を高める急峻化熱
処理を施すことが好ましく、前述の急峻化熱処理は、保
持温度400℃〜700℃、保持時間2〜120分で行
うのが好ましい。また本発明は、冷間での塑性加工によ
り、厚さ0.03〜1.0mmの薄板とする半硬質磁性
材料の製造方法である。
【0008】本発明の半硬質磁性材料は、磁性を有する
Feを主体とするA層を介して、部分的に分断した板状
のCuを主体とするB層が複数枚積層された組織を有す
る半硬質磁性材料である。また本発明では、上述した本
発明の半硬質磁性材料を、磁気マーカ用の磁歪素子にバ
イアス磁界が印加されるように配置することで、磁気マ
ーカとすることができる。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明の基本的な技術は、Feと
Cuとが積層された多層体のCu層を熱処理により分断
し、さらに冷間で塑性加工を施して組織に異方性を付与
することで、保磁力や角形性、磁化急峻性を高めたこと
にある。以下に詳しく本発明を説明する。本発明の素材
となる多層体において、磁性を有するFeを主体とする
A層は、基本的な磁気特性を確保するために必要であ
る。磁性を有するFeを主体とするA層としては、純鉄
である必要はなく、必要に応じて、脱酸元素のAl、S
i、Mnが残留していても良いし、耐食性元素Cr等、
あるいは、強度に寄与するCなどの元素を含有していて
も良い。
【0010】また、本発明において、B層としては純C
uだけでなく、Cu族非磁性金属すなわち、Cu、A
g、Auを単体または合金として利用することができ
る。これらの元素はFeに固溶しにくく、組織中に磁壁
の移動や磁区の回転を妨げる第2相として存在させるこ
とができ、保磁力を高める作用を有するからである。も
ちろん、Cu族非磁性金属の相は微量成分およびCu族
非磁性金属に固溶する添加元素を含有してもよい。Cu
はCu族のうち最も安価に入手することが可能であるの
で、Cuを利用するのが最も好ましい。
【0011】この多層体は、たとえばA層となる磁性を
有するFeを主体とする金属板と、B層となるCu族非
磁性金属板を交互に積層したものを、熱間静水圧プレス
あるいは熱間圧延、またその組み合わせ等により接合し
たもの、あるいはさらに冷間圧延したものを用いること
ができる。保磁力を高めるためには、できるだけCuを
微細分散させることが好ましく、素材となる多層体のC
u族非磁性金属層はできるだけ薄いことが望まれる。そ
のためには、一旦積層して薄肉化した多層体を、さらに
複数毎重ねて、接合した多層体を使用する方法、あるい
はより多層に積層した多層体を板厚方向にプレスする方
法等が考えられる。
【0012】ここで、要求される保磁力の調整はA層と
なる磁性を有するFeを主体とする金属板と、B層とな
るCu族非磁性金属板の板厚の組み合わせで調整が容易
であることも本発明の特徴の一つである。この時のB層
となるCu族非磁性金属板は、半硬質磁性材料に求めら
れる保磁力から、多層体中のCu族非磁性金属が質量比
率で3〜30%の範囲となるように調整することが好ま
しい。さらに好ましくは8〜20%の範囲である。
【0013】上述の種々の方法で得られるFeとCu族
非磁性金属とが積層された多層体を、適当な温度で加熱
することにより、Cu系非磁性金属層は分断される。こ
の処理を本発明では分断化処理と言う。この分断化処理
の温度は、例えばCu族非磁性金属としてCuを採用す
る場合、685〜1085℃といった、Cuの融点以下
300℃程度が望ましい。この温度範囲に加熱すること
で、Cu層を微細に分断化できる。したがって、磁性を
有するFeを主体とする層を介して、部分的に分断した
板状のCuを主体とする層が複数枚積層された組織とな
る。
【0014】また、分断化処理の保持時間は、加熱温度
が高ければ短時間で良いが、短すぎては十分にCu層が
分断できないので、保持時間は最短でも10分程度保持
することが好ましい。また、長すぎては工程上、生産性
の妨げとなるので、長くても180分程度にとどめると
良い。より好ましい保持時間は30〜60分である。さ
らに言えば、Cu層が多層体の端部から溶け出さないよ
うに留意し、保持時間を5分程度に調整するならば、C
uの融点以上の温度、すなわち1085〜1200℃程
度の温度で保持しても良い。
【0015】その後、冷間で塑性加工すると、組織に異
方性が生じ、その結果、磁気異方性を付与でき、保磁力
や角形性、磁化急峻性を高めることができる。すなわ
ち、分断したCu族非磁性金属層が圧延もしくは引き抜
き等といった塑性加工によって展伸されることで、塑性
加工の長手方向と直角方向に幅を持った長手方向に伸び
た非磁性領域が分散した組織となる。Cu族非磁性金属
層をより微細に分断することで、Cuが完全な層状に存
在している場合に比べて、著しく保磁力を高めることが
できる。
【0016】また、この塑性加工によって、磁性を有す
るFeを主体とするマトリックスの集合組織化を進める
ことができる。磁性を有するFeを主体とする合金に塑
性加工を加えていくと、材料が集合組織化する。塑性加
工として冷間圧延を採用した場合、圧延方向が<011
>方向となり、{100}<110>と{112}<1
10>との集合組織となる。本発明においても、磁性を
有するFeを主体とする層に関して、同じように、{1
00}<110>と{112}<110>との集合組織
が形成されていく。また、分断化処理によってCu族非
磁性金属層が微細に分断されているため、冷間の塑性加
工として冷間圧延を施すと、磁性を有するFeを主体と
するマトリックスの集合組織中に、部分的に分断した板
状のCu族非磁性金属を主体とする層が複数枚積層され
た組織となっていく。集合組織とすることは、磁壁の移
動や磁区の回転を妨げる要素の種類を限定することにつ
ながり、磁壁の移動や磁区の回転が、ある印加磁場で一
斉に起こるようになる。すなわち、角形性や磁化急峻性
が高まるのである。本発明の半硬質磁性材料は、厚さ
0.03〜1.0mmの薄板とすることが好ましい。こ
の程度の板厚にすることで、磁気マーカのバイアス材と
したときに、磁気マーカの小型化につながるためであ
る。また、薄板状のみではなく、例えば棒状、角柱等の
形状でも良いことは言うまでもないが、冷間での塑性加
工としては、冷間圧延が、引き抜き等の手法に比して生
産性の点で優れている。また、所望するバイアス磁界の
大きさや用途にもよるが、薄いほど使用上、小型化が可
能となる。
【0017】また本発明において、冷間塑性加工の後に
加熱して角形性や磁化急峻性を高める急峻化熱処理を施
すことにより、磁気特性をさらに改善することができ
る。この熱処理は通常、時効処理と呼ばれるものであ
る。塑性加工による歪が多く残留していると、この歪に
よっても、本来優れた軟磁性を有するべきFeを主体と
するマトリックスの磁壁の移動や磁区の回転が妨げられ
てしまう。こうなると、角形比が低く、B−H曲線がな
だらかな、すなわち角形性や磁化急峻性の悪い半硬質磁
性材料となってしまう。
【0018】そこで、この時効処理を施すことによって
磁性を有するFeを主体とするマトリックスの歪取りが
なされるため、磁壁の移動や磁区の回転が容易となり、
磁壁の移動や磁区の回転を妨げる主要素を、分散したC
u族非磁性金属に限定することができるため、角形比が
高く、B−H曲線が矩形に近い、すなわち角形性や磁化
急峻性に優れた半硬質磁性材料を得ることができるので
ある。したがって、本発明においては、磁化急峻性を高
める時効処理という意味で、急峻化熱処理と呼ぶ。磁化
急峻性は、特に磁気マーカー用バイアス材の特性として
重要であり、Br/B8kを80%以上とすることが望
ましい[Brは残留飽和磁束密度、B8kは、8000
A/mの磁場中での磁束密度である。]。
【0019】上述の急峻化熱処理の保持温度は、400
〜700℃が好ましい。保持温度が低すぎると、磁性を
有するFeを主体とするマトリックスの歪を十分に除去
することができない。したがってより好ましい保持温度
は450℃以上である。また保持温度が高すぎると、分
断されたCu族非磁性金属を主体とする相が互いに凝集
して粗大化してしまい、磁壁の移動や磁区の回転を妨げ
る効果が十分に得られなくなる恐れがある。したがって
より好ましい保持温度は450〜600℃である。
【0020】また、急峻化熱処理の保持時間は、2〜1
20分が好ましい。保持時間が短すぎると、磁性を有す
るFeを主体とするマトリックスの歪を十分に除去する
ことができない。したがってより好ましい保持時間は3
分以上である。また保持時間が長すぎると、分断された
Cu族非磁性金属を主体とする相が互いに凝集して粗大
化してしまい、磁壁の移動や磁区の回転を妨げる効果が
十分に得られなくなる恐れがある。また、生産性の点か
らも、保持時間はできるかぎり短くすることが好まし
い。したがってより好ましい保持時間は60分以下であ
る。
【0021】上述した製造方法を用いることにより、磁
性を有するFeを主体とするA層を介して、部分的に分
断した板状のCuを主体とするB層が複数枚積層された
組織を有する半硬質磁性材料となる。具体的な一例を示
せば、図4のような断面組織となる。そして、この半硬
質磁性材料は、角形性、磁化急峻性に優れ、とりわけ磁
気マーカ用バイアス材として好適な材料となる。
【0022】上述の半硬質磁性材料は、例えば、図9に
示すように、本発明の半硬質磁性材料をバイアス素子
(7)として、アモルファス製の磁歪素子(9)と組み
合わせて磁気マーカとすることができる。具体的な一例
としては、厚さ0.03mm、幅6mm、長さ38mm
に磁歪素子(9)を調整し、この磁歪素子(9)に対し
て所望のバイアス磁場を印加できるように、厚さ0.0
5mm、幅6mm、長さ32mmの寸法にバイアス素子
(7)を調整する。このバイアス素子(7)樹脂で裏打
ちするかもしくは樹脂ではさみ込んだパック(8)を、
アモルファス製の磁歪素子(9)を互いに近接させるよ
うに配置し、くぼみを有する上蓋と平らな下蓋とからな
るプラスチック製のケース(10)に封入することで、
磁気マーカとすることができる。磁歪素子としては、米
国特許5628840号に記載されるアモルファス合金
等、半硬質磁性材料で得られる磁界に合わせて選択する
必要がある。また、ここでは、薄板状のバイアス素子お
よび磁気マーカを示しているが、例えば棒状、角柱等の
形状でも良い。
【0023】
【実施例】本発明の半硬質磁性材料の製造法のおおまか
な工程を図1に示す。電磁軟鉄薄板と無酸素銅とを質量
比率で13%Cuとなるように調整して積層したものを
熱間圧延し、得られた圧延品をさらに積み重ねて熱間圧
延する工程により、図2に示すような積層された断面組
織を有する板厚3mmの本発明の素材となる多層体
(1)を得た。黒っぽく見える磁性を有するFeを主体
とする層と、白く見えるCuを主体とする層とが交互に
積層された組織となっていることがわかる。多層体は、
約1500層であった。この素材となる多層体(1)に
対し、800〜1075℃、60〜180分の分断化処
理(2)を施し、Cu層を分断した。図3はその一例
で、800℃、60分の分断化処理を施したものであ
る。(A)および(B)は圧延長手方向の、(C)およ
び(D)は圧延幅方向の断面組織である。長手方向、幅
方向ともに白く見えるCu層がところどころ切れている
のが確認できる。分断化処理後、冷間での塑性加工とし
て冷間圧延(3)を施し、種々の板厚の半硬質磁性材料
を得た。
【0024】さらに、あるものには冷間圧延(3)の後
に、800℃、30〜60分の軟化焼鈍(4)を施し
た。この軟化焼鈍(4)によってもCu層の分断化が期
待できる。その後、冷間での塑性加工として冷間圧延
(5)を施し、種々の板厚の半硬質磁性材料を得た。こ
れら得られた半硬質磁性材料から磁気特性測定用の試料
を切り出し、採取ままの磁気特性を測定した(No.1
〜10)。さらに、それぞれに加熱して角形性や磁化急
峻性を高める急峻化熱処理(6)を施し、急峻化熱処理
後の磁気特性を測定した(No.11〜20)。各試料
に施した処理を表1に、磁気特性の測定結果を表2に示
す。測定結果の一例としてNo.7のB−H曲線を図7
に、No.17のB−H曲線を図8に示す。素材となる
多層体(1)を比較材No.21とし、この多層体の磁
気特性を測定した。表2に測定結果を、図6にB−H曲
線を示す。
【0025】
【表1】
【0026】
【表2】
【0027】表2に示すように本発明の半硬質磁性材料
No.1〜20は、比較材No.21に比して高い角形
比を得ることができているのがわかる。Br/B8kの
値もおおむね80%以上、なかには85%を越えるもの
もあり、磁気マーカ用バイアス材として好適な半硬質磁
性を有していることがわかる。また、図6に示した比較
材No.21のなだらかなB−H曲線に比して、図7に
示した本発明の半硬質磁性材料No.7のB−H曲線は
矩形に近く、優れた磁化急峻性を有していることがわか
る。また、図7に示したNo.7のB−H曲線に比し
て、図8に示したNo.17のB−H曲線の方がさらに
矩形に近い形状を呈しており、急峻化熱処理によって磁
化急峻性が大きく向上していることがわかる。
【0028】本発明の半硬質磁性材料のミクロ組織を、
走査型電子顕微鏡を用いて観察した。ミクロ組織の一例
を図4〜図5に示す。図4は本発明の半硬質磁性材料N
o.7のミクロ組織である。(A)は圧延長手方向の縦
断面の、(B)および(C)は圧延幅方向の横断面のミ
クロ組織である。いずれも、黒っぽく見える磁性を有す
るFeを主体とするマトリックスに、Cuを主体とする
B層が分断され、Cuの相が白い筋状もしくは点状に分
散しており、磁性を有するFeを主体とするA層を介し
て、部分的に分断した板状のCuを主体とするB層が複
数枚積層された組織となっていることがわかる。写真
(A)の横方向が冷間圧延の長手方向であり、Cuはこ
の方向に筋状に見える。写真(B)および(C)では、
Cuを主体とする層が分断されている様子がよく分か
る。したがって、Cuは実際には板状で冷間圧延の長手
方向に展伸されて、磁性を有するFeを主体とするマト
リックスに相として分散している。すなわち、本発明の
半硬質磁性材料は、断面組織で見た時、磁性を有するF
eを主体とするA層を介して、部分的に分断した板状の
Cu族非磁性金属を主体とするB層が複数枚積層された
組織を有している。
【0029】図5は本発明の半硬質磁性材料No.17
のミクロ組織である。(A)は圧延長手方向の縦断面
の、(B)および(C)は圧延幅方向の横断面のミクロ
組織である。分断されたCuを主体とする層の間に粒状
のCuが存在しているのが分かる。この粒状のCuは急
峻化熱処理によってもたらされたものであり、このこと
が急峻化熱処理後に保磁力が増大することの要因の一つ
であると考えられる。
【0030】
【発明の効果】本発明の製造法により、従来の溶製法で
の造塊時に合金インゴットの中心部にCuが凝集する問
題や、Cu相の分離により特に熱間における加工性が極
めて悪く割れが生じる問題等なしに、角形性、磁化急峻
性に優れた半硬質磁性材料および磁気マーカ用の磁歪素
子と組み合わせるバイアス素子の材料である磁気マーカ
用バイアス材を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の半硬質磁性材料の製造工程を示す図で
ある。
【図2】比較材の半硬質磁性材料の金属組織の顕微鏡写
真である。
【図3】比較材の半硬質磁性材料に分断化処理を施した
ものの金属組織の顕微鏡写真である。
【図4】本発明の半硬質磁性材料の金属組織の顕微鏡写
真である。
【図5】本発明の半硬質磁性材料の金属組織の顕微鏡写
真である。
【図6】本発明の半硬質磁性材料の磁気特性測定結果を
示す図である。
【図7】本発明の半硬質磁性材料の磁気特性測定結果を
示す図である。
【図8】比較材の半硬質磁性材料の磁気特性測定結果を
示す図である。
【図9】本発明の磁気マーカ用バイアス材を組み込んだ
磁気マーカの構造の一例を示す図である。
【符号の説明】
1 素材となる多層体、2 分断化処理、3 冷間圧
延、4 軟化焼鈍(分断化処理)、5 冷間圧延、6
急峻化熱処理(時効処理)、7 バイアス素子、8 パ
ック、9 磁歪素子、10 ケース
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C22C 38/00 303 H01F 1/14 Z (56)参考文献 特開 平8−283857(JP,A) 菊池潮美,超積層材料の製造とその力 学的性質,日本,滋賀県立大学工学部、 工博,1997年8月25日,第38巻/第2 号,P75〜P79 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01F 1/12 - 1/375

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 磁性を有するFeを主体とするA層と、
    Cu族非磁性金属を主体とするB層が積層された多層体
    を得た後、該多層体を加熱し、前記B層を分断化処理し
    た後、冷間での塑性加工を施すことを特徴とする半硬質
    磁性材料の製造方法。
  2. 【請求項2】 分断化処理は、保持温度685〜108
    5℃、保持時間10〜180分で行うことを特徴とする
    請求項1に記載の半硬質磁性材料の製造方法。
  3. 【請求項3】 冷間での塑性加工後に、加熱して角形性
    や磁化急峻性を高める急峻化熱処理を施すことを特徴と
    する請求項1または2に記載の半硬質磁性材料の製造方
    法。
  4. 【請求項4】 加熱して角形性や磁化急峻性を高める急
    峻化熱処理は、保持温度400℃〜700℃、保持時間
    2〜120分で行うことを特徴とする請求項3に記載の
    半硬質磁性材料の製造方法。
  5. 【請求項5】 冷間での塑性加工により、厚さ0.03
    〜1.0mmの薄板とすることを特徴とする請求項1乃
    至4の何れかに記載の半硬質磁性材料の製造方法。
  6. 【請求項6】 磁性を有するFeを主体とするA層を介
    して、部分的に分断した板状のCu族非磁性金属を主体
    とするB層が複数枚積層された組織を有することを特徴
    とする半硬質磁性材料。
  7. 【請求項7】 請求項6に記載の半硬質磁性材料を、磁
    気マーカ用の磁歪素子にバイアス磁界が印加されるよう
    に配置してなることを特徴とする磁気マーカ。
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