JPH06336619A - 面内異方性の小さい高r値冷延鋼板の製造方法 - Google Patents
面内異方性の小さい高r値冷延鋼板の製造方法Info
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- JPH06336619A JPH06336619A JP28330393A JP28330393A JPH06336619A JP H06336619 A JPH06336619 A JP H06336619A JP 28330393 A JP28330393 A JP 28330393A JP 28330393 A JP28330393 A JP 28330393A JP H06336619 A JPH06336619 A JP H06336619A
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Abstract
(57)【要約】 (修正有)
【目的】超微細均一組織の熱延鋼板から面内異方性が小
さく高r値をもち、優れた加工性を示す冷延鋼板の安定
な構造。 【構成】重量%で、いずれも、Si:1.0,Mn:
3.0,P:0.20,S:0.10,N:0.10以
下で、Al:0.01〜0.10を含有し、残部がFe
及び不可避的不鈍物からなる鋼を、熱間圧延前にAr3
点以下に加熱し、仕上圧延機の少なくとも後段2スタン
ド以上のロールの間で鋼板を再加熱し、仕上温度を
{(Ar3点−50℃)〜(Ar3点+200℃)}と
し、かっこの温度域での合計圧下率を30%以上として
仕上圧延を行う、熱間圧延した後、冷却して巻き取り、
その後、冷間圧延と再結晶焼鈍を施す、面内異方性の小
さい高r値冷延鋼板の製造方法。
さく高r値をもち、優れた加工性を示す冷延鋼板の安定
な構造。 【構成】重量%で、いずれも、Si:1.0,Mn:
3.0,P:0.20,S:0.10,N:0.10以
下で、Al:0.01〜0.10を含有し、残部がFe
及び不可避的不鈍物からなる鋼を、熱間圧延前にAr3
点以下に加熱し、仕上圧延機の少なくとも後段2スタン
ド以上のロールの間で鋼板を再加熱し、仕上温度を
{(Ar3点−50℃)〜(Ar3点+200℃)}と
し、かっこの温度域での合計圧下率を30%以上として
仕上圧延を行う、熱間圧延した後、冷却して巻き取り、
その後、冷間圧延と再結晶焼鈍を施す、面内異方性の小
さい高r値冷延鋼板の製造方法。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、面内異方性が小さ
く、かつ高ランクフォード値(r値)を示す深絞り性に
優れた冷延鋼板の製造方法に関する。
く、かつ高ランクフォード値(r値)を示す深絞り性に
優れた冷延鋼板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】極低炭素鋼をベースに、P、Mn、Si及び
Crを添加して強度を上昇させた高張力冷延鋼板について
は、既に多くの提案がなされている。例えば、特公昭57
−57945 号公報には、極低炭素のTi添加鋼にさらに多量
のPを添加した冷延鋼板が示されている。この場合で
は、得られるr値は 1.6〜1.9 が限界となっており、し
かもr値の面内異方性については何ら示されていない。
このような従来の高張力冷延鋼板では、r値が低い上に
r値の面内異方性が0.4 以上と大きいため、例えば鋼板
をプレス成形する際、十分な深絞り成形を行うことがで
きず、さらに特定方向のr値が低いためにその方向で割
れが発生してしまう。
Crを添加して強度を上昇させた高張力冷延鋼板について
は、既に多くの提案がなされている。例えば、特公昭57
−57945 号公報には、極低炭素のTi添加鋼にさらに多量
のPを添加した冷延鋼板が示されている。この場合で
は、得られるr値は 1.6〜1.9 が限界となっており、し
かもr値の面内異方性については何ら示されていない。
このような従来の高張力冷延鋼板では、r値が低い上に
r値の面内異方性が0.4 以上と大きいため、例えば鋼板
をプレス成形する際、十分な深絞り成形を行うことがで
きず、さらに特定方向のr値が低いためにその方向で割
れが発生してしまう。
【0003】冷延鋼板の加工性は、素材である熱延鋼板
の特性に大きく依存している。このため、近年、深絞り
性に優れた冷延鋼板を得るために、熱間圧延段階での製
造条件に関する検討が盛んに行われるようになってき
た。
の特性に大きく依存している。このため、近年、深絞り
性に優れた冷延鋼板を得るために、熱間圧延段階での製
造条件に関する検討が盛んに行われるようになってき
た。
【0004】面内異方性が小さくて高r値を示す加工性
が良好な冷延鋼板を得るためには、再結晶焼鈍後のフェ
ライト(以下、αと略す)において{111}集合組織
を発達させることが望ましいとされている。{111}
集合組織はα粒界近傍から生じるため、{111}集合
組織を発達させるためには、熱間圧延の際にオーステナ
イト(以下、γと略す)からの変態により生じるαの結
晶粒径を小さくして、α粒界面積を大きくすることが必
要である。
が良好な冷延鋼板を得るためには、再結晶焼鈍後のフェ
ライト(以下、αと略す)において{111}集合組織
を発達させることが望ましいとされている。{111}
集合組織はα粒界近傍から生じるため、{111}集合
組織を発達させるためには、熱間圧延の際にオーステナ
イト(以下、γと略す)からの変態により生じるαの結
晶粒径を小さくして、α粒界面積を大きくすることが必
要である。
【0005】高加工性冷延鋼板の素材となり得るα粒径
の小さな熱延鋼板を製造するための試みとして、鋼をγ
域で仕上圧延した後急冷し、これによりγ→α変態後の
α粒を細粒化しようとした試験結果が報告されている
〔 CAMP-ISIJ, Vol.3 (1990),p.785,786 参照〕。
の小さな熱延鋼板を製造するための試みとして、鋼をγ
域で仕上圧延した後急冷し、これによりγ→α変態後の
α粒を細粒化しようとした試験結果が報告されている
〔 CAMP-ISIJ, Vol.3 (1990),p.785,786 参照〕。
【0006】上記の方法によれば、比較的微細なα粒組
織を有する熱延鋼板を得ることができるが、それでもα
粒の細粒化には限界があり、α粒径が20μm を下回るほ
どに微細化された均一組織を得ることは困難である。そ
のため、これを素材とした冷延鋼板に対し、全体の面内
異方性を小さくして、十分に高くて均一なr値を安定し
て付与するまでには到っていない。なお、面内異方性と
は、圧延方向に対して0°、45°、90°の各方向のr値
であるr0 、r45、r90の中の最大値 (rmax) と最小
値 (rmin ) との差で評価されるもので、この差が小さ
い程、異方性が小さいことになる。
織を有する熱延鋼板を得ることができるが、それでもα
粒の細粒化には限界があり、α粒径が20μm を下回るほ
どに微細化された均一組織を得ることは困難である。そ
のため、これを素材とした冷延鋼板に対し、全体の面内
異方性を小さくして、十分に高くて均一なr値を安定し
て付与するまでには到っていない。なお、面内異方性と
は、圧延方向に対して0°、45°、90°の各方向のr値
であるr0 、r45、r90の中の最大値 (rmax) と最小
値 (rmin ) との差で評価されるもので、この差が小さ
い程、異方性が小さいことになる。
【0007】α粒径は、冷却過程におけるγ相からの変
態挙動によって決定されるものである。従って、α粒径
を微細にするには、熱間圧延の際の仕上圧延でγ粒を細
粒化し、歪みを蓄積させて(換言すれば、転位密度を増
大させて)その後の冷却過程で生成するα粒の析出核数
を増大させることが重要である。上記の方法では、仕上
圧延におけるγ粒の微細化とγ粒への歪みの蓄積が十分
ではなかったため、熱延鋼板で均一微細なα粒が得られ
なかったものと考えられる。
態挙動によって決定されるものである。従って、α粒径
を微細にするには、熱間圧延の際の仕上圧延でγ粒を細
粒化し、歪みを蓄積させて(換言すれば、転位密度を増
大させて)その後の冷却過程で生成するα粒の析出核数
を増大させることが重要である。上記の方法では、仕上
圧延におけるγ粒の微細化とγ粒への歪みの蓄積が十分
ではなかったため、熱延鋼板で均一微細なα粒が得られ
なかったものと考えられる。
【0008】特開昭63−145720号公報には、深絞り性に
優れた熱延鋼板の製造方法が開示されている。この方法
の要点は、粗圧延を行ってから急冷し、仕上圧延の終段
においてα領域での大圧下を行ってα粒を微細化し、か
つこれに歪みを与え、再結晶焼鈍で{111}集合組織
を発達させるという点にある。しかしこの方法では、仕
上圧延の終段 (実際上は最終のスタンド) で、低温のα
領域での大圧下圧延を行わなければならない。このよう
な低温での大圧下圧延を素材の大きな変形抵抗に抗して
行うには強大なパワーを持つ圧延機が必要になり、実用
化は難しい。これに対処する方法として特開昭62-25373
3 号公報に示されるような潤滑圧延があるが、これも噛
み込み角度の減少や作業環境の悪化といった問題があ
り、実機への適用は困難である。また、α域という低温
での圧延を行うと、表層部にr値を劣化させる集合組織
が生成しやすいという難点もある。
優れた熱延鋼板の製造方法が開示されている。この方法
の要点は、粗圧延を行ってから急冷し、仕上圧延の終段
においてα領域での大圧下を行ってα粒を微細化し、か
つこれに歪みを与え、再結晶焼鈍で{111}集合組織
を発達させるという点にある。しかしこの方法では、仕
上圧延の終段 (実際上は最終のスタンド) で、低温のα
領域での大圧下圧延を行わなければならない。このよう
な低温での大圧下圧延を素材の大きな変形抵抗に抗して
行うには強大なパワーを持つ圧延機が必要になり、実用
化は難しい。これに対処する方法として特開昭62-25373
3 号公報に示されるような潤滑圧延があるが、これも噛
み込み角度の減少や作業環境の悪化といった問題があ
り、実機への適用は困難である。また、α域という低温
での圧延を行うと、表層部にr値を劣化させる集合組織
が生成しやすいという難点もある。
【0009】上述のように、冷延鋼板の深絞り性を向上
するのに必要な{111}集合組織を発達させるべく、
熱間圧延の後に変態によって生じるα粒径を小さくしよ
うとする従来技術には、その効果に限界があり、かつ実
用化上の問題が多い。
するのに必要な{111}集合組織を発達させるべく、
熱間圧延の後に変態によって生じるα粒径を小さくしよ
うとする従来技術には、その効果に限界があり、かつ実
用化上の問題が多い。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、従来
の方法では実現が困難であった超微細均一組織の熱延鋼
板を製造し、これを素材として、面内異方性が小さく、
高いr値をもつとともに優れた加工性を示す冷延鋼板を
工業規模で安定して製造する方法を提供することにあ
る。
の方法では実現が困難であった超微細均一組織の熱延鋼
板を製造し、これを素材として、面内異方性が小さく、
高いr値をもつとともに優れた加工性を示す冷延鋼板を
工業規模で安定して製造する方法を提供することにあ
る。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、下記 (A)の
(1)〜(4) のいずれかの鋼を素材として、(B) の加工・
熱処理条件で処理することを特徴とする面内異方性の小
さい高r値冷延鋼板の製造方法を要旨とする。以下、合
金成分の含有量に関する%は重量%を意味する。
(1)〜(4) のいずれかの鋼を素材として、(B) の加工・
熱処理条件で処理することを特徴とする面内異方性の小
さい高r値冷延鋼板の製造方法を要旨とする。以下、合
金成分の含有量に関する%は重量%を意味する。
【0012】(A) 素材鋼 (1)C: 0.08%以下、Si:1.0%以下、Mn:3.0%以下、P:
0.20%以下、S: 0.10%以下、sol.Al: 0.01〜0.10%
及びN: 0.01%以下を含有し、残部がFe及び不可避的不
純物から成る鋼。
0.20%以下、S: 0.10%以下、sol.Al: 0.01〜0.10%
及びN: 0.01%以下を含有し、残部がFe及び不可避的不
純物から成る鋼。
【0013】(2)上記(1) の成分に加えて更に、0.0001
〜0.0050%のBを含有する鋼。
〜0.0050%のBを含有する鋼。
【0014】(3)上記(1) の成分に加えて更に、下記の
(イ)式を満たすTi、Nb、Zr、V及びMoを1種または2種
以上の合計量で 0.015〜0.350 %含有する鋼。
(イ)式を満たすTi、Nb、Zr、V及びMoを1種または2種
以上の合計量で 0.015〜0.350 %含有する鋼。
【0015】 〔C当量〕−〔Ti当量/4〕≦0.0020・・・ (イ) 但し、C当量=C(%) + (12/14)N(%) + (12/32)S
(%) Ti 当量=Ti(%) + (48/93)Nb(%) + (48/91)Zr(%) +
(48/60)V(%)+(48/96)Mo(%) (4)上記(1) の成分に加えて更に、0.0001〜0.0050%の
Bと、上記(イ) 式を満たすTi、Nb、Zr、VおよびMoを1
種または2種以上の合計量で 0.015〜0.350 %含有する
鋼。
(%) Ti 当量=Ti(%) + (48/93)Nb(%) + (48/91)Zr(%) +
(48/60)V(%)+(48/96)Mo(%) (4)上記(1) の成分に加えて更に、0.0001〜0.0050%の
Bと、上記(イ) 式を満たすTi、Nb、Zr、VおよびMoを1
種または2種以上の合計量で 0.015〜0.350 %含有する
鋼。
【0016】(B) 加工・熱処理条件 下記のからまでの条件で熱間圧延した後、冷却して
巻き取り、その後、冷間圧延と再結晶焼鈍を施す。
巻き取り、その後、冷間圧延と再結晶焼鈍を施す。
【0017】熱間圧延前の加熱温度を Ar3点以上とす
る。
る。
【0018】仕上圧延機の少なくとも後段2スタンド
以上のロールの間で鋼板を再加熱する。
以上のロールの間で鋼板を再加熱する。
【0019】仕上温度を{(Ar3点−50℃) 〜(Ar3点+
200 ℃) }とし、かつ、この温度域での合計圧下率を30
%以上として仕上圧延を行う。
200 ℃) }とし、かつ、この温度域での合計圧下率を30
%以上として仕上圧延を行う。
【0020】上記本発明の方法による冷延鋼板には、合
金化溶融亜鉛めっき処理、溶融亜鉛めっき処理、電気め
っき処理、有機被覆コーティングおよびプレス加工を対
象とする鋼板を含む。
金化溶融亜鉛めっき処理、溶融亜鉛めっき処理、電気め
っき処理、有機被覆コーティングおよびプレス加工を対
象とする鋼板を含む。
【0021】
【作用】本発明者等は、前記の目的を達成すべく、素材
鋼の化学組成と加工・熱処理の条件について詳しく検討
した。そして、前記の特定の化学組成を持つ鋼の連続鋳
造鋳片またはインゴット等を素材とする場合において、
次のような知見を得ることができた。
鋼の化学組成と加工・熱処理の条件について詳しく検討
した。そして、前記の特定の化学組成を持つ鋼の連続鋳
造鋳片またはインゴット等を素材とする場合において、
次のような知見を得ることができた。
【0022】イ.仕上圧延の少なくとも後段の2スタン
ド以上の圧延ロール間で鋼板を再加熱すれば、圧延ロー
ルによる抜熱分を補うことができるため、Ar3 点近傍の
温度域での低温大圧下圧延を最終1パスではなく、それ
以上の多パスで行うことができ、Ar3 点近傍の温度域に
おける恒温かつ低温の多パス圧延が可能であること。
ド以上の圧延ロール間で鋼板を再加熱すれば、圧延ロー
ルによる抜熱分を補うことができるため、Ar3 点近傍の
温度域での低温大圧下圧延を最終1パスではなく、それ
以上の多パスで行うことができ、Ar3 点近傍の温度域に
おける恒温かつ低温の多パス圧延が可能であること。
【0023】ロ. 従って、従来の方法では困難であった
Ar3 点近傍の低温域での大圧下圧延を1パスではなく多
パスで行うことにより各パスの圧下率を小さくすること
ができ、強大なパワーを持つ圧延機が必要でなくなるこ
と。
Ar3 点近傍の低温域での大圧下圧延を1パスではなく多
パスで行うことにより各パスの圧下率を小さくすること
ができ、強大なパワーを持つ圧延機が必要でなくなるこ
と。
【0024】ハ.Ar3 点近傍の低温γ温度域で大圧下圧
延を行うことにより、γ粒の微細化とγ中への転位密度
の増大を図ることができるため、圧延後の冷延過程でα
の生成を促進し、かつαを微細化することができ、従来
は実現が極めて困難であったα粒径が20μm を遙かに下
回る等方的な均一微細組織が得られること。
延を行うことにより、γ粒の微細化とγ中への転位密度
の増大を図ることができるため、圧延後の冷延過程でα
の生成を促進し、かつαを微細化することができ、従来
は実現が極めて困難であったα粒径が20μm を遙かに下
回る等方的な均一微細組織が得られること。
【0025】ニ.上記のα粒径が微細化した熱延鋼板を
冷間圧延した後に再結晶焼鈍を施すと{111}集合組
織が十分に発達し、面内異方性が小さくr値の高い冷延
鋼板を安定して得ることができること。
冷間圧延した後に再結晶焼鈍を施すと{111}集合組
織が十分に発達し、面内異方性が小さくr値の高い冷延
鋼板を安定して得ることができること。
【0026】本発明は、上記の知見を基に完成されたも
のである。以下、本発明において素材鋼の化学組成と加
工・熱延処理条件を前記のように限定した理由を、作用
効果とともに説明する。
のである。以下、本発明において素材鋼の化学組成と加
工・熱延処理条件を前記のように限定した理由を、作用
効果とともに説明する。
【0027】(A) 素材鋼の化学組成 C:0.08%以下 Cは鋼板の深絞り性に悪影響を及ぼす元素であるため、
その含有量は少ない方が望ましい。特にC含有量が0.08
%を超えると深絞り性の劣化が著しくなることから、そ
の含有量は0.08%以下とした。
その含有量は少ない方が望ましい。特にC含有量が0.08
%を超えると深絞り性の劣化が著しくなることから、そ
の含有量は0.08%以下とした。
【0028】Si:1.0 %以下 Siは鋼板を固溶強化する作用を有するが、鋼板の深絞り
性に悪影響を及ぼす元素であるため、少ない方が好まし
い。Si含有量が1.0 %を超えると深絞り性や化成処理性
の劣化が著しくなるのみならず、スケール性状も劣化し
て製品品質を損なうようになることから、その含有量は
1.0 %以下とした。
性に悪影響を及ぼす元素であるため、少ない方が好まし
い。Si含有量が1.0 %を超えると深絞り性や化成処理性
の劣化が著しくなるのみならず、スケール性状も劣化し
て製品品質を損なうようになることから、その含有量は
1.0 %以下とした。
【0029】Mn:3.0 %以下 Mnには鋼板の靱性を改善し、鋼板を固溶強化する作用が
あるが、Mn含有量が、3.0 %を超えると強度は上昇する
が深絞り性が著しく劣化する。よって、Mn含有量は3.0
%以下とした。
あるが、Mn含有量が、3.0 %を超えると強度は上昇する
が深絞り性が著しく劣化する。よって、Mn含有量は3.0
%以下とした。
【0030】P:0.20%以下 Pは鋼板の固溶強化作用を有する。しかし、0.20%を超
えると粒界に偏析して粒界脆化が生じやすくなる。よっ
て、P含有量は0.20%以下とした。
えると粒界に偏析して粒界脆化が生じやすくなる。よっ
て、P含有量は0.20%以下とした。
【0031】S:0.10%以下 S含有量が0.10%を超えると硫化物の析出量が多くな
り、深絞り性や伸びが劣化する。よって、S含有量は0.
10%以下とした。
り、深絞り性や伸びが劣化する。よって、S含有量は0.
10%以下とした。
【0032】sol.Al:0.01〜0.10% Alは、鋼の脱酸に寄与し、また、後述するTi、Nb、Zr、
V、Mo等の添加歩留を上げるのに必要である。sol.Alの
含有量として0.01%未満では上記の効果が十分に得られ
ない。一方、同じく0.10%を超えると効果が飽和し不経
済になる。よって、Al含有量の範囲は0.01〜0.10%とし
た。
V、Mo等の添加歩留を上げるのに必要である。sol.Alの
含有量として0.01%未満では上記の効果が十分に得られ
ない。一方、同じく0.10%を超えると効果が飽和し不経
済になる。よって、Al含有量の範囲は0.01〜0.10%とし
た。
【0033】N:0.01%以下 Nは、その含有量が少ないほど後述する炭窒化物形成元
素の添加量が少なくてすむ。N含有量が0.01%を超える
と、炭窒化物形成元素を添加してNを固定しても鋼板の
r値の低下が避けられない。よって、N含有量は0.01%
以下とした。
素の添加量が少なくてすむ。N含有量が0.01%を超える
と、炭窒化物形成元素を添加してNを固定しても鋼板の
r値の低下が避けられない。よって、N含有量は0.01%
以下とした。
【0034】本発明方法の対象となる素材鋼の一つは、
上記の成分の外、残部がFeと不可避の不純物からなるも
のである。
上記の成分の外、残部がFeと不可避の不純物からなるも
のである。
【0035】素材鋼のもう一つは、上記の成分に加えて
更に、B (ボロン) もしくはTi、Nb、Zr、V及びMoの中
の1種以上、またはBとともにTi、Nb、Zr、V及びMoの
中の1種以上の成分を含むものである。
更に、B (ボロン) もしくはTi、Nb、Zr、V及びMoの中
の1種以上、またはBとともにTi、Nb、Zr、V及びMoの
中の1種以上の成分を含むものである。
【0036】B:0.0001〜0.0050% Bは、絞り加工部品で問題となる縦割れを防止する作用
を有しているので、必要に応じて添加する。その含有量
が0.0001%未満では所望の効果が得られない。
を有しているので、必要に応じて添加する。その含有量
が0.0001%未満では所望の効果が得られない。
【0037】一方、0.0050%を超えるとその効果が飽和
し、経済的に不利となる。よって、Bを添加する場合の
含有量の範囲は0.0001〜0.0050%とした。
し、経済的に不利となる。よって、Bを添加する場合の
含有量の範囲は0.0001〜0.0050%とした。
【0038】Ti、Nb、Zr、VおよびMo:1種または2種
以上の合計で 0.015〜0.350 %、ただし、前記 (イ)式を
満たすことが条件である。
以上の合計で 0.015〜0.350 %、ただし、前記 (イ)式を
満たすことが条件である。
【0039】これらの成分は炭窒化物や硫化物を形成
し、鋼中の固溶C、N、Sを減少させるとともに、その
析出物によって結晶粒を適度に微細化する作用を有する
ので、必要に応じて単独または複合で添加する。しか
し、これらの合計含有量が 0.015%未満では所望の効果
が得られない。一方、 0.350%を超えると強度が上昇し
すぎて成形性が劣化し、加工用の鋼板として適さなくな
るとともに経済的にも不利となる。従って、これらの成
分を添加する場合には、1種または2種以上の合計含有
量で 0.015〜0.350 %の範囲が適当である。
し、鋼中の固溶C、N、Sを減少させるとともに、その
析出物によって結晶粒を適度に微細化する作用を有する
ので、必要に応じて単独または複合で添加する。しか
し、これらの合計含有量が 0.015%未満では所望の効果
が得られない。一方、 0.350%を超えると強度が上昇し
すぎて成形性が劣化し、加工用の鋼板として適さなくな
るとともに経済的にも不利となる。従って、これらの成
分を添加する場合には、1種または2種以上の合計含有
量で 0.015〜0.350 %の範囲が適当である。
【0040】Ti、Nb、Zr、VおよびMoの1種または2種
以上を添加する場合には、前記 (イ)式を満足するように
調整する必要がある。 (イ)式は、固溶C、N、Sを0.00
20%以下とし、残りのC、N、Sを炭窒化物や硫化物と
して析出させるための関係を示すものである。〔C当量
− (Ti当量/4 )〕の値が0.0020を超えると、固溶C、
N、Sが多くなるため{111}再結晶集合組織が発達
せず、鋼板の深絞り性が劣化する。
以上を添加する場合には、前記 (イ)式を満足するように
調整する必要がある。 (イ)式は、固溶C、N、Sを0.00
20%以下とし、残りのC、N、Sを炭窒化物や硫化物と
して析出させるための関係を示すものである。〔C当量
− (Ti当量/4 )〕の値が0.0020を超えると、固溶C、
N、Sが多くなるため{111}再結晶集合組織が発達
せず、鋼板の深絞り性が劣化する。
【0041】上述の素材鋼は、例えば転炉、電気炉等に
より溶製される。鋼種もリムド鋼、キャップド鋼、セミ
キルド鋼またはキルド鋼のいずれでもよい。また、鋼片
の製造は、造塊−分塊圧延法または連続鋳造法のいずれ
によっても構わない。
より溶製される。鋼種もリムド鋼、キャップド鋼、セミ
キルド鋼またはキルド鋼のいずれでもよい。また、鋼片
の製造は、造塊−分塊圧延法または連続鋳造法のいずれ
によっても構わない。
【0042】(B) 加工・熱処理条件 (i) 熱間圧延:熱間圧延は次の〜の全てを満たす条
件で行う。
件で行う。
【0043】熱間圧延前の加熱温度をAr3 点以上とす
る。
る。
【0044】仕上圧延機の少なくとも後段2スタンド
以上のロールの間で鋼板を再加熱する。
以上のロールの間で鋼板を再加熱する。
【0045】仕上温度を{(Ar3点−50℃) 〜(Ar3点+
200 ℃) }とし、かつ、この温度域での合計圧下率を30
%以上として仕上圧延を行う。
200 ℃) }とし、かつ、この温度域での合計圧下率を30
%以上として仕上圧延を行う。
【0046】上記のように、熱間圧延開始前の鋼片の加
熱温度はAr3 点以上とする。これは圧延前の素材 (スラ
ブ) を均一なγ組織にするとともに、仕上圧延を未再結
晶γ温度域、すなわち、上記の温度域で行うべく仕上
温度を確保しやすくするためである。
熱温度はAr3 点以上とする。これは圧延前の素材 (スラ
ブ) を均一なγ組織にするとともに、仕上圧延を未再結
晶γ温度域、すなわち、上記の温度域で行うべく仕上
温度を確保しやすくするためである。
【0047】連続鋳造または分塊圧延した鋼片がAr3 点
以上の温度であれば、そのまま熱間圧延工程に付してよ
い。これより低温であれば、再加熱してAr3 点以上に加
熱する。加熱の時間は、鋼片のサイズに応じて全体が均
一なγになるように選べばよい。加熱温度及び加熱時間
の上限は、γ粒が粗大にならない範囲で選定する。
以上の温度であれば、そのまま熱間圧延工程に付してよ
い。これより低温であれば、再加熱してAr3 点以上に加
熱する。加熱の時間は、鋼片のサイズに応じて全体が均
一なγになるように選べばよい。加熱温度及び加熱時間
の上限は、γ粒が粗大にならない範囲で選定する。
【0048】本発明方法では仕上圧延中にの再加熱を
行うので、スラブ加熱温度をさほど高くしなくても、上
記の仕上温度の確保は容易である。
行うので、スラブ加熱温度をさほど高くしなくても、上
記の仕上温度の確保は容易である。
【0049】上記のように加熱した鋼片を粗圧延機と仕
上圧延機からなる熱間圧延ラインで圧延する。仕上圧延
機は、通常7スタンドのロールからなるものであるが、
その少なくとも後段2スタンド以上のロールの間で鋼板
を再加熱する。
上圧延機からなる熱間圧延ラインで圧延する。仕上圧延
機は、通常7スタンドのロールからなるものであるが、
その少なくとも後段2スタンド以上のロールの間で鋼板
を再加熱する。
【0050】この再加熱の目的は、{( Ar3点−50℃)
〜(Ar3点+200 ℃) }の温度域における合計圧下率が30
%以上の大圧下を容易に行うことにあり、さらに、この
30%以上の圧下を1スタンドだけでなく、幾つかのスタ
ンドに分担させて実施することを可能にし、1スタンド
の負荷を軽減することもこの再加熱の目的である。従っ
て、この再加熱は、仕上圧延機の多数のスタンドの間の
どこで行ってもよく、圧延時の鋼板温度が( Ar3点−50
℃) 未満に低下しないように、適宜再加熱を行うスタン
ドを選定すればよい。ただし、少なくともロールによる
抜熱で、鋼板温度が( Ar3点−50℃) よりも低温になり
やすい後段の2スタンド以上のロール間では、再加熱を
行う必要がある。なお、ここで「後段のスタンド」とい
うのは、必ずしも最終段のスタンドを含むということで
はない。
〜(Ar3点+200 ℃) }の温度域における合計圧下率が30
%以上の大圧下を容易に行うことにあり、さらに、この
30%以上の圧下を1スタンドだけでなく、幾つかのスタ
ンドに分担させて実施することを可能にし、1スタンド
の負荷を軽減することもこの再加熱の目的である。従っ
て、この再加熱は、仕上圧延機の多数のスタンドの間の
どこで行ってもよく、圧延時の鋼板温度が( Ar3点−50
℃) 未満に低下しないように、適宜再加熱を行うスタン
ドを選定すればよい。ただし、少なくともロールによる
抜熱で、鋼板温度が( Ar3点−50℃) よりも低温になり
やすい後段の2スタンド以上のロール間では、再加熱を
行う必要がある。なお、ここで「後段のスタンド」とい
うのは、必ずしも最終段のスタンドを含むということで
はない。
【0051】上記の再加熱を行う方法には特に制約はな
いが、本出願人が先に出願した鋼板に直接通電して加熱
する方法が好適である(特開平4−356314号公報参照)
。
いが、本出願人が先に出願した鋼板に直接通電して加熱
する方法が好適である(特開平4−356314号公報参照)
。
【0052】上記の温度域における合計圧下率が30%以
上となるように仕上圧延を行うことにより、γ粒を微細
化するとともにγ粒内に歪みを蓄積させて転位密度を増
大させることができるので、仕上圧延後に冷却する間に
極めて微細なポリゴナルαを生成させることができる。
上となるように仕上圧延を行うことにより、γ粒を微細
化するとともにγ粒内に歪みを蓄積させて転位密度を増
大させることができるので、仕上圧延後に冷却する間に
極めて微細なポリゴナルαを生成させることができる。
【0053】仕上圧延温度が(Ar3点−50℃) 未満である
と、熱間圧延中に生成するα量が増加し、加工歪みが柔
らかいα相に集中し、γ相に加工歪みが蓄積されないた
め、その後の冷却過程でγ→α変態により生成するα粒
が微細化されない。加えて、α粒とγ粒では結晶構造が
異なるため、熱間圧延中に生成するα量が増加すると、
鋼板の形状(平坦度)を均一に保つことが困難になる。
一方、仕上温度が(Ar3点+200 ℃) を超えると、あるい
は{(Ar3点−50℃) 〜(Ar3点+200 ℃) }の温度域にお
ける合計圧下率が30%未満であると、γ粒の微細化とγ
粒への歪みの蓄積が不十分となって、その後の冷却過程
で微細なポリゴナルαが生成しない。
と、熱間圧延中に生成するα量が増加し、加工歪みが柔
らかいα相に集中し、γ相に加工歪みが蓄積されないた
め、その後の冷却過程でγ→α変態により生成するα粒
が微細化されない。加えて、α粒とγ粒では結晶構造が
異なるため、熱間圧延中に生成するα量が増加すると、
鋼板の形状(平坦度)を均一に保つことが困難になる。
一方、仕上温度が(Ar3点+200 ℃) を超えると、あるい
は{(Ar3点−50℃) 〜(Ar3点+200 ℃) }の温度域にお
ける合計圧下率が30%未満であると、γ粒の微細化とγ
粒への歪みの蓄積が不十分となって、その後の冷却過程
で微細なポリゴナルαが生成しない。
【0054】仕上圧延中のα相の生成防止およびγ粒の
微細化のためには、上記の温度範囲のなかでも Ar3点〜
(Ar3点+150 ℃) の範囲が望ましい。圧延中の再加熱
は、鋼板を上記のような好適な温度に精度よく制御する
ことを容易にする。
微細化のためには、上記の温度範囲のなかでも Ar3点〜
(Ar3点+150 ℃) の範囲が望ましい。圧延中の再加熱
は、鋼板を上記のような好適な温度に精度よく制御する
ことを容易にする。
【0055】本発明方法では、前記の再加熱によって仕
上圧延中に鋼板温度を高めるので、30%以上の圧下を最
終スタンドだけで実施することも可能であるが、最終ス
タンドで大圧下を行うと鋼板の形状不良を引き起こすの
で、その前までの合計圧下量を大きくし、最終スタンド
では形状を整えるだけの軽圧下とするのが望ましい。
上圧延中に鋼板温度を高めるので、30%以上の圧下を最
終スタンドだけで実施することも可能であるが、最終ス
タンドで大圧下を行うと鋼板の形状不良を引き起こすの
で、その前までの合計圧下量を大きくし、最終スタンド
では形状を整えるだけの軽圧下とするのが望ましい。
【0056】仕上圧延を行った後、冷却して巻き取る。
仕上圧延後の冷却は、(Ar3点−100℃) までの温度域で
の冷却速度が5℃/s以上となるように行うのが望まし
い。これにより、微細で加工硬化した(歪みの蓄積され
た)γから多数のα核を生じさせ、しかもα粒の成長を
抑制することができるため、一層微細なα粒からなる熱
延鋼板を得ることができる。なお、熱間圧延後の巻取り
温度には特別な制約はない。
仕上圧延後の冷却は、(Ar3点−100℃) までの温度域で
の冷却速度が5℃/s以上となるように行うのが望まし
い。これにより、微細で加工硬化した(歪みの蓄積され
た)γから多数のα核を生じさせ、しかもα粒の成長を
抑制することができるため、一層微細なα粒からなる熱
延鋼板を得ることができる。なお、熱間圧延後の巻取り
温度には特別な制約はない。
【0057】上記の方法で次工程の冷間圧延前にα粒を
微細化し、α粒界の面積を増やしておくことにより、再
結晶焼鈍時に、r値の向上に好ましい{111}集合組
織をα粒界から発達させることができる。
微細化し、α粒界の面積を増やしておくことにより、再
結晶焼鈍時に、r値の向上に好ましい{111}集合組
織をα粒界から発達させることができる。
【0058】(ii)冷間圧延および焼鈍 上記(i) の熱間圧延によって得られた熱延鋼板を冷間圧
延し、さらに再結晶焼鈍を施すことにより、面内異方性
の小さい高r値冷延鋼板を製造することができる。
延し、さらに再結晶焼鈍を施すことにより、面内異方性
の小さい高r値冷延鋼板を製造することができる。
【0059】冷間圧延の目的は、所定の板厚にするとと
もに圧延集合組織を発達させ、次の再結晶焼鈍工程でr
値の向上と面内異方性の最小化に好ましい{111}集
合組織を発達させることにある。そのためには、50%以
上の圧下率で最終板厚に加工することが望ましい。圧下
率が50%未満の場合には、再結晶焼鈍を行っても{11
1}集合組織が十分に発達しないことがある。
もに圧延集合組織を発達させ、次の再結晶焼鈍工程でr
値の向上と面内異方性の最小化に好ましい{111}集
合組織を発達させることにある。そのためには、50%以
上の圧下率で最終板厚に加工することが望ましい。圧下
率が50%未満の場合には、再結晶焼鈍を行っても{11
1}集合組織が十分に発達しないことがある。
【0060】冷間圧延後は再結晶焼鈍を行う。再結晶焼
鈍は、αの集合組織を制御して深絞り性に優れた冷延鋼
板を製造する上で不可欠な工程である。そのためには、
550〜900 ℃の温度範囲で焼鈍を行い、αを再結晶させ
るのが望ましい。550 ℃未満の温度では、長時間の焼鈍
であるバッチ焼鈍でも再結晶が十分に生じない。一方、
900 ℃を超える温度ではγ化が著しく進行して、所定の
αの再結晶集合組織に制御するのが困難となる。
鈍は、αの集合組織を制御して深絞り性に優れた冷延鋼
板を製造する上で不可欠な工程である。そのためには、
550〜900 ℃の温度範囲で焼鈍を行い、αを再結晶させ
るのが望ましい。550 ℃未満の温度では、長時間の焼鈍
であるバッチ焼鈍でも再結晶が十分に生じない。一方、
900 ℃を超える温度ではγ化が著しく進行して、所定の
αの再結晶集合組織に制御するのが困難となる。
【0061】再結晶焼鈍を行う方法については特に制約
はない。連続焼鈍、バッチ焼鈍または溶融亜鉛めっき処
理に先行する連続熱処理のいずれでもよい。
はない。連続焼鈍、バッチ焼鈍または溶融亜鉛めっき処
理に先行する連続熱処理のいずれでもよい。
【0062】なお、冷間圧延、焼鈍の後、必要に応じて
圧下率10%未満の調質圧延(スキンパス)や各種の表面
処理を施してもよい。
圧下率10%未満の調質圧延(スキンパス)や各種の表面
処理を施してもよい。
【0063】本発明方法によって得られた冷延鋼板は、
適宜、表面処理(溶融亜鉛めっき、合金化溶融亜鉛めっ
き、電気めっき、有機被覆コーティングなど)やプレス
加工を施した後、例えば自動車、家電製品、鋼構造物な
どに使用されるが、特にそれらの用途において要求され
る高造形性と強度とを同時に有するものである。
適宜、表面処理(溶融亜鉛めっき、合金化溶融亜鉛めっ
き、電気めっき、有機被覆コーティングなど)やプレス
加工を施した後、例えば自動車、家電製品、鋼構造物な
どに使用されるが、特にそれらの用途において要求され
る高造形性と強度とを同時に有するものである。
【0064】
(実施例1)表1、表2に示す化学組成の鋼(鋼種A〜
O)のスラブを、表3に示す条件で熱間圧延し、冷却し
て巻き取った後、熱延板の結晶粒度を測定した。表2が
これらの鋼のTi当量、C当量、前記の(イ) 式の左辺、す
なわち〔C当量−Ti当量/4〕の値及びAr3 点温度を示す
表である。表3の「仕上圧延のスタンド間での加熱」
は、表示するスタンド間で各スタンドのワークロールを
電極として、その間の鋼板に商用周波数の交流 (電圧:
100V、電流:150 KA、供給電力:15000 KVA)を直接通電
することによって行った。使用した仕上圧延設備は7ス
タンドの圧延機を備えたものである。結晶粒度は表3に
示す。
O)のスラブを、表3に示す条件で熱間圧延し、冷却し
て巻き取った後、熱延板の結晶粒度を測定した。表2が
これらの鋼のTi当量、C当量、前記の(イ) 式の左辺、す
なわち〔C当量−Ti当量/4〕の値及びAr3 点温度を示す
表である。表3の「仕上圧延のスタンド間での加熱」
は、表示するスタンド間で各スタンドのワークロールを
電極として、その間の鋼板に商用周波数の交流 (電圧:
100V、電流:150 KA、供給電力:15000 KVA)を直接通電
することによって行った。使用した仕上圧延設備は7ス
タンドの圧延機を備えたものである。結晶粒度は表3に
示す。
【0065】上記の熱延鋼板を酸洗した後、冷間圧延を
行い、その後、800 ℃×2minの連続焼鈍(処理イ)また
は750 ℃×5hr のバッチ焼鈍(処理ロ)もしくは溶融亜
鉛めっき処理に先行する820 ℃×40sec の連続熱処理
(処理ハ)により再結晶処理を行った。このようにして
得られた冷延鋼板から試験片を採取して、降伏強さ(Y
P)、引張強さ(TS)、伸び(EL)及びr値を調査し、さらに
方向別のr値の最大値と最小値の差を求めて異方性を評
価した。これらの結果を冷間圧延の圧下率、焼鈍条件と
ともに表4に示す。
行い、その後、800 ℃×2minの連続焼鈍(処理イ)また
は750 ℃×5hr のバッチ焼鈍(処理ロ)もしくは溶融亜
鉛めっき処理に先行する820 ℃×40sec の連続熱処理
(処理ハ)により再結晶処理を行った。このようにして
得られた冷延鋼板から試験片を採取して、降伏強さ(Y
P)、引張強さ(TS)、伸び(EL)及びr値を調査し、さらに
方向別のr値の最大値と最小値の差を求めて異方性を評
価した。これらの結果を冷間圧延の圧下率、焼鈍条件と
ともに表4に示す。
【0066】
【表1】
【0067】
【表2】
【0068】
【表3】
【0069】
【表4】
【0070】表4に示す結果から明らかなように、本発
明で定める条件に従って製造された冷延鋼板は優れたr
値と伸びを有しており、しかも面内異方性が極めて小さ
い。
明で定める条件に従って製造された冷延鋼板は優れたr
値と伸びを有しており、しかも面内異方性が極めて小さ
い。
【0071】さらに、降伏点と引張強さは低めであり、
加工性が非常に優れていることが明らかである。
加工性が非常に優れていることが明らかである。
【0072】これに対して、製造条件が本発明で定める
条件を満たしていない場合には、熱延鋼板のα組織が十
分に微細化せず、得られる冷延鋼板の特性が劣る結果と
なっている。
条件を満たしていない場合には、熱延鋼板のα組織が十
分に微細化せず、得られる冷延鋼板の特性が劣る結果と
なっている。
【0073】(実施例2)表5、表6、表7に示す化学
組成の鋼(鋼種2A〜2U)のスラブを、表8に示す条件で
熱間圧延し、冷却して巻き取った後、熱延板の結晶粒度
を測定した。表7がこれらの鋼のTi当量、C当量、〔C
当量−Ti当量/4〕の値及び Ar3点温度を示す表である。
結晶粒度は表8に示す。
組成の鋼(鋼種2A〜2U)のスラブを、表8に示す条件で
熱間圧延し、冷却して巻き取った後、熱延板の結晶粒度
を測定した。表7がこれらの鋼のTi当量、C当量、〔C
当量−Ti当量/4〕の値及び Ar3点温度を示す表である。
結晶粒度は表8に示す。
【0074】得られた鋼板を実施例1と同様の試験に供
し、評価特性も実施例1と同じとした。これらの結果を
冷間圧延の圧下率、焼鈍条件とともに表9に示す。
し、評価特性も実施例1と同じとした。これらの結果を
冷間圧延の圧下率、焼鈍条件とともに表9に示す。
【0075】
【表5】
【0076】
【表6】
【0077】
【表7】
【0078】
【表8】
【0079】
【表9】
【0080】表9に示す結果から明らかなように、実施
例1と同様の結果が得られた。
例1と同様の結果が得られた。
【0081】
【発明の効果】本発明の方法によれば、実際の操業上も
無理のない熱間圧延工程とその後の冷間圧延および再結
晶焼鈍により、面内異方性が小さくr値の高い冷延鋼板
を安定して製造することができる。このような冷延鋼板
は、特に自動車や家電製品の外装用等に好適である。
無理のない熱間圧延工程とその後の冷間圧延および再結
晶焼鈍により、面内異方性が小さくr値の高い冷延鋼板
を安定して製造することができる。このような冷延鋼板
は、特に自動車や家電製品の外装用等に好適である。
【0082】
Claims (4)
- 【請求項1】重量%で、C: 0.08%以下、Si:1.0%以
下、Mn:3.0%以下、P: 0.20%以下、S: 0.10%以下、
sol.Al: 0.01〜0.10%及びN: 0.01%以下を含有し、残
部がFe及び不可避的不純物からなる鋼を下記のから
までの条件で熱間圧延した後、冷却して巻き取り、その
後、冷間圧延と再結晶焼鈍を施すことを特徴とする面内
異方性の小さい高r値冷延鋼板の製造方法。 熱間圧延前の加熱温度をAr3 点以上とする。 仕上圧延機の少なくとも後段2スタンド以上のロー
ルの間で鋼板を再加熱する。 仕上温度を{(Ar3点−50℃) 〜(Ar3点+200 ℃) }
とし、かつ、この温度域での合計圧下率を30%以上とし
て仕上圧延を行う。 - 【請求項2】請求項1に記載の成分に加えて更に、0.00
01〜0.0050重量%のBを含有する鋼を請求項1に記載の
条件で熱間圧延した後、冷却して巻き取り、その後、冷
間圧延と再結晶焼鈍を施すことを特徴とする面内異方性
の小さい高r値冷延鋼板の製造方法。 - 【請求項3】請求項1に記載の成分に加えて更に、下記
の (イ)式を満たすTi、Nb、Zr、V及びMoを1種または2
種以上の合計量で 0.015〜0.350 重量%含有する鋼を請
求項1に記載の条件で熱間圧延した後、冷却して巻き取
り、その後、冷間圧延と再結晶焼鈍を施すことを特徴と
する面内異方性の小さい高r値冷延鋼板の製造方法。 〔C当量〕−〔Ti当量/4〕≦0.0020 ・・・・・・・ (イ) 但し、C当量=C(%) + (12/14)N(%) + (12/32)S
(%) Ti当量=Ti(%) + (48/93)Nb(%) + (48/91)Zr(%) +
(48/60)V(%)+(48/96)Mo(%) - 【請求項4】請求項1に記載の成分に加えて更に、0.00
01〜0.0050重量%のBと、前記 (イ)式を満たすTi、Nb、
Zr、V及びMoを1種または2種以上の合計量で 0.015〜
0.350 重量%含有する鋼を請求項1に記載の条件で熱間
圧延した後、冷却して巻き取り、その後、冷間圧延と再
結晶焼鈍を施すことを特徴とする面内異方性の小さい高
r値冷延鋼板の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP28330393A JPH06336619A (ja) | 1993-04-02 | 1993-11-12 | 面内異方性の小さい高r値冷延鋼板の製造方法 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5-76663 | 1993-04-02 | ||
JP7666393 | 1993-04-02 | ||
JP28330393A JPH06336619A (ja) | 1993-04-02 | 1993-11-12 | 面内異方性の小さい高r値冷延鋼板の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH06336619A true JPH06336619A (ja) | 1994-12-06 |
Family
ID=26417792
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP28330393A Pending JPH06336619A (ja) | 1993-04-02 | 1993-11-12 | 面内異方性の小さい高r値冷延鋼板の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH06336619A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO1999062665A1 (en) * | 1998-06-03 | 1999-12-09 | Sumitomo Special Metals Co., Ltd. | Clad material and method of manufacturing the material |
US6832475B2 (en) | 2000-01-21 | 2004-12-21 | Honda Giken Koygo Kabushi Kaisha | Combustion gas purifier and internal combustion engine |
JP2020509244A (ja) * | 2016-12-22 | 2020-03-26 | ポスコPosco | 耐食性及び加工性に優れた冷延鋼板及びその製造方法 |
-
1993
- 1993-11-12 JP JP28330393A patent/JPH06336619A/ja active Pending
Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO1999062665A1 (en) * | 1998-06-03 | 1999-12-09 | Sumitomo Special Metals Co., Ltd. | Clad material and method of manufacturing the material |
US6312834B1 (en) * | 1998-06-03 | 2001-11-06 | Sumitomo Special Metals Co., Ltd. | Clad material and method of manufacturing the material |
CN1089046C (zh) * | 1998-06-03 | 2002-08-14 | 住友特殊金属株式会社 | 包覆材料及其制造方法 |
JP4327357B2 (ja) * | 1998-06-03 | 2009-09-09 | 株式会社Neomaxマテリアル | クラッド材及びその製造方法 |
US6832475B2 (en) | 2000-01-21 | 2004-12-21 | Honda Giken Koygo Kabushi Kaisha | Combustion gas purifier and internal combustion engine |
JP2020509244A (ja) * | 2016-12-22 | 2020-03-26 | ポスコPosco | 耐食性及び加工性に優れた冷延鋼板及びその製造方法 |
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