JP2008112698A - 導電性基盤およびその製造方法並びに電子デバイス - Google Patents

導電性基盤およびその製造方法並びに電子デバイス Download PDF

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喜和子 大森
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Shizuhiro Kin
鎭浩 金
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Abstract

【課題】優れた機械的強度を有し、かつ良好な導電性を併せ持つ導電性基盤、及びその製造方法並び似電子デバイスを提供する。
【解決手段】本発明に係る導電性基盤1は、被処理体11と、この被処理体11の一面(被成膜面)11aに形成された多層構造体12とを備えている。多層構造体12は、被処理体11の一面(被成膜面)11aに、正の電荷をもつ第一の帯電膜13、負の電荷をもつ第二の帯電膜14の順に交互に重ねて配した多層構造を成す。このような多層構造体12は、第一の帯電膜13の正の電荷と、第二の帯電膜14の負の電荷との間で生じるクーロン力によって、第一の帯電膜13と第二の帯電膜14とが互いに強く結び付けられているとともに、被処理体とも強固に密着した形態をなす。
【選択図】図1

Description

本発明は、フレキシブル電極、エレクトロルミネッセンス発光素子、透明タッチパネル等に応用できる導電性基盤およびその製造方法並びに電子デバイスに関する。
従来、導電性基材を用いた電子デバイスが広く用いられている。この導電性基盤を構成する導電膜に用いられる導電性材料としては、導電性高分子がある。導電性高分子を用いた導電膜は、通常、導電性高分子を水などの溶剤に溶かし、ロールコートやディップコート、スピンコート、スプレーなど各種コーティング法にて被処理体に塗工して乾燥させることにより形成される。
ところが、前述した各種コーティング法では、分散溶液の粘度、揮発性など物理的な表面付着付着によるため、導電性高分子を成膜した際に塗膜強度が弱く、爪などで簡単に削り取られやすく、膜が被処理体上から剥離、あるいは脱落する虞があった。そのため、強度を要する部分に使用する際には、強度を要する面にスパッタ法などにより形成されたITO膜を用いるのが主流であった(例えば、特許文献1参照)。しかし、このようなITO膜は、生産性の面やコストの面から問題があった。
また、一般的に導電膜自体の塗膜強度を上げるため、導電性高分子を分散させた溶液に架橋性高分子を添加し、熱または光によって塗膜を架橋させる方法が知られているが、架橋性高分子の添加量を多くすると導電性が低下する問題があった。
特開平2−194943号公報
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、高分子電解質と導電性高分子の官能基由来のクーロン力、及び化学結合を形成させることで、多層構造体を構成する各層の膜内部や膜表面(界面)の機械的強度の向上を図った。従って、多層構造体と被処理体(基材)との密着性が高く、耐摩耗性および耐剥離性に優れ、良好な導電性を併せ持つ多層構造体を有する被処理体からなる導電性基盤を提供することを第一の目的とする。
また、多層構造体と被処理体(基材)との密着性が高く、耐摩耗性および耐剥離性に優れ、良好な導電性を併せ持つ多層構造体を有する被処理体からなる導電性基盤の製造方法を提供することを第二の目的とする。
更に、本発明は、従来の溶液分散型の単層塗布に比べて、低粘度かつ高密着性であり、段階的に膜厚制御された多層構造体を形成する。ゆえに、耐摩耗性および耐剥離性に優れた電子デバイスを提供することを第三の目的とする。
本発明の請求項1に記載の導電性基盤は、少なくとも被成膜面が絶縁性を有する被処理体、前記被処理体の被成膜面上に、正の電荷をもつ第一の帯電膜と、負の電荷をもつ第二の帯電膜とを交互に配してなる多層構造体、を備えたことを特徴とする。
本発明の請求項2に記載の導電性基盤は、請求項1において、前記第一の帯電膜は、ポリアリルアミン塩酸塩、またはポリエチレンイミンを含むことを特徴とする。
本発明の請求項3に記載の導電性基盤は、請求項1において、前記多層構造体の膜厚は、50nm〜1000nmの範囲であることを特徴とする。
本発明の請求項4に記載の導電性基盤は、請求項1ないし3のいずれか1項において、前記被処理体は、コロナで帯電処理した基材であることを特徴とする。
本発明の請求項5に記載の導電性基盤は、請求項1において、前記多層構造体は、前記第一の帯電膜と前記第二の帯電膜の段階成膜法により形成されることを特徴とする。
本発明の請求項6に記載の導電性基盤の製造方法は、少なくとも被成膜面が絶縁性を有する被処理体、前記被処理体の被成膜面上に、正の電荷をもつ第一の帯電膜と、負の電荷をもつ第二の帯電膜とを交互に配してなる多層構造体を備えたことを特徴とする導電性基盤の製造方法であって、
前記被処理体にコロナ放電処理を行うA工程と、前記第一の帯電膜を形成するB工程と、前記第二の帯電膜を形成するC工程とを備え、前記A工程を経た前記被処理体の被成膜面に対して、前記B工程、前記C工程の順に繰り返し行い、前記被処理体の被成膜面に前記多層構造体を形成することを特徴とする。
本発明の請求項7に記載の導電性基盤の製造方法は、請求項6において、前記B工程と前記C工程との間に、リンスを行なうD工程を更に備えたことを特徴とする。
本発明の請求項8に記載の導電性基盤の製造方法は、請求項6において、前記多層構造体は、前記第一の帯電膜と前記第二の帯電膜の段階成膜法により形成されることを特徴とする。
本発明の請求項9に記載の導電性基盤の製造方法は、請求項6ないし8のいずれか1項において、前記被処理体として、コロナで帯電処理したポリエチレンテレフタレートフィルムを用いることを特徴とする。
本発明の請求項10に記載の電子デバイスは、少なくとも被成膜面が絶縁性を有する被処理体、前記被処理体の被成膜面上に、正の電荷をもつ第一の帯電膜と、負の電荷をもつ第二の帯電膜とを交互に配してなる多層構造体、を備えた導電性基盤を用いたことを特徴とする。
本発明の請求項10に記載の電子デバイスは、請求項10において、前記被処理体は、コロナで帯電処理した基材であることを特徴とする。
本発明によれば、帯電処理された被処理体と第一の帯電膜とがクーロン力によって強く結び付けられ、また、正の電荷をもった第一の帯電膜と、負の電荷をもった第二の帯電膜とがクーロン力によって強く結び付けられるため、第一、第二の帯電膜からなる多層構造体と被処理体との密着性が高い。従って、被処理体の上に多層構造体を重ねて配する構造としたことにより導電性を良好に保ちつつ、基板に対する密着性を高めて表面の耐摩耗性および耐剥離性に優れた導電性基盤を得ることができる。
また、本発明によれば、コロナ放電処理により被処理体に負の電荷を帯電させた後、正の電荷を持つ第一の帯電膜と負の電荷をもつ第二の帯電膜とを交互に形成する工程を備えているので、被処理体および第一の帯電膜と第二の帯電膜とが互いにクーロン力によって強固に結び付けられた導電性基盤の製造方法を提供できる。
さらに、本発明によれば、被処理体および第一の帯電膜と第二の帯電膜とが互いにクーロン力によって強固に結び付けられた導電性基盤を備えることによって、化学的な内部結合のない単層のみの塗布に比べて機械的強度が高い。例えばタッチパネルなどのように、導電性基盤の表面が圧力や擦動作用なとの物理的衝撃を受けた際に、耐摩耗性および耐剥離性に優れた電子デバイスを提供できる。
以下、本発明に係る配線基板の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明に係る導電性基盤の一例を示す断面図である。ここに示す導電性基盤1は、被処理体11と、この被処理体11の一面(被成膜面)11aに形成された多層構造体12とを少なくとも備えている。
被処理体11は、その上に導電性の多層構造体12を形成して、その導電性を確保する目的から、被処理体11の一面(被成膜面)11aは少なくとも絶縁性を備えていれば良く、特に限定されるものではないが、透明性を考慮する必要があるならば、例えば、透明なフィルムまたはガラスが好ましい。これに加えて、軽量性、耐久性および透明性を考慮するならば、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)などのポリエステルやポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリエーテルスルフォンで作られた透明性を有する高分子材料からなるフィルム等が挙げられる。特に、タッチパネルなどに適用した際に、指やペン等にて印圧される側に位置する被処理体11は、印圧に応じて柔軟に上下電極の接触を促す必要があることから、可撓性を備えた部材が好ましい。
被処理体11の厚さは、タッチパネル10として使用することを考慮すると、100nm〜250nm、好ましくは120nm〜190nmの範囲とすればよい。被処理体11の厚さが100nm未満であると、機械的強度が不足し、実用に供するのに十分な耐久性を得ることができず、一方、厚さが250nmより大きいと、タッチパネル10としての柔軟性が損なわれる虞がある。
多層構造体12は、被処理体11の一面(被成膜面)11aに、正の電荷をもつ第一の帯電膜13、負の電荷をもつ第二の帯電膜14の順に交互に重ねて配した多層構造を成す。このような多層構造体12は、第一の帯電膜13の正の電荷と、第二の帯電膜14の負の電荷との間で生じるクーロン力によって、第一の帯電膜13と第二の帯電膜14とが互いに強く結び付けられている。また、被処理体11にコロナ放電処理を行うことで、被処理体11の一面(被成膜面)11aと、第一の帯電膜13とがクーロン力によって強く結び付けられる。
こうして、第一の帯電膜13と第二の帯電膜14との間、および第一の帯電膜13と第二の帯電膜14とから構成される多層構造体12と被処理体11との間は、それぞれクーロン力によって強く結び付けられ、導電性基盤1は全体として機械的強度に優れた強い一体性が保たれる。
第一の帯電膜13としては、具体的には、例えば、ポリアリルアミン塩酸塩(PAH)が好ましく挙げられる。またPAH以外にも、例えば、ポリエチレンイミン(PEI)、ポリアニリン(PANi)、ポリピロール、ポリパラフェニレン(+)、ポリパラフェニレンビニレンなどが挙げられる。
第二の帯電膜14としては、具体的には、例えば、ポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)、ポリスチレンスルホン酸(PSS)が好ましく挙げられる。またPEDOT/PSS以外にも、例えば、ポリアクリル酸(PAA)、ポリメタクリル酸、ポリパラフェニレン(−)などが挙げられる。
このような構成の本発明の導電性基盤1によれば、正の電荷をもった第一の帯電膜13と、負の電荷をもった第二の帯電膜14とがクーロン力によって強く結び付けられ、また、被処理体11と第一の帯電膜13とがクーロン力によって強く結び付けられるので、導電性基盤1は、導電性を確保しつつ、機械的強度に優れた構成とすることができる。例えば、タッチパネルなどの電子デバイスにおける透明導電膜として使用することで、耐剥離性に優れた高寿命な透明導電膜とすることができる。
一層あたりの第一の帯電膜13の膜厚は、例えば、1nm〜100nm、好ましくは10nm〜50nmの範囲とすればよい。また、一層あたりの第二の帯電膜14の膜厚は、例えば、10nm〜500nm、好ましくは10nm〜200nmの範囲とすればよい。
第一の帯電膜13と第二の帯電膜14の交互積層数は、例えば、5〜60層、好ましくは10〜30層の範囲とすればよく、全体として、多層構造体12の厚みは、例えば、50nm〜2000nm、好ましくは100nm〜1000nmの範囲とするのが好ましい。これらの範囲は、第一の帯電膜13や第二の帯電膜14に用いる材料の種類や、それぞれの表面のラフネスにより、適宜、選択されるものである。
また、第一の帯電膜13は、第二の帯電膜14よりも膜厚を薄く形成するのが好ましい。正の電荷をもつ第一の帯電膜13を負の電荷をもつ第二の帯電膜14よりも薄くすることによって、第一の帯電膜13を挟んで重ねられた第二の帯電膜14どうしが電気的に接続されるようになり、多層構造体12全体として電気的な抵抗を下げることができる。これによって、例えば、タッチパネルとして用いた場合に、低消費電力で高感度に接触地点の位置情報を得ることができるようになる。その際、第一の帯電膜13と第二の帯電膜14との膜厚の比率は、例えば、1:1〜1:10の範囲が好ましい。この範囲は、第一の帯電膜13や第二の帯電膜14に用いる材料の種類や、それぞれの表面のラフネスにより、適宜、選択されるものである。
本発明の導電性基盤1の適用例として、タッチパネルについて説明する。
図2と図3は、本発明に係る導電性基盤1を用いた電子デバイスであるタッチパネルの一例を示す図である。特に、図2はタッチパネルの主な構成部品を厚み方向に分解して示した斜視図であり、図3は、タッチパネルの動作原理を説明する概略図である。
図2に示すように、タッチパネル20は、上述した構成の導電性基盤1を、上部電極用の第一の導電性基盤(以下、「上部電極」という場合がある。)1Aおよび下部電極用の第二の導電性基盤(以下、「下部電極」という場合がある。)1Bとして用い、両電極(上部電極1A、下部電極1B)同士が対向するように、スペーサ3を介して設けてなる構成を有する。
その際、ペンなどの筆記治具により外部から印圧され、厚み方向に変形することが求められる上部電極1Aとしては、例えば可撓性基材の被処理体が好ましく、一方、上記変形を要しない下部電極1Bとしては、剛性基材のガラスや樹脂からなる被処理体が望ましい。この構成によれば、上部電極1Aに外側から局所的に押圧を加えることにより、上部電極1Aが内側に撓み、押圧を加えた箇所において上部電極1Aと下部電極1Bとを電気的に接触させることが可能となる。なお、上部電極1Aの外側には、必要に応じて硬質の保護膜Hが配置される。
また、第一の導電性基盤1Aと第二の導電性基盤1Bの対向する面の上には、それぞれ引き回し線2A,2Bが設けられるとともに、何れか一方の対向面(図では第二の導電性基盤1B)の上にドットスペーサ5が設けられている。ドットスペーサ5を設置しておけば、例えば第一の導電性基盤1Aが自重により内側に撓み、第二の導電性基盤1Bと接触してしまうような誤動作を回避できる。換言すると、所定の押圧が局所的に加わった際に初めて、上部電極1Aと下部電極1Bとの間で電気的な接触が生じ、その結果、この接触地点の位置情報が高精度に把握できるようになるので、ドットスペーサ5を適宜設置することは好適である。
引き回し線2A,2Bは、上部電極1A及び下部電極1Bにおける対向する一対の両端側に平行してそれぞれ設けられ、上部電極1Aと下部電極1Bとでは、引き回し線2A,2Bが直交する位置関係に配置されている。この引き回し線2A,2Bの材料としては、具体的には、たとえば、導電性に優れた銀を用いることができる。
また、引き回し線は銀に限らず、金や銅、もしくはニッケルなどの金属、あるいはカーボンなどの導電性を有するものとすることもできる。この引き回し線の形成方法としては、たとえば、スクリーン印刷、オフセット印刷、グラビア印刷などの印刷法、またはフォトレジスト法や刷毛塗法などがある。
スペーサ3は、上部電極1Aと下部電極1Bととが無闇に接触しないように保持するものである。このスペーサ3の材料としては、例えば、アクリル系粘着剤を用いることができる。
ドットスペーサ5は、たとえば、数十μm程度の高さを持った半球状、円錐状、または円柱状をした突起体であり、下部電極を構成する第二の導電性基盤1Bにおける第二の透明導電膜13上に一定の間隔をあけて形成されている。ドットスペーサ5の材料としては、たとえば、アクリル系樹脂などの透明性を有する絶縁材料が挙げられる。
このドットスペーサ5により、上部電極を構成する第一の導電性基盤1Aと、下部電極を構成する第二の導電性基盤1Bとが無闇に接触しないように保持される構造となり、長期にわたる安定したスイッチ動作の維持および情報入力時における高精度な位置検出が可能となっている。
タッチパネル20は、透明抵抗(導電)膜が設けられた一対の導電性基盤よりなる上部電極1Aと下部電極1Bを、透明導電膜側同士が向い合う方向に貼り合わせ、上部電極1A側の基板の上から指やペンを用いて押圧することで、上部電極1Aが大きく撓んで透明導電膜同士が接触し、導通状態となった点の電圧から位置を検出することでタッチパネル入力が行われる。すなわち、この上下に向い合った上部電極1Aと下部電極1Bは、一方でX座標回路を構成し、もう一方でY座標回路を構成している。
したがって、X座標の検出は、上部電極1Aに電圧を印加すると導電性高分子の抵抗によって引き回し線間2A、2A方向に電圧勾配ができ、押圧接触点での分圧比Rx1,Rx2を測定することによりX座標がわかる。また、Y座標の検出は、下部電極1Bに電圧を印加すると導電性高分子の抵抗によって引き回し線間2B、2B方向に電圧勾配ができ、押圧接触点での分圧比Ry1,Ry2を測定することによりX座標がわかる。
以下、本発明の導電性基盤の具体的な構成例などを述べる。
水を溶媒とした場合、導電性高分子の分類(基本的に水溶性の官能基を持つ高分子)として、カチオン性高分子(第一の帯電膜:PANI−DMAC:ノニオン高分子を錯化し、カチオンとしたもの)、アニオン性高分子(第二の帯電膜:PEDOT−PSS、PANI−DMAC−PSS)などが挙げられる。上記の例のように、一般的にはカチオン性の官能基を有するもの(アミン、イミン、アミド)、アニオン性の官能基を有するもの(カルボキシル、スルホル)と分類される。
また、PEG、PEO、PVAなども、低濃度(粘度の影響が受けない程度)において、吸着されている例も紹介されている。しかしながら、官能基由来の方が、製膜性、吸着性に優れる。上記以外に、それらを含む共重合体(AMDC(アクリルアミド)−co−PAA、AMDC−PSS)、EDTA(エチレンジアミンテトラアミン)、NTAなど高分子電解質をキレート配位した高分子電解質なども紹介されている(PAH−EDTA/PAH)+Cu(PAA−NTA/PAA)など。疎水性導電性高分子としては、PXT、Pryなど水に溶けない高分子、化学吸着よりも重合に近い。(段階的な膜成長よりも、表面で緩やかに重合する)
親水性の高分子の場合、対をなす高分子電荷質の官能基が、静電相互的な化学結合を形成するため、基板との密着性が高い。疎水性の場合は、メタノール等の溶媒に分散し、高分子間の水素結合により成膜される。PANiをアニオンとした場合も、対をなす高分子電荷質の官能基が、静電相互的な化学結合を形成するため、段階的な化学結合が観測される(紫外可視分光光度計)。
以下、非特許文献(1)〜(7)を参照して、多層構造体の詳細な構成と製造方法について述べる。
非特許文献(1)S.S.Shiratori, M.F.Rubner, Macromolecules.33(2000)4213.
非特許文献(2)J.D.Mendelsohn, C.J.Barrett, V.V.Chan,A.J.Pal, A.M.Mayes, M.F.Rubner Langmuir 16(2000)5017.
非特許文献(3)R.A.MacAlaney, M.Sinyor, V.Duclnik, M.C.Goh, Langmuir,17(2001)6655.
非特許文献(4)S.Fujita, S.Shiratori, Thin solid films.499(2004)59.
非特許文献(5)K.Fujimoto, S.Fujita, S.Shiratori, J.Appl.Phys.44(2005)
非特許文献(6)Decher.G, Hong.J.D. and J.Schmit: Thin Solid Films, 210/211, p.831(1992)
非特許文献(7)A.C.Fon, O.Onitsuka, M.Ferreira, B.R. Hsieh and M.F.Rubner: J.Appl. Phys. 79(10) 15 May(1996)
非特許文献(1)において、第一の帯電膜(カチオン高分子膜)と第二の帯電膜(アニオン高分子膜)を膜厚制御する方法が開示されており、高分子電解質のpHの変化により膜厚が増減することが記載されている。特に、弱電解質(PAH、PEI、PAA)は、特定の溶液条件(分子量、濃度、pH)において溶液中で球状に近い形態(コイル状、ループ状)をとるため、分子量が多い程、凝集した状態で吸着し、膜成長が促進されることが説明されている。これと同様な内容が非特許文献(2)にも開示されている。
また、非特許文献(1)には、弱電質高分子(PAH、PEI、PAAなど)の場合、pHにより膜厚制御が可能であることが開示されている。さらに、非特許文献(3)には、強電質高分子(PDDA、PSSなど)の場合、中性領域で塩の添加することで、膜厚が制御できることが開示されている。また、本発明者らは、浸漬時間、リンス工程により、膜厚、膜構造制御を可能であることを非特許文献(4),非特許文献(5)に開示している。
また、非特許文献(1)には、膜形態の制御として、多孔質化、表面吸着性の選択が挙げられる。電解質高分子の分子量は、高分子電解質の分子量に比例して、多孔質な膜が得られること(例:PEI/PSS(PEI:10k、70K))、弱電質高分子(PAH、PEI、PAAなど)の場合、特定のpH条件で多孔質膜を形成することが可能であることが開示されている。非特許文献(2)にも、PAH等の弱電質高分子の場合、特定のpH条件で多孔質膜を形成できることが記載されている。また、非特許文献(3)には、強電質高分子(PDDA、PSSなど)の場合、塩の添加することで、形態が制御できること、更に、酸、アルカリ処理により、化学結合が解離するため、膜構造を変化させることができることが記載されている。
PAH、PEIなど弱電質のカチオンの場合、pHにより水溶液中で解離状態が変化するため、珠状に近い状態で積層でき、比較的少ない積層数で吸着量の高い膜を得ることができる。例として、PEDOT、もしくはPANiをアニオン性の高分子色素として用いた場合、積層数の増加とともに吸着量の変化を色調(濃淡)の変化として、目視でも確認できる。また、多層構造体を数μm以上程度まで積層すると、高分子の過剰吸着によって膜質(透過率、ヘイズ率)が減少する。そこで、導電性高分子を比較的透明を維持できる状態まで積層することが好ましい。
次に、多層構造体を備えた本発明の導電性基盤の製造方法について述べる。多層構造体とは、もともと複合有機薄膜を作成する方法として、非特許文献(6)に開示された方法により作成される膜であり、その作成プロセスにおいて、交互吸着(Layer-by-Layer Electrostatic Self-Assembly)の手法が利用される。
G.デッカーらによって発表された基本的な方法によれば、まず、正の電解質ポリマー(カチオン)の水溶液と、負の電解質ポリマー(アニオン)の水溶液とが別々の容器に用意される。そして、これらの容器に、初期表面電荷を与えた基板(被成膜材料)を交互に浸すことにより、基板上に多層構造を有する複合有機超薄膜(多層構造体)が得られる。たとえば、被成膜材料としてガラス基板を用いた場合、このガラス基板の表面を親水処理して表面にOH−基を導入して、初期表面電荷として負の電荷を与える。そして、この表面が負に帯電した基板を、正の電解質ポリマー水溶液に浸せば、クーロン力により、少なくとも表面電荷が中和されるまで正の電解質ポリマーが表面に吸着し、1層の超薄膜が形成される。こうして形成された超薄膜の表面部分は、正に帯電していることになる。
次に、今度はこの基板を負の電解質ポリマー水溶液に浸せば、クーロン力により負の電解質ポリマーが吸着し、1層の超薄膜が形成されることになる。このようにして、基板を2つの容器に交互に浸すことにより、正の電解質ポリマーからなる超薄膜層と負の電解質ポリマーからなる超薄膜層とを交互に成膜することができ、多層構造をもった複合有機薄膜を形成することができる。
最近では、非特許文献(7)において、M.F.ルブナーらによって交互吸着膜の製造を自動化する技術が発表されており、交互吸着膜の自動製造装置の構成が提案されている。この装置を用いれば、被成膜材料となる基板がロボットアームにより2つの水槽に交互に浸されるので、基板上に交互吸着膜が自動的に成膜される。また、例えば、膜厚を正確に制御する成膜方法や、交互吸着膜の量産に適した装置としては、特願2001−062286号公報に開示された技術が好適である。
ここでは、まず、この交互吸着膜(多層構造体)の基本的な製造原理を述べておく。図4は、一般的な交互吸着膜の製造原理を示す概念図である。図4において、第1の槽100には、正の電解質ポリマー(カチオン)の水溶液が入れられており、第2の槽200には、負の電解質ポリマー(アニオン)の水溶液が入れられている。ここで、被成膜材料として、たとえばPETなどの被処理体11を用意する。そして、まず、コロナ放電処理により、被処理体11の表面を親水処理してから、その表面にアニオン性の官能基(水酸基、カルボキシル基、カルボニル基)を導入し、初期表面電荷として負の電荷を与える(A工程)。
続いて、この負に帯電した被処理体11を第1の槽100内に入れると、被処理体11の表面に正の電解質ポリマーが接触し、クーロン力により吸着され、正の電荷をもつ第一の帯電膜が形成される(B工程)。
続いて、この被処理体11を第2の槽200内に入れると、今度は、被処理体11の表面に負の電解質ポリマーが接触し、クーロン力により吸着され、第一の帯電膜の上に負の電荷をもつ第二の帯電膜が形成される(C工程)。このように、被処理体11を第1の槽100と第2の槽200とに交互に浸漬させてゆけば、被処理体11の表面には、正の電荷をもつ第一の帯電膜と、負の電荷をもつ第二の帯電膜とが交互に成膜されてゆくことになり、最終的に多層構造をもった交互吸着膜(多層構造体)が形成される。
この吸着処理に用いる電解質ポリマーの濃度やpH値、吸着時間などの条件によって、ポリマー分子内のセグメント間のクーロン力による反発が大きくなったり小さくなったり変化するため、分子の充填密度は、これらの条件に左右されることになる。したがって、これらの条件の設定次第によって、非常に薄い膜を形成することも、比較的厚い膜を形成することも可能になる。各層の厚みは、浸漬処理の時間によって制御することが可能である。すなわち、ある程度の厚みに達すると、電気的中和によりクーロン力が作用しなくなるため吸着は飽和点を迎えることになるが、この飽和点に至るまでは、浸漬時間が長ければ長いほど膜厚は厚くなる。
なお、図5に示すように、被処理体11に第一の帯電膜を形成する工程(B工程)と、被処理体11に第二の帯電膜を形成する工程(C工程)との間に、更に、純水が入れられた第3の槽300に浸して、リンスを行う工程(D工程)を経るようにしても良い。リンス工程(D工程)を行うことによって、第1の槽100や第2の槽200を清浄に保つことができるとともに、形成される第一の帯電膜や第二の帯電膜の表面に汚れなどが取り込まれることを防止できる。また、第1の槽100を経た被処理体11と、第2の槽200を経た被処理体11とで、リンス工程(D工程)を行う第3の槽300をそれぞれ個別に用意すれば、第3の槽300に正の電荷と負の電荷が混在して化学反応を引き起こすことを防止できるので、より好ましい。
(実験例)
本出願人は、本発明の効果を検証した。検証にあたって、本発明に対応する導電性基盤と、従来の導電性基盤とを用意した。そして、これら各実験例の導電性基盤において、導電性、帯電膜の強度、帯電膜の耐剥離性について検証した。
(交互吸着法)
交互吸着法(段階成膜法)によるサンプルの形成は、被処理体にコロナ放電処理を施し、この後、それぞれの実験例に対応する帯電膜を形成した。本発明例による交互吸着膜(多層積層体)の形成は、被処理体にコロナ放電処理を施した後、
1.被処理体を第一の導電膜を形成する槽に浸漬 10分
2.リンス 3分〜リンス 1分〜リンス 1分
3.被処理体を第二の導電膜を形成する槽に浸漬 10分
4.リンス 3分〜リンス 1分〜リンス 1分
上記1〜4を1サイクルとして、各サンプルに対応した積層数だけ繰り返すことによって、交互吸着膜(多層積層体)を形成した。リンスには純水を用いた。
(塗布法)
塗布法によるサンプルの形成は、被処理体にコロナ放電処理を施した後、バーコーターによって帯電膜を塗布形成した。
導電性の評価は、従来の実験例の導電性を100とした時に、75〜125を○、50〜75を△、50以下を×とした。膜の強度の評価は、含水させたベンコットワイパーを用いて、それぞれのサンプルを10回ラビングした後に抵抗値の変化を測定し、サンプルのラビング前を100とした時に、抵抗値の変化が100%以下を○、50%以下を△、∞を×とした。耐剥離性は、セロハンテープを帯電膜の表面に貼着した後に剥離させて抵抗値の変化を測定し、セロハンテープの剥離前を100とした時に、抵抗値の変化が100%以下を○、50%以下を△、∞を×とした。
(検証1)
以上、記載した条件に基づいて、まず検証1として、表1に示すように、4つのサンプル(実験例B−1,B−7,A−1,A−4)を用意した。
(実験例B−1)PET基板上に、第一の帯電膜(カチオン膜:PAH)と第二の帯電膜(アニオン膜:PEDOT/PSS)を交互吸着法によって交互に30層ずつ形成。
(実験例B−7)PET基板上に、第一の帯電膜(カチオン膜:PAH)と第二の帯電膜(アニオン膜:PANi)を交互吸着法によって交互に30層ずつ形成。
(実験例A−1)PET基板上に、PEDOT/PSSをバーコーターにより単層コーティング(実験例B−1に相当する膜厚)。
(実験例A−4)PET基板上に、PANiをバーコーターにより単層コーティングした(実験例B−7に相当する膜厚)。
Figure 2008112698
表1より以下の検証結果が得られた。
(1−1)導電性:実験例B−1,B−7は、塗布によって形成した単一の導電膜の実験例A−1,A−4と比較して、導電性は同等に保たれている。
(1−2)膜の強度:実験例A−1,A−4は、10回ラビング後の抵抗値の変化が無限大であった。実験例B−1,B−7では、抵抗値の変化が100%以下にとどまり、優れた膜の強度を実現している。
(1−3)耐剥離性:実験例A−1,A−4がセロハンテープを帯電膜の表面に貼着した後に剥離させた抵抗値の変化が無限大であった。実験例B−1,B−7では、抵抗値の変化が100%以下にとどまり、優れた耐剥離性を実現している。
(検証2)
次に、検証2として、表2に示すように、5つのサンプル(実験例B−1,B−2,B−3,A−2,A−3)を用意した。
(実験例B−1)PET基板上に、第一の帯電膜(カチオン膜:PAH)と第二の帯電膜(アニオン膜:PEDOT/PSS)を交互吸着法によって交互に10層ずつ形成。
(実験例B−2)PET基板上に、第一の帯電膜(カチオン膜:PAH)と第二の帯電膜(アニオン膜:PEDOT/PSS)を交互吸着法によって交互に20層ずつ形成。
(実験例B−3)PET基板上に、第一の帯電膜(カチオン膜:PAH)と第二の帯電膜(アニオン膜:PEDOT/PSS)を交互吸着法によって交互に30層ずつ形成。
(実験例A−2)PET基板上に、第二の帯電膜(アニオン膜:PEDOT/PSS)を塗布法によって1層形成。
(実験例A−3)PET基板上に、第二の帯電膜(アニオン膜:PANi)を塗布法によって1層形成。
Figure 2008112698
表2より以下の検証結果が得られた。
(2−1)導電性:実験例B−1,B−2,B−3によれば、多層構造体の積層数を30層にすることによって、実験例A−1,A−4と同等の導電性が保たれる。
(2−2)膜の強度:実験例A−2,A−3は、10回ラビング後の抵抗値の変化がそれぞれ50%以下、無限大であった。実験例B−1,B−2,B−3では、抵抗値の変化がいずれも100%以下にとどまり、優れた膜の強度を実現している。
(2−3)耐剥離性:実験例A−2,A−3は、セロハンテープを帯電膜の表面に貼着した後に剥離させた抵抗値の変化が無限大であった。実験例B−1,B−2,B−3では、抵抗値の変化がいずれも100%以下にとどまり、優れた耐剥離性を実現している。
(検証3)
次に、検証3として、表3に示すように、8つのサンプル(実験例B−4,B−5,B−6,B−8,B−9,B−10,A−2,A−3)を用意した。
(実験例B−4)PET基板上に、第一の帯電膜(カチオン膜:PEI)と第二の帯電膜(アニオン膜:PEDOT/PSS)を交互吸着法によって交互に10層ずつ形成。
(実験例B−5)PET基板上に、第一の帯電膜(カチオン膜:PEI)と第二の帯電膜(アニオン膜:PEDOT/PSS)を交互吸着法によって交互に20層ずつ形成。
(実験例B−6)PET基板上に、第一の帯電膜(カチオン膜:PEI)と第二の帯電膜(アニオン膜:PEDOT/PSS)を交互吸着法によって交互に30層ずつ形成。
(実験例B−8)PET基板上に、第一の帯電膜(カチオン膜:PEI)と第二の帯電膜(アニオン膜:PANi)を交互吸着法によって交互に10層ずつ形成。
(実験例B−9)PET基板上に、第一の帯電膜(カチオン膜:PEI)と第二の帯電膜(アニオン膜:PANi)を交互吸着法によって交互に20層ずつ形成。
(実験例B−10)PET基板上に、第一の帯電膜(カチオン膜:PEI)と第二の帯電膜(アニオン膜:PANi)を交互吸着法によって交互に30層ずつ形成。
(実験例A−2)PET基板上に、第二の帯電膜(アニオン膜:PEDOT/PSS)を塗布法によって1層形成。
(実験例A−3)PET基板上に、第二の帯電膜(アニオン膜:PANi)を塗布法によって1層形成。
Figure 2008112698
表3より以下の検証結果が得られた。
(3−1)導電性:
(3−1−1)実験例A−2,A−3の導電性を100としたとき、第二の帯電膜にPEDOT/PSSを用いた実験例では、交互吸着膜の積層数が20層以下で50〜75に留まった。
(3−1−2)第二の帯電膜にPANiを用いた実験例では、交互吸着膜の積層数が20層以上で従来の実験例と同等の導電性が確保されることが確認された。
(3−2)膜の強度:
(3−2−1)実験例A−2,A−3は、サンプルを10回ラビングした後の抵抗値の変化がそれぞれ50%以下または無限大であった。
(3−2−2)実験例B−4,B−5,B−6および実験例B−8,B−9,B−10のいずれにおいても、抵抗値の変化は100%以下に留まり、優れた膜の強度を実現していることが確認された。
(3−3)耐剥離性:
(3−3−1)実験例A−2,A−3では、セロハンテープを帯電膜の表面に貼着した後に剥離させた抵抗値の変化が50%以下であった。
(3−3−2)実験例B−4,B−5,B−6および実験例B−8,B−9,B−10のいずれにおいても、抵抗値の変化は100%以下に留まり、優れた耐剥離性を実現していることが確認された。
これら検証例1〜3に示す結果から、単一の帯電膜の導電性基盤と比較して、交互吸着膜(多層構造体)をもつ導電性基盤は、導電性を従来の単一の帯電膜と同等に維持しつつ、膜の強度および耐剥離性のいずれにおいても優れていることが確認された。また、交互吸着膜(多層構造体)の積層数が多くなるほど、導電性が向上することが確認された。
(検証4)
次に、上述した導電性基盤を備えたタッチパネル(電子デバイス)において(図2参照)、その効果を検証4として検証した。検証にあたって、表4に示すように、4つのサンプル(タッチパネルα,β,γ,δ)を用意した。
(タッチパネルα)実験例B−2の交互吸着膜(多層構造体)をもつ導電性基盤を適用した。
(タッチパネルβ)実験例B−3の交互吸着膜(多層構造体)をもつ導電性基盤を適用した。
(タッチパネルγ)実験例A−1の単一膜をもつ導電性基盤を適用した。
(タッチパネルδ)実験例A−2の単一膜をもつ導電性基盤を適用した。
これら4種類のタッチパネルを用いて、平坦性、透明性、打鍵試験、筆記試験、耐熱試験、耐湿熱試験をそれぞれ行った。
Figure 2008112698
平坦性は、±1.5%以内を○、±1.5%より外れるものを×とした。
透明性は、透過率が80%以上を○、80%以下を×とした。
打鍵試験は、シリコンラバーを用いて250gの加重をかけつつ3回/秒サイクルで200万回の繰り返し打鍵を行い、打鍵前を100とした時に、打鍵後の平坦性の変化が50%未満を○、50%以上100%未満を△、100%以上を×とした。
筆記試験は、0.8Rのペンを用いて、10万文字の筆記を行い、筆記前を100とした時に、筆記前と筆記後の平坦性の変化が50%未満を○、50%以上100%未満を△、100%以上を×とした。
耐熱試験は、80℃の環境下で500時間静置し、経過前を100とした時に、経過前と経過後の平坦性の変化が50%未満を○、50%以上100%未満を△、100%以上を×とした。
耐湿熱試験は、60℃95%RHの環境下で500時間静置し、経過前を100とした時に、経過前と経過後の平坦性の変化が50%未満を○、50%以上100%未満を△、100%以上を×とした。
検証4の結果を表4に示す。
表4より以下の検証結果が得られた。
(4−1)平坦性:多層構造体の積層数が30層以上(タッチパネルβ)であれば±1.5%以内に保たれ、単層膜を用いた従来のタッチパネルγ、δと同等の平坦性が保たれることが確認された。
(4−2)透明性:多層構造体を用いたタッチパネルα,βは透過率80%以上を維持した。導電膜としてPANiの単層膜を用いたタッチパネルδは透過率が80%以下であったのと比較して、優れた透明性を維持していることが確認された。
(4−3)打鍵試験:多層構造体を用いたタッチパネルα,βはいずれも200万回の繰り返し打鍵後も平坦性の変化が50%未満であった。単層膜を用いたタッチパネルγ,δでは平坦性の変化が50%以上100%未満,100以上となり、本発明の多層構造体を適用したタッチパネルは、優れた耐打鍵性能が得られた。
(4−4)筆記試験:多層構造体を用いたタッチパネルα,βはいずれも10万文字の筆記試験後も平坦性の変化が50%未満であった。単層膜を用いたタッチパネルγ,δでは、平坦性の変化がそれぞれ100%以上,50%以上100%未満となり、本発明の多層構造体を適用したタッチパネルは、優れた耐筆記性能が得られた。
(4−5)耐熱試験:多層構造体を用いたタッチパネルα,βはいずれも80℃/500時間静置後の平坦性の変化が50%未満であった。単層膜を用いたタッチパネルγ,δでは平坦性の変化がそれぞれ100%以上,50%以上100%未満となり、本発明の多層構造体を適用したタッチパネルは、優れた耐熱性能が得られた。
(4−6)耐湿熱試験:多層構造体を用いたタッチパネルα,βはいずれも60℃95%RH/500時間静置後の平坦性の変化が50%未満であった。単層膜を用いたタッチパネルγ,δでは、いずれも平坦性の変化が100%以上となり、本発明の多層構造体を適用したタッチパネルは、優れた耐湿熱性能が得られた。
筆記試験、耐熱試験、耐湿熱試験など、実際にタッチパネルとして使用される環境において必須とされる項目で、交互吸着膜(多層構造体)をもつ導電性基盤をタッチパネルに用いることによって、従来の単層膜をもつ導電性基盤を適用したタッチパネルと比較して、特に優れた性能を得られることが判明した。
本発明に係る導電性基盤の一例を示す断面図である。 本発明に係る電子デバイス(タッチパネル)の一例を示す分解斜視図である。 本発明に係る電子デバイスの作用を示す説明図である。 本発明に係る導電性基盤の製造方法の一例を示す断面図である。 本発明に係る導電性基盤の製造方法の他の一例を示す断面図である。
符号の説明
1 導電性基盤、11 被処理体、12 多層構造体、13 第一の帯電膜、14 第二の帯電膜。

Claims (11)

  1. 少なくとも被成膜面が絶縁性を有する被処理体、
    前記被処理体の被成膜面上に、正の電荷をもつ第一の帯電膜と、負の電荷をもつ第二の帯電膜とを交互に配してなる多層構造体、
    を備えたことを特徴とする導電性基盤。
  2. 前記第一の帯電膜は、ポリアリルアミン塩酸塩、またはポリエチレンイミンを含むことを特徴とする請求項1に記載の導電性基盤。
  3. 前記多層構造体の膜厚は、50nm〜1000nmの範囲であることを特徴とする請求項1に記載の導電性基盤。
  4. 前記被処理体は、コロナで帯電処理した基材であることを特徴とする請求項1に記載の導電性基盤。
  5. 前記多層構造体は、前記第一の帯電膜と前記第二の帯電膜の段階成膜法により形成されることを特徴とする請求項1に記載の導電性基盤。
  6. 少なくとも被成膜面が絶縁性を有する被処理体、前記被処理体の被成膜面上に、正の電荷をもつ第一の帯電膜と、負の電荷をもつ第二の帯電膜とを交互に配してなる多層構造体を備えたことを特徴とする導電性基盤の製造方法であって、
    前記被処理体にコロナ放電処理を行うA工程と、前記第一の帯電膜を形成するB工程と、前記第二の帯電膜を形成するC工程とを備え、
    前記A工程を経た前記被処理体の被成膜面に対して、前記B工程、前記C工程の順に繰り返し行い、前記被処理体の被成膜面に前記多層構造体を形成することを特徴とする導電性基盤の製造方法。
  7. 前記B工程と前記C工程との間に、リンスを行なうD工程を更に備えたことを特徴とする請求項6に記載の導電性基盤の製造方法。
  8. 前記多層構造体の作成法として、段階成膜法を用いることを特徴とする請求項6に記載の導電性基盤の製造方法。
  9. 前記被処理体として、コロナで帯電処理したポリエチレンテレフタレートフィルムを用いることを特徴とする請求項6に記載の導電性基盤の製造方法。
  10. 少なくとも被成膜面が絶縁性を有する被処理体、
    前記被処理体の被成膜面上に、正の電荷をもつ第一の帯電膜と、負の電荷をもつ第二の帯電膜とを交互に配してなる多層構造体、
    を備えた導電性基盤を用いたことを特徴とする電子デバイス。
  11. 前記被処理体は、コロナで帯電処理した基材であることを特徴とする請求項10に記載の電子デバイス。
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