JP3262323B2 - 交互吸着膜の製造方法および製造装置 - Google Patents
交互吸着膜の製造方法および製造装置Info
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Description
方法および製造装置に関するものであり、特に、各種電
子機器のディスプレイ用の発光素子、種々のセンサやフ
ィルタなどを量産する際に利用可能な技術に関する。
互吸着(Layer-by-Layer Electrostatic Self-Assembl
y)を利用した方法は、1992年にG.デッカーらに
よって発表された(Decher.G, Hong.J.D. and J.Schmi
t: Thin Solid Films, 210/211, p.831(1992))。この
方法では、正の電解質ポリマー(カチオン)の水溶液
と、負の電解質ポリマー(アニオン)の水溶液とを別々
の容器に用意し、これらの容器に、初期表面電荷を与え
た基板(被成膜材料)を交互に浸すことにより、基板上
に多層構造を有する複合有機超薄膜(交互吸着膜)が得
られる。たとえば、被成膜材料としてガラス基板を用い
た場合、このガラス基板の表面を親水処理して表面にO
H−基を導入して、初期表面電荷として負の電荷を与え
る。そして、この表面が負に帯電した基板を、正の電解
質ポリマー水溶液に浸せば、クーロン力により、少なく
とも表面電荷が中和されるまで正の電解質ポリマーが表
面に吸着し、1層の超薄膜が形成される。こうして形成
された超薄膜の表面部分は、正に帯電していることにな
る。そこで、今度はこの基板を負の電解質ポリマー水溶
液に浸せば、クーロン力により負の電解質ポリマーが吸
着し、1層の超薄膜が形成されることになる。このよう
にして、基板を2つの容器に交互に浸すことにより、正
の電解質ポリマーからなる超薄膜層と負の電解質ポリマ
ーからなる超薄膜層とを交互に成膜することができ、多
層構造をもった複合有機薄膜を形成することができる。
この交互吸着膜の製造を自動化する技術が発表されてお
り(A.C.Fon, O.Onitsuka, M.Ferreira, B.R. Hsieh an
d M.F.Rubner: J. Appl. Phys. 79(10) 15 May 1996
)、交互吸着膜の自動製造装置の構成が提案されてい
る。この装置を用いれば、被成膜材料となる基板がロボ
ットアームにより2つの水槽に交互に浸されるので、基
板上に交互吸着膜が自動的に成膜される。
L(Electro-Luminescence) 素子をはじめとする種々の
電子デバイスへの利用が期待されており、更に、表面に
交互吸着膜を形成することにより親水性を制御すること
が可能になるため、コンタクトレンズ表面へのコーティ
ング技術への応用や生体関連材料への応用も注目を集め
ている。また、交互吸着膜は、煙草の煙など、特定の粒
子を選択的に吸着する性質を有している。この吸着特性
を利用して、特願平11−077553号明細書には、
粒子センサを実現する技術が開示されており、特願平1
1−077554号明細書には、フィルタを実現する技
術が開示されている。
成膜技術は、現段階ではまだ実用化の域に達しておら
ず、電子デバイス、粒子センサ、フィルタなど、交互吸
着膜を利用した製品を商業的に生産するためには、解決
すべき課題が残されている。上述したように、交互吸着
の方法を利用して複合有機薄膜を作成する手法は、19
92年に発表されたばかりの技術であり、交互吸着膜の
製造は実験室レベルで行われているにすぎない。商業的
利用に向けて解決すべき課題の1つは、正確な膜厚制御
を可能にすることである。この課題についての解決方法
のひとつが、特願平10−267286号明細書および
当該出願に基づく優先権主張を伴って1999年8月1
8日に日本国特許庁を受理官庁としてなされた国際出願
明細書に開示されている。この方法では、水晶振動子を
利用することにより、正確な膜厚制御が可能になる。一
方、商業的利用に向けて解決すべきもう1つの課題は、
量産化を可能にし、製造コストを低減することである。
前掲明細書に開示された技術によれば、ロボットアーム
を用いて被成膜材料を各水槽に交互に浸す処理を自動化
することが可能であるが、フィルタなどの用途に利用す
る交互吸着膜を、リーズナブルなコストで量産するには
まだまだ不十分である。たとえば、従来の製造方法によ
り1m四方の大きさの交互吸着膜を製造する場合、少な
くとも1m四方の水槽と、この水槽内から被成膜材料を
高さ2m程度吊りあげることができるロボットアームが
必要になり、非常に大掛かりな装置を用いた大掛かりな
作業が必要になる。
膜の製造方法および製造装置を提供することを目的とす
る。
様は、正の荷電粒子を含む溶液と負の荷電粒子を含む溶
液とに被成膜材料を交互に複数回浸すことにより、多層
構造を有する交互吸着膜を製造する交互吸着膜の製造方
法において、一方の荷電粒子を含む溶液を収容した第1
の溶液槽と、他方の荷電粒子を含む溶液を収容した第2
の溶液槽と、を用意し、第1の溶液槽内から直接または
他の槽を介して間接的に第2の溶液槽内へと進み、この
第2の溶液槽から直接または他の槽を介して間接的に再
び第1の溶液槽内へと戻る循環路を定義し、ロールに巻
装された帯状の被成膜材料を用意し、その先端を引き出
して循環路に沿って配置し、循環路を一巡する長さだけ
引き出したところで切断して両端を接合することにより
環状の被成膜材料を作成し、この環状の被成膜材料を循
環路に沿って回転させて複数回循環させることにより、
環状の被成膜材料の表面に循環させた回数に応じた多層
構造を有する交互吸着膜を形成させるようにしたもので
ある。
の態様に係る交互吸着膜の製造方法において、被成膜材
料の表面に付着した溶液を洗浄するための第1のリンス
浴槽および第2のリンス浴槽を用意し、第1の溶液槽
内、第1のリンス浴槽内、第2の溶液槽内、第2のリン
ス浴槽内と順に進み、再び第1の溶液槽内へと戻る循環
路を定義するようにしたものである。
子を含む溶液と負の荷電粒子を含む溶液とに被成膜材料
を交互に複数回浸すことにより、多層構造を有する交互
吸着膜を製造する交互吸着膜の製造装置において、一方
の荷電粒子を含む溶液を収容するための第1の溶液槽
と、他方の荷電粒子を含む溶液を収容するための第2の
溶液槽と、第1の溶液槽内から直接または他の槽を介し
て間接的に第2の溶液槽内へと進み、この第2の溶液槽
から直接または他の槽を介して間接的に再び第1の溶液
槽内へと戻る循環路に沿って、循環路を一巡する長さを
もった帯状の被成膜材料の両端を接合してなる環状の被
成膜材料の各部を搬送することにより、環状の被成膜材
料を循環路に沿って回転させて複数回循環させる搬送装
置と、を設けるようにしたものである。
の態様に係る交互吸着膜の製造装置において、被成膜材
料の表面に付着した溶液を洗浄するための第1のリンス
浴槽および第2のリンス浴槽を更に設け、搬送装置が、
第1の溶液槽内、第1のリンス浴槽内、第2の溶液槽
内、第2のリンス浴槽内と順に進み、再び第1の溶液槽
内へと戻る循環路に沿って、環状の被成膜材料を搬送す
るようにしたものである。
の態様に係る交互吸着膜の製造装置において、第1の溶
液槽、第1のリンス浴槽、第2の溶液槽、第2のリンス
浴槽のうちの少なくとも1つの槽を、物理的に分離した
複数の個別槽によって構成し、搬送装置が、複数の個別
槽内を順に進むような循環路に沿って、環状の被成膜材
料を搬送するようにしたものである。
の態様に係る交互吸着膜の製造装置において、循環路に
沿って合計N段の物理的に分離した槽を設けるように
し、第1段目〜第(N−1)段目の槽を順次隣接配置
し、これらの上方または下方位置に第N段目の槽を配置
するようにしたものである。
子を含む溶液と負の荷電粒子を含む溶液とに被成膜材料
を交互に複数回浸すことにより、多層構造を有する交互
吸着膜を製造する交互吸着膜の製造装置において、複数
N個の槽と、第1の槽から第Nの槽に至るまで第N個の
各槽内を順次通り、再び第1の槽内へと戻る循環路に沿
って、循環路を一巡する長さをもった帯状の被成膜材料
の両端を接合してなる環状の被成膜材料の各部を搬送す
ることにより、環状の被成膜材料を循環路に沿って回転
させて複数回循環させる搬送装置と、を設けるようにし
たものである。
〜第7の態様に係る交互吸着膜の製造装置において、搬
送装置が、各槽内に設けられた槽内ローラと、槽外の循
環路上に設けられた槽外ローラと、を有し、環状の被成
膜材料を各ローラによって搬送する機能を果たすように
したものである。
の態様に係る交互吸着膜の製造装置において、搬送装置
に、槽内ローラの上下方向に関する位置を調整する機構
を付加するようにしたものである。
第8の態様に係る交互吸着膜の製造装置において、各ロ
ーラのうち、環状の被成膜材料の第1の面に接触するロ
ーラが、ほぼ周面全体が被成膜材料に接触する構造をな
し、環状の被成膜材料の第2の面に接触するローラが、
被成膜材料の搬送用部分のみに接触する構造をなすよう
にしたものである。
3〜第10の態様に係る交互吸着膜の製造装置におい
て、ロール状の被成膜材料を保持するロール保持部と、
このロール保持部に保持された被成膜材料の一端を循環
路へと導く導入路と、を設け、この導入路上に、被成膜
材料の表面に初期電荷を与えるための放電装置を設ける
ようにしたものである。
に基いて説明する。
ある。ここでは、被成膜材料として、たとえばガラスや
シリコンなどの基板10を用意し、その表面に交互吸着
膜を形成する基本原理を示す。まず、第1の槽20に、
正の電解質ポリマー(カチオン)の水溶液を用意し、第
2の槽30に、負の電解質ポリマー(アニオン)の水溶
液を用意する。そして、被成膜材料となる基板10の表
面を親水処理して表面にOH−基を導入して、初期表面
電荷として負の電荷を与える。図2(a) は、このように
して、基板10の表面が負に帯電した状態を示す概念図
である。続いて、この負に帯電した基板10を第1の槽
20内に入れると、基板10の表面に正の電解質ポリマ
ーが接触し、クーロン力により吸着することになる。図
2(b) は、正の電解質ポリマーが吸着した状態を示す概
念図である。ここで、この基板10を第2の槽30内に
入れると、今度は、基板10の表面に負の電解質ポリマ
ーが接触し、クーロン力により吸着することになる。図
2(c) は、負の電解質ポリマーが吸着した状態を示す概
念図である。このように、基板10を第1の槽20と第
2の槽30とに交互に浸漬させてゆけば、基板10の表
面には、正の電界質ポリマーからなる層と負の電解質ポ
リマーからなる層とが交互に成膜されてゆくことにな
り、最終的に多層構造をもった交互吸着膜が形成され
る。
明するために単純化したモデルを示すものであり、実際
には、図3あるいは図4に示す概念図に近い状態で薄膜
形成が行われるものと思われる。図3は、2回目の浸漬
処理(第1の槽20から基板10を取り出し、第2の槽
30に浸したときの処理)における吸着状態を示す概念
図である。基板10の表面には、既に、1回目の浸漬処
理によって、正の電解質ポリマーからなる第1層目の薄
膜A1が形成されており、この薄膜A1によって作用す
るクーロン力により、第2の槽30内の負の電解質ポリ
マーbが表面に吸着することになる。基板10を第2の
槽30内に一定時間浸漬させておけば、第2の槽30内
の負の電解質ポリマーbが次々と表面に吸着し、第2層
目の薄膜B2が形成されることになる。ただし、ある程
度の時間が経過して、負の電解質ポリマーbからなる第
2層目の薄膜B2が厚くなってくると、もはや薄膜A1
によるクーロン力は作用しなくなり、その時点で吸着は
飽和点を迎えることになる。
ーの濃度やpH値、吸着時間などの条件によって、ポリ
マー分子内のセグメント間のクーロン力による反発が大
きくなったり小さくなったり変化するため、分子の充填
密度は、これらの条件に左右されることになる。したが
って、これらの条件の設定次第によって、非常に薄い膜
を形成することも、比較的厚い膜を形成することも可能
になる。
ったときに形成される交互吸着膜の構造を示す概念図で
ある。ここで、奇数番目の層を構成する薄膜A1,A
3,A5は、正の電解質ポリマーからなる層であり、偶
数番目の層を構成する薄膜B2,B4,B6は、負の電
解質ポリマーからなる層である。これら各層の厚みは、
浸漬処理の時間によって制御することが可能である。上
述したように、ある程度の厚みに達すると、電気的中和
によりクーロン力が作用しなくなるため吸着は飽和点を
迎えることになるが、この飽和点に至るまでは、浸漬時
間が長ければ長いほど膜厚は厚くなる。
膜は、正の電荷をもった第1の帯電膜A1,A3,A5
と、負の電荷をもった第2の帯電膜B2,B4,B6
と、を基板10上に交互に吸着させてなる膜ということ
ができる。しかも、図3あるいは図4の概念図からわか
るように、各帯電膜は、クーロン力やファン・デル・ワ
ールス力のような分子間力によって互いに結び付いた多
数のポリマーからなる自己組織化膜(Self-Assembly Fi
lm)を構成しているため、本質的に内部に空洞構造を有
している。別言すれば、各帯電膜は、多孔質膜あるいは
繊維質膜を形成していることになり、その内部には、匂
いの素となるような分子、イオン、煙の粒子などが侵入
可能な空洞構造が形成されており、これらの粒子に対し
て高い吸着特性を有する。この吸着特性を利用すれば、
交互吸着膜を粒子センサやフィルタなどとして利用する
ことが可能になる。
よび負の電解質ポリマー水溶液を用意し、基板10を交
互に浸漬させる例を示したが、各槽に用意する液は必ず
しも電解質ポリマー水溶液である必要はない。電解質ポ
リマーの代わりに電解質モノマーを用いることも可能で
あり、水溶液の代わりに有機溶媒を用いた溶液を用いる
ことも可能である。あるいは、フェライト微粒子や金属
錯体微粒子などを帯電させた状態で分散させた溶液を用
いることも可能である(詳細は、前掲国際出願明細書を
参照)。要するに、正の荷電粒子を含む溶液と負の荷電
粒子を含む溶液とに、被成膜材料を交互に複数回浸すこ
とにより、多層構造を有する交互吸着膜を形成すること
が可能になる。
および製造装置 交互吸着膜は、図1に示すように、被成膜材料となる基
板10を、2つの槽20,30に交互に浸すことにより
作成することができる。しかしながら、基板10を交互
に移し替えることにより膜生成を行う方法は、交互吸着
膜を商業的に量産する上では、あまり効率的な方法とは
言えない。本発明に係る交互吸着膜の製造方法の要点
は、基板10の代わりに、環状の被成膜材料を用いる点
にある。たとえば、ロール状の繊維を被成膜材料として
用いるのであれば、まず、このロール状の繊維を所定の
長さだけ引き出して切断することにより、細長い帯状の
被成膜材料を作成する。そして、その両端を接合するこ
とにより全体を環状にする。この環状の被成膜材料の一
部分を槽20内に浸し、別な一部分を槽30内に浸した
状態にし、その状態で、被成膜材料を回転駆動させれ
ば、被成膜材料の個々の部分は、槽20と槽30とに交
互に浸されることになるので、表面に交互吸着膜が形成
されることになる。もっとも、被成膜材料を槽20から
槽30へと、あるいは槽30から槽20へと、直接移動
させると、各槽内の溶液が徐々に混じってしまうことに
なるので、実用上は、被成膜材料の表面に付着した溶液
を洗浄するためのリンス浴槽を中間に設けるようにする
のが好ましい。
着膜の製造装置の正断面図である。この装置は、底部プ
レート110、中間プレート120、上部プレート13
0なる3つのプレートによって支持されている。底部プ
レート110と中間プレート120との間には、側壁1
41,142が形成されており、下部収容部が形成され
ている。同様に、中間プレート120と上部プレート1
30との間には、側壁143,144が形成されてお
り、上部収容部が形成されている。下部収容部には、水
槽群150が配置されており、上部収容部には、水槽1
60が配置されている。ここで、水槽160は物理的に
単一の水槽から構成されているが、水槽群150は、物
理的に分離した5つの水槽151〜155によって構成
されている。図には、各水槽内に液が入れられた状態が
示されている。
のローラR1〜R19が配置されている。各ローラの回
転軸は、紙面に垂直な方向を向いており、この回転軸の
両端は、各プレートおよび側壁から構成されるフレーム
部によって支持されている。なお、図が繁雑になるのを
避けるため、ここでは、各回転軸を支持する構成要素は
図示を省略してある。これらのローラのうち、ローラR
4,R6,R8,R10,R12は、それぞれ水槽15
1,152,153,154,155の内部に配置され
た槽内ローラであり、ローラR16,R17は、水槽1
60の内部に配置された槽内ローラである。残りのロー
ラは、いずれも水槽の外部に配置された槽外ローラであ
る。なお、槽内ローラR4,R6,R8,R10,R1
2については、それぞれ水槽内において上下方向に関す
る位置を調整する機構が備わっており、水槽内の任意の
深さ位置に固定することが可能である。図における破線
の矢印は、各槽内ローラR4,R6,R8,R10,R
12の上下の移動範囲を示している。
成する位置に配置されている。すなわち、この装置で
は、水槽151,152,153,154,155,1
60と順に進み、再び水槽151へと戻る循環路が形成
されており、ローラR2〜R18は、この循環路上に配
置されている。環状の被成膜材料は、この循環路に沿っ
て配置され、回転駆動されることになる。図5において
実線で示されている被成膜材料Sは、この循環路に沿っ
て配置された環状の被成膜材料を示している。別言すれ
ば、この環状の被成膜材料Sを示す実線は、循環路その
ものを示していることになる。なお、ローラR19は、
図示されていないモータによって回転駆動される駆動ロ
ーラとなっており、循環路上に配置された環状の被成膜
材料Sのうち、ローラR18,R19によって挟まれた
部分は、駆動ローラR19の回転によって図の下方へと
送り出されることになり、環状の被成膜材料Sは、全体
として、図において時計回りの方向に回転駆動される。
ル状の被成膜材料を保持するロール保持部170が設け
られている。このロール保持部170に保持されたロー
ル状の被成膜材料S′の一端は、ローラR1を介してロ
ーラR2へと導かれる。ローラR1は、このように、ロ
ール保持部170に保持された被成膜材料S′を循環路
へと導く導入路を形成する機能を果たす。図では、この
導入路を一点鎖線で示してある。なお、この導入路の途
中には、被成膜材料S′の表面に初期電荷を与えるため
の放電装置180が設けられている。
プロセスは次のとおりである。まず、各水槽に所定の液
を用意する。この装置では、水槽151は、正(または
負)の荷電粒子を含む溶液を収容するための第1の溶液
槽として用いられ、水槽154は、負(または正)の荷
電粒子を含む溶液を収容するための第2の溶液槽として
用いられる。また、水槽152,153は、被成膜材料
の表面に付着した水槽151内の溶液を洗浄するための
第1のリンス浴槽として用いられ、水槽155,160
は、被成膜材料の表面に付着した水槽154内の溶液を
洗浄するための第2のリンス浴槽として用いられる。各
水槽に用意する液として、具体例を示しておくと、たと
えば、第1の溶液槽151内に、正の電解質ポリマーと
して、ポリアリルアミン塩酸塩(poly-allylaminehydro
chloride:略称PAH:分子量=55000)を用意
し、第2の溶液槽154内に、負の電解質ポリマーとし
て、ポリアクリル酸(poly-acrylic acid :略称PA
A:分子量=90000)を用意し(いずれも、10
−2mol/lの濃度の水溶液)、各リンス浴槽152,1
53,155,160内に、18MΩ・cm以上の超純
水を用意する。
槽をそれぞれ2段階ずつ用意してあるが、これはリンス
効果をより高めるためである。たとえば、水槽151内
を通過することにより付着したポリアリルアミン塩酸塩
の溶液は、第1段階のリンス浴槽152を通過すること
により一応除去されるが、次第に、第1段階のリンス浴
槽152内のポリアリルアミン塩酸塩濃度は高まってく
るため、第1段階のリンス浴槽152を通過させるだけ
では、被成膜材料に付着したポリアリルアミン塩酸塩を
完全に除去することは困難になってくる。図示の装置で
は、残留していたポリアリルアミン塩酸塩の溶液は、第
2段階のリンス浴槽153を通過することにより、更に
除去されることになる。もちろん、より多段のリンス浴
槽を設けることにより、付着溶液の除去をより確実にす
ることが可能である。
ら、ロール保持部170に、被成膜材料となるロール状
材料をセットする。たとえば、交互吸着膜を利用したフ
ィルタを作成するのであれば、ガラス繊維からなるロー
ル状材料をセットすればよい。このロール状材料の一端
を引き出し、ローラR1,R2,R3を経て、水槽15
1内に入れ、ローラR4の下方を通して水槽151から
引き上げる。続いて、ローラR5の上方を通して、水槽
152内に入れ、ローラR6の下方を通して水槽152
から引き上げる。以下、同様にして、循環路に沿って各
水槽153,154,155,160内に入れてゆき、
ローラR18,R19間を通して再びローラR2の位置
までもってくる。ここで、ロール保持部170から引き
出されているロール状材料を切断し、両端を接合(たと
えば、接着剤で接合したり、縫合したりすればよい)す
ることにより環状の被成膜材料Sを形成する。この環状
の被成膜材料Sは、循環路に配置された状態になる。
駆動ローラR19を回転駆動させれば、環状の被成膜材
料Sは、循環路に沿って図の時計回りに回転することに
なる。この回転運動により、被成膜材料Sの各部分は、
水槽151,152,153,154,155,160
を経て、再び水槽151へと巡回するように搬送される
ことになる。こうして、被成膜材料Sの表面には、一巡
によって2層からなる累積層が形成される。たとえば、
図4に示すような6層からなる累積層を形成するには、
合計3巡するように回転駆動させればよい。このよう
に、環状の被成膜材料を一度セットしてしまえば、これ
を回転駆動させるだけの処理で、多層からなる累積層を
次々と形成してゆくことができる点が、本発明の特徴で
ある。一般に、フィルタなどの用途に用いる交互吸着膜
の場合、100層以上の累積層を形成するのが好まし
い。本発明に係る装置を用いれば、50巡回させる処理
により、100層の累積層を形成することができ、作業
効率は極めて高くなる。こうして、必要な厚みをもった
交互吸着膜が形成できたら、環状の被成膜材料Sの一部
を切断して各ローラから外せばよい。
の総距離は10m程度になる。そこで、幅1mのロール
状ガラス繊維(厚み約0.5mm)をロール保持部17
0にセットし、ここからガラス繊維の布地を導入路およ
び循環路に沿って10mほど引き出して、幅1m、長さ
10mの帯状の被成膜材料を用意し、その両端を縫合す
ることにより環状の被成膜材料Sを作成するようにし
た。そして、約45分で循環路を一巡するような速度
で、駆動ローラR19をゆっくりと回転駆動させ、合計
で50巡回させることにより、環状の被成膜材料Sの表
面に100層からなる交互吸着膜を形成した(上述した
ように、第1の溶液槽151内には、正の電解質ポリマ
ーとしてポリアリルアミン塩酸塩が用意され、第2の溶
液槽154内には、負の電解質ポリマーとして、ポリア
クリル酸が用意されている)。このようにして、表面に
交互吸着膜が形成された被成膜材料(ガラス繊維)を適
当な大きさに切断し、これを8枚重ねることによりフィ
ルタを作成した結果、煙草の煙の粒子を効果的に吸着す
ることができるフィルタを得ることができた。
R6,R8,R10,R12は、それぞれ水槽内におい
て上下方向に関する位置を調整することができる。これ
により、各槽内における被成膜材料の浸漬時間を調整す
ることが可能になる。すなわち、槽内ローラを深い位置
に設定すれば、それだけ浸漬時間を長くすることがで
き、槽内ローラを浅い位置に設定すれば、それだけ浸漬
時間を短くすることができる。このように、本発明に係
る装置では、環状の被成膜材料Sの搬送速度が一定であ
ったとしても、槽内ローラの上下位置を調整することに
より、個々の槽内の浸漬時間を個別に調整することがで
きるので、交互吸着膜の奇数番目の層の厚み、偶数番目
の層の厚み、あるいはリンス効果の程度、を任意に設定
することができるようになる。
51,152,153,154,155までは、水槽群
150として下部収容部に配置され、最後の水槽160
が上部収容部に配置されているが、このような構成は、
環状の被成膜材料Sが空気に触れる時間をできるだけ少
なくすることができるので好ましい。本願発明者が行っ
た実験によると、交互吸着膜の形成過程で膜の表面が空
気に触れ、膜表面が乾燥してしまうと、高品質の交互吸
着膜を作成することができなくなる。したがって、循環
路に沿って回転中の被成膜材料は、できるだけ空気に触
れさせないようにした方が都合がよい。図示の例では、
下部収容部に5つの水槽151〜155が設けられ、被
成膜材料は図の右から左へと搬送されることになるが、
水槽155を経た後、被成膜材料を左から右へと戻す必
要がある。この左から右への帰路として、上部収容部に
設けられた水槽160内の経路をとるようにしたため、
全循環路において空気に触れる時間を低減させることが
できる。もちろん、帰路としての水槽を、水槽群150
の下方に設けるようにしてもかまわない。要するに、循
環路に沿って合計N段の物理的に分離した槽が設けられ
ていた場合、第1段目〜第(N−1)段目の槽を順次隣
接配置し、これらの上方または下方位置に第N段目の槽
を配置することにより、全循環路における空気に触れる
時間を低減させることができる。
もったローラが用いられている。すなわち、各ローラの
うち、環状の被成膜材料Sの第1の面(この例では、内
側面)に接触するローラ、たとえば、ローラR1は、図
6に示すように、ほぼ周面全体が被成膜材料に接触する
円柱状の構造を有している。これに対し、環状の被成膜
材料Sの第2の面(この例では、外側面)に接触するロ
ーラ、たとえば、ローラR3は、図7に示すように、被
成膜材料Sの搬送用部分のみ(図示の例では、両端の部
分)に接触する構造を有している。このように、2種類
の構造をもったローラを用いることにより、交互吸着膜
の破壊を防ぐことができる。すなわち、原理的には、環
状の被成膜材料の内側/外側の両面に交互吸着膜が形成
されることになるが、せっかく吸着膜が形成されたとし
ても、ローラと機械的な接触が生じると、膜が剥離した
り、破壊されたりしてしまう。図6に示すローラR1の
場合は、その周面全体が被成膜材料に接触するため、環
状の被成膜材料に十分な張力を与えることができ、皺が
よるようなことを防ぐことはできるが、吸着膜との接触
により膜は剥離したり、破壊されたりする可能性があ
る。これに対し、図7に示すローラR3の場合は、搬送
用部分(この例では両端部分)のみが被成膜材料上の吸
着膜に接触するだけであり、中央の主要部は膜に非接触
の状態が保たれる。結局、上述した2種類の構造をもっ
たローラを併用することにより、被成膜材料の外側面の
中央部分に形成された膜は品質が維持されることにな
る。
材料の片面だけに交互吸着膜が形成されていれば十分で
あるので、上述した2種類の構造をもったローラを用い
て、少なくとも被成膜材料の外側面の中央部分に高品質
の交互吸着膜が形成されていれば、実用上支障は生じな
い。結局、上述した2種類の構造をもったローラを用い
ることにより、被成膜材料に皺がよることを防ぎつつ、
一方の面の主要部にローラが機械的に接触することを防
ぐごとができるようになるのである。
べておく。§1で述べたように、交互吸着膜の第1層目
を形成するためには、予め、被成膜材料の表面に初期電
荷を与えておく必要がある。たとえば、図2(a) に示す
例では、基板10の表面に負の初期電荷が与えられてお
り、この初期電荷に基づくクーロン力により、図2(b)
に示すように第1層目の膜が吸着することになる。この
ような初期電荷は、通常、化学的な前処理によって与え
ることができる。たとえば、ガラス繊維を被成膜材料と
して用いる場合、このガラス繊維を、エタノールで洗浄
後、たとえば、1重量パーセントの水酸化カリウムのエ
タノール溶液に1日漬けておき、再びエタノールで洗浄
し、更に純水で洗浄して乾燥させれば、ガラス繊維を構
成するファイバ表面を親水処理することができ、かつ、
OH−基の導入により表面を負に帯電させることができ
る。
理に代えて、物理的な処理により初期電荷を与える機能
を果たす。図8は、放電装置180の拡大正断面図であ
る。放電装置180には、右側ブロック部181と左側
ブロック部182とが設けられており、両ブロック部1
81,182の間には空隙が形成されている。ロール保
持部170に保持されたロール状の被成膜材料S′から
引き出された一端は、この空隙を通される。図8に示さ
れているように、右側ブロック部181の空隙面には、
針状電極183が多数形成されており、左側ブロック部
182の空隙面には、この針状電極183に対向する平
板電極184が形成されている。両電極183,184
間に所定の電圧を印加すると、被成膜材料S′を貫通し
てコロナ放電が生じ、このコロナ放電により被成膜材料
S′が負に帯電することになる。結局、ロール保持部1
70から引き出された被成膜材料S′に対して、循環路
へと向かう導入路上において、表面に初期電荷を与える
ための放電処理が行われることになる。このような放電
装置180を利用すれば、初期電荷を与えるための化学
的な前処理は不要になる。
て説明したが、本発明はこの実施形態に限定されるもの
ではなく、この他にも種々の形態で実施可能である。特
に、図5に示す装置における各水槽の配置や、ローラの
位置などは、設計上任意に変更することができるもので
ある。また、上述の例では、被成膜材料としてガラス繊
維を用いているが、被成膜材料としては、交互吸着膜を
形成する基材として適した材料であれば、どのようなも
のを用いてもかまわない。たとえば、ポリエステル、ナ
イロン、アクリル、絹、毛などの繊維は、フィルタを作
成するための被成膜材料として最適である。この他、ポ
リプロピレン、ポリウレタン、ポリスチレンなども被成
膜材料として適しており、これらの材料は、特に、放電
装置180による放電処理(15kV〜30kV程度の
高電圧を印加すればよい)により容易に初期電荷を与え
ることが可能である。もちろん、市販のエレクトレット
フィルター材料をそのまま被成膜材料として利用するこ
とも可能である。この場合、既に初期電荷が与えられた
状態となっているので、初期電荷を与えるための特別な
前処理は不要になる。また、金属シートや金属メッシュ
などの導電性材料を被成膜材料として利用することも可
能であるが、この場合、放電装置180を利用すること
はできないので、化学的な前処理により初期電荷を与え
る必要がある。たとえば、アルミニウムのメッシュであ
れば、1規定の塩酸に5分ほど浸しておくだけで、表面
に負の初期電荷を与えることができる。
溶液と、負の荷電粒子を含む溶液と、をそれぞれ一種類
ずつ用意して交互吸着膜を形成しているが、正の荷電粒
子を含む溶液を複数種類、あるいは負の荷電粒子を含む
溶液を複数種類用意して交互吸着膜を形成する場合に
も、本発明は適用可能である。たとえば、正の荷電粒子
を含む溶液として、溶液P1,P2の2種類を用意し、
負の荷電粒子を含む溶液として溶液Nを用意した場合で
あれば、第1の槽に溶液P1、第2の槽に溶液N、第3
の槽に溶液P2、第4の槽に溶液Nを収容し、第1の槽
から第4の槽に至るまで、この4つの各槽内を順次通
り、再び第1の槽内へと戻る循環路に沿って、環状の被
成膜材料を回転駆動させればよい(実用上は、各溶液槽
間にそれぞれリンス浴槽を設けるのが好ましい)。この
場合、被成膜材料上には、P1,N,P2,N,……と
いう層構成からなる交互吸着膜が形成される。もちろ
ん、負の荷電粒子を含む溶液も、溶液N1,N2の2種
類を用意するようにし、第1の槽に溶液P1、第2の槽
に溶液N1、第3の槽に溶液P2、第4の槽に溶液N2
を収容すれば、被成膜材料上には、P1,N1,P2,
N2,……という層構成からなる交互吸着膜が形成され
る。また、同極性の荷電粒子を含む溶液槽内を連続して
通すことも可能である。たとえば、正の荷電粒子を含む
溶液として、溶液P1,P2の2種類を用意し、負の荷
電粒子を含む溶液として溶液Nを用意した場合、第1の
槽に溶液P1、第2の槽に溶液P2、第3の槽に溶液N
を収容し、第1の槽から第3の槽に至るまで、この3つ
の各槽内を順次通り、再び第1の槽内へと戻る循環路に
沿って環状の被成膜材料を回転駆動させれば、被成膜材
料上には、P1,P2,N……という層構成からなる交
互吸着膜が形成される。もっとも、この場合、溶液P1
内の正の荷電粒子からなる層の厚みが大きくなりすぎる
と、溶液P2内の正の荷電粒子が吸着しなくなってしま
うので、各層の厚みは適当に設定する必要がある。この
他、成膜工程の途中段階において、ある特定の溶液を別
な溶液に入れ替える作業を行うようにすれば、途中から
成膜成分の異なる交互吸着膜を形成することも可能にな
る。
製造方法および製造装置によれば、環状の被成膜材料を
回転駆動させることにより異なる水槽間への交互搬送を
行うようにしたため、量産に適した交互吸着膜の製造が
可能になる。
ある。
電解質ポリマーが吸着する様子を示す概念図である。
おけるより具体的な吸着状態を示す概念図である。
成される交互吸着膜の構造を示す概念図である。
置の正断面図である。
のローラを示す図である。
のローラを示す図である。
0の詳細構造を示す正断面図である。
当)
Claims (11)
- 【請求項1】 正の荷電粒子を含む溶液と負の荷電粒子
を含む溶液とに被成膜材料を交互に複数回浸すことによ
り、多層構造を有する交互吸着膜を製造する方法におい
て、 一方の荷電粒子を含む溶液を収容した第1の溶液槽と、
他方の荷電粒子を含む溶液を収容した第2の溶液槽と、
を用意し、前記第1の溶液槽内から直接または他の槽を
介して間接的に前記第2の溶液槽内へと進み、前記第2
の溶液槽から直接または他の槽を介して間接的に再び前
記第1の溶液槽内へと戻る循環路を定義し、ロールに巻
装された帯状の被成膜材料を用意し、その先端を引き出
して前記循環路に沿って配置し、前記循環路を一巡する
長さだけ引き出したところで切断して両端を接合するこ
とにより環状の被成膜材料を作成し、前記環状の被成膜
材料を前記循環路に沿って回転させて複数回循環させる
ことにより、前記環状の被成膜材料の表面に循環させた
回数に応じた多層構造を有する交互吸着膜を形成させる
ことを特徴とする交互吸着膜の製造方法。 - 【請求項2】 請求項1に記載の交互吸着膜の製造方法
において、 被成膜材料の表面に付着した溶液を洗浄するための第1
のリンス浴槽および第2のリンス浴槽を用意し、第1の
溶液槽内、第1のリンス浴槽内、第2の溶液槽内、第2
のリンス浴槽内と順に進み、再び前記第1の溶液槽内へ
と戻る循環路を定義することを特徴とする交互吸着膜の
製造方法。 - 【請求項3】 正の荷電粒子を含む溶液と負の荷電粒子
を含む溶液とに被成膜材料を交互に複数回浸すことによ
り、多層構造を有する交互吸着膜を製造する装置であっ
て、 一方の荷電粒子を含む溶液を収容するための第1の溶液
槽と、 他方の荷電粒子を含む溶液を収容するための第2の溶液
槽と、 前記第1の溶液槽内から直接または他の槽を介して間接
的に前記第2の溶液槽内へと進み、前記第2の溶液槽か
ら直接または他の槽を介して間接的に再び前記第1の溶
液槽内へと戻る循環路に沿って、前記循環路を一巡する
長さをもった帯状の被成膜材料の両端を接合してなる環
状の被成膜材料の各部を搬送することにより、前記環状
の被成膜材料を前記循環路に沿って回転させて複数回循
環させる搬送装置と、 を備えることを特徴とする交互吸着膜の製造装置。 - 【請求項4】 請求項3に記載の交互吸着膜の製造装置
において、 被成膜材料の表面に付着した溶液を洗浄するための第1
のリンス浴槽および第2のリンス浴槽を更に備え、 搬送装置が、第1の溶液槽内、第1のリンス浴槽内、第
2の溶液槽内、第2のリンス浴槽内と順に進み、再び前
記第1の溶液槽内へと戻る循環路に沿って、環状の被成
膜材料を搬送することを特徴とする交互吸着膜の製造装
置。 - 【請求項5】 請求項4に記載の交互吸着膜の製造装置
において、 第1の溶液槽、第1のリンス浴槽、第2の溶液槽、第2
のリンス浴槽のうちの少なくとも1つの槽を、物理的に
分離した複数の個別槽によって構成し、 搬送装置が、複数の個別槽内を順に進むような循環路に
沿って、環状の被成膜材料を搬送することを特徴とする
交互吸着膜の製造装置。 - 【請求項6】 請求項5に記載の交互吸着膜の製造装置
において、 循環路に沿って合計N段の物理的に分離した槽が設けら
れており、第1段目〜第(N−1)段目の槽を順次隣接
配置し、これらの上方または下方位置に第N段目の槽を
配置したことを特徴とする交互吸着膜の製造装置。 - 【請求項7】 正の荷電粒子を含む溶液と負の荷電粒子
を含む溶液とに被成膜材料を交互に複数回浸すことによ
り、多層構造を有する交互吸着膜を製造する装置であっ
て、 複数N個の槽と、 第1の槽から第Nの槽に至るまで前記第N個の各槽内を
順次通り、再び前記第1の槽内へと戻る循環路に沿っ
て、前記循環路を一巡する長さをもった帯状の被成膜材
料の両端を接合してなる環状の被成膜材料の各部を搬送
することにより、前記環状の被成膜材料を前記循環路に
沿って回転させて複数回循環させる搬送装置と、 を備えることを特徴とする交互吸着膜の製造装置。 - 【請求項8】 請求項3〜7のいずれかに記載の交互吸
着膜の製造装置において、 搬送装置が、各槽内に設けられた槽内ローラと、槽外の
循環路上に設けられた槽外ローラと、を有し、環状の被
成膜材料を前記各ローラによって搬送する機能を果たす
ことを特徴とする交互吸着膜の製造装置。 - 【請求項9】 請求項8に記載の交互吸着膜の製造装置
において、 搬送装置が、槽内ローラの上下方向に関する位置を調整
する機構を有することを特徴とする交互吸着膜の製造装
置。 - 【請求項10】 請求項9に記載の交互吸着膜の製造装
置において、 各ローラのうち、環状の被成膜材料の第1の面に接触す
るローラは、ほぼ周面全体が被成膜材料に接触する構造
をなし、環状の被成膜材料の第2の面に接触するローラ
は、被成膜材料の搬送用部分のみに接触する構造をなす
ことを特徴とする交互吸着膜の製造装置。 - 【請求項11】 請求項3〜10のいずれかに記載の交
互吸着膜の製造装置において、 ロール状の被成膜材料を保持するロール保持部と、この
ロール保持部に保持された被成膜材料の一端を循環路へ
と導く導入路と、が設けられており、前記導入路上に、
被成膜材料の表面に初期電荷を与えるための放電装置が
設けられていることを特徴とする交互吸着膜の製造装
置。
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