JP3275911B2

JP3275911B2 - 演奏装置及びその記録媒体

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Publication number: JP3275911B2
Application number: JP2000183873A
Authority: JP
Inventors: 和秀岩本
Original assignee: Yamaha Corp
Current assignee: Yamaha Corp
Priority date: 1999-06-25
Filing date: 2000-06-20
Publication date: 2002-04-22
Anticipated expiration: 2020-06-20
Also published as: JP2001067078A

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は、複数の演奏デー
タの入力に応じて楽音データを生成する演奏装置、より
詳細には、複数種類の異なる演奏入力形態で入力される
複数の演奏データに応じて、音声信号等をもとにしたハ
ーモニー効果音をも生成することができる種々の実施形
態の演奏装置、効果制御装置及びその記録媒体に関す
る。

【０００２】

【従来の技術】従来、演奏データ楽音の入力に対して入
力楽音と異なる楽音を発生させる特殊効果を付与する処
理として、例えば、演奏データのコード等に基づいて入
力音声信号に対して異なる音程のハーモニー音を生成さ
せるようなエフェクト機能を備えた演奏装置が知られて
いる。このような演奏装置には、例えば、音声を入力し
て鍵盤を弾くと、その音程でハーモニー音を発音させる
「ボコーダ」ハーモニーと呼ばれるモードや、鍵盤で弾
いたコードを認識してそのコードの構成音の音程のハー
モニー音を付ける「コーダル」ハーモニーと呼ばれるモ
ード等が備えられ、これらのモードを総称して「ボーカ
ルハーモニー」と呼んでいる。

【０００３】ところで、上述のような演奏データのコー
ド等を入力するための演奏入力形態には、鍵盤等の演奏
操作子を操作して演奏する直接的なリアルタイム入力形
態の外、自動演奏データを記憶装置から読み出して演奏
したり、或いは、本体に接続されたＭＩＤＩ機器等の外
部楽音機器からの入力により演奏したりする等、種々の
形態があるが、ハーモニー音生成機能のような特殊効果
を付与する処理やハードウェア資源を複数の演奏入力形
態にて同時に共有し楽音生成することは、今までのとこ
ろ知られていない。

【０００４】また、前述したハーモニー音のような特殊
効果を生成する機能を備えた演奏装置においては、コー
ド等の入力を複数の演奏入力形態から行うことが可能で
あるものの、例えば、ハーモニーを付与する場合、この
ハーモニー音を生成するためのコード等は、固定的に割
り当てられた特定の演奏入力形態のみから取得してハー
モニーの付与を行っていた。従って、例えば、記憶装置
から読み出された自動演奏データに応じた演奏入力が、
特定の演奏入力形態として割り当てられていた場合、鍵
盤等の他の演奏入力形態からの入力に基づいてハーモニ
ー音の生成を行うことができず、自動演奏データに基づ
いた特殊効果を付与しつつ、適時鍵盤等のリアルタイム
入力に基づいた特殊効果をも付与するといった、自由度
のある特殊効果の制御を行うことができなかった。ま
た、ハーモニー等の特殊効果を生成させる処理能力も含
めた装置もしくはシステムの処理能力は一般的に有限で
あり、特殊効果を指定する楽音の入力が多く、同時に多
数の特殊効果を付与することが要求されるような場合に
は、所望の特殊効果が付与されなくなるばかりか、最悪
の場合には、特殊効果を付与するための処理を付加する
ことによる影響で、本来発生されるべきであった楽音自
体も鳴らなくなってしまう可能性があった。

【０００５】さらに、ハーモニー音等の特殊効果音の生
成には、予めそのための専用機能を準備しておく必要が
あるため、通常のシステム構成においてこのような特殊
効果音を数多く生成させる機能を装備することは、非常
に困難である。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】この発明は、このよう
な不都合に鑑み、簡単な構成で、演奏操作子の操作に応
じた演奏、記憶装置からの読み出しによる自動演奏、外
部楽音機器から入力される外部演奏等、少なくとも二つ
以上の演奏入力形態に対して、同時に特殊効果を付与す
ることができ、しかも、同時に多数の特殊効果の付与が
指定された場合であっても、所望の特殊効果を適切かつ
確実に付与することができる演奏装置を提供することを
目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】この発明に従うと、音信
号を入力する音信号入力手段と、複数種類の異なる演奏
入力形態で演奏データを入力する演奏データ入力手段で
あって、少なくとも２以上の演奏入力形態からの演奏デ
ータを略同時に入力可能なものと、入力される演奏デー
タを後着優先で取得する優先取得手段と、取得された演
奏データに基づいて音信号に付与される特殊効果音デー
タを生成する特殊効果生成手段とを具備する演奏装置が
提供され、また、複数種類の異なる演奏入力形態を有
し、所定の処理によって楽音データを生成する演奏装置
において読み取り可能な記憶媒体であって、音信号を入
力するステップと、少なくとも２以上の演奏入力形態か
らの演奏データを入力するステップと、入力される演奏
データを後着優先で取得し、取得された演奏データに基
づいて音信号に付与される特殊効果音データを生成する
ステップとから成るプログラムを記録している記録媒体
が提供される。ここで、特殊効果音データとは、楽音デ
ータを生成するための楽音生成チャンネルとは別の特殊
効果音生成チャンネルにて生成されるものである。

【０００８】なお、この発明においては、優先取得手段
で取得する最新の演奏データの数は、特殊効果音生成チ
ャンネル数と同数とすることができ、また、入力される
演奏データの一つの楽音に対して複数の特殊効果音デー
タを生成する場合には、（生成可能な特殊効果音データ
数）／（一つの楽音で生成すべき特殊効果音データ数）
の値により決定するようにしてもよい。さらに、優先取
得手段は、同時に複数の演奏データが入力される場合に
は、複数演奏入力形態間の優先順位に従って最新の演奏
データを取得するように構成される。

【０００９】この発明において典型的に生成する特殊効
果音はハーモニー音であり、これは、音信号入力手段
は、外部からの音信号を入力する信号入力手段であり、
特殊効果生成手段は、入力された音信号に付与されるハ
ーモニー音を表わす特殊効果音データを生成したり、さ
らには、優先取得手段により取得された演奏データに基
づきハーモニー音の音高を指定するという構成によっ
て、実現することができる。このハーモニー音には、上
述した「ボコーダ（ｖｏｃｏｄｅｒ）」ハーモニー音や
「コーダル（ｃｈｏｒｄａｌ）」ハーモニー音がある。
また、外部からの音信号は、例えば、マイクや再生プレ
ーヤ等からアナログ形式で入力され、音声（人の歌声）
の外、生楽器の演奏音、自然音等の実際音を含み、ま
た、任意タイプの波形や任意の信号形式で表わされる人
工音であってもよい。従って、このような外部音信号を
もとにして、これらのハーモニー音を発生させることが
できる。

【００１０】この発明においては、特殊効果生成手段
は、さらに、入力された音信号をシフトしたハーモニー
音を表わす特殊効果音データを生成するモードを有す
る。このモードには、例えば、演奏データに関係なく、
入力された音信号の音高から一定音程離れたハーモニー
をつける「クロマティック（ｃｈｒｏｍａｔｉｃ）」ハ
ーモニーモードや、音信号の音高から僅かに音程をずら
したハーモニーをつける「デチューン（ｄｅｔｕｎｅ）
ハーモニーモード等がある。

【００１１】この発明の別の特徴に従うと、楽音データ
を入力する複数の入力手段と、これらの入力手段の何れ
かから入力された楽音データに対応した特殊効果の形成
を行う少なくとも１つの特殊効果形成手段と、複数の入
力手段から新規の楽音データが入力されたことを検出す
る検出手段と、特殊効果形成手段が何れかの入力手段か
ら入力された楽音データに対応した特殊効果の形成を行
っている状態において、検出手段による新規の楽音デー
タの検出に応じて、特殊効果形成手段における特殊効果
の形成を停止させ、検出手段によって検出された新規の
楽音データに対応する特殊効果の形成を開始させる制御
手段とを具備する効果制御装置、並びに、楽音データを
入力する複数の入力手段と、これらの入力手段の何れか
から入力された楽音データに対応した特殊効果を形成す
る少なくとも１つの特殊効果形成手段とを具備する効果
制御装置において読み取り可能な記憶媒体であって、複
数の入力手段から新規の楽音データが入力されたことを
検出するステップと、特殊効果形成手段が、何れかの入
力手段から入力された楽音データに対応した特殊効果
を、形成している状態において、新規の楽音データの検
出に応じて、前記特殊効果形成手段における特殊効果の
形成を停止させるとともに、検出手段によって検出され
た新規の楽音データに対応する特殊効果の形成を開始さ
せるステップとからなるプログラムを記憶している記録
媒体が提供される。

【００１２】〔発明の作用〕この発明によると、複数種
類の入力演奏データ発生源からの演奏データ入力に応じ
て特殊効果音データを生成可能な演奏装置において、少
なくとも２つ以上の演奏入力形態からの演奏データを同
時に入力することが可能である。例えば、鍵盤等の演奏
操作子からの操作子演奏データのみならず、記憶装置か
らの自動演奏データや外部接続端子に接続した外部楽音
機器からの外部演奏データ等、複数の演奏データに対応
することができる。このため、これらの異なった演奏入
力形態から発信され入力された演奏データ楽音のうち、
最新のものからを特殊効果音生成の基準として採用し、
このように後着優先で採用された楽音に基づいて特殊効
果音（例えば、ボーカルハーモニー音）を生成する。こ
の優先数は例えば「２」とされ、到来する演奏データ楽
音から後着優先２音で特殊効果音が生成される。

【００１３】従って、記憶装置から読み出し演奏する自
動演奏、操作子の操作に応じた演奏、外部機器から入力
のあった演奏等、少なくとも二つ以上の演奏入力形態に
対して、同時に、しかも簡単な構成で、特殊効果を生成
することが可能となり、複数種類の演奏入力形態にかか
わらず、後着優先で得られた演奏データにより、設定し
たハーモニー等の特殊効果を生成することができる。す
なわち、ハーモニーのような特殊効果は、予め専用機能
を準備する必要があるため、あまりにも多くの複数音の
生成は困難であるが、この発明では、これを後着優先
（例えば２音）で生成することにより、このような困難
が回避される。また、これにより、バランスのとれた特
殊効果を得ることができる。

【００１４】なお、この発明における特殊効果とは、ハ
ーモニー効果のように、新たな楽音生成チャンネルを必
要とする効果をいい、このような特殊効果の生成のため
の基準としての演奏データが後着優先で採用される。こ
の発明の好適な実施態様では、特殊効果の生成チャンネ
ル数と最新の演奏データ数を同数、例えば、ハーモニー
数を２つとし、採用する最新演奏データ数を２つとする
ことができる。また、或る入力演奏データ楽音に基づい
てハーモニー音を生成させているとき、同じ音高のハー
モニー音を生成する別の演奏データ楽音が入力された場
合は、実行中のハーモニー生成を継続する。

【００１５】一方、一つの演奏データ楽音に対して複数
の特殊効果音を生成することがあるが、この場合には、
（生成可能な効果音〔チャンネル〕数）／（一つの楽音
で生成する効果音数）の値で、採用する最新演奏データ
数を決定することで対応する。また、同時に複数の演奏
データが入力され特殊効果音生成チャンネルが足りない
場合には、予め定められた複数演奏入力形態間の優先順
位に従って採用すべき最新の演奏データを決定する。従
って、このような所定の優先順位を採用することによ
り、さらに、バランスがとれた特殊効果を確実に付与す
ることができる。

【００１６】この発明においては、特殊効果音として、
外部からのマイク入力音声等の音信号をもとにし、演奏
データに基づいて音高が指定されるハーモニー音を生成
させるようにしている。従って、「ボコーダ」ハーモニ
ー（演奏データの所定鍵域音のとおり音高値を指定す
る）や「コーダル」ハーモニー（演奏データのコード指
定によってテーブルを索引して音高値を指定する）と呼
ばれるハーモニー音を、鍵盤による演奏データだけでな
く、記憶装置や外部楽音機器といった種々の演奏形態に
よる複数種類の演奏データに応答して発生させ、種々の
好適なボーカルハーモニー効果を得るようにすることが
できる。

【００１７】この発明においては、特殊効果音として、
外部からのマイク入力音声等の音信号をもとにし、ピッ
チシフトした音高値が指定されるハーモニー音を生成さ
せるモードをもつことができる。従って、上述の種々の
態様に加えて、「クロマティック」ハーモニーや「デチ
ューン」ハーモニーと呼ばれるモードで、ハーモニー音
を得ることができる。

【００１８】この発明の別の特徴に従うと、特殊効果形
成手段が、複数の入力手段の何れかから入力された楽音
データに対応した特殊効果の形成を行っている状態にお
いて、複数の入力手段から新規の楽音データが入力され
たことを検出すると、これに応じて、特殊効果形成手段
における特殊効果の形成を停止させ、検出された新規の
楽音データに対応する特殊効果の形成を開始させるよう
にしているので、特殊効果形成手段は、既に入力された
楽音データに対応した特殊効果形成に占有されることな
く、新規の楽音データに対応する特殊効果形成を確保す
ることができる。

【００１９】

【発明の実施の形態】以下、図面を参照しつつ、この発
明の好適な実施例について詳述する。なお、以下の実施
例は、単なる一例であって、この発明の精神を逸脱しな
い範囲で種々の変更が可能である。

【００２０】〔ハードウエア構成〕図１には、この発明
の一実施例による演奏システムのハードウエア構成のブ
ロック図が示されている。この例では、演奏システム
は、中央処理装置（ＣＰＵ）１、読出専用メモリ（ＲＯ
Ｍ）２、ランダムアクセスメモリ（ＲＡＭ）３、鍵盤操
作子装置４、操作パネル５、表示装置６、音源装置７、
ディジタル信号処理装置（ＤＳＰ）８、サウンドシステ
ム９、外部記憶装置１０、第１及び第２のインターフェ
イス１１，１２等を備え、これらの装置１〜１２は、バ
ス１３を介して互いに接続されている。

【００２１】システム全体を制御するＣＰＵ１は、所定
のプログラムに従って種々の制御を行い、特に、ボーカ
ルハーモニーの設定や形成を含む演奏データ及び楽音信
号処理を中枢的に遂行する。ＲＯＭ２には、このシステ
ムを制御するための所定の制御プログラムが記憶されて
おり、これらの制御プログラムには、基本的な演奏情報
処理と共に、この発明による演奏データ及び楽音信号処
理に関する各種処理プログラムや各種テーブル、データ
が含ませることができる。ＲＡＭ３は、これらの処理に
際して必要なデータやパラメータを記憶し、各種レジス
タやフラグ、処理中の各種データ等を一時記憶するため
のワーク領域として用いられる。

【００２２】鍵盤操作子装置４は演奏用操作子として鍵
盤を備え、この鍵盤は複数の鍵域に分割されている。こ
のシステムにおける演奏入力形態の１つとしてこの鍵盤
を押鍵操作することにより楽音信号を発生し、これを
「押鍵演奏データ」としてシステムに入力すると、シス
テムでは、押鍵演奏データに基づいてボーカルハーモニ
ーモードでの演奏を行うことができる。例えば、特定鍵
域（例えば右手側鍵域）の押鍵演奏データによりボコー
ダハーモニー音等を生成することができる。

【００２３】操作パネル５は、各種モード・パラメータ
・操作の設定を設定するための操作子を備え、表示装置
６はディスプレイや各種インジケータを備えており、こ
れらのディスプレイやインジケータは、操作パネル５の
操作面上の操作子に並置することができる。また、音源
装置７、ＤＳＰ８及びサウンドシステム９から成る楽音
出力部は、このシステムで処理された演奏データに基づ
く楽音をスピーカ１４から放音させるためのものであ
る。

【００２４】操作パネル５の操作子には、スタイルモー
ド選択ボタン、ソングモード選択ボタン、エフェクトモ
ード選択ボタン、ボーカルハーモニー設定ボタン、コー
ド設定モードボタン（又はダイヤル）、スタイルナンバ
等の入力用テンキー、自動伴奏オン／オフボタン、スタ
ート／ストップボタン等がある。ボーカルハーモニー設
定ボタンの操作により、ボコーダハーモニーやコーダル
ハーモニー等を含む「ボーカルハーモニー」モードを指
定することができ、必要に応じて、両モードの内最適な
モードを自動的に切り換える「自動切換」モードを指定
することもできる。

【００２５】外部記憶装置１０には、ハードディスクド
ライブ（ＨＤＤ）やＣＤ−ＲＯＭドライブ等の記憶装置
が使用される。ＨＤＤは、制御プログラムや各種データ
を記憶しておく記憶装置であり、ＲＯＭ２に制御プログ
ラムが記憶されていない場合、このＨＤＤ内のハードデ
ィスクに制御プログラムを記憶させておき、それをＲＡ
Ｍ３に読み込むことにより、ＲＯＭ２に制御プログラム
を記憶している場合と同様の動作をＣＰＵ１にさせるこ
とができる。また、ＣＤ−ＲＯＭドライブ等により、Ｃ
Ｄ−ＲＯＭ等に記憶されている制御プログラムや各種デ
ータを読み出し、ＨＤＤ内のハードディスクにストアす
ることもできる。さらに、図示しない通信インターフェ
イスを通じてサーバコンピュータから制御プログラムや
各種データをＨＤＤ内のハードディスクにストアするこ
ともできる。このようにすると、制御プログラムの追加
やバージョンアップ等が容易に行える。

【００２６】この発明では、外部記憶装置１０は、ＣＤ
−ＲＯＭドライブやフロッピィディスクドライブ（ＦＤ
Ｄ）等を含み、自動演奏データのような曲データ集が記
録された市販の任意仕様のＣＤ−ＲＯＭやフロッピィデ
ィスク等の可搬記録媒体からの演奏データをシステムに
入力することができる。すなわち、このシステムにおけ
る演奏入力形態の１つとして外部記憶装置１０からこの
ような曲データ集の演奏データを読み出すことにより、
これを「自動演奏データ」としてシステムに入力するこ
とができ、システムでは、この自動演奏データに基づい
てボーカルハーモニーモードでの演奏を行うことができ
る。ここで、自動演奏データは１乃至複数の楽音発生系
列から構成され、複数の楽音発生系列から構成される場
合は、これらの系列は、例えば、チャンネル１〜チャン
ネル１６（トラック１〜トラック１６）として個別に識
別可能なものとなっている。なお、このような記憶媒体
には、ＣＤ−ＲＯＭやフロッピィディスクの外、光磁気
（ＭＯ）ディスク等、様々な形態のメディアを利用する
ことができ、また、このシステムで生成した演奏データ
を再記録することもできる。

【００２７】第１のインターフェイス１１は、Ａ／Ｄ変
換機能を有し、マイク１６や、ＣＤプレーヤ、カセット
テーププレーヤ等のアナログ出力タイプの再生プレーヤ
１６が接続される。ボーカルハーモニーモードにおい
て、このインターフェイス１１を介してマイク１５から
の入力音声信号、或いは、再生プレーヤ１６からアナロ
グ再生した楽音（主として音声）信号をシステムに入力
すると、システムでは、この音声信号や再生音信号に対
してハーモニー音を付加することができるようになって
いる。

【００２８】また、第２のインターフェイス１２は、外
部接続端子に接続された楽音データ再生機、外部シーケ
ンサ、コンピュータ（このシステムから物理的に隔離さ
れており、公衆通信回線やインターネット等を介してこ
のシステムに接続される他のコンピュータやサーバなど
も含まれる）、他の電子楽器等の外部楽音機器１７とこ
のシステムとの間で、ＭＩＤＩフォーマット或いは他の
データフォーマットの演奏データを授受する機能を有し
ている。そして、このシステムにおける演奏入力形態の
１つとしてこれらの外部楽音機器１７から楽音信号を受
信することにより、これを「外部演奏データ」としてシ
ステムに入力することができ、システムでは、この外部
演奏データに基づいてボーカルハーモニーモードでの演
奏を行うことができる。

【００２９】この発明による演奏システムは、電子楽器
の形態で実施することができるが、パーソナルコンピュ
ータ（ＰＣ）を用いて実施することもできる。また、カ
ラオケ装置やゲーム機、携帯電話等の移動無線端末など
においても、この発明を適用し、特殊効果音を生成しこ
れを利用する種々の実施形態の楽音生成／演奏手段を実
現することができる。

【００３０】〔メイン処理〕図２は、この発明の一実施
例による演奏データ処理全体を表わすメイン処理のフロ
ーチャートである。ステップＳ１でシステムの初期化を
行い、ステップＳ２では、操作パネル５の操作子の操作
に応じたモードやパラメータを設定するパネル設定処理
を行う。

【００３１】次のステップＳ３では、鍵盤操作子装置４
による押鍵に応じた押鍵演奏データ、外部記憶装置１０
から読み出される自動演奏データ、外部楽音機器１７か
ら入力される外部演奏データ等の入力演奏データを検出
し、マイク１５や再生プレーヤ１６から入力される音声
信号や再生音信号を検出する。そして、操作パネル５で
設定されたモードやパラメータに従い、また、場合によ
っては、所定の条件で切換えをも行い、音声信号や再生
音信号をもとにして入力演奏データに合ったハーモニー
音データを作成する。

【００３２】ステップＳ４においては、作成されたハー
モニー音データ及び処理した演奏データに基づいて出力
演奏データを生成し、この出力演奏データを楽音出力部
７〜９よりスピーカ１４を介して楽音として出力し、ス
テップＳ５でメイン処理の終了指示があるまで、ステッ
プＳ２〜Ｓ４での処理が繰り返し実行される。

【００３３】つまり、図２のメイン処理に簡略化して示
されるように、先ず、操作パネル５の操作子を操作し、
自動伴奏機能やハーモニーに関してモードやパラメータ
を操作パネル５で設定しておく（Ｓ２）。次に、鍵盤操
作子装置４による押鍵、外部記憶装置１０からの読出
し、外部楽音機器１７からの入力等の複数の演奏入力形
態に伴って、押鍵演奏データ、自動演奏データ、外部演
奏データ等の入力演奏データが入力され、マイク１５や
再生プレーヤ１６から音声信号や再生音信号が入力され
ると、設定されたモードやパラメータに従い楽音データ
やハーモニー音データが生成される（Ｓ３）。特に、こ
の発明においては、パネル設定（Ｓ２）でボーカルハー
モニーモードを設定した場合、この楽曲データ生成（Ｓ
３）に際し、少なくとも２つの最新の入力演奏データを
優先して処理することにより、少なくとも２つの演奏入
力形態に応じて、音声信号や再生音信号をもとにしたハ
ーモニー音データを同時に生成することができる。

【００３４】〔パネル設定処理〕図３には、メイン処理
（図２）のステップＳ２におけるパネル設定処理ルーチ
ンの一例が示されている。このルーチンの第１ステップ
ＳＰ１では、「スタイルモード」の指定があるか否かが
判別される。操作パネル５上のスタイルモード選択ボタ
ンが操作されて「スタイルモード」の指定がある場合に
はステップＳＰ２に進み、そうでない場合にはステップ
ＳＰ３に進む。ステップＳＰ２では、「スタイルモー
ド」の指定に伴う操作パネル５上の各種ボタン・キーの
操作状態に応じて、種々のジャンルの演奏スタイル（例
えば、８ビートポップス、ダンスポップス等）を表わす
スタイルナンバの設定、自動伴奏オン／オフの設定、ス
タート／ストップの設定、或いは、他の設定を行う。

【００３５】ステップＳＰ３では、「ソングモード」の
指定があるか否かが判別される。操作パネル５上のソン
グモード選択ボタンが操作されて「ソングモード」の指
定がある場合にはステップＳＰ４に進み、そうでない場
合にはステップＳＰ５に進む。ステップＳＰ４において
は、「ソングモード」の指定に伴う操作パネル５上の各
種ボタン・キーの操作状態に応じて、曲目の設定、スタ
ート／ストップの設定、或いは、他の設定を行う。この
場合、曲目は、例えば、外部記憶装置１０のフロッピー
（登録商標）ディスク等に記録されている曲データの曲
目から選択的に指定され、このようなフロッピーディス
ク等には、市販の曲データディスクを使用することがで
きる。

【００３６】ステップＳＰ５では、「ボーカルハーモニ
ー」モードでの各種パラメータ等の設定があるか否かが
判別される。操作パネル５上のボーカルハーモニー設定
ボタンの操作により「ボーカルハーモニー」パラメータ
等の設定やエディットをする場合にはステップＳＰ６に
進み、そうでない場合にはステップＳＰ７に進む。

【００３７】ステップＳＰ６は、「ボーカルハーモニ
ー」モードでの各種パラメータ等の設定を行うサブルー
チンであり、操作パネル５上の各種ボタン・キーの操作
により、例えば、図３に示すように、ボーカルハーモニ
ーの種別（ボコーダハーモニー・コーダルハーモニー）
の「自動切換機能有り」や各ハーモニー種別の指定の設
定、対象とするボーカルハーモニー記録トラック等の設
定、ボーカルハーモニー各種別おける詳細なパラメータ
の設定等を行う。

【００３８】このステップＳＰ６での設定には、実際に
ハーモニー音を鳴らせる演奏データの入力源を特定する
ことが含まれる。初期状態においては、特殊効果音生成
チャンネル数を資源的に確保するのが可能な限り、入力
のあった演奏データに対して全てハーモニー音を出力で
きるように設定されているので、このステップＳＰ６で
はその制限を行う。初期設定として、例えば、鍵盤演奏
データ及び自動演奏データのチャンネル５（トラック
５）が、ボーカルハーモニーを付与させる基準となるべ
き指定チャンネルとされる。

【００３９】ステップＳＰ７では、「その他」の設定が
あるか否かが判別され、その他の設定がある場合にはス
テップＳＰ８に進んでその他の設定処理を行った上、そ
うでない場合にはそのまま、メイン処理（図２）の第３
ステップＳ３の演奏データ検出及び信号処理ルーチンに
進む。

【００４０】〔ボーカルハーモニーの設定〕図４は、パ
ネル設定処理ルーチン（図３）のステップＳＰ６におけ
るボーカルハーモニーの設定処理サブルーチンの一例が
示されている。このサブルーチンの第１ステップＳＶ１
では、入力演奏データ源を特定するために、例えば、次
のような設定を行う：（１）鍵盤操作子装置４の鍵盤の特定の鍵域、（２）外
部楽音機器１７の種類、及び、当該外部楽音機器から送
られてくる外部演奏データの特定のチャンネル、（３）
外部記憶装置１０から読み出す自動演奏データの種類、
及び、当該自動演奏データの特定のチャンネル、等々。

【００４１】なお、読み出す自動演奏データによって
は、特別な識別子にてボーカルハーモニーを付与させる
基準となるべきチャンネルを検出し，自動的に設定する
ようにすることができる。例えば、自動演奏データ記録
媒体の製品や記録仕様の種別によっては、特定チャンネ
ル（トラック）にコピーライト等の特別な識別子が記述
されており、このチャンネルをボーカルハーモニー対応
データが記録されているチャンネルとして自動的に識別
するとともに、ボーカルハーモニーを付与させる基準と
なるべき特定のチャネルとして設定するといった手法を
採用することができる。

【００４２】そして、次の第２ステップＳＶ２で、ボー
カルハーモニーのモード種別（ボコーダハーモニー、コ
ーダルハーモニー等）を指定し、各モード種別における
詳細パラメータ等を設定する。そして、さらに、第３ス
テップＳＶ３で、「自動切換」モードの指定操作により
ボーカルハーモニーの特定種別（ボコーダハーモニー／
コーダルハーモニー）間での自動切換有無の設定を行っ
た上、パネル設定処理ルーチン（図２）のステップＳＰ
７にリターンする。

【００４３】ステップＳＶ２で指定することができるハ
ーモニーモードには、例えば、鍵盤演奏データ等の各鍵
域の楽音に基づいてハーモニー音を付加する「ボコー
ダ」ハーモニーモードや、自動伴奏コード鍵域で指定し
たコード又は自動演奏データ（ソング）の再生に伴うコ
ードに基づいてハーモニー音を付加する「コーダル」ハ
ーモニーモードがあり、この外にも、演奏方法やハーモ
ニー・パートに関係なく、マイク１７等からの入力音声
の高さから一定の音程分離れたハーモニー音を付加する
「クロマティック」ハーモニーモードや、入力音声の高
さから僅かに音程をずらしたハーモニー音を付加する
「デチューン」ハーモニーモードがある。

【００４４】また、ステップＳＶ２で設定することがで
きる詳細パラメータには、入力音声信号のレベルを下げ
てハーモニー音のみを出力する演奏をしたり、入力音声
の性質を変えるジェンダー機能を指定したり、入力音声
のピッチを補正する等のためのパラメータがある。この
ような詳細パラメータの設定において、設定する各パラ
メータ演奏条件に適した図柄画像を各詳細パラメータ設
定画面に表示することにより、特に、初心者ユーザが、
設定可能な演奏条件／演奏機能を容易に理解し設定する
ことができる。

【００４５】〔演奏データ検出及び信号処理〕次に、図
５〜図７には、図１のステップＳ３における演奏データ
検出及び信号処理ルーチンの一例が示されている。この
ルーチンの第１〜第３ステップＳＳ１〜ＳＳ３では、種
々の演奏形態に従って、各演奏データ入力源から入力さ
れる演奏データを検出する。先ず、第１ステップＳＳ１
では、鍵盤操作子装置４から鍵盤の演奏操作（押鍵）に
基づき入力される鍵盤演奏データの楽音信号を受けて、
ユーザの鍵盤演奏による楽音指示を検出する。検出され
た楽音指示は、特殊効果の指定音になったり、或いは、
設定されている音色にて通常の楽音として発音されるよ
うに処理される。

【００４６】次に、第２ステップＳＳ２では、自動演奏
がスタートされて外部記憶装置１０から読み出される自
動演奏データの楽音信号が入力されているかを検出す
る。このステップで検出される自動演奏データも、鍵盤
演奏データと同様に、特殊効果の指定音になったり，設
定されている音色で楽音が鳴るように処理される。そし
て、第３ステップＳＳ３では、第２のインターフェイス
１２の外部入力端子に接続されたシーケンサやコンピュ
ータ、電子楽器等の外部楽音機器１７から入力される外
部演奏データの楽音信号を検出する処理を行い、この外
部演奏データも上述の２つの演奏データと同様に処理さ
れる。

【００４７】続くステップＳＳ４においては、第１のイ
ンターフェイス１２に接続されたマイク１５からの入力
音声信号や、再生プレーヤ１６からのアナログ再生によ
る再生音信号を検出する。マイク入力や録音テープから
の音声波形を検出することにより、特殊効果（ハーモニ
ー）により、この音声波形をもとにした新たな楽音（ハ
ーモニー音）を生成したり、音声波形の加工を行い、ま
た、設定によって元の音声／再生音を出力させる。な
お、設定によっては、元の音声／再生音は出力させな
い。例えば、入力した声の音高で楽音信号を生成して出
力するときなどは、元の音声／再生音を出力しない。

【００４８】〔スタイルモード処理〕ステップＳＳ５で
は、現在「スタイルモード」が設定されているか否かが
判別され、スタイルモードであればステップＳＳ６に進
み、そうでなければ、ステップＳＳ７（図７）以降の
「ソングモード」処理に進む。ステップＳＳ６において
スタートの設定があると判別された場合にはステップＳ
Ｓ８に進み、スタートの設定がない場合には、ステップ
ＳＳ９でストップの設定があるとステップＳＳ１０で停
止処理を行った後に、また、ストップ設定がないときは
直ちに、ステップＳＳ７に進む。

【００４９】ステップＳＳ８では、現在「自動伴奏オ
ン」が設定されているか否かが判別され、自動伴奏オン
であればステップＳＳ１１（図６）に進み、自動伴奏オ
ンでなければ、ステップＳＳ１２に進み、設定されてい
るリズム信号を生成する処理を行った上、ステップＳＳ
７（図７）に進む。自動伴奏モード（図６）のときに
は、基本的に、ボーカルハーモニーとしては「コーダ
ル」ハーモニーモードが適しているので、ステップＳＳ
１１において、先ず、鍵盤操作子装置４、外部記憶装置
１０、外部楽音機器１７から入力される演奏データのコ
ード情報から、コード指定を検出する処理を行っておい
てから、ステップＳＳ１３に進む。なお、このコード指
定については、鍵盤演奏による場合等は、例えば、コー
ド設定モードボタン（又はダイヤル）を操作して所定の
コード設定モード（例えば、単指モード）を指定した
上、鍵盤操作子装置４の伴奏鍵領域（最左鍵域）の所定
鍵（例えば、単指モードでは根音等に相当する鍵）を操
作することにより、ユーザにより容易にコード指定する
方法を採ることができる。

【００５０】ステップＳＳ１３では「ボーカルハーモニ
ー」モードが設定されているか否かが判別され、「ボー
カルハーモニー」モードが設定されているとステップＳ
Ｓ１４に進む。一方、「ボーカルハーモニー」モードが
設定されてないと、ステップＳＳ１５で、設定されてい
る音色にてコード信号を生成し、ステップＳＳ１６で伴
奏楽音データを生成する処理を行った上、ステップＳＳ
７（図７）に進む。ステップＳＳ１４では、ボーカルハ
ーモニー種別について「自動切換機能有り」（「自動切
換」モード指定による）が設定されているか否か、或い
は、この種別が「コーダル」ハーモニーに設定されてい
るか否かを判別する。ここで、何れかの設定がある場合
にはステップＳＳ１７に進み、コード指定を既に検出済
である（ＳＳ１１）か否かが判別され、検出済の場合
は、ステップＳＳ１８に進む。

【００５１】ステップＳＳ１８では、設定されているボ
ーカルハーモニーモード即ちコーダルハーモニーの効果
音データを生成する。すなわち、マイク１５からの入力
音声信号或いは再生音信号（ＳＳ４）をもとにして、検
出されたコード指定に対応して予め指定された音高のコ
ーダルハーモニー音データ（音声のコード信号）を生成
してステップＳＳ７（図７）に進む。従って、自動伴奏
を設定した場合には、入力音声や再生音信号に対し、各
演奏データにおけるそのときのコード指定に対応する音
程に変更された特殊効果（コーダルハーモニー）音デー
タが生成され、ハーモニーとして付加される。このステ
ップＳＳ１８での処理においては、新規に発生させる特
殊効果（コーダルハーモニー）を生成するためのチャン
ネルが確保できるかどうかの問題が出るので、後述する
ように、別途、後着優先によるハーモニー形成処理も実
施される。

【００５２】ステップＳＳ１４で否（ＮＯ）と判断され
た場合つまり「ボコーダ」ハーモニーモードが設定され
ている場合、或いは、ステップＳＳ１７で否（ＮＯ）即
ちコード指定が検出済でない場合は、ステップＳＳ１９
に進んで、特殊効果音としてボコーダハーモニー音デー
タを生成する。例えば、鍵盤演奏データが入力された場
合、鍵盤操作子装置４の右手側鍵域の音高指定に対応す
る音高で、マイク１５からの入力音声をもとにしたボコ
ーダハーモニー音データを生成する。このステップＳＳ
１９での処理においても、新規に発生させる特殊効果
（ボコーダハーモニー）のチャンネルを確保するため
に、後述するように、別途、後着優先によるハーモニー
形成処理も実施される。なお、ステップＳＳ１９の後は
ステップＳＳ７（図７）に進む。

【００５３】〔ソングモード処理〕ステップＳＳ７で
は、現在「ソングモード」が設定されているか否かが判
別され、ソングモードであればステップＳＳ２０に進
み、そうでなければ、メイン処理（図２）のステップＳ
４の演奏処理に進む。ステップＳＳ２０に進んだ場合、
「ボーカルハーモニー」モードが設定されているか否か
が判別され、「ボーカルハーモニー」モードが設定され
ているとステップＳＳ２１に進み、設定されていないと
ステップＳＳ２２に進む。

【００５４】ステップＳＳ２１では、ボーカルハーモニ
ー種別について「自動切換機能有り」が設定されている
か否か、或いは、この種別が「ボコーダ」ハーモニーに
設定されているか否かが判別され、何れかの設定がある
場合にはステップＳＳ２３に進み、ボーカルハーモニー
を「ボコーダ」ハーモニーモードとし、マイク１５から
の音声信号をもとにした指定音高のボコーダハーモニー
音データを生成する処理を行う。このステップＳＳ２３
でも、新規に発生させる特殊効果（ボコーダハーモニ
ー）のチャンネルを確保するために、後述するように、
別途、後着優先によるハーモニー形成処理も実施され
る。ステップＳＳ２３の後はステップＳＳ２２に進む。

【００５５】このようにして、ソングモードにおいて
は、ステップＳＳ２３にて、鍵盤操作子装置４からの押
鍵による鍵盤演奏データ、外部記憶装置１０から読み込
んだ自動演奏データ、或いは、外部楽音機器１７から入
力される外部演奏データにより指定される音高で、マイ
ク１５からの音声信号や再生プレーヤ１６からの再生音
信号の音高を変更し、また、この入力音声信号や再生音
信号に、上述の音高データによるボコーダハーモニー音
を付加して楽音出力部７〜９より出力することができ
る。従って、歌った声が音程にあって出力するように聞
こえる。

【００５６】ステップＳＳ１８，ＳＳ１９，ＳＳ２３に
おいては、ボーカルハーモニー設定モード〔ＳＶ２（図
４）〕で設定された詳細パラメータに従って、特殊効果
音としてボーカルハーモニー音（ＳＳ１８＝コーダルハ
ーモニー、ＳＳ１９，ＳＳ２３＝ボコーダハーモニー）
が生成される。例えば、入力音声データに対してジェン
ダー機能（入力音声を女声等の声質に変更する機能）を
適用することにより、男性ユーザが女性の声で歌ってい
るようにしたり、或いは、逆に、女性ユーザが男性の声
で歌っているようにしたりすることができる。なお、ボ
ーカルハーモニーを生成する場合、実際の使い方として
は、入力音声信号のレベルを下げる処理を行い（出力を
しないで）、ハーモニー音のみを出力する演奏をするこ
ともできる。

【００５７】これに対して、ステップＳＳ２１で否（Ｎ
Ｏ）と判断された場合つまり「コーダル」ハーモニーモ
ードが設定されている場合は、ステップＳＳ２４でボー
カルハーモニー機能を停止する処理をした上、ステップ
ＳＳ２２に進む。

【００５８】ステップＳＳ２２においては、スタートの
設定があると判別された場合にはステップＳＳ２５に進
み、指定されている曲目の演奏データを演奏出力するた
めの処理を行って、メイン処理（図２）のステップＳ４
の演奏処理にリターンする。また、スタートの設定がな
い場合には、ステップＳＳ２６でストップの設定がある
とステップＳＳ２７で演奏停止処理を行った後に、ま
た、ストップ設定がないときは直ちに、メイン処理のス
テップＳ４にリターンする。

【００５９】〔ハーモニー形成サブルーチン〕この発明
の一実施例による演奏システムでは、複数の演奏データ
の楽音生成チャンネルが複数の演奏入力形態による複数
の入力演奏データに対して選択可能に形成される。これ
に対して、ステップＳＳ１８，ＳＳ１９（図６）及びス
テップＳＳ２３（図７）においては、演奏入力形態また
は各々の演奏データの楽音生成チャンネルをハーモニー
チャンネルに指定することにより、ハーモニー付加の基
準となる音高値データを得、そして、この音高値データ
に基づいて特殊効果音（ハーモニー音）データを発生さ
せる。

【００６０】ここで、演奏データにおける同時にハーモ
ニー音を発音させる指定が多くなり過ぎて発音すべき
「特殊効果を指定する演奏データ楽音数×特殊効果毎の
効果音（ハーモニー音）数」が特殊効果に割り当てられ
た特殊効果音チャンネルの数よりも多くなってしまった
場合には、資源が足りなくなる。そこで、この発明で
は、特殊効果を発音させる演奏データの指定楽音は後着
優先とし、例えば、最後の演奏データ２音のキーオンが
特殊効果音（ハーモニー音）を付加させる指定楽音とす
るように決める。そして、それ以前に発音指示を始めて
いた指定楽音がある場合には、その指定楽音に対して特
殊効果の付与を停止させる。もちろん、指定楽音の演奏
データ自体の出力演奏はそのまま継続させて行ってもよ
いし、特殊効果の付与の停止と共に指定楽音の演奏デー
タ自体の出力をも停止させてもよい。

【００６１】なお、特殊効果を付与させる基準として指
定される楽音生成チャンネル（ハーモニーチャンネル）
は、演奏入力形態で指定することもできるし、個々のチ
ャンネルを指定することもでき、何れにしても複数チャ
ンネルの指定が可能である。また、特殊効果音（代表的
には、ハーモニー音）を生成する特殊効果音生成チャン
ネルの数は、演奏データ楽音を発音する楽音生成チャン
ネルの総数には含まれない。すなわち、この発明におい
ては、演奏データ楽音を発音する楽音生成チャンネルと
は独立して所定数の特殊効果音生成チャンネルが設けら
れている。また、この発明において、特殊効果毎の効果
音（ハーモニー音）数とは、特殊効果を指定する演奏デ
ータに対応して付与される効果の数を指し、例えば、入
力音声のピッチを変えつつ入力音声を女声に変えるとい
った場合、効果音（ハーモニー音）数は２である。

【００６２】図８は、この発明の一実施例によるハーモ
ニー形成サブルーチンを示す。演奏データ検出及び信号
処理ルーチンのステップＳＳ１８，ＳＳ１９（図６）及
びステップＳＳ２３（図６）においては、設定されたボ
ーカルハーモニーモード（ＳＳ１８＝コーダルハーモニ
ー、ＳＳ１９，ＳＳ２３＝ボコーダハーモニー）の特殊
効果音データを生成する際、新規に発生させる特殊効果
（ハーモニー）のチャンネルが確保できるかどうかの問
題が出ることから、上述した方法でハーモニー生成を指
示するために、このサブルーチンの処理手順が併せて実
行される。

【００６３】ステップＳＨ１では、現在発音中の特殊効
果（ハーモニー）の数を検出する。すなわち、特殊効果
は、出力し得る特殊効果音生成チャンネル数が限られて
いるので現在どのようになっているか検出し、特殊効果
用の空きチャンネル数を算出するわけである。次にステ
ップＳＨ２では、特殊効果を出力するためのチャンネル
に余りがあるかどうかを調べ、ステップＳＨ１で算出し
た空きチャンネル数が新規にハーモニー生成を行うべき
特殊効果の数以上である（ＹＥＳ）ときは、問題なく特
殊効果を付与することができるのでステップＳＨ３に進
む。

【００６４】一方、特殊効果発音チャンネルに、新規に
特殊効果を付与する分の空きがない（ＮＯ）ときには、
ステップＳＨ４に進んで、原則として発音が古いものか
ら順に、所定の条件に従って発音中の特殊効果を停止す
る。ここで、上記所定の条件としては、例えば、次のよ
うなものが採用され得る。（１）入力された鍵盤演奏データや自動演奏データ或い
は外部演奏データなどに応じて生成された特殊効果のう
ち、単純に時間的に最も古いものから順に、特殊効果の
生成を停止する。（２）複数の演奏入力形態のうち特殊効果の生成を行う
優先順位を定めておき、優先順位の低いものから順に、
上記（１）と同様、時間的に最も古いものから特殊効果
の生成を停止する。例えば、鍵盤操作子４、外部記憶装
置１０、外部楽音機器１７の順で優先順位を定めた場
合、まず、外部楽音機器１７からの入力に応じて生成さ
れている特殊効果のうち時間的に最も古いものから順に
特殊効果の生成を停止させるようにする。もしくは、鍵
盤操作子４のみを優先的に扱い、まず、外部記憶装置１
０、外部楽音機器１７からの入力に応じて生成されてい
る特殊効果から停止させるようにする。（３）その他、特殊効果であるハーモニー音の音高や音
域又は音量など、或いは、入力された演奏データの音高
や音域あるいは音量などの楽音要素や、現在付与されて
いる特殊効果の種別に基づいて特殊効果を停止する順序
を定めておき、上記（２）と同様の停止処理を行うよう
にする。

【００６５】ステップＳＨ４においてこのようにして特
殊効果の生成を停止させた特殊効果音生成チャンネル
は、新規特殊効果の生成が可能な状態になる。そして、
次のステップＳＨ３において、新規に設定されているボ
ーカルハーモニーモードの特殊効果音データを生成し、
特殊効果を停止した特殊効果音生成チャンネル乃至空き
チャンネルを用いて新規の特殊効果を付与する。これに
より、後着優先でボーカルハーモニー音を生成すること
ができる。

【００６６】なお、ステップＳＨ４では、空きチャンネ
ル数が新規に必要な特殊効果のチャンネル数に足りない
場合、原則として、後着優先の処理を行い、最も古い演
奏データに基づいた特殊効果の生成を全面的に停止し、
ステップＳＨ３で最も新しく到来した演奏データに基づ
いた特殊効果を生成させるが、特定の優先順位に従って
特殊効果を部分的に停止させ、その結果生じた空きチャ
ンネルに、新規に付与される特殊効果を割り当てるよう
にしてもよい。例えば、特殊効果のチャンネル数が３で
あり、上述のように「入力音声のピッチを変える」と
「入力音声を女声に変える」とが付与される場合、現在
付与されている「入力音声を女声に変える」特殊効果の
みを停止させたり、「入力音声より高い音高のハーモニ
ー音」と「入力音声より低いハーモニー音」とが付与さ
れる場合、現在付与されている「入力音声より高い音高
のハーモニー音を発生させる」特殊効果のみを停止させ
たりし、その結果生じた２つの空きチャンネルを新規の
特殊効果に割り当てるようにする。

【００６７】また、演奏データの一つの楽音に対して複
数の効果楽音を新たに生成する場合には、（生成可能な
特殊効果音数）／（一つの楽音で生成する特殊効果音
数）の値で、新たな特殊効果生成の基準とする演奏デー
タの後着数を決定する。さらに、同時に入力された複数
の演奏データ音を基準にして夫々特殊効果が生成されて
いるときに新たな演奏データが入力され、生成中の一部
の特殊効果を停止しなければ新たな特殊効果音生成チャ
ンネルが足りなくなる場合は、複数演奏入力形態間で予
め定められた優先順位に従って、生成中の特殊効果を停
止し、停止した特殊効果音のチャンネルを新たな演奏デ
ータによる特殊効果音生成に充てる。なお、或る入力演
奏データ楽音に基づいてハーモニー音を生成させている
とき、同じ音高のハーモニー音を生成する別の演奏デー
タ楽音が入力された場合は、実行中のハーモニー生成を
継続する。

【００６８】〔種々の実施形態〕以上の説明では、特殊
効果音としてハーモニー音を生成する例について述べた
が、この発明は、これに限らず、演奏データ自体をもと
にして楽音データを生成する楽音生成系列とは別の楽音
生成系列で、複数の演奏データに基づいて複数の特殊効
果音データを発生する種々の演奏装置に適用することが
できる。

【００６９】また、以上の説明では、新たな演奏データ
が入力されたとき、特殊効果音生成チャンネルを種々の
条件に応じて停止させるようにしたが、例えば、特殊効
果音生成チャンネルの数が少ない場合などには、新たな
演奏データが入力されると無条件に生成中の特殊効果を
停止し、停止した特殊効果音のチャンネルを新たな演奏
データによる特殊効果音生成に充てるなどの方法によ
り、新たな演奏データに対応する特殊効果形成を確保す
るようにしてもよい。

【００７０】

【発明の効果】以上説明したように、この発明によれ
ば、複数の演奏データの入力に応じて楽音データを生成
する演奏装置において、複数種類の異なる演奏入力形態
で入力される複数の演奏データのうち最新の演奏データ
を取得し、取得した演奏データに基づいて特殊効果音デ
ータを生成するようにしている。従って、記憶装置から
読み出し演奏する自動演奏、操作子の操作に応じた演
奏、外部機器から入力のあった演奏等、少なくとも二つ
以上の演奏入力形態に対して、後着優先という簡単な構
成で、同時に、ハーモニー等の特殊効果を生成すること
ができる。

【００７１】さらに、この発明は、典型例として、音声
をもとにしたハーモニーを特殊効果として生成するのに
用いられる。これにより、鍵盤による演奏データだけで
なく、記憶装置や外部楽音機器といった種々の演奏形態
による複数種類の演奏データに応答して種々のボーカル
ハーモニー音を発生させ、種々の好適なボーカルハーモ
ニー効果を得ることができる。

【００７２】なお、この発明の実施例においては、優先
取得手段で取得する最新の演奏データの数は、特殊効果
音生成チャンネル数と同数としたり、１演奏データ楽音
に対して複数の特殊効果音データを生成する場合には、
（生成可能な特殊効果音数）／（１楽音で生成すべき特
殊効果音数）の値により決定としたり、さらに、同時に
複数の演奏データが入力される場合には、複数演奏入力
形態間の優先順位に従って最新の演奏データを採用する
ようにしているので、さらに、バランスがとれた特殊効
果を確実に付与することができる。

【００７３】また、この発明によれば、特殊効果形成手
段が、複数の入力手段の何れかから入力された楽音デー
タに対応した特殊効果の形成を行っている状態におい
て、複数の入力手段から新規の楽音データが入力された
ことを検出すると、これに応じて、特殊効果形成手段に
おける特殊効果の形成を停止させ、検出された新規の楽
音データに対応する特殊効果の形成を開始させるように
しているので、特殊効果形成手段は、既に入力された楽
音データに対応した特殊効果形成に占有されることな
く、新規の楽音データに対応する特殊効果形成を確保す
ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】図１は、この発明の一実施例による演奏装置の
ハードウエア構成を示すブロック図である。

【図２】図２は、この発明の一実施例による演奏データ
処理全体を表わすメイン処理のフローチャートである。

【図３】図３は、この発明の一実施例によるパネル設定
処理ルーチンを示す図である。

【図４】図４は、この発明の一実施例によるボーカルハ
ーモニー設定サブルーチンを示す図である。

【図５】図５は、この発明の一実施例による演奏データ
検出及び信号処理ルーチンの第１部分を示す図である。

【図６】図６は、この発明の一実施例による演奏データ
検出及び信号処理ルーチンの第２部分を示す図である。

【図７】図７は、この発明の一実施例による演奏データ
検出及び信号処理ルーチンの第３部分を示す図である。

【図８】図８は、この発明の一実施例によるハーモニー
形成サブルーチンを示す図である。

【符号の説明】

４リアルタイム鍵盤演奏データを入力するための鍵盤
操作子装置、５各種モードを設定するための操作パネル、１０自動演奏データを記録したＣＤ−ＲＯＭ、フロッ
ピーディスク等のドライブを含む外部記憶装置、１５音声信号を入力するためのマイク、１６再生音信号を入力するためのＣＤプレーヤ、カセ
ットテーププレーヤ等の再生プレーヤ、１７外部演奏データを入力するための外部楽音機器。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.⁷ 識別記号ＦＩＧ１０Ｋ 15/04 ３０２Ｇ１０Ｋ 15/04 ３０２Ｄ (56)参考文献特開平６−27951（ＪＰ，Ａ) 特開昭63−174096（ＪＰ，Ａ) 特開昭60−12587（ＪＰ，Ａ) 特開平４−294394（ＪＰ，Ａ) 特開平４−42297（ＪＰ，Ａ) 特開平３−107200（ＪＰ，Ａ) 実開昭59−126294（ＪＰ，Ｕ) (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) G10H 1/00 - 1/00 102 G10H 1/08 - 1/10 G10H 1/18 - 1/18 101 G10H 1/36 - 1/42 G10K 15/04 302

Claims

(57)【特許請求の範囲】

【請求項１】音信号を入力する音信号入力手段と、複数種類の異なる演奏入力形態で演奏データを入力する
演奏データ入力手段であって、少なくとも２以上の演奏
入力形態からの演奏データを略同時に入力可能なもの
と、入力される演奏データを後着優先で取得する優先取得手
段と、取得された演奏データに基づいて前記音信号に付与され
る特殊効果音データを生成する特殊効果生成手段とを具
備することを特徴とする演奏装置。
【請求項２】特殊効果音データは、楽音データを生成す
るための楽音生成チャンネルとは別の特殊効果音生成チ
ャンネルにて生成されることを特徴とする請求項１に記
載の演奏装置。
【請求項３】前記音信号入力手段は、外部からの音信号
を入力する信号入力手段であり、前記特殊効果生成手段は、入力された音信号に付与され
るハーモニー音を表わす特殊効果音データを生成するこ
とを特徴とする請求項１又は２に記載の演奏装置。
【請求項４】前記特殊効果生成手段は、前記優先取得手
段により取得された演奏データに基づき前記ハーモニー
音の音高を指定するものであることを特徴とする請求項
３に記載の演奏装置。
【請求項５】前記特殊効果生成手段は、入力された音信
号の音程をシフトしたハーモニー音を表わす特殊効果音
データを生成するモードを有することを特徴とする請求
項３又は４に記載の演奏装置。
【請求項６】複数種類の異なる演奏入力形態を有し、所
定の処理によって楽音データを生成する演奏装置におい
て読み取り可能な記憶媒体であって、音信号を入力するステップと、少なくとも２以上の演奏入力形態からの演奏データを入
力するステップと、入力される演奏データを後着優先で取得し、取得された
演奏データに基づいて前記音信号に付与される特殊効果
音データを生成するステップとから成るプログラムを記
録していることを特徴とする記録媒体。