JP3280094B2 - 分子ふるい炭素の製造方法 - Google Patents

分子ふるい炭素の製造方法

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JP3280094B2 JP30265792A JP30265792A JP3280094B2 JP 3280094 B2 JP3280094 B2 JP 3280094B2 JP 30265792 A JP30265792 A JP 30265792A JP 30265792 A JP30265792 A JP 30265792A JP 3280094 B2 JP3280094 B2 JP 3280094B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、圧力スイング吸着法
(PSA法)による空気分離、オフガス等からの水素精
製、有効成分の回収分離、発酵ガス中からのメタン分離
等、ガス分離技術に用いられる分子ふるい炭素の製造方
法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、各種混合ガス中から特定の成分を
分離、精製する技術開発が盛んである。中でもPSA法
と称される手法は、装置がコンパクトでランニングコス
トが低いため、多くの用途への展開が期待されている。
特に、疎水性の分子ふるい炭素を用いて、空気から窒素
を分離、回収する空気分離は、窒素の需要の増大に伴っ
て、急激な市場拡大が見込まれる。
【0003】分子ふるい炭素の特徴は、通常の活性炭が
1〜3nmのミクロ孔を持つのに対し、 0.3〜0.5nm とい
う小さく、かつ狭い分布のミクロ孔を持っていることに
ある。分子ふるい炭素の製造方法に関しては、種々の方
法が提案されているが、大別すると、1)含浸法、2)
熱分解法、3)熱分解炭素蒸着法、4)賦活法、5)熱
収縮法、の5つに分類することができる。
【0004】含浸法とは、特開昭59−45914 号公報、特
開昭61−191510号公報、特開昭62−176908号公報等に開
示されているように、室温から 300℃程度までの温度範
囲で液状を示す炭化水素(ピッチ、樹脂等)を活性炭等
の基材内部に浸透させ、次に炭化処理を施して、炭化水
素から熱分解炭素を放出させ、その熱分解炭素により基
材のミクロ孔を狭める方法である。ただし、基材内部へ
の炭化水素の浸透量の制御が非常に難しいため、発生す
る熱分解炭素のコントロールができず、製品分子ふるい
炭素の品質が安定せず(再現性が悪い)、製品収率が低
いという欠点がある。
【0005】熱分解法とは、特開昭62−59510 号公報や
特開昭63−139009号公報等に開示されているように、炭
素質基材を不活性ガス雰囲気中で熱処理(炭化)するだ
けで分子ふるい炭素を製造する方法である。この方法で
は、含浸法に比べて品質の安定化は容易である。しかし
ながら、炭素質基材の品質の安定が必要とされ、そのた
め炭素質基材として高価な塩化ビニリデン樹脂やフェノ
ール樹脂の使用を余儀なくされている。また、これら樹
脂の調整法も非常に複雑である。
【0006】高価な材料を使用せざるを得ない欠点を解
消するため、特開昭60−227832号公報や特公平2−5897
5 号公報には石炭やピッチを炭素質基材とした、分子ふ
るい炭素の製造方法が開示されている。しかし、この方
法で得られる分子ふるい炭素は、 0.5nm以上の大きさの
分子にしか分子ふるい性を示さず、空気分離用途や発酵
ガス中からのメタンの分離用途等に使用するには、性能
が不充分である。
【0007】熱分解炭素蒸着法とは、炭素質基材と炭化
水素ガスを高温で接触させ、炭化水素から放出される熱
分解炭素を炭素質基材のミクロ孔の入り口付近に蒸着さ
せることで、炭素質基材のミクロ孔を調整する方法であ
る。この方法によれば、熱分解炭素の発生量を炭化水素
ガスの濃度や温度で制御することができるため、品質の
安定した分子ふるい炭素の製造が可能と考えられる。特
公昭52−18675 号公報には、炭素質基材として揮発分5
%以下のコークスを使用し、熱分解炭素蒸着法で分子ふ
るい炭素を製造する方法が開示さている。しかし、石炭
等から出発して熱処理によりコークスを製造するにあた
っては、得られたコークスのミクロ孔径分布が広い、等
の理由から、熱分解炭素蒸着法に適した炭素質基材を再
現良く、かつ効率的に得ることは困難である。また、特
開平1−502743号公報には、炭素質基材としてのコーク
スを、水蒸気を含む不活性ガスで賦活化して強制的にミ
クロ孔を発生させ、その後発生させたミクロ孔に熱分解
炭素を蒸着する方法が開示してある。しかし、本方法も
熱分解炭素蒸着法に用いる賦活化コークスの細孔分布の
点から、ミクロ孔径の制御が困難である。
【0008】これに対し、特開昭60−171212号公報に
は、 0.5〜0.55nmという非常に狭いミクロ孔径分布を持
つ炭素質基材に熱分解炭素を放出する炭化水素を 500℃
以下で化学吸着させ、その後、高温処理(熱収縮法)を
施して、熱分解炭素をミクロ孔に吸着させる方法が開示
されている。この方法は、熱分解炭素蒸着法の制御のし
やすさを利用し、炭素質基材をより厳密に選定すること
で、品質の安定した分子ふるい炭素を製造する方法であ
る。ただし、製造工程は複雑かつ煩雑であるという欠点
は免れない。また、ミクロ孔径が 0.5〜0.55nmに調整さ
せた炭素質基材は、もう既にそれ自体が分子ふるい炭素
であり、原料としてはかなり高価なものである。
【0009】一方、粒状分子ふるい炭素に対して、繊維
状の分子ふるい炭素の製造方法が特開昭57−101024号公
報に開示されている。これは、特殊な製法による石炭解
重合物を溶融紡糸し、不融化後に軽度に水蒸気等を用い
て賦活化することにより製造されるものである。しかし
ながら、水蒸気等を用いた繊維外部からの賦活化では本
発明の目的の空気分離等に優れた性能を発揮できない。
上記公報の実施例においてもベンゼン・シクロヘキサン
の分離のみしか記載されていない。
【0010】また、特公平3−80055 号公報に、繊維状
の分子ふるい炭素の製造方法が言及されている。ピッチ
繊維を不融化処理し、さらに不活性ガス雰囲気中、 500
〜750 ℃程度まで昇温、熱処理する。この熱処理(炭化
処理)によって、含酸素化合物、例えば、CO、CO2 等が
繊維外へ放出され、繊維に細孔を形成するとともに、強
度を持たせるものである。しかしながら、記載の条件で
は、吸着容量が粒状の分子ふるい炭素よりも劣るという
問題がある。
【0011】繊維状の分子ふるい炭素は、繊維表面にミ
クロ孔が直接開孔されているので、粒状の分子ふるい炭
素に比較して、有効幾何学的表面積が大きくなるという
特徴があり、PSA法において、効率的である。一方、
繊維状の形態の場合、充填などにおいて、粒状の分子ふ
るい炭素に比較して、ハンドリング性が悪く、また、製
造時には嵩密度の低い状態で処理するため生産性が悪か
った。このようにして製造された繊維状の分子ふるい炭
素は繊維であるため、繊維集合体としては強度が弱く、
作業性が悪く、取り扱いが難く、飛散しやすく、さらに
は形状繊維特性が悪く、空隙率が高く、充填密度が低い
という欠点のために、空隙率、充填密度の再現性が悪い
という問題もある。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、容易
に入手できるタールピッチを出発原料として、酸素・窒
素も分離可能な高性能の分子ふるい炭素を、高収率かつ
安価に得ることのできる製造方法を提供することであ
る。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明は、タールピッチ
を原料として、軟化点 150℃以上のピッチを調整し、こ
のピッチを平均粒径1〜 100μmに微粉砕した後、酸化
性雰囲気で不融化処理し、次に、得られた不融化微粒子
に造粒処理を施した後に、 760℃以上 900℃以下の温度
で炭化処理することを特徴とする分子ふるい炭素の製造
方法でありまた本発明は、上記不融化微粒子の造粒処理
後、炭化処理前に再不融化処理を行うことを特徴とする
分子ふるい炭素の製造方法であり、また本発明は、上記
不融化微粒子または再不融化後の粒子の酸素含有量が7
〜15重量%であることを特徴とする分子ふるい炭素の製
造方法であり、また本発明は、上記の製造方法で得られ
た分子ふるい炭素をさらに 600℃以上 850℃以下の温度
で芳香族炭化水素および/または脂環式炭化水素を含む
不活性ガス雰囲気下で処理することにより、熱分解炭素
を蒸着させることを特徴とする分子ふるい炭素の製造方
法である。
【0014】
【作用】タールピッチを原料として、通常の炭素繊維製
造における不融化処理条件、すなわち、炭素繊維強度を
ほぼ最大にする不融化処理条件においては、 500〜750
℃の温度にて炭化処理すると、やや分子ふるい性を有す
る分子ふるい炭素が調整できるが、従来の高性能な分子
ふるい炭素に比較して、吸着容量が低く、分子ふるい特
性も悪かった。
【0015】本発明者等は、上記課題を解決すべく鋭意
検討した結果、過剰に不融化処理された不融化微粒子で
構成された粒子を得、ついで、不活性雰囲気にて 760〜
900℃の温度にて炭化処理すると吸着容量が高く、分子
ふるい性に優れた粒状分子ふるい炭素が得られることを
見いだし、本発明を完成するに至った。以下、本発明の
繊維塊分子ふるい炭素の製造方法を詳細に説明する。
【0016】本発明に用いる原料は、タールピッチであ
る。これは、ポリアクリロニトリル樹脂、フェノール樹
脂系、塩化ビニリデン樹脂などの合成樹脂に比較して、
ピッチを原料とした方が安価であり、本発明における製
品収率が高く、不融化度の調整が容易で、ミクロ孔径の
狭いものが調整できるためである。また、ここで用いる
ピッチは、後工程の不融化、炭化に適したものとなるよ
うに重質化された高軟化点のものが適しており、軟化点
150℃以上に調整する必要がある。好ましくは 200℃以
上の軟化点のもので、実質的に光学的等方性ピッチがよ
い。等方性ピッチより得られる炭素材は非晶質なため、
細孔構造を制御し易い。このようなピッチを得る方法と
して、例えば、特公昭61−002712号公報等に提案されて
いる、精製、溶剤抽出、蒸留、熱処理などを施す調整法
がある。
【0017】次に、ピッチの微粉砕は、公知の方法によ
り行うことができる。微粉砕されたピッチの平均粒径は
1〜 100μmに限定され、好ましくは2〜60μmであ
る。1μm未満では不融化処理のハンドリングが容易で
なく、一方 100μm超では不融化処理した粒子内の酸素
分布が不均一になるからである。不融化処理は、得られ
たピッチ微粒子を高温で炭化する際に形状を維持できる
ようにするために、酸化性の雰囲気下で 150〜 350℃程
度の温度で処理するが、通常、炭素材の不融化処理とし
ては炭化時に炭化収率が最大となる不融化条件で酸化処
理される。一方、本発明でのピッチ微粒子を過剰に不融
化処理する方法としては、炭化収率最大となる不融化条
件より長時間、高温度、もしくは、高酸化性ガス濃度で
処理される。
【0018】この不融化処理は、酸化性ガス、例えば、
空気、酸素、二酸化窒素、オゾンなどのガス雰囲気中で
加熱処理することにより行うことができる。過剰に不融
化処理された不融化粒子を得る方法として、1)ピッチ
微粒子を過剰に不融化処理し、次に造粒処理を施す方
法。2)ピッチ微粒子を不融化処理し、造粒処理を施し
た後、再不融化処理する方法、などがある。
【0019】前記1)または2)の不融化微粒子または
再不融化粒子の酸素含有量は、7重量%以上、15重量%
以下が好ましい。より好ましくは、9重量%以上、14重
量%以下である。酸素含有量が7重量%未満の場合は、
得られる分子ふるい炭素の吸着量が低下し、15重量%超
の場合は、得られる分子ふるい炭素の分子ふるい性能が
低下する。
【0020】造粒処理はバインダーを混合して成形(球
状化、もしくは、粒状化)することが好ましい。バイン
ダーとしては、軟化点が80〜 150℃程度のピッチ、フェ
ノール樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂等が使用でき
る。この場合、成形方法として、押出造粒法や転動造粒
法等を採用することができる。本発明で造粒処理する理
由は、製品として用いる場合の圧力損失の軽減ならびに
ハンドリングの容易さを得るためで、望ましい粒径は1
〜10mm程度である。
【0021】このようにして得られた過剰に不融化処理
された不融化微粒子から構成される粒子を不活性ガス雰
囲気下で 760℃以上、 900℃以下、より好ましくは 800
℃以上、 900℃以下に加熱、炭化することにより、吸着
容量の大きい、分子ふるい性に優れた0.28nm以上、0.43
nm未満のミクロ孔を持つ球状分子ふるい炭素が調整でき
る。 760℃未満ではミクロ孔径分布が広くなり、 900℃
超ではミクロ孔径が狭くなりすぎて、吸着速度の低下が
大きく、実用に適さない。
【0022】前記の加熱炭化時間は5分以上、8時間以
下、より好ましくは10分以上、2時間以下が好ましい。
5分未満ではミクロ孔径分布が広く、8時間超ではミク
ロ孔径が狭くなりすぎて、吸着速度の低下が大きく、実
用に適さない。本発明による多孔質分子ふるい炭素は、
n−ブタン(最小分子径0.43nm)をほとんど吸着せず、
ミクロ孔径分布が狭いため、酸素、窒素の分離性、二酸
化炭素、メタンの分離性に優れている。
【0023】炭化処理条件(温度、時間)を調整するこ
とにより、このミクロ孔径分布を調整することができ
る。炭化温度を高くすることによりミクロ孔径をさらに
狭くすることができる。また、さらに本発明において
は、前記炭化処理により得られた分子ふるい炭素に熱分
解炭素を蒸着させる製造方法もとれる。すでにミクロ孔
径分布が調整されているため、熱分解炭素の蒸着条件は
穏やかな条件が採用できる。
【0024】すなわち、前記、炭化処理された分子ふる
い炭素粒子を不活性ガス雰囲気で 600〜 850℃まで加熱
し、引き続き前記温度で、芳香族炭化水素および/また
は脂環式炭化水素を含む不活性ガス雰囲気下で処理すれ
ば、芳香族炭化水素または脂環式炭化水素から放出され
る熱分解炭素がミクロ孔入り口付近に蒸着する。蒸着処
理温度、蒸着処理時間、芳香族炭化水素、脂環式炭化水
素の濃度を制御することにより、0.28nm以上、0.43nm未
満のミクロ孔を持つ粒子状の分子ふるい炭素を、再現性
良く、安価に製造することができる。
【0025】蒸着温度は、 600〜850 ℃、好ましくは、
700〜 750℃である。600 ℃以下では、熱分解炭素の発
生量が少ないため、蒸着に膨大な時間を要するからであ
る。850 ℃以上では、逆に熱分解炭素の発生量が多すぎ
て、最適な熱分解炭素蒸着時間が短くなりすぎて、ミク
ロ孔径狭小化速度を制御できないからである。芳香族炭
化水素としては、ベンゼン、キシレン、トルエン、エチ
ルベンゼン、ナフタレン等が、また脂環式炭化水素とし
ては、シクロヘキサン等が例示される。また、それらの
混合ガスでもよく、芳香族炭化水素、脂環式炭化水素の
不活性ガス中の濃度は、3〜15%が好ましい。蒸着処理
時間は、蒸着時間、芳香族炭化水素の濃度、使用装置等
で変化するので、種々の組み合わせの中から選定すれば
良いが、工業的な製造では、10〜120 分の間にするのが
品質の安定から好ましい。
【0026】以上の製造方法で、高品質の粒状の分子ふ
るい炭素を得ることができるが、蒸着処理後、引き続い
て、不活性ガス雰囲気下で蒸着処理温度以上、 900℃以
下の温度に保持すると、なお一層良い。この効果は、蒸
着処理で得られたミクロ孔径分布を強固に固定すること
にある。また、高温保持には 0.4nmを越えるミクロ孔径
を狭める効果もあるので、蒸着処理で生成したミクロ孔
径分布をよりシャープにする効果もある。蒸着処理温度
以下ではこの効果は得られない。
【0027】以上説明した方法により、ミクロ孔径が0.
28nm以上、0.43nm未満で、かつミクロ孔径分布の狭い粒
状の多孔質分子ふるい炭素を、簡便に、かつ再現性良く
製造することができる。
【0028】
【実施例】
実施例1 タールピッチを原料として、精製、熱処理を施し、ベン
ゼン不溶分を56重量%を含む軟化点 215℃(温度傾斜
法)全面光学的等方性ピッチ(プリカーサーピッチ)を
得た。これを微粉砕し平均粒径12μmの微粒子を得た。
【0029】次に、この得られたピッチ微粒子を 325℃
まで空気流通下で、不融化処理した。得られた不融化微
粒子の総重量を基準とした酸素含有率は12.1wt%であっ
た。次に、この得られた不融化微粒子100 重量部に対し
て平均粒径8μmのピッチ微粉(軟化点95℃)を15重量
部あらかじめ混合し、皿式造粒機により、水を添加しな
がら造粒し、平均粒径 2.8mmの不融化微粒子塊を得
た。得られた不融化微粒子から構成される粒子を 150℃
まで昇温して1時間保持し、乾燥、硬化した。
【0030】次に、この得られた不融化粒子を不活性雰
囲気下(窒素ガス流通下)で、 870℃まで昇温し 0.5時
間炭化処理し、粒状の分子ふるい炭素を得た。炭化収率
は不融化微粒子から構成される粒子に対して、79重量%
であった。図1は、 870℃炭化処理品の窒素、酸素の吸
着速度を比較したものである。測定方法は、容積既知の
容器内に分子ふるい炭素試料を入れ、系内を真空にした
後、吸着ガス(窒素、酸素)を導入し、導入後の時間と
圧力を計測するもので、装置は定容法吸着等温線測定装
置ベルソープ18{日本ベル(株)製}を使用した。
【0031】図1から、酸素が非常に短い時間内で吸着
量が平衡に達するのに対して、窒素の吸着量が平衡に達
する時間は非常に長いことがわかる。つまり、この粒状
の分子ふるい炭素は非常に良好な速度分離型の分子ふる
い性をもつことが明らかである。 実施例2 タールピッチを原料として、実施例1と同様な処理を施
しベンゼン不溶分を56重量%含む軟化点 215℃(温度傾
斜法)全面光学的等方性ピッチ(プリカーサーピッチ)
を得、これを微粉砕した。
【0032】得られたピッチ微粒子の平均粒径は12μm
であった。これを 300℃まで空気流通下で、振動流動層
を用いて、不融化処理した。得られた不融化微粒子の酸
素含有率は10.2wt%であった。得られた不融化粒子 100
重量部に対して平均粒子径8μmのピッチ微粉(軟化点
95℃)を20重量部あらかじめ混合し、皿式造粒機によ
り、水を添加しながら造粒し、平均粒径 2.8mmの不融化
微粒子塊を得た。得られた不融化微粒子から構成される
粒子を 150℃まで昇温して1時間保持し、乾燥、硬化し
た。
【0033】この不融化微粒子から構成される粒子を空
気流通下(空搭速度1m/s )にて、 340℃まで1℃/
min で昇温し、再不融化処理した。再不融化後の粒子の
酸素含有率は10.4wt%であった。得られた過剰に不融化
処理された粒子を不活性ガス雰囲気下(窒素ガス流通
下) で 850℃の温度で0.5 時間炭化処理し、粒状の分子
ふるい炭素を得た。 850℃処理での炭化収率は不融化微
粒子から構成される粒子に対して、78重量%であった。
【0034】分子ふるい性を評価するために、酸素(最
小分子径:0.28nm)、窒素(最小分子径0.30nm)、二酸
化炭素(最小分子径:0.33nm)、エタン(最小分子径:
0.40nm)、メタン(最小分子径:0.40nm)、n−ブタン
(最小分子径:0.43nm)、i−ブタン(最小分子径:0.
50nm)、四塩化炭素(最小分子径:0.60nm)に対する吸
着等温線(25℃)を測定した。測定には、実施例1と同
じく定容法による吸着等温線測定装置ベルソープ18{日
本ベル(株)製}を用いた。 850℃炭化処理品の測定結
果を図2、図3に示す。
【0035】なお、ミクロ孔径分布は、累積ミクロ孔容
積とミクロ孔径の関係で示している。前記吸着ガスに
て、吸着等温線を測定し、Dubinin-Astakhovプロットか
ら、各々の最大吸着容積を求め、その値で代表させた。
n−ブタンと炭酸ガスの吸着量には大きな差があり、優
れた平衡分離型の分子ふるい性を示している。製造され
た粒状の分子ふるい炭素は、n−ブタンをほとんど吸着
せず0.43nm以上のミクロ孔径を実質的に有していないこ
とが分かった。
【0036】図4は 850℃炭化処理品の窒素、酸素の吸
着速度を比較したものである。測定方法は、容積既知の
容器内に分子ふるい炭素試料を入れ、系内を真空にした
後、吸着させるガス(窒素、酸素)を導入し、導入後の
時間と圧力を計測するもので、装置は吸着等温線の測定
と同じベルソープ18を使用した。図4から、酸素は非常
に短い時間内で吸着量が平衡に達するのに対して、窒素
の吸着量が平衡に達する時間は非常に長いことがわか
る。つまり、この粒状の分子ふるい炭素は非常に良好な
速度分離型の分子ふるい性をもつことが明らかである。
【0037】実施例3 実施例1で得られた平均粒径12μmのプリカーサーピッ
チを 300℃まで空気流通下で、同様に不融化処理した。
酸素含有量は10.2wt%であった。次に、この得られた不
融化ピッチ微粒子 100重量部に対して平均粒子径8μm
のピッチ微粉(軟化点95℃)を20重量部あらかじめ混合
し、皿式造粒機により、水を添加しながら造粒し、平均
粒径 2.8mmの不融化微粒子塊を得た。得られた不融化微
粒子から構成される粒子を 150℃まで昇温して1時間保
持し、乾燥、硬化した。
【0038】この不融化微粒子から構成される粒子を空
気流通下(空塔速度1m/s )にて、 340℃まで1℃/
min で昇温し、再不融化処理した。再不融化後の粒子の
酸素含有率は10.4wt%であった。次に、この得られた過
剰に不融化処理された粒子を不活性ガス雰囲気下(窒素
ガス流通下)で 800℃まで昇温し、 0.5時間炭化処理
し、粒状の分子ふるい炭素を得た。炭化収率は不融化微
粒子から構成される粒子に対して80重量%であった。
【0039】また、次に得られた粒状の分子ふるい炭素
を、窒素ガス流通下 750℃まで加熱処理した。引き続き
この温度でベンゼン濃度6%含む窒素ガスを流通しなが
ら、30分保持して熱分解炭素蒸着処理を施した後、さら
に窒素ガスを流通しながら、750 ℃で60分保持し、その
後窒素ガスで冷却し、ミクロ孔がさらに狭められた粒状
の分子ふるい炭素が得られた。
【0040】図5は、熱分解炭素蒸着処理を施す前後の
試料の酸素・窒素吸着速度を比較した結果である。この
図から、酸素、窒素に対し、優れた速度分離型分子ふる
い性能を持っていることがわかる。 比較例1 実施例1で得られた平均粒径12μmのプリカーサーピッ
チを、 300℃まで空気流通下で、不融化処理した。酸素
含有量は10.2wt%であった。
【0041】次に、この得られた不融化ピッチ微粒子 1
00重量部に対して平均粒子径8μmのピッチ微粉(軟化
点95℃)を20重量部あらかじめ混合し、皿式造粒機によ
り、水を添加しながら造粒し、平均粒径2.8mm の不融化
微粒子塊を得た。得られた不融化微粒子から構成される
粒子を150 ℃まで昇温して1時間保持し、乾燥、硬化し
た。
【0042】次いで、この不融化微粒子から構成される
粒子を窒素ガスを流通しながら 690℃まで昇温し、10分
間保持した後、冷却し、粒状の分子ふるい炭素を調製し
た。この分子ふるい炭素には二酸化炭素、n−ブタンは
多量に吸着されるが、i−ブタンはほとんど吸着されな
かった。製造された分子ふるい炭素は、0.43nm以上のミ
クロ孔径を実質的に有しており、実施例1、2、3で調
製された粒状の分子ふるい炭素に比較してミクロ孔径分
布が大きい方に偏位していた。
【0043】図6は、得られた粒状の分子ふるい炭素の
酸素・窒素吸着速度を比較した結果である。この図か
ら、実施例1、2、3で調製された分子ふるい炭素に比
較して、酸素、窒素に対して分子ふるい性能が非常に劣
ることがわかる。
【0044】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
の粒状の分子ふるい炭素の製造方法によれば、ミクロ孔
径が0.28nm以上、0.43nm未満で、かつミクロ孔径分布の
狭い分子ふるい炭素を、賦活化プロセス無しに、簡便に
かつ再現性良く、製造することができる。
【0045】また、容易に入手できるピッチを出発原料
として、賦活化プロセスが無いため、高収率で調製可能
であるため、高性能の分子ふるい炭素を高収率でかつ安
価に得ることができる。本発明によって得られる分子ふ
るい炭素は、特にメタン、二酸化炭素に対する平衡分離
型分子ふるい性能、ならびに酸素・窒素に対する速度分
離型分子ふるい性能に優れている。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1における粒状の分子ふるい炭素の酸素
と窒素の吸着速度を時間に対する吸着量の変化で表現し
た図である。
【図2】実施例2における粒状の分子ふるい炭素のミク
ロ孔径分布を累積分布で表現した図である。
【図3】実施例2における粒状の分子ふるい炭素のn−
ブタン、二酸化炭素の吸着等温線である。縦線は平衡吸
着量で、横線はガス圧力である。
【図4】実施例2における粒状の分子ふるい炭素の酸素
と窒素の吸着速度を時間に対する吸着量の変化で表現し
た図である。
【図5】実施例3における熱分解炭素蒸着処理を施す前
後の粒状分子ふるい炭素の酸素と窒素の吸着速度を、時
間に対する吸着量の変化で表現した図である。
【図6】比較例1における粒状分子ふるい炭素の酸素と
窒素の吸着速度を、時間に対する吸着量の変化で表現し
た図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 上田 雅美 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎 製鉄株式会社 技術研究本部内 (56)参考文献 特開 平1−291158(JP,A) 特開 平6−142503(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C01B 31/00 - 31/36 C01B 33/20 - 39/54 B01J 20/00 - 20/34 B01D 53/02 - 53/12 C10C 1/00 - 5/00 INSPEC(DIALOG)

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 タールピッチを原料として、軟化点 150
    ℃以上のピッチを調製し、このピッチを平均粒径1〜 1
    00μmに微粉砕した後、酸化性雰囲気で不融化処理し、
    次に、得られた不融化微粒子に造粒処理を施した後に、
    760℃以上 900℃以下の温度で炭化処理することを特徴
    とする分子ふるい炭素の製造方法。
  2. 【請求項2】 不融化微粒子の造粒処理後、炭化処理前
    に再不融化処理を行うことを特徴とする請求項1記載の
    分子ふるい炭素の製造方法。
  3. 【請求項3】 不融化微粒子または再不融化後の粒子の
    酸素含有量が7〜15重量%であることを特徴とする請求
    項1または2記載の分子ふるい炭素の製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項1、2または3記載の製造方法で
    得られた分子ふるい炭素を、さらに、 600℃以上 850℃
    以下の温度で芳香族炭化水素および/または脂環式炭化
    水素を含む不活性ガス雰囲気下で処理することにより、
    熱分解炭素を蒸着させることを特徴とする分子ふるい炭
    素の製造方法。
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