JP3262357B2 - 静電アクチュエータ - Google Patents

静電アクチュエータ

Info

Publication number
JP3262357B2
JP3262357B2 JP02201192A JP2201192A JP3262357B2 JP 3262357 B2 JP3262357 B2 JP 3262357B2 JP 02201192 A JP02201192 A JP 02201192A JP 2201192 A JP2201192 A JP 2201192A JP 3262357 B2 JP3262357 B2 JP 3262357B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
stator
electrostatic actuator
paper
temperature
electrode
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP02201192A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH05191983A (ja
Inventor
雅俊 近藤
俊郎 樋口
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Heavy Industries Ltd
Original Assignee
Sumitomo Heavy Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Heavy Industries Ltd filed Critical Sumitomo Heavy Industries Ltd
Priority to JP02201192A priority Critical patent/JP3262357B2/ja
Publication of JPH05191983A publication Critical patent/JPH05191983A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3262357B2 publication Critical patent/JP3262357B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、フィルム状の薄形の静
電アクチュエータの駆動制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来のアクチュエータは主として電磁力
を利用したものであり、その特質上電磁コイルや永久磁
石等を備えなければならず、構造が複雑で、又消費電力
も非常に大きいものであった。このため、アクチュエー
タよりの発熱量も大きかった。
【0003】そのため、電磁式に比べ、低消費電力、高
効率、小型化可能という面から、静電モータや静電アク
チュエータが注目されている。
【0004】静電モータとしては、誘電体の分極の遅れ
を利用した誘導モータや、誘電体の代わりに抵抗体を用
いたモータが存在している。誘導モータの原理は、電界
内におかれた誘電体が分極することに着目し、その分極
の時間遅れを利用したものである。又、抵抗体を用いた
モータは回転電界内で抵抗体内に誘導される電荷が、電
界の向きに対して遅れることを利用したものである。
【0005】しかしながら、従来の静電モータは、固定
子と回転子とを具備し、ある程度のギャップを有する回
転機構を必須としている。そのため、そのギャップを保
持するために軸受等の機構を用い、より均一なギャップ
の保持のためには固定子、回転子の剛性を高くする必要
がある。従って、上記装置をコンパクトに構成すること
が難しく、又、その力密度も低いものであった。
【0006】以上のような状況に鑑み、電界内に置かれ
た誘電体の分極の時間遅れを利用して固体表面間で静電
気力を発生させ、該静電気力によりアクチュエータとし
ての駆動力を得る静電アクチュエータが特開平2−28
5978号公報に提案されている。この静電アクチュエ
ータは、図3、図4に示すように、固定子1と移動子1
0を有する。
【0007】固定子1は、フィルム状の絶縁体2内に複
数の帯状電極4を一定ピッチで配列したものである。
又、移動子10は、絶縁体層11と高抵抗体層12とか
らなるもので、固定子1の上に載置されている。そし
て、この静電アクチュエータは、図示しない駆動制御回
路によって帯状電極4への印加電圧を切り換えることに
より、固定子1と移動子10との間に静電気力を発生さ
せ、それにより移動子10を、固定子1から浮上させて
動かすようになっている。
【0008】次に、この静電アクチュエータの動作を図
5を参照して説明する。
【0009】まず、図5(a)に示すように、固定子1
を構成する絶縁体2に埋め込まれた第1の電極群(I
相)である電極4a1、4a2、4a3に正電圧+Vを、第2
の電極群(II相)である電極4b1、4b2、4b3に負電圧
−Vを、第3の電極群(III 相)である電極4c1、4c
2、4c3に0Vを、それぞれ印加する。すると、始めは
電荷の存在していなかった高抵抗体層12内に電流が流
れ、高抵抗体層12と絶縁体層11の境界に電荷が誘導
され、平衡状態になる。この電荷は、図5(b)の点線
で示した位置の鏡像電荷(反対極性の電荷)で置き換え
ることができる。この状態で、移動子10は固定子1に
吸引されている。この段階を充電ステップと言う。
【0010】次に、図5(c)に示すように、各電極へ
の印加電圧を切り換える。つまり第1の電極群(I相)
である電極4a1、4a2、4a3に負電圧−Vを、第2の電
極群(II相)である電極4b1、4b2、4b3に正電圧+V
を、第3の電極群(III 相)である電極4c1、4c2、4
c3に負電圧−Vを、それぞれ印加する。すると、各電極
内の電荷は瞬時に移動するが、高抵抗体層12に誘導さ
れた鏡像電荷は、同層材料の抵抗値が高いためにすぐに
は移動しない。したがって、電極4a1、4b1、4a2、4
b2上の電荷と、その直上の移動子10上の鏡像電荷とが
同極性(同符号)となることにより、反発力が発生し、
移動子10は固定子1の表面から浮上する。又、電極4
c1上の負電荷と、隣接する電極4b1の直上の鏡像正電荷
とが異極性(異符号)となることにより互いに吸引し、
同時に電極4c1上の負電荷と、電極4a2の直上の鏡像負
電荷とが同極性(同符号)となることにより互いに反発
するので、移動子10は右方向の駆動力を受け、右に移
動する。この段階を駆動ステップと言う。
【0011】移動子10が右方向に1ピッチ移動する
と、図5(d)に示すように、電極4b1、4c1、4b2、
4c2の電荷と、それらの上の鏡像電荷とが異極性となる
ので、吸引力が働き、移動子10はその位置で位置決め
されて停止する。移動子10が移動する間に鏡像電荷は
拡散するが、引き続いて図5(e)に示すように、第1
の電極群(I相)である電極4a1、4a2、4a3に0V
を、第2の電極群(II相)である電極4b1、4b2、4b3
に正電圧+Vを、第3の電極群(III 相)である電極4
c1、4c2、4c3に負電圧−Vを、それぞれ印加すること
により、移動子10上に再び鏡像電荷を誘導(充電)す
る。この段階も充電ステップと言う。
【0012】そして、以下同様に、各電極群への印加電
圧を順次切り換えていくことにより、移動子10を1ピ
ッチずつ移動させる。
【0013】図6は、この例での各相へ印加する電圧の
時間変化を示す。駆動制御回路は、充電ステップと駆動
ステップを交互に実行することにより、充電と駆動を制
御する。
【0014】この静電アクチュエータは、移動子10に
は電極がなく、充電操作によって固定子1側の帯状電極
4のパターンを移動子10側に転写するようにしている
ので、固定子1と移動子10の位置合わせが不要であ
り、帯状電極4を高精度に加工する必要がないという点
で有益である。
【0015】又、固定子1と移動子10を接触させるこ
とで、固定子1と移動子10間の距離(ギャップ)を保
持しているので、その距離を極めて小さくすることがで
き、よって、薄形でコンパクトな構造にすることができ
る上、大きな力密度(単位当たりに発生する力)を得る
ことができるという点でも有益である。
【0016】更に、1990年度精密工学秋季大会講演
論文(樋口俊郎、柄川索、新野俊樹)によれば、この静
電アクチュエータは、ある「特定の条件」の下では紙を
直接搬送することができることが示されている。
【0017】同論文によれば、この静電アクチュエータ
による紙送りには、以下のような特徴があるとされてい
る。
【0018】当該紙送り機構は電極と駆動回路のみで
構成されており、ローラ等の機械的可動部がないため、
構造が簡単で故障が少なく、且つ小型化にも適してい
る。
【0019】駆動する材料の全面に直接力を与えるた
め、極薄い紙でも皺を寄せることなく搬送することがで
きる。
【0020】本体と対象物の間には反発力と吸引力が
交互に働くが、図6において例示されているように、そ
の時間比率は吸引力のほうが長い。従って、全体的には
搬送対象物を本体に保持する力が働くことになり、装置
をどのような向きにおいても搬送対象物を落下させるこ
となく搬送することができる。
【0021】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、同論文
によれば、前記「特定の条件」として、搬送される紙の
表面抵抗が1013(Ω/□)以上あることが必須と謳っ
ており、これを理論的にも実験的にも確認したデータが
示されている。
【0022】そのため、従来の静電アクチュエータで
は、例えばPPC用紙等の上質紙を通常の環境状態(常
温常湿の状態)で搬送することは不可能であるという問
題があった。
【0023】本発明は、このような従来の問題に鑑みて
なされたものであって、例えばPPC用紙等の上質紙を
常温常湿の状態で搬送することのできる静電アクチュエ
ータを提供し、上記課題を解決せんとしたものである。
【0024】
【課題を解決するための手段】本発明は、絶縁体内に複
数の帯状電極を配列してなるフィルム状の固定子と、該
固定子上に載置されるフィルム状の移動子と、前記帯状
電極への印加電圧の切り換えにより固定子と移動子との
間に静電気力を発生させ、それにより前記移動子を固定
子から浮上させて帯状電極の配列方向に沿って移動させ
る駆動回路とを、を備えた静電アクチュエータにおい
て、前記固定子の前記絶縁体内に、固定子の温度を制御
するための電熱線を組込んだことにより、上記課題を解
決したものである。
【0025】なお、前記電熱線に流す電流は、前記固定
子の温度が設定された温度を維持するようにフィードバ
ック制御するように構成すると一層良好である。
【0026】
【作用】本発明においては、固定子に組込まれた電熱線
によって固定子全体がある温度状態に保たれるため、こ
の固定子上に接触した状態で載置される移動子(この場
合、紙)はこの発熱によって乾燥させられることと同様
な作用を受け、紙の搬送条件に当てはまる表面抵抗値を
持たせることができるようになる。
【0027】これにより、従来常温常湿下では搬送不可
能であった上質紙の搬送をも行うことができる静電アク
チュエータを得ることができる。
【0028】
【実施例】以下図面に基づいて本発明の実施例を詳細に
説明する。
【0029】図1は、本発明に係る静電アクチュエータ
20の実施例を示す斜視図、図2はそのII−II線断面図
である。
【0030】固定子21は、フィルム状の絶縁体からな
るベース層23と、該ベース層23上に配置された帯状
電極24と、その上に形成されるフィルム状の誘電体層
25とからなる。
【0031】この誘電体層25のベース層3側には前記
帯状電極24と干渉しない位置に電熱線26が組込まれ
ている。この電熱線26には電源28により常時電流を
流し得るように回路が形成されている。電熱線26に流
す電流は電流コントロール部29によって制御可能であ
る。
【0032】もしこの静電アクチュエータ20のおかれ
ている環境の温度、湿度等があまり変化しない場合に
は、当該環境に合せて流す電流を設定することにより、
PPC上質紙(移動子)30の状態を意図した乾燥状態
(抵抗値)に維持することが可能である。
【0033】しかしながら、当該静電アクチュエータ2
0のおかれている環境が必ずしも安定していない場合、
あるいはPPC上質紙30の移動をより確実に確保する
必要がある場合には、固定子21のいずれかの部分に感
温素子(図示省略)を備え、現実の固定子21の温度状
態に基づいて電熱線26に流す電流をフィードバック制
御するようにすると良い。
【0034】なお、感温素子を備えなくても、例えばベ
ース層23あるいは誘電体層25の抵抗値とその温度と
に固有の関係がある場合には、該抵抗値を検出すること
によって温度を推定することも可能である。
【0035】PPC上質紙30は、固定子21の上に接
触した状態で載置される。
【0036】一般に、PPC上質紙30は湿度25%以
上では搬送条件に当てはまる表面抵抗値を持たないため
搬送できないが、電熱線26の発熱によって固定子21
全体がある温度状態に維持されるため、ちょうど熱風で
乾燥させられた状態と同様な作用を受け搬送条件に当て
はまる表面抵抗値を持つようになる。
【0037】その結果、従来常温常湿下では搬送不可能
とされていたPPC上質子紙30でも良好に搬送するこ
とができるようになる。
【0038】なお、本発明はPPC上質紙のような紙を
移動子として直接搬送する場合に最もその効果が顕著で
あるが、本発明では、移動子の材質については特にこれ
を紙に限定するものではない。
【0039】
【発明の効果】以上説明したとおり、本発明によれば、
従来不可能とされていたPPC上質紙のような素材であ
ってもこれを移動子として直接的に搬送することができ
るようになるという優れた効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明に係る静電アクチュエータの実
施例の構成を示す斜視図である。
【図2】図2は、図1のII−II線断面図である。
【図3】図3は、従来の静電アクチュエータの構成を示
す斜視図である。
【図4】図4は、図3のIV−IV線に沿う断面図である。
【図5】図5は、この種の静電アクチュエータの動作を
順を追って示す図である。
【図6】図6は、上記静電アクチュエータに印加する電
圧パターンを示す線図である。
【符号の説明】 4…電極、 4a1,4a2,4a3,4b1,4b2,4b3,4c1,4c2,4
c3…電極、 10…移動子、 20…静電アクチュエータ、 21…固定子、 23…ベース層、 24…誘電体層、 25…帯状電極、 26…電熱線、 28…電源、 29…電流コントロール部、 30…PPC上質紙(移動子)。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平2−285978(JP,A) 特開 平4−75483(JP,A) 特開 平4−133674(JP,A) 特開 平4−133907(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H02N 1/00 B65H 5/00

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】絶縁体内に複数の帯状電極を配列してなる
    フィルム状の固定子と、該固定子上に載置されるフィル
    ム状の移動子と、前記帯状電極への印加電圧の切り換え
    により固定子と移動子との間に静電気力を発生させ、そ
    れにより前記移動子を固定子から浮上させて帯状電極の
    配列方向に沿って移動させる駆動回路とを、を備えた静
    電アクチュエータにおいて、 前記固定子の前記絶縁体内に、固定子の温度を制御する
    ための電熱線を組込んだことを特徴とする静電アクチュ
    エータ。
  2. 【請求項2】前記電熱線に流す電流を、前記固定子の温
    度が設定された温度を維持するようにフィードバック制
    御する手段が備えられている請求項1に記載の静電アク
    チュエータ。
JP02201192A 1992-01-10 1992-01-10 静電アクチュエータ Expired - Fee Related JP3262357B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP02201192A JP3262357B2 (ja) 1992-01-10 1992-01-10 静電アクチュエータ

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP02201192A JP3262357B2 (ja) 1992-01-10 1992-01-10 静電アクチュエータ

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH05191983A JPH05191983A (ja) 1993-07-30
JP3262357B2 true JP3262357B2 (ja) 2002-03-04

Family

ID=12071063

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP02201192A Expired - Fee Related JP3262357B2 (ja) 1992-01-10 1992-01-10 静電アクチュエータ

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3262357B2 (ja)

Also Published As

Publication number Publication date
JPH05191983A (ja) 1993-07-30

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JPH02285978A (ja) フィルムを利用した接触型静電アクチュエータ
JP3262357B2 (ja) 静電アクチュエータ
Yamamoto et al. Planar 3-dof paper sheet manipulation using electrostatic induction
JPH09261805A (ja) 磁気浮上アクチュエータ
JP3262358B2 (ja) 静電アクチュエータ
JP3052469B2 (ja) 静電アクチュエータ
JPH06113563A (ja) 静電アクチュエータ
JP2018189822A (ja) シート立体形状形成装置、シート立体形状形成方法およびシート立体形状形成プログラム
JPH0591762A (ja) 静電アクチユエータの駆動制御装置
JPH05319602A (ja) 給紙装置
JP2000143024A (ja) 媒体搬送装置
JP3173261B2 (ja) 静電アクチュエータ
JPH0591761A (ja) 静電アクチユエータ
JP3091242B2 (ja) フィルム状物体の微小ステップ駆動装置及びその微小ステップ駆動方法
JPH06121550A (ja) 静電アクチュエータ
JP3183319B2 (ja) 静電アクチュエータ
JPH05328750A (ja) 静電アクチュエータ
JP2001136759A (ja) 浮上式静電アクチュエータ及びその制御方法並びに移動ステージ
JPH06101938B2 (ja) 静電アクチユエ−タ
JPH06261569A (ja) 静電力による支持機構
JP3312136B2 (ja) 媒体搬送装置
JP2023134240A (ja) 静電アクチュータ、静電アクチュエータの駆動方法、演出システム、およびシート搬送システム
JP2004120921A (ja) 静電保持装置及びそれを用いた搬送装置又はステージ
JPH05308783A (ja) 静電アクチュエータの駆動方法
JP2632452B2 (ja) 紙搬送機構

Legal Events

Date Code Title Description
R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees