JP2503612B2 - 撥水撥油剤組成物 - Google Patents

撥水撥油剤組成物

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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、撥水撥油性能に優れた廉価な撥水撥油剤組
成物に関する。
[従来の技術] フルオロアルキル基含有撥水撥油剤は他種の撥水撥油
剤に比べ性能が優れているので従来からよく使用されて
いるが、比較的高価であるので、コストを低減させるた
めに、撥水撥油性能を低下させないようにしつつ、その
一部を安価なアクリル酸系重合体やソルビトール、ラク
トース等の多価アルコールで置き換える提案がなされて
いる(特公昭38−22487号公報、特公昭41−8579号公報
および特公昭53−4160号公報等参照)。しかし、これら
の提案において、撥水撥油性能を維持しながら低廉化す
るという目的はある程度達成されたものの、満足ゆくも
のではなかった。
[発明の目的] 本発明は上記問題点に鑑み成されたものであり、その
目的は、充分な撥水撥油性能を有する廉価な撥水撥油剤
組成物を提供することにある。すなわち、フルオロアル
キル基含有の撥水撥油主剤に対するブレンダーとして、
アクリル酸系重合体や多価アルコール以上の効果を奏す
るものを求め、鋭意検討した結果、グリセリン、グリセ
リンのエステルもしくはエーテル誘導体または融点70℃
未満のポリグリセリン(以下グリセリン類と呼ぶ)が優
れていることを見出し、本発明を完成したものである。
[発明の構成] 本発明の要旨は、フルオロアルキル基含有の撥水撥油
剤にグリセリン、グリセリンのエステルもしくはエーテ
ル誘導体または融点70℃未満のポリグリセリンを添加混
合してなるエマルジョン型撥水撥油剤組成物に存する。
本発明の組成物において、グリセリンのエステル誘導
体は、α−位の水酸基が炭素数1〜6のモノアルカン酸
によってエステル化されて生成されるエステル、例え
ば、グリセリンα−モノ酢酸、グリセリンα−モノ蟻酸
およびグリセリンα−モノn−ヘキサン酸が好ましく、
グリセリンのエーテル誘導体は、α−位の水酸基の水素
が炭素数1〜6のアルキル基によって置換されて生成さ
れるエーテル、例えば、グリセリンα−モノメチルエー
テル、グリセリンα−モノエチルエーテルおよびグリセ
リンα−モノイソプロピルエーテルが好ましい。
本発明の組成物において、撥水撥油剤に対するグリセ
リン類の添加量は、特に限定されず、撥水撥油剤及びグ
リセリン類の種類などに応じて広い範囲で変更可能であ
る。しかしながら、グリセリン類の添加量が多すぎる
と、得られる撥水撥油剤組成物の撥水撥油性能が低下
し、また、添加量が少なすぎると低廉化の効果が小さく
なると共に撥水撥油性向上効果が期待できなくなる。従
って、通常、撥水撥油剤1重量部に対してグリセリン類
の0.05重量部以上で7重量部以下の添加量が採用され
る。本発明において特に良好に採用される添加量は、撥
水撥油剤1重量部に対して0.1〜4重量部程度である。
本発明の組成物において、フルオロアルキル基含有の
撥水撥油剤は、特に限定されない。フルオロアルキル基
含有の撥水撥油剤は、通常、媒体100重量部に0.1〜1.0
重量部の範囲で含有させる。この撥水撥油剤の例として
は、炭素数4〜21のフルオロアルキル基を含有するアク
リレートまたはメタクリレートの単独重合体、あるいは
これとフルオロアルキル基を含有しない単量体との共重
合体等を挙げることができる(例えば、特公昭60−8068
号公報参照)。
好ましいフルオロアルキル基を含有するアクリレート
またはメタクリレートは式: Rf(CH2)mOCOCR1=CH2 又は RfSO2NR2(CH2)mOCOR1=CH2 [式中、Rfは炭素数4〜21のパーフルオロアルキル基、 R1は水素またはメチル基、 R2は炭素数1〜10のアルキル基、 mは1〜10の整数である。] で示される化合物である。
前記フルオロアルキル基を含有するアクリレートまた
はメタクリレートの具体例としては、 CF3(CF2(CH211OCOCH=CH2 CF3(CF24CH2OCOC(CH3)=CH2 CF3(CF2(CH22OCOC(CH3)=CH2 CF(CF3(CF2(CH23OCOCH=CH2 CF(CF3(CF210(CH23OCOCH=CH2 CF3(CF27SO2N(C3H7)(CH22OCOCH=CH2 CF3(CF27SO2N(CH3)(CH22OCOC(CH3)=CH2 CF(CF3(CF26CH2CH(OH)CH2OCOCH=CH2 CF(CF3(CF26CH2CH(OCOCH3)OCOC(CH3)=CH2 CCIF2(CF210CH2OCOC(CH3)=CH2 H(CF210CH2OCOCH=CH2 等を挙げることができる。これらの他、フルオロアルキ
ル基を含有する単量体として、 CF(CF3)(CCIF2)(CF27CONHCOOCH=CH2 等も前記アクリレートまたはメタクリレートの全部また
は一部に代えて使用することができる。
フルオロアルキル基を含有しない単量体の具体例とし
ては、エチレン、酢酸ビニル、フッ化ビニル、塩化ビニ
ル、フッ化ビニリデン、塩化ビニリデン、アクリロニト
リル、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチ
レン、アクリル酸またはそのアルキルエステル、メタク
リル酸またはそのアルキルエステル、アクリルアミド、
ジアセトンアクリルアミド、メチロール化ジアセトンア
クリルアミド、メチロール化ジアセトンメタクリルアミ
ド、ビニルアルキルエーテル、ビニルアルキルケトン、
ブタジエン、イソプレン、クロロプレン、グリシジルア
クリレート、無水マレイン酸等を挙げることができる。
フルオロアルキル基を含有しない単量体の量は、重合体
100重量部に対して、0〜75重量部、好ましくは20〜65
重量部である。
前記アクリレートまたはメタクリレートの単独重合体
または共重合体は、塊状重合、溶液重合、乳化重合等に
より製造することができるが、通常は乳化重合により製
造する。従って、媒体は、通常水である。乳化重合は、
特別な条件を採用する必要はなく、例えば、特公昭60−
8068号公報に記載されているように、共重合しようとす
る化合物の混合物を界面活性剤の存在下に水に乳化さ
せ、重合開始剤を加えて50〜100℃で撹拌下に重合す
る。重合開始剤には、過酸化物、アゾ化合物、過硫酸塩
等がある。界面活性剤としては、陰イオン性、陽イオン
性および非イオン性の各種の界面活性剤を使用すること
ができるが、陽イオン性界面活性剤と非イオン性界面活
性剤との混合物が好ましい。
本発明の組成物には、公知の添加剤、例えば架橋剤、
帯電防止剤、染料定着剤、防皺剤、難燃剤、防虫剤等を
添加することができる他、汎用の有機溶剤、例えばイソ
プロパノール等を加えることができる。
本発明の撥水撥油剤組成物は、スプレー法、浸漬法等
公知の方法で被処理物品に塗布することができる(例え
ば、特開昭61−264081号公報参照)。
本発明の撥水撥油剤組成物により処理される物品に
は、天然または合成の繊維、布が挙げられる。撥水撥油
剤組成物中の撥水撥油剤の付着量は、被処理物品の重量
に対して0.01〜2重量%である。
[発明の効果] 撥水撥油剤組成物において、本発明で使用するグリセ
リン類以外の、多価アルコール、多価アルコールのエス
テルもしくはエーテル誘導体または融点70℃以上のポリ
グリセリンをブレンダーとして用いた場合には、ある程
度の効果は認められるものの、種々の難点が認められ
る。例えば、グリセリンよりも炭素数あるいは水酸基数
の多い多価アルコールのエステルまたはエーテル誘導体
は、撥水撥油処理後も多量に布上に残存し、親水性の水
酸基または親油性のアルキル基の影響で撥水撥油性の低
下が認められる。また、処理布の風合を損なうことも認
められる。逆にグリセリンよりも炭素数または水酸基数
が少ない多価アルコールまたはアルコールのエステルも
しくはエーテル誘導体は、撥水撥油性を向上させない。
更に、融点が70℃以上のポリグリセリンにおいても上記
と同様の難点が認められる。
本発明の撥水撥油剤組成物は、ブレンダーとして用い
るグリセリン類が、従来技術のアクリル樹脂重合体また
は共重合体からなるブレンダーよりも容易に入手でき低
廉化されているという利点がある。
本発明の撥水撥油剤組成物は、優れた撥水撥油性能を
有し、廉価に得ることができる。
また、通常、撥水撥油剤の付着量を少なくすると撥水
撥油性が不充分になるが、本発明においてはグリセリン
類の併用により、撥水撥油剤付着量を少なくしても撥水
撥油性が充分発揮される。
[実施例] 次に、本発明の実施例について更に具体的に説明する
が、この説明が本発明を限定するものでないことは勿論
である。
本発明の実施例における撥水撥油剤組成物の評価方法
を以下に示す。
撥水性は、JIS L−1092のスプレー法による撥水性No.
(下記第1表参照)をもって表わし、撥油性は、下記第
2表に示された試験溶液を試料布上の2箇所に数滴(径
約4mm)置き、30秒間保持するか否かをもって撥油性No.
として表した。なお、撥水性No.に「+」印を付したも
のは、性能がそれよりも僅かに良好なものである。
また風合いは、JIS L−1096のハンドルオメータ法で
布の剛軟性を測定することにより評価した。
耐洗濯性試験では、被処理試験布を洗剤(商品名:ザ
ブコーソXK,花王株式会社)0.3重量%を含む水中で、温
度40℃、浴比1:40(布:処理液(g:g))として家庭用
洗濯機を用いて5分間洗濯し、次いで15分間すすいだ
後、室温で乾燥することを1サイクルとし、5サイクル
の後、上記方法により撥水撥油性を測定して耐洗濯性の
値とした。
耐ドライクリーニング試験では、ラウンダオメーター
を使用して、30℃においてテトラクロロエチレンで30分
間処理し、室温で乾燥後、前記と同じ方法で撥水撥油性
を測定して耐ドライクリーニング性の値とした。
実施例1〜4、比較例1〜3 本発明の撥水撥油剤組成物の撥水撥油剤を次のような
方法で製造した。
(CF32CF(CF2CF2)nCH2CH2OOCCH=CH2(n=3,4,5の
化合物の重量比5:3:1の混合物)で示される化合物60g,C
18H37OOCCH=CH238g,CH2=CHCOOCH2CH(OH)CH2Cl2g,純
水250g,アセトン50g,n−ドデシルメルカプタン0.2g,ジ
メチルアルキルアミン酢酸塩3gおよびポリオキシエチレ
ンアルキルフェノール3gをフラスコに仕込み、窒素気流
下に60℃で1時間攪拌した後、アゾビスイソブチルアミ
ジン塩酸塩1gを水10gに溶かした溶液を添加し、更に窒
素気流下に60℃で5時間攪拌して共重合反応を行う。ガ
スクロマトグラフィーにより、共重合反応の転化率が99
%以上であることが示された。この転化率から、得られ
た共重合体の各構成単位の割合が仕込んだ単量体の割合
にほぼ一致していることがわかった。得られた乳化分散
体は、固形分濃度25%で共重合体を含んでいた。
試験布は、ポリエステル加工糸織物(以下、PEで示
す)およびナイロンタフタ布(以下、Nで示す)を使用
し、各試験布を該乳濁液に1分間浸漬し、2本のゴムロ
ールの間で絞って含水量をそれぞれ90%と50%にした。
次いで110℃で3分間乾燥し、さらにPEは180℃で40秒
間、Nは170℃で1分間熱処理することにより撥水撥油
処理を施した。かくして得られる被処理布について撥水
撥油性能を測定し、その結果を第3表にまとめて示し
た。
第3表の試験結果から明らかな様に、撥水撥油剤組成
物にグリセリン類を添加することにより、顕著な撥水撥
油効果が認められた。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】フルオロアルキル基含有の撥水撥油剤に、
    グリセリン、グリセリンのエステルもしくはエーテル誘
    導体または融点70℃未満のポリグリセリンを添加混合し
    てなるエマルジョン型撥水撥油組成物。
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