JP3272465B2 - エンジンの排気ガス浄化装置 - Google Patents

エンジンの排気ガス浄化装置

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、エンジンの排気ガス浄
化装置に関する。
【0002】
【従来技術】エンジンの排気ガス浄化装置には、特開昭
53−122008号公報、特公昭56−17533号
公報に示すように、排気系に三元触媒を設ける一方、燃
焼室に供給される混合気の空燃比を目標空燃比を基準と
して周期的に変動させるパ−タベ−ション(制御)を行
うものがある。このものにおいては、空燃比の変動に基
づいて、エンジン安定性のある程度の低下(トルク変
動、ドライビリティの悪化)は招くものの、排気ガスの
浄化という観点からは、空燃比リッチ時に触媒に余分に
吸着される未燃成分と、空燃比リ−ン時に触媒に余分に
吸着される酸素とを効率よく反応させることになり、こ
の結果、浄化性能が向上することになる。
【0003】ところで、近時、リ−ンバ−ン(希薄燃
焼)エンジンの実用化に伴い、リ−ンバ−ン時における
酸素高濃度雰囲気下の排気ガス中でも、NOxの還元浄
化を可能とすべく、NOx触媒が開発されつつある。こ
のNOx触媒においても、上述のパ−タベ−ションを行
えば、NOx触媒表面近傍のO2量が見かけ上、低くさ
れて、排気ガス中の高いO2濃度によってNOxの還元
が妨げられることはなくなると考えられる。したがっ
て、上述のパ−タベ−ションは、NOx触媒に対して
も、浄化性能の向上を図る面より、効果が期待できると
考えられる。
【0004】しかし、本発明者は、NOX 触媒入口の排
気ガス温度が所定値以上のときには、上述の予想どお
り、パ−タベ−ションによってNOX 浄化性能を高める
ことができるものの、該排気ガス温度が所定値未満のと
きには、パ−タベ−ションを行っても、該パ−タベ−シ
ョンを行わない場合と略同じ浄化性能となることを見出
した。したがって、NOX 触媒入口の排気ガス温度の如
何にかかわらず、パ−タベ−ション制御を行うとすれ
ば、該排気ガス温度の所定の領域では、エンジンの安定
性も、浄化性能の向上も図ることができないことにな
り、パ−タベ−ション制御の意義が失われることにな
る。本発明は上記実情を鑑みてなされたもので、その目
的は、パ−タベ−ションに基づくNOX 触媒の浄化性能
の向上を図りつつ、エンジンの安定性を向上させること
ができるエンジンの排気ガス浄化装置を提供することに
ある。
【0005】
【課題を解決するための手段、作用】上記目的を達成す
るために本発明(第1の発明)にあっては、エンジンの
排気系にNOx触媒が備えられているエンジンの排気ガ
ス浄化装置において、エンジンの空燃比を目標空燃比を
基準として周期的に変動させる空燃比変動手段と、前記
NOx触媒上流側の排気ガス温度を検出する温度検出手
段と、前記温度検出手段からの信号に基づき、排気ガス
温度が所定値以上と判断したときにのみ、前記空燃比変
動手段を制御し、前記エンジンの空燃比の周期的な変動
を行わせる制御手段と、を備える構成としてある。上述
の構成により、NOx触媒上流側の排気ガス温度が所定
値以上のときにのみ、エンジンの空燃比の周期的な変動
(パ−タベ−ション)を行うことから、パ−タベ−ショ
ン効果がある領域でのみ、パ−タベ−ションが行われ、
パ−タベ−ション効果が期待できない領域ではパ−タベ
−ションが行われないことになり、これに伴って、その
パ−タベ−ションを行わない領域では、トルク変動を防
止できることになる。このため、パ−タベ−ションに基
づくNOx触媒の浄化性能の向上を図りつつ、エンジン
の安定性を向上させることができることになる。
【0006】前述の目的を達成するために本発明(第2
の発明)にあっては、請求項1において、前記NOX
媒が貴金属系NOX 触媒とされ、前記所定値は、目標空
燃比がリ−ンなほど、低温側に移行するように設定され
ている、構成としてある。上述の構成により、前述の第
1発明と同様の作用を生じる他に、貴金属系NOX 触媒
において、空燃比がリ−ンなほど、最大浄化率を得るた
めの排気ガス温度が低くなる特性に対応して、所定値が
変わることになる。このため、前述の第1の発明の効果
を、目標空燃比の変化にかかわらず、常に得ることがで
きることになる。
【0007】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。図1において、1は4サイクル往復動型とされた
オット−式のリ−ンバ−ンエンジンで、このエンジン1
には、吸気弁3を介して燃焼室2に通じる吸気通路5
と、排気弁4を介して燃焼室2に通じる排気通路6とが
設けられている。
【0008】上記吸気通路5には、上流側から下流側に
向けて順位に、エアフロ−メ−タ7、スロットル弁8、
燃料噴射弁9が配設されている。
【0009】一方、上記排気通路6には、NOX 触媒1
0が配設されている。このNOX 触媒10としては、例
えばPt、Ir等の貴金属をゼオライトが担持する貴金
属系ゼオライト触媒が用いられており、このNOX 触媒
10は、空燃比リ−ン状態で運転されて、排気ガスが酸
素高濃度雰囲気下であっても、NOX をHC、COと共
に浄化できる機能を有している。
【0010】図1中、符号Uはマイクロコンピュ−タに
よって構成された制御ユニットで、該制御ユニットUに
は、前記エアフロ−メ−タ7の他に、センサ11〜14
からの信号が入力されることになっている。上記センサ
11は、前記NOX 触媒10の上流側において、排気ガ
ス中の残存酸素濃度を検出するO2 センサである。上記
センサ12は、NOX 触媒入口の排気ガス温度を検出す
る温度センサである。上記センサ13は、エンジン回転
数を検出する回転数センサである。上記センサ14は、
エンジン水温を検出する水温センサである。一方、制御
ユニットUからは、燃料噴射弁9に対して制御信号が出
力されることになっている。
【0011】次に、上記制御ユニットUの制御内容の概
略について説明する。先ず、制御ユニットUの制御内容
の理解を容易にするために本発明者が見出したNOX
媒10の特性について図2に基づいて説明する。三元触
媒においては、一定の空燃比の下で排気ガスを流す場合
(特性線f0 )に比し、混合気の空燃比を目標空燃比を
基準として周期的に変動(以下、パ−タベ−ションと称
す)させる場合(特性線f1 )の方が、触媒入口の排気
ガス温度の如何にかかわらず、浄化率を高めることがで
きる。
【0012】一方、NOX 触媒10においては、排気ガ
ス温度が所定値、すなわち当該目標空燃比の下での最大
NOX 浄化率を得るための排気ガス温度T0 以上のとき
には、パ−タベ−ションを行わない場合(特性線N0
に比してパ−タベ−ションを行った場合(特性線N1
の方がNOX 浄化率が高まるのに対し、排気ガス温度が
上記所定値T0 未満では、パ−タベ−ションの有無にか
かわらず、前・後者の場合共、NOX 浄化率は略同じ性
能を示した。
【0013】これは、次のように考えられる。すなわ
ち、NOX の分解反応はガス速度(滞留時間)、温度、
NO、HC、O2 の各濃度に依存するが、最高活性温度
としての所定値T0 以上の排気ガス温度では、O2 濃度
が支配的となり、O2 濃度が高いと、NOX の還元反応
が起こりにくくなると考えられる。しかし、パ−タベ−
ションを行えば、触媒表面近傍のO2 量を見かけ上、低
下させて、活性を向上させることができることになる。
これが故に、排気ガス温度が所定値T0 以上の下では、
パ−タベ−ションを行えば、NOX 浄化率が高まるもの
と考えられる。これに対し、最高活性温度としての所定
値T0 未満の排気ガス温度では、還元反応は、O2 濃度
よりも、ガス速度、温度に依存する割合が大きくなると
考えられる。このため、パ−タベ−ションを行っても、
上述のようなパ−タベ−ションによる効果を得ることが
できず、パ−タベ−ションによってはNOX 浄化率が変
化しないものと考えられる。
【0014】このため、本発明においては、パ−タベ−
ションによってNOX 浄化性能の向上を図ることができ
る領域でのみ、パ−タベ−ションを行い、パ−タベ−シ
ョンによってNOX 浄化性能を向上させることができな
い領域では、パ−タベ−ションは行わず、このことによ
って、その領域でのパ−タベ−ションに基づくトルク変
動を防止しようとしている。具体的には、パ−タベ−シ
ョンによってNOX 浄化性能の向上を図れる領域か否か
は、上述のように、最高活性温度(NOX 分解反応の支
配因子判断基準)としての所定値T0 を基準として区分
けできるため、そのT0 を求めて、触媒入口の排気ガス
温度がT0 よりも大きいときには、パ−タベ−ションを
行い、排気ガス温度がT0 未満のときにはパ−タベ−シ
ョンを行わないこととしている。
【0015】また、本発明者は、NOX 触媒のうち、特
に貴金属系ゼオライト触媒が、図3に示すように、目標
空燃比がリ−ンなほど、最大NOX 浄化率を得るための
排気ガス温度(最高活性温度)が低くなる特性を見出し
ており、この知見に基づき、貴金属系NOX 触媒である
ときには、目標空燃比がリ−ンなほど、所定値を低温側
に移行させることとしている。
【0016】尚、パ−タベ−ションについては、前述の
公報等に示す如く、既知であり、一般的には、空燃比の
フィ−ドバック制御信号を平均値がゼロの高周波信号で
変調して、燃料噴射弁9からの燃料噴射量を上記高周波
信号に応じて変動させ、これにより、エンジン1の燃焼
室2に供給する混合気の空燃比を目標空燃比を基準とし
て周期的に変動させている。
【0017】次に、上記制御ユニットUの制御内容を図
4に示すフロ−チャ−トを参照しつつ具体的に説明す
る。先ず、S1において、現実のエンジン回転数Ne、
吸入空気量Ce、触媒入口の排気ガス温度T1 (実質的
に触媒温度と同じ)が読み込まれる。そして、S2にお
いて、エンジン回転数Neと吸入空気量Ceとから目標
空燃比A/Fが算出され、S3において、S2の目標空
燃比A/Fに基づき、そのA/Fの下での最大NOX
化率を得る触媒入口の排気ガス温度、すなわち最高活性
温度としての所定値T0 が算出される。上記S2におけ
るA/Fの算出は、単に、T0 の算出のためだけでな
く、貴金属系NOX 触媒に関しては、図3に示すよう
に、目標空燃比がリ−ンなほど、その目標空燃比の下で
の最大NOX 浄化率を得るための排気ガス温度が低温下
することに、所定値T0 を対応させる意味をも有してい
る。また、S3におけるT0 の算出は、最高活性温度を
基準として、NOX 分解反応の支配因子が変わることに
着目して、パ−タベ−ションを作動させるか否かの判断
基準を定める意味を有している。
【0018】上記S3において、T0 の算出を終える
と、S4において、S1のT1 がS3のT0 以上か否か
が判別される。これは、パ−タベ−ションによってNO
X 浄化性能の向上を図ることが可能か否かを判断するた
めに行われる。したがって、S4がNOのときには、パ
−タベ−ションによる効果はないとして、S1にリタ−
ンされる一方、S4がYESのときには、S5におい
て、パ−タベ−ションが行われる。これにより、S4が
NOのときには、パ−タベ−ションが行われないため、
トルク変動を防止してエンジンの安定性を図ることがで
き、S4がYESのときには、パ−タベ−ションによっ
てNOX 浄化性能を向上させることができることにな
る。
【0019】次に、上述のパ−タベ−ションを継続をす
るか否かを判断するために、S6〜S9において、前記
S1〜S4と同様の処理が行われ、S9がYESである
限り、パ−タベ−ションが行われる。その一方、S9が
NOのときには、パ−タベ−ションを行っても、パ−タ
ベ−ション効果が得られないとして、S10において、
パ−タベ−ションが停止される。
【0020】
【発明の効果】以上述べたように、第1、第2の発明に
あっては、パ−タベ−ションに基づくNOX 浄化性能の
向上を図りつつ、エンジンの安定性を向上させることが
できる。第2の発明にあっては、上記効果を目標空燃比
の変化にかかわらず常に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例を示す全体系統図。
【図2】実施例を説明する特性線図。
【図3】貴金属系NOX 触媒における目標空燃比と触媒
入口の排気ガス温度との関係を示す図。
【図4】実施例に係る制御例を示すフロ−チャ−ト。
【符号の説明】
1 エンジン 6 排気通路 9 燃料噴射弁 10 NOX 触媒 11 センサ 12 センサ 13 センサ T1 触媒入口の排気ガス温度 T0 所定値 U 制御ユニット
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI F02D 45/00 312 F02D 45/00 312R (72)発明者 竹本 崇 広島県安芸郡府中町新地3番1号 マツ ダ株式会社内 (56)参考文献 特開 平5−288106(JP,A) 特開 平4−358717(JP,A) 特開 平4−166607(JP,A) 特開 平3−229914(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F01N 3/08 - 3/36 F02D 41/04 F02D 41/14 F02D 45/00

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エンジンの排気系にNOx触媒が備えら
    れているエンジンの排気ガス浄化装置において、 エンジンの空燃比を目標空燃比を基準として周期的に
    動させる空燃比変動手段と、 前記NOx触媒上流側の排気ガス温度を検出する温度検
    出手段と、 前記温度検出手段からの信号に基づき、排気ガス温度が
    所定値以上と判断したときにのみ、前記空燃比変動手段
    を制御し、前記エンジンの空燃比の周期的な変動を行わ
    せる制御手段と、 を備える、 ことを特徴とするエンジンの排気ガス浄化装置。
  2. 【請求項2】 請求項1において、 前記NOx触媒が貴金属系NOx触媒とされ、 前記所定値は、目標空燃比が、リ−ンなほど、低温側に
    移行するように設定されている、 ことを特徴とするエンジンの排気ガス浄化装置。
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