JP3275714B2 - ペルオキシド、ビニル系単量体の重合開始剤及びそれを用いる重合方法 - Google Patents

ペルオキシド、ビニル系単量体の重合開始剤及びそれを用いる重合方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、スチレン等のビ
ニル系単量体の重合開始剤として利用できる新規なペル
オキシド、ビニル系単量体の重合開始剤及びそれを用い
る重合方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ビニル系単量体を塊状重合法や懸濁重合
法で重合して所望のビニル系重合体を得る場合、重合開
始剤としてペルオキシ結合を複数有する多官能性のペル
オキシドが用いられる場合がある。
【0003】このような多官能性のペルオキシドとし
て、従来から種々のものが知られている。例えば、英国
特許1049969号明細書には、1,1,4,4−テ
トラ−t−ブチルペルオキシシクロヘキサンが開示され
ている。また、特公昭40−19013号公報には2,
2−ビス−(4,4−t−ブチルペルオキシシクロヘキ
シル)プロパンが開示されている。さらに、特公昭58
−56561号公報にはトリスt−ブチルペルオキシト
リアジンが開示されている。加えて、特公平1−308
44号公報にはトリt−ブチルペルオキシトリメリテー
トが開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが、これら従来
の重合開始剤は重合開始効率が低く、一分子中に複数存
在するペルオキシ結合が全て重合開始剤として有効に作
用する確率が低いため、実質的に多官能性の重合開始剤
として機能する割合が低いものであった。
【0005】すなわち、多官能ペルオキシドによる重合
機構は、通常以下のように進行するものと考えられてい
る。多官能ペルオキシドの有する複数のペルオキシ結合
のうち、最初に開裂して生成したラジカルが単量体に付
加して重合を開始し、それによりペルオキシ基を含有す
る重合体が生成する。この最初の段階における重合開始
効率は、通常の単官能性のペルオキシドとほぼ同等であ
る。
【0006】次に、重合体中のペルオキシドが分解し、
重合体ラジカルが生成して、新たに重合が開始され、そ
の結果高分子量重合体あるいは分岐重合体が生成する。
従来のペルオキシドは、その構造に起因して、上記2段
目の重合開始である重合体ラジカルの重合開始効率が低
いものと考えられる。従って、より重合開始効率の高い
多官能性の重合開始剤が望まれている。
【0007】この発明は、上記従来技術に存在する問題
点に着目してなされたものである。その目的とするとこ
ろは、重合開始剤として有効利用できる新規なペルオキ
シドを提供することにある。他の目的とするところは、
ペルオキシ結合が重合開始剤として有効に機能し、重合
開始効率が高いビニル系単量体の重合開始剤を提供する
ことにある。さらに他の目的とするところは、高分子量
の重合体を高収率で得ることができ、分岐状のビニル系
重合体により溶融粘度が低く、成形性に優れたビニル系
単量体の重合方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、第1の発明のペルオキシドは、下記一般式(1)で
表されるものである。
【0009】
【化2】 (式中Rは、炭素数1〜5の直鎖又は分岐のアルキル基
を表す。) また、第2の発明のビニル系単量体の重合開始剤は、第
1の発明の一般式(1)で表されるペルオキシドよりな
るものである。
【0010】さらに、第3の発明のビニル系単量体の重
合方法は、第1の発明の一般式(1)で表されるペルオ
キシドを用い、ビニル系単量体を重合温度60〜160
℃で重合するものである。
【0011】
【発明の実施の形態】以下に、この発明の実施形態につ
いて、詳細に説明する。新規なペルオキシドは、次の一
般式(1)で表される化合物である。
【0012】
【化3】 この一般式(1)中のRは、炭素数1〜5の直鎖又は分
岐のアルキル基である。
【0013】このペルオキシドとしては、具体的には、
例えば1,1,1−トリ(t−ブチルペルオキシカルボ
ニルオキシメチル)プロパン、1,1,1−トリ(t−
アミルペルオキシカルボニルオキシメチル)プロパン、
1,1,1−トリ(1,1−ジメチルブチルペルオキシ
カルボニルオキシメチル)プロパン、1,1,1−トリ
(1,1,2−トリメチルプロピルペルオキシカルボニ
ルオキシメチル)プロパン、1,1,1−トリ(1,
1,3,3−テトラメチルブチルペルオキシカルボニル
オキシメチル)プロパン、1,1,1−トリ(クミルペ
ルオキシカルボニルオキシメチル)プロパン等が挙げら
れる。
【0014】このペルオキシドは、相当するヒドロペル
オキシドとトリメチロールプロパントリクロロホルメー
トとをアルカリの存在下で反応させる方法で製造され
る。使用されるアルカリとしては、例えば水酸化ナトリ
ウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナト
リウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、ピリジ
ン、トリエチルアミン等が挙げられる。また、製造に際
し、パラフィン系炭化水素、芳香族炭化水素等の溶媒を
使用することもできる。反応温度は通常0〜50℃で行
われる。
【0015】次に、重合開始剤は、前記一般式(1)で
表される新規なペルオキシドよりなる。重合開始剤とし
ては、一般式(1)のペルオキシドの1種以上が用いら
れる。また、その他の重合開始剤を併用してもよい。こ
の重合開始剤を用い、ビニル系単量体の重合が行われ
る。
【0016】重合に使用されるビニル系単量体として
は、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等
のスチレン系単量体、アクリル酸、メチルアクリレー
ト、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ブチ
ルアクリレート、オクチルアクリレート、ラウリルアク
リレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒ
ドロキシプロピルアクリレート等のアクリル系単量体、
メタクリル酸、メチルメタクリレート、エチルメタクリ
レート、プロピルメタクリレート、ブチルメタクリレー
ト、オクチルメタクリレート、ラウリルメタクリレー
ト、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロ
キシプロピルメタクリレート等のメタクリル系単量体、
フマル酸エステル、マレイン酸エステル、アクリロニト
リル、塩化ビニル、酢酸ビニル、塩化ビニリデン類等が
挙げられる。また、それらのビニル系単量体にポリブタ
ジエンゴム、スチレン/ブタジエンブロック共重合体ゴ
ム等のゴムを溶解させたものも使用される。
【0017】重合における重合開始剤の使用量は、用い
られるビニル系単量体100重量部に対して純品換算で
0.001〜2重量部が好ましく、0.01〜1重量部
がさらに好ましい。この使用量が0.001重量部未満
では重合速度が低下し、また2重量部を越えると重合速
度が大きくなり、その調節が困難になる。
【0018】重合方法は塊状重合法、溶液重合法又は懸
濁重合法が採用され、それらの重合方法の組合せも採用
される。また、バッチ式重合法又は連続式重合法のいず
れの重合法であってもよい。これらの重合法のうち、塊
状重合法と懸濁重合法は水の存在の有無を除けば、実質
的に同じ重合条件でビニル系単量体の重合が行われる
が、重合温度と重合開始剤量が重要である。溶液重合法
は溶剤の種類と使用量が異なる点以外は、塊状重合法と
実質的に同じ重合条件でビニル系単量体の重合が行われ
る。
【0019】なお、重合開始剤の使用量は、ビニル系単
量体100重量部に対し、塊状重合法では0.001〜
1重量部、懸濁重合法では0.01〜2重量部、溶液重
合法では0.01〜5重量部の範囲が好ましい。
【0020】また、重合温度は60〜160℃であり、
80〜150℃が好ましい。重合温度が60℃未満では
重合速度が低下するとともに、実質的に重合終了までに
重合開始剤の全てのペルオキシ結合が分解することがな
く、多官能性の重合開始剤として機能しない。一方、1
60℃を越える温度では重合速度が大きくなり、その調
節が困難になるとともに、非常に短時間で多量の重合開
始ラジカルが生成するため、1次ラジカル停止等のラジ
カル同士の副反応が生成し、その結果重合開始効率が低
下することとなる。
【0021】溶液重合法において用いられる溶剤として
は、エチルベンゼン、キシレン、トルエン等の芳香族炭
化水素、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブ
チルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、イソブタ
ノール、n−ブタノール、エチルセロソルブ、シクロヘ
キシルアルコール等のアルコール類又はそのエーテル
類、酢酸メチル、酢酸n−ブチル等のエステル類等が挙
げられる。これらの溶剤の使用量は、重合体の形状、性
能等により調整されるが、通常全重合混合物のうち、1
〜80重量%が好ましく、5〜50重量%がさらに好ま
しい。
【0022】以上のような実施形態により発揮される効
果について以下に記載する。 (1) 前記一般式(1)で表されるペルオキシドは、
新規な化合物であり、重合開始剤としての優れた機能を
有することから、重合開始剤として有効利用することが
できる。 (2) 一般式(1)で表されるペルオキシドよりなる
重合開始剤は特定の構造を有し、その構造に起因して、
ペルオキシ結合が重合開始剤として有効に機能し、ビニ
ル系単量体の重合における重合開始効率が高い。 (3) 一般式(1)のペルオキシドが失活しにくいた
め、一般式(1)のペルオキシドを重合開始剤としてビ
ニル系単量体を重合した場合、高分子量のビニル系重合
体を高収率で得ることができる。 (4) 一般式(1)のペルオキシドはペルオキシ結合
を3つ有する3官能であり、ビニル系単量体を重合した
とき、各ペルオキシ結合が重合開始剤として有効に機能
することから、分岐状をなすビニル系重合体を得ること
ができる。 (5) 得られるビニル系重合体は分岐状をなしている
ことから、溶融粘度が低いものとなる。 (6) 従って、得られるビニル系重合体は、成形時に
おける流動性が良く、成形性に優れている。
【0023】
【実施例】次に、合成例、実施例及び比較例を挙げて、
この発明をさらに具体的に説明する。なお、各例中の略
号は以下の化合物を示す。 TBPP:1,1,1−トリ(t−ブチルペルオキシカ
ルボニルオキシメチル)プロパン THPP:1,1,1−トリ(1,1−ジメチルブチル
ペルオキシカルボニルオキシメチル)プロパン TOPP:1,1,1−トリ(1,1,3,3−テトラ
メチルブチルペルオキシカルボニルオキシメチル)プロ
パン TBCH:1,1,4,4−テトラ−t−ブチルペルオ
キシシクロヘキサン BBCP:2,2−ビス−(4,4−t−ブチルペルオ
キシシクロヘキシル)プロパン TBTA:トリスt−ブチルペルオキシトリアジン TBTM:トリt−ブチルペルオキシトリメリテート (実施例1、TBPPの合成)撹拌機を備えた1000
mlの4つ口フラスコに35%水酸化カリウム水溶液1
92gを入れ、撹拌下に液温を15℃に保ちながら、7
0%t−ブチルヒドロペルオキシド154gを添加し
た。その後、同じ温度でトリメチロールプロパントリク
ロロホルメート107.2gとトルエン150gの混合
物を30分で滴下した。続いて、その状態で60分間反
応を続けた。次いで、有機層を分離し、5%水酸化ナト
リウム水溶液で2回洗浄し、水洗、脱水及び濾過を行っ
た。
【0024】以上のように操作したところ、液状物が2
96g得られた。活性酸素量の測定から、溶液中のTB
PP濃度は47.8%であり、原料クロロホルメートに
基づく合成収率は88%であった。一部トルエンを除去
し、核磁気共鳴スペクトル分析(H−NMR)を行っ
た。その結果、2.01ppm(3H),2.31pp
m(2H),2.49ppm(6H),1.33ppm
(27H)のピークが検出された。
【0025】また、赤外線吸収スペクトル分析(IR)
により、C=Oに相当する1785cm-1と1755cm-1
に吸収が見られた。さらに、元素分析を行った結果、炭
素(C)52.44%(TBPPの理論値52.27
%)、水素(H)7.88%(TBPPの理論値7.9
4%)、酸素(O)39.68%(TBPPの理論値3
9.79%)であり、理論値とよく一致していた。これ
らの結果より、得られたものがTBPPであることが確
認された。
【0026】加えて、得られたTBPPをベンゼン中
0.01モル/L濃度で熱分解し、熱分解速度を測定し
た。10時間半減期温度(10時間で活性酸素が50%
に減少する温度であり、以下T10と略記する。)は9
7℃であった。 (実施例2、THPPの合成)実施例1において、70
%t−ブチルヒドロペルオキシド水溶液154gの代わ
りに、90%1,1,−ジメチルブチルヒドロペルオキ
シド157gを用いた他は、実施例1に準じて反応させ
た。反応後有機層を分離し、亜硫酸ソーダ水溶液で洗浄
し、水洗、脱水及び濾過を行った。その結果、液状物が
305g得られた。活性酸素量の測定より、溶液中のT
HPP濃度は55.8%であり、原料クロロホルメート
に基づく合成収率は90%であった。
【0027】これについて、H−NMRを測定した結
果、2.00ppm(3H),2.24ppm(2
H),2.46ppm(6H),,1.28ppm(1
8H),1.62ppm(6H),1.59ppm(6
H),0.95ppm(9H)のピークが検出された。
また、IRにより、C=Oに相当する1785cm-1と1
755cm-1に吸収が見られた。
【0028】さらに、元素分析を行った結果、炭素
(C)57.49%(THPPの理論値57.23
%)、水素(H)8.68%(THPPの理論値8.8
9%)、酸素(O)33.83%(THPPの理論値3
3.88%)であり、理論値とよく一致していた。これ
らの結果より、得られたものがTHPPであることが確
認された。
【0029】加えて、得られたTHPPのベンゼン中
0.01モル/L濃度におけるT10は95℃であっ
た。 (実施例3、TOPPの合成)実施例2において、90
%t−ヘキシルヒドロペルオキシド157gの代わり
に、90%1,1,3,3−テトラメチルブチルヒドロ
ペルオキシド200gを用いた他は、実施例2に準じて
行った。その結果、液状物337gが得られた。活性酸
素量の測定より、溶液中のTOPP濃度は52.8%で
あり、原料クロロホルメートに基づく合成収率は82%
であった。
【0030】これについて、H−NMRを測定した結
果、2.02ppm(3H),2.25ppm(2
H),2.42ppm(6H),1.37ppm(18
H),1.64ppm(6H),1.03ppm(27
H)のピークが検出された。また、IRにより、C=O
に相当する1785cm-1と1755cm-1に吸収が見られ
た。
【0031】さらに、元素分析を行った結果、炭素
(C)61.36%(TOPPの理論値60.90
%)、水素(H)9.58%(TOPPの理論値9.6
0%)、酸素(O)29.06%(TOPPの理論値2
9.50%)であり、理論値とよく一致していた。これ
らの結果より、得られたものがTOPPであることが確
認された。
【0032】加えて、得られたTOPPのベンゼン中
0.01モル/L濃度におけるT10は90℃であっ
た。 (実施例4、スチレンの塊状重合)TBPPを純分換算
(以下同様)で804ppm(−OO−結合として0.
005モル/kg)溶解したスチレンを、内径4mm、
長さ300mmのガラスアンプルに2ml入れ、窒素置
換後封管し、120℃の恒温槽に浸し、10時間塊状重
合を行った。重合後、残存スチレン量のガスクロマトグ
ラフによる定量から重合転化率を求めた。また、ゲルパ
ーミエーションクロマトグラフ(GPC)により、重合
物の数平均分子量(Mn)と重量平均分子量(Mw)を
求めた。その結果は、表1に示すとおりであった。 (実施例5、6)実施例4において、TBPPの代わり
に、表1に示すペルオキシド(−OO−結合として0.
005モル/kg)を用いた他は、実施例4に準じて試
験を行った。その結果を表1に示した。 (比較例1〜4)実施例4において、TBPPの代わり
に、表1に示す従来の多官能ペルオキシド(−OO−結
合として0.005モル/kg)を用いた他は、実施例
4に準じて試験を行った。その結果を表1に示した。
【0033】
【表1】 表1の実施例4〜6と比較例1〜4からわかるように、
実施例4〜6のペルオキシドを重合開始剤として用いた
ものは、従来の多官能ペルオキシドを、過酸化物結合
(−OO−結合)として同じモル数使用した場合と比較
して、重合転化率が高く、かつ高分子量体が得られる。
このことは、各実施例のペルオキシドの有する複数のペ
ルオキシドが、重合開始剤として高い重合開始効率で働
いた結果であると考えられる。 (実施例9、スチレンとN−フェニルマレミドの共重
合)実施例4において、スチレンの代わりに、スチレン
とN−フェニルマレイミド(重量比で85:15)を使
用した以外は、実施例4に準じて実施した。その結果、
重合転化率68.6%、Mn=310000、Mw=6
01000であった。また、生成した重合体は無色であ
った。 (比較例8)実施例9において、TBPPの代わりに、
従来の多官能ペルオキシドであるBBCP701ppm
を使用した以外は、実施例9に準じて実施した。その結
果、重合転化率66.0%、Mn=2820000、M
w=559000であった。
【0034】実施例9及び比較例8の結果から、これら
のビニル系単量体を用いたときも、前記と同様に重合転
化率が高く、高分子量体が得られるという効果が認めら
れた。 (実施例10、α−メチルスチレンとアクリロニトリル
の共重合)実施例4において、スチレンの代わりに、α
−メチルスチレンとアクリロニトリル(重量比で85:
15)を使用し、TBPPを1608ppm使用した以
外は、実施例4に準じて実施した。その結果、重合転化
率68.6%、Mn=310000、Mw=60100
0であった。また、生成した重合体は無色であった。 (比較例9)実施例10において、TBPPの代わり
に、従来の多官能ペルオキシドであるBBCP1402
ppmを使用した以外は、実施例10に準じて実施し
た。その結果、重合転化率66.0%、Mn=2820
000、Mw=559000であった。
【0035】実施例10及び比較例9の結果から、これ
らのビニル単量体を用いたときも、前記と同様の効果が
認められた。 (実施例11、スチレンとブチルアクリレートの共重
合)実施例4において、スチレンの代わりに、スチレン
ととブチルアクリレート(重量比で80:20)を使用
し、TBPPを1608ppm使用した以外は、実施例
4に準じて実施した。その結果、重合転化率99.1
%、Mn=236000、Mw=515000であっ
た。 (比較例10)実施例11において、TBPPの代わり
に、BBCP1402ppmを使用した以外は、実施例
11に準じて実施した。その結果、重合転化率98.8
%、Mn=211000、Mw=448000であっ
た。
【0036】実施例11及び比較例10の結果から、こ
れらのビニル系単量体を用いたときも、前記と同様の効
果が認められた。 (実施例12、スチレンの懸濁重合)容量1000ml
のステンレス製オートクレーブに、イオン交換水400
mlと燐酸三カルシウム8gとドデシルベンゼンスルホ
ン酸ナトリウム0.1gとを加えた。その後、スチレン
200gとTBPP0.0642g(純分換算)を加え
た。
【0037】オートクレーブの空間部分を窒素ガスで十
分に置換した後、密栓した。そして、撹拌しながら10
0℃まで昇温し、3時間重合した。さらに、5時間で1
30℃に昇温し、その温度で2時間重合させた。重合
後、冷却、濾過、塩酸洗浄、水洗、乾燥の手順で処理
し、重合物197gを得た。残存するビニル系単量体を
ガスクロマトグラフィー(GC)で分析した結果、0.
1%であった。得られた重合体の分子量はMn=186
000、Mw=359000であった。得られた重合体
について、JISK−6870に従い、メルトフローイ
ンデックス(MI)を測定した。その結果、MIは8.
9(g/10分)であった。 (比較例11)実施例12と同じ装置を用い、TBPP
0.0642gの代わりに、TBTM0.0566g
(純分換算)を使用し、その他の化合物を実施例12と
同様に加え、撹拌しながら110℃まで昇温して3時間
重合を行った。続いて、5時間で140℃に昇温し、そ
の温度で2時間重合させた。重合後、冷却、濾過、塩酸
洗浄、水洗及び乾燥の手順で処理し、重合物198gを
得た。得られた重合体の分子量はMn=177000、
Mw=354000であった。得られた重合体のMI
は、6.3(g/10分)であった。
【0038】実施例12及び比較例11は、重合開始剤
の使用量と重合温度を調節して、ほぼ同等の分子量の重
合体を製造し、メルトフローインデックスを測定したも
のである。実施例12の結果は、比較例11に比べ、メ
ルトフローインデックスの値が大きく、成形時の流動性
が良いことを示した。この結果は、重合で得られた重合
体が、分岐状の重合体となっていることを示している。
【0039】なお、前記実施形態より把握される技術的
思想について以下に記載する。 (1) 前記一般式(1)中のRは、炭素数1〜3の直
鎖のアルキル基又は炭素数3〜5の分岐のアルキル基で
ある請求項1に記載のペルオキシド。
【0040】この新規なペルオキシドは、容易に得ら
れ、複数のペルオキシ結合を有する重合開始剤として優
れた機能を発揮できる。 (2) 前記一般式(1)中のRは、炭素数1又は3の
直鎖のアルキル基又は炭素数5の分岐のアルキル基であ
る請求項1に記載のペルオキシド。
【0041】この新規なペルオキシドは、確実に得ら
れ、複数のペルオキシ結合を有する重合開始剤として優
れた機能を発揮できる。 (3) ヒドロペルオキシドとトリメチロールプロパン
トリクロロホルメートとをアルカリの存在下で反応させ
る請求項1に記載のペルオキシドの製造方法。
【0042】この製造方法によれば、重合開始剤として
有効利用できる新規なペルオキシドを容易に製造するこ
とができる。 (4) 前記ペルオキシドの使用量がビニル系単量体1
00重量部に対し、0.001〜2重量部である請求項
3に記載のビニル系単量体の重合方法。
【0043】この方法によれば、ペルオキシドを多官能
性の重合開始剤として十分に機能させることができ、重
合開始効率を保持することができる。
【0044】
【発明の効果】以上詳述したように、この発明によれ
ば、次のような優れた効果を奏する。請求項1に記載の
発明のペルオキシドによれば、複数のペルオキシ結合を
有する重合開始剤として有効利用できる新規な化合物を
提供することができる。
【0045】請求項2に記載の発明のビニル系単量体の
重合開始剤によれば、複数のペルオキシ結合が重合開始
剤として有効に機能し、重合開始効率を高めることがで
きる。
【0046】請求項3に記載の発明のビニル系単量体の
重合方法によれば、高分子量のビニル系重合体を高収率
で得ることができる。また、得られるビニル系重合体は
分岐状となり、直鎖状の重合体で同等の分子量のものと
比較して溶融粘度が低く、成形性に優れている。
【0047】従って、この発明の工業的利用価値は高
い。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07C 409/00 C08F 4/00 CA(STN) REGISTRY(STN)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(1)で表されるペルオキシ
    ド。 【化1】 (式中Rは、炭素数1〜5の直鎖又は分岐のアルキル基
    を表す。)
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の一般式(1)で表され
    るペルオキシドよりなるビニル系単量体の重合開始剤。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載の一般式(1)で表され
    るペルオキシドを用い、ビニル系単量体を重合温度60
    〜160℃で重合するビニル系単量体の重合方法。
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