JP3278112B2 - クラッチ装置 - Google Patents

クラッチ装置

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JP3278112B2
JP3278112B2 JP22982998A JP22982998A JP3278112B2 JP 3278112 B2 JP3278112 B2 JP 3278112B2 JP 22982998 A JP22982998 A JP 22982998A JP 22982998 A JP22982998 A JP 22982998A JP 3278112 B2 JP3278112 B2 JP 3278112B2
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昭浩 増山
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栃木富士産業株式会社
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明はクラッチ装置に関
する。
【0002】
【従来の技術】U.S.P.4412459号登録証に
記載の「CONTROLLED DIFFERENTI
AL」がある。これは油圧アクチュエータにより差動制
限用の多板クラッチを操作するデファレンシャル装置で
ある。この装置は差動制限力を専ら油圧アクチュエータ
の押圧力に頼るから、油圧系と大きな油圧源が必要であ
る。この結果、装置自体が複雑になり、大型化する。
【0003】又、U.S.P.4718303号登録証
に記載の「FOUR WHEELDRIVE TRAN
SFER CASE WITH CLUTCH MEC
HANISM」がある。これは、電磁クラッチを連結状
態にすると伝達トルクがカムに掛かりカム力がこのクラ
ッチを介して多板クラッチを押圧して差動制限を行うデ
ファレンシャル装置を有するトランスファ・ケースであ
る。
【0004】このように、カム力により差動制限が行わ
れるから上記の従来例のように大きな油圧源(操作力
源)などは不要であるが、上記のようにカム力が電磁ク
ラッチを介して多板クラッチに作用するからカム力の影
響により電磁クラッチの締結力(滑り)の制御が難し
く、従って、多板クラッチの締結力(差動制限力)の制
御が難しい。
【0005】図8に示したデファレンシャル装置は、パ
イロットクラッチ301が締結されるとカム303に伝
達トルクが掛かってカム力が発生し、このカム力はプラ
ネタリーギヤ式差動機構305のキャリア307を介し
てメインクラッチ309に押圧して締結させ、差動機構
305の差動制限を行うように構成されている。
【0006】ところが、キャリア307のハブ311は
車軸にスプライン連結されているから駆動トルクが掛か
っているときは軸方向の移動抵抗が大きく、これに加え
てキャリア307と共にピニオンギア313も移動す
る。従って、操作レスポンスが悪い。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明は、大
きな操作力源が不要で、小型化、コンパクト化が可能
で、クラッチトルクの正確な制御が可能であり、操作レ
スポンスの良いクラッチ装置の提供を目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明は、2つ
の回転軸の一方の回転軸に設けられて内側に他方の回転
軸の端部が挿入・配置されるクラッチドラムと、前記他
方の回転軸の外周に一体回転自在に連結されると共に前
記クラッチドラム内に収容された一側部材と、この一側
部材とクラッチドラムの内側との間に配置されてこれら
を連結する多板式のメインクラッチと、前記一側部材に
軸方向移動自在に連結され軸方向移動によりメインクラ
ッチの締結を行う押圧部材と、一側にカム面が形成され
他側が前記一方の回転軸に支持されたカムリングと、一
方のカム面が前記押圧部材側に設けられ他方のカム面が
前記カムリングに設けた前記カム面で形成され前記カム
リングの前記回転軸に対する回転規制により両カム面が
回転方向で相対回転すると前記カムリングに対し前記押
圧部材の軸方向移動を行わせるカムと、前記クラッチド
ラムの内側と前記カムリングとに回転方向に係合し前記
回転体の軸方向に向いた面に対し軸方向へ締結すること
により前記カムリングを締結力に応じて回転規制するパ
イロットクラッチとを備え、前記2つの回転軸が直列に
配置され、前記クラッチドラム内に前記一側部材、前記
メインクラッチ、前記押圧部材、前記カム、前記カムリ
ングが収納され、前記パイロットクラッチの締結力と前
記カムが発生して前記押圧部材の軸方向移動を行わせる
カムスラスト力とを受けるフランジ部が前記クラッチド
ラムと一体に設けられ、前記カムスラスト力を受ける受
面が前記パイロットクラッチを受ける受面より回転軸の
半径方向の内側に位置していることを特徴とする。
【0009】このクラッチ装置では、メインクラッチは
伝達トルクを受けて作動するカムのカム力により締結さ
れて2つの回転軸が連結される。この場合、メインクラ
ッチを操作するための操作力源と操作系が不要になり、
しかも、2つの回転軸が直列に配置されているので、径
方向の寸法を短くできて小型化、コンパクト化を図るこ
とができる。
【0010】又、カム力はパイロットクラッチを介さず
にメインクラッチに作用するから、パイロットクラッチ
の締結力の正確な制御が可能であり、従って、メインク
ラッチのトルク調節が可能である。
【0011】また、押圧部材は、メインクラッチの一側
部材と軸方向移動自在に連結されているから、カム力の
伝達が円滑であり、操作レスポンスが良い。
【0012】請求項2の発明は、請求項1記載のクラッ
チ装置であって、前記パイロットクラッチ、前記押圧部
材、前記メインクラッチの順に軸方向に沿って配置され
ていることを特徴とする。
【0013】このクラッチ装置では、請求項1の作用に
加えて、パイロットクラッチ、押圧部材、メインクラッ
チの順に配置することで、径方向への突出部分がなくな
り外表面に凹凸がなくなる。また、2つの回転軸の差動
回転が直接メインクラッチの相対回転となるため、メイ
ンクラッチの締結時に一方の回転軸の駆動力を他方の回
転軸に直接伝達することができ、操作レスポンスの向上
を図ることができるとともに、大きなトルク伝達が可能
となる。
【0014】請求項3の発明は、請求項1又は請求項2
記載のクラッチ装置であって、前記クラッチドラムの内
側と前記一側部材との間にメインクラッチ、パイロット
クラッチが軸方向に沿って配列されていることを特徴と
する。
【0015】このクラッチ装置では、上記請求項1、2
の作用に加えて、押圧部材とパイロットクラッチの作動
方向が逆方向へ作動するため、押圧方向が逆になり、各
々独立して作動することができる。
【0016】請求項4の発明は、請求項1乃至請求項3
のいずれか一項に記載のクラッチ装置であって、前記パ
イロットクラッチが、前記クラッチドラムの内側に連結
されたクラッチ板と、前記カムのカムリングに連結され
たクラッチ板とからなる多板式に形成され、前記カム
と、前記カムリングが前記一側部材上に軸方向に移動自
在に配置されていることを特徴とする。
【0017】このクラッチ装置では、請求項1、2、3
の作用に加えて、カム、カムリングが一側部材上に移動
自在に支持されているので、カム、カムリングのがたつ
きを抑制することができる。また、パイロットクラッチ
を多板式としたことで、正確な制御が可能となる。
【0018】
【0019】
【0020】
【発明の実施の形態】図1と図2とにより第1実施形態
の説明をする。図1はこの実施形態のクラッチ装置を示
し、第2図はこのクラッチ装置を用いた四輪駆動(4W
D)車の動力系を示す。図1の右方はこの車両の前方
(第2図の上方)に相当する。
【0021】先ず、図2によりこの動力系の構成を説明
する。
【0022】この動力系は、エンジン1、トランスミッ
ション3、フロントデフ5(前輪側のデファレンシャル
装置)、前車軸7,9、左右の前輪11,13、トラン
スファ15、プロペラシャフト17、この実施形態のク
ラッチ装置19、リヤデフ21(後輪側のデファレンシ
ャル装置)、後車軸23,25、左右の後輪27,29
などから構成されている。 次に、クラッチ装置19の
説明をする。
【0023】連結軸31はリヤデフ21を収納するデフ
キャリヤ33の前端部を貫通し、ベアリング35により
キャリヤ33に支承されると共に、スプライン部37に
よりプロペラシャフト17側に連結されている。プロペ
ラシャフト17はトランスファ15からフロントデフ5
のデフケース39を介してエンジン1側に連結されてい
る。こうして、連結軸31はエンジン1からの駆動力に
より回転駆動される。
【0024】連結軸31の後端にはクラッチドラム41
がそのフランジ部43で一体に固定されている。ドラム
41の内側にはハブ45(一側部材)が配置され、軸支
部47とベアリング49とによりドラム41に支承され
ている。
【0025】ハブ45のボス部51にはドライブピニオ
ンシャフト53がスプライン連結されている。シャフト
53はベアリング55,55によりキャリヤ33に支承
され、その後端にはリヤデフ21のリングギヤ57と噛
合ったドライブピニオンギヤ59が一体に形成されてい
る。
【0026】クラッチドラム41とハブ45との間には
これらを連結する多板式のメインクラッチ61が配置さ
れており、その前側では押圧部材63がハブ45に軸方
向移動自在にスプライン連結されている。押圧部材63
の前側にはカムリング65が配置され、これらの間に
は、図1に示すように、ボール67を介してカム69が
形成されている。カムリング65とクラッチドラム41
との間にはこれらを連結する多板式のパイロットクラッ
チ71が配置されている。
【0027】クラッチ71の後側にはアーマチャ73が
配置されている。ドラム41のフランジ部43の前方に
はリング状の電磁石75が配置されている。電磁石75
はボルト77によりキャリヤ33の内側に固定されてい
る。フランジ部43には電磁石75の磁力の短絡を防ぎ
アーマチャ73へ導くために非磁性のリング79が埋め
込まれている。
【0028】電磁石75がアーマチャ73を吸引すると
パイロットクラッチ71が押圧されて締結し、カムリン
グ65はクラッチ71を介してドラム41に連結され、
連結軸31側(前輪側)とドライブピニオンシャフト5
3(後輪側)とはクラッチ71、カム69、押圧部材6
3、ハブ45を介して、クラッチ71の締結力に応じた
強さで連結される。
【0029】パイロットクラッチ71が締結されるとエ
ンジン1の駆動力がカム69に作用してスラスト力8
1,83(カム力)が生じ、後方向のスラスト力81に
より押圧部材63が軸方向移動してメインクラッチ61
を締結し、パイロットクラッチ71による前輪側と後輪
側の連結力が強化される。前方向のスラスト力83はベ
アリング85、ワッシャ87を介してクラッチドラム4
1に入力し、スラスト力81により相殺される。
【0030】すなわち、カム69により発生したスラス
ト力81は、押圧部材63を押圧し、クラッチクラッチ
ドラム41の内側の止めリング62を介して、クラッチ
ドラム41に入力される。一方、スラスト力83は、カ
ムリング85、ワッシャー87を介してクラッチドラム
41に入力される。従って、クラッチドラム41に、ス
ラスト力81、83が入力されるため、これらのスラス
ト力81、82が相殺される。これにより、クラッチド
ラム41にスラスト力81、83による一方向への力が
加わることがない。
【0031】このように、カム力はパイロットクラッチ
71に作用しないから、締結力(滑り)の正確な制御が
可能であり、カム力調整によるメインクラッチ61の締
結力調節が可能である。従って、各クラッチ61,71
による連結力を正確に制御することができる。
【0032】又、メインクラッチ61をカム力で操作す
るから、従来例のような強力な操作力源と操作系とが不
要であり、低コストである。
【0033】更に、押圧部材63をハブ45(トルク伝
達部材)と別体にしハブ45と軸方向間(押圧方向)移
動自在に連結させたから、移動が円滑であり操作レスポ
ンスが良い。
【0034】また、連結軸31、ドライブピニオンシャ
フト53が直列に配置されているので、クラッチ装置1
9の径方向の寸法を短くできて小型化、コンパクト化を
図ることができる。
【0035】又、カム力はパイロットクラッチ71を介
さずにメインクラッチ61に作用するから、パイロット
クラッチ71の締結力の正確な制御が可能であり、従っ
て、メインクラッチ61のトルク調節が可能である。
【0036】また、パイロットクラッチ71、押圧部材
63、メインクラッチ61の順に配置することで、径方
向への突出部分がなくなりクラッチ装置19の外表面に
凹凸がなくなる。また、連結軸31とドライブピニオン
シャフト53の差動回転が直接メインクラッチ61の相
対回転となるため、メインクラッチ61の締結時に連結
軸31の駆動力をドライブピニオンシャフト53に直接
伝達することができ、操作レスポンスの向上をより図る
ことができる。
【0037】さらに、押圧部材63とカムリング65の
作動方向が逆方向へ作動するため、押圧方向が逆にな
り、各々独立して作動することができる。
【0038】電磁石75による上記のようなクラッチト
ルク制御は運転席から手動操作可能か、あるいは路面条
件や車両の操舵条件などに応じて自動操作可能に構成さ
れている。
【0039】こうして、クラッチ装置19が構成されて
いる。 次に、クラッチ装置19の機能を図2の車両の
動力性能に即して説明する。
【0040】エンジン1の駆動力はトランスミッション
3からフロントデフ5を介して前輪11,13に分配さ
れると共に、トランスファ15を介してプロペラシャフ
ト17を回転させる。
【0041】このとき、クラッチ装置19を開放すると
後輪27,29側は切離され、車両は前輪駆動車の特性
が得られると共に、燃費が向上する。
【0042】クラッチ装置19を連結すると、後輪側が
連結され送られた駆動力はリヤデフ21を介して後輪2
7,29に分配され車両は4WD状態になる。従って、
悪路などで前輪側が空転状態になっても後輪側の駆動力
により走破性が保たれる。
【0043】又、クラッチ装置19の連結力が大きい
程、前後輪間の差動制限力が大きく、車両の直進安定性
が向上する。
【0044】パイロットクラッチ71を開放するか滑り
を適度に調整して前後輪間の差動を許容すると、円滑な
旋回が行えると共に、タイトコーナーブレーキング現象
が防止される。
【0045】クラッチ装置19のレスポンスの良さによ
り、上記各操作のレスポンスが向上し、操安性が高ま
る。
【0046】次に、図3ないし図5により第2実施形態
の説明をする。第3図はこの実施形態を用いたデファレ
ンシャル装置を示し、図5はこのデファレンシャル装置
を用いた車両の動力系を示す。以下、図3の左右の方向
はこの車両の左右の方向であり、図3の上方はこの車両
の前方(第5図の上方)に相当する。
【0047】先ず、図5によりこの動力系の構成を説明
する。
【0048】この動力系は、エンジン89、トランスミ
ッション91、左右の前輪97,99、プロペラシャフ
ト101、リヤデフ103(後輪側に配置された第3図
のデファレンシャル装置)、後車軸105,107、左
右の後輪109,111などから構成されている。
【0049】次に、リヤデフ103の説明をする。
【0050】リヤデフ103のデフケース113はデフ
キャリヤ115内に回転自在に支承されている。デフケ
ース113にはリングギヤ117が固定されており、ギ
ヤ117はドライブピニオンギヤ119と噛合ってい
る。ギヤ119は、ドライブピニオンシャフト121の
後端に一体形成され、シャフト121はプロペラシャフ
ト101側に連結されている。こうして、デフケース1
13はエンジン89からの駆動力により回転駆動され
る。
【0051】図3に示すように、デフケース113の内
部には同軸上左右に一対のボス123,125がワッシ
ャ127を介して相対回転自在に配置されている。ボス
123,125にはそれぞれ後車軸105,107がス
プライン連結されている。
【0052】デフケース113の内部にはプラネタリー
ギヤ型の差動機構129が配置されている。差動機構1
29はインターナルギヤ131、これと噛合う外側のピ
ニオンギヤ133(図4)、これと噛合う内側のピニオ
ンギヤ135、これと噛合うサンギヤ137を備えてい
る。インターナルギヤ131はデフケース113に形成
され、各ピニオンギヤ133,135はそれぞれピニオ
ンシャフト139,141上に回転自在に支承されてい
る。各シャフト139,141は左と右のキャリヤ14
3,145(一側の部材)にカシメられている。右のキ
ャリヤ145は右のボス125のフランジ部をなしてい
る。サンギヤ137は左のボス123に形成されてい
る。各ピニオンギヤ133,135とキャリヤ143,
145の間にはワッシャ147,147が配置されてい
る。
【0053】こうして、差動機構129が構成されてお
り、デフケース113(インターナルギヤ131)の回
転はピニオンギヤ133,135を介してサンギヤ13
7(ボス123)とキャリヤ145(ボス125)とに
分配され、左右の後輪109,111に伝達される。
【0054】差動機構129の左側には左のボス123
と左のキャリヤ143のボス部149とを連結する多板
式のメインクラッチ151が配置されている。キャリヤ
143とクラッチ151の間にはスペーサ153が配置
されている。
【0055】クラッチ151とデフケース113の左側
壁155との間にはワッシャ157が配置されており、
ワッシャ157は外周部の爪159を左側壁155の係
合孔161に折り込んで廻り止めされている。
【0056】キャリヤ145の右側には押圧部材163
が配置されている。図4に示すように、押圧部材163
は左右のキャリヤ143,145を軸方向移動自在に貫
通した腕165によりスペーサ153を介してメインク
ラッチ151を押圧可能である。押圧部材163とキャ
リヤ145との間には押圧部材163を右方へ付勢する
皿バネ167が配置されている。
【0057】押圧部材163の右側にはカムリング16
9が配置されており、リング169とデフケース113
との間にはこれらを連結する多板式のパイロットクラッ
チ171が配置されている。クラッチ171の左側には
アーマチャ173が配置され、カムリング169に軸方
向移動自在にスプライン連結されている。
【0058】図3に示すように、押圧部材163とカム
リング169との間にはボール175を介してカム17
7が形成されている。
【0059】デフケース113の右側壁179の右方に
はリング状の電磁石181が配置され、デフキャリヤ1
15に固定されると共に、ベアリング183,183に
よりデフケース113のボス部185上に支承されてい
る。右側壁179には電磁石181の磁力の短絡を防ぎ
アーマチャ173へ導くために非磁性のリング187が
埋め込まれている。 電磁石181がアーマチャ173
を吸引するとパイロットクラッチ171が締結され、カ
ムリング169はデフケース113に連結される。リン
グ169はカム177と押圧部材163を介してキャリ
ヤ143,145と回転方向に連結されているから、ク
ラッチ171の締結力(滑り)に応じて差動機構129
の差動制限が行われる。
【0060】又、クラッチ171が締結されると差動機
構129の差動トルクがカム177に掛り、図1に示す
ように左右のスラスト力189,191 (カム力)が
発生し、左のスラスト力189により押圧部材163が
左方に移動してメインクラッチ151がデフケース11
3(ワッシャ157)との間で押圧されて締結する。こ
うして、クラッチ171の締結力にクラッチ151の締
結力が加わって、差動機構129の差動制限力が強化さ
れる。なお、右のスラスト力191はベアリング19
3、ワッシャ195を介してデフケース113に入力し
左のスラスト力189に相殺される。
【0061】電磁石181によりパイロットクラッチ1
71の締結力(滑り)を調節すると、カム177に掛る
差動トルクの変化によりメインクラッチ151の締結力
が変化し、差動制限力の制御が行える。各クラッチ15
1,171の締結力が充分大きいと差動はロックされ、
適度に小さいと差動は許容される。クラッチ171を開
放するとカム力が消失し皿バネ167によって押圧部材
163が右方へ戻り。クラッチ151が開放されて差動
はフリーになる。
【0062】電磁石181によるこのような差動制限力
の操作は運転席から手動操作可能か、あるいは路面条件
や車両の操舵条件などに応じて自動操作可能に構成され
ている。
【0063】上記のように、カム力はパイロットクラッ
チ171に作用しないから締結力(滑り)の正確な制御
が可能であり、カム力調整によるメインクラッチ151
の締結力が調節可能である。従って、各クラッチ15
1,171による差動制限力を正確に制御することがで
きる。又、メインクラッチ151をカム力で操作するか
ら、従来例のような強力な操作力源と操作系とは不要で
あり、低コストである。更に、押圧部材163をトルク
伝達部材(キャリヤ143,145)と別体にしこれら
と軸方向(押圧方向)移動自在に連結させたから、従来
例のようなスプライン部とギヤ噛合い部での摺動がな
く、移動が円滑であり、操作レスポンスが良い。
【0064】こうして、リヤデフ103が構成されてい
る。 次に、リヤデフ103の機能を図5の車両の動力
性能に即して説明する。
【0065】悪路などで後輪109,111の一方が空
転状態になっても、リヤデフ103の差動制限力によっ
て他方の後輪に送られる駆動力により走破性が向上す
る。リヤデフ103の差動制限力を強めると車両の直進
安定性が高く保たれ、差動制限力を弱めると後輪間の差
動回転が許容されて円滑な旋回が行える。
【0066】次に、図6と図7及び図5により第3実施
形態の説明をする。図6はこの実施形態を用いたデファ
レンシャル装置を示し、このデファレンシャル装置は図
5の車両において上記のリヤデフ103と同様にリヤデ
フ197として配置されている。以下、同等の部材等に
は同一の番号を付して引用しながら図3の実施形態との
相異点を主に説明する。なお、図6の左右の方向は図5
の車両の左右の方向に相当する。
【0067】差動機構129の左のキャリヤ144と右
のキャリヤ199はキャリヤ199の腕201を介して
一体に連結されている。又、ピニオンシャフト203
(押圧部材)は左のキャリヤ143及び右のキャリヤ1
99を軸方向移動自在に貫通し、右方に突き出ている。
油溝205で供給されるオイルによりシャフト203の
移動は円滑に行われる。
【0068】キャリヤ199の右側には押圧部材207
が配置されており、図7に示したように押圧部材207
はキャリヤ199に連結部209を介して軸方向移動自
在に連結されている。押圧部材207とキャリヤ199
との間には押圧部材207を右方へ付勢する皿バネ16
7が配置されている。
【0069】押圧部材207の右方にはカムリング20
9が配置され、図6に示すようにこれらの間にはボール
211を介してカム213が形成されている。
【0070】カムリング209とデフケース113との
間にはこれらを連結するパイロットクラッチ171が配
置されている。
【0071】パイロットクラッチ171が締結される
と、差動機構129の差動トルクがカム213に掛り左
右のスラスト力215,217が発生する。左のスラス
ト力215により押圧部材207が左へ移動しピニオン
シャフト203を介してメインクラッチ151を押圧し
締結させ、クラッチ151,171の締結力により差動
機構129の差動制限が行われる。
【0072】ピニオンシャフト203と押圧部材207
とを軸方向移動自在にしたから移動抵抗が小さく、操作
レスポンスが良い。他の効果は第1と第2の各実施形態
と同じであるから説明を省く。
【0073】
【発明の効果】請求項1の発明によれば、メインクラッ
チは伝達トルクを受けて作動するカムのカム力により締
結されて2つの回転軸が連結されため、メインクラッチ
を操作するための操作力源と操作系が不要になり、しか
も、2つの回転軸が直列に配置されているので、径方向
の寸法を短くできて小型化、コンパクト化を図ることが
できる。
【0074】又、カム力はパイロットクラッチを介さず
にメインクラッチに作用するから、パイロットクラッチ
の締結力の正確な制御が可能であり、従って、メインク
ラッチのトルク調節が可能である。
【0075】また、押圧部材は、メインクラッチの一側
部材と軸方向移動自在に連結されているから、カム力の
伝達が円滑であり、操作レスポンスが良い。
【0076】請求項2の発明によれば、請求項1の効果
に加えて、パイロットクラッチ、押圧部材、メインクラ
ッチの順に配置することで、外表面に凹凸がなくなる。
また、2つの回転軸の差動回転が直接メインクラッチの
相対回転となるため、メインクラッチの締結時に一方の
回転軸の駆動力を他方の回転軸に直接伝達することがで
き、操作レスポンスの向上をより図ることができる。
【0077】請求項3の発明によれば、上記請求項1、
2の効果に加えて、押圧部材とパイロットクラッチの作
動が逆方向へ作動するため、押圧方向が逆になり、各々
独立して作動することができる。
【0078】請求項4の発明によれば、請求項1、2、
3の効果に加えて、カム、カムリングが一側部材上に移
動自在に支持されているので、カム、カムリングのがた
つきを抑制することができる。
【0079】
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態に係り、(a)は第1実施形態の
クラッチ装置を示す断面図、(b)は(a)のA−A断
面図である。
【図2】図1のクラッチ装置を用いた車両の動力系を示
すスケルトン機構図である。
【図3】第2実施形態のデファレンシャル装置を示し、
(a)は断面図、(b)は(a)のA−A断面図であ
る。
【図4】、第2実施形態の要部を示す斜視図である。
【図5】図3と図6のデファレンシャル装置を用いた車
両の動力系を示すスケルトン機構図である。
【図6】第3実施形態に係り、(a)は第3実施形態の
デファレンシャル装置の断面図、(b)は(a)のA−
A断面図である。
【図7】第3実施形態の要部の斜視図である。
【図8】従来のデファレンシャル装置を示す断面図であ
る。
【符号の説明】
45 ハブ(一側部材) 61、151 メインクラッチ 63、163、207 押圧部材 69、177、213 カム 71、171 パイロットクラッチ 81、189、215 スラスト力(カム力) 143、144、145、199 キャリヤ(一側部
材) 203 ピニオンシャフト
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F16D 47/00 F16D 27/10

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 2つの回転軸の一方の回転軸に設けられ
    て内側に他方の回転軸の端部が挿入・配置されるクラッ
    チドラムと、前記他方の回転軸の外周に一体回転自在に
    連結されると共に前記クラッチドラム内に収容された一
    側部材と、この一側部材とクラッチドラムの内側との間
    に配置されてこれらを連結する多板式のメインクラッチ
    と、前記一側部材に軸方向移動自在に連結され軸方向移
    動によりメインクラッチの締結を行う押圧部材と、一側
    にカム面が形成され他側が前記一方の回転軸に支持され
    たカムリングと、一方のカム面が前記押圧部材側に設け
    られ他方のカム面が前記カムリングに設けた前記カム面
    で形成され前記カムリングの前記回転軸に対する回転規
    制により両カム面が回転方向で相対回転すると前記カム
    リングに対し前記押圧部材の軸方向移動を行わせるカム
    と、前記クラッチドラムの内側と前記カムリングとに回
    転方向に係合し前記回転体の軸方向に向いた面に対し軸
    方向へ締結することにより前記カムリングを締結力に応
    じて回転規制するパイロットクラッチとを備え、前記2
    つの回転軸が直列に配置され、前記クラッチドラム内に
    前記一側部材、前記メインクラッチ、前記押圧部材、前
    記カム、前記カムリングが収納され、前記パイロットク
    ラッチの締結力と前記カムが発生して前記押圧部材の軸
    方向移動を行わせるカムスラスト力とを受けるフランジ
    部が前記クラッチドラムと一体に設けられ、前記カムス
    ラスト力を受ける受面が前記パイロットクラッチを受け
    る受面より回転軸の半径方向の内側に位置していること
    を特徴とするクラッチ装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のクラッチ装置であって、
    前記パイロットクラッチ、前記押圧部材、前記メインク
    ラッチの順に軸方向に沿って配置されていることを特徴
    とするクラッチ装置。
  3. 【請求項3】 請求項1又は請求項2記載のクラッチ装
    置であって、前記クラッチドラムの内側と前記一側部材
    との間にメインクラッチ、パイロットクラッチが軸方向
    に沿って配列されていることを特徴とするクラッチ装
    置。
  4. 【請求項4】 請求項1乃至請求項3のいずれか一項に
    記載のクラッチ装置であって、前記パイロットクラッチ
    が、前記クラッチドラムの内側に連結されたクラッチ板
    と、前記カムのカムリングに連結されたクラッチ板とか
    らなる多板式 に形成され、前記カムと、前記カムリング
    が前記一側部材上に軸方向に移動自在に配置されている
    ことを特徴とするクラッチ装置。
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