JP3271964B1 - 車両の路面摩擦係数推定装置 - Google Patents

車両の路面摩擦係数推定装置

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JP3271964B1
JP3271964B1 JP2000339451A JP2000339451A JP3271964B1 JP 3271964 B1 JP3271964 B1 JP 3271964B1 JP 2000339451 A JP2000339451 A JP 2000339451A JP 2000339451 A JP2000339451 A JP 2000339451A JP 3271964 B1 JP3271964 B1 JP 3271964B1
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Abstract

【要約】 【課題】特にカント走行の影響が強く路面μが精度良く
推定できない場合は路面μの推定を確実に中止し、路面
μ推定値の信頼性と精度安定性を確保する。 【解決手段】高μ路基準値推定部11は高μ路車両運動
モデルで高μ路基準のヨーレートと横加速度を、低μ路
基準値推定部12は低μ路車両運動モデルで低μ路基準
のヨーレートと横加速度を、実際値推定部13はオブザ
ーバで実ヨーレートと実横加速度を演算し、ヨーレート
比較路面μ推定部14は、実ヨーレートを高μ路基準ヨ
ーレート及び低μ路基準ヨーレートと比較し路面μを推
定する。第1実行判断部15aは、横加速度センサ値が
高μ路基準横加速度と低μ路基準横加速度との間にない
場合に路面μの推定を中止させる。また、第2実行判断
部15bは、横加速度センサ値と実横加速度とでリサジ
ュー図形を形成し、この面積が小さく且つ傾きが設定領
域にある場合に路面μの推定を中止させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、横加速度やヨーレ
ートを基に精度良く路面摩擦係数を推定する車両の路面
摩擦係数推定装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、車両においてはトラクション制
御,制動力制御,或いはトルク配分制御等について様々
な制御技術が提案され、実用化されている。これらの技
術では、必要な制御パラメータの演算、或いは、補正に
路面μを用いるものも多く、その制御を確実に実行する
ためには、正確な路面μを推定する必要がある。
【0003】この路面μの推定には、車両の旋回運動で
生じる、横加速度やヨーレート等のパラメータを基に路
面μを推定する技術が種々提案されている。例えば、本
出願人も、特願平11−217508号において、オブ
ザーバにより推定したヨーレートを車両運動モデルに基
づいた高μ路および低μ路でのヨーレートと比較して路
面μを推定する技術等を提案している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、実際の
路面走行において特にカントを走行した場合、コーナリ
ング時の横加速度は、車両のローカル座標系に対して鉛
直下向きの成分が生じるため、センサ値として得られる
横加速度は、車両挙動を正確に表す値にはならない。そ
のため、横加速度はもちろん、この値から計算される車
体すべり角、前後輪すべり角等は実際の車両挙動を表す
値とはならず、その結果、得られる路面μ推定値も信頼
性の低い値となり、この路面μを用いて各種車両挙動制
御を行うと最適な制御ができなくなる虞がある。この問
題に対して、ヨーレートと横加速度、車速の関係からカ
ントを判定する方法を組み合わせて路面μ推定を行うこ
とも考えられるが、このカント判定の方法では低μ路走
行時に正確に判定できないという問題がある。
【0005】本発明は上記事情に鑑みてなされたもの
で、特にカント走行の影響が強く、路面μが精度良く推
定できない場合は路面μの推定を確実に中止させ、信頼
性が低く誤差の大きい路面μ推定値が出力されることを
確実に防止することができる車両の路面摩擦係数推定装
置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
請求項1記載の本発明による車両の路面摩擦係数推定装
置は、少なくとも車両の旋回挙動を示すパラメータを基
に路面μを推定する車両の路面摩擦係数推定装置におい
て、高μ路車両運動モデルに基づいて上記パラメータと
関連若しくは同一パラメータの高μ路基準値を演算する
と共に、低μ路車両運動モデルに基づいて上記パラメー
タと関連若しくは同一パラメータの低μ路基準値を演算
し、上記パラメータと関連若しくは同一パラメータの実
際に検出した値が、上記高μ路基準値と上記低μ路基準
値との間の領域にない場合に路面μの推定を中止させる
判断をする第1の判断手段と、車両運動モデルに基づい
て上記パラメータと関連若しくは同一パラメータの実際
値を演算し、上記実際に検出した値と上記実際値とでリ
サジュー図形を形成し、該リサジュー図形の面積が小さ
く且つ傾きが予め設定した領域にある場合に路面μの推
定を中止させる判断をする第2の判断手段と、上記第1
の判断手段と上記第2の判断手段の何れか一方でも路面
μの推定を中止させる判断をした場合に路面μの推定を
中止させる判断結果出力手段とを備えたことを特徴とす
る。すなわち、請求項1記載の本発明による車両の路面
摩擦係数推定装置は、少なくとも車両の旋回挙動を示す
パラメータを基に路面μを推定するが、判断結果出力手
段は第1の判断手段と第2の判断手段の何れか一方でも
路面μの推定を中止させる判断をした場合に路面μの推
定を中止させる。このため、特にカント走行の影響が強
く、路面μが精度良く推定できない場合は路面μの推定
が確実に中止され、信頼性が低く誤差の大きい路面μ推
定値が出力されることが確実に防止される。
【0007】また、請求項2記載の本発明による車両の
路面摩擦係数推定装置は、オブザーバにより少なくとも
車両の旋回挙動を示すパラメータの実際値を演算する実
際値推定手段と、車両運動モデルにより高μ路における
上記パラメータの基準値を演算する高μ路基準値推定手
段と、車両運動モデルにより低μ路における上記パラメ
ータの基準値を演算する低μ路基準値推定手段と、上記
実際値を上記高μ路基準値および上記低μ路基準値と比
較して現在の路面μを推定する路面μ推定手段とを備え
た車両の路面摩擦係数推定装置において、上記高μ路基
準値を推定する上記車両運動モデルにより上記パラメー
タと関連若しくは同一パラメータの高μ路基準値を演算
すると共に、上記低μ路基準値を推定する上記車両運動
モデルにより上記パラメータと関連若しくは同一パラメ
ータの低μ路基準値を演算し、上記パラメータと関連若
しくは同一パラメータの実際に検出した値が、上記高μ
路基準値と上記低μ路基準値との間の領域にない場合に
路面μの推定を中止させる判断をする第1の判断手段
と、上記オブザーバにより上記パラメータと関連若しく
は同一パラメータの実際値を演算し、上記実際に検出し
た値と上記実際値とでリサジュー図形を形成し、該リサ
ジュー図形の面積が小さく且つ傾きが予め設定した領域
にある場合に路面μの推定を中止させる判断をする第2
の判断手段と、上記第1の判断手段と上記第2の判断手
段の何れか一方でも路面μの推定を中止させる判断をし
た場合に路面μの推定を中止させる判断結果出力手段と
を備えたことを特徴とする。すなわち、請求項2記載の
本発明による車両の路面摩擦係数推定装置は、実際値推
定手段でオブザーバにより少なくとも車両の旋回挙動を
示すパラメータの実際値を演算し、高μ路基準値推定手
段で車両運動モデルにより高μ路における上記パラメー
タの基準値を演算し、低μ路基準値推定手段で車両運動
モデルにより低μ路における上記パラメータの基準値を
演算し、路面μ推定手段で上記実際値を上記高μ路基準
値および上記低μ路基準値と比較して現在の路面μを推
定する。ここで、判断結果出力手段は第1の判断手段と
第2の判断手段の何れか一方でも路面μの推定を中止さ
せる判断をした場合に路面μの推定を中止させる。この
ため、特にカント走行の影響が強く、路面μが精度良く
推定できない場合は路面μの推定が確実に中止され、信
頼性が低く誤差の大きい路面μ 推定値が出力されること
が確実に防止される。また、路面μを推定するのに必要
な3つの車両運動モデルを路面μ推定の実行判断でも共
有して利用できるため効率が良い。
【0008】更に、請求項記載の本発明による車両の
路面摩擦係数推定装置は、少なくとも車両の旋回挙動を
示すパラメータを基に路面μを推定する車両の路面摩擦
係数推定装置において、車両運動モデルに基づいて上記
パラメータと関連若しくは同一パラメータの実際値を演
算し、上記パラメータと関連若しくは同一パラメータの
実際に検出した値と上記パラメータと関連若しくは同一
パラメータの上記実際値とでリサジュー図形を形成し、
該リサジュー図形の面積が小さく且つ傾きが予め設定し
た領域にある場合に路面μの推定を中止させる判断手段
を備えたことを特徴とする。すなわち、請求項3記載の
本発明による車両の路面摩擦係数推定装置は、少なくと
も車両の旋回挙動を示すパラメータを基に路面μを推定
するが、判断手段はリサジュー図形の面積が小さく且つ
傾きが予め設定した領域にある場合に路面μの推定を中
止させる。このため、特にカント走行の影響が強く、路
面μが精度良く推定できない場合は路面μの推定が確実
に中止され、信頼性が低く誤差の大きい路面μ推定値が
出力されることが確実に防止される。
【0009】また、請求項記載の本発明による車両の
路面摩擦係数推定装置は、オブザーバにより少なくとも
車両の旋回挙動を示すパラメータの実際値を演算する実
際値推定手段と、車両運動モデルにより高μ路における
上記パラメータの基準値を演算する高μ路基準値推定手
段と、車両運動モデルにより低μ路における上記パラメ
ータの基準値を演算する低μ路基準値推定手段と、上記
実際値を上記高μ路基準値および上記低μ路基準値と比
較して現在の路面μを推定する路面μ推定手段とを備え
た車両の路面摩擦係数推定装置において、上記オブザー
バにより上記パラメータと関連若しくは同一パラメータ
の実際値を演算し、上記パラメータと関連若しくは同一
パラメータの実際に検出した値と上記パラメータと関連
若しくは同一パラメータの上記実際値とでリサジュー図
形を形成し、該リサジュー図形の面積が小さく且つ傾き
が予め設定した領域にある場合に路面μの推定を中止さ
せる判断手段を備えたことを特徴とする。すなわち、請
求項4記載の本発明による車両の路面摩擦係数推定装置
は、実際値推定手段でオブザーバにより少なくとも車両
の旋回挙動を示すパラメータの実際値を演算し、高μ路
基準値推定手段で車両運動モデルにより高μ路における
上記パラメータの基準値を演算し、低μ路基準値推定手
段で車両運動モデルにより低μ路における上記パラメー
タの基準値を演算し、路面μ推定手段で上記実際値を上
記高μ路基準値および上記低μ路基準値と比較して現在
の路面μを推定する。この際、判断手段はリサジュー図
形の面積が小さく且つ傾きが予め設定した領域にある場
合に路面μの推定を中止させる。このため、特にカント
走行の影響が強く、路面μが精度良く推定できない場合
は路面μの推定が確実に中止され、信頼性が低く誤差の
大きい路面μ推定値が出力されることが確実に防止され
る。また、路面μを推定するのに必要な3つの車両運動
モデルを路面μ推定の実行判断でも共有して利用できる
ため効率が良い。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、図面に基づいて本発明の実
施の形態を説明する。図1〜図10は本発明の実施の形
態を示し、図1は路面摩擦係数推定装置の構成を示す機
能ブロック図、図2は路面μ推定実行判断部の機能ブロ
ック図、図3は4輪車の等価的な2輪車モデルを示す説
明図、図4はオブザーバの構成を示す説明図、図5は横
加速度の高μ路基準値と低μ路基準値とセンサ値の説明
図、図6は横加速度及びヨーレートの実際値とセンサ値
の説明図、図7は2つの波形により描かれるリサジュー
図形の説明図、図8はリサジュー図面積の演算の説明
図、図9はカント走行の際の横加速度及びヨーレートに
ついて形成したリサジュー図形の説明図、図10は路面
μ推定実行判断制御のフローチャートである。
【0011】図1において、符号1は車両に搭載され、
路面摩擦係数を推定する路面摩擦係数推定装置を示し、
この路面摩擦係数推定装置1の制御部2には、前輪舵角
センサ3、車速センサ4、横加速度センサ5およびヨー
レートセンサ6が接続され、それぞれ、前輪舵角δfs,
車速Vs ,横加速度(dy/dt)s ,ヨーレート
(ヨー角速度)(dψ/dt)s が入力されるようにな
っている。尚、各パラメータの添字sは、センサ値であ
ることを区別するためのものである。
【0012】制御部2は、高μ路基準値推定部11、低
μ路基準値推定部12、実際値推定部13、ヨーレート
比較路面μ推定部14、路面μ推定実行判断部15から
主要に構成されており、路面摩擦係数μを推定して出力
する。
【0013】高μ路基準値推定部11は、高μ路基準値
推定手段としてのものであり、車速Vs と前輪舵角δfs
が入力され、予め設定しておいた高μ路における車両の
運動方程式に基づく車両運動モデルにより、検出した車
速Vs 、前輪舵角δfsに対応するヨーレートを高μ路基
準ヨーレート(dψ/dt)H として推定演算し、ヨー
レート比較路面μ推定部14に出力する。また、高μ路
基準値推定部11は、高μ路基準ヨーレート(dψ/d
t)H に加え、ヨー角加速度(dψ/dt)H をヨ
ーレート比較路面μ推定部14に出力すると共に、高μ
路基準の横加速度(dy/dt)H を演算し、ヨー
レート比較路面μ推定部14と路面μ推定実行判断部1
5に出力する。尚、高μ路基準値推定部11から出力さ
れる各パラメータの添字Hは、高μ路基準のパラメータ
であることを示す。
【0014】低μ路基準値推定部12は、低μ路基準値
推定手段としてのものであり、車速Vs と前輪舵角δfs
が入力され、予め設定しておいた低μ路における車両の
運動方程式に基づく車両運動モデルにより、検出した車
速Vs 、前輪舵角δfsに対応するヨーレートを低μ路基
準ヨーレート(dψ/dt)L として推定演算し、ヨー
レート比較路面μ推定部14に出力する。また、低μ路
基準値推定部12は、低μ路基準ヨーレート(dψ/d
t)L に加え、ヨー角加速度(dψ/dt)L をヨ
ーレート比較路面μ推定部14に出力すると共に、低μ
路基準の横加速度(dy/dt)L を演算し、路面
μ推定実行判断部15に出力する。尚、低μ路基準値推
定部12から出力される各パラメータの添字Lは、低μ
路基準のパラメータであることを示す。
【0015】ここで、高μ路基準値推定部11及び低μ
路基準値推定部12で用いる車両運動モデルと、各パラ
メータの演算について、図3を基に説明する。すなわ
ち、図3の車両運動モデルについて車両横方向の並進運
動に関する運動方程式は、前後輪のコーナリングフォー
ス(1輪)をFf,Fr、車体質量をM、横加速度を
(dy/dt)として、 M・(dy/dt)=2・Ff+2・Fr …(1) で与えられる。
【0016】一方、重心点まわりの回転運動に関する運
動方程式は、重心から前後輪軸までの距離をLf,L
r、車体のヨーイング慣性モーメントをIz、ヨー角加
速度を(dψ/dt)として、 Iz・(dψ/dt)=2・Ff・Lf−2・Fr・Lr …(2) で示される。
【0017】また、車体すべり角をβ、車体すべり角速
度(dβ/dt)とすると、横加速度(dy/d
)は、 (dy/dt)=V・((dβ/dt)+(dψ/dt)) …(3) で表される。
【0018】コーナリングフォースはタイヤの横すべり
角に対して1次遅れに近い応答をするが、この応答遅れ
を無視し、更に、サスペンションの特性をタイヤ特性に
取り込んだ等価コーナリングパワーを用いて線形化する
と以下となる。 Ff=−Kf・βf …(4) Fr=−Kr・βr …(5) ここで、Kf,Krは前後輪の等価コーナリングパワ
ー、βf,βrは前後輪の横すべり角である。
【0019】等価コーナリングパワーKf,Krの中で
ロールやサスペンションの影響を考慮するものとして、
この等価コーナリングパワーKf,Krを用いて、前後
輪の横すべり角βf,βrは、前輪舵角をδfとして以
下のように簡略化できる。 βf=β+Lf・(dψ/dt)/V−δf …(6) βr=β−Lr・(dψ/dt)/V …(7)
【0020】以上の運動方程式をまとめると、以下の状
態方程式が得られる。 (dx(t) /dt)=A・x(t) +B・u(t) …(8) x(t) =[β (dψ/dt)] u(t) =[δf 0] a11=−2・(Kf+Kr)/(M・V) a12=−1−2・(Lf・Kf−Lr・Kr)/(M・V) a21=−2・(Lf・Kf−Lr・Kr)/Iz a22=−2・(Lf・Kf+Lr・Kr)/(Iz・V) b11=2・Kf/(M・V) b21=2・Lf・Kf/Iz b12=b22=0
【0021】高μ路基準値推定部11では、(8)式
に、例えば路面μが1.0における等価コーナリングパ
ワーKf,Krを予め設定しておき、そのときどきの車
両運動状態(車速Vs 、前輪舵角δfs)における(dx
(t) /dt)=[(dβ/dt) (dψ/d
)]を計算することで、高μ路基準の車体すべり
角速度(dβ/dt)H とヨー角加速度(dψ/dt
)H を演算する。そして、演算した高μ路基準の車体
すべり角速度(dβ/dt)H とヨー角加速度(dψ
/dt)H を積分することにより、高μ路基準の車体
すべり角βH とヨーレート(dψ/dt)H が得られ
る。また、高μ路基準の車体すべり角βH とヨーレート
(dψ/dt)H を(6)式に代入することにより、高
μ路基準前輪すべり角βfHが算出される。更に、高μ路
基準の車体すべり角速度(dβ/dt)H とヨーレート
(dψ/dt)H を(3)式に代入することにより、高
μ路基準横加速度(dy/dt)H が算出される。
【0022】同様に、低μ路基準値推定部12では、
(8)式に、例えば路面μが0.3における等価コーナ
リングパワーKf,Krを予め設定しておき、そのとき
どきの車両運動状態(車速Vs 、前輪舵角δfs)におけ
る(dx(t) /dt)=[(dβ/dt) (dψ/
dt)]を計算することで、低μ路基準の車体すべ
り角速度(dβ/dt)L とヨー角加速度(dψ/d
)L を演算する。そして、演算した低μ路基準の車
体すべり角速度(dβ/dt)L とヨー角加速度(d
ψ/dt)L を積分することにより、低μ路基準の車
体すべり角βL とヨーレート(dψ/dt)L が得られ
る。また、低μ路基準の車体すべり角βLとヨーレート
(dψ/dt)L を前記(6)式に代入することによ
り、低μ路基準前輪すべり角βfLが算出される。更に、
低μ路基準の車体すべり角速度(dβ/dt)L とヨー
レート(dψ/dt)L を(3)式に代入することによ
り、低μ路基準横加速度(dy/dt)L が算出さ
れる。
【0023】実際値推定部13は、実際値推定手段とし
てのものであり、車速Vs 、前輪舵角δfs、横加速度
(dy/dt)s 及びヨーレート(dψ/dt)s
が入力され、実際の車両の挙動をフィードバックしつ
つ、実際のヨーレート(dψ/dt)O を推定演算す
る、車両運動モデルにより形成したオブザーバである。
実際値推定部13で推定演算された実ヨーレート(dψ
/dt)O は、ヨーレート比較路面μ推定部14に対し
て出力される。また、実際値推定部13からは、実ヨー
レート(dψ/dt)O に加え、実ヨー角加速度(d
ψ/dt)O がヨーレート比較路面μ推定部14に対
して出力される。更に、実際値推定部13では、実横加
速度(dy/dt)O が演算されて路面μ推定実行
判断部15に出力される。尚、実際値推定部13から出
力される各パラメータの添字Oは、オブザーバからのパ
ラメータであることを示す。
【0024】ここで、本実施の形態によるオブザーバの
構成を図4により説明する。測定できる(センサで検出
できる)出力が、以下で示されるとき、 y(t) =C・x(t) …(9) オブザーバの構成は次のようになる。 (dx'(t)/dt)=(A−K・C)・x'(t)+K・y(t) +B・u(t) …(10)
【0025】ここで、このオブザーバを車両運動モデル
に適用すると、x(t) は状態変数ベクトル(x'(t)
の「’」は推定値であることを示す)、u(t) は入力ベ
クトル、A、Bは状態方程式の係数行列であり、これら
は前述したものに対応する。また、y(t) は観測可能な
センサ出力ベクトルで、 y(t) =[βs (dψ/dt)s ] であり、センサによる車体すべり角βs は、(3)式の
関係から、センサによる横加速度(dy/dt)s
及びヨーレート(dψ/dt)s を基に得られるセンサ
による車体すべり角速度(dβ/dt)s を積分するこ
とにより求められる。さらに、Cはセンサ出力と状態変
数の関係を示す行列(本実施形態では単位行列)、Kは
任意に設定可能なフィードバックゲイン行列であり、以
下のように示される。
【0026】これらの関係から、オブザーバにより実ヨ
ー角加速度(dψ/dt)O と実車体すべり角速度
(dβ/dt)O が以下の(11)、(12)式で推定
演算される。 (dψ/dt)O =a11・(dψ/dt)O +a12・βO +b11・δfs +k11・((dψ/dt)s −(dψ/dt)O ) +k12・(βs −βO ) …(11) (dβ/dt)O =a21・(dψ/dt)O +a22・βO +k21・((dψ/dt)s −(dψ/dt)O ) +k22・(βs −βO ) …(12)
【0027】そして、これらにより演算される実ヨー角
加速度(dψ/dt)O と実車体すべり角速度(d
β/dt)O を積分することにより、実ヨーレート(d
ψ/dt)O と実車体すべり角βO を演算する。さら
に、実車体すべり角βO と実ヨーレート(dψ/dt)
O を前記(6)式に代入することにより、実前輪すべり
角βfOが算出される。また、実車体すべり角速度(dβ
/dt)O と実ヨーレート(dψ/dt)O を(3)式
に代入することにより、実横加速度(dy/dt
O が算出される。
【0028】尚、高μ路基準値推定部11、低μ路基準
値推定部12、実際値推定部13での演算は、車速Vs
=0では、0による除算となり演算が行えない。このた
め、極低速(例えば、10km/hに達しない速度)では、
ヨーレート及び横加速度はセンサ値とする。すなわち、 (dψ/dt)H =(dψ/dt)L =(dψ/dt)O =(dψ/dt)s (dy/dt)O =(dy/dt)s とする。また、車体すべり角については、定常円旋回の
幾何学的関係から、 βH =βL =βO =δfs・Lr/(Lf+Lr) とする。このとき、コーナリングフォースは発生してい
ないので、前輪すべり角は全て0となる。 βfH=βfL=βfO=0
【0029】ヨーレート比較路面μ推定部14は、路面
μ推定手段としてのものであり、車速Vs 、前輪舵角δ
fsのセンサ値と、高μ路基準のヨーレート(dψ/d
t)H、ヨー角加速度(dψ/dt)H 、横加速度
(dy/dt)H と、低μ路基準のヨーレート(d
ψ/dt)L 、ヨー角加速度(dψ/dt)L と、
実ヨーレート(dψ/dt)O 及び実ヨー角加速度(d
ψ/dt)O が入力される。また、路面μ推定実行
判断部15からは、路面μ推定の中止或いは実行許可の
信号が入力される。そして、後述する実行条件が満たさ
れ、また、路面μ推定実行判断部15から推定中止の信
号がない場合に、高μ路基準ヨーレート(dψ/dt)
H と低μ路基準ヨーレート(dψ/dt)L と実ヨーレ
ート(dψ/dt)O とにより、以下(13)式に基づ
き新たな路面摩擦係数μγnを演算する。
【0030】ここで、μH は、高μ路基準値推定部11
において予め想定した路面摩擦係数(例えば1.0)
を、μL は、低μ路基準値推定部12において予め想定
した路面摩擦係数(例えば0.3)をそれぞれ示してい
る。 μγn=((μH −μL )・(dψ/dt)O +μL ・(dψ/dt)H −μH ・(dψ/dt)L )/((dψ/dt)H −(dψ/dt)L ) …(13)
【0031】すなわち、この(13)式では、高μ路基
準ヨーレート(dψ/dt)H と低μ路基準ヨーレート
(dψ/dt)L から一次関数を形成し、この一次関数
に実ヨーレート(dψ/dt)O を代入することにより
路面摩擦係数を求め、新たな路面摩擦係数μγnとす
る。尚、この新たな路面摩擦係数μγnは、所定の上限
値(例えば、1.0)と下限値(例えば、特に低μ路に
おいて精度良く求めた他の路面摩擦係数値)の間で制限
するものとする。
【0032】そして、前回推定した路面摩擦係数μn-1
に、今回の路面摩擦係数μγnと前回の路面摩擦係数μ
n-1 とで得られる所定の増分を加える(加重平均する)
ことでヨーレート比較による路面摩擦係数μγを演算し
て出力するようになっている。
【0033】 μγ=μn-1 +κ1 ・(μγn−μn-1 ) …(14) ここで、κ1 は、高μ路基準ヨーレート(dψ/dt)
H と低μ路基準ヨーレート(dψ/dt)L との差が大
きいほど信頼性が高い推定値と考え、予め以下のように
定める。 κ1 =0.3・|(dψ/dt)H −(dψ/dt)L | /|(dψ/dt)H | …(15)
【0034】ヨーレート比較路面μ推定部14で、ヨー
レート比較による路面摩擦係数μγを演算する条件とし
て次の条件を予め設定しておく。
【0035】(1−1)本来、多自由度系である車両
を、横移動+鉛直軸周りの2自由度で近似し、且つ2輪
モデルとしているため、実車両との挙動差が大きくな
る、低速走行、大転舵時には演算を行わない。例えば、
車速Vs が10km/hに達しない場合、前輪舵角δfsの絶
対値が500deg より大きい場合には演算を行わない。
【0036】(1−2)センサ入力値の電気ノイズや、
モデル化の段階で考慮されていない外乱等の影響を考慮
し、ノイズや外乱等の影響の割合が相対的に大きくなる
ヨーレートの絶対値が小さい場合には演算を行わない。
例えば、実ヨーレート(dψ/dt)O の絶対値が1.
5deg/s に達しない場合には演算を行わない。
【0037】(1−3)路面摩擦係数によってコーナリ
ングフォースに差が現れることを利用した路面摩擦係数
推定であるため、路面摩擦係数の影響に対してノイズや
外乱等の影響の割合が相対的に大きくなるコーナリング
フォースが小さい場合、すなわち、コーナリングフォー
スに比例する横加速度の絶対値が小さい場合には演算を
行わない。例えば、高μ路基準横加速度(dy/dt
)H の絶対値が0.15Gに達しない場合には演算を
行わない。
【0038】(1−4)舵角入力に対するヨーレート応
答は、路面摩擦係数により変化し遅れを生じる場合があ
る。この遅れが生じている時に路面摩擦係数の推定を行
うと誤差が大きくなる。従って、ヨーレートの立ち上が
り時以外の遅れによる誤差が大きくなると判断できる場
合には演算を行わない。ヨーレートの立ち上がりは、例
えば、(ヨーレート)・(ヨー角加速度)で判定する。
【0039】(1−5)高μ路基準ヨーレートと低μ路
基準ヨーレートとの差の絶対値がノイズや外乱等の影響
に対して十分な大きさを有しない場合は演算を行わな
い。例えば、高μ路基準ヨーレート(dψ/dt)H と
低μ路基準ヨーレート(dψ/dt)L との差の絶対値
が1deg/s に達しない場合は演算を行わない。
【0040】(1−6)前記(15)式で0除算を避け
るため、例えば、高μ路基準ヨーレート(dψ/dt)
H の絶対値が1deg/s に達しない場合は演算を行わな
い。
【0041】次いで、路面μ推定実行判断部15は、横
加速度センサ5から横加速度(dy/dt)s 、高
μ路基準値推定部11から高μ路基準横加速度(d
/dt)H 、低μ路基準値推定部12から低μ路基準
横加速度(dy/dt)L 、実際値推定部13から
実横加速度(dy/dt)O が入力され、これら入
力値を基に、特にカント走行で路面μが精度良く推定で
きないと判断した場合にヨーレート比較路面μ推定部1
4に対し、路面μ推定を中止させる信号を出力する。
【0042】具体的には、図2に示すように、路面μ推
定実行判断部15は、第1実行判断部15aと、第2実
行判断部15bと、判断結果出力部15cとで構成され
ている。
【0043】第1実行判断部15aは、横加速度(d
y/dt)s 、高μ路基準横加速度(dy/d
)H 、低μ路基準横加速度(dy/dt)L が
入力され、高μ路基準横加速度(dy/dt)H >
低μ路基準横加速度(dy/dt)L の際に、検出
した横加速度(dy/dt)s が、高μ路基準横加
速度(dy/dt)H と低μ路基準横加速度(d
y/dt)L の間にない場合に路面μの推定を中止さ
せる信号を判断結果出力部15cに出力する。
【0044】すなわち、図5に示すように、平坦路を走
行していて、コーナリングフォースが路面μの変化のみ
によって決定される場合、コーナリングフォースに係わ
る横加速度、ヨーレート等の車両の旋回挙動を示すパラ
メータでは、実車両挙動の値(センサ値)は、車両挙動
パラメータの立ち上がり時など位相遅れが小さい範囲に
おいて、高μ路車両運動モデルと低μ路車両運動モデル
で計算された挙動の間に入る。従って、図5中の横加速
度(dy/dt)s のように、これら二つのモデル
挙動の間から外れる場合は、路面のカント等、路面μ以
外の要因によりセンサ値が正しく得られていない、若し
くは路面凹凸の影響など路面μ以外の要因により外力が
変化している可能性が高いと考えることができる。この
ため、センサ値である横加速度(dy/dt)s
が、高μ路車両運動モデルに基づく高μ路基準横加速度
(dy/dt)H と、低μ路車両運動モデルに基づ
く低μ路基準横加速度(dy/dt)L との間にな
い場合には、路面μの推定を中止させるようにするので
ある。すなわち、この第1実行判断部15aは、第1の
判断手段として設けられている。
【0045】第2実行判断部15bは、横加速度(d
y/dt)s と実横加速度(dy/dt)O が入
力され、横加速度(dy/dt)s と実横加速度
(dy/dt)O とでリサジュー図形を形成し、こ
のリサジュー図形の面積Syが予め設定した値Sc(0
に近い値)以下で且つ傾きθyが予め設定した領域(例
えば、43゜以下、47゜以上の領域)にある場合に路
面μの推定を中止させる信号を判断結果出力部15cに
出力する。
【0046】すなわち、一般的なバンクでは、入口およ
び出口でカントが緩く、カーブ中央で強いカントとなっ
ている。従って、実舵角及び車速から推定される平坦路
走行を仮定した車両モデル(例えばオブザーバによる車
両モデル)で推定される実横加速度(dy/dt
O 、実ヨーレート(dψ/dt)O に対して、これらの
センサ値(dy/dt)s 、(dψ/dt)s は、
図6(a)及び図6(b)に示すような値となる。すな
わち、バンク走行時は、横加速度については、センサ値
(dy/dt)s は車両モデルで得られた実横加速
度(dy/dt)O よりも小さな値、ヨーレートに
ついては、センサ値(dψ/dt)s は車両モデルで得
られた実ヨーレート(dψ/dt)O よりも大きな値と
なる。
【0047】また、この図6(a),(b)に示すよう
に、バンク走行時は、低μ路走行時のようなセンサ値
(dy/dt)s 、(dψ/dt)s の実横加速度
(dy/dt)O 、実ヨーレート(dψ/dt)O
に対する遅れが生じないため、車両モデルにより推定さ
れた実横加速度(dy/dt)O 、実ヨーレート
(dψ/dt)O に対して比例的な挙動となる。
【0048】従って、これら車両モデルからの値に対す
るセンサ値の値の変化、遅れを解析することにより車両
のバンク走行を判断し、特にカント走行の影響が強く路
面μが精度良く推定できない状況を判断するのである。
この解析には、次のようにリサジュー図形を用いる。
【0049】一般に、図7(a),(b),(c)に示
すように、サイン波状の信号Aと信号Bとで形成したリ
サジュー図形は、2つの信号間に遅れが生じると面積が
大きくなり、また、信号の大きさに差が生じると、図7
(b)に示すように、傾きが変化する。このため、車両
モデルからの値とセンサ値とでリサジュー図形を形成
し、その面積Syの大きさと傾きθyを判断に用いる。
【0050】尚、リサジュー図形の面積Syは、例えば
図8に示すように、微少な三角形の面積を積分すること
により求める。図8中で、点(xOn-1,ySn-1)を点
(xOn,ySn)の1サイクル前(Δt=10ms前)の値
とすると、微少な三角形面積ΔSyは、 ΔSy=(1/2)・|xOn-1・(dySn-1/dt) −ySn-1・(dxOn-1/dt)|・Δt …(16) で演算される。
【0051】また、リサジュー図形の傾きθyは、例え
ば、横加速度について、センサ値(dy/dt)s
と実横加速度(dy/dt)O とで形成したもので
は、 ryi=(dy/dt)O /(dy/dt)s θy=tan-1((1/n)・Σryi) …(17) ここで、iは1からnまでの整数。
【0052】以上のようなことから、カント走行時で
は、横加速度とヨーレートのそれぞれについて、センサ
値と車両モデルからの値でリサジュー図形を形成する
と、図9に示すようになり、リサジュー図形の面積は共
に非常に小さい値となる。また、横加速度については傾
きは小さくなり、ヨーレートについては傾きは大きくな
る。
【0053】従って、本実施の形態においては、横加速
度について、センサ値(dy/dt)s と実横加速
度(dy/dt)O とでリサジュー図形を形成し、
このリサジュー図形の面積Syが、予め設定した値Sc
(0に近い値)以下で且つ傾きθyが予め設定した領域
(例えば、43゜以下の領域)にある場合に路面μの推
定を中止させる。また、リサジュー図形の傾きが、例え
ば、47゜以上になる場合も、路面μ以外の要因により
センサ値が正しく得られていない、若しくは路面凹凸の
影響など路面μ以外の要因により外力が変化している可
能性が高いと考えて、路面μの推定を中止させる。すな
わち、この第2実行判断部15bは、第2の判断手段と
して設けられている。
【0054】判断結果出力部15cは、第1実行判断部
15a及び第2実行判断部15bから判断結果が入力さ
れ、何れか一方でも実行中止の判断結果となった場合
は、ヨーレート比較路面μ推定部14に対し、路面μ推
定を中止させる信号を出力する。すなわち、判断結果出
力部15cは、判断結果出力手段として設けられてい
る。
【0055】このように第1実行判断部15aと第2実
行判断部15bとを備えることで、比較的緩いカント
で、第1実行判断部15aにおいてセンサ値(dy/
dt)s が高μ路基準横加速度(dy/dt)H
と低μ路基準横加速度(dy/dt)L との間に入
るときであっても、第2実行判断部15bにおけるリサ
ジュー図形による判定を行って確実に路面μ推定の実行
判断が行える。
【0056】次に、路面μ推定実行判断部15での路面
μ推定実行判断制御を、図10のフローチャートで説明
する。このプログラムは所定時間(例えば、10ms)毎
に実行される。
【0057】まず、ステップ(以下、「S」と略称)1
01で、高μ路基準横加速度(dy/dt)H が、
低μ路基準横加速度(dy/dt)L よりも大きい
か否か判定する。この判定の結果、高μ路基準横加速度
(dy/dt)H が、低μ路基準横加速度(d
/dt)L よりも大きければS102に進み、高μ路
基準横加速度(dy/dt)H が、低μ路基準横加
速度(dy/dt)L 以下の場合はS103に進
む。
【0058】高μ路基準横加速度(dy/dt)H
が、低μ路基準横加速度(dy/dt)L より大き
くS102に進むと、センサ値(dy/dt)s
が、高μ路基準横加速度(dy/dt)H と低μ路
基準横加速度(dy/dt)L との間にあるか否か
判定される。そして、センサ値(dy/dt)s
が、高μ路基準横加速度(dy/dt)H と低μ路
基準横加速度(dy/dt)L との間から外れる場
合は、路面のカント等、路面μ以外の要因によりセンサ
値が正しく得られていない、若しくは路面凹凸の影響な
ど路面μ以外の要因により外力が変化している可能性が
高いと考えることができるので、S107へと進んで路
面μ推定を中止させるように信号出力してルーチンを抜
ける。一方、センサ値(dy/dt)s が、高μ路
基準横加速度(dy/dt)H と低μ路基準横加速
度(dy/dt)L との間にある場合はS103に
進む。
【0059】S101或いはS102からS103に進
むと、横加速度のセンサ値(dy/dt)s と実横
加速度(dy/dt)O とでリサジュー図形を形成
し、その面積Syと傾きθyを演算する。
【0060】その後、S104に進み、まず、リサジュ
ー図形の傾きθyが、予め設定しておいたθy1(例え
ば、47゜)からθy2(例えば43゜)の間にあるか否
か判定する。この結果、リサジュー図形の傾きθyが、
θy1からθy2の間にある場合は、高μ路を走行している
可能性も高いのでS106に進んで、路面μ推定を実行
のままとしてルーチンを抜ける。
【0061】一方、リサジュー図形の傾きθyが、θy1
からθy2の間から外れる領域の値の場合は、S105に
進み、リサジュー図形の面積Syを、予め定めておいた
0に近い値Scと比較する。そして、面積SyがScよ
りも大きい場合は、横加速度のセンサ値(dy/dt
)s と実横加速度(dy/dt)O との間に遅れ
があり、低μ路を走行している可能性が高いのでS10
6に進んで、路面μ推定を実行のままとしてルーチンを
抜ける。逆に、面積SyがSc以下の場合は、横加速度
のセンサ値(dy/dt)s と実横加速度(d
/dt)O との間に遅れがなく、路面のカント等、路
面μ以外の要因によりセンサ値が正しく得られていな
い、若しくは路面凹凸の影響など路面μ以外の要因によ
り外力が変化している可能性が高いと考えることができ
るので、S107に進んで路面μ推定を中止させるよう
に信号出力してルーチンを抜ける。
【0062】このように、本実施の形態では、特にバン
ク等を走行した際に、路面μに係わらずセンサ値と車両
モデルで得られる値との差を予め想定し、これに基づい
て、路面μ推定の中止を決定するので、特にカント走行
の影響が強く、路面μが精度良く推定できない場合に路
面μの推定を確実に中止させ、信頼性が低く誤差の大き
い路面μ推定値が出力されることを確実に防止すること
ができる。
【0063】また、特にオブザーバと高μ路車両運動モ
デルと低μ路車両運動モデルからのヨーレートを基に路
面μを推定する路面摩擦係数推定装置と組み合わせるこ
とにより、路面μの推定に必要な車両運動モデルを共用
して得られるパラメータを基に路面μ推定の実行判断が
行えるので、少ない構成を付加するだけで簡単に構成で
き効率も良い。
【0064】尚、本実施の形態では、第1実行判断部1
5aでのセンサ値と高μ路基準値、低μ路基準値との比
較は、横加速度を基に行っているが、他に、ヨーレート
等を用いても良い。同様に、第2実行判断部15bでの
センサ値と実際値との比較も、横加速度以外に、ヨーレ
ート等を用いても良い。
【0065】また、本実施の形態では、第1実行判断部
15aと第2実行判断部15bの両方を備えて路面μ推
定の実行を判断するようになっているが、総合的な精度
等を考慮して、どちらか一方のみの構成としても良い。
【0066】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、特
にカント走行の影響が強く、路面μが精度良く推定でき
ない場合は路面μの推定を確実に中止させ、信頼性が低
く誤差の大きい路面μ推定値が出力されることを確実に
防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】路面摩擦係数推定装置の構成を示す機能ブロッ
ク図
【図2】路面μ推定実行判断部の機能ブロック図
【図3】4輪車の等価的な2輪車モデルを示す説明図
【図4】オブザーバの構成を示す説明図
【図5】横加速度の高μ路基準値と低μ路基準値とセン
サ値の説明図
【図6】横加速度及びヨーレートの実際値とセンサ値の
説明図
【図7】2つの波形により描かれるリサジュー図形の説
明図
【図8】リサジュー図面積の演算の説明図
【図9】カント走行の際の横加速度及びヨーレートにつ
いて形成したリサジュー図形の説明図
【図10】路面μ推定実行判断制御のフローチャート
【符号の説明】
1 路面摩擦係数推定装置 3 前輪舵角センサ 4 車速センサ 5 横加速度センサ 6 ヨーレートセンサ 11 高μ路基準値推定部(高μ路基準値推定手段) 12 低μ路基準値推定部(低μ路基準値推定手段) 13 実際値推定部(実際値推定手段) 14 ヨーレート比較路面μ推定部(路面μ推定手
段) 15 路面μ推定実行判断部 15a 第1実行判断部(第1の判断手段) 15b 第2実行判断部(第2の判断手段) 15c 判断結果出力部(判断結果出力手段)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開2000−43745(JP,A) 特開 平3−258652(JP,A) 特開 平10−299529(JP,A) 特開 平7−253367(JP,A) 特開 平7−128221(JP,A) 特開 平11−194087(JP,A) 特開 平11−59372(JP,A) 特開 平10−181551(JP,A) 特開 平10−44954(JP,A) 特開 平10−226347(JP,A) 特開 平6−221968(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B60T 8/00 B62D 6/00 B60K 17/348 B60G 23/00 G01N 19/02

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも車両の旋回挙動を示すパラメ
    ータを基に路面μを推定する車両の路面摩擦係数推定装
    置において、 高μ路車両運動モデルに基づいて上記パラメータと関連
    若しくは同一パラメータの高μ路基準値を演算すると共
    に、低μ路車両運動モデルに基づいて上記パラメータと
    関連若しくは同一パラメータの低μ路基準値を演算し、
    上記パラメータと関連若しくは同一パラメータの実際に
    検出した値が、上記高μ路基準値と上記低μ路基準値と
    の間の領域にない場合に路面μの推定を中止させる判断
    をする第1の判断手段と、 車両運動モデルに基づいて上記パラメータと関連若しく
    は同一パラメータの実際値を演算し、上記実際に検出し
    た値と上記実際値とでリサジュー図形を形成し、該リサ
    ジュー図形の面積が小さく且つ傾きが予め設定した領域
    にある場合に路面μの推定を中止させる判断をする第2
    の判断手段と、上記第1の判断手段と上記第2の判断手段の何れか一方
    でも路面μの推定を中止させる判断をした場合に路面μ
    の推定を中止させる判断結果出力手段と、 を備えたことを特徴とする車両の路面摩擦係数推定装
    置。
  2. 【請求項2】 オブザーバにより少なくとも車両の旋回
    挙動を示すパラメータの実際値を演算する実際値推定手
    段と、 車両運動モデルにより高μ路における上記パラメータの
    基準値を演算する高μ路基準値推定手段と、 車両運動モデルにより低μ路における上記パラメータの
    基準値を演算する低μ路基準値推定手段と、 上記実際値を上記高μ路基準値および上記低μ路基準値
    と比較して現在の路面μを推定する路面μ推定手段とを
    備えた車両の路面摩擦係数推定装置において、 上記高μ路基準値を推定する上記車両運動モデルにより
    上記パラメータと関連若しくは同一パラメータの高μ路
    基準値を演算すると共に、上記低μ路基準値を推定する
    上記車両運動モデルにより上記パラメータと関連若しく
    は同一パラメータの低μ路基準値を演算し、上記パラメ
    ータと関連若しくは同一パラメータの実際に検出した値
    、上記高μ路基準値と上記低μ路基準値との間の領域
    にない場合に路面μの推定を中止させる判断をする第1
    の判断手段と、 上記オブザーバにより上記パラメータと関連若しくは同
    一パラメータの実際値を演算し、上記実際に検出した値
    と上記実際値とでリサジュー図形を形成し、該リサジュ
    ー図形の面積が小さく且つ傾きが予め設定した領域にあ
    る場合に路面μの推定を中止させる判断をする第2の判
    断手段と、上記第1の判断手段と上記第2の判断手段の何れか一方
    でも路面μの推定を中止させる判断をした場合に路面μ
    の推定を中止させる判断結果出力手段と、 を備えたことを特徴とする車両の路面摩擦係数推定装
    置。
  3. 【請求項3】 少なくとも車両の旋回挙動を示すパラメ
    ータを基に路面μを推定する車両の路面摩擦係数推定装
    置において、 車両運動モデルに基づいて上記パラメータと関連若しく
    は同一パラメータの実際値を演算し、上記パラメータと
    関連若しくは同一パラメータの実際に検出した値と上記
    パラメータと関連若しくは同一パラメータの上記実際値
    とでリサジュー図形を形成し、該リサジュー図形の面積
    が小さく且つ傾きが予め設定した領域にある場合に路面
    μの推定を中止させる判断手段を備えたことを特徴とす
    る車両の路面摩擦係数推定装置。
  4. 【請求項4】 オブザーバにより少なくとも車両の旋回
    挙動を示すパラメータの実際値を演算する実際値推定手
    段と、 車両運動モデルにより高μ路における上記パラメータの
    基準値を演算する高μ路基準値推定手段と、 車両運動モデルにより低μ路における上記パラメータの
    基準値を演算する低μ路基準値推定手段と、 上記実際値を上記高μ路基準値および上記低μ路基準値
    と比較して現在の路面μを推定する路面μ推定手段とを
    備えた車両の路面摩擦係数推定装置において、 上記オブザーバにより上記パラメータと関連若しくは同
    一パラメータの実際値を演算し、上記パラメータと関連
    若しくは同一パラメータの実際に検出した値と上記パラ
    メータと関連若しくは同一パラメータの上記実際値とで
    リサジュー図形を形成し、該リサジュー図形の面積が小
    さく且つ傾きが予め設定した領域にある場合に路面μの
    推定を中止させる判断手段を備えたことを特徴とする車
    両の路面 摩擦係数推定装置。
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