JP3290123B2 - 耐侯性を有するエポキシ樹脂組成物 - Google Patents

耐侯性を有するエポキシ樹脂組成物

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輝吉 坂井
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、耐侯性を有する
エポキシ樹脂組成物に関し、更に詳しくは硬化させた
後、日光に曝しても変色しないようにした耐侯性を有す
るエポキシ樹脂組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】エポキシ樹脂(組成物)は、コーテイン
グ材料、電気絶縁材料、積層品・構造材料、土木・建築
材料、接着剤等に汎用され、近年益々需要が増加してい
る。しかしながら、エポキシ樹脂は耐侯性が小さい。す
なわち、光りに曝されると、変色(褪色、黄変、褐変
等)してしまう欠点がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】もちろん上記欠点を解
決するために、従来においても、紫外線吸収剤をエポキ
シ樹脂に混入したり、表面に塗布する手段が講じられて
はいたが、十分な効果が得られなかった。発明者は、以
上の問題を解決するために努力した結果、一定の硬化
剤、及び一定の耐侯性向上剤を一定量使用すれば、極め
て耐侯性に優れたエポキシ樹脂(組成物)が得られるこ
とを知り本発明を完成した。
【0004】
【課題を解決するための手段】本願発明は、以上の欠点
を解決するためになされたもので、下記の請求項1〜請
求項2により構成されている。 請求項1:主剤と硬化剤を重合させて硬化させるエポキ
シ樹脂組成物において、前記主剤中のエポキシ成分が水
素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂のみであって、前
記エポキシ樹脂組成物中の主成分が、当該水素化ビスフ
ェノールA型エポキシ樹脂、イソホロンジアミン(IP
DA)、及びビュレットリートリ(ヘキサメチレン−
N,Nジメチルセミカバジド)を主成分とするオリ
ゴマーである耐候性向上剤であることを特徴とするエポ
キシ樹脂組成物。 請求項2:水素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂;3
0〜90%、イソホロンジアミン;10〜50%、及び
ビュレットリートリ(ヘキサメチレン−N,Nジメチ
ルセミカバジド)を主成分とするオリゴマーである耐
候性向上剤;0.1〜30%からなることを特徴とする
請求項1に記載のエポキシ樹脂組成物。
【0005】本願発明において、水素化ビスフェノール
A型エポキシ樹脂とは、下記の構造式を有する化合物を
いう。
【0006】
【化1】
【0007】本願発明において、イソホロンジアミン
(IPDA)とは、下記の構造式を有する化合物をい
う。
【0008】
【化2】
【0009】本願発明において、ヒドラジン系耐侯性向
上剤とは、通常ビュレットリートリ(ヘキサメチレン−
N,Nジメチルセミカバジド)を主成分とするオリ
ゴマーで下記の構造式を有する化合物をいう。
【0010】
【化3】
【0011】本願発明において硬化促進剤とは、ジペ
ンタエリスリトールヘキサアクリレートと、ジペンタ
エリスリトールペンタアクリレートの混合物(通常:
=6:4)を主成分とするものである。ジペンタエリ
スリトールヘキサアクリレート(a=6,b=0)、及
びジペンタエリスリトールペンタアクリレート(a=
5,b=1)は下記の構造式を有する化合物である。
【0012】
【化4】
【0013】エポキシ樹脂は、重合前(施工前、使用
前)は通常2成分(主剤と硬化剤)に分かれている。本
願発明に係るエポキシ樹脂の成分(配合割合)の範囲を
次に示す。 水素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂:30〜90
% この範囲外では硬化物の著しい物理的強度の低下、接着
力の低下、タック(べたつき)の残存、耐侯性の低下を
招く。 イソホロンジアミン:10〜50% この範囲以下では、タックが消滅するのに3〜7日間必
要とし、必要な硬度にまで硬化反応するには2週間程度
かかる。又、この範囲以上では、可使時間が短か過ぎた
り、耐久性の低下を招く。 ヒドラジン系耐侯性向上剤:0.1〜30% この範囲以下では、ほとんど効果が望めず、又この範囲
以上では物理的強度の低下と接着力の低下、又大幅なコ
ストアップを招く。
【発明の実施の形態】
【0014】本願発明の耐侯性を有するエポキシ樹脂組
成物には、下記の用途がある。 (1)景観舗装材の表層材(天然種石、ガラスびんカレ
ット、磁器粒等)の接着用 (2)住設機器類(システムキッチン調理台、洗面化粧
台、ユニットバス等)の基盤用 (3)高耐侯性塗料の基盤用
【0015】本願発明に係る耐侯性を有するエポキシ樹
脂組成物の好ましい配合例の一例を示すと次のとおりで
ある。 (イ)主剤 *水素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂 60.0% *硬化促進剤 9.0% *レベリング剤 0.5% *消泡剤 0.5% 以上合計 70.0%
【0016】 (ロ)硬化剤 *イソホロンジアミン(高耐侯性IPDA変性硬化剤) 29.0% *ヒドラジン系耐侯性向上剤(耐侯性向上剤) 1.0% 以上合計 30.0%
【0017】実施例:供試体(パーミエイション)の作
製は下記のように行った。 (A)表1に示す主剤60.9部に、酸化チタン(Ti
2 、白色顔料)13.0部を混合し、ミキサーにより
粗練り着色した(クリヤーのままでは測色時に光が透過
してしまい、測色できないため)。 (B)前記(A)の粗練りしたものをロールミルによっ
て細分散を行い白色エナメル状にした。なお、ロールミ
ルとは、回転比と各ロール間隙における剪断力によって
顔料の細分散や吸蔵ガスの追い出しを行う装置である
(株式会社井上製作所製)。 (C)前記(B)の白色エナメル状のものに、表1に示
す硬化剤を26.1部混合し、十分攪拌した。 (D)前記(C)の混合物をスレート板(150×70
×3mm)に流し込み、硬化させて、以下の促進耐侯性
試験(改良品−1、改良品−2、従来品、他社品の4種
類のパーミエイション)に供した。
【0018】
【表1】
【0019】なお、表1中のビスフェノールF型エポキ
シ樹脂、反応性希釈剤、非反応性希釈剤、消泡剤、耐侯
性脂肪族変性剤について説明すると次のとおりである。
ビスフェノールF型エポキシ樹脂とは、下記の構造式を
有する化合物をいう。
【0020】
【化5】
【0021】反応性希釈剤とは、下記に示すトリメチロ
ールプロパンのトリグリシジルエーテルを主成分とする
ものである。
【0022】
【化6】
【0023】非反応性希釈剤とは、下記に示すトルエン
・ホルムアルデヒド重合体を主成分とするものである。
【0024】
【化7】
【0025】レベリング剤とは、アクリルポリマーを主
成分とするものである。
【0026】消泡剤とは、ブタジエン共重合物を主成分
とするものである。
【0027】耐侯性脂肪族変性硬化剤とは、脂肪族ポリ
アミンを主成分とするものである。
【0028】促進耐侯性試験は、キセノンウェザーオメ
ーター(スガ試験機株式会社製、XWL−6R型)によ
り、下記の(イ)及び(ロ)の連続サイクルで行った
(放射照度:80W/m2 、1000時間まで)。 (イ)連続照射142分(温度70℃、湿度50%) (ロ)散水照射18分(温度30℃、湿度70%)
【0029】黄変度の測定は、黄変度測定装置(測色
計、日本電色工業株式会社 Σ90型)により、経時的
に黄変度(ΔYI)を測定した。測定結果を表2、及び
図1に示す。
【0030】
【表2】 表2及び図1の結果によれば、改良品−は、従来品に
比較して耐候性に優れている。
【0031】
【発明の効果】本願発明は以上のように構成したから、
日光に曝しても変色し難い、極めて耐侯性に優れたエポ
キシ樹脂組成物を得ることができるという効果を有す
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】促進耐侯性試験(キセノンウェザーオメータ
ー)による黄変度(ΔYI)の経時変化を示すグラフで
ある。
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08G 59/50 - 59/54 C08G 59/24 C08K 5/18 C08K 5/26 C08L 63/00 - 63/02

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 主剤と硬化剤を重合させて硬化させるエ
    ポキシ樹脂組成物において、前記主剤中のエポキシ成分
    が水素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂のみであっ
    て、前記エポキシ樹脂組成物中の主成分が、当該水素化
    ビスフェノールA型エポキシ樹脂、イソホロンジアミン
    (IPDA)、及びビュレットリートリ(ヘキサメチレ
    ン−N,Nジメチルセミカバジド)を主成分とする
    オリゴマーである耐候性向上剤であることを特徴とする
    エポキシ樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 水素化ビスフェノールA型エポキシ樹
    脂;30〜90%、イソホロンジアミン;10〜50
    %、及びビュレットリートリ(ヘキサメチレン−N,N
    ジメチルセミカバジド)を主成分とするオリゴマー
    である耐候性向上剤;0.1〜30%からなることを特
    徴とする請求項1に記載のエポキシ樹脂組成物。
JP35404797A 1997-12-09 1997-12-09 耐侯性を有するエポキシ樹脂組成物 Expired - Fee Related JP3290123B2 (ja)

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JPH0616721A (ja) * 1992-07-02 1994-01-25 Nippon Kayaku Co Ltd 樹脂組成物、透過型スクリーン用紫外線硬化型樹脂組成物及びその硬化物
JP3339083B2 (ja) * 1992-10-27 2002-10-28 新日本理化株式会社 エポキシ樹脂組成物
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