JP3279442B2 - 撥水剤組成物及び撥水剤物品並びに撥水処理方法 - Google Patents

撥水剤組成物及び撥水剤物品並びに撥水処理方法

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JP3279442B2 JP21458394A JP21458394A JP3279442B2 JP 3279442 B2 JP3279442 B2 JP 3279442B2 JP 21458394 A JP21458394 A JP 21458394A JP 21458394 A JP21458394 A JP 21458394A JP 3279442 B2 JP3279442 B2 JP 3279442B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は撥水剤組成物及び撥水剤
物品並びに撥水処理方法に関し、さらに詳しくは、撥水
性能が良好で、その持続性が高く、撥水処理時の不快臭
の発生が抑制され、かつ撥水処理時のむらづき、シミが
抑制された撥水剤組成物及び撥水剤物品並びに撥水処理
方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】分子内
にパーフルオロアルキル基又はフルオロアルキル基を含
有する重合可能な単量体の重合物、又はこの単量体と他
種の重合可能な単量体との共重合物からなるフッ素系撥
水剤は、撥水処理される対象物、例えば繊維織物に対
し、単位重量繊維当り0.05〜2%o.w.f (on the weight
of fabrics)という比較的少量で優れた撥水効果、更に
は防汚効果を発揮するものであり、繊維織物を初めとし
て、皮革、インテリア、建材等の表面処理加工剤として
近年注目されている。
【0003】しかしながら、フッ素系撥水剤を含有した
エアゾールを衣料等に吹きつけたり、又は該撥水剤を塩
素系溶剤(ジクロロエタン、 1,1,1−トリクロロエタ
ン、S−テトラクロロジフルオロエタン、 1,1,2−トリ
クロロ−1,2,2 −トリフルオロエタン等)や、これらの
塩素系溶剤に1価もしくは2価のアルコールを添加した
混合溶剤、又は石油系溶剤(ミネラルターペン油等)に
溶解させた液を布に塗布すると、撥水処理された後の衣
料等が黒、紺色等の濃い色彩を有する場合には、白いシ
ミが目立ち外観を著しく損なうという問題があった。ま
た、これらの撥水剤では撥水処理直後の撥水性は充分に
認められるものの、その効果の持続性が劣るため、衣料
等にたびたび撥水処理しなければならないという問題が
あった。
【0004】従って、本発明が解決しようとする課題
は、撥水処理にあたり、撥水効果が優れ、その持続性が
高く、且つ処理対象物にシミ残りがない撥水剤組成物及
び該撥水剤組成物を含有する撥水剤物品並びに該撥水剤
物品を使用する撥水処理方法を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するため鋭意検討した結果、特定の組成物を使用
することにより、さらにはこの組成物を撥水処理される
べき対象物に噴霧することにより、上記目的を達成し得
ることを見い出し本発明を完成するに到った。
【0006】即ち、本発明は、下記(a) 成分 0.1〜5重
量%、(b) 成分90〜99.8重量%及び(c) 成分 0.1〜5重
量%を含有することを特徴とする撥水剤組成物を提供す
るものである。 <(a) 成分>下記モノマー(1) 、モノマー(2) 及びモノ
マー(3) を重合して得られるフッ素樹脂 モノマー(1):一般式(I)で表されるアクリル酸もしく
はメタクリル酸、又はこれらのエステル。 CH2=CR1(COOR2) (I) 〔式中、 R1:H またはCH3 基を示す。
【0007】R2:H を示すか、アリール基で置換してい
てもよい直鎖もしくは分岐鎖の炭素数1〜22のアルキル
基もしくはアルケニル基を示すか、又は直鎖もしくは分
岐鎖の炭素数1〜20のアルキル基もしくはアルケニル基
で置換していてもよいアリール基を示すか、又は炭素数
3〜8のシクロアルキル基を示す。〕 モノマー(2):ヒドロキシアルキル基(アルキル基の炭素
数2〜3)を有する、アクリル酸エステル又はメタクリ
ル酸エステル。 モノマー(3):パーフルオロアルキル基を有する、アクリ
ル酸エステルもしくはメタクリル酸エステル。 <(b) 成分>炭素数1〜3のアルコール <(c) 成分>可塑剤及び/又はフッ素含有界面活性剤 さらに本発明は、該撥水剤組成物を、その内部に充填し
た液体をその外部へ噴霧する装置を具備した容器の中
へ、充填してなる撥水剤物品を提供するものである。そ
してさらに本発明は、該撥水剤物品を使用し、上記撥水
剤組成物を、撥水処理されるべき対象物に対し噴霧する
ことを特徴とする撥水処理方法を提供するものである。
【0008】以下、本発明について詳細に説明する。 〔(a) 成分〕本発明の撥水剤組成物において使用される
(a) 成分は上記モノマー(1) 、モノマー(2) 及びモノマ
ー(3) を重合して得られるフッ素樹脂である。
【0009】モノマー(1) としては、例えばアクリル
酸、アクリル酸イソブチル、アクリル酸エチル、アクリ
ル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリ
ル酸ステアリル、アクリル酸ビニル、アクリル酸n−ブ
チル、アクリル酸tert−ブチル、アクリル酸メチ
ル、メタクリル酸、メタクリル酸アリル、メタクリル酸
イソブチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸2−エ
チルヘキシル、メタクリル酸n−オクタデシル、メタク
リル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ドデシル、メタク
リル酸ビニル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸
tert−ブチル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸メ
チル、メタクリル酸ステアリル等が挙げられ、これらの
2種以上を使用してもよい。この中で、アクリル酸イソ
ブチル、メタクリル酸イソブチル、アクリル酸メチル及
びメタクリル酸メチルからなる群より選ばれる少なくと
も2種以上(以下、これらをモノマー(1')という)を使
用することが本発明の所望の撥水性能を得るために好ま
しい。
【0010】モノマー(2) としては、次のものが例示さ
れる。アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒ
ドロキシプロピル(異性体混合物)、メタクリル酸2−
ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピ
ル、メタクリル酸3−ヒドロキシプロピルが挙げられ、
これらの2種以上を使用してもよい。モノマー(3) とし
ては、次のものが例示される。 CF3(CF2)7(CH2)11OCOCH=CH2 、 CF3(CF2)CH2OCO(CH3)
=CH2 、CF3(CF2)7(CH2)4OCO(CH3)=CH2
【0011】
【化1】
【0012】CF3(CF2)7SO2N(C3H7)(CH2)2OCOCH=CH2
CF3(CF2)7SO2N(C3H7)(CH2)2OCOC(CH3)=CH2 、CF3(CF2)
7(CH2)2OCOCH=CH2
【0013】
【化2】
【0014】等が挙げられ、これらの2種以上を使用し
てもよい。
【0015】(a) 成分のフッ素樹脂はモノマー(1) 、モ
ノマー(2) 及びモノマー(3) 、好ましくはモノマー
(1')、モノマー(2) 及びモノマー(3) を重合して得られ
るが、この場合において、各モノマーの配合割合は、モ
ノマー(1) (又はモノマー(1'))が全モノマーに対し、
30〜70重量%、モノマー(2)が15〜30重量%、モノマー
(3)が15〜40重量%であることが本発明の所望する水準
の撥水性を達成する上で好ましい。この場合において、
フッ素樹脂を構成するモノマー(2) とモノマー(3) の重
量比は、〔モノマー(2) 〕/〔モノマー(3) 〕=1/3
〜3/1であることが好ましく、より好ましくは1/2
〜2/1である。該重量比が1/3より低い場合、フッ
素樹脂は(b) 成分の炭素数1〜3のアルコールに対する
溶解性が低下する傾向となり、該重量比が3/1より高
い場合、フッ素樹脂の撥水性能が低下する傾向となる。
【0016】モノマー(1) (又はモノマー(1'))、モノ
マー(2) 及びモノマー(3) を重合する方法は種々の重合
反応の方式や条件を任意に選択でき、塊状重合、溶液重
合、懸濁重合、乳化重合、放射線重合、光重合等、各種
重合方式のいずれをも採用できる。例えばモノマー(1)
、モノマー(2) 及びモノマー(3) を界面活性剤等の存
在下に水に乳化させ攪拌下に重合させる方法、又はモノ
マー(1) 、モノマー(2)及びモノマー(3) を適当な有機
溶媒に溶かし、重合開始剤(過酸化物、アゾ化合物のよ
うな重合開始剤又は放射線等)の作用により、溶液重合
させる方法等が採用し得る。
【0017】本発明のフッ素樹脂は、上記モノマー(1)
、モノマー(2) 及びモノマー(3) 以外の他の共重合モ
ノマーを共重合させることもできる。この場合、共重合
モノマーとしては、例えばエチレン、酢酸ビニル、弗化
ビニル、塩化ビニル、ハロゲン化ビニリデン、アクリロ
ニトリル、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチル
スチレン、アクリルアミド、メタアクリルアミド、ジア
セトンアクリルアミド、メチロール化ジアセトンアクリ
ルアミド又はメタアクリルアミド、ビニルアルキルエー
テル、ビニルアルキルケトン、ブタジエン、イソプレ
ン、クロロプレン、グリシジルアクリレート、シクロヘ
キシルメタアクリレート、無水マレイン酸等が例示さ
れ、1種又は2種以上用いてもよい。また、この共重合
モノマーの配合割合は全モノマーに対し0〜5重量%で
ある。本発明で使用される(a) 成分のフッ素樹脂の分子
量は 500〜1,000,000 が好ましく、500 〜100,000 が特
に好ましい。
【0018】〔(b) 成分〕本発明の撥水剤組成物におい
て使用される(b) 成分としては、炭素数1〜3のアルコ
ールであるが、例えばメタノール、エタノール、プロパ
ノール、イソプロパノール、エチレングリコール、プロ
ピレングリコール等が例示される。この中でもエタノー
ル、イソプロパノールがシミ残り抑制の点で好ましく、
エタノールが特に好ましい。
【0019】〔(c) 成分〕本発明の撥水剤組成物におい
て使用される(c) 成分としては、ジブチルフタレート、
ジブチルアジペート、ジイソブチルアジペート、リン酸
トリクレジル、ブチルフタリルグリコール酸ブチルのよ
うな可塑剤や、フロラードFC−170C(住友スリーエム
(株)社製)、FOMBLIN(モンテカチーニ(株)社製)の
ようなフッ素含有界面活性剤が挙げられる。この中でも
ジイソブチルアジペートとフロラードFC−170Cが特に好
ましい。
【0020】〔撥水剤組成物〕本発明の撥水剤組成物に
おいて、(a) 成分の配合量は組成物中 0.1〜5重量%で
ある。(a) 成分の配合量が 0.1重量%未満では得られる
撥水剤組成物において、本発明が所望する水準の撥水性
が達成されず、一方、配合量が5重量%を越えても撥水
性の大幅な効果向上が見られず、経済的な観点より好ま
しくない。本発明の撥水剤組成物中の(a) 成分の配合量
は好ましくは 0.2〜3重量%である。本発明の撥水剤組
成物中の(b) 成分の配合量は90〜99.8重量%、より好ま
しくは97〜99.8重量%である。(b) 成分の配合量が90重
量%未満では経済的観点から好ましくなく、99.8重量%
より多いと本発明が所望する水準の撥水性が達成されな
い。本発明の撥水剤組成物において、(c) 成分の配合量
は組成物中 0.1〜5重量%、好ましくは0.1 〜3重量%
である。(c) 成分の配合量が 0.1重量%未満の場合、撥
水性が低下する傾向となり、撥水処理後のシミ残りが目
立つようになる。一方、5重量%を超える場合撥水性及
びその持続性が低下する傾向となる。
【0021】さらに本発明の撥水剤組成物中には必要に
応じて、第4級アンモニウム塩、シリコーンのような柔
軟剤(撥水剤組成物に対し0〜5重量%)、その他香
料、顔料等を添加することができる。
【0022】〔撥水剤物品〕以上説明した本発明の撥水
剤組成物は、好ましくは、その内部に充填した液体をそ
の外部へ噴霧する装置を具備した容器の中へ、充填して
なる撥水剤物品の形態で撥水処理に使用される。このよ
うな本発明の撥水剤物品を用いることにより、一層、撥
水処理時のむら付きを抑制し、且つ部分的に撥水処理を
される対象物に対し、極めて有効に撥水処理を行なうこ
とができる。本発明の撥水剤物品に用いられる、内部に
充填した液体を外部へ噴霧する装置を具備した容器とし
ては、例えばエアゾル式容器、トリガー式容器又は手動
式ポンプ容器等が例示される。
【0023】本発明の撥水剤組成物をエアゾル式容器に
充填してなる撥水剤物品は、常法に従い、エアゾル缶に
噴射剤と共に本発明の撥水剤組成物を充填することによ
り得られる。噴射剤としては、液化プロパン、液化ブタ
ン及びジメチルエーテルからなる群より選ばれる少なく
とも一種、又はこれらと CO2又はN2の組み合わせを使用
するのが良い。噴射剤と本発明の撥水剤組成物との重量
比率は、噴射剤/本発明の撥水剤組成物=3/97〜50/
50が好ましく、さらに好ましくは5/95〜40/60であ
る。
【0024】〔撥水処理方法〕本発明の撥水処理方法は
上記の撥水剤物品を使用し、上記の撥水剤組成物を、撥
水処理されるべき対象物(以下、対象物と言う)に対し
噴霧し、 (a)成分を対象物表面上に、むらなく塗布する
ことにより行われる。この場合において、対象物として
は特に限定されないが、例えば、繊維織物等に対し特に
有利に適用できる。この他、ガラス、紙、木、皮革、毛
皮、石綿、レンガ、セメント、金物及び酸化物、窯業製
品、プラスチック、塗面およびプラスターなどがある。
また、繊維織物としては、綿、麻、羊毛、絹などの動植
物性天然繊維、ポリアミド、ポリエステル、ポリビニル
アセタール、ポリアクリロニトリル、ポリ塩化ビニル、
ポリプロピレンの如き種々の合成繊維、レーヨン、アセ
テートの如き半合成繊維、ガラス繊維、アスベスト繊維
の如き無機繊維、あるいはこれらの混合繊維の織物があ
げられる。
【0025】
【発明の効果】本発明によれば、撥水処理にあたり、撥
水効果が優れ、その持続性が高く、且つ処理対象物にシ
ミ残りがない、撥水剤組成物及び該撥水剤組成物を含有
する撥水剤物品並びに該撥水剤物品を使用する撥水処理
方法を提供することができる。
【0026】
【実施例】
実施例1〜18及び比較例1〜18フッ素樹脂((a) 成分)の調製 モノマー(1) として下記式(1−1)〜(1−4)で表
されるモノマー、モノマー(2)として下記式(2−1)
〜(2−2)で表されるモノマー、モノマー(3)として
下記式(3−1)〜(3−4)で表されるモノマーを用
い、表1に示す組成を有する各種フッ素樹脂を次のよう
に調製した。重合溶媒としてメチルイソブチルケトン、
重合開始剤としてAIBN(アゾビスイソブチロニトリ
ル)を使用した。重合温度及び時間は40〜90℃、5〜20
時間程度とした。この際、重合溶媒としてはアセトン、
エタノールでも重合は行え、重合開始剤としてもV−65
(2,2'−アゾビス−(2,4 −ジメチルバレロニトリ
ル))も使用可能である。 CH2=CH(COOH) (1−1) CH2=CH(COOCH3) (1−2) CH2=CCH3(COOCH3) (1−3) CH2=CCH3(COOi-C4H9) (1−4) CH2=CCH3(COOCH2CH2OH) (2−1) CH2=CCH3(COOCH2CH2CH2OH) (2−2) CF3(CF2)7(CH2)11OCOCH=CH2 (3−1) CF3(CF2)7(CH2)4OCO(CH3)=CH2 (3−2)
【0027】
【化3】
【0028】得られたフッ素樹脂の分子量は、GPC
(Gel Permeation Chromatography)により測定した。
【0029】
【表1】
【0030】撥水剤組成物の調製 (a) 成分として上記の方法で得られた各種フッ素樹脂、
(b) 成分として表4及び表5に示す炭素数1〜3のアル
コール、(c) 成分として表4及び表5に示す可塑剤また
はフッ素含有界面活性剤を使用し、(a) 成分を(b) 成
分、(c) 成分又はその他の成分に溶解又は分散させるこ
とにより表4及び表5に示す組成の撥水剤組成物を調製
した。撥水剤物品の調製 エアゾル容器を使用して評価する場合、撥水剤組成物/
噴射剤=80/20(重量比)となるように容器に充填し
た。噴射剤としては、液化プロパン/液化ブタン=50/
50(重量比)の混合物を使用した。
【0031】性能評価 上記の方法で得られた本発明の撥水剤物品及び比較撥水
剤物品について、以下に示す方法により撥水性及び持続
性並びにシミ残りを評価した。結果を表6及び表7に示
す。 (I)撥水処理対象物の繊維織物の前処理 JIS-L-1096の6.23.1のA法に従って前処理を行った。即
ち、先ず20cm×20cmの繊維織物(ポリエステル又は木
綿)からなる試験片を作製した。そして洗濯機(水容量
40〜70リットル、回転羽根の回転速度65〜90rpm 、回転
羽根の回転角度180〜240°、脱水槽の回転速度 500〜72
0rpm、内径40〜55cm)の水槽の水準線まで約40℃の水を
入れ、これに1g/リットルの割合でJIS K 3371(衣料
用合成洗剤)に規定の洗剤を加え、よくかき混ぜて洗剤
を溶解した。浴比が40/1になるように3枚の試験片に
負荷布若干数を加えて洗濯液に投入し、自動洗濯操作
(洗濯12分→排水2分→遠心脱水及びスプレー2分→給
水3〜5分→すすぎ2分→排水2分→遠心脱水及びスプ
レー2分→遠心脱水4分)を行った。すすぎに用いる水
の温度も約40℃とした。洗濯後、試験片についてドリッ
プ乾燥を行った。即ち、試験片を脱水することなく、た
て方向が垂直になるように、数箇所をつかみ、室温で風
通しのないところでつるして乾燥した。 (II)撥水処理 このように前処理した試験片についてエアゾル容器又は
トリガー容器を用い、試験片当り60%o.w.f となるよう
に撥水剤組成物を試験片に20cmの距離より噴霧した。こ
のようにして得られた試験片を20℃、65%相対湿度の環
境下、24時間乾燥させた。
【0032】(III) 撥水性の評価 上記で得られた試験片について、JIS L-1092規定の方法
に従い、下記に示す方法で撥水性試験(スプレー法)を
行ない、撥水性を評価した。 (1) 装置及び材料:装置及び材料は、次に示すものを
用いた。 (a) 撥水度試験装置:図1に示す装置を用いた。尚、図
1において、1はガラス漏斗、2は漏斗保持具、3は漏
斗とスプレーノズルをつなぐゴムチューブ、4はスプレ
ーノズル、5はスタンド、6は試験片、7は試験片保持
枠、8は木製保持具である。また図2にスプレーノズル
4の拡大図を示す。尚、図2において、(a) は正面図、
(b) は底面図である。ガラス漏斗1は 250ml以上の容
量、スプレーノズル4は 250mlの水を25〜30秒で散布で
きるもの、試験片保持枠7は直径 150mmの金属製のもの
を用いた。 (b) 水:蒸留水又はイオン交換水を用い、試験時の温度
は原則として20±2℃としたが、他の場合はそのときの
温度を付記した。 (2) 試験法:上記で得られた約20×20cmの試験片を3
枚用い、1枚づつ試験片保持枠7にしわを生じないよう
に取り付け、図1に示す撥水度試験装置を用いて、スプ
レーノズル4の中心を保持枠の中心に一致させ、水 250
mlをガラス漏斗1に入れて試験片6上に散布した(所要
時間25〜30秒) 。次に、保持枠7を木製保持具8から外
し、その一端で水平に持ち試験片の表側を下向きにして
他端を固い物に一度軽く当て、更に 180°回し、前と同
様に操作して余分の水滴を落とした。保持枠7に付けた
まま試験片の湿潤状態を表2に示す判定基準に従い採点
し、3回の平均値で表した(整数位まで)。
【0033】
【表2】
【0034】(IV)撥水性持続性の評価 (III) 撥水性の評価の(2) 試験法における「スプレーノ
ズル4の中心を保持枠の中心に一致させ、」から「前と
同様に操作して余分の水滴を落とした。」までの操作を
50回繰り返したあと、(III) 記載の方法で試験片の湿潤
状態を表2に示す判定基準に従い採点し、3回の平均値
で表した(整数位まで)。
【0035】(V) シミ残りの評価 シミ残りに関しては、黒色のウール布地に撥水剤組成物
を20cmの距離より噴霧し、つり下げ風乾後シミの発生状
態を表3に示した基準で判定した。
【0036】
【表3】
【0037】
【表4】
【0038】
【表5】
【0039】
【表6】
【0040】
【表7】
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例で用いた撥水度試験装置の正面図であ
る。
【図2】スプレーノズルの拡大図であり、(a) は正面
図、(b) は底面図である。
【符号の説明】
1 ガラス漏斗 2 漏斗保持具 3 ゴムチューブ 4 スプレーノズル 5 スタンド 6 試験片 7 試験片保持枠 8 木製保持具
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平6−49319(JP,A) 特開 昭53−50078(JP,A) 特開 昭58−19380(JP,A) 特開 平6−293882(JP,A) 特開 昭63−50395(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) D06M 13/00 - 15/715

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記(a) 成分 0.1〜5重量%、(b) 成分
    90〜99.8重量%及び(c) 成分 0.1〜5重量%を含有する
    ことを特徴とする撥水剤組成物。 <(a) 成分>下記モノマー(1) 、モノマー(2) 及びモノ
    マー(3) を重合して得られるフッ素樹脂 モノマー(1):一般式(I)で表されるアクリル酸もしく
    はメタクリル酸、又はこれらのエステル。 CH2=CR1(COOR2) (I) 〔式中、 R1:H またはCH3 基を示す。 R2:H を示すか、アリール基で置換していてもよい直鎖
    もしくは分岐鎖の炭素数1〜22のアルキル基もしくはア
    ルケニル基を示すか、又は直鎖もしくは分岐鎖の炭素数
    1〜20のアルキル基もしくはアルケニル基で置換してい
    てもよいアリール基を示すか、又は炭素数3〜8のシク
    ロアルキル基を示す。〕 モノマー(2):ヒドロキシアルキル基(アルキル基の炭素
    数2〜3)を有する、アクリル酸エステル又はメタクリ
    ル酸エステル。 モノマー(3):パーフルオロアルキル基を有する、アクリ
    ル酸エステルもしくはメタクリル酸エステル。 <(b) 成分>炭素数1〜3のアルコール <(c) 成分>可塑剤及び/又はフッ素含有界面活性剤
  2. 【請求項2】 (a) 成分が、下記モノマー(1')、前記モ
    ノマー(2)及び前記モノマー(3) を、全モノマーに対し
    てモノマー(1')30〜70重量%、モノマー(2)15〜30重量
    %及びモノマー(3) 15〜40重量%の割合で重合して得ら
    れるフッ素樹脂である請求項1記載の撥水剤組成物。 モノマー(1'):アクリル酸イソブチル、メタクリル酸イ
    ソブチル、アクリル酸メチル及びメタクリル酸メチルか
    らなる群より選ばれる少なくとも2種以上。
  3. 【請求項3】 (a) 成分のフッ素樹脂を構成するモノマ
    ー(2)とモノマー(3)の重量比が、〔モノマー(2) 〕/
    〔モノマー(3) 〕=1/3〜3/1である請求項1又は
    2記載の撥水剤組成物。
  4. 【請求項4】 (b) 成分がエタノールである請求項1〜
    3のいずれかの項記載の撥水剤組成物。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれかの項記載の撥水
    剤組成物を、その内部に充填した液体をその外部へ噴霧
    する装置を具備した容器の中へ、充填してなる撥水剤物
    品。
  6. 【請求項6】 請求項5記載の撥水剤物品を使用し、請
    求項1〜4のいずれかの項記載の撥水剤組成物を、撥水
    処理されるべき対象物に対し噴霧することを特徴とする
    撥水処理方法。
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