JP3259791B2 - ステッピングモータのステータの櫛歯の製造方法 - Google Patents

ステッピングモータのステータの櫛歯の製造方法

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JP3259791B2 JP07105393A JP7105393A JP3259791B2 JP 3259791 B2 JP3259791 B2 JP 3259791B2 JP 07105393 A JP07105393 A JP 07105393A JP 7105393 A JP7105393 A JP 7105393A JP 3259791 B2 JP3259791 B2 JP 3259791B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ステッピングモータの
ステータの櫛歯の製造方法に関し、特にステータの外側
円筒部の直径が10〜100mmの小型のステッピング
モータのステータの櫛歯の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ステッピングモータのステータには、励
磁コイルを取付ける複数の磁極歯(櫛歯)が円周方向に
等間隔で形成されるが、これらの櫛歯は、励磁コイルの
励磁によって発生する有効磁束を大きくするためには、
長い方がよい。しかし、従来通り、1枚の枠板の中央部
を単に打ち抜き加工して櫛歯を形成すると、櫛歯の長さ
は、打ち抜き加工の径の2分の1未満となり、大きな有
効磁束を得るには限界があった。この問題を解決するた
めのステータの製造方法が特公昭57−211964号
公報(特願昭56−98007)に提案されている。
【0003】この公報に提案されているステータの製造
方法は、概略すると、最初に、図9(a)の断面図に示
すように、1枚の枠板10の中央部14をふくらみ成形
し、次に、図9(b)の断面図に示すように、ほぼその
中央部14を櫛歯部分16を残して打ち抜くように打ち
抜き加工し、最後に、図9(c)の断面図に示すよう
に、櫛歯部分16をバーリング加工によって枠板に対し
て直角となるようにすることによって、ステータを製造
するものである。この製造方法によると、櫛歯の長さを
打ち抜き加工の径の2分の1以上にすることができる。
なお、図中、符号12は枠板10の外周部分を示し、1
8は打ち抜きによって形成された中央の穴を示し、20
は抜カスを示す。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来例
の製造方法の工程には以下のような問題点があった。 (1)ステータは通常トランスファプレスによって枠板
を順送りして製造される。そして、打ち抜き工程は、図
10に示すように、枠板10を下方からダイ30で支持
し、パンチ32で打ち抜くが、ダイの強度上、ステータ
の櫛歯を1工程で打ち抜くことができずに通常は2、3
工程に分割して行う。なお、図中、符号34はストリッ
パを示し、TD はダイの穴部の間の間隔を示す。例え
ば、3工程に分割して打ち抜く場合を例に挙げると、図
11の部分平面図に示すように、最初に、NO1で表示
する部分(2つの櫛歯16となる部分の両側部分)を打
ち抜き、次に、NO2で表示する部分(2つの櫛歯16
となる部分の間の部分)を打ち抜き、最後に、NO3で
表示する部分18(中央の穴)を打ち抜くことによって
櫛歯を製造する場合である(図12(a)、図12
(b)、図12(c)は枠板全体における3工程を示
す)。なお、このように打ち抜きを3工程に分割する
と、ダイの穴部30aの間隔TD を広くとれるので、ダ
イの強度上の問題はない。
【0005】しかし、3工程に分割して打ち抜くと、図
11に示すように、第2工程の打ち抜き時に櫛歯16は
第1工程で打ち抜かれた部分の方向(矢印Xの方向)に
力を受け、点線で示すように円周方向に変形して打ち抜
かれる(図13は枠板全体を示す)。このように変形し
た櫛歯16を後のバーリング工程で枠板に対して直角に
加工した場合、図14に示すように、櫛歯16は円周方
向に変形した状態で加工されることになる。このような
ステータを用いてステッピングモータを構成すると、ス
テップ角度の割出しがばらつき、位置決め精度が低下す
ることになる。
【0006】(2)また、図15に示すように、打ち抜
きを1工程で行う場合には、前述の3工程の打ち抜きに
よって生じる前述の問題(櫛歯の変形)は解消するが、
以下に記載するような新たな別の問題が生じる。即ち、
図16に示すように、ダイの穴部30aの間の間隔TD
が狭くなる部分があり(櫛歯の先端に該当する部分)、
特にこの間隔TD が枠板の板厚tより狭くなると、ダイ
強度が不足し、ダイが破損し易くなり、多量生産が不可
能になる。
【0007】また、打ち抜きクリアランス(C)は、枠
板の板厚をtとすると、図17に示すように、通常約
0.05t程度に設定される。したがって、図17、図
16に示すように抜カス20がダイの穴部32aに摩擦
保持され、堆積されることになる。打ち抜きを1工程で
行う場合、次の枠板の打ち抜き時に堆積した抜カスの保
持側圧力がダイ側壁に作用しダイ破損を促す要因でもあ
る。
【0008】(3)また、枠板となる材料としては表面
処理鋼板が用いられるが、表面処理鋼板はその圧延特性
により板厚にバラツキがあり、例えば、幅方向と圧延方
向の板厚に対して通常は4%程度のバラツキ幅がある
(図18参照)。このようなバラツキのある板厚の枠板
を用いて打ち抜きによって形成した櫛歯をバーリング加
工で曲げると、図19に示すように、直角精度が約±1
°(度)の範囲でバラツキ、製品精度±10’(分)を
満足することができず、その枠板を用いてステッピング
モータを製造すると、モータ性能の悪化を招くことにな
る。
【0009】したがって、本発明の目的は、前述の打ち
抜き工程およびバーリング工程の問題点を解消するため
に、新規な打ち抜き工程を用いると共に、バーリング工
程前に櫛歯部分の板厚を均等にする工程を用いたステッ
ピングモータのステータの櫛歯の製造方法を提供するこ
とにある。
【0010】
【課題を解決しようとする手段】前述の目的を達成する
ために、本発明は、ステッピングモータのステータの櫛
歯の製造方法において、櫛歯が形成される部分と抜カス
となる部分を容易に分離可能な状態にするように枠板に
ハーフピアスアンドプッシュバックを行い、抜カス部分
を櫛歯部分から分離するように抜き落としを行い、櫛歯
部分を所定の角度に曲げると共に各櫛歯部分の板厚が均
等になるように櫛歯部分を潰し、櫛歯部分を枠板の外周
部に対して直角に曲げることを特徴とするステッピング
モータのステータの櫛歯の製造方法を採用するものであ
る。
【0011】なお、櫛歯の長さを、打ち抜き加工の径の
2分の1以上にする必要があるときには、ハーフピアス
アンドプッシュバックの前に、枠板の中央部を張出成形
する。
【0012】
【実施例】次に、本発明の実施例を説明する。
【0013】(実施例1)最初に、図1を参照して、本
発明の実施例1のステッピングモータのステータの櫛歯
の製造方法の主要な工程を概略する。図1(a)に示す
ように、第1工程として、点線で示すように既に外側円
筒部が形成された枠板10を張出成形して中央部14を
張り出させる。この張出成形工程は、櫛歯の長さを、打
ち抜き加工の径の2分の1以上にするために必要な工程
であり、特に櫛歯の長さを長くする必要がない場合に
は、この第1工程は必要でない(後述の実施例2参
照)。
【0014】次に、第2工程として、図1(b)に示す
ように、櫛歯16が形成される部分と抜カス20となる
部分を容易に分離可能な状態にするために、ハーフピア
スアンドプッシュバックを行う。詳細には、図3〜図5
を参照して後述するが、このハーフピアスアンドプッシ
ュバック工程は、ハーフパンチを用いて枠板の板厚の8
0〜90%のパンチ工程を行った後、下方からプッシュ
バックバネにより抜カスを上方に押し戻して、次に説明
する第3工程の抜カス落とし工程で抜カスを分離できる
ようにするものである。このハーフピアスアンドプッシ
ュバック工程は、1工程で行うことができるので、従来
例で生じた櫛歯の変形を生じさせない。
【0015】次に、第3工程として、図1(c)に示す
ように、分離可能になっている抜カス20を落とす抜カ
ス落としを行う。詳細には、図6を参照して後述する
が、この抜カス落とし工程では、ハーフピアスアンドプ
ッシュバックで用いたハーフパンチより径の小さいパン
チおよびハーフピアスアンドプッシュバックで用いたダ
イより穴部の径の大きなダイを用いるので、従来例で生
じたようなダイの穴部内での抜カスの堆積が生じること
なく落下し、ダイ破損は生じない。
【0016】次に、第4工程として、図1(d)に示す
ように、櫛歯16をほぼ45°に曲げると同時に板厚を
例えば10%程度潰す45°曲げ兼板厚潰しを行う。な
お、櫛歯を潰すとき、各櫛歯の板厚が均等になるように
潰す。各櫛歯の板厚が均等に潰されるので、次工程のバ
ーリング工程で櫛歯を枠板の外周部に対して直角に曲げ
る際、各櫛歯に均等な力が掛かり、曲げ直角精度を向上
させることができる。
【0017】最後に、第5工程として、図1(e)に示
すように、櫛歯16を枠板の外周部12に対して直角に
折り曲げるためにバーリング加工を行う。
【0018】図2は、前述の工程によって櫛歯が形成さ
れたステッピングモータのステータを示す斜視図であ
る。
【0019】次に、図3〜図5を参照して、第2工程と
してのハーフピアスアンドプッシュバック工程について
説明する。図3はハーフピアスアンドプッシュバック工
程で用いる部材と動作を説明するための断面図であり、
図4はハーフピアス状態を示す断面図であり、図5はハ
ーフピアス後のプッシュバック状態を示す断面図であ
る。図3に示すように、この工程では、枠板10を支持
するダイ40と、ダイ40で支持した枠板にパンチを行
うハーフパンチ42が用いられ、ダイ40の穴部にはノ
ックアウト44が配置され、このノックアウト44は常
時プッシュバックバネ46によって上方に付勢されてい
る。なお、図中、符号48はストリッパを示す。ダイ4
0で支持された枠板10に対してハーフパンチ42によ
って板厚tの80〜90%(0.8〜0.9t)程度パ
ンチ工程を行って櫛歯を形成すると共に抜カスを容易に
分離可能な状態にし、パンチ工程を停止し、プッシュバ
ックバネ46によって、ノックアウト44を介して抜カ
スを上方にプッシュバックさせる。即ち、図4に示すよ
うに、一旦板厚の80〜90%程度パンチ工程を行い、
図5に示すように、その後プッシュバックを行って板厚
の50〜60%(0.5〜0.6t)まで押し戻す。1
工程でハーフピアスアンドプッシュバック工程を行って
いるが、このように完全に打ち抜くことなく途中でプッ
シュバックさせているので、ダイの強度不足を起こすこ
とがなく、また従来例で生じた問題(櫛歯の変形)を防
ぐことができる。
【0020】次に、図6を参照して、第3工程としての
抜カス落とし工程を説明すると、図6は、抜カス落とし
工程で用いる部材と動作を説明するための部分断面図で
ある。図6に示すように、この工程では、ダイ50とパ
ンチ52が用いられて、前工程のハーフピアスアンドプ
ッシュバック工程で容易に分離可能になった抜カス20
を抜き落とす。この抜カス落とし工程で用いるパンチ力
は比較的低い値で十分であるので、板厚をtとすると、
ダイ50の穴部の内周部分と抜カス20の端部とのクリ
アランスが、例えば、0.1tであるような比較的ギャ
ップがあるダイを用い、またパンチ52と抜カス20の
端部とのクリアランスも0.05tであるような比較的
ギャップがあるパンチを用いることができる。ダイ50
の穴部の内周部分と抜カス20の端部とのクリアランス
が大きいので、抜カスは全て落下し、従来例で生じた問
題(ダイの穴部内での抜カスの堆積およびその結果生じ
るダイの破損)が生じない。
【0021】次に、図7を参照して、第4工程としての
45°曲げ兼板厚潰し工程を説明する。図7は45°曲
げ兼板厚潰し工程で用いる部材と動作を説明するための
断面図である。この工程では、断面で45°の傾斜面を
持つダイ60と、これに対応して断面で45°の傾斜面
を持つパンチ62が用いられ、ハーフピアスアンドプッ
シュバック工程と抜カス落とし工程で形成された各櫛歯
16を45°に曲げると共に各櫛歯の板厚を元の板厚t
から5〜10%(0.05t〜0.1t)程度潰して均
等な板厚にする(なお、同時に櫛歯の形状を直線状にし
ている)。各櫛歯の板厚が均等であるので、次工程のバ
ーリング工程で櫛歯を枠板の外周部に対して直角に曲げ
る際、各櫛歯に均等な力が掛かり、曲げ直角精度を向上
させることができる。
【0022】(実施例2)次に、図8を参照して、本発
明の実施例2のステッピングモータのステータの櫛歯の
製造方法を説明する。図8は、実施例2の製造工程を説
明するための図である。実施例1では、櫛歯の長さを、
打ち抜き加工の径の2分の1以上にするために張出成形
工程を用いていたが、この実施例2は、特に櫛歯の長さ
を長くする必要がない場合であるので、張出成形工程を
行っていない。
【0023】最初に、図8(a)に示すように、ハーフ
ピアスアンドプッシュバック工程を行い、次に、図8
(b)に示すように、抜カス落とし工程を行い、次に、
図8(c)に示すように、45°曲げ兼板厚潰し工程を
行い、最後に、図8(d)に示すように、バーリング工
程を行う。これらの各工程は、実施例1の第2工程〜第
5工程にそれぞれ対応するので、詳細な説明は省略す
る。
【0024】(実験例)従来例に対する本発明の製造方
法の効果を確認するために行った実験の結果を以下に記
載する。 (1)円周方向の倒れる変形角度は、従来例の製造工程
では、±30’(分)であったが、本発明の製造工程で
は、±10’(分)であった。 (2)曲げ直角精度は、従来例の製造工程では、±1°
(度)であったが、本発明の製造工程では、±10’
(分)であった。
【0025】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
ハーフピアスアンドプッシュバック工程と抜カス落とし
工程を用いているので、2、3工程で打ち抜きを行う場
合に生じる櫛歯の円周方向の変形を防止し、また1工程
で打ち抜きを行う場合に生じるダイの破損を防止でき
る。
【0026】さらに、バーリング工程前に、45°曲げ
兼潰し工程を用いているので、櫛歯の板厚を均等にで
き、その結果、バーリング工程での直角に曲げる際、直
角精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の実施例1の製造工程を示す断
面図である。
【図2】図2は、本発明の製造方法によって製造された
ステータを示す斜視図である。
【図3】図3は、ハーフピアスアンドプッシュバック工
程で用いる部材と動作を説明するための断面図である。
【図4】図4は、ハーフピアス状態を示す断面図であ
る。
【図5】図5は、ハーフピアス後のプッシュバック状態
を示す断面図である。
【図6】図6は、抜カス落とし工程で用いる部材と動作
を説明するための部分断面図である。
【図7】図7は、45°曲げ兼板厚潰し工程で用いる部
材と動作を説明するための断面図である。
【図8】図8は、本発明の実施例2の製造工程を示す断
面図である。
【図9】図9は、従来例の製造工程を示す断面図であ
る。
【図10】図10は、従来例の打ち抜き工程で用いられ
る部材と動作を説明するための断面図である。
【図11】図11は、従来例の複数工程での打ち抜きの
打抜き順序を説明するための平面図である。
【図12】図12は、従来例の複数工程での打ち抜きの
打抜き順序を説明するための平面図である。
【図13】図13は、従来例での打ち抜き工程で生じる
櫛歯の円周方向の変形を説明するための平面図である。
【図14】図14は、従来例での打ち抜き工程で生じる
櫛歯の円周方向の変形を説明するための側面図である。
【図15】図15は、従来例の1工程での打ち抜きを説
明するための平面図である。
【図16】図16は、従来例の1工程での打ち抜きで用
いられる部材および動作を説明するための断面図であ
る。
【図17】図17は、従来例で用いるクリアランスを説
明するための断面図である。
【図18】図18は、枠板として用いられる表面処理鋼
板の側面図である。
【図19】図19は、従来例の直角精度を説明するため
の側面図である。
【符号の説明】
10 枠板 12 枠板の外周部 14 枠板の張出成形された中央部 16 櫛歯 20 抜カス 30、40、50、60 ダイ 32、42、52、62 パンチ
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI H02K 15/02 H02K 15/02 D (56)参考文献 特開 平5−328698(JP,A) 特開 平5−91712(JP,A) 特開 昭57−211964(JP,A) 特開 昭59−66934(JP,A) 特開 平4−200262(JP,A) 特開 昭58−29350(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H02K 37/14 535 H02K 15/02

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ステッピングモータのステータの櫛歯の
    製造方法において、櫛歯が形成される部分と抜カスとな
    る部分を容易に分離可能な状態にするように枠板にハー
    フピアスアンドプッシュバックを行い、抜カス部分を櫛
    歯部分から分離するように抜き落としを行い、櫛歯部分
    を所定の角度に曲げると共に各櫛歯部分の板厚が均等に
    なるように櫛歯部分を潰し、櫛歯部分を枠板の外周部に
    対して直角に曲げることを特徴とするステッピングモー
    タのステータの櫛歯の製造方法。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のステッピングモータのス
    テータの櫛歯の製造方法において、前記ハーフピアスア
    ンドプッシュバックを行う前に、枠板の中央部を張り出
    させるために張出成形を行うことを特徴とするステッピ
    ングモータのステータの櫛歯の製造方法。
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