JP4478777B2 - セラミックス多孔体 - Google Patents

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セラミック微粒子がこれより遥かに大きな多数の空間を有する状態で焼結されてなるセラミックス多孔体に関する。
従来の技術
セラミックス多孔体については特開平5−97537号公報)(特開2001−80976号公報)に示されるようなものが既に知られている。
しかしながら、径の揃った互いに独立する気孔が3次元的に規則的に配列した均一なものとはならない。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、径の揃った互いに独立する気孔が3次元的に規則的に配列した均一なセラミックス多孔体を提供することを課題としている。
セラミックス多孔体は、排ガスのフィルター、触媒担体、バイオリアクター、通気性断熱材などに幅広く利用されている。
特に、気孔が、均一なサイズで、3次元的に規則正しく配列したセラミックス多孔体は、フォトニック結晶への利用が期待されている。
本発明は、以上の課題を解決するものとして、前記空間は、3次元的に配列し、一定寸法の互いに独立した球状気孔を形成し、かつ、相隣る球状空間同士の最近接間隔は最小間隔としてセラミック微粒子径2個分の距離であるとともに、前記球状空間の直径がサブミクロンの大きさで、かつ前記球状空間の径とセラミックス微粒子径の比の範囲が5〜10であり、当該球状空間以外の箇所が一定寸法のセラミック微粒子で埋められてなることを特徴とする構成を採用した。
以上の構成により、大きな球状空間の周り全体に、セラミック微粒子が配されているので、セラミック粒子間のみならず、球状空間の間における孔径の均一になった。
発明の実施の形態
以下、実施例を示しつつ、本発明のセラミックス多孔体の製造方法についてさらに詳しく説明する。
本発明のセラミックス多孔体を製造方法では、図1に示したように、所定のpHのスラリー中で球状のポリマー粒子(1)の表面にセラミックス微粒子(2)をヘテロ凝集により均一に修飾し(図1<b>)、その後、スラリーを成形(図1<c>)、焼成し(図1<d>)、焼成時に球状のポリマー粒子(1)を燃焼除去するとともに、セラミックス微粒子(2)どうしを結合させる。
つまり、本発明のセラミックス多孔体の製造方法では、核となる球状のポリマー粒子(1)、その表面に修飾させるセラミックス微粒子(2)のそれぞれの表面をスラリー中において相互間で極性を異ならせて帯電させ、両者に働く静電気力を利用して、同種の粒子については均一に分散させ、異種である球状のポリマー粒子(1)とセラミックス微粒子(2)の間では、ヘテロ凝集により、球状のポリマー粒子(1)の表面にセラミックス微粒子(2)を均一に修飾させ、これらの均一分散及び均一修飾を同時に実現させる。
その結果、上記スラリーを成形、焼成すると、球状のポリマー粒子(1)が燃焼除去され、セラミックス微粒子(2)どうしが結合して、径の揃った互いに独立する気孔が(3)が3次元的に規則的に配列した均一なセラミックス多孔体(4)が得られる(図1<d>)。
具体的には、図1<a>に示したように、球状のポリマー粒子(1)の分散したスラリーとセラミックス微粒子(2)が分散したスラリーを、一方の粒子表面が正に、他方の粒子表面が負に帯電する同一のpHで別々に調製する。
一般には、球状のポリマー粒子(1)の表面は負に、セラミックス微粒子(2)の表面は正に帯電させるが、使用するポリマー及びセラミックスの種類によってはその逆に帯電させてもよい。
このようにスラリーを別々に調製すると、粒子間の静電反発力により粒子はスラリー中でより均一に分散する。
スラリーのpHは、使用する粒子の表面電位、すなわち、ゼータ電位、の絶対値ができるだけ大きくなるように設定することが、静電気力の大きさを大きくする上で好ましい。
そのためには、高分子電解質などのいわゆる分散剤をスラリーに添加することが一案として考えられる。
ただし、球状のポリマー粒子(1)の分散したスラリーとセラミックス微粒子(2)が分散したスラリーは、その後混合することからゼータ電位の絶対値が変化することのないように、上記のとおり、両スラリーのpHは同一にしておく。
pHが異なると、スラリー混合時にヘテロ凝集が均一に起こらず、その結果、最終的に均一なセラミックス多孔体が得られなくなる。
このようにして別々に調製し、粒子がより均一に分散したスラリーを混合する。
混合スラリー中では異種粒子間に静電引力が作用し、球状のポリマー粒子(1)の表面にセラミックス微粒子(2)が均一に修飾する。
本発明のセラミックス多孔体の製造方法では、成形方法については特に制限はなく、鋳込成形法、加圧鋳込成形法、減圧鋳込成形法、遠心沈降法、電気泳動法など各種の方法を適宜採用することができる。
焼成方法についても同様であり、焼成条件は、セラミックス微粒子(2)の種類などに応じて適宜設定することができる。
粒径350nmのPMMA(ポリメチルメタアクリレート)粒子と粒径34nmのγ−アルミナ粒子の、水を分散媒とする水系スラリーを、PMMA粒子表面が負に、γ−アルミナ粒子表面が正に帯電し、ゼータ電位の絶対値が最大となるpH8で調製した。
図2は、粒径350nmのPMMA粒子と粒径34nmのγ−アルミナ粒子のゼータ電位とpHの関係を示したグラフである。
両スラリーとも10分間超音波照射後1時間攪拌し、各粒子を分散させた。
その後、アルミナスラリーをPMMAスラリー中にゆっくり添加、混合した。
ヘテロ凝集が速やかに起こり、PMMA粒子表面にアルミナ粒子が修飾した。
そして、混合スラリーを減圧鋳込成形法により固化成形し、室温で乾燥後、500℃、4時間の仮焼、850℃、2時間の本焼、の2段階の焼成によりアルミナ多孔体が作製された。
図3は、得られたアルミナ多孔体の破面を示した図面に代わるSEM写真である。
この図3から確認されるように、得られたアルミナ多孔体では、径の揃った互いに独立する気孔が3次元的に規則的に配列している。
気孔率は74.0%である。
粒径800nmのPMMA粒子と粒径150nmのα−アルミナ粒子の水を分散媒とする水系スラリーをpH8で調製した。
図4は、粒径800nmのPMMA粒子と粒径150nmのα−アルミナ粒子のゼータ電位とpHの関係を示したグラフである。
この図4からも確認されるように、α−アルミナ粒子表面は、PMMA粒子表面と同様に負に帯電するため、α−アルミナ粒子表面に正の電荷を付与する目的でカチオン性分散剤であるPEI(ポリエチレンイミン)をスラリーに添加した。
その結果、図4に示したように、α−アルミナ粒子表面は正に帯電した。
その後は実施例1と同様のプロセスを経て固化成形し、室温で乾燥後、500℃、4時間の仮焼、1100℃、2時間の本焼、の2段階の焼成によりアルミナ多孔体が作製された。
図5は、得られたアルミナ多孔体の破面を示した図面に代わるSEM写真である。
この図5から確認されるように、得られたアルミナ多孔体では、径の揃った互いに独立する気孔が3次元的に規則的に配列している。
気孔率は75.4%である。
もちろん、本発明は、以上の実施形態によって限定されるものではない。
ポリマー粒子及びセラミックス微粒子の種類、粒径、成形方法、焼結方法などの細部については様々な態様が可能であることはいうまでもない。
以上詳しく説明した通り、本発明によって、径の揃った互いに独立する気孔が3次元的に規則的に配列した均一なセラミックス多孔体が製造される。
<a><b><c><d>は、それぞれ、本発明のセラミックス多孔体を製造する工程を示した工程図である。 粒径350nmのPMMA粒子と粒径34nmのγ−アルミナ粒子のゼータ電位とpHの関係を示したグラフである。 実施例1で得られたアルミナ多孔体の破面を示した図面に代わるSEM写真である。 粒径800nmのPMMA粒子と粒径150nmのα−アルミナ粒子のゼータ電位とpHの関係を示したグラフである。 実施例2で得られたアルミナ多孔体の破面を示した図面に代わるSEM写真である。
符号の説明
1 球状のポリマー粒子
2 セラミックス微粒子
3 気孔
4 セラミックス多孔体

Claims (2)

  1. セラミック微粒子が多数の空間を有する状態で焼結されてなるセラミック多孔体であって、前記空間は、3次元的に配列し、一定寸法の互いに独立した球状気孔を形成し、かつ、相隣る球状空間同士の最近接間隔は最小間隔としてセラミック微粒子径2個分の距離であるとともに、前記球状空間の直径がサブミクロンの大きさで、かつ前記球状空間の径とセラミックス微粒子径の比の範囲が5〜10であり、当該球状空間以外の箇所が一定寸法のセラミック微粒子で埋められてなることを特徴とするセラミック多孔体。
  2. 請求項1に記載のセラミック多孔体において、前記セラミック微粒子はアルミナ粒子であることを特徴とするセラミック多孔体。
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