JP3277295B2 - 高温型炭化珪素質発熱体の製造方法 - Google Patents

高温型炭化珪素質発熱体の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、1700℃近傍まで加
熱できる高温型炭化珪素質発熱体に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、炭化珪素質発熱体はセラミックス
発熱体の中でも、抵抗値が適当であること。他に比べ価
格的にも安価なことから各種分野で広く利用されてい
る。たとえば、金属の熱処理やセラミックス製品の焼成
等、酸化雰囲気中1200〜1500℃で加熱焼成する
場合はほとんど炭化珪素質発熱体が使用されている。し
かし、炭化珪素質発熱体はその製造方法から多孔質であ
り、1600℃以上の高温領域では酸化が著しく、短命
であった。一方、1600℃以上の酸化雰囲気中で使用
できるセラミックス質発熱体としては二珪化モリブデン
質発熱体やランタンクロマイト発熱体がある。しかし、
これらの発熱体もそれぞれ欠点があった。例えば二珪化
モリブデン質発熱体は高温域で軟化することや常温域で
脆いなど使いづらい点があった。また、抵抗が低いので
設備容量を大きくする必要があり、コストが高くつくこ
とが問題であった。またランタンクロマイト発熱体は、
抵抗値は炭化珪素質発熱体と同程度であるが昇温時の抵
抗変化が急激なため調整が難しいこと。高温で成分であ
る酸化クロムが揮発する等使いづらい欠点があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記で説明したよう
に、いずれの発熱体もある程度の効果はあるが、コス
ト、操作性に難があり、こうした点ですぐれる炭化珪素
質発熱体の高温での寿命特性の改善が望まれていた。
【0004】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、高
温型炭化珪素質発熱体の製造方法において、原料粉末と
して粒子径3〜15μmの炭素粉末と粒子径10〜50
μmの炭化珪素粉末とを混合し、加圧成形により理論成
形密度の92〜98%の成形体を得る工程と、該成形体
を窒素ガス雰囲気中2000℃以上でSiの存在下で反
応焼結する工程と、得られた反応焼結体を真空度10-1
torr以下、処理温度1600〜2000℃にて加熱
処理して残留Siを除去する工程からなることを特徴と
する。上記の窒素雰囲気中での反応焼結は二次的なSi
Cの合成だけでなく、SiCにN2 をドープさせ、所定
の抵抗を得る目的がある。ここで原料の粒度を炭素粉末
10〜15μmおよび炭化珪素10〜50μmとしたの
はこの範囲をはずれると理論成形密度の92〜98%の
成形体が得られず、この場合、遊離の炭素や遊離Siが
過剰に焼結体中に残留し、目的の高温型炭化珪素質発熱
体が得られないためである。また、反応焼結において、
窒素雰囲気中2000℃以上で行うとしたのは、200
0℃未満では反応焼結が十分進まず、未反応部分が生
じ、焼結体の特性が劣るためである。さらに、真空加熱
処理工程において真空度を10-1torr以下の高真
空、処理温度を1600〜2000℃としたのは、これ
以外の条件ではやはり焼結体の密度が上がらずとくに高
温での耐酸化特性が劣るためである。なお、真空加熱処
理の後さらに窒素をドープする工程を付加することによ
って抵抗値や抵抗温度特性などを変更することも可能で
ある。また、本発明に係る発熱体は耐酸化特性を向上さ
せたものであるが、非酸化雰囲気中での使用でも十分な
耐熱性を具備しており、用途は、酸化雰囲気中に限定さ
れない。
【0005】
【作用】本発明において、真空加熱処理工程について詳
細に説明する。まず第一に真空度10−1torr以下
の高真空で加熱処理することは、反応焼結体中に残った
Siを除去することを目的としている。発熱体としてS
iを残すと低抵抗となるばかりか抵抗温度係数も負とな
って発熱体として使用が困難となる。残ったSiを除去
するためには、例えば大気圧、非酸化性雰囲気中で20
00℃の高温で加熱処理方法があるが、その場合Siは
除去できるが構成するSiC粒子が異常粒成長を起こし
緻密な組織とならず組織が弱くなる。このような場合、
発熱体として使用すると酸化が内部まで進行し、長寿命
化は図れない。第二の目的としては、上記のように気孔
の制御にある。気孔が大きくなると耐酸化性に劣るた
め、SiCの異常粒成長を押さえ、緻密な組織にするこ
とが必要である。このため、真空加熱処理によりSiC
の粒子成長をおさえ気孔を調整することが耐酸化性に対
して大きな効果を示す。この結果、発熱体として使用中
非常に緻密なSiOの保護膜が形成され、酸素が内部
まで拡散せず、酸化雰囲気中で良好な耐久性を示すもの
である。
【0006】
【実施例】本発明を実施例をもとに説明する。炭素粉末
として、黒鉛粉末(粒子径5〜13μm)30重量%と
炭化珪素粉末として、α−SiC(粒子径20〜50μ
m)70重量%に一般的なセルロース系バインダーを数
%と水を添加し、混合し、加圧プレスで所定の形状に成
形した。得られた成形体の寸法は、外径20mm、内径
10mm、長さ300mmの管状であって、理論成形密
度の95%であった。得られた成形体を電気炉で窒素ガ
ス雰囲気中、処理温度2200℃でSiの存在下で反応
焼結させた。反応焼結体の物理特性は、かさ比重3.1
1、焼結体中の遊離Siは5重量%であった。つぎに該
焼結体を真空焼結炉で真空度3×10-4torr、処理
温度1700℃で2時間処理し、炭化珪素質発熱体を得
た。比較のため、従来の方法によって再結晶質炭化珪素
質発熱体を製作し、上記と同寸法の発熱体を得た。両者
の特性を表1に示した。さらに本発明の発熱体と従来法
による再結晶質炭化珪素質発熱体の寿命比較のために以
下のテストを行った。本発明の発熱体と従来法による再
結晶質炭化珪素質発熱体を炉内寸法200mm×200
mm×300mmの電気炉に各2本づつ設置し、発熱さ
せて炉内温度1650℃で保持した。連続1000時間
通電したのちの発熱体の抵抗増加率を測定した結果を表
1に示した。
【0007】
【表1】
【0008】
【発明の効果】実施例で明らかなように本発明の炭化珪
素質発熱体の製造方法によれば従来の炭化珪素質発熱体
では困難であった1600℃以上の高温域で十分な耐酸
化性をもち、実用に耐える発熱体が得られることがわか
った。これによって従来の高温発熱体では達成できなか
ったコストと操作性のよさで炭化珪素質発熱体の応用分
野が広がることが期待できる。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高温型炭化珪素質発熱体の製造方法にお
    いて、原料粉末として粒子径3〜15μmの炭素粉末と
    粒子径10〜50μmの炭化珪素粉末とを混合し、加圧
    成形により理論成形密度の92〜98%の成形体を得る
    工程と、該成形体を窒素ガス雰囲気中2000℃以上で
    Siの存在下で反応焼結する工程と、得られた反応焼結
    体を真空度10-1Torr以下、処理温度1600〜2
    000℃にて加熱処理して残留Siを除去する工程から
    なることを特徴とする高温型炭化珪素質発熱体の製造方
    法。
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