JP3257668B2 - 電極組立体、カソード装置及びメッキ装置 - Google Patents

電極組立体、カソード装置及びメッキ装置

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JP3257668B2 JP25399397A JP25399397A JP3257668B2 JP 3257668 B2 JP3257668 B2 JP 3257668B2 JP 25399397 A JP25399397 A JP 25399397A JP 25399397 A JP25399397 A JP 25399397A JP 3257668 B2 JP3257668 B2 JP 3257668B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、各種電子部品用基
板またはIC用ウエハ等にメッキを施すのに好適な電極
組立体、カソード装置及びメッキ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】各種電子部品用基板またはIC用ウエハ
等においては、被メッキ物である基板もしくはウエハ上
の限られた平面積内でメッキをしなければならない。メ
ッキ処理に当たっては、被メッキ物の面上に、予め、メ
ッキ下地膜を形成しておき、メッキ下地膜に対し、メッ
キ領域を囲むように、カソード装置を面接触させてメッ
キを行なう。先行技術文献例としては、特開平4ー66
698号および特開平5ー125596号公報等があ
る。これらの公知文献に記載されたカソード装置では、
被メッキ物にカソードを面接触させてある。
【0003】ウエハ等の被メッキ物にメッキを行なう場
合の方式には、フレームメッキ方式及びパターンメッキ
方式がある。フレームメッキ方式では、ウエハ上に、フ
ォトリソグラフィ等の高精度パターン形成技術によって
レジストフレームを形成しておき、レジストフレームに
よって覆われていない領域内に必要なメッキを電着させ
る。
【0004】パターンメッキ方式では、被メッキ物のメ
ッキ形成面のほぼ全面を、レジスト膜によって覆い、レ
ジスト膜にメッキのための孔状パターンを開け、この孔
状パターンの部分にメッキを電着させる。
【0005】フレームメッキ方式及びパターンメッキ方
式において用いられるカソード装置は、構造的に若干異
なる点はあるが、被メッキ物の表面に付着されているメ
ッキ下地膜に接触するカソード部材を持っている点で共
通する。カソード部材は被メッキ物を接触させる枠部
と、メッキ浴を導入する孔とを有する。孔を画定する枠
部の内周縁は露出している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上述した従来のカソー
ド装置の問題点の一つは、メッキ下地膜に接触するカソ
ード部材の内周縁が露出していることに起因して生じ
る。カソード部材の内周縁が露出していると、メッキ下
地膜とカソード部材の内周縁との間で連続するように、
メッキ膜が付着してしまう。このようなメッキ膜付着が
発生すると、フレームメッキ方式においては、メッキ処
理が終了した後、カソード装置から被メッキ物を取り外
す際に、被メッキ物に付着されていたメッキ膜及びメッ
キ下地膜が、カソード部材との接触部分において、剥離
してしまう。
【0007】パターンメッキ方式においては、カソード
部材の内周縁にメッキ膜が付着してしまい、カソード部
材の孔径が変化したような状態になってしまうため、同
一カソード装置を用いて、異なるウエハにメッキを施す
連続メッキを行なった場合、ウエハ間でメッキ膜の成膜
レートが安定せず、ウエハ間での繰り返し再現性が悪く
なる。
【0008】本発明の課題は、フレームメッキ方式を採
用した場合において、被メッキ物に形成されたメッキ膜
の剥離を防止し得る電極組立体、カソード装置及びメッ
キ装置を提供することである。
【0009】本発明のもう一つの課題は、パターンメッ
キ方式を採用した場合において、ウエハ間での繰り返し
再現性を向上させ得る電極組立体、カソード装置及びメ
ッキ装置を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】上述した課題を解決する
ため、本発明に係る電極組立体は、カソード部材と、絶
縁部材とを含む。前記カソード部材は、枠部によって囲
まれた孔を有し、前記枠部の一面に被メッキ物と接触す
る接触面を有する。前記絶縁部材は、枠部によって囲ま
れた孔を有し、前記枠部の一面が前記カソード部材の枠
部の他面と隣接し、前記孔が前記カソード部材の前記孔
と重なり、前記枠部の内周縁が前記カソード部材の内周
縁を覆っている。本発明に係るカソード装置は、上述し
た電極組立体を含んでいる。
【0011】本発明に係るメッキ装置は、一般的構成と
して、メッキ槽と、カソード装置と、アノード装置とを
含む。前記カソード装置及び前記アノード装置は、メッ
キ槽内のメッキ浴を介してメッキのための電気回路を構
成する。
【0012】上記メッキ装置において、アノードを正極
とし、カソードを負極とする直流電圧が印加されると、
メッキ浴を通してアノードからカソードに向かう電気力
線に従って、カソード部材と等電位に保たれた被メッキ
物のメッキ形成面(導電面)に、所要のメッキが施され
る。メッキ形成面はメッキ下地膜で構成されている。
【0013】本発明に係るメッキ装置において、カソー
ド装置として、前述した本発明に係るカソード装置が用
いられる。本発明に係るカソード装置において、カソー
ド部材は枠部によって囲まれた孔を有し、枠部の一面に
被メッキ物と接触する接触面を有するから、被メッキ物
のメッキ形成面(導電面)をカソード部材の枠部に接触
させることができる。
【0014】本発明に係るカソード装置は、更に、絶縁
部材を含んでおり、絶縁部材は、枠部によって囲まれた
孔を有し、枠部の一面がカソード部材の枠部の他面と隣
接し、孔がカソード部材の孔と重なっている。従って、
絶縁部材の孔およびカソード部材の孔を通して、メッキ
浴を被メッキ物のメッキ形成面(導電面)に接触させる
ことができる。
【0015】本発明において特徴的な点は、上記構成の
電極組立体またはカソード装置において、絶縁部材の枠
部の内周縁がカソード部材の内周縁を覆っていることで
ある。このような構造であると、被メッキ物のメッキ形
成面とカソード部材の内周縁との間に、メッキの付着し
ない絶縁部材が介在することになる。このため、フレー
ムメッキ方式を採用した場合において、メッキ処理の終
了後、カソード装置から被メッキ物を取り外す場合、被
メッキ物に付着したメッキ膜及びメッキ下地膜の剥離を
防止することができる。従来は、カソード部材の内周縁
がむき出しになっていたので、被メッキ物のメッキ形成
面からカソード部材の内周縁に連続して、メッキ膜が形
成され、メッキ処理終了後、カソード装置から被メッキ
物を取り外す際、被メッキ物に付着したメッキ膜に剥離
を生じていた。
【0016】パターンメッキ方式を採用した場合は、カ
ソード部材の内周縁と、レジストフレームとの間にメッ
キ膜の付着し得ない絶縁部材が存在するから、メッキ膜
が、カソード部材の内周縁に付着することがない。従っ
て、同一カソード装置を用いて、異なるウエハに連続し
てメッキを行なった場合でも、常に、同一の孔径を有す
るカソード部材によってメッキ処理を行なうことができ
る。このため、ウエハ間でも、メッキ膜の成膜レートが
安定化され、ウエハ間での繰り返し再現性が向上する。
【0017】別の好ましい態様として、ウエハのメッキ
下地膜に導通するカソード部材の他に、第2のカソード
部材を備えていてもよい。このような第2のカソード部
材を有することにより、アノード装置からカソード装置
に向かう電気力線の分布を、ウエハのメッキ形成面にお
いて均一化し、メッキ膜厚分布を均一化することができ
る。この態様の電極組立体は、フレームメッキ用のカソ
ード装置を構成するのに適している。
【0018】第2のカソード部材とカソード部材との間
に、絶縁部材が配置される。このような構造であると、
絶縁部材の弾力性等を利用して、電極組立体の全体を密
着させることができる。絶縁部材に適当な硬さ(剛性)
を付与することにより、弾力性による密着性を確保しつ
つ、絶縁部材の変形を回避することもできる。パターン
メッキ用のカソード装置として構成する場合は、上述の
ような第2のカソード部材は不要である。
【0019】上述した2つのタイプのカソード装置にお
いて、好ましい態様として、絶縁部材は、第1の絶縁部
材と、第2の絶縁部材とを含む。第1の絶縁部材は、弾
性部材でなり、枠部によって囲まれた孔を有する。第2
の絶縁部材は、第1の絶縁部材よりも硬い材料でなり、
枠部によって囲まれた孔を有し、第1の絶縁部材と隣接
して配置される。この好ましい態様によれば、第1の絶
縁部材によって、必要な弾性密着力を確保すると共に、
第2の絶縁部材によって、第1の絶縁部材の弾性変形に
伴って生じることのある不正配置を回避することができ
る。
【0020】絶縁部材が、第1の絶縁部材と、第2の絶
縁部材とを含む上記態様において、第1の絶縁部材によ
り、カソード部材の内周縁を覆う構造とする。このよう
な構造であると、弾性部材でなる第1の絶縁部材の弾力
性を、カソード部材に直接に、かつ、確実に作用させる
ことができる。
【0021】本発明に係るカソード装置は、好ましく
は、ホルダを含む。前記ホルダは貫通孔を有しており、
前記カソード部材、前記絶縁部材及び第2のカソード部
材を含む電極組立体は、前記ホルダによって支持されて
いる。この構造によれば、電極組立体を、予め、ホルダ
に取り付けておき、ホルダをメッキ槽に取り付けること
ができるから、メッキ槽に対するカソード装置の取り付
け作業を容易化できる。
【0022】本発明の他の目的、構成および利点につい
ては、添付図面を参照して更に詳しく説明する。但し、
添付図面は単に実施例を示すに過ぎない。
【0023】
【発明の実施の形態】図1は本発明に係るカソード装置
の分解斜視図、図2は同じく組立状態における正面断面
図であり、フレームメッキ方式に適したカソード装置を
示している。図示されたカソード装置は、カソード部材
11と、絶縁部材12と、第2のカソード部材13とを
含む。これらは、電極組立体1を構成する。カソード部
材11は、枠部112によって囲まれた孔111を有
し、枠部112の一面(図において下面)に被メッキ物
と接触する接触面を有する。カソード部材11は銅板等
の導電材料を用いて構成される。カソード部材11には
リード導体113が備えられている。
【0024】絶縁部材12は、枠部によって囲まれた孔
141、151を有し、枠部142、152がカソード
部材11の枠部112の他面(図において上面)に重ね
られている。第1の絶縁部材14の枠部142は、カソ
ード部材11の内周縁を、幅W1で覆っている。
【0025】第2のカソード部材13は、枠部132に
よって囲まれた孔131を有し、枠部132が絶縁部材
12の枠部152の上面(図において)に重ねられてい
る。第2のカソード部材13は銅等の導電材料によって
構成される。
【0026】実施例において、絶縁部材12は、第1の
絶縁部材14と、第2の絶縁部材15とを含む。第1の
絶縁部材14は、弾性部材でなり、枠部142によって
囲まれた孔141を有する。第1の絶縁部材14を構成
する材料の一例はゴムである。第1の絶縁部材14は、
その枠部142の内周縁により、カソード部材11の内
周縁を幅W1で覆っている。
【0027】第2の絶縁部材15は、第1の絶縁部材1
4よりも硬い材料でなり、枠部152によって囲まれた
孔151を有し、第1の絶縁部材14と同軸状に重ねら
れる。第2の絶縁部材15は、第1の絶縁部材14より
も硬く、耐薬品性を有する不導体材料で構成される。好
ましい一例は、PEEK(ポリエーテル.エーテル.ケ
トン)である。また、第2の絶縁部材15は、例えば、
塩化ビニル等の耐薬品性に優れたエンジニアリングプラ
スチックによっても構成される。第2の絶縁部材15
は、第1の絶縁部材14の上(図において)にあり、カ
ソード部材11と第2の絶縁部材15との間には、第1
の絶縁部材14が存在する。
【0028】実施例では、更にホルダ2を有する。ホル
ダ2は、テフロン、ポリプロピレン、塩化ビニル等の電
気絶縁材料で構成され、軸方向の両端側を開口させた貫
通孔21を有する。貫通孔21は、第1の孔22及び第
2の孔23を有し、第1の孔22の内部に電極組立体1
を収納すると共に、第2の孔23の内部に被メッキ物を
挿入し得るようになっている。一端側のつば部24の表
面に設けられたリング状の溝25の内部にはOリング2
6が挿入される。結合具27は、ステンレススチール、
チタン等の導電材料で構成されたネジ等であり、電極組
立体1をホルダ2の段面に締付け固定する。この結合具
27により、第2のカソード部材13がカソード部材1
1に電気的に導通される。
【0029】図3は本発明に係るメッキ装置の構成を示
す図である。図示されたメッキ装置は、メッキ槽3と、
カソード装置4と、アノード装置5とを含む。6は被メ
ッキ物、7は電源装置、8は押上装置である。
【0030】メッキ槽3は、メッキ浴31を収容してい
る。メッキ浴31は、得ようとするメッキ膜に応じた浴
組成が選択される。
【0031】アノード装置5は、アノード51がメッキ
浴31を介してカソード装置4と対向して配置されてい
る。アノード51はメッキ槽3に取り付けられた支持装
置52によって支持されている。
【0032】被メッキ物6は、例えば各種電子部品用基
板またはIC用ウエハ等であり、一面側にメッキ用下地
膜等のメッキ形成面61を有するとともに、メッキ形成
面61にレジストフレーム83を有する。レジストフレ
ーム83はフォトリソグラフィ等の高精度パターン形成
技術によって形成されている。被メッキ物6は押上装置
8によって、メッキ形成面61がカソード部材11に密
着されている。
【0033】カソード装置4は、ホルダ2に備えられた
Oリング26等により、メッキ槽3の内部からメッキ浴
31が漏れないように、メッキ槽3の底部を構成する支
持板32に密着して配置されている。電源装置7はカソ
ード装置4と、アノード装置5との間に接続され、両者
間に直流電圧を印加する。カソード装置4を構成するカ
ソード部材11には、リード導体113が備えられてお
り、このリード導体113に電源装置7から導かれたリ
ード線が接続される。
【0034】既に、図1および図2を参照して詳述した
ように、カソード部材11は枠部112によって囲まれ
た孔111を有し、枠部112の下面に被メッキ物6と
接触する接触面を有する。従って、被メッキ物6のメッ
キ形成面61をカソード部材11の枠部112に接触さ
せることができる。被メッキ物6は、押上装置8によっ
て、メッキ形成面61がカソード部材11の枠部112
に密着するように押し付けられている。
【0035】カソード装置4は、ホルダ2を有してお
り、ホルダ2は貫通孔21を有しており、カソード部材
11、絶縁部材12及び第2のカソード部材13を含む
電極組立体1を支持している。この構造によれば、電極
組立体1を、予め、ホルダ2に取り付けておき、ホルダ
2をメッキ槽3に取り付けることができるから、メッキ
槽3に対するカソード装置4の取り付け作業を容易化で
きる。
【0036】絶縁部材12は枠部142、152によっ
て囲まれた孔141、151を有し、カソード部材11
の他面に重ねられており、第2のカソード部材13は、
枠部132によって囲まれた孔131を有し、絶縁部材
12に隣接して配置されているから、絶縁部材12の孔
141、151、第2のカソード部材13の孔131お
よびカソード部材11の孔111を通して、メッキ浴3
1を被メッキ物6のメッキ形成面61に接触させること
ができる。メッキ形成面61は導電性のあるメッキ下地
膜で構成されている。従って、アノード51を正極と
し、カソード部材11を負極とする電圧を印加すること
により、図4に示すように、レジストフレーム83によ
って覆われていない被メッキ物6のメッキ形成面61に
メッキ膜82を電着することができる。第2のカソード
部材13の表面にもメッキ膜81が形成される。
【0037】第2のカソード部材13とカソード部材1
1との間には、絶縁部材12が配置されているから、絶
縁部材12の弾力性等を利用して、電極組立体1の全体
を密着させることができる。実施例において、絶縁部材
12は、第1の絶縁部材14と、第2の絶縁部材15と
を含んでおり、第1の絶縁部材14によって、必要な弾
性密着力を確保すると共に、第2の絶縁部材15によっ
て、第1の絶縁部材14の弾性変形によって生じること
のある不正配置を回避することができる。
【0038】更に、絶縁部材12は、図4に示すよう
に、カソード部材11の内周縁を、第1の絶縁部材14
の枠部142のない周縁により、幅W1で覆っている。
このような構造であると、被メッキ物6のメッキ形成面
61とカソード部材11の内周縁との間に、メッキ膜8
2の付着しない第1の絶縁部材14が、幅W1で介在す
ることになるので、メッキ処理の終了後、カソード装置
4から被メッキ物6を取り外す場合、被メッキ物6に付
着したメッキ膜82の剥離を防止することができる。
【0039】これに対して、カソード部材11の内周縁
がむき出しとなっている場合は、被メッキ物6のメッキ
形成面61からカソード部材11の内周縁に連続して、
メッキ膜が形成される。このため、メッキ処理の終了
後、カソード装置4から被メッキ物6を取り外す場合、
被メッキ物6に付着したメッキ膜82またはメッキ下地
膜に剥離を生じることがある。
【0040】実施例において、絶縁部材12は、第1の
絶縁部材14と、第2の絶縁部材15とを含んでいる。
第1の絶縁部材14は、弾性部材でなり、第2の絶縁部
材15は、第1の絶縁部材14よりも硬い材料でなり、
第1の絶縁部材14と重ねられる。この構造によれば、
第1の絶縁部材14によって、必要な弾性密着力を確保
すると共に、第2の絶縁部材15によって、第1の絶縁
部材14の弾性変形によって生じることのある不正配置
を回避することができる。
【0041】絶縁部材12が、第1の絶縁部材14と、
第2の絶縁部材15とを含む上記態様において、第1の
絶縁部材14により、カソード部材11の内周縁を、幅
W1で覆う。このような構造であると、弾性部材でなる
第1の絶縁部材14の弾力性を、カソード部材11に直
接に、かつ、確実に作用させることができるので、硬い
第2の絶縁部材15を有するにも関わらず、全体の密着
性を確保することができる。
【0042】図1および図2に示した実施例では、絶縁
部材12の内周縁と、第2のカソード部材13との間に
ギャップg1を設けてある。この構造は、被メッキ物6
のメッキ形成面61の面内において、メッキ膜厚分布を
均一化するのに有効である。
【0043】図5は本発明に係るカソード装置の別の実
施例を示す分解斜視図、図6は図5に示したカソード装
置の組立状態における正面断面図である。この実施例
は、パターンメッキ方式に適したカソード装置を示して
いる。図において、図1及び図2と同一の構成部分には
同一の参照符号を付してある。
【0044】図示されたカソード装置は、カソード部材
11と、絶縁部材12とを含む。これらは、電極組立体
1を構成する。カソード部材11は、枠部112によっ
て囲まれた孔111を有し、枠部112の下面(図にお
いて)に被メッキ物と接触する接触面を有する。カソー
ド部材11は銅板等の導電材料を用いて構成される。カ
ソード部材11にはリード導体113が備えられてい
る。但し、図1及び図2に示されたフレームメッキ用カ
ソード装置と異なって、第2のカソード部材を持たな
い。
【0045】絶縁部材12は、枠部142、162によ
って囲まれた孔141、161を有し、枠部142、1
62がカソード部材11の枠部112の上面(図におい
て)に重ねられている。実施例において、絶縁部材12
は、第1の絶縁部材14と、第2の絶縁部材16とを含
む。第1の絶縁部材14は、弾性部材でなり、中央部に
孔141を有するリング状となっている。第1の絶縁部
材14を構成する材料の一例はゴムである。第1の絶縁
部材14は、枠部142の内周縁により、カソード部材
11の内周縁を、幅W1で覆っている。
【0046】第2の絶縁部材16は、第1の絶縁部材1
4よりも硬い材料でなる。第2の絶縁部材16は、枠部
162によって囲まれた孔161を有し、第1の絶縁部
材14と同軸状に重ねられる。第2の絶縁部材16は、
第1の絶縁部材14よりも硬く、耐薬品性を有する不導
体材料で構成される。好ましい一例は、PEEK(ポリ
エーテル.エーテル.ケトン)である。第2の絶縁部材
16は、第1の絶縁部材14の上にあり、カソード部材
11と第2の絶縁部材16との間には、第1の絶縁部材
14が存在する。従って、図1及び図2に示したフレー
ムメッキ用カソード装置との対比では、図1及び図2に
示された第2のカソード部材14が第2の絶縁部材16
によって置換されている。結合具28は不導電材料また
は導電材料で構成されたネジ等であり、電極組立体1を
ホルダ2の段面に締付け固定する。
【0047】図5及び図6に示されたパターンメッキ用
カソード装置も、図3に示したようなメッキ装置に組み
込まれる。図3を引用して説明すると、被メッキ物6
は、例えば各種電子部品用基板またはC用ウエハ等であ
り、パターンメッキを施すためにパターン化されてい
る。被メッキ物6が各種電子部品用ウエハである場合、
パターンメッキ方法は、取出電極を形成する場合に用い
られる。
【0048】図5及び図6に図示されたカソード装置を
用いた場合、図7に示すように、被メッキ物6のメッキ
形成面61のほぼ全面を、レジスト膜85によって覆
い、レジスト膜85にパターンメッキのための孔状パタ
ーンを開け、この孔状パターンの部分にメッキ84を電
着させる。
【0049】ここで、第1の絶縁部材14の枠部142
の内周縁により、カソード部材11の内周縁を、幅W1
で覆っている。このような構造であると、仮に、レジス
ト膜85の周辺と第1の絶縁部材14の内周縁との間
に、メッキ膜82が付着した場合であっても、カソード
部材11の内周縁に、メッキ膜82が付着する余地がな
い。このため、同一カソード装置を用いて、異なるウエ
ハに連続してメッキを行なった場合でも、実質的に、同
一の孔径を有するカソード部材11によってメッキ処理
を行なうことができるから、ウエハ間において、メッキ
膜の成膜レートが安定化され、ウエハ間での繰り返し再
現性が向上する。
【0050】図8に連続メッキウエハ枚数とメッキ膜厚
との関係を示すグラフである。曲線L1は本発明に係る
カソード装置を用いた場合の特性、曲線L2はカソード
部材11の内周縁を覆わない場合(従来例)の特性であ
る。曲線L1及び曲線L2の比較から明らかなように、
本発明によれば、ウエハ間での繰り返し再現性を著しく
向上させ得ることが解る。
【0051】図5及び図6に示した実施例において、絶
縁部材12は、第1の絶縁部材14と、第2の絶縁部材
16とを含んでいる。第1の絶縁部材14は、弾性部材
でなり、第2の絶縁部材16は、第1の絶縁部材14よ
りも硬い材料でなり、第1の絶縁部材14と重ねられ
る。この構造によれば、第1の絶縁部材14によって、
必要な弾性密着力を確保すると共に、第2の絶縁部材1
6によって、第1の絶縁部材14の弾性変形によって生
じることのある不正配置を回避することができる。
【0052】絶縁部材12が、第1の絶縁部材14と、
第2の絶縁部材16とを含む上記態様において、第1の
絶縁部材14により、カソード部材11の内周縁を、幅
W1で覆う。このような構造であると、弾性部材でなる
第1の絶縁部材14の弾力性を、カソード部材11に直
接に、かつ、確実に作用させることができるので、硬い
第2の絶縁部材16を有するにも関わらず、全体の密着
性を確保することができる。
【0053】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、次
のような効果を得ることができる。 (a)フレームメッキ方式を採用した場合において、被
メッキ物に形成されたメッキ膜の剥離を防止し得るカソ
ード装置及びメッキ装置を提供することができる。 (b)パターンメッキ方式を採用した場合において、ウ
エハ間での繰り返し再現性を向上させ得るカソード装置
及びメッキ装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るカソード装置の分解斜視図であ
る。
【図2】図1に示したカソード装置の組立状態における
正面断面図である。
【図3】本発明に係るメッキ装置の構成を示す図であ
る。
【図4】図1及び図2に示したカソード装置によるメッ
キ膜の付着を示す図である。
【図5】本発明に係るカソード装置の別の実施例を示す
分解斜視図である。
【図6】図5に示したカソード装置の組立状態における
正面断面図である。
【図7】図5及び図6に示したカソード装置によるメッ
キ膜の付着を示す図である。
【図8】連続メッキウエハ枚数とメッキ膜厚との関係を
示すグラフである。
【符号の説明】
1 電極組立体 11 カソード部材 12 絶縁部材 13 第2のカソード部材 14 第1の絶縁部材 15、16 第2の絶縁部材 3 メッキ槽 4 カソード装置 5 アノード装置 6 被メッキ物
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平5−125596(JP,A) 特開 平5−44076(JP,A) 特開 平4−66698(JP,A) 特開 平3−271392(JP,A) 特開 平5−218048(JP,A) 特開 平4−280992(JP,A) 特開 平4−280993(JP,A) 実開 昭59−54566(JP,U) 実願 昭63−113899号(実開 平2− 38472号)の願書に添付した明細書及び 図面の内容を撮影したマイクロフィルム (JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C25D 7/00 C25D 7/12 C25D 17/10

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 カソード部材と、絶縁部材とを含む電極
    組立体であって、 前記カソード部材は、枠部によって囲まれた孔を有し、
    前記枠部の一面に被メッキ物と接触する接触面を有して
    おり、 前記絶縁部材は、枠部によって囲まれた孔を有し、前記
    枠部の一面が前記カソード部材の枠部の他面と隣接し、
    前記孔が前記カソード部材の前記孔と重なり、前記枠部
    の内周縁が前記カソード部材の内周縁を覆っており、 前記絶縁部材は、更に、第1の絶縁部材と、第2の絶縁
    部材とを含んでおり、 前記第1の絶縁部材は、弾性部材でなり、枠部によって
    囲まれた孔を有しており、 前記第2の絶縁部材は、第1の絶縁部材よりも硬い材料
    でなり、枠部によって囲まれた孔を有し、前記第1の絶
    縁部材と隣接して備えられ、前記孔が前記第1の絶縁部
    材の前記孔に重なる電極組立体。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載された電極組立体であっ
    て、 前記第1の絶縁部材は、前記枠部の一面が前記カソード
    部材の前記枠部の他面と隣接し、 前記第2の絶縁部材は、前記枠部の一面が前記第1の絶
    縁部材の前記枠部の他面と隣接する電極組立体。
  3. 【請求項3】 請求項1または2に記載された電極組立
    体であって、 更に、第2のカソード部材を含み、前記第2のカソード
    部材は、枠部によって囲まれた孔を有し、前記枠部の一
    面が前記絶縁部材の他面と隣接し、前記孔が前記絶縁部
    材の前記孔と重なる電極組立体。
  4. 【請求項4】 カソード部材と、絶縁部材と、第2のカ
    ソード部材とを含む電極組立体であって、 前記カソード部材は、枠部によって囲まれた孔を有し、
    前記枠部の一面に被メッキ物と接触する接触面を有して
    おり、 前記絶縁部材は、枠部によって囲まれた孔を有し、前記
    枠部の一面が前記カソード部材の他面に隣接し、かつ、
    前記孔が前記カソード部材の前記孔に重なる関係で、前
    記カソード部材の前記他面上に重ねられ、前記孔が前記
    カソード部材の前記孔と重なり、前記枠部の内周縁が前
    記カソード部材の内周縁を覆っており、 前記第2のカソード部材は、枠部によって囲まれた孔を
    有し、前記枠部の一面が前記絶縁部材の他面に隣接し、
    かつ、前記孔が前記絶縁部材の前記孔に重なる関係で、
    前記絶縁部材の前記他面上に重ねられ、導電材料でなる
    結合具により前記カソード部材と電気的に導通されてい
    る電極組立体。
  5. 【請求項5】 電極組立体を含むカソード装置であっ
    て、 前記電極組立体は、請求項1ないし4の何れかに記載さ
    れたものでなるカソード装置。
  6. 【請求項6】 請求項5に記載されたカソード装置であ
    って、 更に、ホルダを含んでおり、 前記ホルダは、前記電極組立体を支持するカソード装
    置。
  7. 【請求項7】 メッキ槽と、カソード装置と、アノード
    装置とを含むメッキ装置であって、 前記カソード装置は、請求項5または6の何れかに記載
    されたものでなり、 前記カソード装置及び前記アノード装置は、メッキ槽内
    のメッキ浴を介してメッキのための電気回路を構成する
    メッキ装置。
  8. 【請求項8】 請求項7に記載されたメッキ装置であっ
    て、 前記カソード装置は、前記電極組立体を構成する前記カ
    ソード部材の前記接触面に対し、前記メッキ槽の外部か
    ら被メッキ物を接触させ得るように、前記メッキ槽に取
    り付けられているメッキ装置。
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