JP3257281B2 - 加工性に優れた冷延鋼板およびその製造方法 - Google Patents

加工性に優れた冷延鋼板およびその製造方法

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JP3257281B2
JP3257281B2 JP23164394A JP23164394A JP3257281B2 JP 3257281 B2 JP3257281 B2 JP 3257281B2 JP 23164394 A JP23164394 A JP 23164394A JP 23164394 A JP23164394 A JP 23164394A JP 3257281 B2 JP3257281 B2 JP 3257281B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】加工性、特に深絞り性と延性に優
れた冷延鋼板およびその製造方法に関し、さらに詳細に
は、適宜表面処理やプレス加工を施した後、例えば自動
車、家電製品、鋼構造物などに使用される高造形性と強
度を同時に付与できる鋼板であり、溶融亜鉛メッキ鋼
板、合金化溶融亜鉛メッキ鋼板、電気メッキ鋼板、有機
被覆コーティング処理した鋼板等の素材にも適用でき
る。
【0002】
【従来の技術】従来、冷延鋼板の加工性を向上するため
に、炭素量の低減あるいは炭窒化物形成元素の添加によ
る固溶C、Nの低減等の対策が実施されてきた。
【0003】特開平2-175837号公報には、極低炭素鋼に
TiまたはNbを添加して固溶Cと固溶Nを固定し、高r値
化を図ることのできる冷延鋼板が開示されている。しか
し、この技術では、微細なTiCあるいはNbCが熱間圧延
後の冷却・巻取処理中に析出するため、冷延後の焼鈍時
における 111 再結晶集合組織の発達が阻害されるとと
もに、TiCあるいはNbCの微細析出により硬化するた
め、得られる冷延鋼板の深絞り性や延性といった加工性
は最良のものとは言い難い。
【0004】特開昭58−133325号公報には、極低炭素鋼
を特定の条件で熱間圧延を行い、その後に冷間圧延を行
う深絞り性に優れた冷延鋼板の製造方法が開示されてい
る。
【0005】しかし、この技術では、加熱から仕上圧延
間での析出物の析出状況という冷延鋼板の加工性を左右
する要因に着目した検討が成されておらず、そのため、
得られる冷延鋼板の特性は十分なものとは言えない。
【0006】また、極低炭素鋼をベースに、P、Mn、Si
およびCrを添加して強度を上げた高張力冷延鋼板につい
ても多くの提案がある。
【0007】例えば、特公昭57-57945号においては極低
炭素Ti添加鋼に多量のPを添加した冷延鋼板が開示され
ている。しかし、この場合も冷却・巻取処理中に微細な
TiCが析出するため、冷延・焼鈍後に得られるr値は
1.6〜 1.9が限界になっている。
【0008】さらに、近年熱間圧延工程の省略または簡
略化によるエネルギーの節減を目的として厚さ 100mm以
下の薄鋳片を用いた製造プロセスが実用化されつつある
が、極低炭素鋼の薄鋳片を用いて、自動車用や家電製品
用などの加工性に優れた冷延鋼板を製造することは極め
て困難であった。
【0009】これに対処する方法として、特開昭63-148
19号公報には、薄鋳片を用いて粗圧延を省略するプロセ
スにおいて、極低炭素鋼にTiとNbを添加し固溶CをTiC
やNbCとして固定することにより、r値や伸びを向上す
る方法が開示されている。しかし、この方法では熱延後
の冷却巻取中に微細なTiCやNbCが析出するため、冷延
後の焼鈍時における 111 再結晶集合組織の発達が阻害
されるだけでなく、微細析出により硬化する。このた
め、得られる冷延鋼板の加工性は最良のものとは言い難
い。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】ここに、本発明は、上
記の技術よりも加工性、特に深絞り性と延性に優れ、自
動車用や家電製品用に好適な冷延鋼板およびその製造方
法を提供することにあり、さらには、厚さ 100mm以下の
薄鋳片を用いた製造プロセスでも優れた加工性を有する
冷延鋼板の製造方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、冷延鋼板
の製造過程で析出する炭窒化物の種類と加工性との関係
に着目して検討した結果下記の知見を得、本発明を完成
させるに至った。
【0012】イ)上記の技術では、炭窒化物形成元素を
添加し固溶Cや固溶Nを炭窒化物として固定するため、
冷延後の焼鈍時に 111 再結晶集合組織の発達を抑制す
る固溶Cや固溶Nの作用を除くことは可能である。しか
し、冷延鋼板の加工性を更に向上させるには、熱間圧延
後の冷却・巻取中に析出して冷延後の焼鈍時に 111再
結晶集合組織の発達を抑制する作用を持つ微細なTiCの
析出も防止する必要がある。しかし、従来のC量および
S量(あるいは更にN量)の合計量とTi量の関係を下記
(2)のように規定するだけでは、熱間圧延が完了するま
でにTi系硫化物として主にTiSが析出し、このため、熱
間圧延中に消費されずに残存した固溶Cが残ったTiと結
合して熱間圧延後の冷却巻取中に微細なTiCとして析出
するため、冷延焼鈍鋼板の加工性の向上が阻害される。
【0013】 (Ti/48) ≧(C/12)+(S/32)+(N/14) (2) ロ)Ti系析出物は、高温からTiN、Ti4C2S2(TiS)、TiC
の順序で析出する。したがい、固溶したC、SおよびN
が、特に固溶Cが熱間圧延完了後も残存していると、熱
間圧延後の冷却、巻取中にTiCが析出し冷延後の焼鈍時
に 111 再結晶集合組織の発達を抑制し、深絞り性が向
上しない。したがい、TiNの析出後、従来法と異なりTi
Sの析出を抑制して Ti4C2S2を析出させることで、Nだ
けでなくCもSとともに熱間圧延完了までに粗大析出物
として固定することができるため、微細TiCの析出が抑
制され、硬化せず、延性も大きく向上する。
【0014】ハ)熱間圧延後の冷却・巻取中に析出する
TiCの析出を防止するには、従来のC量、S量およびN
量とTi量の関係式である上記 (2)式では不十分であり、
さらに、CとSの含有量の関係を重量%比で (1)式のよ
うに規定して、CとSの原子当量比をほぼ等しくするこ
とにより、TiSの析出を抑制し、固溶Cを Ti4C2S2とし
て析出させ固定する。これにより、固溶C量を低減し
て、微細TiCの冷却、巻取中での析出を抑制することが
できる。
【0015】つまり、従来はTiSとして固定させる必要
があるために不純物元素としてできる限り低減させてい
たSを積極的に活用して Ti4C2S2を析出させることによ
り、残存した固溶Cによる微細TiCの析出を抑制でき、
それにより加工性の大幅な向上を図ることができる。
【0016】 0.7 ×(C/12)≦(S/32)≦2.0 ×(C/12) (1) ニ) Ti4C2S2は熱間圧延完了(冷却開始前)までに析出
するためTiCよりも粗大であり、冷間圧延後の焼鈍時の
111 再結晶集合組織の発達を阻害しないため、従来以
上に深絞り性が向上する。
【0017】さらに、製造方法の観点からは、 ホ)熱間圧延時の圧延終了温度が1100〜 450℃で、かつ
この温度域での合計圧下率を50%以上に規定すること
で、十分な加工歪が蓄積され、再結晶処理後において優
れた加工性が得られる。
【0018】ヘ)上記ホの熱間圧延に先だって、最終パ
スの圧延を1200℃〜 750℃の温度域で合計圧下率を30%
以上とする一次圧延を行うことで、また、厚さが 100mm
以下の薄鋳片を用いた場合は、最終パスの圧延を1200〜
750℃の温度域で合計圧下率を10%以上とする一次圧延
を行うことで、粗大な結晶粒径の低減、および歪の導入
により析出物の析出・粒成長を促進するとともに、次工
程で析出処理を行う場合は析出処理時に迅速に析出物を
析出・粒成長させることができ、その後の二次圧延と合
わせて鋼板への十分な加工歪の蓄積と共に析出物の析出
粒成長が促進されるため、冷間圧延後の再結晶処理後に
おいて優れた加工性が得ることができる。
【0019】ト)上記ホの熱間圧延前、または、上記ヘ
の一次圧延と二次圧延の間に、1150〜700 ℃の温度域で
1〜60分間保持する析出処理を行うことにより、 Ti4C2
S2(TiS)の析出を促進して粗大化させ、さらに、その
後の冷却・巻取過程での微細TiCの析出を抑制すること
ができるため、更にr値と延性を向上することができ
る。
【0020】ここに本発明は、重量%で、C:0.05%以
下、Si: 1.0%以下、Mn: 3.0%以下、P:0.20%以
下、S:0.05%以下、Sol.Al:0.01〜0.10%、N:0.01
%以下、Ti:0.005〜0.30%を含有し、かつ、下記(1)
(2)式を満足し、 0.7×(C/12)≦(S/32)≦2.0×(C/12) (1) Ti/48≧(C/12)+(N/14)+(S/32) (2) 残部がFeおよび不可避的不純物からなり、Ti
の析出物を含む冷延鋼板であり、それに加えて、0.
0001〜0.0050%のBおよび/またはNb、Zr、VおよびMo
の1種または2種以上を、合計量で 0.002〜 1.0%含有
させてもよい。
【0021】また、別の態様としては、上記の鋼を鋳片
とし、下記の条件A〜Cで順次加工、熱処理してTi
を析出させる加工性に優れた冷延鋼板の製造方
法である。
【0022】条件A) 合計圧下率が30%以上で、最終パスの圧延が1200〜 7
50℃となる一次圧延を行なう。
【0023】一次圧延後、終了温度が1100〜 450℃
で、かつこの温度域での合計圧下率が50%以上となる二
次圧延を行う。
【0024】二次圧延後冷却して巻取る。
【0025】その後、冷間圧延と再結晶焼鈍を行う。
【0026】条件B)厚さ 100mm以下の薄鋳片の場合、 合計圧下率が10%以上で、最終パスの圧延が1200〜 7
50℃となる一次圧延を行なう。
【0027】一次圧延後、終了温度が1100〜 450℃
で、かつこの温度域での合計圧下率が50%以上となる二
次圧延を行う。
【0028】二次圧延後、冷却して巻取る。
【0029】その後、冷間圧延と再結晶焼鈍を行う。
【0030】条件C)厚さ 100mm以下の薄鋳片の場合、 終了温度が1100〜 450℃で、かつこの温度域での合計
圧下率が50%以上となる熱間圧延を行う。
【0031】熱間圧延後、冷却して巻取る。
【0032】その後、冷間圧延と再結晶焼鈍を行う。
【0033】さらに、条件Aまたは条件Bの一次圧延と
二次圧延の間に、あるいは条件Cの熱間圧延に先だっ
て、1150〜 700℃の温度域に 1〜60分間保持する析出処
理を行ってもよいし、条件Aまたは条件Bの一次圧延と
二次圧延の間に、二次圧延の終了温度を確保できる程度
に加熱を行ってもよい。
【0034】
【作用】以下に、本発明の化学組成、および製造条件の
限定理由につき、詳細に説明する。
【0035】なお、以下に述べる「%」は、「重量%」
のことである。
【0036】また、本発明による冷延鋼板には、溶融亜
鉛めっき処理、合金化溶融亜鉛めっき処理、電気めっき
処理、有機被覆コーティング、および、プレス加工対象
の鋼板を含む。
【0037】(化学組成について) C:0.05%以下 Cは、後述するSやTiとともに Ti4C2S2を形成すること
から、本発明では極めて重要な元素である。また、鋼板
の深絞り性に悪影響を及ぼす元素のため、その含有量は
少ない方が望ましい。特にCが多くなると強化には寄与
するが、C含有量が0.05%を超えると深絞り性の劣化が
著しくなる。また、固溶C量を低減するために必要とさ
れるTiの添加量が増して、コスト上昇を招く。従って、
本発明にあってCの含有量を0.05%以下と限定した。よ
り好ましくは、0.01%以下である。
【0038】Si:1.0 %以下 Siは、鋼板を固溶強化するが、 1.0%を越えて含有させ
ると深絞り性や化成処理性を劣化させるのみならず、ス
ケール性状も劣化して製品品質を損なうようになること
から、その含有量を 1.0%以下とした。
【0039】Mn:3.0 %以下 Mnは、鋼板を固溶強化し、靭性を改善する作用がある
が、その含有量が 3.0%を超えると、強度は上昇するが
深絞り性が著しく劣化する。従って、Mn含有量は3.0%
以下と定めた。
【0040】P:0.20% 以下 Pは、鋼板を固溶強化するが、その含有量が0.20%を越
えると粒界に偏析して粒界脆化が生じやすくなり、鋼板
の靭性が低下する。従って、0.20%以下に限定した。
【0041】S:0.05%以下 Sは、Cとともに Ti4C2S2を形成してCを固定し、微細
なTiCの析出を抑制することから、本発明では極めて重
要な元素である。従来はTiSとして固定させる必要があ
るために不純物元素としてできる限り低減させていたS
を、本発明では積極的に活用して Ti4C2S2を析出させる
ことにより、残存した固溶Cによる微細TiCの析出を抑
制でき、それにより加工性の大幅な向上を図ることがで
きる。固溶Cを Ti4C2S2として固定し、熱間圧延後の冷
却・巻取過程で析出する微細なTiCの析出量を低減する
ためには、CとSの含有量を規定した (1)式を満たし、
CとSの原子等量比をほぼ等しくする必要がある。
【0042】 0.7×(C/12)≦(S/32)≦2.0 ×(C/12) (1) S/32が2.0 ×(C/12)(原子当量比で S/Cが2.0 )を超え
る場合はS量が多いため熱間圧延が完了するまでにTiS
が多量に析出してしまい Ti4C2S2の析出量が減少する。
また、S/32が0.7 ×(C/12)(原子当量比で S/Cが0.7 )
未満の場合はS量が少ないため熱間圧延が完了するまで
の Ti4C2S2の析出量が減少する。そのため、いずれの場
合も固溶Cが Ti4C2S2として消費されずに多量に残存
し、熱間圧延後の冷却巻取中に微細TiCが多量に析出す
る。その結果、冷延後の焼鈍時に111 再結晶集合組織の
発達が抑制され深絞り性の向上が妨げられるだけでな
く、析出硬化により延性の向上も阻害されてしまう。
【0043】また、S量が0.05%を超えると、硫化物の
析出量が多くなり、深絞り性や伸びが劣化するととも
に、Sを固定するのに必要なTi量が多くなり、コスト上
昇を招く。従って、Sの含有量を0.05%以下とした。
【0044】Sol.Al:0.01〜0.10% Alは脱酸および炭窒化物や硫化物の形成元素の歩留向上
のために添加されるが、その含有量がSol.Al量で0.01%
より少ないと前記の作用効果が十分に得られない。一
方、0.10%を超えて含有させても効果が飽和して不経済
となることから、Al含有量はSol.Al量で0.01〜0.10%と
定めた。
【0045】N:0.01%以下 Nは少なければ少ないほど炭窒化物形成元素の添加量が
少なくてすむので好ましい。しかし、その含有量が0.01
%を超えると、炭窒化物形成元素を添加しても鋼板の深
絞り性の低下は避けられないだけでなく、Nを固定する
ための合金元素の添加量が増加し製造コストが増大す
る。従って、N含有量を0.01%以下と定めた。
【0046】Ti: 0.005〜0.30% Tiは、CおよびSとともに Ti4C2S2を形成し、加工性を
良くすることから、本発明では極めて重要な元素であ
る。 0.005%未満では Ti4C2S2を析出させることができ
ない。一方、0.30%を超えて添加しても Ti4C2S2を形成
する作用が飽和するだけでなく、強度が上昇して加工性
が劣化する。また、製造コストが上昇するとともに、化
成処理性が低下する。従って、Ti含有量を0.005 〜0.30
%と定めた。
【0047】固溶Cと固溶Sを Ti4C2S2として固定し、
微細なTiCの析出を抑制するとともに固溶NをTiNとし
て固定するためには、 (2)式を満たすTi量を添加する必
要がある。
【0048】 (Ti/48) ≧(C/12)+(S/32)+(N/14) (2) Ti/48が(C/12)+(S/32)+(N/14)未満の場合には、固溶
Cが Ti4C2S2として完全に固定されず、一部が残留する
ため、深絞り性が劣化する。
【0049】B:0.0001〜0.0050% Bは、粒界に偏析して粒界を強化し、絞り加工部品で問
題となる“縦割れ”を防止する作用を有しているので必
要により添加される。その含有量が0.0001%未満では前
記作用による所望の効果が得られない。一方、0.0050%
を超えて含有させてもその効果が飽和し、経済的に不利
となることから、B含有量は0.0001〜0.0050%と定め
た。
【0050】Nb、Zr、V およびMo:合計量で0.002 〜1.
00% これらの成分は、熱延板結晶粒の微細化および強化のた
めに、必要に応じて合計量で 0.002%以上となるように
これらの元素の1種または2種以上が、Tiとともに複合
添加される。これらの合計含有量が 0.002%よりも少な
いと前記作用による所望の効果が得られない。一方、合
計含有量が1.00%よりも多いと強度が上昇し過ぎ、成形
性が劣化して加工用の鋼板として適さなくなると共に、
経済的にも不利となる。従って、これらの成分の含有量
は合計で 0.002〜1.00%と定めた。
【0051】(製造条件について)図1に、条件A(請
求項4に対応)、条件B(請求項5に対応)での製造工
程の模式図を、図2に条件C(請求項6に対応)での製
造工程の模式図を示す。
【0052】I.本発明に用いられる素材鋼は、例えば
転炉、電気炉、または平炉等により溶製される。鋼種も
リムド鋼、キャップド鋼、セミキルド鋼またはキルド鋼
の何れでも良い。
【0053】また、鋼片の製造については、連続鋳造法
あるいは造塊−分塊圧延法の何れの手段によっても構わ
ない。
【0054】II.熱間圧延前の鋳片の加熱条件 鋳片は、高温のまま直接に、あるいはAr3点以上に加熱
した後、熱間圧延工程に供される。
【0055】連続鋳造または分塊圧延した前記化学組成
からなるアルミキルド鋼の素材鋼(スラブ)は、鋳造か
ら直送されてくる鋳片がAr3点以上の温度であればその
まま熱間圧延工程に付してよい。また、Ar3点より低温
であれば、再加熱してAr3点以上に加熱する。これは、
圧延前の素材(スラブ)を均一なγ組織にするためであ
る。加熱の時間は、鋼片のサイズに応じて全体が均一な
温度になるように選べばよい。加熱温度および加熱時間
の上限は、γ粒が粗大にならない範囲で選定する。
【0056】スラブ加熱前に粗大に析出している Ti4C2
S2やTiSの再固溶とその後の熱間圧延過程における析出
を防止して高い加工性を得るためには、スラブ加熱温度
を1150℃以下Ar3点以上とすることが望ましい。
【0057】III.熱間圧延条件 熱間圧延は、通常の熱間圧延条件で行ってもよいが、よ
り加工性を向上させるため下記のA〜Cの条件で行うの
が好ましい。
【0058】条件A)一次圧延と二次圧延に分けて圧延
し、所定の板厚に仕上げる場合: 合計圧下率が30%以上で、最終パスの圧延が1200〜 7
50℃となる一次圧延を行なう。
【0059】一次圧延後、終了温度が1100〜 450℃
で、かつこの温度域での合計圧下率が50%以上となる二
次圧延を行う。
【0060】条件B)厚さ 100mm以下の薄鋳片を用い
て、一次圧延と二次圧延に分けて圧延し、所定の板厚に
仕上げる場合: 合計圧下率が10%以上で、最終パスの圧延が1200〜 7
50℃となる一次圧延を行なう。
【0061】一次圧延後、終了温度が1100〜 450℃
で、かつこの温度域での合計圧下率が50%以上となる二
次圧延を行う。
【0062】条件C)厚さ 100mm以下の薄鋳片を用い
て、一回の熱間圧延で、所定の板厚に仕上げる場合:終
了温度が1100〜 450℃で、かつこの温度域での合計圧下
率が50%以上となる熱間圧延を行う。
【0063】さらに、条件Aまたは条件Bの一次圧延と
二次圧延の間に、あるいは条件Cの熱間圧延に先だっ
て、1150〜 700℃の温度域に 1〜60分間保持する析出処
理を行ってもよい。
【0064】以下に、条件A、BおよびCの限定を行っ
た理由を下記に述べる。
【0065】(1) 一次圧延:合計圧下率と最終パスの圧
延温度を規定。
【0066】一次圧延の目的は、粗大な結晶粒径を低減
すること、および歪を導入することにより析出物の析出
・粒成長を促進するとともに、次工程で析出処理を行う
場合は析出処理時に迅速に析出物を析出・粒成長させる
ことにある。そのためには、一次圧延は合計圧下率を30
%以上、その最終パスでの圧延を1200〜 750℃の温度域
で行う必要がある。好ましくは45%以上の圧下率で行う
のがよい。
【0067】合計圧下率が30%より小さいか、あるいは
最終パスの温度が1200℃より高いと、結晶粒径を低減す
ることができないだけでなく、次工程で析出処理を行う
場合は迅速に析出物を析出・粒成長させることができな
い。最終パス温度が 750℃より低いと、二次圧延での温
度が低下して変形抵抗が大きくなることに加えて、次工
程で析出処理を行う場合は、析出処理の温度確保が困難
となる。
【0068】また、厚さが 100mm以下の薄鋳片を用いる
場合は、通常の厚さの鋳片よりも平均の冷却速度が大き
いため、通常の厚さの鋳片より結晶粒が微細化されてい
る。
【0069】そのため、上述した一次圧延と二次圧延と
に分けて圧延を行う場合でも、薄鋳片においては、一次
圧延なしまたは少ない圧下率での一次圧延を行っても所
望の性能を得ることができる。また、一次圧延を省略し
た場合は、析出処理を行った後熱間圧延を行ってもよ
い。
【0070】すなわち、薄鋳片の場合は、一次圧延は省
略してもよく、実施する場合でも、合計圧下率が10%以
上、その最終パスでの圧延を1200℃〜 750℃の温度域で
行う。好ましくは20%以上の合計圧下率で熱間圧延を行
うのがよい。
【0071】合計圧下率が10%より小さいか、あるいは
最終パスの温度が1200℃より高いと、結晶粒径を低減す
ることができないだけでなく、次工程で析出処理を行う
場合は迅速に析出物を析出・粒成長させることができな
い。また、最終パス温度が 750℃より低いと二次圧延で
の温度が低下して変形抵抗が大きくなることに加えて、
次工程で析出処理を行う場合は、析出処理の温度確保が
困難となる。
【0072】(2) 二次圧延:圧延終了温度と特定温度範
囲内での合計圧下率を規定。
【0073】二次圧延の目的は、一次圧延材を最終板厚
に加工すること、および加工歪を導入して析出物の析出
・粒成長を促進するとともに熱延板のα粒径を低減して
最終製品の特性を向上することにある。そのためには、
二次圧延は、一次圧延材あるいは下記に述べる一次圧延
後析出処理した圧延材を常温まで冷却することなく、終
了温度が1100〜 450℃で、かつこの温度域での合計圧下
率が50%以上となる条件で圧延を行う。また、厚さが 1
00mm以下の薄鋳片を用いる場合は、一次圧延を省略し
て、終了温度が1100〜 450℃で、かつ合計圧下率が50%
以上となる条件で圧延を行ってもよい。
【0074】一次圧延後、二次圧延の終了温度を確保で
きる場合はそのまま二次圧延に供してよい。二次圧延の
終了温度を確保することが困難な場合は、加熱してから
二次圧延を行うのがよい。これは、特定の温度域で行う
熱間圧延の終了温度を確保し易くするためである。加熱
時間は、鋼片のサイズに応じて全体が均一な温度になる
ように適宜選べばよく、加熱温度および加熱時間の上限
は、γ粒が粗大にならない範囲で選定する。加熱方法と
しては、鋼片に直接電流を流して加熱する通電加熱法、
誘導加熱法およびガスバーナー加熱法等が好適である。
【0075】終了温度が1100℃を超える場合、または11
00〜 450℃の温度域での合計圧下率が50%未満の場合
は、十分な加工歪が蓄積されず、再結晶処理後において
優れた加工性が得られない。一方、終了温度が 450℃未
満になると変形抵抗が著しく高くなるので、実際上二次
圧延が困難になる。この二次圧延の一部のパスまたは全
パスをα域で行う場合、α域での熱間圧延を圧延潤滑油
を用いて行ってもよい。
【0076】圧延潤滑油を用いれば、板厚方向の加工変
形が均一化されるので、冷延焼鈍鋼板の板厚表層部まで
含めてr値が向上する。この結果、板全体のr値も向上
する。
【0077】圧延潤滑油を用いて二次圧延を行う場合
は、圧延ロールと被圧延材との摩擦係数μが 0.2以下と
なるようにするのがよい。
【0078】(3) 一次圧延と二次圧延の間に析出処理を
行う場合。
【0079】鋼中のN、S、CをTiN、 Ti4C2S2、TiS
として析出させ、粒成長による結晶粒の粗大化を図ると
共に、熱間圧延後の冷却・巻取中での微細なTiCの析出
を防止して加工性を向上させるために、一次圧延と二次
圧延の間で析出処理を行うことが好ましい。析出処理は
一次圧延終了後直ちに、または圧延終了後一旦冷却させ
た後に、1150〜 700℃の温度域で 1〜60分間保持する。
【0080】一次圧延後、温度が降下し析出処理温度や
二次圧延の終了温度の確保が困難な場合は、一次圧延材
を加熱した後1150〜 700℃の温度域に 1〜60分間保持し
てもよい。加熱時間は、熱延材のサイズに応じて全体が
均一な温度になるように適宜選べばよく、加熱温度およ
び加熱時間の上限は、γ粒やα粒が粗大にならない範囲
で選定する。加熱方法として、一次圧延材に直接電流を
流して加熱する通電加熱法、誘導加熱法、およびガスバ
ーナーによる加熱法が好適である。
【0081】1150℃より高い温度域で保持すると、析出
物の溶解度が大きいために析出物の析出が迅速に進まな
いばかりか、γ粒が粗大化し熱延板のα粒が粗大化する
ことになって、最終製品のr値や伸びが向上しない。一
方、 700℃より低い温度域で保持すると析出速度が著し
く遅いことから、同じく析出が迅速に進まず、r値や伸
びの向上が得られない。また、保持時間が1分未満では
析出物の析出量が少なく、一方、60分より長いと析出物
の析出が飽和し、製造コストの上昇を招くことになる。
【0082】一次圧延後の圧延材を上記析出処理温度域
に保持するのは圧延ライン内で行うのが望ましい。圧延
後放冷することで1150〜 700℃の温度域に 1〜60分間保
持してもよいが、例えば、近年開発されたコイルボック
スを使用し、これで一次圧延後の粗圧延材をコイル状に
巻取ればライン内で析出処理を行うこともできる。
【0083】また、厚さが 100mm以下の薄鋳片の場合
は、一次圧延を省略して直接二次圧延に相当する熱間圧
延を行う場合にも、熱間圧延に先だって析出処理を行っ
てもよい。その場合、析出処理温度確保のため、析出処
理に先立って鋳片の冷却や加熱を行ってもよい。上記析
出処理温度域に保持するため、一次圧延後の圧延材をコ
イル状に巻取り、ライン内で析出処理を行うこともでき
る。
【0084】IV.熱間圧延後の冷却、巻取り条件 所定の厚さまでの熱間圧延を完了した後、冷却して巻取
る。圧延後の冷却は、圧延がAr3点以上で完了する場合
(Ar3点− 100℃)までの温度域での冷却速度が5℃/s
以上となるように行うのが望ましい。これにより、微細
で加工硬化した(歪みの蓄積された)γから多数のα核
を生じさせ、しかもα粒の成長を抑制することができる
ため、一層微細なα粒からなる熱延鋼板を得ることがで
きる。
【0085】また、熱間圧延後の巻取温度には特に制限
はないが、スケールの生成を抑制するために 800℃以下
で巻取るのが好ましい。
【0086】この方法で次工程の冷間圧延前にα粒を微
細化し、α粒界の面積を増やしておくことにより、再結
晶焼鈍時に、r値の向上に好ましい 111 集合組織をα
粒界から発達させることができる。
【0087】V.冷間圧延条件 冷間圧延の目的は、所定の板厚にするとともに、圧延集
合組織を発達させ、次の再結晶焼鈍工程でr値の向上と
面内異方性の最小化に好ましい 111 集合組織を発達さ
せることにある。そのためには、50%以上の圧下率で最
終板厚に加工することが望ましい。圧下率が50%より低
い場合は、再結晶焼鈍を行っても 111集合組織が十分
に発達しないことがある。
【0088】VI.再結晶焼鈍条件 冷間圧延後は再結晶焼鈍を行う。再結晶焼鈍はαの集合
組織を制御して高加工性の冷延鋼板を製造する上で不可
欠な工程である。そのためには 550〜 900℃の温度範囲
で焼鈍を行い、αを再結晶させるのが望ましい。 550℃
より低い温度では長時間の焼鈍であるバッチ焼鈍でも再
結晶が十分に生じず、一方、 900℃を超える温度ではγ
化が著しく進行して、所定のαの再結晶集合組織に制御
するのが困難となる。
【0089】再結晶焼鈍を行う方法については特に制約
はない。連続焼鈍、バッチ焼鈍、連続溶融亜鉛メッキ処
理に先行する熱処理の何れでもよい。
【0090】また、冷延・焼鈍の後、必要に応じて圧下
率が10%未満の調質圧延(スキンパス)や各種の表面処
理等を施してもよい。
【0091】本発明によって得られた冷延鋼板は、適
宜、表面処理(溶融亜鉛メッキ、合金化溶融亜鉛メッ
キ、電気メッキ、有機被覆コーティングなど)やプレス
加工を施した後、例えば自動車、家電製品、鋼構造物な
どに使用されるが、特にそれらの用途において要求され
る高造形性と強度とを同時に有するものである。
【0092】
【実施例】実施例により本発明を更に具体的に説明する
が、これにより本発明が限定されるものではない。
【0093】(実施例1)表1に示す化学組成の鋼(鋼
種AA〜AV)のスラブを厚さ 200mmに鋳造し、表2に
示す条件で熱間圧延し、冷却して巻取った後、熱延板の
結晶粒度を測定した。なお、表1に(48C/12)+(48S/32)
+(48N/14)の値と(S/32)/(C/12)の値、およびAr3点温
度を併記した。
【0094】上記の熱延鋼板を酸洗した後、冷間圧延を
行い、その後、 820℃×1minの連続焼鈍(処理イ)、 7
50℃×5hr のバッチ焼鈍(処理ロ)、連続溶融亜鉛メッ
キ処理に先行する熱処理( 820℃×40s :処理ハ)によ
り再結晶処理を行った。
【0095】このようにして得られた冷延鋼板と溶融亜
鉛メッキ鋼板から試験片を採取して、降伏強さ、引張強
さ、破断伸び、およびr値を調査した。その結果を冷間
圧延の圧下率および焼鈍条件とともに表3に示す。な
お、表中の平均r値は、圧延方向に対して0゜、45゜、
90゜方向から採取した試験片により求めたr値を、各々
0 、r45、r90とした時、(r0 +2×r45+r90
/4の値を平均r値とした。
【0096】表1〜3に示す結果からも明らかなよう
に、本発明で定める条件に従って製造された冷延鋼板と
溶融亜鉛メッキ鋼板は優れたr値と伸びを有している。
更に、降伏強さは低めであり、加工性が非常に優れてい
ることは明らかである。
【0097】また、試験番号12から試験番号18で示すよ
うに、スラブ加熱温度を低減した鋼板、一次圧延後析出
処理した鋼板、およびα域で潤滑圧延した鋼板の機械的
特性は、試験条件がほとんど同じである試験番号 5で得
られた鋼板の機械的特性よりも更に向上していることも
確認できる。
【0098】これに対して、試験番号19〜31の、本発明
の規定を満たしていない場合には、得られる鋼板の特性
が劣る結果となっている。すなわち、試験番号19と試験
番号20で示すように、熱間圧延条件が本発明で定める条
件を満たさない例では、成分が同じ試験番号 1の機械的
特性と比べて低い。
【0099】また、試験番号21から試験番号31で示すよ
うに、成分が規定範囲を満たさない例では、本発明例と
比べてr値や伸びが大きく劣化している。試験番号29と
試験番号30では、C、S、N、Tiの各含有量は規定範囲
(2)式を満たしているが、(S/32)/(C/12)比が規定範囲
(1)式を満たしていないため、特性が劣化している。
【0100】試験番号31では、(S/32)/(C/12)比が規定
範囲 (1)式)を満たしているが、Ti量が少なく (2)式を
満たしていないため、特性が本発明例よりも劣る結果と
なっている。
【0101】
【表1】
【0102】
【表2】
【0103】
【表3】
【0104】(実施例2)表4に示す化学組成の鋼(鋼
種BA〜BU)のスラブを厚さ60mmに鋳造し、表5に示
す条件で熱間圧延し、冷却して巻取った後、熱延板の結
晶粒度を測定した。なお、表4に(48C/12)+(48S/32)+
(48N/14)の値と(S/32)/(C/12)の値、およびAr3点温度
を併記した。
【0105】上記の熱延鋼板を酸洗した後、冷間圧延を
行い、その後、 820℃×1minの連続焼鈍(処理イ)、 7
50℃×5hr のバッチ焼鈍(処理ロ)、連続溶融亜鉛メッ
キ処理に先行する熱処理( 820℃×40s :処理ハ)によ
り再結晶処理を行った。
【0106】このようにして得られた冷延鋼板と溶融亜
鉛メッキ鋼板から試験片を採取して、降伏強さ、引張強
さ、破断伸び、およびr値を調査した。その結果を冷間
圧延の圧下率および焼鈍条件とともに表6に示す。
【0107】表4〜6に示す結果からも明らかなよう
に、本発明で定める条件に従って製造された冷延鋼板と
溶融亜鉛メッキ鋼板は優れたr値と伸びを有している。
更に、降伏強さは低めであり、加工性が非常に優れてい
ることは明らかである。
【0108】また、試験番号52から試験番号63で示すよ
うに、スラブ加熱温度を低減した鋼板、一次圧延した鋼
板、および一次圧延後析出処理した鋼板の機械的特性
は、試験条件がほとんど同じである試験番号41で得られ
た鋼板の機械的特性よりも更に向上していることも確認
できる。
【0109】これに対して、試験番号64〜76で示すよう
に、本発明の規定を満たしていない場合には、得られる
鋼板の特性が劣る結果となっている。すなわち、試験番
号64と試験番号65で示すように、熱間圧延条件が本発明
で定める条件を満たさない例では、成分が同じ試験番号
41の機械的特性と比べて低い。
【0110】また、試験番号66から試験番号76で示すよ
うに、成分が本発明で定める条件を満たさない例では、
本発明例と比べてr値や伸びが低いことがわかる。試験
番号74と試験番号75では、C、S、N、Tiの各含有量は
規定範囲 (2)式を満たしているが、(S/32)/(C/12)比が
規定範囲 (1)式を満たしていないため、特性が劣化して
いる。試験番号76では、(S/32)/(C/12)比が規定範囲
(1)式を満たしているが、Ti量が少なく (2)式を満たし
ていないため、特性が本発明例よりも劣る結果となって
いる。
【0111】
【表4】
【0112】
【表5】
【0113】
【表6】
【0114】
【発明の効果】本発明の方法によれば、実際の操業上も
無理のない熱間圧延工程と、その後の冷間圧延および再
結晶焼鈍により、r値と伸びの高い加工性に優れた冷延
鋼板を安定して製造することができる。このような冷延
鋼板は、特に自動車や家電製品の外装用や内装用等に好
適である。
【0115】さらに、薄スラブを用いた場合には、熱間
圧延工程の一部省略あるいは簡略化してr値と伸びの高
い加工性に優れた冷延鋼板を安定して製造することがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】請求項4(条件A)と請求項5(条件B)に対
応する製造工程を示す模式図である。
【図2】請求項6(条件C)に対応する製造工程を示す
模式図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C22C 38/00 301 C21D 8/04 C21D 9/48 C22C 38/14

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】重量%で、C:0.05%以下、Si: 1.0%以
    下、Mn: 3.0%以下、P:0.20%以下、S:0.05%以
    下、Sol.Al:0.01〜0.10%、N:0.01%以下、Ti: 0.0
    05〜0.30%を含有し、かつ、下記(1)(2)式を満足し、 0.7×(C/12)≦(S/32)≦2.0×(C/12) (1) (Ti/48)≧(C/12)+(N/14)+(S/32) (2) 残部がFeおよび不可避的不純物からなり、Ti
    の析出物を含むことを特徴とする加工性に優れた冷
    延鋼板。
  2. 【請求項2】さらに、0.0001〜0.0050重量%のBを含有
    することを特徴とする請求項1記載の加工性に優れた冷
    延鋼板。
  3. 【請求項3】さらに、Nb、Zr、VおよびMoの1種または
    2種以上を、合計量で 0.002〜 1.0重量%含有すること
    を特徴とする請求項1または2に記載の加工性に優れた
    冷延鋼板。
  4. 【請求項4】請求項1ないしは3のいずれかに記載の鋼
    を鋳片とし、下記の条件で順次加工、熱処理してTi
    を析出させることを特徴とする加工性に優れた
    冷延鋼板の製造方法。合計圧下率が30%以上で、最終
    パスの圧延が1200〜 750℃となる一次圧延を行う。一
    次圧延後、終了温度が1100〜 450℃で、かつこの温度域
    での合計圧下率が50%以上となる二次圧延を行う。二
    次圧延後冷却して巻取る。その後、冷間圧延と再結晶
    焼鈍を行う。
  5. 【請求項5】請求項1ないしは3のいずれかに記載の鋼
    を厚さ 100mm以下の鋳片とし、下記の条件で順次加工、
    熱処理してTi を析出させることを特徴とす
    る加工性に優れた冷延鋼板の製造方法。合計圧下率が
    10%以上で、最終パスの圧延が1200〜 750℃となる一次
    圧延を行なう。一次圧延後、終了温度が1100〜 450℃
    で、かつこの温度域での合計圧下率が50%以上となる二
    次圧延を行う。二次圧延後、冷却して巻取る。その
    後、冷間圧延と再結晶焼鈍を行う。
  6. 【請求項6】請求項1ないしは3のいずれかに記載の鋼
    を厚さ 100mm以下の鋳片とし、下記の条件で順次加工、
    熱処理してTi を析出させることを特徴とす
    る加工性に優れた冷延鋼板の製造方法。終了温度が11
    00〜 450℃で、かつこの温度域での合計圧下率が50%以
    上となる熱間圧延を行う。熱間圧延後、冷却して巻取
    る。その後、冷間圧延と再結晶焼鈍を行う。
  7. 【請求項7】請求項4または5の一次圧延と二次圧延の
    間に、あるいは請求項6の熱間圧延に先だって、1150〜
    700℃の温度域に 1〜60分間保持するTi
    析出処理を行うことを特徴とする加工性に優れた冷延鋼
    板の製造方法。
  8. 【請求項8】 請求項4または5の一次圧延と二次圧延の
    間に、前記二次圧延の終了温度が1100〜450℃となるよ
    うに、鋳片の加熱を行うことを特徴とする加工性に優れ
    た冷延鋼板の製造方法。
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