JP3280471B2 - フェノール樹脂成形材料 - Google Patents

フェノール樹脂成形材料

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  • Epoxy Resins (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、最大径25mm以下の比
較的小型のモーターに使用されるコンミテーター用とし
て好適なフェノール樹脂成形材料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】モーターは使用用途により種々のタイプ
があり、要求性能も多少異なるが、基本的な要求特性と
しては耐熱寸法安定性、切削加工性、耐フェージング
性、熱時回転破壊強度、シャフト圧入性(靭性)、更に
特殊なものでは耐薬品性等が要求される。従来、アスベ
ストを含有するフェノール樹脂成形材料がこのような要
求を十分満足できる材料として長年使用されてきたが、
最近の社会的要請に基づくアスベストフリー化、及びモ
ーターの小型高速化に伴う材料の耐熱レベル向上の要求
によりアスベスト含有成形材料は使用できなくなりつつ
あり、コンミテーター用アスベストフリー成形材料の開
発が急務となっている。しかしながら、アスベストと完
全に同等の性能を持った代替充填材は未だなく、ガラス
繊維に金属水酸化物等の無機粉末充填材を組み合わせ粉
末ゴムによる変性で同等の性能を出そうとしているのが
実情である。しかし、これらの組み合せでは特殊なタイ
プとしてあげられる耐薬品性を必要とするモータには使
用できないというのが現状であり、この点の改良も強く
求められている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、ガラス繊維
を主基材とし、結晶水を10重量%以上含む無機基材の
組み合せ及び粉末ゴムによる変性により得ていた特長を
損わずに、靭性付与のため配合されている粉末ゴムによ
る耐薬品性低下の問題を解決するため種々の検討の結果
なされたものであり、その目的とするところは、コンミ
テーター用材料の要求特性を満たすフェノール樹脂成形
材料を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、樹脂成分が数
平均分子量500〜1000のノボラック型フェノール
樹脂と分子量1500〜3000でエポキシ当量800
〜2000のエポキシ樹脂を、重量比60/40〜80
/20で配合した樹脂であり、この樹脂配合物100重
量部に対し、ガラス繊維、及び結晶水を10重量%以上
含み50〜600℃の温度範囲内で10〜50重量%の
水を放出する無機充填材の2成分を150〜300重量
部配合することを特徴とするフェノール樹脂成形材料に
関するものである。
【0005】ここで用いられるノボラック型フェノール
樹脂は、分子量が500〜1000である通常のノボラ
ック型フェノール樹脂、あるいはアルキル変性ノボラッ
ク型フェノール樹脂などがあり、特に限定されない。次
に靭性付与のため使用されるエポキシ樹脂の種類は、分
子量が1500〜3000、エポキシ当量が800〜2
000のものであり、その配合量は、ノボラック型フェ
ノール樹脂対エポキシ樹脂の重量比で60/40〜80
/20であることが好ましい。エポキシ当量が800
あるいは重量比が80/20未満の場合は靭性効果が
十分でなく、エポキシ当量が2000を越えるか、ある
いは重量比が60/40を越える場合は硬化性が低下す
るようになる。
【0006】本発明において、充填材として、ガラス繊
維、及び結晶水を10重量%以上含み、50〜600℃
の温度範囲内で吸熱脱水分解して10〜50重量%の
を放出する無機充填材を使用する。ガラス繊維は、一般
に市販されている径10〜13μm、長さ1〜6mmのチ
ョップドストランドであれば、いずれも使用することが
可能である。また、繊維径が3〜6μmの小さいものを
使用すれば切削加工性を更に向上させることが可能であ
る。充填材のもう一つの成分である無機充填材として
は、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウ
ム、塩基性炭酸マグネシウム(3MgCO3・Mg(OH)
2・XH2O)、硼砂(Na2B4O7・XH2O)、未
焼成クレー(2SiO2・Al2O3・XH2O)、コレ
マナイト(2CaO・3B2O3・XH2O)等をあげる
ことができるが、これらに限定されるものではない。か
かる無機充填材は切削加工時に結晶水を放出するので、
バイトの摩耗及び発熱を抑える目的で使用されものであ
る。
【0007】前記充填材2成分の配合量について説明す
る。前記配合樹脂100重量部に対する前記充填材の配
合割合は150〜300重量部である。300重量部
越えると材料化が難しいかあるいは材料化できても流動
性に乏しく成形性に支障をきたす。150重量部未満
あると収縮率が大きくなりコンミテーター成形時にセグ
メントと樹脂の間に隙間が生じ問題となるためこの範囲
が最適である。ガラス繊維の配合量は、配合樹脂100
重量部に対して130〜240重量部が好ましい。13
0重量部未満では十分な強度が得られ難く、240重量
を越えると、混練時の作業性が低下し材料化が困難で
ある。前記結晶水を含む無機充填材の配合量は20〜6
0重量部が好ましい。60重量部を越えると強度の低下
が大きくなり、20重量部未満では切削加工性への効果
が低くなる。本発明において、成形材料化の方法は、通
常どおり樹脂配合物、充填材、添加剤等の混合物をロー
ル、コニーダ、二軸押出機等を使用して、加熱溶融混練
した後、冷却、粉砕して材料化する。
【0008】
【実施例】以下に実施例及び比較例について説明する。
配合処方を表1に、その結果を表2に示す。
【0009】
【表1】 ノボラック型フェノール樹脂:数平均分子量 800 エポキシ樹脂:油化シェルエポキシ社製・エピコート1
004(エポキシ当量1000、数平均分子量1600
のビスフェノールA型エポキシ樹脂 ガラス繊維:日本硝子繊維(株)製 RES03−BM3
水酸化アルミ:昭和電工製・ハイジライトH−32(結
晶水含有量35重量%、50〜600℃での水放出量3
5重量%)
【0010】
【表2】
【0011】〔測定方法〕 No.1 JIS K 6911に従って測定。テストピー
ス成形条件は、トランスファー成形で175℃、3分間
である。 No.2 径50mm、厚さ2mmの円板を溶剤(JIS C
燃料/メタノール=85容量%/15容量%)に約10
00時間浸漬し、寸法変化及び重量変化を測定した。テ
ストピース成形条件は、トランスファー成形で175
℃、3分間である。 No.3 外径33mm、内径11mm、厚さ28mmの円柱形
のモデルコンミテーターを作成し、これにテーパーピン
(径 11.0mm、テーパー値 0.006)を5mm/分の速度で圧
入し、破壊したときの圧入強さ力及び圧入距離を測定し
た。テストピース成形条件は、トランスファー成形で1
75℃、3分間である。
【0012】No.4 テストピース切削時のトルク値
(T)とアルミニウム板切削時のトルク値(Ts)の比
T/Tsで示す。切削は下記の条件で行った。 切削速度 1mm/分 ドリル回転数 500 r.p.m. 使用ドリル KOBE STEEL製、径3.0mm アルミニウム板厚さ 2mm テストピース厚さ 3mm
【0013】
【発明の効果】実施例からも明らかなとおり、本発明の
フェノール樹脂成形材料は粉末ゴムの添加により低下す
る耐溶剤性が十分優れており、粉末ゴムを添加した材料
と同等のシャフト圧入性を有しているので、小型モータ
ーのコンミテーター用材料として非常に有効である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平4−68016(JP,A) 特開 平3−275786(JP,A) 特開 平3−220225(JP,A) 特開 平6−57101(JP,A) 特開 平5−93106(JP,A) 特開 昭58−138750(JP,A) 特開 平3−221555(JP,A) 特開 昭58−75853(JP,A) 特開 昭61−152725(JP,A) 特開 昭62−13432(JP,A) 特開 平5−32865(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08G 59/62 C08L 63/00 - 63/10 C08K 3/00 C08K 7/14

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 樹脂成分が、数平均分子量500〜10
    00のノボラック型フェノール樹脂と分子量1500〜
    3000でエポキシ当量800〜2000のエポキシ樹
    脂とを、重量比60/40〜80/20で配合した樹脂
    であり、この樹脂配合物100重量部に対し、充填材の
    一部又は全部としてガラス繊維、及び結晶水を10重量
    %以上含み50〜600℃の温度範囲内で10〜50重
    量%の水を放出する無機充填材の2成分を150〜30
    0重量部配合することを特徴とするフェノール樹脂成形
    材料。
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