JP3293082B2 - 加工疵の発生しにくい溶融Alめっきステンレス鋼板 - Google Patents
加工疵の発生しにくい溶融Alめっきステンレス鋼板Info
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Description
の加工の際にめっきカジリ等の疵が発生することを抑制
した高クロムステンレス鋼を基材とする溶融Alめっき
ステンレス鋼板に関する。
び耐熱性を示すことから、自動車の排気系,家電製品の
部品等として広範な分野で使用されている。しかし、低
炭素鋼,低Crフェライト系ステンレス鋼等を母材とす
るとき、過酷な腐食環境では切断端面,疵部,曲げ加工
部等において比較的短時間に赤錆が発生する。この赤錆
は、切断,加工等でAlめっき層に欠陥が生じ、母材が
露出した部分を起点として腐食が発生・進行した結果で
ある。Alめっき層の欠陥部に発生した赤錆は、短時間
のうちに母材全域に進行し、全面的な赤錆や母材を貫通
する穴開きに至ることがある。低炭素鋼,低Crフェラ
イト系ステンレス鋼等に代え、耐食性に優れた高Crフ
ェライト系ステンレス鋼を母材として使用するとき、母
材の耐食性が高められる。そこで、塩害に曝される海岸
地帯,海上等の建築物,融雪剤が散布される寒冷地を走
行する自動車等の構造剤として、溶融Alめっきを施し
た高クロムフェライト系ステンレス鋼の使用が進められ
ている。
ステンレス鋼を母材とした溶融Alめっきステンレス鋼
板は、耐力が高く硬質であることから、低炭素鋼,低ク
ロムフェライト系ステンレス鋼を母材としたものに比較
し、所定形状を得るために強加工が必要となる。高耐力
に起因してスプリングバックも大きく、成形機のロール
によってめっき層の表面が噛られ易い。その結果、加工
時に疵や割れがめっき層に発生し易く、広い範囲にわた
って母材が露出し、高クロムフェライト系ステンレス鋼
を母材とした効果が半減する。溶融Alめっきステンレ
ス鋼板の加工性を改善するため、特開平3−10484
8号公報では、Alめっきしたステンレス鋼を一定温度
で熱処理し、合金層或いはめっき層の軟質化及び歪み除
去を図っている。熱処理によって、加工時にめっき層の
割れや剥離が防止される。しかし、この熱処理は、めっ
き層自体を軟質化するものであり、母材自体の軟質化に
は効果がない。そのため、ロールフォーミング等の過酷
な加工が施されるものでは、十分な改善が期待されず、
依然として加工時に疵や割れが発生することが避けられ
ない。本発明は、このような問題を解消すべく案出され
たものであり、顔料を含まない塗膜を溶融Alめっき鋼
板の表面に形成することにより、加工時に疵や割れが発
生することを抑制した溶融Alめっき鋼板を提供するこ
とを目的とする。
ステンレス鋼板は、その目的を達成するため、Crを1
6〜25重量%含有するフェライト系ステンレス鋼から
なる母材の上に溶融Alめっき層が形成され、更にその
上に顔料を含まない有機樹脂の塗膜が形成されているこ
とを特徴とする。塗膜は、4〜6μmの厚みをもってい
ることが好ましい。たとえば、ポリオレフィン系,ポリ
エステル系及びアクリル系から選ばれた1種又は2種以
上の有機樹脂で塗膜が形成される。
ス鋼を母材とする溶融Alめっきステンレス鋼板につい
て、加工疵の発生原因を詳細に調査・研究した。その結
果、軟質のAlめっき層が成形機のロール等に直接接触
することにより、加工疵が発生することを解明した。そ
こで、Alめっき層とロール等との直接接触を避ける方
法について種々検討したところ、顔料を含まない有機樹
脂の塗膜をAlめっき層表面に形成するとき、加工疵が
著しく低減することを見い出した。有機樹脂塗膜は、ロ
ールフォーミング等の際にAlめっき層とロール等との
間に介在し、潤滑性を付与する。高Crフェライト系ス
テンレス鋼を母材とした場合には、材質が硬く、スプリ
ングバックも強いことから、加工の際にロールによって
有機樹脂塗膜が噛られ、塗膜に疵が生じることがある。
しかし、Alめっき層は、有機樹脂塗膜で覆われている
ので、疵発生から保護される。この有機樹脂塗膜は、顔
料を含んでいないので、Alめっき層が持つ特有の色調
を損なうことなく意匠性が維持される。また、塗膜に生
じた疵も目立たない。有機樹脂塗膜は、それ自体に耐食
性が要求されず、施工後は自然に雨水に溶けて消滅する
か、或いは目立たないように剥離することが望ましい。
止する上で、有機樹脂塗膜の膜厚を4〜6μmとするこ
とが好ましい。膜厚が4μm未満では、有機樹脂塗膜の
作用が十分でなく、Alめっき層に加工疵が発生する虞
れがある。しかし、6μmを超える膜厚では、加工時に
著しい塗膜剥離が発生し、成形機のロール等に付着した
塗膜を取り除く作業が必要になる。複数の塗膜を積層す
る場合でも、同様な理由からトータルの膜厚を4〜6μ
mの範囲にすることが好ましい。塗膜に使用される有機
樹脂は、水溶性又は油溶性の何れであっても良い。たと
えば、屋根材等としてAlめっき層が表面に露出した状
態で使用する場合には、雨水等によって自然に溶出する
水溶性塗膜を使用することが望ましい。また、塗膜は、
成形時にロール等によって優先的に噛られ、Alめっき
層を保護することから、意匠性をもたせる必要はなく、
却って目立たない表面保護膜となるものの方がよい。
エステル系,アクリル系塗料の1種又は2種以上をバー
コータ等で溶融Alめっきステンレス鋼板に塗布し、1
00〜450℃で加熱乾燥することにより、Alめっき
層の表面に形成される。ただし、浸漬処理では、塗膜の
厚みを制御することが困難である。本発明で使用する母
材は、Cr含有量が16〜25重量%の高Crフェライ
ト系ステンレス鋼である。Cr含有量が16重量%未満
では、母材とAlめっき層との電位差が小さく、Alめ
っき層の犠牲防食作用が十分に発揮されない。その結
果、切断端面等の下地鋼露出部に赤錆が比較的短時間で
発生する。逆に、25重量%を超えるCr含有量では、
母材自体の硬度が高くなり、厳しい加工ができなくな
る。すなわち、耐食性及び加工性の面から、母材として
使用するフェライト系ステンレス鋼のCr含有量が16
〜25重量%の範囲に規制される。この高Crフェライ
ト系ステンレス鋼は、耐食性,耐熱性,靭性等を付与す
るため、Cr以外の合金成分を含むこともできる。たと
えば、Mo:0.3〜6重量%,Al:0.01〜0.
5重量%,Nb:0.1〜0.6重量%,Ti:0.0
5〜0.3重量%等の1種又は2種以上を必要に応じて
添加しても良い。
し、熱間圧延により板厚3.5mmの熱延板を製造し
た。次いで、熱延板を板厚0.8mmまで冷間圧延し、
1000〜1050℃で仕上げ焼鈍を施した後、目付け
量200g/mm2 で溶融Alめっきした。
系ステンレス鋼にバーコータでポリオレフィン系塗料,
ポリエステル系塗料,アクリル系塗料等を塗布した後、
200℃で乾燥させた。塗装後の溶融Alめっきステン
レス鋼板から15mm×75mmの試験片を切り出し、
2.5t曲げ試験に供した。曲げ試験は、JIS Z2
248に準拠し、2個の鋼製支持ロールに試験片を載
せ、支持ロールの中間位置で試験片の反対側表面に押し
金具を当て、徐々に荷重を加えて板厚の2.5倍の曲げ
半径で曲げた。曲げ試験後の試験片を観察し、Alめっ
き層の疵及び塗膜剥離発生面積率を調査した。Alめっ
き層の疵発生面積率及び塗膜剥離面積率は、曲げ試験後
の試験片におけるAlめっき層の疵部及び塗膜剥離部の
面積を支持ロールに接していた部分の面積で割ることに
よって算出した。
を形成したとき、Alめっき層の疵発生面積率及び塗膜
剥離面積率に与えた膜厚の影響を図1に示す。図1の白
三角,白四角及び白丸はそれぞれ試料番号1〜3を母材
としたときの疵発生面積率を、黒三角,黒四角及び黒丸
はそれぞれ試料番号1〜3を母材としたときの塗膜剥離
面積率を示す。図1から明らかなように、めっき層の疵
発生面積率は、塗膜を形成していない場合に70%を超
えていたのに対し、塗膜の形成によって著しく低減し
た。特に膜厚4μm以上の塗膜を持つものでは、疵の発
生がみられなかった。逆に6μmを超える膜厚では、塗
膜剥離が大きくなった。
テンレス鋼板に種々の塗膜を形成し、Alめっき層の疵
発生面積率及び塗膜剥離面積率に与えた膜厚の影響を塗
膜の種類に応じて調査した。調査結果を、図2に示す。
図2の白丸,白三角及び白四角はそれぞれポリエステル
系塗膜,ポリオレフィン系塗膜及びアクリル系塗膜を形
成したときの疵発生面積率を、黒丸,黒三角及び黒四角
はそれぞれポリエステル系塗膜,ポリオレフィン系塗膜
及びアクリル系塗膜を形成したときの塗膜剥離面積率を
示す。膜厚と疵発生面積率及び塗膜剥離面積率との関係
は、図2から明らかなように、何れの塗膜においても同
様な傾向を示した。試料番号3を母材とした溶融Alめ
っきステンレス鋼板の表面に、ポリエステル系及びポリ
オレフィン系塗膜を2層に形成した。このときの疵発生
面積率及び塗膜剥離面積率とトータル膜厚との関係を図
3に示す。図3の白丸は疵発生面積率を、黒丸は塗膜発
生面積率を示す。図3から明らかなように、塗膜が2層
になった場合でも1層の塗膜と同様にめっき層の疵を低
減する効果が得られていた。塗膜剥離に関しても、1層
の場合と同様であった。
は、ステンレス鋼板の表面に設けたAlめっき層に有機
樹脂塗膜を形成することにより、加工時の疵発生を著し
く低減している。そのため、たとえばロールフォーミン
グ等の過酷な加工を受けた後でも、Alめっき層に疵や
欠けが発生せず、下地鋼の露出が防止される。その結
果、Alめっき層がもつ意匠性を損なうことなく、しか
もAlめっき層本来の優れた耐食性や耐熱性が活用さ
れ、長期間にわたって良好な表面をもつ構造材料として
使用される。また、Alめっき層に施した塗膜の剥離も
少ないため、作業能率の向上も図られる。
成したときのめっき層の疵発生面積率及び塗膜剥離面積
率と膜厚との関係を表したグラフ
関係を、Alめっき層表面に施した塗膜の種類に応じて
表したグラフ
膜を2層としてAlめっき層表面に形成したときの疵発
生面積率及び塗膜剥離面積率と膜厚との関係を表したグ
ラフ
Claims (3)
- 【請求項1】 Crを16〜25重量%含有するフェラ
イト系ステンレス鋼からなる母材の上に溶融Alめっき
層、次いで顔料を含まない有機樹脂の塗膜が形成されて
いる溶融Alめっきステンレス鋼板。 - 【請求項2】 請求項1記載の塗膜が4〜6μmの厚み
をもつ溶融Alめっきステンレス鋼板。 - 【請求項3】 請求項1記載の有機樹脂はポリオレフィ
ン系,ポリエステル系及びアクリル系の1種又は2種以
上である溶融Alめっきステンレス鋼。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP33236293A JP3293082B2 (ja) | 1993-12-27 | 1993-12-27 | 加工疵の発生しにくい溶融Alめっきステンレス鋼板 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP33236293A JP3293082B2 (ja) | 1993-12-27 | 1993-12-27 | 加工疵の発生しにくい溶融Alめっきステンレス鋼板 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH07188941A JPH07188941A (ja) | 1995-07-25 |
JP3293082B2 true JP3293082B2 (ja) | 2002-06-17 |
Family
ID=18254113
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP33236293A Expired - Fee Related JP3293082B2 (ja) | 1993-12-27 | 1993-12-27 | 加工疵の発生しにくい溶融Alめっきステンレス鋼板 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3293082B2 (ja) |
-
1993
- 1993-12-27 JP JP33236293A patent/JP3293082B2/ja not_active Expired - Fee Related
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Publication number | Publication date |
---|---|
JPH07188941A (ja) | 1995-07-25 |
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