JP3274020B2 - 分析方法および分析用分解・乾固装置 - Google Patents

分析方法および分析用分解・乾固装置

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高純度材料中の微量不
純物を測定する方法およびその装置、特に超高純度の石
英ガラスおよびシリコンウエハ(以下石英ガラス等とい
う)の分析に有効な化学分析方法および微量成分分析用
分解・乾固装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、固体中の微量成分例えば不純物を
測定する方法として固体試料を酸のような溶剤で分解し
て水溶液となし、これを原子吸光分析や原子発光分析等
の各種の高感度分析機で測定し、不純物量を求める分析
方法が行われてきた。しかしながら、特に高純度で耐薬
品性にも優れた石英ガラス等は溶液化が困難で、その溶
液化は加圧酸分解法に頼るしかなかった。かかる加圧酸
分解法の例として、米国特許第4,335,074明細
書を挙げることができる。この米国特許第4,335,
074明細書記載の加圧酸分解法を石英ガラス等の分解
に適用しても、分解溶液には試料の主成分であるSiや
酸の主成分であるFが高濃度に含まれることになる。そ
のため分解溶液から前記主成分を分離し、微量成分のみ
からなる希薄溶液を作成する必要がある。かかる分離方
法として一般的には分解溶液を一旦蒸発乾固して主成分
を分離したのち、残留した不純物を改めて希薄な酸ある
いは純水で溶解して乾固残留物を回収する方法が採られ
ている。石英ガラス等はフッ酸という揮発性の酸で容易
に分解し、揮発性のフッ化珪素やフッ化珪素酸となると
ころから前記処理法を適用するのに最適な試料である。
前述のように蒸発乾固して分離した微量成分の希薄溶液
を高感度分析法で分析することにより良質の分析結果が
得られる。
【0003】ところが、最近の石英ガラス等の分析で
は、精度がppbレベルからされにその下のpptレベ
ルまで要求されるようになり、特別の注意が必要になっ
てきた。その例として、THE TRC NEWS N
o.40 Jul.1992、27乃至31頁には、例
えば代表的な高感度分析器であるICP質量分析装置
(以下IPC−MSという)を用いるには蒸発乾固のよ
うな化学的前処理はすべてクリ−ンブ−スでおこなう必
要があること、また、「ぶんせき」2月号1992年
110乃至118頁にはICP−MSを用いるようなク
リ−ンラボラトリ−は一般のクリ−ンル−ムとは違った
仕様が必要で経済的負担も大きく問題となっていること
が、それぞれ記載されている。このようにクリ−ンル−
ムやクリ−ンラボラトリ−を用いると、設備費および運
転費に莫大な費用がかかるため前記クリ−ンル−ムやク
リ−ンラボラトリ−を用いない高感度分析法の開発が望
まれ、その1つとして分析化学便覧(改定四版)第76
6頁に記載の分解乾固法が提案された。
【0004】上記分離乾固方法は、図8にみるようにス
テンレス製のボンブ30中に四フッ化エチレン樹脂(以
下PTFEという)製の蓋31付き容器34が納めら
れ、更にその中に内容器として四フッ化エチレン−パ−
フロロアルキルビニルエ−テル共重合体(以下PFAと
いう)の試料カップ33が納められるという三重構造の
加圧分解容器で石英ガラスをフッ酸蒸気で分解すると同
時に乾固をも行うものであるが、本発明者等がこの分離
乾固方法を実際に実施してみたところが、PTFEやP
FA容器の消耗が激しく、またボンブの成分である鉄、
ニッケルの汚染を完全に防止できない等の欠点があっ
た。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上述のように従来の分
析法について本発明者等が検討したところ、加圧酸分解
して得られたフッ酸溶液を、蒸発皿にとりだして常圧で
蒸発乾固する方法では、ガラス中のアルカリ金属やアル
カリ土類金属元素を10ppbの検出限界で分析するに
は設備費、運転費ともに大きいクリ−ンル−ムやクリ−
ンラボラトリ−が必須の要件であること、および蒸発乾
固で発生するフッ素含有排気ガスを洗浄塔で吸収し、吸
収液からフッ素を分離して排出するには大きな経費がか
かること等から、上記分析化学便覧記載の方法が最善で
あるとの結論に達した。しかしながら、同方法はアルカ
リ金属やアルカリ土類金属元素の汚染を避けることがで
きるが、容器の洗浄やオ−ブン内のクリ−ン度や実験室
のクリ−ン度をいかに管理してもSUS製のボンブから
の汚染と思われる鉄、ニッケルの汚染を完全に避けるこ
とができなかった。前記鉄とニッケルは半導体工業で最
も嫌われる汚染物質であり、同方法の実施によれば鉄と
ニッケルの測定では50から100ppbの汚染が10
回の測定で1回から2回の頻度で観察された。さらに、
分析化学便覧記載の容器で高感度分析のための分解と乾
固を同時に再現性良く行うには170℃以上の温度が必
要であった。そして、160℃以下では必ず試料カップ
中に溶液が残ることも観察された。この170℃という
温度はフッ素樹脂の耐熱限界に近く、該温度近くでの処
理は容器や試料カップの消耗を激しくするものである。
こうした前記分析化学便覧記載の方法の問題点を解決す
るため金属製のボンブにかえてPFAで外容器を構成す
ることを考えた。ところが、PFA容器では140℃以
上に加熱すると内圧が高まってフッ酸ガスが漏れて石英
ガラスが溶けきらないばかりでなく危険でさえあること
もわかった。加熱温度を下げ120℃以下とすると石英
ガラスがフッ酸に溶けても圧力がそれほど上昇せずPF
A容器も充分な硬さを維持でき内部ガスの漏れは全く起
らないが、試料カップ内に試料中のSi成分のほぼ全量
がフッ化珪素酸として残り(1gの石英ガラスを入れた
場合約2mlの溶液が残る)、同時に乾固を行うことが
できなかった。
【0006】そこで、本発明者等は、上記分析化学便覧
記載の方法について鋭意研究を重ねた結果、内容器を液
だまり上部に位置するように配置し、液だまりと内容器
内との間に温度差をつけると、内容器から液体が完全に
蒸発し、乾固することを発見した。こうした知見に基づ
いて本発明は完成したものである。
【0007】本発明は、高純度石英ガラス等に含まれる
微量成分を簡便にしかも経済的に分析する方法およびそ
の装置を提供することを目的とする。
【0008】また、本発明は、半導体工業で使用する高
純度石英ガラスおよびシリコンウエハ中の鉄およびニッ
ケル等の微量不純物を分析する方法およびその装置を提
供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成する本発
明は、固体試料を酸で分解して得られた分解液を蒸発乾
固し、乾固残留物を回収して得た回収液を分析すること
により固体試料中の微量成分を測定する分析方法におい
て、前記固体試料を分解、乾固する容器が外容器と内容
器の二重容器からなり、その内容器に固体試料を入れ外
容器の液だまりから蒸発する酸で加熱分解したのち、液
だまりを冷却し分解液を蒸発乾固することを特徴とする
微量成分分析方法及び該分析方法を実施するための微
量成分分析用分解・乾固装置に係る。
【0010】上記固体試料を分解する酸としては、石英
ガラスおよびその原料である水晶についてはフッ酸でよ
いが、シリコンウエハ等の金属珪素を分解するにはフッ
酸と硝酸の混酸を使用する必要がある。この混酸は揮発
性酸であり、容易に揮散分離できる。これらの酸を本発
明装置の液だめに入れ、80〜130℃に加熱するとフ
ッ酸等は加熱蒸発と同時に蒸留されて高純度のフッ化水
素になり、それが内容器中の石英ガラス等を分解し、S
iF4またはH2SiF6を生じる。前記SiF4またはH
2SiF6は100%純粋であるとガス状であるところか
ら、フッ化水素の液だめと平衡関係を生じる。そこで、
石英ガラス等が完全に分解したところで液だめを冷却す
ると、前記平衡関係が崩れ、内容器中のSiF4または
2SiF6が蒸発し乾固することになる。そしてこの蒸
発乾固した残留物を希硝酸等に溶解回収すれば、希薄水
溶液となるので良質の高感度分析を行うことができる。
この分析方法を石英ガラス等の不純物成分の分析に適用
すると定量下限を1ppb以下にすることができる。前
記測定をさらに高精度にするには例えば口径と深さとの
比が1対3を越えるような試験管状の深い容器に、試料
のガラスを多く入れ、蒸発乾固後に少量の液で回収して
濃縮率を高くするのが有利である。もっとも、深い試料
カップを使用すると生成した液相が沈んだガラス片にフ
ッ酸が到達するのを妨げるので、未溶解のガラスが存在
する状態で一度部分冷却を行って乾固した後、再度加熱
し分解を継続し、それを再度冷却し、乾固するのがよ
い。このように加熱分解と冷却工程を数回繰り返し行う
ことにより高濃縮率が得られ、pptレベルの分析も行
うことができる。
【0011】本発明の分析方法を実施するための分解・
乾固装置を以下に示す。図1は分解・乾固装置の断面図
である。図1、図5において、分解容器は、バケット1
とそれ自体密閉可能な蓋2とからなる外容器3と、開放
型の内容器4と冷却コイル5とからなる。内容器4はス
タンド7に懸架され、この内容器の底部とバケットとの
間に液だめ6が形成される。スタンドの支柱8はバケッ
トの底部に固着され、その支柱に目皿9が内容器の底部
が液だめに接しない高さとなるように挿着され、この目
皿には図5に示すように内容器が嵌入できる大きさの穴
10が穿設されている。外容器の下端部には冷却媒体の
導入口11および排出口12が設けられ、バケットと溶
接されている。前記導入口と排出口に冷却コイル5が接
続され外容器の底部に載置されている。
【0012】他方、バケット1の上部側面フランジには
ネジ13が切られ、蓋のスカ−ト14に設けたネジ15
とネジ込み式で締着できるようになっている。さらにバ
ケットの上部リムは凸状16を形成し蓋の凹部17と枢
着し外容器の密閉を図る。
【0013】図2(a)は本発明の他の分解・乾固装置
の部分断面図を示すもので、支柱が図7に示すように円
筒状で、その側壁がスカ−ト状になっており、該スカ−
ト18に切れ目19が設けらている。切り目は頂部の支
持台まで延びて支持台20に切り込21を形成する。切
り込間には内容器挿入用の穴22が穿設され試験管等の
内容器が穴に挿入される。挿入された内容器の底部と外
容器の底部とで液だめが形成され、支持台の高さは内容
器の底部が液だめに接触しない高さになっている。液だ
めを冷却するための冷却コイル23が台座24の固定溝
に嵌装されている(図2(b))。
【0014】液だめの冷却手段は、上記冷却コイル以外
に図3に示す外巻水冷コイル、図4に示す水冷ジャケッ
トも使用できる。冷却手段には図6に示す水槽27から
冷却媒体である水がアスピレ−タ25の吸引力により通
水され、それが排水口から排出される。水槽にはボ−ル
タップ28が浮かされ水量が一定になるようになってい
る。冷却は外容器の底部にとどまらず天板を冷却するこ
とによっても分解液を乾固できるが、多くの時間を必要
とする。
【0015】上記の分解容器は、図6に示すようにオ−
ブン29に入れられ80〜130℃に加熱される。
【0016】上記内外容器は白金で作成しても勿論よい
が、耐熱性樹脂で作成しても充分である。耐熱性樹脂と
しては例えば、PFAを例示したがPTFEやその他の
フッ素樹脂およびポリカ−ボネ−ト樹脂等で替えても良
い。
【0017】
【作用】本発明の分解・乾固装置を用いて試料を分解、
乾固するには、先ず図1に示す分解容器の内容器に石英
ガラス片を入れ、次いで液だめにフッ酸を入れる。この
分解容器を図6に示すオ−ブン29に入れ、80〜13
0℃で10時間以上加熱し、石英ガラスを完全に分解す
る。分解が完了したところでオ−ブンの加熱を続けなが
ら、コネクタ−26の栓を開けアスピレ−タ−で4時間
以上吸引した後オ−ブンの加熱を停止し吸引を続けなが
ら分解容器を室温にまで冷却する。この加熱分解、乾固
により内容器中の液体は完全に蒸発、乾固し液は全く残
らない。
【0018】
【実施例】
実施例1 図1に示す分解・乾固装置において、外容器は内容積1
80mlのPFA容器であり、内容器は内径φ14×深
さ24mmのPTFEの容器(容量2mlのカップ状)
である。前記内容器の各4個に各1gの石英ガラスを入
れ、また液だめには30mlの50重量%フッ酸を入れ
て、105℃で13時間オ−ブン中で加熱した。試料が
完全に分解したところで加熱を続けながら冷却コイルに
室温の水を4時間通じた。オ−ブンのスイッチを切った
後も通水しながらその温度を室温まで下げた。冷えた分
解・乾固装置をクリ−ンブ−スに設置されたフレ−ムレ
ス原子吸光光度計(日立製作所製Z−8270形)の前
で開けたところ内容器中にはガラスも液体も残っていな
かった。カップ内に0.07規定の硝酸1mlを加えて
乾固残量物を溶解し、回収し、20μlづつ10回にわ
けてキュベット上で乾燥し、200μlを炉内濃縮し、
分析を行った。試料石英ガラス中の鉄およびニッケルと
もに定量下限を0.5ppbとすることができた。
【0019】比較例1 図8に示す分解・乾固装置において、外容器を内容積1
20mlのPFA容器とし、内容器を内径φ14×深さ
24mmのPTFE容器とし、それをステンレス製のボ
ンブ30に納めた。PTFEの蓋31をシ−ルするため
に、オサエ板32を押しロックナット36で固定した。
各4個の内容器33に各1gの高純度の石英ガラスを入
れ、また外容器34には30mlの50重量%のフッ酸
35を入れた。この分解・乾固装置をオ−ブン(図示せ
ず)中150℃で24時間加熱した。分解は完全だが
0.2mlの液が内容器内に残った。これを取り出して
クリ−ンドラフト内で蒸発乾固したのち、さらに0.0
7規定の硝酸1mlを加えて乾固残留物を溶解し、回収
し、20μlづつ10回に分けてキュベット上で乾燥し
200μlを炉内濃縮した。これを分析したところ、鉄
およびニッケルがともに数十ppbを越える異常値が度
々起り定量下限を50ppb以下とすることが出来なか
った。
【0020】上記オ−ブン温度を170℃にし12時間
加熱したところ、内容器内には液が残らず、乾固してい
た。しかし、総重量が12g程減少しており、ステンレ
スボンブにも錆が発生していた。この乾固した内容器を
取り出してクリ−ンドラフト内で0.07規定の硝酸で
1mlを加えて残留物を溶解、回収し、試料量を20μ
lとしてフレ−ムレス原子吸光光度計で鉄およびニッケ
ルの分析を行った。鉄およびニッケルともに数百ppb
を越える異常値が度々起って良質の分析ができなかっ
た。
【0021】実施例2 図2(a)で示す分解・乾固装置の外容器3の内容積を
1,000mlとし、内容器4を口径14mm×深さ3
5mmのPFAカップとし、その5本を用い、各々に1
gの高純度石英ガラスを入れた。外容器の液だめ6には
300mlの50重量%フッ酸を入れたのち、蓋をねじ
込んでシ−ルしオ−ブン29に配置した。冷却コイル2
3は図6に示すようにコネクタ−26を介して一方はオ
−ブン外の水槽27に、もう一方はアスピレ−タ25に
つないだ。水槽はボ−ルタップ28で常に水が補給され
るようになっている。アスピレ−タの吸引を行わずに、
オ−ブンにスイッチをいれ20分で105℃まで昇温し
た。13時間この温度に保ったのち、オ−ブンの温度は
そのままにして、アスピレ−タの吸引を開始して冷却水
コイルに通水した。この状態を5時間保持したのちオ−
ブンのスイッチを切り、吸引をつづけながら2時間でオ
−ブンを室温まで冷却した。総重量に減少がなかったと
ころから漏れのないことが確認できた。前記冷却後、ク
リ−ンブ−スで蓋を開けたところ内容器は5本ともすべ
て乾固していた。この乾固した内容器を取り出して0.
07規定の硝酸1mlを加えて残留物を溶解、回収し、
試料量20μlを10回キュベット上で炉内濃縮してフ
レ−ムレス原子吸光光度計で鉄とニッケルの分析を行っ
た。鉄、ニッケルともにブランク値のバラツキが小さ
く、ブランク値の標準偏差値をσとし、10σで定義し
た定量下限は0.5ppbを達成した。
【0022】実施例3 上記実施例2と同様な装置で、内容器を内径14mm×
深さ50mmとした。試料の石英ガラスは13時間で分
解したが、乾固にはアスピレ−タ吸引を7時間行う必要
があった。さらに、内容器の深さを73mmにしたとこ
ろ、10時間の吸引が必要であった。この実験から試料
量が一定なら分解のための加熱時間は試料カップの形状
に依存しないが、乾固に要する時間は内容器が深くなる
程長時間を要することがわかる。
【0023】実施例4 実施例2と同様な装置で、深さ50mmの内容器を用
い、これに5gの石英ガラスをいれた。分解に10時
間、吸引冷却を7時間、再び吸引をやめて分解を10時
間、吸引を7時間行い、さらにまた分解に10時間、吸
引を7時間行い、オ−ブンのスイッチを切って前記装置
を室温まで放冷した。クリ−ンブ−スで前記装置の蓋を
開けたところ内容器は5本とも全て乾固していた。この
乾固した内容器を取り出して0.07規定の硝酸1ml
を加えて残留物を溶解、回収し、試料量20μlを10
回キュベット上で炉内濃縮してフレ−ムレス原子吸光光
度計で鉄、ニッケルの分析を行った。分解と乾固の工程
が長くなったが密閉容器中なので汚染が起らず、濃縮率
が5倍になったぶんだけ高感度の分析ができた。具体的
には、鉄、ニッケルともにブランク値の標準偏差をσと
し、10σで定義した定量下限は0.1ppbを達成し
た。
【0024】比較例2 実施例3と同様の装置を用い、その内容器に石英ガラス
試料を5gをいれ、30時間加熱分解したのち、冷却を
21時間行った。すべての内容器に0.2gから0.5
gの未溶解のガラスが残っていた。
【0025】実施例5 半導体工業で使用されるシリコンウエハを図2に示した
のと類似の装置を用いて分解乾固した。外容器3の内容
積は1,000mlで同じであるが、内容器4は高さ
1.7cm×外径1.4cm×内径1.2cmのカップ
状容器であり、8個掛けの支持台を用いた。各々の内容
器に1gづつの洗浄したシリコンウエハのかけらを入
れ、液だめには38重量%のフッ酸200mlと68重
量%の硝酸200mlをいれた。これを105℃で85
時間分解のための加熱を行った。このまま冷却して蓋を
開けると分解は終了していて液が0.2ml程度残って
いることが予備実験で確認されているので、これを本発
明の方法で乾固する条件として、105℃の加熱を継続
しながら冷却コイルに通水して更に5時間保持した。そ
の後通水を継続しながらオーブンを室温まで下げて、容
器を誘導プラズマ質量分析機(ICPーMS)の設置さ
れたクリーンブースに移送し、蓋を開けた。内容器は完
全に乾固していた。0.07規定の硝酸1mlで残滓を
回収しこの溶液を分析した。クロム、鉄、コバルト、銅
については検出限界を10ppt、タングステン、ニオ
ブ、鉛、金については検出限界を2pptとすることが
できた。
【0026】実施例6 実施例5と同様の器具装置を用いて、8個掛けの支持台
の4個に各1gのシリコンを入れた。サンプルが少ない
ので液だめの量はフッ酸100ml、硝酸100mlと
半分で分解できた。分析精度は実施例5と同様であっ
た。
【0027】実施例7 実施例5と同様であるが、シリコンウエハ1gと一緒に
マンニット1重量%溶液を0.2ml最初に入れた。マ
ンニットはホウ素が乾固中に揮散しないよう固定するた
めのものである。分解と乾固の行程は実施例5と同様で
ある。希硝酸で残滓を回収した液をプラズマ発光法(I
CPーAES)とICPーMSで分析したところ、ホウ
素、リン、砒素について検出限界を10ppbとするこ
とができた。
【0028】
【発明の効果】本発明の分析方法によれば特別に高価な
クリ−ンラボラトリを必要としないで、簡単なクリ−ン
ブ−スに納めた程度のICP−MS機器でその限界性能
まで分析ができる。特に、石英ガラス等の鉄、ニッケル
分析に合わせてチュ−ニングしたICP−MSを用いる
と、10pptレベルの分析も可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明装置の断面図である。
【図2】本発明装置の他の例の部分断面図である。
【図3】冷却手段の外巻冷却コイルの斜視図である。
【図4】冷却手段の冷却ジャケットの斜視図である。
【図5】内容器を挿入した目皿を懸架するスタンドの斜
視図である
【図6】加熱用オ−ブンを示す斜視図である。
【図7】図2(a)の支持台の拡大図である。
【図8】従来例の断面図である。
【符号の説明】
1 バケット 2 蓋 3 外容器 4 内容器 5 冷却コイル 6 液だめ 7 スタンド 9 目皿 11 導入口 12 排出口 20 支持台 25 アスピレ−タ− 27 水槽 29 オ−ブン
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 分析化学便覧,日本,丸善株式会社, 1991年11月30日,改訂四版,P.766, 1.2.6 石英ガラス中の不純物元素 の欄参照 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01N 1/28 B01L 3/00 B01L 11/00 G01N 31/00 JICSTファイル(JOIS)

Claims (12)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】固体試料を酸で分解して得られた分解液を
    蒸発乾固し、乾固残留物を回収して得た回収液を分析す
    ることにより固体試料中の微量成分を測定する分析方法
    において、前記固体試料を分解、乾固する容器が外容器
    と内容器の二重容器からなり、その内容器に固体試料を
    入れ外容器の液だまりから蒸発する酸で加熱分解したの
    ち、液だまりを冷却し分解液を蒸発乾固することを特徴
    とする微量成分分析方法。
  2. 【請求項2】加熱分解と冷却を2回以上行うことを特徴
    とする請求項1記載の微量成分分析方法。
  3. 【請求項3】固体試料が二酸化珪素を主成分とするガラ
    ス質または結晶質であることを特徴とする請求項1記載
    の微量成分分析方法。
  4. 【請求項4】酸がフッ化水素酸またはこれに硝酸を加え
    た揮発性の酸であることを特徴とする請求項1ないし3
    のいずれか1記載の微量成分分析方法。
  5. 【請求項5】分解温度が90〜130℃であることを特
    徴とする請求項1ないし4のいずれか1記載の微量成分
    分析方法。
  6. 【請求項6】密封可能な蓋付き外容器とその内部に配置
    され上部が開放した内容器とからなる分解・乾固装置に
    おいて、前記内容器が外容器の底部より上方に位置し、
    外容器には冷却手段が設けられていることを特徴とする
    微量成分分析用分解・乾固装置。
  7. 【請求項7】冷却手段が外容器の天板若しくは底部に設
    けられることを特徴とする請求項6記載の微量成分分析
    用分解・乾固装置。
  8. 【請求項8】冷却手段が冷媒供給装置に接続している冷
    却コイルからなることを特徴とする請求項6又は7記載
    の微量成分分析用分解・乾固装置。
  9. 【請求項9】冷却手段が外容器の底部に設けられた冷却
    ジャケットであることを特徴とする請求項6又は7記載
    の微量成分分析用分解・乾固装置。
  10. 【請求項10】冷却媒体が水であることを特徴とする請
    求項6ないし9記載の微量成分分析用分解・乾固装置。
  11. 【請求項11】外容器および内容器が耐熱性樹脂からな
    ることを特徴とする請求項6記載の微量成分分析用分解
    ・乾固装置。
  12. 【請求項12】耐熱性樹脂が四フッ化エチレン−パ−フ
    ロロアルキルビニルエ−テル共重合体であることを特徴
    とする請求項11記載の微量成分分析用分解・乾固装
    置。
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