JP3273310B2 - 多孔質軽量陶器素地 - Google Patents

多孔質軽量陶器素地

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JP3273310B2 JP19848697A JP19848697A JP3273310B2 JP 3273310 B2 JP3273310 B2 JP 3273310B2 JP 19848697 A JP19848697 A JP 19848697A JP 19848697 A JP19848697 A JP 19848697A JP 3273310 B2 JP3273310 B2 JP 3273310B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は添加物質の消失によ
って製造される多孔質軽量陶器素地に関し、より詳しく
は、成形性に優れ、気孔径、気孔率、吸水率、嵩比重が
制御された、寸法精度と強度の比較的高い多孔質軽量陶
器素地に関する。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】従来、添加物質の焼失によって製造される
多孔質軽量陶器としてよく知られているものに、おが屑
やコーヒー豆の搾り滓等の植物性の粉末を添加する提案
がある。しかしながら本提案では、素地原料が腐敗しや
すく成形時に悪臭や発癌性のある菌類に悩まされるとい
う問題があった。あるいは、微粉炭や黒鉛等のカーボン
粉末を混入する提案もあるが、製造中に手や衣服が黒く
汚れるという問題があった。あるいは、天然繊維片やセ
ルロース系の化学繊維片を添加する方法もあるが、繊維
が素地原料と均質に混ざりにくいという問題があった。
【0004】さらに、これら従来の提案においては、上
述した個々の問題以外に共通して次の2つの問題があっ
た。すなわち、1つは、添加物質が完全燃焼せず炭化し
た状態で残存したり、焼成時に有機物の膨張によって素
地の変形が生じたりするという問題である。また2つ目
は、これらの提案で添加される物が吸水性を有するた
め、多くの可塑水量を要し乾燥収縮率が高くなる。その
結果、寸法精度の高い製品が得られず、乾燥時に亀裂が
生じやすいという問題である。
【0005】あるいは、従来の別な提案においては、複
数の気孔を有する発泡スチロールビーズ又は発泡スチロ
ールの粉末を添加物質としているが、焼成時に著しい悪
臭と黒煙が発生するという問題があった。
【0006】添加物を燃焼して焼失させ気孔を生じさせ
ようとする、これら従来の提案においては、上述した以
外にもさらに幾つかの共通した問題点がある。すなわ
ち、大量の添加物質を加えると素地原料がばさばさにな
り、可塑性が著しく低下して成形が困難になってしまう
という問題がある。大量の添加物質を加えることができ
ないということは、気孔率及び吸水率が非常に高くて、
比重のきわめて低い陶器を作成することが困難だという
ことである。また別の問題は、添加物質の粒度分布の幅
が広いため気孔径の制御が困難なことである。したがっ
て、濾過特性、通気特性や保水性の制御が不正確とな
り、各種機能素材への利用が大きく制限されることにな
る。
【0007】そこで本発明者は、成形性に優れ、気孔
径、気孔率、吸水率、嵩比重が制御され、寸法精度と強
度の比較的高い多孔質軽量陶器素地を提供するべく鋭意
検討を重ねた結果本発明に至ったのである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解
決するため次の手段を取るものである。すなわち、本発
明に係わる多孔質軽量陶器の要旨とするところは、10
0μm以下10μm以上の平均粒径を有し、単独の気孔
よりなる球状中空の樹脂粉末が添加されて、焼成される
ことにある。
【0009】さらに、かかる多孔質軽量陶器において、
球状中空の樹脂粉末が、素地100重量部に対し1重量
部以上50重量部以下添加され、可塑成形され、焼成さ
れることにある。
【0010】またさらに、かかる多孔質軽量陶器におい
て、釉薬が施されることにある。
【0011】また、かかる多孔質軽量陶器において、そ
の真気孔率が50%以上であることにある。
【0012】さらに、かかる多孔質軽量陶器において、
その嵩比重が、中空の樹脂粉末を添加しないで形成され
た素地の嵩比重の50%以下であることにある。
【0013】
【発明の実施の形態】次に、本発明に係わる多孔質軽量
陶器素地の実施の形態について詳しく説明する。
【0014】本発明において用いられる中空の樹脂粉末
の大きさは特に限定されないが、100μmより小さく
10μmより大きい平均粒径であることが好ましい。添
加される樹脂粉末の大きさは、坏土の可塑性を左右する
重要な要因であり、大き過ぎれば坏土は粘り気が少なく
成形が困難である。逆に小さ過ぎれば俗に言う坏土のコ
シが失われる。しかし、一般的な素地原料の粒度分布と
ほぼ等しい、100μm以下、10μm以上の平均粒径
を有する樹脂粉末の添加であれば、坏土の可塑性をさほ
ど損なわずに成形することが可能であることを見出し
て、本発明に至った。
【0015】また、添加される樹脂粉末の大きさは、最
終的に製造された陶器に含まれる気孔の大きさを決める
要因でもある。大きな樹脂粉末を添加すれば生成する気
孔も大きくなり、素地の強度を低下させる一原因とな
る。したがって、添加される樹脂粉末の粒径は大きすぎ
てはならない。逆に小さ過ぎる樹脂粉末を添加すれば、
焼成中の素地のガラス化により気孔が消滅してしまう。
樹脂粉末の粒径と焼成後の素地の強度との相関を検討し
た結果、平均粒径が100μm以下、10μm以上であ
れば、多孔質であり且つ素地の強度低下を比較的小さく
抑えられることを確認することができたのである。
【0016】本発明においては、1種類の中空樹脂粉末
だけを添加してもよいし、平均粒径の異なる2種以上の
中空樹脂粉末を混ぜて添加することもできる。中空樹脂
粉末の粒度分布は比較的狭いため、1種類の中空樹脂粉
末だけを添加する場合には、気孔径の揃った多孔質軽量
陶器を製造することが可能である。また、平均粒径の異
なる2種以上の中空樹脂粉末を混ぜて添加することによ
って、気孔分布及び素地の粒子の充填密度を制御するこ
とが可能である。
【0017】また本発明において用いる中空の樹脂粉末
は、陶器の焼成温度の範囲内において燃焼又は熱分解又
は気化して消失する性質を有する。樹脂粉末の添加量は
素地の原料100重量部に対して1〜50重量部が好ま
しく、特に好ましくは1〜30重量部である。1重量部
以下では多孔質化及び軽量化の効果が小さく、50重量
部以上では成形が困難となり、十分な強度が得られな
い。
【0018】好ましい中空の樹脂粉末は、表面の膜厚が
薄く内部空間の体積比率が高いものである。表面の膜厚
が薄く内部空間の体積比率が高いほど、焼成時における
樹脂の気化が容易になり、樹脂の気化に伴うガスの発生
が少なく、不完全燃焼により残存する樹脂成分中の炭素
が減少する。
【0019】本発明の実施態様においては、中空の樹脂
粉末を単独に添加してもよいし、他の有機原料粉末や無
機原料粉末と共に添加してもよい。また、中空樹脂粉末
の表面にカオリン、粘土、雲母、陶石等の可塑性原料、
長石、珪石、炭酸石灰、マグネサイト、タルク、酸化チ
タン、アルミナ等の非可塑性原料、金属及び酸化鉄等の
各種金属酸化物、活性炭等の炭化物を溶着等によりコー
ティングしたものを添加してもよい。
【0020】各種原料がコーティングされた中空の樹脂
粉末を素地原料に添加する方法において、コーティング
される原料に焼成中に焼失しないようなものを選択し、
樹脂が相互に接触しないようにすることによって、独立
気孔を有する多孔質軽量陶器を得ることができる。ある
いは逆に、連続気孔を有する多孔質軽量陶器が得られる
ように制御することによって、非常に比表面積の高い機
能性材料を提供することができる。
【0021】本発明の実施態様において、特に好ましく
は単独の気孔よりなる球状中空の樹脂粉末を用いること
である。単独に又は他の有機微粒子と共に添加してもよ
い。単独の気孔よりなる中空の樹脂粉末であれば内部の
空間比率を大きくすることが可能であるから、素地の原
料に対する比較的少ない重量部の添加量においても、嵩
比重が低い素地を製造することができる。例えば、従来
の方法ではとても得ることのできなかった、嵩比重が
0.5というような、超軽量陶器も製造することができ
る。また、中空体表面の膜厚も薄いので、焼成時におけ
る燃焼又は分解を速やかに行うことができ、俗に、煤切
れが悪くアンコが残る、と言われるような不完全燃焼に
よる残存カーボンは見られなくなる。従来用いられてい
た発泡スチロールビーズでは、複数の気孔からなるため
固体部分の体積比率が高く、焼成時における燃焼が不十
分で悪臭や黒煙を発生させていた。
【0022】さらに、樹脂粉末が球形であることは次の
効果をもたらす。すなわち、球形であるために坏土中に
非常によく分散させることができるので、製陶業者がす
でに保有している簡単な混練設備によって坏土を調整す
ることができる。また、添加物が球形であるため、調整
された坏土の滑りが良く、ろくろ等による回転成形、ロ
ーラーによる圧延成形、押し出し成形、射出成形等の場
合において、素地原料の滑りが良好となる。
【0023】単独の気孔よりなる球状中空の樹脂粉末
は、プラスチックのマイクロバルーン、マイクロスフェ
アー、ホローバブル、ホローマイクロカプセル等とも呼
ばれ、通常100μm以下、10μm以上の平均粒径を
有するものが市販されている。膨張剤を核とした原料粒
子を加熱することにより、表面の樹脂が軟化し、核の膨
張剤の気化に伴い中空の球体カプセルが成形される。膨
張剤は球体カプセル中にガスとして残存している。陶器
の焼成時における微小中空球体の燃焼は有機物ガスの存
在で加速されるので、この膨張剤が残存していること
は、かえって好都合なことである。なお、製品には樹脂
粉末の表面が若干量の水で湿っているタイプと乾燥して
いるタイプがある。ウエットタイプの中空樹脂粉末のほ
うが、素地原料との混練作業中に飛散しないため使いや
すい。ウエットタイプのほうが、嵩比重が高いが、特に
断らない場合、本明細書ではウエットタイプの重量部数
を記す。
【0024】単独の気孔よりなる球状中空の樹脂粉末を
使用する他の利点は、大きさの揃った気孔を生成させら
れることにある。上述のようにして、膨張剤を用いて製
造された単独の気孔よりなる球状中空の樹脂粉末の粒径
は比較的均一で、粒径分布は狭い。したがって、単独の
気孔よりなる球状中空の樹脂粉末が燃焼又は熱分解され
て消失した後に生成される気孔の大きさは、ほとんど同
じ大きさになる。気孔径が揃っていることによって、濾
過特性、吸着特性、通気特性、微生物繁殖特性等々が向
上し、多方面の用途展開が可能となる。
【0025】本発明において、素地の原料としては、カ
オリン、粘土、雲母、陶石等の可塑性原料、長石、珪
石、炭酸石灰、マグネサイト、アルミナ等の非可塑性原
料、金属及び酸化鉄等の各種金属酸化物、活性炭等の炭
化物、有機又は無機の可塑剤、分散剤、凝集剤を用いる
ことができるが、これらに限定されるものではない。陶
磁器の製作に用いられる原料なら何を用いてもよいし、
これらの配合割合も特に限定されるものではない。
【0026】本発明に係わる多孔質軽量陶器素地におい
て、中空の樹脂粉末の添加量を少なくすれば独立気孔
が、添加量を多くすれば連続気孔が生じる。また、中空
の樹脂粉末の大きさを適切に選定使用することにより、
気孔の大きさもコントロールすることができる。したが
って、想定する用途に対応して、最適の物性や機能が付
与された多孔質軽量陶器素地を設計し製造することがで
きる。
【0027】本発明に係わる連続気孔を有する多孔質軽
量陶器素地の用途として、微生物を繁殖させるバイオリ
アクターの担体がある。水質を浄化する微生物は数十か
ら数百ミクロンの径を有する連続気孔の中において活発
に繁殖するが、従来の方法では、気孔分布を制御しつ
つ、このような連続気孔を有する無機素材を製造するこ
とが困難であった。しかしながら、中空の樹脂粉末を添
加物質とする本発明の実施形態によれば、理想的な連続
気孔を有し、なおかつ再焼成により付着物を焼失させる
ことによって再利用が可能な素地を作ることができ、製
品を浄化設備等に設置することによって、水質浄化に役
立てることが可能となった。
【0028】本発明に係わる連続気孔を有する多孔質軽
量陶器素地の別な用途としては、細孔特性を活かした濾
過材の用途がある。寸法精度と強度が比較的高く、耐
熱、耐酸、耐塩基性に優れ、気孔径、気孔率の制御が容
易な濾過材の製造が可能となった。また、その通気性と
耐熱性を活かした用途としては、大気汚染防止設備に用
いられるような、廃ガス中の有害成分を吸着する触媒担
体等に用いることができる。また、その調湿・通気特性
を活かした建築用資材や、保水性を活かした土壌改良
材、園芸資材、芳香物質の担体等に用いることができ
る。あるいはまた、その振動吸収特性を活かして、特定
の周波数の音波に対する防音材や吸音材として利用する
ことができる。
【0029】さらに、本発明に係わる多孔質軽量陶器素
地の独立気孔を利用した用途としては、その低い熱伝導
率を活かした断熱材用途等がある。耐火粘土を原料とし
た炉材や耐火金庫の内張り、保冷材等に適した材料であ
る。
【0030】本発明に係わる多孔質軽量陶器素地の顕著
な特性は超軽量性であって、従来技術では不可能であっ
た低い嵩比重が得られる。本発明によれば、中空の樹脂
粉末の添加率を制御することによって、嵩比重が0.5
以下の陶器を製造することもできる。
【0031】超軽量陶器は、多くの用途で使用できる。
給食・病院食・機内食・障害者用食器や宴会用大皿等の
食卓用品、吊り鉢や植木鉢等の園芸用品、天井から吊り
下げて使う照明器具、屋根瓦や壁材等の建築資材等への
用途展開が可能となる。
【0032】また、嵩比重が1以下の軽量陶器素地に無
貫入の釉薬を施して焼成すると、水に沈めても浮き上が
る陶器ができる。耐熱、耐酸、耐塩基性に優れた浮子と
して、自動車産業を始めとするさまざまな産業分野で利
用することができる。家庭用途でも、その優れた耐熱
性、耐薬品性、吸水性、デザイン性等々を活かして、木
製や発泡プラスチック製では実用できなかった種々の新
用途に使用することができる。
【0033】また、本発明に係わる多孔質軽量陶器素地
の構造はスポンジ状であり易快削性を有するため、鋸で
切断したりドリルで孔を開けたりすることができる。現
場での施工が容易な建築材料や内装材料として利用でき
る。
【0034】本発明はその趣旨を逸脱しない範囲内で、
中空の樹脂粉末の粒径や添加率、無機原料の種類や調合
比、焼成条件等に関し、当業者の知識に基づき種々なる
改良、修正、変形を加えた態様で実施し得るものであ
る。
【0035】本発明の実施例を、以下に詳しく説明す
る。
【0036】実施例1 花崗岩粉末と木節粘土粉末を主体とする陶器素地原料乾
燥粉末100重量部に対し、平均粒径50μmの、単独
の気孔よりなる球状中空の樹脂粉末(エクスパンセル社
製、商標EXPANCEL−551WE)30重量部を
加え、さらに水を加えて混練りし坏土を調整した。次に
手ろくろにより茶碗を成形し乾燥させた。800℃で素
焼きした後、無貫入釉薬を施し、1250℃で本焼きす
ることにより軽量陶器からなる茶碗を製作した。同時に
作成した棒状試料の評価試験を実施したところ、嵩比重
0.57と非常に軽くて水に浮き、しかも曲げ強度23
0kgf/cm2 と従来の信楽焼と同等の強度を有する
陶器であった。また、製作の過程における問題は発生し
なかった。中空樹脂粉末を添加しない同素地の嵩比重は
2.38であり、中空樹脂粉末を30重量部した素地の
嵩比重は0.57であるため、中空樹脂粉末を添加しな
い素地の重さを100%とした場合、中空樹脂粉末を添
加した同素地の重さは23.9%となった。
【0037】比較例1 中空の樹脂粉末の代わりに、コーヒー豆の絞り滓を添加
し、多孔質軽量陶器の製作を試みた。用いたコーヒー豆
の絞り滓は、12メッシュ以下、20メッシュ以上の粒
径であり、無機素地原料粉末450gに対して150c
3 を加えて混練した。坏土は可塑性に乏しく手ろくろ
成形が困難であったが、肉厚にして茶碗の形状に成形し
焼成した。同時に焼成した棒状試料の評価試験を実施し
たところ、嵩比重1.3、曲げ強度は73kgf/cm
2 であった。また、成形時には有機物の腐敗臭に悩まさ
れ、乾燥時には一部の茶碗の口縁部等に亀裂が生じ、ま
た、焼成の初期には窯から多くの黒煙が発生した。ま
た、素地の芯の部分には不完全燃焼の結果残存した炭化
物が見られた。
【0038】比較例2 中空の樹脂粉末の代わりに、微粉炭を添加し、多孔質軽
量陶器の製作を試みた。用いた微粉炭はおよそ10数μ
mから3000μmまでの粒度分布を示し、平均粒径約
500μmである。無機素地原料粉末100重量部に対
して10重量部を加えて混練したのち、圧延機により陶
板を成形した。混練時には手や衣服が、成形時には圧延
機のローラー周辺が黒く汚れた。また、焼成の初期には
窯から多くの黒煙が発生した。窯道具に接触するなどの
理由により十分な酸素が行き渡らない部分の陶板は炭化
物が膨張し、亀裂が発生した。
【0039】比較例3 中空の樹脂粉末の代わりに、発泡スチロールビーズを添
加し、多孔質軽量陶器の製作を試みた。用いた発泡スチ
ロールビーズは平均粒径700μmであり、無機素地原
料粉末100重量部に対して2.5重量部を加えて混練
した。ビーズの粒径が大き過ぎるため坏土は可塑性に乏
しく、手ろくろ成形が非常に困難であったが、肉厚にし
て茶碗の形状に成形し焼成した。同時に焼成した棒状試
料の評価試験を実施したところ、嵩比重1.38、曲げ
強度は82kgf/cm2 であった。焼成の初期には窯
から著しい悪臭と黒煙が発生した。
【0040】実施例2 実施例1に用いたのと同じ中空の樹脂粉末10重量部を
添加した信楽粘土、赤土、磁器土等を用い、機械ろくろ
により直径25cm内外の植木鉢を多数試作した。中空
の樹脂粉末を添加した種々の坏土により機械ろくろ成形
が可能であることが実証された。
【0041】実施例3 実施例1に用いたのと同じ中空の樹脂粉末8重量部を添
加した赤色坏土を真空土練機によって押し出しタイルを
成形した。750℃で素焼きした後釉薬を施し、125
0℃および1200℃で焼成した。押し出し成形が可能
であることが実証された。
【0042】実施例4 アルミナ粉末100重量部に対し、平均粒径30μm
の、単独の気孔よりなる球状中空の樹脂粉末(松本油脂
製薬株式会社製、商標 マツモトマイクロスフェアー
Fー30E)30重量部とカードラン1.3重量%と水
を加えて調整した坏土を用い、手ろくろ成形によって茶
碗を成形し、1550℃、1500℃、1400℃で締
め焼きをした後、釉薬を施し1250℃で焼成したとこ
ろ、嵩比重が1以下で、曲げ強度が400kgf/cm
2 以上と、軽量でしかも平均的な信楽焼よりも強度が高
い多孔質アルミナ陶磁器が得られた。中空樹脂粉末を添
加しない同素地の重さを100%とした場合、中空樹脂
粉末を30重量部添加した素地の重さは約27%であっ
た。
【0043】実施例5 平均粒径約100μmの、単独の気孔よりなる球状中空
の樹脂粉末(松本油脂製薬株式会社製、商標 マツモト
マイクロスフェアー Fー80EL)20重量部を添加
した坏土により、製丸機等を用い直径5mmと直径10
mmのペレット状陶器を成形した。乾燥後、1250℃
および1200℃で焼成した。次に、バイオリアクター
の担体としての評価を日本醗酵機構余呉研究所に依頼し
た。シリンダー状の容器のなかに本例の多孔質陶器のペ
レットと培養液を充填し、酵母菌を加え、一定期間後数
回にわたり電子顕微鏡で観察したところ、ペレットの気
孔中に大量の酵母が繁殖しており、バイオリアクターの
担体として有効であることが確認された。同素地の見か
け気孔率は82%にも達した。
【0044】実施例6 実施例4に用いたのと同一の中空の樹脂粉末18重量部
を50重量%の磁器碍子粉末を含む坏土と混練し、圧延
成形により長辺150cm、短辺75cmの軽量陶製テ
ーブルトップを試作した。多孔質軽量素地により大物陶
器が製造可能であることが実証された。
【0045】実施例7 実施例4に用いたのと同一の中空の樹脂粉末10重量部
をアルミナセメントを含む自硬性素地原料に添加し、長
辺150cm、短辺75cmの軽量陶製テーブルトップ
を振動成形により試作した。中空の樹脂粉末を自硬性素
地原料と複合させることにより、大型の多孔質軽量陶器
の製作が可能であることが実証された。
【0046】実施例8 実施例4に用いたのと同一の中空の樹脂粉末20重量部
を、ペタライト50重量%の坏土に添加して圧延機等を
用いて調理用陶器を成形し1180℃で焼成した。得ら
れた耐熱陶器は多くの気孔を有し、熱伝導率が低く、陶
器の中心で焼肉等を調理しても周辺部の温度は低く、素
手で持つことが出来た。
【0047】実施例9 実施例4に用いたのと同一の中空の樹脂粉末20重量部
を、耐火粘土とアルミナ主体の坏土に混練後圧延成形
し、1300℃で焼成した。得られた耐火断熱材は、易
快削性を有しノコギリで切断することが可能であった。
【0048】比較例4 実施例5に用いたのと同一の樹脂粉末を陶器坏土に添加
した素地により、手ろくろによって茶碗を成形した。平
均粒径約100μmの中空樹脂粉末20重量部を添加し
た陶器素地は、可塑性が低く、ベントナイト等のモンモ
リロナイト系無機可塑剤またはカードラン、フミン酸等
の有機可塑剤を添加しなければ成形が困難であった。無
機・有機可塑剤は大量に添加すると坏土の粘り気が増す
が、可塑水量が多くなるため乾燥収縮率が高くなり、乾
燥時に素地の変形や亀裂が生じやすい。また、粘り気が
強すぎる坏土は手や道具にべったりと付着するため作業
性が悪い。平均粒径が100μmを越える中空の樹脂粉
末を可塑成形するためには、大量の可塑剤を添加しなけ
ればならず、上記の問題が発生しやすいため、添加する
中空樹脂粉末の平均粒径は100μm以下が好ましい。
【0049】
【発明の効果】本発明に係わる多孔質軽量陶器素地によ
れば、その優れた成形性によって繊細な形状の多孔質軽
量陶器製作が可能となる。また、気孔径及び気孔率が制
御された連続気孔を生成することができるので、濾過特
性、通気特性、保水特性、調湿特性等が向上し、濾過材
や各種建築材料、各種担体や園芸資材等に用いることが
できる。さらに、有用微生物の繁殖に適した気孔分布の
素地を作成することにより、再利用が可能な優れたバイ
オリアクターの担体を提供することができる。
【0050】また、独立気孔を含む本発明の多孔質軽量
陶器素地によれば、その断熱性、耐熱性、軽量性等によ
って、断熱材、炉材として広範囲の用途に使用されるこ
とができる。
【0051】また、その超軽量特性を利用し、瓦、タイ
ル等の建築材料や、天井から吊り下げて使う照明具や植
木鉢等の軽量陶器を提供することができる。
【0052】また、その超軽量特性を利用し、釉薬を施
して吸水性をなくすと共に外観を向上させることによ
り、給食用、病院用、機内食用や障害者用等の軽量食卓
用陶器を提供することができる。また、嵩比重を1以下
にして水に浮く素材とすることにより、耐熱・耐酸、耐
塩基性の浮子等に適し、木材や発泡プラスチックに代わ
る軽量素材を提供することができる。
【0053】さらにまた、その易快削性を活かした建築
材料、内装材料等にも利用できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平7−223879(JP,A) 特開 昭59−174561(JP,A) 特開 昭55−116651(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C04B 38/00 - 38/10

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 100μm以下10μm以上の平均粒
    径を有し、単独の気孔よりなる球状中空の樹脂粉末が添
    加され、可塑成形され、焼成されたことを特徴とする多
    孔質軽量陶器素地。
  2. 【請求項2】 前記球状中空の樹脂粉末が、素地100
    重量部に対して1重量部以上50重量部以下添加され
    焼成されたことを特徴とする前記請求項1に記載の多孔
    質軽量陶器素地。
  3. 【請求項3】 前記多孔質軽量陶器素地が釉薬を施され
    た陶器であることを特徴とする、前記請求項1又は請求
    項2のいずれかに記載の多孔質軽量陶器素地。
  4. 【請求項4】 前記多孔質軽量陶器素地の真気孔率が5
    0%以上であることを特徴とする、前記請求項1〜請求
    項3のいずれかに記載の多孔質軽量陶器素地。
  5. 【請求項5】 前記多孔質軽量陶器素地の嵩比重が、中
    空の樹脂粉末を添加しないで形成された素地の嵩比重の
    50%以下であることを特徴とする、前記請求項1〜請
    求項4のいずれかに記載の多孔質軽量陶器素地。
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