JP3277734B2 - 巻取装置 - Google Patents

巻取装置

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JP3277734B2
JP3277734B2 JP32444494A JP32444494A JP3277734B2 JP 3277734 B2 JP3277734 B2 JP 3277734B2 JP 32444494 A JP32444494 A JP 32444494A JP 32444494 A JP32444494 A JP 32444494A JP 3277734 B2 JP3277734 B2 JP 3277734B2
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敏洋 林
高男 佐野
雲  一郎
幸三 奥村
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、糸条や鋼線等の線状体
の巻取或いは樹脂フィルム、布帛、紙等のシート状物の
巻取に使用される巻取装置の改良に関し、さらに詳しく
は高速巻取を可能ならしめる巻取装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、合成繊維製造プロセスに使用され
る糸条巻取装置は、生産性の向上、コストの低減、糸品
質の改善及び差別化などを図るため、装置の高性能化が
進められている。今日では、総ボビン長1000mmを超
える長尺のボビンを取り付け、6000m/分を越える
高速度で一度に多量の糸条が巻き取れるようにした巻取
装置が実現されるに至っている。
【0003】しかしながら、最近は、さらなる生産性向
上・コスト低減を図ることが求められ、合成繊維産業に
とり極めて重要な課題になっている。この課題のため、
特に一度に多数の小径ボビンを把持可能にすることによ
りボビン費の削減を可能にした、いわゆる小径長尺型の
ボビンホルダを備えた巻取装置を、高速巻取可能にする
ことが要望されている。
【0004】昨今の糸条巻取機に用いられているボビン
ホルダは、上記ニーズにしたがって長尺化されると共
に、巻取回転数は低速危険速度を越え、振動エネルギが
大きくて乗り越えられない高次の危険速度(以下、単に
「危険速度Nc」と称する。)よりも低い回転数域で使
用するのが主流となっている。このような従来のボビン
ホルダとして、例えば特開平2−225268号公報な
どに開示されたものが提案されており、このボビンホル
ダの一般的な構成は、図8に示す通りである。
【0005】すなわち、従来のボビンホルダ10は、モ
ータ軸12にカップリング13を介して直結されたボビ
ンホルダ軸14に回転円筒15を固定し、この回転円筒
15の外周に複数(図では8個)の弾性リング16a〜
hを挿入し、さらにこの弾性リングを位置決めする円筒
スペーサ17a〜g、各弾性リング16a〜hを図の右
方向に押圧せしめる前蓋17、この前蓋に上記右方向へ
の押圧力を付与する皿バネ18及びピストン19から成
る押圧機構20などを設けて構成されている。また、上
記モータ軸12とボビンホルダ軸14の軸芯には、圧空
の供給孔12a、14aが連通するように設けられ、上
記弾性リング16a〜hは、図9に示すようにゴムリン
グ21の両側面に鋼製リング22を接着して一体化させ
るように構成されている。
【0006】そして、上記構成のボビンホルダ10は、
ボビン23を把持する場合、皿バネ18の押圧力(図の
右方向への拡開力)により前蓋17を図の右方向に移動
させ、各弾性リング16a〜hを両側面方向から圧縮す
るようにする。このときゴムリング21が半径方向に増
径変形することにより、ボビン23を把持するのであ
る。
【0007】一方、ボビン23の把持を解除する場合
(リリース)は、図示しない圧空源から圧空を供給孔1
2a、14aに供給して、ピストン19を皿バネ18の
押圧力に逆らって図の左方向に駆動させ、同時に前蓋1
7を図の左方向に移動させることにより、ゴムリング2
1の増径変形を解いてリリースする。しかしながら、上
述した従来技術のままでは、今後のさらなる高性能化の
要求、すなわち、多数の小径ボビンを把持して、高速で
糸条を巻取可能にするボビンホルダを提供することは物
理的に極めて困難である。
【0008】ボビンホルダ10の仕様決定に最も大きく
影響する要素部材は、構成要素の中で最も長い回転円筒
15である。その危険速度Nc、換言すれば固有振動数
は、一般に次の(1)式で表わされ、この値が大きいこ
とがボビンホルダ全体の危険速度を高めることになる。 Nc∝(I/L2・A)×√(E/ρ) …………(1) ここで、回転円筒の断面積A及び断面2次モーメント
は、回転円筒の外径Ds及び内径Diとの間にそれぞれ
A∝(Ds2 −Di2 )、I∝(Ds4 −Di4 )の関
係があるから、(1)式は Nc∝[(Ds2+Di2 ) /L2 ]×√(E/ρ) ………(2) と変形できる。
【0009】ここでE及びρはそれぞれ縦弾性係数及び
比重で、回転円筒15の構成材料によって決まる。従
来、危険速度Ncを上げる手段として、特開平3−29
3263号公報、特開平5−338914号公報に見ら
れるように繊維強化複合材料を利用することが提案され
ている。繊維強化複合材料は、上記(2)式のE/ρの
値が、スピンドル材料として広く一般的に用いられる鉄
鋼材料に比べ数倍大きいため、この物理的性質を活かし
て性能向上を図ろうとしたものである。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た繊維強化複合材料のボビンホルダは、高速危険速度の
引き上げにともなう低速危険速度の高速回転数域への移
動に対して何らの解決を与えるものではない。糸条の巻
取に際して、ボビンホルダには、ボビンや巻取られた糸
条のような重量物が付加重量として作用し、荷重を支持
する回転軸部分には回転数に相当する高速繰り返し曲げ
が生じる。たとえば、現在の長尺ボビンホルダを1年間
にわたり連続使用した場合、ボビンホルダにはmm単位の
曲げが数億回生じることになる。このような繰り返し曲
げに対して、繊維強化複合材料が、どの程度の耐久性を
有するかについては、短期的な評価のみならず実際に生
産設備に使用されている糸条の巻取装置と同一条件下で
の長期的な確認が必要であるが、現時点では十分な確証
が得られているとは言い難い。
【0011】本発明の目的は、ボビン内径を太くするこ
となく、かつ、複合材料を使用しなくても、高速巻取を
可能にする長尺ボビンホルダを備えた巻取装置を提供す
ることにある。さらに詳しくは、本発明の目的は、ボビ
ンホルダに装着されるボビンの内径を変化させない程度
に、上記(2)式のDs、Diの値を可能な限り大きく
することにより、危険速度Ncを向上させるようにした
巻取装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成する本発
明は、駆動軸に回転円筒を連結し、該回転円筒の外周面
にボビン把持手段を介して筒状のボビンを着脱可能に挿
入する構成からなるボビンホルダを設けた巻取装置にお
いて、前記回転円筒の外径Dsと前記ボビンの内径Db
との径差δを10mm以下にすると共に、前記回転円筒の
少なくとも一方の軸方向端部の肉厚を、該回転円筒の前
記駆動軸との連結部近傍の肉厚よりも薄くしたことを特
徴とするものである。
【0013】ここでいう「駆動軸」とは、回転運動を上
記回転円筒に伝達するための手段として介在する軸体を
意味し、図8におけるボビンホルダ軸14なども含んで
いるが、モータ軸12と一体に構成されていてもよい。
さらに回転円筒との上記連結部とは、図8のように回転
円筒と駆動軸が別部材として構成されている場合のみな
らず、図10に示すように両者が一体に形成される場合
をも含んでいる。
【0014】一方、回転円筒は、外周面に筒状のボビン
23を挿入し、ボビン位置を決定の上固定し、駆動軸か
らの回転を前記ボビンに伝達するための手段である。上
記連結部は回転円筒内部のどの位置に設けられても差支
えない。一般には回転円筒の軸方向略中央域あるいは端
部などの一箇所に設けられるが、複数箇所に分けて設置
しても構わない。ただし、機械加工性や加工コストなど
の点から一箇所が好ましく、さらには回転円筒の略中央
域に一箇所だけ設置するのが最も好ましい。
【0015】また、回転円筒の材質は、上記目的を達す
るものであれば、その種類は問わない。例えば、クロム
モリブデン鋼、機械構造用炭素鋼等の鉄鋼材料、ジュラ
ルミン、酸化チタンなどの非鉄材料、さらには金属材料
以外では炭素繊維強化樹脂、硬質プラスチックス等を用
いることが可能であり、前記材料を複数個組み合わせて
使用しても差支えない。特に、加工性・製造コストを考
慮すると、鉄鋼材料が好ましく、さらにはクロムモリブ
デン鋼が最も好ましい。
【0016】本発明において、回転円筒の外径Dsとボ
ビン内径Dbの差δ(Db−Ds)は10mm以下とする
ことが、本発明の目的を達する上で重要である。さらに
具体的には、径差δを1mm以上10mm以下にすることが
好ましい。また、回転円筒の内径構成は、軸方向端部側
の肉厚を駆動軸が連結するボス部近傍の肉厚よりも薄く
することが肝要である。回転円筒外径とボビン内径を上
記の関係にすることにより、ボビン内径Dbを従来通り
とした場合、回転円筒外径Dsは従来よりも大径化され
ることとなる。
【0017】また、回転円筒の軸方向端部の薄肉部分の
肉厚tは、該回転円筒の外径Dsに対し 0<t<0.
04Ds の関係を有し、かつこの薄肉部分を前記回転
円筒の端面から駆動軸との連結部の最も近い端面までの
距離の70%以下の領域内に形成するようにすることが
好ましい。さらに、薄肉部分の肉厚tは、上記範囲内で
1.5mm<t<3mmの関係を満たすのが好ましい。但
し、回転円筒肉厚tの関係は、径差δが上記関係を満た
すことにより達成できるのであるが、詳細は後に記す。
また、止め輪溝や加工上の刃物の逃げ溝等は、本発明の
意図するところではない。
【0018】上記関係の意図するところを、図3を用い
てさらに詳しく説明する。図3において、距離Laは、
前蓋側における回転円筒端面から、駆動軸連結部の最も
近い端面までの軸方向の距離を意味し、前蓋側における
回転円筒端面からの距離LxがLaの70%以下の範囲
において、その少なくとも一部の肉厚tが回転円筒の外
径Dsに対して、0<t<0.04Ds の関係になっ
ていることが好ましいということである。
【0019】また、回転円筒のモータ側における端面か
らの軸方向距離Lb、Lyについても上記と同様であ
る。さらに、回転円筒の軸方向長さ(全長)は、800
〜1500mm程度にするのが好ましい。このようにボビ
ン内径Dbと回転円筒外径Dsの径差δを小さくするこ
とにより、断面2次モーメントIを大きくすることがで
き、それによって回転円筒の加工の際の刃物押圧時の撓
みを小さくできるので、端部をさらに薄肉化することが
できる。つまり、回転円筒外径Dsを大きくすることに
より、回転円筒内径Diはそれ以上の割合で大きくする
ことができる。
【0020】回転円筒外径Ds、回転円筒内径Diを上
記のような関係にしたとき、同サイズのボビンを装着す
る従来の回転円筒と比較した場合、それぞれが従来以上
に大きくなり、(2)式による危険速度Ncを大きくす
ることができる。また、ボビン内径と回転円筒外径の径
差δを小さくすることにより、回転円筒の内径Diを大
きくすることができ、機械加工の際の刃物挿入が容易に
なる。すなわち、高精度の加工を実現することができる
ため、回転体としての不釣り合いを小さくすることがで
きる。この結果、回転中の回転円筒端部の振れ回りが少
なくなり全体として振動が小さくなる。
【0021】上述のように、上記ボビンホルダが備える
回転円筒の外径と、このボビンホルダに外挿するボビン
内径との差を10mm以下にするとともに、回転円筒の端
部側の肉厚を、この回転円筒の駆動軸との連結部近傍の
肉厚より薄くすることによって、従来技術では達成し得
なかった危険速度の高速領域への引き上げ、及び高い精
度の製作を可能にした。
【0022】このような構成のボビンホルダを備えた巻
取装置は、そのボビンホルダの危険速度が引き上げられ
た効果により、従来技術では実現し得なかった高速巻取
が実現可能になるとともに、巻取可能な回転数領域の拡
大が可能になる。
【0023】
【実施例】以下、図面を参照して本発明を実施するため
の最良の形態を説明する。図1は、本発明の実施例から
なる糸条巻取装置を示す縦断面図である。図1におい
て、ボビン23を把持しているボビンホルダ1は、内部
にボス部7を有する回転円筒2と、この回転円筒の外周
の長手方向に挿入された複数(図では8個)の弾性リン
グ3a〜hと、この弾性リングの装着位置が上記ボビン
23の両端部近傍となるように位置決めする円筒スペー
サ4a〜gと、左端の弾性リング3aを図の右方向に押
圧せしめる前蓋5と、この前蓋5に図の右方向への押圧
力を付与する皿バネ6a、ピストン6b及びOリング6
cから成る押圧機構6とで構成されている。
【0024】ここで回転円筒2は、一般に高速回転体の
構造部材として広く利用されているクロムモリブデン鋼
で形成されており、その連結部であるボス部7がボビン
ホル軸8の一端にナット8cで締結され、ボビンホル
ダ軸8が環状サポート9内に嵌合されている2個の軸受
31により支承されることで回転自在に構成されてい
る。
【0025】また、ボビンホルダ軸8の他端は、カップ
リング33によってモータ11のモータ軸32と直結さ
れており、モータ軸32がモータハウジング34に嵌合
されている2個の軸受35によって回転自在に支承され
ていると共に、電機子36が固定されている。また、モ
ータハウジング34には、固定子37が設けられてお
り、上記電機子36とでボビンホルダ1に駆動力又は制
動力を伝達せしめるようになっている。なお、8a、8
bは圧空供給孔であり、例えば、コンプレッサ、プロア
等の圧空供給源50からモータ軸32に圧空を供給する
ことによりピストン6bと前蓋5を図の左方向に移動さ
せ、ボビン23の把持を解放させるためのものである。
【0026】また、図2は、本発明の特徴である回転円
筒2の断面形状及びその主要寸法を表す図である。回転
円筒2は、全長1150mmでクロムモリブデン鋼よりな
り、略中央部に、図示していないボビンホルダ軸8との
連結部であるボス部7を有している。さらに回転円筒の
両端部側2bの肉厚tは、上記連結部近傍2cの肉厚よ
りも薄く形成されており、前蓋5側では先端から250
mmまでが肉厚2mmてあるとともに、モータ側では先端か
ら400mmまでが肉厚2.5mmの寸法を有している。
【0027】ここで、回転円筒の肉厚tを薄くする部位
は、回転円筒端部の少なくとも一端部であればよいが、
両端部共に薄くすれば良いことはいうまでもない。ま
た、上記「連結部近傍の肉厚」とはボス部7近傍の円筒
2cの肉厚をいうものとする。このようにすることで、
回転円筒の外径Dsが80mmの従来の回転円筒15では
断面2次モーメントの限界である肉厚3.5mm程度が限
界であったが、本発明の回転円筒2は、外径が大きくな
った分だけ、肉厚を2.5mmまで薄肉化することが可能
となると共に、上記(2)式から明らかなように、内外
径が共に大径化できることにより一層危険速度が高い、
換言すればより高速に対応できるボビンホルダを得るこ
とができる。
【0028】なお、回転円筒の外径の上限値は、ボビン
内径の94mm未満である。また、両部材間には、バネ部
材30を有する弾性リング3が装着されている。弾性リ
ング3a〜hは、図5に示すように、リング状のバネ部
材30、断面がL字状の一対の剛体リング38、ゴム部
材39、40より構成される。バネ部材30と剛体リン
グ83は、互いに分離されていても良いが、図のように
結合されているのが好ましい。バネ部材と剛体リングと
の固着には、圧入・溶接など一般的な固定手段を用いる
ことが可能であるが、製造コストが比較的安く固着後の
変形が生じない圧力・接着の併用がもっとも好ましい。
【0029】バネ部材30は、その材質が例えば、バネ
鋼、ステンレス鋼、硬質プラスチックスより成り、厚み
0.12mm、幅20mmであり、図5、図6に示すよう
に、側面方向からの押圧により増径変形すべく、拡開す
る長孔30bが設けられているとともに、外周方向によ
り膨み易いように全周に渡って、半径方向に高さHが約
0.8mmとなるように交叉角θ1 の凸状に曲げられてい
る。長孔30bは長径14mm、短径2mmで全周にわたっ
て均等に34箇所設けられている。 この交叉角θ
1 は、押圧機構6によるストロークを少なくするために
は90〜180度が好ましく、ボビン把持力も考慮す
る、いわゆるトッグル機構が利用できる140〜175
度に設定するのがより好ましい。
【0030】ゴム部材39、40は、上記バネ部材30
の外径方向への拡開によって、ボビン23をその内周面
でより強固に把持するための手段で、バネ部材30を包
囲するごとく設けられており、その材質は特に限定され
ないがニトリルゴムでゴム硬度20〜60度のものが好
ましい。上記剛体リング38に上記バネ部材30を圧入
したのち、ゴム部材39、40が同時に加硫形成され
る。
【0031】以上のように形成される弾性リング3a〜
hは、その外径が60〜150mm、径方向厚みが1mm以
上5mm未満程度に形成される。なお弾性リング3a〜h
の外径は、ボビンリリースを容易にするため、ボビン2
3の内径よりも約0.5〜1mm程度、小径にされてい
る。円筒スペーサ4a〜gは、アルミニウム製で、その
外径は巻締まりなどを考慮して弾性リング3a〜hと同
様、把持するボビン23の内径よりも約0.5〜1mm程
度、小径にされる。なお上記円筒スペーサの材質は、一
般鉄鋼材料でも良いし、プラスチックスあるいは炭素繊
維強化樹脂などの軽量部材を用いてもかまわない。
【0032】上記把持手段を用いることにより、従来と
同様のボビン把持力2〜3kg・mを得ることができる。
次に、図1ないし図4によりボビン23の把持方法を説
明する。まず、シリンダ6d内に充填されている圧空を
図示しない圧空排気バルブを開いて圧空供給孔8aから
系外に排気させると、皿バネ6aの図の右方向への押圧
力によりピストン6bが移動し、同時に前蓋5が左端の
弾性リング3aを図の右方向に押圧する。すると各弾性
リング3a〜hは、円筒スペーサ4a〜gによってその
両側面が押圧されて剛体リング38、38間の間隔が狭
くなり、バネ部材30を全周に渡ってその外径方向に増
径膨脹させてゴム部材39をボビン23方向に押し出
す。ゴム材39の外周面とボビン23の内周面とが密着
し、ポビン23を回転円筒2に同心状に強固に把持す
る。モータ11によりボビンホルダ軸8を回転させると
回転円筒2がボビン23を把持したまま回転する。
【0033】また、図示しない圧空供給バルブを開いて
圧空を圧空供給源50から圧空供給孔8a、8bを経て
シリンダ6d内に供給すると、ピストン6bが皿バネ6
aの押圧力に逆らって図の左方向に移動し、ゴム部材3
9、40及びバネ部材30の形状が復元し、その外径が
縮径してボビン23の把持がリリースされる。図1ない
し図4に示したボビンホルダ1において、弾性リング3
の外径を93.2mmとし、その幅を25mmとして、内径
が94mmで長さが150mmのボビンを23を8本挿入で
きる長さ1150mmの回転円筒2により、ボビンホルダ
1を構成した。回転円筒端部は、前蓋側末端より200
mmの範囲で肉厚3.5mm、モーター側端部より220mm
の範囲で肉厚2.5mmと、t/Ds=0.03〜0.0
4の関係を持たせた。
【0034】図8に示した従来のボビンホルダにおいて
は、回転円筒15の外径は80mmであり、図9に示した
従来の弾性リングは厚さtを約7mmとしていたが、本実
施例では87mmまで太径化し、弾性リングの厚さは約3
mmとした。次に、本発明を用いたために、ボビンホルダ
1の危険速度が従来技術に比べ向上したことを図7に用
いて説明する。
【0035】まず、図1の巻取装置にボビン23を8本
挿入してモータ11により回転させたところ、図7に示
すようにボビンホルダは19600rpm まで回転するこ
とができた。一方、外径80mmの従来技術のボビンホル
ダでは、14800rpm までしか回転させることはでき
なかった。すなわち、実際の糸条巻取においては、ボビ
ン周に換算して、従来技術が4700m/分までしか
巻き取れなかったのに対し、本発明の場合は危険速度が
向上して1300m/分向上した6000m/分の高速
巻取が可能となった。
【0036】このことは、従来技術のボビンホルダ10
では、速度が5500m/分の糸条を巻取るために、回
転円筒15とボビン23の外径を太くして対応していた
のであるが、本発明ではその必要がないことを意味す
る。図中の符号A、Bは、従来技術、実施態様例のボビ
ンホルダによる回転テスト結果を示している。
【0037】更に、回転円筒の外径Dsが83mm、84
mm、85mm、86mmの各回転円筒に対し、端面形状が従
来形状を有するものと、端部の肉厚を連結部近傍の肉厚
より薄くした形状の2タイプを製作し、これに図5と同
一構成の弾性リング3により、内径94mmで全長が12
00mmのボビンを把持して、糸条の巻取テストを実施し
た。この結果を示したのが表1である。
【0038】
【表1】 表1に示すテスト結果から明らかなように、回転円筒の
外径Dsとボビン内径Dbの径差δが10mm以下で、か
つ、該回転円筒の端部の肉厚が連結部の肉厚よりも薄い
形状をなすボビンホルダを用いることによって、我々が
目的としている5500m/分もの高速での糸条巻取が
可能となることが分かった。
【0039】上述した本発明のボビンホルダ及びこのボ
ビンホルダを用いた巻取装置は、例えば糸条、鋼線等の
線状体をボビンに巻き取る場合に使用できることは勿論
のこととして、その他、例えば合成樹脂製フィルム、織
編物、不織布や紙等のシート状物にも好適に適用するこ
とができる。
【0040】
【発明の効果】上述したように、本発明の巻取装置は、
ボビンホルダを構成している回転円筒外径とボビン内径
の径差を10mm以下とし、かつこの回転円筒の軸方向端
部側の肉厚を、該回転円筒の駆動軸連結部近傍の肉厚よ
りも薄くしたので、下記のような優れた作用効果を奏す
ることができる。
【0041】 ボビンホルダの危険速度の高速領域へ
の引上げ及び高精度の製作が可能となり、さらには回転
円筒の製作に当たり、複雑な加工・特殊な製作技術など
を必要としないため、極めて安価に巻取装置の高速化が
実現できる。また、既存の巻取装置についても、回転円
筒・弾性リングの交換変更のみで高速巻取に対応できる
ので、少ない改造費用で設備の更新が可能である。
【0042】 ボビン内径が太くならないので、巻取
装置以降の運搬設備などの改造が不要であるとともに、
ボビン内径を太くして巻取速度を上げた場合に比べ、ボ
ビン費が低減する。 ボビンホルダの材料として、複合材料等の高価で、
加工の困難な材料を用いなくても、巻取機の高速化を達
成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例からなる巻取装置の縦断面図で
ある。
【図2】図1の巻取装置の回転円筒の主要寸法を示す縦
断面図である。
【図3】本発明の巻取装置における回転円筒の形状を示
すモデル図である。
【図4】図1のボビンホルダの弾性リング近傍の拡大図
である。
【図5】図1に用いられている弾性リングの要部断面図
である。
【図6】図2のバネ部材の斜視図である。
【図7】図1の実施例の回転テスト結果を示す図であ
る。
【図8】従来の巻取装置におけるボビンホルダを示す縦
断面図である。
【図9】図8の巻取装置に用いられている弾性リングの
要部断面図である。
【図10】従来のボビンホルダの回転円筒と軸体との連
結部を示す図である。
【符号の説明】
1 ボビンホルダ 2 回転円筒 3a〜3h 弾性リング 4a〜4g 円筒スペーサー 5 前蓋 6 押圧機構 7 ボス部 8 ボビンホルダ軸 8a,8b 圧空供給孔 8c ナット 10 ボビンホルダ 11 モータ 23 ボビン 30 バネ部材 38 剛体リング 39,40 ゴム部材
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 奥村 幸三 滋賀県大津市園山1丁目1番1号 東レ 株式会社滋賀事業場内 (56)参考文献 実開 昭55−78653(JP,U) 実開 昭61−110671(JP,U) 実開 昭61−88965(JP,U) 実開 昭50−142836(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B65H 54/547 B65H 54/44 D01D 7/00

Claims (15)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 駆動軸に回転円筒を連結し、該回転円筒
    の外周面にボビン把持手段を介して筒状のボビンを着脱
    可能に挿入するようにしたボビンホルダを設けた巻取装
    置において、 前記回転円筒の外径Dsと前記ボビンの内径Dbとの径
    差δを10mm以下にすると共に、前記回転円筒の少なく
    とも一方の軸方向端部の肉厚を、該回転円筒の前記駆動
    軸との連結部近傍の肉厚よりも薄くした巻取り装置。
  2. 【請求項2】 前記回転円筒の外径Dsを84mm以上9
    4mm未満にした請求項1に記載の巻取り装置。
  3. 【請求項3】 前記回転円筒の軸方向長さを800〜1
    500mmにした請求項1又は2に記載の巻取り装置。
  4. 【請求項4】 前記回転円筒を筒体内部の軸方向中央域
    にボス部を形成する構成にし、該ボス部に前記駆動軸を
    連結した請求項1〜3のいずれかに記載の巻取り装置。
  5. 【請求項5】 前記軸方向端部の薄肉部分の肉厚tが該
    回転円筒の外径Dsに対し 0<t<0.04Ds の
    関係を有し、かつ該薄肉部分を前記回転円筒の端面から
    駆動軸との連結部の最も近い端面までの距離の70%以
    下の領域内に形成した請求項1〜4のいずれかに記載の
    巻取り装置。
  6. 【請求項6】 前記ボビン把持手段を、前記ボビンと前
    記回転円筒との間に遊嵌する弾性リングと、該弾性リン
    グを軸方向に圧縮と圧縮解除とを交互に行う加圧手段と
    から構成した請求項1〜5のいずれかに記載の巻取装
    置。
  7. 【請求項7】 前記弾性リングが、前記駆動軸方向の断
    面形状が少なくとも外径方向に凸状に形成されたリング
    状を呈しているバネ部材と、該バネ部材の両側面に配置
    された剛体リングとから構成した請求項6に記載の巻取
    装置。
  8. 【請求項8】 前記バネ部材が、バネ鋼、ステンレス鋼
    又は硬質プラスチックから構成されている請求項7に記
    載の巻取装置。
  9. 【請求項9】 前記両側面の剛体リングの間に、前記バ
    ネ部材を包囲するゴム部材を設けた請求項7又は8に記
    載の巻取装置。
  10. 【請求項10】 前記弾性リングを、前記駆動軸の軸方
    向に間隔を隔てて複数個配置した請求項6〜9のいずれ
    かに記載の巻取装置。
  11. 【請求項11】 前記加圧手段を前記回転円筒の少なく
    とも軸方向端部近傍に設けると共に、前記弾性リングを
    前記駆動軸の軸方向に押圧又は押圧解除する前蓋と、該
    前蓋を前記駆動軸の軸方向に進退させる進退機構とから
    構成した請求項6〜10のいずれかに記載の巻取装置。
  12. 【請求項12】 前記進退機構を、前記弾性リングを軸
    方向へ圧縮力を付与するバネと、反対方向への圧縮解除
    力を付与する圧力流体注入手段とから構成した請求項1
    1に記載の巻取装置。
  13. 【請求項13】 巻取対象が線状体又はシート状物であ
    る請求項1〜12のいずれかに記載の巻取装置。
  14. 【請求項14】 前記線状体が糸条又は鋼線である請求
    項13に記載の巻取装置。
  15. 【請求項15】 前記シート状物が合成樹脂フィルム、
    繊維製シート状物又は紙である請求項13に記載の巻取
    装置。
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